SURFACEのボーカルとして、’98年にシングル『それじゃあバイバイ』でデビュー。‘13年~14年にかけて駆け抜けた15周年のアニバーサリーイヤーを、SURFACEの解散発表以来となる東京・恵比寿LIQUIDROMにて、ソロ楽曲だけで構成された初のライブ『HENSEIKI』でケリを付けた椎名慶治。そんな彼がSURFACEの大ヒット1stアルバム『Phase』を丸ごとセルフカバーした前代未聞の前作を経て、1年10ヵ月ぶりにオリジナル作としてリリースしたのが、『I & key EN Ⅱ』(アイエンキエンⅡ)だ。本作はその名の通り’12年に発表されたミニアルバムの続編であり、I & key EN=合縁奇縁、愛縁機縁=“人と人との不思議な巡り合わせの縁”という意味合いさながら、山口寛雄、友森昭一、磯貝サイモンらおなじみのメンツに加え、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也(b)、新井弘毅(ex.serial TV drama)、高橋まこと(ex.BOφWY)、SURFACE時代からの旧友でもある作詞家・野口圭etcと、幅広い世代のクリエイターが参加。彼が今までに出会った音楽×人によって形成された現在を詰め込んだ1枚となっている。揺れ動く感情の中で、自身と、そして過去=SURFACEと対峙するインタビュー。
「実質、椎名慶治個人名義ではないところから数えての15年なんで、何をやるのが一番いいんだろう?っていうことを模索して、結局SURFACEのセルフカバーに行き着いたんですけど、だからこそ次の一手はどうしようか慎重になるところがあって。そのときに(マネージャーの)斉藤からの提案もあって、UNISON SQUARE GARDENの田淵(b)に楽曲をお願いしてみようかと。イヤラしいけど売名行為にもなるだろうし、あと俺と田淵の絆みたいなものって、本当にあるから。だから田淵に曲をお願いするところから、この作品が始まったという」
「ホントにその通りになったなぁと思うし(苦笑)、今回は椎名慶治名義の新作を出すにあたっての、言わば“リハビリ”ですよね。まぁ無難ですけどいい曲ですね、みたいなことは出来るだろうけど、そうじゃないところからやってみようっていうので、田淵に白羽の矢が立ったんで。『人生スパイス -go for broke-』(M-2)は、言うなれば自分でも作りそうな曲ですけど、それを田淵が作ってくれたんだっていうところから、今作はやっぱり始まってるのかな」
――僕もあの曲を聴いたときに、“分かってんな”って(笑)。椎名さんを、SURFACEを理解してる曲だなって。
「モロですよね!?(笑) それも直しなしの一発でこれが来たんで、すごいなぁと」
――そもそも面識はあったものの、『Phase』リリース時のトークライブで距離が縮まった感じですよね?
「そうですそうです、対バンライブで一度。ユニゾンとSURFACEと椿屋四重奏かな。強烈なライブでしたからね。'10年にSURFACEが解散する、ホント数ヵ月前にやって。そこはちょっと挨拶して終わりだったんですけど、その後にさっきの『Phase』の対談があって。元々SURFACEの『Phase』が好きだったという話から、じゃあ今度一緒にやろうよっていうところで、今回につながって。不思議と全部つながっていくっていう」
――ちゃんと口約束を形にしたパターンですよね。
「なかなかないですよ。最初は“絶対にコイツは人見知りだな、根暗だな”とかそういうイメージが強かったんですけど(笑)、“音楽が大好きだ”っていうのは滲み出てましたね」
――今やSURFACEチルドレン的な人たちが、一線でやる年代になってきてますもんね。
「素直に嬉しいと思うし、自分よりもSURFACEを知っているところもあるので。“そっか、SURFACEってそういうところあるよね”って気付かされたり。だから逆に、ちょっと反省もしますよね。SURFACEを続けていたら、もしかしたらもっとこうなっていたかもしれないなとか、いろいろと自分じゃ発見出来なかったことを、後輩から言われて気付くことはありますね、最近」
“ここがSURFACEに頼っていたところか”と
――実際のレコーディング作業はどうでした?
