「5日27日はお祭りでいいんです。2人が同じステージに立ってる喜びを噛み締めて2時間が終わる。でも、この次なんですよね。SURFACEとしての新しい作品も掲げなきゃいけないし、ここからが勝負なんで」、「これからはもう“SURFACEがいて当たり前”になるんで」。’18年5月27日、東京・豊洲PIT。デビュー20周年を迎えたその日に、解散から8年の時を経て再始動した椎名慶治(vo)×永谷喬夫(g)によるユニットSURFACE。そんな運命のライブ後に椎名が
冒頭の言葉がついに形を成したのが、11年ぶりのオリジナルアルバムとして届けられた『ON』である。ソロとして、そして、高橋まこと(ds)らとのスーパーバンドJET SET BOYSとして活動を続けてきた椎名、精力的にプロデュースや楽曲提供を行ってきた永谷が再び手を取り合った今作には、かつて『それじゃあバイバイ』(’98)『さぁ』(’98)『なにしてんの』(’99)『ゴーイング my 上へ』(’00)etcと多くのヒット曲を生んだ2人の、SURFACEはもう止まることはないという覚悟と、’19年の今、作品を世に問う意地と、これぞSURFACEという歌声とギターが、宝箱のように収められている。現在はリリースツアー『SURFACE LIVE TOUR 2019「ON 〜two as one〜」』の真っ只中にいる彼らが、新作の制作裏話からツアーの途中経過までを語るインタビュー。ただのノスタルジーでもリバイバルでもない、SURFACEの新たなフェイズをここに記す。
――『SURFACE LIVE TOUR 2019「ON 〜two as one〜」』もすでに始まっていますけど、途中経過はどうです?
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椎名 「去年は5月に再始動ライブ、9月に赤坂BLITZ、年末には俺のバースデーライブとカウントダウンをやって、バンドライブのノウハウは一応そこで取り戻したはずなんですけど、不安だったのは自分たちの感覚よりも、お客さんの感覚で。アルバムを発売して3日でツアーが始まることなんて今までにはなかったんで、どうなることかと思いながら初日を迎えたんですけど、自分たちの不安を払拭する盛り上がりに本当にビックリしたし、何よりも感謝がデカいですよね。“発売3日でこんなに歌える!?”っていうぐらい、身振り手振りで動きながら声を出してくれてたから、それに感化されるようにすごくいいライブになって」
永谷 「ファンの人たちが、“待ってたよ! こっちは予習もバッチリだから!!”みたいな感じで来てくれたのが何より嬉しかったですし、その安心感もあいまって、このツアーでは単純にすごく楽しくギターが弾けてるんで。お客さんに楽しんでもらってるんじゃなくて、楽しませてもらってるぐらいですね、本当に」
――再始動ライブとはまた違う喜びが、リリースツアーにはありますね。
椎名 「ただ、ツアーの怖さを永谷はこれから経験するんでしょうけどね。1本やるだけでも大変なのにそれが毎週末あって、最後まで止まらずに駆け抜けていく。12本目が終わったときに永谷がいったいどう思うんだろうなと(笑)」
―― それにしても、再始動ライブもBLITZもバースデーライブもカウントダウンも、何だか随分前な気がしますけど、実際は全部去年なんですね。そう考えたら、すごく濃厚な1年だったというか。
椎名 「さらにその間に、俺はソロアルバムを出してツアーもやって、永谷もソロアルバムを出してライブをやって」
永谷 「それに加えて今回のレコーディングだったり曲作りだったり…」
椎名 「何かね、2人とも“数打ちゃ当たる”っていう曲作りができないみたいです。1曲入魂というか、20曲作った中から選んで11曲にしようとかができないので、モチベーションをそこまで持っていくのにどうしても時間がかかるというか。実際、今回のアルバムに向けて作った曲も12曲しかないので。1曲だけ、出来は悪くないけど今回のアルバムには不向きかなと思って外した曲があって」
