ホーム > インタビュー&レポート > 4月2日(土)梅田AKASOより、いよいよ全国ツアーがスタート 新境地と王道入り乱れるセカイイチの2年ぶりのアルバム 『folklore』の核に迫るメンバー全員インタビューが到着!
――前アルバム『セカイイチ』(‘09)が、バンド的にも最高傑作だと思うものができて、周りからの評価も高いアルバムだったと思うんだけど、そこから2年空いたということは、ここまで辿り着くにはやっぱりある程度の時間と労力がかかったということで…改めてセカイイチにとってこの2年間は、どういう時間だったのかなと。
岩﨑慧(vo&g)「音楽をやってることに変わりはなかったし、バンド内で「誰か辞めたい人おる?」って聞いても、誰もそんな風には思わなくて。じゃあ続けましょうと。そこでレーベルを探しながらやりますか? それともDIY(=Do It Yourself)でやりますか?っていう」
――うん、今の時代だったらその選択肢はあるよね。
岩﨑「その2つとも、どちらも魅力的だった。そうこうしてるうちに話を持ってきてくれるレコード会社があって。まぁ、DIYでやるっていうのはぶっちゃけいつだってできるし、メジャーフィールドでもう1回やらしてもらえるチャンスがあるんやったら、俺は全然そっちがやりたいと。そこからずーっと曲を書きながら、ライブ廻りしながら、やってきた1年間がありましたね」
――不安とかというよりも、「もう腹は括ってるから、どういうやり方でいくか?」という感じやね。
岩﨑「そそ。そっちです。不安とかは最早ないんです(笑)。なにくそ根性というか、それをすごく持ちながらやってたと思います」
――うっちー(=中内正之・g)はどうですか?
中内「いやぁもう慧が言った通りなんですけど、その中でみんなが“辞める”という選択肢をまず持たなかったのが大きくて。前のレーベルを離れて何ヵ月間…そのときもいろんな人が手伝ってくれたんですよ。それがものすごくありがたかったし、いろんな話を聞いてくれたりして。その…やっぱりセカイイチの音楽を愛してくれてる人がいて、愛されてる音楽をずっと作ってきたっていうことを、ここで止めたくないっていうのもあったし。そうしてる間に、さっき言ったみたいにいい話がきて」
――『セカイイチ』という前アルバム以降、その良い波動というか、周りのお客さんも関係者もチカラになってくれてる感じは、傍から見ててもすごくあったなぁと。響ちゃん(=吉澤響・ds)と健ちゃん(=泉健太郎・b)は、サポートも含めてこの間いろいろな活動をしてきたと思うけど、どうでした?
吉澤「そうですね…やっぱり辞める辞めへんの話では、誰ひとり辞めるということにならなかったのはデカかった。ホンマにそれはそう思ってて、バンドを組んだときから、この4人が揃ったときからそうだったんですけど、まず大阪から東京に出て行きましょうっていうタイミングでも、誰ひとり上京するのはちょっと…っていうのがなかったんですよね。また、レーベルの契約が切れて、辞めたい人が出ても全然おかしくない状況で、そういう話にならなかったのもすごいことやし。要はみんな(バンドを)続けたくて、どう続けていくのか?っていうだけの話で。そこでチカラを貸してくれる人がいるのであれば、一緒にやりましょうっていう自然な流れでここまでやってこれたんで。不安がまったくなかったかと言われたらないことはないんですけど、まぁなるようになってきたのかなって。それは前の『セカイイチ』を出せたことが大きかったと思うし、それで応援しましょうっていう人が増えたのもデカいんで。『folklore』はそういう人に支えられてようやく出せたという感じですね」
――なるほどね。
泉「プラス、やっぱりこう…4人で出してる音は、一番初めに音を合わせたときから何かしらんけどずっと魔法がかかってるっていうのは今でも思うし。だからこそ、まだまだ全然できると思うし、もっともっとお客さんに聴いてもらいたいし、デカくなりたい。むしろその野望の方が大きいから。いろんな状況はあるけども、何より4人で出してる音が素晴らしいと思えることが最高なんで、それがみんなに広がればいいなと」
――前作のインタビュー時にはシーンのド真ん中にいこうぜというところに核の方向性を振りつつ、カウンターカルチャー的な機能も持って、という感じだったけど、改めて4人で覚悟を決めてやっていく中で、今回はこんな作品を作ろうっていう絵が、慧くんの中にはあった?
