ホーム > ガンバ大阪×ぴあ WEB連載『ガンぴあ SEASONⅡ』

チームを引っ張るのはオレ!
好調の秘密は芽生えた自覚!?

撮影:田籠哲也


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プロフィール

宇佐美貴史
撮影:田籠哲也

宇佐美貴史(うさみ・たかし)●’92年、京都府出身。背番号33/ポジションMF。ガンバ大阪Jrユース、ガンバ大阪ユースを経て、昨年、16歳ながら飛び級でトップチームに昇格。同年5月24日の鹿島戦で、クラブ史上最年少となる17歳18日でJリーグデビューを果たした。“ガンバ大阪ユースの最高傑作”と称され、技術を生かしたドリブル突破や強烈なシュート、さらには得点のアシストを演出するなど、将来が楽しみな高い才能の持ち主。

ガンバ大阪・オフィシャルサイト
http://www.gamba-osaka.net/

ガンバ大阪応援番組
『ガンバTV~青と黒~』
毎週月曜・深夜1:35~ MBSにて放送中
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試合スケジュール

ガンバ大阪 ホームゲーム
Pコード592-080 
『J1リーグ戦』
発売中
▼8月29日(日)18:00〈vs ジュビロ磐田〉
▼9月18日(土)19:00〈vs セレッソ大阪〉

『ヤマザキナビスコカップ 準々決勝』
発売中
▼9月8日(水)19:00〈vs サンフレッチェ広島〉
BOX-S席-5000円 SS席-3500円 SM席(自由席)・大人-3000円 小・中学生-1500円/ほか
万博記念競技場
ガンバ大阪[TEL]06-6875-7744
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『ガンぴあ』バックナンバー

第一回(2月19日更新)はコチラ
第二回(3月5日更新)はコチラ
第三回(3月30日更新)はコチラ
第四回(4月9日更新)はコチラ
第五回(4月23日更新)はコチラ
第六回(5月17日更新)はコチラ
第七回(5月28日更新)はコチラ
第八回(6月16日更新)はコチラ
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第十一回(7月23日更新)はコチラ
第十二回(8月11日更新)はコチラ

『ガンぴあ SEASONⅠ』はコチラ

第20節を終え、大混戦状態のJ1リーグ戦。ガンバ大阪は首位・名古屋グランパスの前に黒星を喫しましたが、首位との勝点差は10ポイント。残り14試合あることを考えると、まだまだ追いつくチャンスはあります!!
そして、9月には『ナビスコカップ』の決勝トーナメントもスタートと見逃せない試合が目白押し!! 少しでも多く万博に足を運び、選手たちに熱いエールを送ってください!!

さて、今回お届けするのは宇佐美選手の後編。サッカーを始めたキッカケから、今季の試合出場が増えたわけなどを自己分析したり、サッカーについて色々と語ってもらいました。

 

――サッカーを始めたきっかけは?

「3人兄弟の末っ子で、お兄ちゃん2人がサッカーをやっていたんですよ。だから、生まれたときから家に小っちゃいゴムボールとかが転がっていて、知らん間にボールを触っていて。ハイハイする時も手でボールを触っていたほどで、おもちゃを買わんくてもボールでずっと遊んでいたみたいです」

――じゃあ、お兄ちゃんの影響で始めたっていうわけではないんですねぇ

「そうですね。お兄ちゃんがやっていて、たまたまボールがあって、たまたまボールで遊びだしただけなんで。お兄ちゃんが上手くて、憧れてやりだしたっていうわけじゃないです。ヤットさん(遠藤選手)みたいにお兄ちゃんの影響とかじゃないですよ。そんなに上手くもないし(笑)」

――(笑)。あくまでお兄ちゃんの影響ではないと。

「そうそう(笑)。あと、ボールを蹴るのに邪魔やから自分でオムツを取って、『じゃまやー!』ってお母さんに渡したらしいんですよ。オレ、覚えてないんですけど、お母さんに色々と聞くんですよ。『どっか行く?』ってお母さんが言っても、『公園でサッカーしてくる』って言って。なんも手がかからへんかったらしいです」

――それにしても……何だかすごい子供ですね(笑)

「オレも自分のことながら、その話を聞いたときは爆笑しました(笑)。いないですよね、そんな子(笑)」

――あまりいないでしょうね(笑)。そうやって、生まれてからサッカーと共に歩んできたわけですけど、他のスポーツには興味は持たなかったんですか?