永谷 「“これだけブランクがあっても、SURFACEは元気にやってますよ!”みたいなパワフルなアルバムに入れるには、ちょっとゆるめのテイストの曲だったというか。ただ、全体的にアップテンポの曲が多かったのでお腹いっぱいになり過ぎちゃうかなと思って、“90年代を彷彿とさせるような、僕たちっぽいミドルの曲を入れた方がいいんじゃない?”みたいな話を2人でして、『傷痕』(M-10)を入れたんですけど」
椎名 「それでバランスが取れたよね。ただ、アルバムのバランスを取るために入れたはずの『傷痕』が、ライブでやったらめっちゃ大変な曲で。テンポはゆっくりなんですけど熱量が高くて、もう全然休めない(笑)」
――椎名さんのソロ作品もいつもそうですけど、濃度の濃いアルバムですよね。
椎名 「俺は『ON』を作る前にソロで『-ing』('18)を出してるから、当然それを超えていかなきゃいけない。それが俺と永谷の中でも“ちょっとめんどくせぇな”っていうのはありましたけど(笑)、俺は『-ing』をちゃんと超えたと思ってるので。こういうハードルがこれからも絶対にあると思うんですよ。だからソロの方は大変ですよね、SURFACEにはちょっと勝てる気がしないので」
逃げ場を一切なくして
いいメロディと素敵なコード進行で気持ちいい流れを作る
――今作では、椎名さんが歌って隣で永谷さんがギター弾いてというアナログな曲作りをしたということですけど、これだけテクノロジーが進化して、それを使いこなしてきた2人が改めてそうなったのは面白いですね。
椎名 「それに関しては、永谷の“飽きちゃった”っていうひと言をすごく覚えてて(笑)。永谷はDTM=デスクトップミュージックの先駆けの人間だったと思うし、一時は裏方に回ったことでなおさらそれをずーっとやってきて。今回は永谷がアコギを持ってふいに弾き出して、俺がそこに乗っかったのが吉と出たというか、大正解だったなと」
永谷 「ピアノで曲を作ってた時期もあったんですけど、“いや、自分はギタリストでしょ? まずそこですよね”って。アコギの難しさも面白さもだいぶ理解できるようになったので、椎名くんと曲を作るときのあうんの呼吸という意味でも、アコギの方がやりやすかったのもありましたね」
――永谷さんから“ギタリストとして”なんて話を聞けるのは嬉しいですね。
椎名 「ね。こんな日が来るなんてね(笑)」
永谷 「椎名くんの声ってやっぱりギターと、ああいう6本の弦をガシャガシャする感じとすごく合うので、そこをベースに曲を作っていけば、その骨組みがしっかりしていれば、周りにいろんな音がくっついても簡単に壊れたりはしない。昔はいろんな手法で作って、見た目はしっかりしてるんだけど叩いてみたら案外脆かったりして。パソコンで作ると選択肢=逃げ場がいっぱいあるので、迷いまくりながら何とか形にしてたんですけど、今回はその逃げ場を一切なくして、いいメロディと素敵なコード進行で気持ちいい流れを作る。あとはおおよそのテンポ感が重要というか。他にも、今回は音の微妙なディテールにもこだわって、リハ中にアンプの真空管を変えたり、挙げ句の果てにエフェクターボードも1から作り直してもらったりして」
椎名 「単音なのにその音の粒立ちで、“これが永谷喬夫だ!”と分かるギターソロを聴かせるのって、実は結構難しくて。でもね、今回のツアーの永谷の音が、抜群にいいんですよ。“ここに至るまでにいろいろ試行錯誤したんだろうな”っていう音をしてるんですよね。そこはお客さんにも“どうだ! うちの永谷は”って言えるポイントだし(笑)、何だかホッとしたというか、1つゴールが見えたんだなって」
――今回はお互いのパートのRECに立ち会ったのが以前とは違うところでしょうけど、その効果がありましたね。
永谷 「まさにそうですね。まずは一番値段の高いギターでちょっと弾いてみるんですよ、せっかく買ったんで(笑)。でも、それだと“う〜ん、何かちょっと違うんだよね”って言われて、今度は昔ヤフオクで買った安めのギターを弾いたら、“やっぱりそっちかな!”って(笑)」
椎名 「結局、大事なのは俺の声とのマッチングなので。俺はそのギブソンのES-335っていうギターの音が好きなんですけど、以前、永谷に“あのギターはどうしたの?”って聞いたら、“甥っ子にあげた”って言うんですよ!」
永谷 「アハハハハ!(笑)」