岩﨑「時間もすごくタイトだったし、はじまりはそこまで明確ではなかったんです。ただ、DTMでいじったりするのは今回は違うような気がして。音楽の本質の部分…メロディとか歌詞とか、そっちにもっと重点を置きたいなって。なんでそんなこと思ったかというと、アルバムタイトルの話にも繋がってくるんですけど、結局、歌詞とメロディ、声とかもそうなんですけど、残っていくのはそういう核というか、音楽の本質の部分だと思うんです。これだけうつろいでいく世界の中で、10年20年、いや50年100年くらい、本当に長いこと聴いてもらえるような音楽…そういう音楽って骨格の部分がしっかりした曲しか残らへんと思うし、それを目指したいというのは、ぼんやりとありましたね。それで、お父さんの好きやったバンドを、15、6歳の息子が聴いて“いいじゃん!”ってなったら最高ですよね」
――外枠の部分っていうのは流行と一緒で、当時すごくカッコよく見えても5年後に見たらダサかったりもして。時代性という意味ではそれがおもしろかったりもするけど、でも、今回はそうではないと。
岩﨑「そうですね。そういうアルバムはもう前に作ってたし。前作の『セカイイチ』はそのカウンターカルチャー感と曲の王道感をすごくいいバランスで作れたから、あれはひとつの完成形だと思うし。今度は歌詞とか曲とか、今の自分が力を注げるようなものにしたいなぁと」
――その作業は難しくはなかった?
岩﨑「難しくはなかったですね。だってさかのぼれば昔はそうやって作ってたし、単純に僕はエンタテインメントがすごく好きやから、オーディエンスに楽しんでもらえればというのが一番前提にあるから。歌詞が書かれへんかったとかいうしんどさはあるけど(笑)、それだけっすよ。後はそんなに意識してなかったな」
――今までに作ってない感じの曲にもトライしてみようみたいな意識は?
岩﨑「『Daylight』(M-7)とかはそうでしたね。今回は事故的な結果になりましたけど(笑)、『folklore』(M-6)とか。まぁカバーもね」
――何かこう挑戦というか、一聴してわかるサウンドの新しさだけじゃない新しさが、このアルバムにはあるよね。声は慧くんだけど、最初はちょっとセカイイチかわからない感じすらあるというか。それくらいフレッシュな感じもして。ジキルとハイド的な1人2役のボーカルが面白い『folklore』はライブテイク?
岩﨑「そうですね。一発録りが2回入ってます(笑)」
――どういうこと?(笑)。
岩﨑「高いテンションの人と、(セルジュ・)ゲンズブールな人がいて(笑)。高いテンションでまず最初に録ったんですよ。で、続いて試しに低いテンションでも録ってみたんですけど、こっちはテンション低すぎるやろと。じゃあこの2つを合わせてみたらどうなるんだろうと聴いてみたら、前半はバラつきがあったんですけど、偶然にも奇跡的に掛け合いをしてるんですよ。ホントに何にもいじってないくらいで。奇跡的にあんなカッコいい始末になったんです」
――これは新しいし、ぶっ飛んでるし、緊張感もあるよね。この『folklore』がタイトルチューンで。
岩﨑「歌詞を書いてて、これやなと思って。ものすごく(自分が)入ってるなって」
――あと『Daylight』も、アレンジの仕方とか聴かせ方とかがすごくアダルトで。それは年齢を重ねてきてるし、キャリアからきてるかもしれないけど、今までのアルバムで一番そういう色気がある曲のような。うっちーのギターとかも特に。
中内「まさにそういう感じですね。今回は歌のメッセージが、1曲1曲より入ってくるものが多いんですよね。変に難解じゃないというか。それに対するギターの付け方は、歌を支えるときもあれば、歌がないときはギターでものすごくキャッチーなフレーズを持ってきたり。そういうのはめっちゃ考えましたね」
――どっちも歌ってるというね。
中内「あぁうれしいですね」
――『Daylight』に参加しているヒップホップユニット・SUIKAとはどういう繋がりで?