「今だとやっぱりデスクトップ・ミュージックで、自宅で打ち込みで作ってボーカルだけ録って終わり、みたいなレコーディングが多いですけど、普通にドラムとベースをせーのでスタジオで録ったり、何だかすごく懐かしい気分になりましたね。元serial TV dramaの新井(弘毅)くんがアレンジャーで、田淵も楽曲提供することはあっても、ベースまで弾くことはあんまりないんじゃないんですか? しかもコーラスでも参加してるし。『人生スパイス -go for broke-』ではイントロから2人で歌ってますから」
――なるほど。それこそ前作『Phase』なんかは逆に。
「ミニマムで。やっぱり『Phase』を(アレンジャーの)オダクラユウとほぼ2人で作ったあの経験があったからこそ、どっちの振り幅にも行ける。結局、生だろうが打ち込みだろうがいいものはいいし、それが出来ないんじゃプロじゃない。今回は生でやりましたけど、次回はもしかしたら全部打ち込みかもしれないし」
――デジタルも生も両方行けるのは、椎名さんの持ち味かもしれないですね。
「そうなったのかもしれないですね。元々デスクトップ・ミュージックが大好きな人間が隣にいたんで、2人組のときにね(笑)。そういう人間が傍にいたからやっぱり耳も慣れているし。だから全然違和感がないですね」
――あと、15周年の流れの中でも、椎名慶治名義の楽曲だけで構成されたライブ『HENSEIKI』で、1つの区切りを付けたからこそというのも、やっぱりありますよね?
「間違いなくありますね。でも、やってみて苦しかったですよ。SURFACEとは違うことがやりたくて、SURFACEっぽくない曲も作ってきている。でも、いざ個人名義の曲だけでやろうと思ったら、盛り上がりどころが分からなくなっちゃって。“ここがSURFACEに頼っていたところか”と。別に甘えているつもりはないけど、例えば『なにしてんの』(‘99)みたいな曲は、“SURFACEで作ったからもういいじゃん”と思っていたがためにソロにはない。そういう意味では、やっぱり素晴らしいユニットだったんだなぁって思いますけど(苦笑)。イントロが鳴っただけでお客さんがワァ~ッてなる曲は、SURFACEには敵わないところがいっぱいあるし。もし今だったら、田淵が作った『人生スパイス -go for broke-』で補えたかもしれないし、『I & key EN II』があれば『HENSEIKI』ももっとよくなったのになぁっていうのは、ちょっとありますね、俺の中で」
――ブログを見ておもしろかったのが、『HENSEIKI』のライブ前に永谷(喬夫)さん(ex.SURFACE)の実家に行ったっていうアレ(笑)。
「アイツの実家が東京の北千住で、自分もサポートをしてもらってる友森昭一さんとかがたまたまそこでライブをやると。その日はちょうど母の日だったんで、じゃあ観に行くついでに永谷のお母さんにカーネーションでもあげようかと思ったら、たまたま永谷がいて(笑)。“何しに来たの?”っていうところから始まって(笑)、おかしなことになったなぁ…なんて思いながら、でもどこか少し、ほどけましたけどね、心が。向こうもそうだったと思います。ちょっと意固地になってたところがあるので、2人共ね」
――歴代のインタビューで載せたり載せられなかったりするエピソードも、意固地関連が多いですもんね(笑)。
「はい(笑)。けどその日は、2人で全然素直に話してましたね。ホント、ヘンな縁でしたけど。今思えば、これも『I & key EN II』の1つのきっかけだったかもしれないですね」
ミニアルバムなのにフルアルバム以上に人が関わっている
――とは言え、今回の『I & key EN II』は、まさかⅡが出るとは思っていなかった作品ですけど(笑)。
「でしょうね(笑)。『I & key EN』(‘12)は、俺とリスナーをつないだ絆という意味での“合縁奇縁”でしたけど、今回は田淵や俺の小学校1年生からの腐れ縁でSURFACEの初期の作詞家だった野口圭だったり、ずっと俺の右腕みたいに手伝ってくれた山口寛雄だったり友森昭一、磯貝サイモン、ZERO、オダクラユウ…自分の知り合いが今まで以上に関わってる。ミニアルバムなのにフルアルバム以上に人が関わっていて、“これも縁だよなぁ、絆だよなぁ。前に合縁奇縁って言葉は使っちゃったしなぁ…じゃあⅡにしたらどうだろう?”みたいな(笑)。だから、今後またいろんな人が関わるような作品になったら、『I & key EN Ⅲ』も当然あり得る。じゃあ、それをいつ出すのがオイシイのか? おもしろいのか?っていうタイミングも出てくるでしょうし」