椎名 「それが、再始動に向かって気持ちが高ぶっていってる時期に永谷が335を持ってたんで、“あれ? お前それどうしたの!?”って聞いたら、“甥っ子に返してもらった”って、もう何年越しだよっていう(笑)。でも、その335を弾く姿もそうだけど、やっぱりそこには永谷喬夫の音があって。だからもう“このギターはあげちゃダメだよ”って」
永谷 「その22歳の甥っ子がレコーディングにも遊びに来て、“喬夫が335を弾いてる音が俺は好きだな”って(笑)」
椎名 「甥っ子がまぁ音楽が好きで、ギターも弾いてるもんだから耳もよくて、意外と永谷のことをよく見てるんだなぁって感じながら。なので、335事件はそこで解決しました(笑)」
永谷 「あと今回は、“こういう方向性で書こうと思ってるんだけど”っていう歌詞の途中経過を見せてもらって、『傷痕』なんかは結構ダークな内容だったんで、“もう大好物だよ! 素敵〜!!”って椎名くんにすぐメッセージを送ったりして(笑)。『また僕はうなずく』(M-6)とかは、“イントロの頭のきっかけが見えないから歌詞が欲しい”と伝えて、そこからやっぱりちょっとブリティッシュロックっぽい感じがいいかもと思ったり。『spilt milk』(M-5)は言ってしまえばMr.Children的な、小林武史さんみたいなテイストが合うんじゃないかと色付けていったり…今回は歌詞からヒントをもらうことが結構多かったですね」
椎名 「本当に“こんなのいつ以来だろう?”って思うぐらい、密にやりとりしてましたよ」
――逆に椎名さんの歌に関してはどうです?
椎名 「メインボーカルはずっと自分でディレクションしてきたからいいんですけど、要はハモリのアレンジですよね。今回の『ON』の歌録りには必ず永谷がいて、“ここもここもハモれるけど、ここは要るけどここはなしで”とか、そういう話を2人でジャッジしていって、その中で俺の発想にはなかったことも、当日のレコーディングでやってみる。結構リスキーなやり方なんですけど、この2人のセンスは間違ってなかったんじゃないかなぁと思いますね」
立ち止まっていられないというか、同じ景色をずっと観てられない
そういう男の歌詞だなと思います
――再始動した以上はやっぱり、“懐かしいね~SURFACE”、だけじゃダメなわけじゃないですか。今の、’19年の、SURFACEの音を聴かせなきゃいけないところで、何か意識したことはあったんですか?
椎名 「レコーディングに入る前に『-ing』を聴いた永谷からの、“(『-ing』に参加している)この宮田“レフティ”リョウくんって誰? この人をSURFACEでも活かせない?”っていう話からまずは始まって」
永谷 「『やってみようよ』(M-3)なんかは、エレキギターを録音した後に彼にデータを渡して、椎名くんと一緒にいろいろとエディットしてくれて。“それはちょっと永谷が怒るかもしれないから、元に戻しといた方がいいんじゃない?”みたいな話にもなってたっていうぐらい(笑)、果敢に挑戦してくれたこともすごく嬉しかったですね」
椎名 「そうやって一旦ぶち壊してもらった作業が’19年の音になった1つのきっかけでもあるし、半分は宮田のおかげですよね。あとの半分はやっぱり永谷なので、どんな気持ちで作ったのかは永谷に聞いてください(笑)」
永谷 「アハハ!(笑) 僕はもう歌とその楽曲のアンサンブルに合うギターを弾くことに本当に徹して。あとは“悩まない”。僕の弱点として、ただただ悩んで時間を潰すことが多かったので(苦笑)、今回は1日に3曲弾くとか決めて、常に時間を気にする。ギターソロに関しては本当に必要なポイントだけを押さえて、疲れ切った1日の最後の最後に録る。逆にそれで集中力が増したりするんですよ。今回は本当にシンプルなセットで、ギターと、ピックと、アンプと、要は“弾き方”でしたね。昔は小細工をたくさんしたし、誰も寄せ付けない雰囲気で自分の世界だけで弾いてた時期もあったんですけど、今回はサポートメンバーも含めて、ちゃんと“バンドとしての音”が出来上がったんじゃないかな。マスタリングが上がってきたときに、それをすごく感じましたね」
