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ソロ最高傑作『MY LIFE IS MY LIFE』にコロチキの『さぁ』騒動
SURFACE再結成の行方までをとことんぶっちゃける!(笑)
椎名慶治インタビュー&動画コメント
諦めが生んだ“俺は俺でしかない”決意表明 ソロ最高傑作『MY LIFE IS MY LIFE』にコロチキの『さぁ』騒動 SURFACE再結成の行方までをとことんぶっちゃける!(笑) 椎名慶治インタビュー&動画コメント
「いやぁ~もう“何が起こるか分かんないね”っていう言葉を、多分100回ぐらい言ってますよ(笑)」と本人が漏らすのも納得か。昨年、『キングオブコント2015』で優勝したお笑いコンビ・コロコロチキチキペッパーズが、その決勝ネタでSURFACEの『さぁ』(‘98)を使用し、SNSを大いに沸かせたまさかの大騒動も記憶に新しい(笑)、椎名慶治の3rdアルバム『MY LIFE IS MY LIFE』が届いた。’10年のSURFACE解散直後にスタートさせたソロ活動5周年イヤー真っ只中に制作された3年ぶりのフルアルバムとなる同作は、自身が築いたSURFACEという大きなキャリアに鼓舞され翻弄され続けた時代をブレイクスルーし、“諦め”という名の覚悟が自身の個性と才能をフルドライブさせた最高傑作と言える1枚だ。フォロワーであるUNISON SQUARE GARDENの田淵智也(b)のペンによる『人生スパイス–go for broke-』のゴージャスな再録ほか、この3年の間に生まれた真骨頂と深化の応酬は、この歌い手の音楽人生が再び音を立てて動き出したことを証明してくれている。“俺は俺だよ!”…1stソロライブ『RABBIT-MAN』(‘11)の最後のMCで発せられた自身の言葉に長い旅を経て帰還した椎名慶治に、コロチキの『さぁ』騒動から衝撃のSURFACE再結成の行方まで(!?)、とことん語ってもらったインタビュー。いや~こんなにタブーがない人、いないです(笑)。
俺が若いヤツらを研究して吸収しようとしても
変わらない気がしたんですよね
もう“俺は俺だなぁ”ってすごく感じてしまった
――’16年も早々に3rdアルバム『MY LIFE IS MY LIFE』がリリースされましたけど、そのキャンペーンで飛び回ってる中、キャリア18年のアーティストが新幹線で寝過ごし、ラジオの生出演に間に合わないという事件が(笑)。
「でもそれは、みんながそれぞれ素晴らしいから。その個性を貰おうとしたところで、それはその人の個性=パクリだから、そんなの要らないなぁって。だからこそ、“自分の中にあるものって何なんだろう?”って模索した期間が今回はありましたね。’14年に(ソロ以降の楽曲のみで構成した)『HENSEIKI』っていうコンセプトライブをやって、そのときに作ったのが『フラストレーションNo.5』(M-5)。その後、ミニアルバム『I & key EN II』(‘14)で2本のツアーをやったんですけど、そこで『キミノモンスター☆』(M-6)と『シャクシャク』(M-10)が生まれた。この3曲はライブサウンドだったりロックな部分が俺っぽい。じゃあそれ以外でとなると、まずバラードが絶対的に足りてないんで、『言いたくて言えなかった』(M-3)と『絵空事に』(M-8)を作って。それでちょっと肩の荷が降りたかな。あとは、いつも完成してからタイトルを付けてたせいでギリギリまで(仮)で告知していたアルバムタイトルを、今回はもうちょっと事前に、ビシッと出していきたいのもあって。今の時代に良くも悪くも流されるわけでもなく結局は“自分は自分”という意味と、逆に言えば“もう、俺は俺だよ! 文句あるか!!”っていう開き直りと(笑)。どっちの意味でも『MY LIFE IS MY LIFE』がいいんじゃないかなって提案して。だから、どの曲も俯瞰で見て“椎名っぽいかどうか”が判断基準というか」
――特に『S』の頃は、インタビューしてても分かるぐらい身も心も憔悴し切ってる状態でしたもんね(笑)。バイオリズムで言ったら、『S』は下がり切ってるときに何とか踏ん張って作ったようなアルバム。『MY LIFE IS MY LIFE』は逆に、上がっていく中で作られたアルバムだなぁって、聴いていてすごく思います。
「名前までハッキリ覚えてないことの方が多いですよね? 『MY LIFE IS MY LIFE』(M-7)と『絵空事に』の歌詞は、SURFACEの1stから3rdアルバムまで一緒に書いて、『I & key EN II』(‘14)で久々に参加してもらった、俺の小学校1年生からの付き合いの野口圭と共作して。『絵空事に』は自分でも、いい歌詞、いい曲になったなぁと」