「他のスポーツもやっていましたよ。遊び感覚ですけど。野球とかもやっていたし、ドッヂボールとか、バスケとかバレーとかもけっこう遊びでやっていましたよ。その時はサッカーを真剣にやっていたんで、他は遊びでしたね。ただ、全然センスがなかったんですよね」

――というと?

「野球とか、全然ボールを打てなかったんですよ。ノックするみたいに自分で上げて打つのすら当たんないんですよ。だから、これはアカンなぁ~って思って。足だけやわ~って」

――バレーとかは?

「バレーとかならボールの落下地点は分かるじゃないですか。サッカーとかでもそういうのがあるし。サッカーの動きに関与していたらいいんですけど、バスケとかはサッカーと全然違うじゃないですか。だから、シュートもまったく入らなくて。ドッヂとかもボールをキャッチできへんし……」

――そういうのもあって、『オレにはサッカーしかない!』っていう気持ちが強くなったのでは?

「間違いないッス。気付かされました」

――なるほど(笑)。そうしてサッカーを真剣にやってきたわけですけど、出身は京都ですよね? なぜサンガユースとかじゃなくて、ガンバユースに?

「なんでか知らんけど、昔から親がガンバ・ファンで。幼稚園の頃からずっとガンバの試合を観に行っていたんですよ。だから、物心ついた頃にはガンバでサッカーがしたいって思っていて。その時点でサンガはなくなったんですよね、ガンバが好き過ぎて」

――そうやってガンバを好きになってユースに入り、そしてトップにまで昇格。これは親御さんがすっごく喜んだんじゃないですか?

「親は本当にすごかったですよ。オレはそんな……プロになりたいって目指していたわけじゃなかったんで、そんなに嬉しくはなかったですけど、親はガンバの一員になれてっていうことですっごい喜んでいます。試合は絶対に観に来ますし、この前も金沢まで来ていましたし、アウェイでも新幹線に乗って来るときは来ますね」

――ホームゲームを観に来られるご家族は多いとは思いますが、アウェイまでとは!
本当にガンバが好きなんですねぇ。

「関係者で入れるのが嬉しくて仕方がないみたいですね。今まではチケットを買って、ゴール裏で応援していたような人たちですから(笑)」

――それは嬉しくて仕方がないでしょうね(笑)。
プロ初ゴールを決めたときにお祝いとかはなかったですか?

「お祝いはなかったですね。日本一とかになっても、基本はないですね。なんか……おめでとうというか、オカンがテンション高めに『ナイス!ナイス!』とか言ってハイタッチしてくるくらいです(笑)。うっとおしいことに(笑)」

――明るくていいご家族じゃないですか(笑)。

「いやー、だって『疲れてんねん』とか言っても、オカンは『イェイ!イェイ!イェイ!』とか言ってくるんですよ、いつも点を獲ったら。そんなんばっかりですよ。でも、1回、プロ初先発で初アシストした時にケーキが出てきました。買いに行ってくれたみたいで、ロールケーキが出ました。協力はすごいしてくれています」

――それはいいことですよ。


↑考えながらも色々と答えてくれる
宇佐美選手

「恵まれていると思います」

――そうですよ~。それにしてもプロを目指していなかったというのが意外でした。

「なんか、プロを目指すっていうよりはプロになれるって思っていたんですよ。ちょっと偉そうなんですけど、プロの先を見据えちゃっていたんですよね。プロになるため、っていうよりはもっともっとサッカーを楽しむためには……っていうことを考えていて。そのためにはもっと上手くなって、相手のプレッシャーを感じられへんくなったら、自分のプレイが出来て楽しくなる。ということを考えながら普段の練習からやっていたら、知らん間に先輩の方に入れられるようになって。嫌で仕方がなかったですけどね、先輩の方に入れられるのは。楽しくないし、周りのことを知らないし、先輩も当然オレのことを知らないっていうのがあったから。でも、慣れていくと楽しくなっていって、楽しさを感じながら……だったんで、プロになるためにステップアップしたって訳じゃないです」

――それこそ本当にバロンドール(世界年間最優秀賞)を獲るために……っていう感じでサッカーをやってきたとか?

