8月から9月初旬にかけてなかなか結果が出なかった中、第17節･札幌戦から布陣を3バックから4バックに変え、4連勝中と勢いを取り戻しているガンバですが、10月5日(月)にチームの象徴的な選手である遠藤選手のジュビロ磐田への期限付き移籍(2021年1月31日まで)が発表されました。

(C)GAMBA OSAKA

 

期限付き選手としては異例となる会見がオンラインで行われ、｢20年近くガンバ大阪でお世話になった感謝と、これから新しいチャレンジに挑んでいく楽しみと両方あります｣と今回の移籍に対する率直な気持ちを語ったあと、｢まずは新しいチャレンジをしたいという思いと、出場時間も含めて、たくさんゲームにでたいという思いが強くあった中での移籍だったと思います｣と決断理由を話した遠藤選手。
今季、J1最多出場記録を更新し、通算記録を641試合に伸ばしていますが、リーグ戦での出場試合数は11試合に留まり、そのうち先発は3試合のみで、2試合連続でベンチ外も経験するなど、起用方法が変化。それでも、決勝点を生むきっかけを作り出した第18節名古屋戦のように、試合に出れば存在感を発揮していました。その中で磐田からオファーが届き、｢もちろん簡単な決断ではなかった｣ながらも、｢チームの戦い方だったり、選手起用っていうのは監督が決めることなので、そこをどうこう言うつもりはありません。ただ、何のために練習しているかというと試合に出るため、結果を残すために常日頃練習しているわけで。それがなかなか発揮できない理由は自分にもあると思いますし、出たら結果を残せるっていう自信ももちろんまだ持っているので、それをより生かせる状況を今回はわがままを言って作って頂いたということだと思っています｣。

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2001年にガンバ加入後、20年近く在籍した遠藤選手の移籍について、主にガンバ大阪U-23でプレーしているルーキーの選手たちも｢移籍を聞いた時、悲しいというか、寂しいというか……。1回でもいいので、同じピッチに立ってプレーしたかったです｣(塚元)、｢本当にパスに意図があるので、次の自分のプレーがやりやすいというか。やっぱり動き出しのタイミングとかも自分の中でも早くなりましたし、このタイミングで動かないといい状況でボールをもらえないとか、そういったところはすごく学びました。もっと一緒にやりたかったです｣(黒川)。
チームに与える影響は大きいものがあるでしょうが、｢これからこのクラブを支えていくのはみんなの力なので、それぞれがそれぞれの役割を果たしてチームの勝利のために貢献してほしいという話はしました｣(宮本監督)。トップの選手たちも、｢ヤットさんがいなくなったロス感はもちろんありますが、やらなければいけないという感情もあります。やってきたものをしっかり積み上げていきたいと思います｣(髙尾)。中盤を支える井手口選手も、｢ヤットさんは最初から出ている時でも途中から入って来た時でも攻撃に違いを生み出していたと思うし、攻撃を引っ張ってくれていたと思う。ヤットさんがいなくなったから(ダメになった)って言われないように、ヤットさんとは特徴は違いますけど、違う攻撃の形、自分らしさを出して引っ張っていけたらなと思います｣と決意を新たにしていました。

｢これだけ長くお世話になったクラブですし、ここ以上のクラブはないと思う。レンタル移籍という形で１回離れますが、ガンバに戻ってきたいという気持ちは強く思っています｣という思いを持って、新天地へのチャレンジを決めた遠藤選手、そして偉大な選手がチームを離れた今、ガンバがここからどんな戦いを見せ、選手たちがどんな成長を見せるのかにも注目です。

 

取材・文：金子裕希

（2020年10月6日更新）