YesもNoも、時代も歌謡も、ロックもロマンも背負い込んで 音楽シーンの道なき道を行く中田裕二の理想郷に光を照らせ―― 会心の3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』 撮り下ろしインタビュー&動画コメントが到着!
(2/3)
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
こういうときこそ、いろんなことに理想を見なきゃいけない
――今みたいな自分の価値観とか、時代の空気とか、音楽シーンの流れがあって、じゃあ実際にどんな音楽を作りますかと。より自分のリミッターを外して作ったとは思うけど。
「何だろうなぁ。やっぱその…これは1stでも掲げてるんだけど、ロマンなんですよね、結局(笑)。今こそね」
――アハハ!(笑) いや、でもホントにね、ロマンはないとダメだよね。
「ロマンって言葉にすればするほど恥ずかしいですけどね(笑)。でも多分それがね、今はないがしろにされてる。現実がとにかく襲いかかってくるから、理想が根負けしちゃう感じもあって。どこかでちょっと惰性でニヒリズムみたいなものが蔓延してる。だから“どうせそうでしょ? 結局こうじゃん”みたいな考え方になるんですよ」
――何でもかんでも分析してね。
「そうそう。それに陥ってしまってる。でもそれじゃやっぱ何にも始まらないし、こういうときこそ、いろんなことに理想を見なきゃいけないと思うんですよね。特に大人が。大人が見ない限りは子供は見ないんで。いろんな事象をドラマティックに捉える、その想像力というか。俺、曲の結末は全部聴き手が決めるものだと思ってるから、解決しない曲ばっかりなんですよ。それはやっぱり聴いてる人に決着を付けさせたいというか」
――何かいいね、バトンを渡すじゃないけど。
「日々、その最後の部分の答えを出すプロセスを考えてる、うん」
“抱く”って今言わないよね?(笑)
――そんな想いの中で曲を書いていって、やっぱ解放されたよね。しょっぱなの『TERMINAL』(M-1)といい、“力ずくで抱いた”という歌詞で幕を開けるアルバムって(笑)。
「アハハハハ!(笑) これはあんまりにもアレかなぁ?と思って一旦変えたこともあったんですけど、そうすることがものスゴく情けない気がしてきて、“いや、今これを言うべきだ”って大胆に戻したんですけど(笑)。“抱く”って今言わないよね?(笑) ヤッたとか、SEXとか」
――そういう風に目を落とすと、“抱いた”って何か情緒あるよね。
「そうそう。“抱いた”だと、女の人もちょっと大事にされている感がある。ただのオスメスのやり取りじゃないのをイメージ出来る」
――あと、前作からポップミュージックにおけるパーカッションの重要性というか、機能みたいなことも言ってて。今回のアルバムはかなり意図してやってる感じはあるね。
「やりましたね。欠かせないです、パーカッション。やっぱグルーヴが生まれるし、手で叩いてるから、人がやってる肉体感がスゴく出る。当時のアレンジって研ぎ澄まされてるというか、やっぱり必要だから入れてたんだなって。そういう整合性とか必然性をめちゃくちゃ感じますね。改めて歌謡曲の音楽的クオリティは高い」
――そして『MIDNIGHT FLYER』(M-2)を聴き、今この時代に“keep on shinin’”って歌えるヤツはいねぇと(笑)。
「アハハハハ!(笑) ホントに。久保田(利伸)さんでも今歌わない(笑)」
――“keep on shinin' ”って、自分の細胞が求めてるのに気付かされるこの気持ちよさ(笑)。サビのシンセの使い方とかもそうやけど。
「完成したときにはちょっとスカッとしましたよね。何か、嬉しかった(笑)」
――MVも自ら監督して。ミックスもやって、そこにも手を出し始めたら。
「もうね、あんまやりたくないです(笑)。ミックスがスゴい押して日がなくなっちゃって、じゃあ俺やりますって。3日で編集も終わらせて」
――そこまで自分の作品に責任を持てるのも、おもしろいね。
「今回はホントに自分の手でとことんやれるとこまでやれたなぁと。そういう意味ではスゴく充実感はありますね」