――そうですよね。例えば、『I & key EN』縛りのライブも出来るようになったり。
「そうです! それ言っちゃったらダメです!(笑)」
(一同爆笑)
――そっか(笑)。
「そういうことです(笑)」
――まぁ『I & key EN』ベストみたいなものも出来るし。
「それも言っちゃダメですよ! ホントにそうしようと思ってたんで(笑)」
(一同爆笑)
――当時も『I & key EN』はソロ作の中で一番気に入ってるという発言がありましたけど、その第2弾ともなると。
「やっぱりこの作品を気に入ってたってことですよね。そのときはポンッと“『I & key EN II』でいいんじゃない?”って言いましたけど、自分の中で“合縁奇縁”っていう言葉は意外と大事だったので、結果としてここでそれを付けたということは、多分自信があったからこそだと思うので。今思えば、ですけどね」
――しかもⅠと同じく、よくよく考えたらバラードがない、みたいな。
「タイトルが『I & key EN II』になったのは制作が折り返す前だったので、そのときに“このアルバムもバラードは要らないな”って。あと、前回はMay'nちゃんと2人でやったユニットAstronautsの『Giant Step』をカバーしたんで、今回はラッパーのZEROと組んだZERO vs 417の『カタムスビ』をカバーして。1曲セルフカバーでバラードがない、同じく7曲っていうところは、途中から意識しましたね」
――よく言えば導かれてっていう感じもしますけど、悪く言えば行き当たりばったりな(笑)。
「そうです!(笑) こじつけで上手く統一感は出せたかなと(笑)」
中学校1年生のときの自分に言いたいですもん
“何年後かにBOØWYの高橋まことと一緒に仕事するからな!”って(笑)
――さっき名前が出た野口圭さんは、『Phase』のときのやりとりについても前回のインタビューで聞きましたけど、それこそ『Phase』があったからこその今回というかね。
「そうなんですよ。いつもはライブが終わった後に関係者としてロビーで乾杯して、“お疲れ~”ぐらいなだけだったのに、『HENSEIKI』のときに初めて野口が楽屋に顔を出して、10何年ぶりにゆっくり世間話をして、“久々に一緒に何かやろうよ”って。ホントに“合縁奇縁”なんですけど、楽屋で会ってイスに座って話すまで野口に詞を書かせる発想はなかったので、不思議な縁でした」
――それにしても、小学校1年からの友人が、同じ音楽業界にいるってすごいですね。
「小学校1年生で、最初の会話で“キン肉マンの13巻が出たよ”って俺が言ったらしいです(笑)」
――アハハハハ!(笑)
「同級生はそれぞれ社会人になってますけど、クレジットが横並びになるとかないですよね? やっぱり他の人には歌わせられないものを書きたいって言われて、仕上がってきた歌詞を見たら“生の牡蠣”って書いてあって(笑)」
――『歪』(M-3)の“生の牡蠣に 歯をあてるみたいに 君のこと愛したいんだ”の2行は、取材用のメモにも“すごいな”って書いてる(笑)。さっき行き当たりばったりだって言いましたけど、椎名さんなら何とか乗りこなすんじゃないか?って思わせるんでしょうね。取材もボール=質問さえ投げりゃ何とかなるわ、めっちゃ喋るしって(笑)。
「アハハハハ!(笑) みんな俺にそれをするんですよ! 『I & key EN II』の試聴会をやったんですけど、お客さんも120人入れて、配信までしたんですよ。それも1週間ぐらい前に急に言われて、アルバムの曲タイトルだけ書いてあるような台本を渡されて生放送(笑)。まぁ、なるべく期待には応えたいんですけどね(笑)」
――『コンティニュー?』(M-4)には高橋まこと(ex.BOØWY)さんが参加されていますが、元々の出会いは?