「いや、バロンドールはそんな明確な目標じゃなかったんですよね。プロにはなれるって思っていたから、サッカーを楽しむためにはどうしたらいいんかなぁって。日本一になりたいわけでもなかったですからね(笑)。ただ楽しくやっていたってだけです」

――楽しくやって、トップに昇格……うーん、すごいです。
ちなみに、“ガンバ大阪ユースの最高傑作”って言われることに対してはどう思っています? プレッシャーを感じたりはしませんか??

「プレッシャーはまったく感じないですね。でも、そんなん言わんといて欲しいです。ハードルが上がっちゃうんで(笑)。そういう風に見られてプレイするっていうのはユースのときは嫌でしたけど、プレッシャーを感じるっていうよりは、自分の中の気持ちの整理がつかなくて。それでどんどん落ちていったこともありますけど……。結果も……最年少出場記録やったり、得点の記録やったり、高校3年生時でいま4得点を獲っていて、当時の稲本さんより獲っているとか、記録が記録なんで言われますけど、そんな思わないですよね。タイプも全然違うし……ラッキーやなって思いますね。大きい大会、大きい大会で、たまたま記録を残せたから取り上げられることも多いし。本当にツイているなって思います」

――なるほど。以前、西野監督も試合後のコメントで「宇佐美は持っている」と仰っていました。

「うーん、でも個人的に“持っている”って言われるのは全然嬉しくないんですよね」

――そうなんで……あ、そうか。

「そう、そん時だけじゃないですか。“持っている”って言われている時点では全然……それがたまたま出たっていうことやから。でも、最近は言われることはなくなってきたんである程度は認めてもらえたのかな~と」

――なるほど。去年はリーグ戦とACLあわせて4試合1得点だったのですが、昨年1年間やってきて見えてきたことはありましたか? ここは通用する、これは通用しないとか。

「通用する部分とかはある程度はわかっていたけど、それを上手くだせなかったっていうのが多くて……んー……去年1年間はしんどかったですね」

――実力を出せなかったっていうのは遠慮があったから?

「遠慮もあるし、迷いながら……ここは仕掛けていいところなんかな、とか。思い切ってやれなかったっていうのがあって。何回ボールを取られてもいいから、何回も仕掛けて、何か言われてもまだ仕掛けるくらいじゃないと絶対にうまくいかないんですよ。エラそうなくらいじゃないとダメなんですよ。でも、去年は色々と悩みながらやっていたから、全然うまくいかなかったです」

――じゃあ、今年はすでにリーグ戦で4得点、ACLで2得点の計6得点をあげているということは、自分を出せるようになったということでしょうか?

「はい、そこは出せるようになりました」

――得点同様、今季は出場機会も増えているわけなんですけど、これに対して自分を出せるようになったこと以外に何か要因はあったりしますか?

「今年、チームに合流する前に決心っていうか、考えに考え抜いたことがあって。『このままじゃまた今年も去年と同じや』と思って。それじゃ絶対にアカンし、どんどん上の人らを蹴散らしていくというか、上の人ら全員を抜いて、オレがスタメンを取る!っていうくらいの気持ちじゃないと絶対アカンなって思ったし。自分からポジションを奪いにいくくらいの気持ちでやろうって決心して。やっぱり強気になると、どんどんいいプレイが出来るし、いいプレイが出来たら自信にもなるし……去年は悪循環で下降していたのが、今年はずっと昇り調子で。その中で出番ももらえるし、結果も残せたら自信にもなるし……なんか、いい感じでいけてますよ(笑)」

――周りにいる選手は年上ばかりだし、いい選手が多いから遠慮しちゃってたんでしょうねぇ

「うーん……去年はレギュラーの座を奪えへんって思ってた部分もあったんですよ。まだまだ先やろなぁって思っちゃっていたぬるい部分があったんですよ。でも、今年はそんなん言ってられへんやろってなったし。劇的に変わるキッカケがあったとかじゃないですよ。ただ自分の中で考えて、どうしたらいいんやろって。で、例えばポジションの被っている選手だったらフタさん(二川選手)だったり、ルーコン(ルーカス選手)とか。去年だったらジェジンがスタメンでずっと出ていたんで。あと、ハシさん(橋本選手)とか。そのあたりも抜いていって、オレが出てオレが活躍する……このチームに貢献するのはオレ!っていうふうに考えたんですよね。だから、名前とか関係ないんですよね。とりあえず試合に使ってもらうことしか考えてないです」


↑去年はかな~り悩んだそうです

――じゃあ、昨季1年を経験してプロらしくなったってこと?