――タイトル曲の『MY LIFE IS MY LIFE』もね、それこそさっき言った“開き直り”であったり、開き直りからくる“覚悟”であったり。“まだ終わらせない”とか“まだ消せやしない”っていう執念みたいなフレーズって、やっぱり自分に今エネルギーがないと言えないと思うんで。
「録り方は変わりましたね、何曲もオケが間に合わなかったせいで(笑)。『キミノモンスター☆』(M-6)も『MY LIFE IS MY LIFE』もそうだったし、変えたくて変えたわけじゃないけど、変えざるを得なかった。アレンジから何から全部完成してる曲にボーカルを乗せると、その音圧に負けないように、ある意味“がなって”歌う。今回はその音圧が足りない時点で歌ってるから、どんなにうるさい曲でも少しテンションが落ち着いてるというか、スーッと歌えてるのが功を奏したのかもしれない(笑)」
「そうですね。ツアーの本数が2桁を超えたのは、ソロになってから初めてなんで。このアルバムの曲をやるだけでライブのバランスはかなり取れちゃうんで、そこにいかに昔の曲を、SURFACEの曲をやるの? やらないの?っていう。あんまりSURFACEばっかりやってるとお客さんに怒られるんで(笑)。あと、『MY LIFE IS MY LIFE』は音数を敢えて増やしてるところもあるんで生演奏だけでは絶対に再現出来ないから、初めて同期も使おうかと。俺の声がコーラスで出たり、吹いてもないホーンが鳴ったりする(笑)、SURFACEの頃のシステムでやろうかなぁと思ってます。それも俺は俺だし、SURFACEも俺なんで。いつもみたいに元々鳴ってる音を削ぎ落としてリアレンジしなくていいんで、どっちかって言うと忠実に『MY LIFE IS MY LIFE』の世界を楽しんでもらおうみたいなところはありますね。あと、2月14日(日)の大阪公演には、コロチキが来ますよ!(笑)」
Album 『MY LIFE IS MY LIFE』 発売中 3000円(税別) High Wind HWCL-0007
<収録曲> 01. HIGH & HIGH 02. 人生スパイス-go for broke-(Horn Mix) 03. 言いたくて言えなかった 04. ボクのアトラクション 05. フラストレーションNo.5 06. キミノモンスター☆ 07. MY LIFE IS MY LIFE 08. 絵空事に 09. ささくれ 10. ウェザーリポート 11. シャクシャク
Profile
しいな・よしはる…’75年12月30日生まれ。SURFACEのボーカルとして、’98年にシングル『それじゃあバイバイ』でデビュー。親しみやすいメロディと独特の歌詞、印象的なアレンジが融合したオリジナリティに溢れるサウンドが支持を集め、『ショムニ』『お水の花道』等の人気ドラマをはじめ、『守って守護月天!』『D.Gray-man』『NARUTO』等の人気アニメまで、幅広いジャンルのテーマソングを手掛ける。SURFACEとして、シングル21枚、オリジナルアルバム6枚をリリース。’10年6月13日の東京国際フォーラム・ホールA公演にて解散。惜しまれながらもSURFACEの12年の活動に終止符を打つ。バンド解散後、’10年11月に1stミニアルバム『I』でソロデビュー、’11年6月リリースの1stアルバム『RABBIT-MAN』にてソロ本格始動。今年の1月6日には、最新作となる3rdアルバム『MY LIFE IS MY LIFE』をリリースした。
「椎名さんに初めて取材したのは、結果的にSURFACEのラストアルバムとなった『Invitation No.6』(‘08)。え、もうそんな前!? こわいよー! 時が経つの早いよー!(笑) 以降は、全アルバムにカバー盤『Phase』、ミニアルバム『I & key EN』のⅠとⅡとガッツリとソロの歩みを聞いてきましたが、紛れもなく今作『MY LIFE IS MY LIFE』が最高傑作だと思います。SURFACEという大きなキャリアを起点に、椎名さんがある意味引き継いでいる特有のサウンドは、変わらないために変わり続け、今が一番イイ状態。椎名さんのオイシイとこ出てるわ~。そういった音楽人生の紆余曲折が分かるのも、こうやって毎回インタビューさせてもらってるからですし、毎回椎名さんが腹を割って話してくれるから。こっちが心配するぐらいに(笑)。1stアルバム『RABBIT-MAN』(‘11)の取材時からSURFACEへの未練を微塵も隠さないのは衝撃だったなぁ…今回の再結成のくだりもすごいけど(笑)。こういうガチンコの関係を築けてきたのは、書き手としては本当に光栄ですね。そして、コロチキのことといい、この追い風が継続することは、これだけ載せてもまだ載せられない様々な話からも(笑)間違いないです。椎名さんの今後に期待してください!」