「これがまたおもしろくて、布袋寅泰さんのファンクラブイベントのサポートドラムが高橋まことさんだったんですね。それを俺が観に行って、楽屋で初めましてってご挨拶をして。そういう風にご挨拶する元々のきっかけが、『I & key EN』のツアーをマネージャーさんが観に来てくれて、“すごいボーカリストがいた”ってまことさんに言ってくれたみたいで、“じゃあ1回紹介しろ”っていうことで俺が挨拶に行ったんです。そこから、高橋まことさんの復興支援ライブにボーカリストとして呼ばれてBOØWYの曲を歌ったり。だから出会いが『I & key EN』なんですよ。『I & key EN』で出会って、『I & key EN II』を一緒に作るっていう」
――キレイだなぁ~(笑)。ゆえに『コンティニュー?』は心なしかビート感がBOØWY。
「いやいや、心なしじゃないです! 完全にBOØWY!(笑)」
(一同笑)
「曲をある程度覚えてもらって、あとはフィーリングで自由にやってくださいって伝えたら、“この曲、無意識に叩いたら『季節が君だけを変える』('87)になっちゃうけどいいのかよ”って言われて、“むしろありがたいです!”って(笑)。俺、昔からBOØWYが好きで、でもBOØWYってトリガーというか打ち込みの曲が多いんです。けど、まことさんは実際めっちゃ上手いんですよ。ライブで上手いのは分かるんですけど、レコーディングもすごくて、正直60歳でこんなに叩けるんだって(笑)、ちょっとビックリしました。それはエンジニアも驚いてましたね。すごくいい音だし、上手いし、いや~素晴らしかったです。中学校1年生のときの自分に言いたいですもん。“お前、何年後かにBOØWYの高橋まことと一緒に仕事するからな!”って(笑)。BOØWYの曲でギターの練習してましたからね」
――またこの歌詞がね、サラリーマンの悲哀を描かせたらやっぱり上手いなぁって。これも『I'm a サラリーマン』(『I & key EN』収録)の続編的というか。
「そうです! 『I'm a サラリーマン』が入ってるのも『I & key EN』なんで、『I & key EN II』ってタイトルを決めたときから、そういうイヤラシい計算がいっぱい(笑)」
――途中からやったのにこの帳尻合わせ(笑)。“つながる”というか“つなげる”ところもあるかもしれないですね。
「そういう力は何か持ってるみたいですね。つなげてしまう力みたいなものは」
しかし濃いですね。ミニアルバムなのにすごく濃い(笑)
――『悲しきマリオネット』(M-5)は(磯貝)サイモンくんとの鉄板のコンビネーションで。サイモンくんにインタビューしたときも、椎名さんに歌詞を頼んだエピソードが出てきて、歌詞のアップもめちゃくちゃ早いしクオリティが高いって言ってましたよ。
「あぁ~そうですか。ありがたいですね。アイツ、俺の前でそんなこと一言も言ってませんけど」
――お互い様でしょ!(笑) これは歌詞がおもしろいですよね。浮気において、男側がすがる目線。
「リリックだけでもおもしろいものにしたかったし、サイモンにもそれを言われて。歌詞カードを見なくてもちゃんと聴き取れる言葉で書いて欲しいという発注もあったし、物語を聴いて笑えるような、ホントに浮気している人が聴いたらドキッとするような歌詞にしたいなと。しかもアルバムの中で異質というか、混ざりたくないと言われて」
――結構明確なオーダーがあるんですね。
「ワガママ言ってんじゃねぇぞ!みたいな(笑)。特別扱いはしませんでしたけど、並べて聴いてみたときにやっぱり印象深い、何かすごく残る楽曲だなぁと思いました」
――『komorebi』は(M-6)は劇団マツモトカズミの『結婚の偏差値Ⅱ DEAD OR ALIVE』のテーマソングで。
「ドラッグストアのマツモトキヨシの創業者のお孫さんで、政治家でもあった松本和巳さんが劇団をやっていて、なおかつSURFACEが大好きで。共通の知り合いがセッティングしてくれて食事会があったときに、“僕はSURFACEも椎名くんのソロもすごい好きで聴いていて”って見せられたiPodに、結構マニアックな曲も入っていて、“あ、この人はホントに聴いてるんだなぁ”って。その後、酔った勢いか社交辞令か“曲を書いてくれないか?”って言われて、俺も酒の席なんで“いいっすよ~”なんて軽はずみに言ったら、後日すげぇ詳細が届いて、マジか!と(笑)。ハッキリ言っちゃいますけど“SURFACEの『なにしてんの』みたいなテイストの曲がどうしても欲しいんだ”とまで言われて(笑)。それを縛りとして作ったのが『komorebi』っていう」