「なったと思います。メンタル的に。ポジション争いに耐えられるメンタルになれたというか。今でもかなり辛い部分はありますけどね。常に練習から気を抜けないし、ずっと良いプレイをし続けて、悪いプレイをしてしまうと去年みたいな悪い時に戻るんちゃうかっていう葛藤があって……。去年とは違う意味でのしんどさはあります」

――でも、そのしんどさはレベルアップしたが故のものなので、もうそこは開き直って楽しんでもらって。
さて、チームとしてはなかなか上位にいけない状況にありますが、ここから巻き返すためにはどうすればいいでしょう?

「厳しい時やからこそ、若いのが引っ張っていかないと。やっぱり若い選手が頑張って、きついときにチームを助けていけば、次にオレら若いのが苦しくなったときに今度はベテランの人が助けてくれて……っていう、助け合いが出来るというか。コンディション的にもキツくなるんですけど、誰かに任せるんじゃなくて、みんなが『チームを引っ張るのはオレや!』っていう気持ちでやれたら絶対に上には行けると思います。上手い選手もいっぱいいるし、試合を決められる選手もたくさんいるんで」

――そうですね、若い選手には頑張ってもらわないと。
最初にチラっとどんな選手なのか言って頂きましたが、試合でのご自身の注目ポイントを教えてください。

「ボールを持ったときのドリブルなりパスなりシュートなり……自分でいうのもアレですけど、全てに自信を持っているので。ドリブラーでもあり、パサーでもあり、ストライカーでもあるのが自分の理想なんで。ボールを持ったときに期待して欲しいです」

――あっと驚くようなプレイを見せてくれますからね。ぜひボールを持った宇佐美選手に注目して欲しいです。
それでは、読者へのメッセージを頂けますか?

「ガンバはすごい魅力的なチームやし、選手だけじゃなく、フロント、ファン、サポーター含めて一つになっているすごく良いチームだと思うんで、これを見てくれた人はオレをどうこうじゃなくて、とりあえずガンバの試合を観に来て、ガンバを応援してくれたら。別にオレは応援しなくていいです(笑)。オレに期待するとかもいらないんで、ガンバを好きになって応援をして欲しいです」

――期待はいらないって(笑)。

「オレ、期待されるの嫌いなんです(笑)。オレの期待はしなくていいです。ガンバに期待してください!」

――わかりました(笑)。では最後です。宇佐美選手にとってサッカーとは?

「サッカーがないと生きてはいけない……というか、目標というか1つのことに向かっていないとダメなタイプなんで、そういう意味でサッカーがそこにあってくれたからやってこれたので……生きてきた時間はまだまだ短いですけど、人生そのものやと思います。サッカーがないと生きていけないので、人生の目的ですね」

――ということは、現役を引退したあとも何らかの形で携わっていきたい?

「そうですね。サッカーを通じてとか、何かをしたいとは思っていますけど、現役を終わる頃には疲れ果ててサッカーには関わりたくないって思っているかもしれないし(笑)。でも、サッカーをやっている以上、サッカーで何かをしたいとは思っています」

――そうですね。日本代表に入って、代表を強くしてもらうっていうのもありますしね!

「……はい。強くしていけたらいいな~とは思いますけど、期待はしないでください(笑)」

 

8月登場の宇佐美選手はいかがでしたか?? 期待はしないでとは言うものの、高い才能を持っているだけに期待せずにはいられません! ぜひ、彼の今後に注目していてくださいね!!
そして、1試合1試合の結果が重要になってくる9月。どの選手が登場するのでしょうか??(9月10日更新予定)

 

本コーナーに関するご感想、選手に聞いて欲しい質問など、こちらまでお寄せください。

(8月25日更新)



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