あの大人の匂いがするワクワク感
――個人的に好きだったのは、今回は『彼女のレインブーツ』(M-4)。
「来た!(笑) トレンディ(笑)」
――ホントにサビなんかもう、“ザ・ベストテン”って感じがしましたよ(笑)。古き良きクオリティポップスというか。もうこの人全然ディナーショーとか出来るわ、客席を歩いて握手していく男が目に浮かぶわって(笑)。
「アハハハハ!(笑) これはねぇ、ホントにトレンディドラマの主題歌を作りたいと思って。まぁトレンディドラマ自体今存在してないっていう(笑)。あの大人の匂いがするワクワク感っていうんですかね。チャゲアスとかもそうなんですけど、幸せな気分になるなって」
――音楽もそうやし映画とかドラマとかも、時代のムードを作ってたよね。そのドラマが1つの流れを。
「またそれと主題歌がフィットしてましたよね。ズレがないというか。今ってこの主題歌いる? だったらなしの方がいいんじゃない?って。『半沢直樹』に主題歌がないとか、『あまちゃん』もインストだとか、スゴく正しいなって思いますね。壊すぐらいだったら無理矢理歌を入れなくていい。もし化粧品のCMとかにお声が掛かったら、ガッツリその世界に合わせる自信はあるんですよ。あとウィスキーね(笑)」
――あとは銀座ジュエリーマキとか、宝石枠が(笑)。
「カメリアダイヤモンドとか(笑)。ZIGGYの『Jealousy~ジェラシー~』とか、当時のCMにスゴい合ってたんですよね、うん」
久々にやってみるかなぁぐらいの感じで やったら
やっぱこうなるよなぁって(笑)
――あとヘンな話、個人的にはソロ以降で初めて椿屋をフラットに感じるアルバムというか。『プリズム』(M-7)とか『HEROINE』(M-9)は、出てしまう味を素直に出す感じがスゴくしたけどね。この辺は意識していたことなのか。
「あまり意識しなかったですね。久々にやってみるかぁぐらいの感じでやったら、やっぱこうなるよなぁって(笑)。バンドの頃よりは演奏がタイトになってきてるんで、いろんなところからハミ出していたものが整えられてきたかなぁって思いました。歌謡ロックってずっと言ってきたことが、このアルバムで1つ完結した気がします」
――言葉もね、“ユートピア”もそうだし“踊り子”も今日びなかなか聞かねぇなって(笑)。例えば、一十三十一 とかは今の時代にシティポップスを仕掛けてやってるんやけど、歌詞も敢えてキザっぽい言葉を使ったりとか。『私をスキーに連れてって』とかあの辺の時代のものをちゃんと今に吸い上げて遊ぶ。だから歌詞に“ジンジャーエール”とか“摩天楼”って出てきたり(笑)。そういうポップス辞書に載っていそうな言葉をボンボン掘り込んでいく痛快さ。今作でも先達から引き継いだ中田語録を垣間見せるというか。
「『blue morning』(M-5)の歌詞に“ブルーグレイ”って入れてるんですけど、これってスゴい昭和な色使いでいいなって思ってたら、さっき聴いてた大橋純子さんのベストに、ブルーグレイって出てきましたからね。使ってたの知らなかったんだけど、俺の血にはやっぱ組み込まれてるって(笑)。それこそ、ロマンですよね?(笑) そういう眼差しが必要だと思うんですよね」
――ロマンって大事やなぁと思った。特に男はそうというか、それがないと何か生き辛い。
「そう! 男は弱いから。今もいろんな役者さんがいますけど、例えば佐藤浩市さんとかあの世代は、役者としてロマンみたいなものを感じるんです。今の20~30代の人はスゴく奇麗な顔をしていて、確かにイケメンですよ。でも、あの時代の男たちが持っていた夢見がちな部分がないというか」
――それこそウィスキーのCMの名キャッチコピーで、“時は流れない。それは積み重なる”ってあるけど、そういう背負っていく感じを今回のアルバムではスゴく感じた。バンドもそうだし、ソロでやってきたこと、聴いてきた音楽、歌謡曲とか何から…全部を背負っていける準備が出来たアルバムというかね。
(2013年11月20日更新)
Check
Movie Comment
中田裕二がスイーツ他について 熱弁する(笑)動画コメント!
VIDEO
Release
グルーヴとロマンで独自の世界を 突き進むめくるめく3rdアルバム!