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――歌詞に関してもキャリアが活きていて、『Is life beautiful?』(M-1)の冒頭なんかは、言わば若さ特有のとんがった視野じゃないですか。それが曲が進む中でいろんな人生の苦味を知った目線になる。20代で始まったSURFACEが今40代というところにもリンクしてるし、続く『NANANA』(M-2)はライブを楽しみにしてくれてるファン目線にも感じて、個人的にはこの頭の2曲を聴いたとき、“あぁもうこのアルバムは大丈夫だ”と思いました。
椎名 「『NANANA』は元々お客さんを楽しませたい想いから作った曲でしたけど、“今、ツアーで一番どの曲が盛り上がってます?”と聞かれたら、『NANANA』と答えると思います。“本当に新曲なの?”っていうぐらいお客さんの盛り上がりがすごくて、ありがたいですよね。過去にライブで盛り上がってた曲、例えば『ゴーイング my 上へ』とかがあるじゃないですか。勢いが『NANANA』に負けてるんですよ。“あれっ!?”って(笑)。別に新しい曲だから=テンションが高いとかじゃなくて、グッと持ち上がる曲とそうじゃない曲があって、『NANANA』なんかは結構前者ですよね。『NANANA』はこれから先もそういうテンションでやれる曲じゃないかな」
――あと、椎名さんが書く歌詞って、“現状打破”だなと。そこが椎名さんの核だと改めて思わされました。
椎名 「それはあるかもしれないですね。立ち止まっていられないというか、同じ景色をずっと観てられない。そういう男の歌詞だなと思いますよ。飽きっぽいんですよね(笑)」
――『死が二人を分かつまでは』(M-4)なんかは恋愛とも取れますけど、同時にSURFACEのことにも思えますし。
椎名 「こういうアッパーな曲で“絆”みたいなものはなかなか描かないので、面白いかなと。アップテンポの曲が多いと詞の世界観が似通ってくるから、ちょっと角度を変えたかったんですよね。今では『NANANA』と『死が二人を分かつまでは』が、人気を二分してますね」
――椎名さんがこういう曲を書けるようになって、何かちょっと報われたなと思うところもあります。SURFACEが復活してライブができただけでも尊いことですけど、作品ができてやっぱり感じることがあるというか。
椎名 「“11年ぶりのアルバムって不安だな~”と思いつつ、CDを聴いた瞬間に安心した人は多かったんじゃないかな? そういう作品ができたことに俺自身もホッとしたし、よかったなぁと思う、本当に」
――例えば、めちゃくちゃオーソドックスな曲だとしても、永谷さんがいて、ギターを弾いてくれてるだけで安心感がある。っていうことを、『ON』を聴いて感じましたね。
椎名 「ソロの方がフットワークは軽いし楽なんですけど、今言ってくれたとおり、どこかで安心してますよね。『ON』をリリースしたときに、“やっぱり永谷さんがいなきゃダメだ!”みたいな言葉も飛んできて、ソロで8年やってきたからこそ、いい意味でちょっと悔しかったですよね。大変なのはもう全然SURFACEの方が大変なんですよ? この問題児と一緒にやらなきゃいけないんだから(笑)」
永谷 「アハハハハ!(笑) それこそ中学生ぐらいからかれこれ30年ぐらいギターを弾いてて、最初はもっと自分の個性を出したいとか思ってたんですけど、歌ってる人、演奏してる人たち、スタッフ、聴いてくれる人たち…みんなのテンションが少しでも上がるようなサウンドこそが結局、自分にフィードバックされてくる。その昔、『夢の続きへ』('07)という曲を原一博さんに書いてもらったんですけど、原さんの求める演奏が全然できなくて、レコーディングで結構手こずったんですよ。だけど、僕が何気なくギターを弾いてると、椎名くんから“こういうフリーなカッティングはすごく上手いんだよねって原さんが言ってたよ”って聞いて。今回は、そういう自分を余すことなく収められたなと思ったし、椎名くんの歌に関しても、デモテープの段階からいつも以上に気合い全開で、ギターを録るための仮歌も、疲れてクッタクタな状態でも全力でフェイクする(笑)。それに合わせて全部ギターも録ったんで」
椎名 「デモテープの歌に元気がなかったら元気がないギターになっちゃうし、最終的に“これぐらい俺はうるさくなると思うよ”っていうラインが見えるぐらいのものを仮歌でも歌っておいた方が、ギターも入れやすいだろうと」