岩﨑「SUIKAは、キーボードを弾いてもらってるタケウチカズタケさんが参加してるバンドなんです。そもそも事の最初の最初は、カズタケさんが参加してたA Hundred Birds Orchestraがすごく好きで、俺と健ちゃんがよくライブを観に行ってて。そこから東京の小さなライブハウスで話しかけたりして、ちょっとだけお知り合いになって、その後カズタケさんのソロとの対バンが大阪であって、それがきっかけで仲良くさせてもらって…って、ここに至るまでは3年かかってます(笑)」
――プレイヤー陣としては、慧くん以外の声も入りつつ、こういうラップをフィーチャーした楽曲をやるのはどうでしたか?
泉「単純にセカイイチでこういうことができるっていうのは、クールだなって思いますよ」
――うんうん。成立するんや!っていう。
泉「そうそうそう!」
――とってつけた感が一切ないのがスゴい。別にこういうことをアルバムごとに毎回1曲やってきたわけじゃないのに(笑)。
岩﨑「馴染み過ぎてる(笑)」
――『folklore』から『Daylight』の流れがすこぶるカッコよいなと。ボトムを支える響ちゃんはどう?
吉澤「ヒップホップやからどうこうっていうのは、特にはそんなに考えてはないんです。言っても“歌”ですからね。元々僕はそんなに叩きまくる方じゃなくてビートを刻むイメージなので、それに何が乗るかっていうところだけなんですけど。音と音の隙間を作るようには考えましたけど、結局、叩いた後にどんな音が乗るかも未知やったわけなんで。だから逆にSUIKAの方が苦労したのかもしれない(笑)。でもすごい馴染んでるなぁと」
岩﨑「SUIKAって生バンドでやってる人らなんで、こういうバンドに合わせるのは絶対得意で。もちろん普段もソロでやられているのでDTM系も得意なんですけど。いろいろさまよい歩いてこの感じに落ち着いたんですけど、ベストマッチだったと今は思いますね」
(2011年3月30日更新)
Album
『folklore』
発売中 3000円
tearbridge records
NFCD-27301
<収録曲>
01. Touch My Head
02. Step On
03. Kids Are Alright
04. わずか
05. 考えすぎの僕がいる
06. folklore
07. Daylight
08. 真冬の陽炎
09. Married With Children
10. 猿の惑星
11. グレース・ケリー
12. タイムマシーン
13. ハローグッバイ
BONUS TRACK
14. 眠りにつく、その前に
セカイイチ…写真左より泉健太郎(b)、岩﨑慧(vo&g)、中内正之(g)、吉澤響(ds)。’03年、大阪にて現体制に。’05年、メジャーデビュー。ソウルフルな歌声、グルーヴィーなバンドサウンド、ハッピーなライブでオーディエンスを虜にする、日本有数のメロディメーカーにしてライブアクト。最新作は今年1月19日にリリースされた2年ぶりのアルバム『folklore』。4月2日(土)梅田AKASOより、同作を携えた全国ツアーをスタートさせる。
セカイイチ オフィシャルサイト
http://www.sekaiichi.jp/
チケット発売中 Pコード130-207
▼4月2日(土) 18:30
umeda AKASO ※ワンマンライブ
スタンディング3000円
[ゲ]タケウチカズタケ(key)
(from SUIKA / A Hundred Birds)
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。
チケット発売中 Pコード130-358
▼4月3日(日) 17:30
名古屋アポロシアター ※ワンマンライブ
前売3000円
[ゲ]タケウチカズタケ(key)
(from SUIKA / A Hundred Birds)
ジェイルハウス■052(936)6041
チケット発売中
▼4月15日(金) 18:30
長野CLUB JUNK BOX
[共]D.W.ニコルズ/ザ・ビートモーターズ
前売2500円
長野CLUB JUNK BOX■026(267)9120
チケット発売中 Pコード132-005
▼4月20日(水) 18:30
金沢バンバンV4
スタンディング2800円
[共]ザ・ビートモーターズ/SCOOBIE DO
FOB企画■076(232)2424
チケット発売中 Pコード132-007
▼4月21日(木) 18:30
新潟CLUB RIVERST
スタンディング2800円
[共]ザ・ビートモーターズ/SCOOBIE DO
FOB新潟■025(229)5000
チケット発売中 Pコード129-941
▼4月23日(土) 17:00
Shibuya O-WEST ※ワンマンライブ
1F立見3000円
[ゲ]タケウチカズタケ(key)
(from SUIKA / A Hundred Birds)
サンライズプロモーション東京
■0570(00)3337
※未就学児童は入場不可。