Album 『アンビヴァレンスの功罪』 発売中 3000円 NIGHT FLIGHT/RENDEZ-VOUS NFCD-0002 <収録曲> 01. TERMINAL 02. MIDNIGHT FLYER [album mix] 03. ENEMY 04. 彼女のレインブーツ 05. blue morning 06. アンビバレンス 07. プリズム 08. マイ・フェイバリット 09. HEROINE 10. ユートピア 11. 旅路 12. サンライズ
Profile
なかだ・ゆうじ…’81年生まれ、熊本県出身。'00年、仙台にて椿屋四重奏を結成。'07年のメジャーデビューを経て、歌謡曲をベースにした斬新なロックサウンドで多くの音楽ファンを獲得。'11年1 月の突然の解散発表は大きな反響を呼んだ。3.11東日本大震災の被災地/被災者に向けて作られた『ひかりのまち』を震災直後に配信リリース(収益はすべて義援金として寄付)。同年11月、ソロとして初となるアルバム 『école de romantisme』を発表。12月から翌年3月に渡っては、初の全国ツアー『tour de romantisme』を開催(追加を含む、全26公演)。'12年9月、前作からおよそ10ヵ月というインターバルで2ndアルバム『MY LITTLE IMPERIAL』をリリース。10~12月には、2度目となる全国ツアー『IMPERIAL SUITE』を開催(追加含む、全22公演)。'13年5月からは、椿屋四重奏活動時の'09年より行なっている、歌に特化したアコースティックライブプロジェクト“SONG COMPOSITE”を、2年ぶりに開催(全18公演)。9月に3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』を発表、全国ツアー『INTO THE GALAXY』を全国25ヵ所で開催する。幼少時に強く影響を受けた70~80年代の歌謡曲/ニューミュージックのメロディセンスを核に、あらゆるジャンルを貪欲に吸収した一筋縄ではいかないサウンドメイクと、様々な情景描写や人生の機微をテーマとした詞作によるソングライティングは中毒性が高く、熱心な信奉者が多数。
中田裕二 オフィシャルサイト
http://yujinakada.com/
Live
レコ発ツアーも後半戦に突入 大阪公演が間もなく開催!
『TOUR'13“INTO THE GALAXY”』【香川公演】 チケット発売中 Pコード208-024 ▼11月21日(木)18:30 DIME スタンディング4500円 デューク高松■087(822)2520 ※3歳以上は有料、3歳未満は入場不可。
Pick Up!!
【大阪公演】
チケット発売中 Pコード207-076 ▼11月22日(金)19:00 BIGCAT オールスタンディング4500円 夢番地■06(6341)3525 ※3歳未満は入場不可。3歳以上は有料。
【愛媛公演】 チケット発売中 Pコード208-025 ▼11月24日(日)17:00 松山サロンキティ スタンディング4500円 デューク松山■089(947)3535 ※3歳以上は有料、3歳未満は入場不可。【神奈川公演】 チケット発売中 Pコード207-474 ▼11月30日(土)18:00 横浜ベイホール オールスタンディング4500円 KMミュージック■045(201)9999 ※3歳以上はチケット必要。 3歳未満は入場不可。【茨城公演】 チケット発売中 Pコード207-923 ▼12月1日(日)17:00 水戸ライトハウス オールスタンディング4500円 ソーゴー東京■03(3405)9999 ※3歳未満は入場不可。 3歳以上はチケット必要。【福島公演】 チケット発売中 Pコード207-686 ▼12月6日(金)19:00 club SONIC iwaki オールスタンディング4500円 G・I・P■022(222)9999 ※3歳未満は入場不可。 3歳以上はチケット必要。【栃木公演】 チケット発売中 Pコード207-923 ▼12月8日(日)17:00 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2 オールスタンディング4500円 ソーゴー東京■03(3405)9999 ※3歳未満は入場不可。 3歳以上はチケット必要。【広島公演】 チケット発売中 Pコード207-533 ▼12月14日(土)18:00 ナミキジャンクション オールスタンディング4500円 夢番地広島■082(249)3571 ※3歳以上チケット必要、3歳未満は入場不可。【静岡公演】 チケット発売中 Pコード208-322 ▼12月15日(日)17:00 Live House 浜松 窓枠 オールスタンディング4500円 サンデーフォークプロモーション静岡■054(284)9999 ※3歳以上有料。3歳未満は入場不可。【宮城公演】 チケット発売中 Pコード207-686 ▼12月17日(火)19:00 仙台Rensa オールスタンディング4500円 G・I・P■022(222)9999 ※3歳未満は入場不可。 3歳以上はチケット必要。
チケットの購入はコチラ!
Column1
中田裕二がシーンに築いた絶対領土 『MY LITTLE IMPERIAL』! やりたい放題の2ndアルバムを 異端児にして偉才が語る 前回の撮り下ろしインタビュー
Column2
椿屋四重奏解散、3.11、 そして初のソロアルバム 『école de romantisme』を語る 撮り下ろしインタビュー!