永谷 「いやぁ、それは本当に助かりましたね」
『僕たちの声』は、今まで待っててくれたお客さんに対しての
ラブレターだと思ってます
――このアルバムの最後は『僕たちの声』(M-11)で、まさに再始動のタイミングを思わせる内容ですけど、今ツアーに来てくれているお客さんをはじめ、SURFACEの音楽を愛してくれている人たちへの感謝の気持ちを感じます。
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椎名 「『僕たちの声』は、今まで待っててくれたお客さんに対してのラブレターだと思ってます。’17年に本当に再始動することが決まって、その年末には発表しましたけど、その頃にリハビリ程度に作った最初の曲が『僕たちの声』なんですよね。それが2年越しでアルバムに収録されて、しかもそれが最後に入ってて、なおかつラブレターになってるって、何かよくできたエピソードだなって」
――最初に作って、最後に入って、しかも一番遠くまで=未来まで歌ってる。
永谷 「今回は本当に2人とも全力で、全ての曲に思い入れがあって、表題曲もなかなか決められなかったんですけど、曲順に関しては、(マネージャーの)斉藤さんが考えてくれた案を聴いた椎名くんから、“斉藤さんの案、すごくいいんだよね”って言われて。僕も聴いてみて、“いいですね! これにしませんか?”っていう(笑)。人任せじゃないんですけど、この曲を最後に持ってくる何とも言えないバランス感は、僕たちだけでは思いつかなかった」
椎名 「そうだね。最初は『僕たちの声』は1曲目で考えてたんだけど、どうもハマらないなって悩んでたんで」
――これからはまたお互いのソロと、SURFACEで自分を超えていかなきゃいけない。人生の折り返し地点を過ぎて、またこんな挑戦をするタイミングが来るなんてね。
椎名 「40代で20代でデビューしたときと変わらないモチベーションでできることはよかったですけど、このアルバムを出してツアーをやってる自分たちが、これほどヒーヒー言うことになるとは思ってもみなかったですけどね(笑)」
永谷 「後ろにいるメンバーがみんな若いんで、鞭打たれてます(笑)。椎名くんのMCをぶった切って、シーケンスが“バーン!”ってスタートしたりして(笑)」
――ちょっとMCで休みたいのに、鳴り始めたら歌わなきゃいけない(笑)。
永谷 「本当にお客さんを常に楽しくしてくれるメンバーだし、初日のLIQUIDROOMからツアーが始まって、セットリストもちょこちょこ変えながらブラッシュアップしてるところですけど、11年前にBIGCATに観に来てくれたお客さんが、“あの頃より今の方がよかった!”と思えるように、あとはもう単純に、“今日はすごく楽しかった!”と思ってもらえるようなライブがしたいですね。それを実現するために、暑さにも負けず、皆さんの前では高らかに声を上げて楽しませたいと思ってるので、ぜひライブに来てほしいです。あとは今、SURFACEには新しい風が吹き始めてるのを感じるので、この風を止めないように、うまくやれたらいいなと思ってます!」
椎名 「’10年に解散して、’18年に再始動して…これまでのことが全部御膳立てされてたわけでも、作戦としてやってきたわけでもないので、本当に奇跡の瞬間にみんなが立ち会ってくれて、あれから1年が経って。今はその奇跡がだんだん当たり前になってきた時期だと思うんです。再始動したことで、アルバムが出ることも、ツアーをやることも想定の範囲内になりかけてるんですけど、この当たり前が一番怖くて。再始動のときにあれだけ集まってくれた人たちが、どこに消えたのかまたいなくなるわけですよ(笑)。だから、少しでも観たいと思った人は遠慮なくツアーに来てほしいし、CDをまだ手に取ってない人もいっぱいいると思うので、なるべく多くの人たちに食わず嫌い聴かず嫌いではなく一度聴いてほしい。そういう意味では、SURFACEはまだまだ新人気分でいるというか、新たに生まれ変わったと思ってるので。21年やってきたキャリアの中堅どころとは思わずに、まずは今回のツアーで、この新人バンドがどれほどのものなのか、ぜひ体感してほしいなと思います!」
Text by 奥“ボウイ”昌史