――筋書きに合うような曲を、ぐらいかと思えば、もう2歩3歩踏み込んだオーダーですね。
「出来ればこのワードを入れて欲しいっていう希望が10個ぐらいあったんですけど、一発で書き上げてデモテープを送ったら、“もう全然OKです!”って。向こうの痒いところに手が届く歌詞と曲だったし、俺も舞台に関係なくアルバムに入れたいと思える曲だったので。このアルバムの中でほっこり出来る、唯一の瞬間というか(笑)」
――そして、最後はZERO vs 417の『カタムスビ -SHIINA Ver.-』(M-7)のセルフカバーと。当時は、コラボで1曲ではなく、アルバムまで作ったのがすごいなと思っていました。
「“ZEROと作品を出すんだったら、ちょっと本気でやっていいか?”ってワガママを言って。『カタムスビ』は自分の中でも自信があった曲だったし、すごく納得出来たアルバムだったので、ZEROにはちゃんと貸しが出来たんじゃないかな? 先輩として顔は立てられたと思いますけど」
――逆に椎名さんにZEROをフックアップしようと思わせるものは何なんでしょうね。
「才能はありますね。今はちょっと裏方に回ってやっていますけど、結構軌道に乗ってきているらしいので。何がきっかけかは分からないですけど、作品を出した後に忙しくなったという事実があるなら、無駄ではなかったんじゃないかと思いますね。しかし濃いですね。ミニアルバムなのにすごく濃い(笑)」
いつの間にかSURFACEよりも
個人名義の方が支持されてきているのを感じている
――オリジナル作品としてはそれこそ約2年ぶりですけど、挑んでみてどうでした?
「いつの間にかSURFACEよりも個人名義の方が支持されてきているのを感じているんです。結局、セールスも『Phase』と自分のオリジナル作品とが変わらなかった。そこで、今の俺にSURFACEを1人でやって欲しいわけじゃないんだなって、気付いちゃったので。やっぱり自分が一番楽しんで納得したものを出したいし、そういう意味で今回はいろんな人と関わって、すごく納得して、楽しいアルバムになったなぁと思う。SURFACEに下手にしがみつくつもりはなかったんですけど、こっちはすごく迷ってたけど、『HENSEIKI』をやったからこそ見えてきたものもあって。お客さんは意外とみんな楽しんでるなぁって思いましたし。なので、今作を作って“俺がやるべきこと、俺がやらなきゃいけないホームに戻ってきたなぁ”って素直に思いましたね」
――SURFACEのカウンターとしての椎名慶治じゃなくて、ちゃんと自分の道が出来た。そう考えたら、次の展開はどうなるのかなぁって。
「そこなんですよ。これまた書けない話なんですけど…」
~今後に控えるビッグプロジェクトの話。書けません(笑)~
――まぁでも、絶対にプラスに作用しますよね。
「もうプラス以上の、プラスだけじゃ済まない何かがあるので」
――年末には恒例のバースデーライブがあって、年明け以降は。
「それがおもしろくて。1月4日(日)、『I & key EN II』男祭りです(笑)。スタッフも男、サポートも男、来るのも男。女がいない。大変なことになりそうな(笑)」
――ファンクラブではやってましたけど、公では初ですよね。
「初です。どうしていいか分かんないっす(笑)。ただ、12月30日のたったの5日後なので、そのライブをもうちょっとミニマムにして、勢いがあるところだけを抜き出したライブになるんじゃないかな?」
――2014年を振り返ってどうでした?
「ちょっと…何も出来てない気がしますけどね」
――アハハハハ!(笑) 結局。
「相変わらすバタバタしてるので、そういう意味では幸せだなぁとは思いますけどね。自分で全部を把握出来ないと言えるほどの情報量が、やらなきゃいけないことがある幸せは、今年も感じられたんで。そういう意味では、“2015年も何かとバタバタして終わっちゃったね”って言えるような年になればいいなと思いますね」
――そうこうしてる間に、2015年がソロ5周年になるのかな?
「そうですね。ということは、2015年の11月から5周年の始まりですね。5周年になったら、ベスト出せとかうんぬんってなるじゃないですか! だったらベストを出す前にオリジナルアルバムを出しておきたいってなるんで、考えてみたらうんざりするっていう(笑)」
――そうね(笑)。また忙しくなる。
「というわけで、2015年も頑張ります!(笑)」
Text by 奥“ボウイ”昌史