広がり続ける“のだめワールド”2021
今年も楽しさ溢れるクラシック音楽への誘い
『生で聴く“のだめカンタービレ”の音楽会』
(2/2)
■他のコンサートにはない『のだめ』ならではの
プログラムをお楽しみください。ー ピアニスト 原由莉子
■『のだめ』初出演の気持ちを聞かせてください。
原:『のだめカンタービレ』は大好きでコミックも全部読んでました。コンサートももちろん知っていて、憧れのピアニストの方がたくさん出ているシリーズでもあったので、それに出演できるというのは本当に光栄で嬉しく思っています。
■今回は特に内容が濃いというか、ピアノが大活躍です。
原:すごく凝ってますよね。1つのコンサートでこれだけいろんな作曲家が弾けるというのも珍しいことだと思います。8月1日だけ見てもドイツの古典のバッハを弾き、ブラームスを弾き、 またフランスのラヴェルを弾くっていう、ちょっと他のクラシックのコンサートにはない「のだめ」ならではのプログラムになっていて面白いと思いますね。私自身、楽しみながら弾いています。
■原さんは普段はどんな作品を弾いているんですか?
原:私は普段は19世紀末から20世紀初頭にかけての作曲家の作品を採り上げています。ツェムリンスキーやベルク、コルンゴルトといった作曲家たちですね。日本ではまだマイナーな世界だと思います。最初は日本の音大の授業で知って、すごく魂に響いたと言うか、こういう世界があるんだと思って。それがウィーンのものだって知ったことが、ウィーンへ留学したいと思ったきっかけでした。
■その時代の作曲家の魅力や面白さというのはどんなところにあるんでしょう。
原:私が思うのは、音楽以外の芸術との関わり。例えばクリムトとか美術の人たちとのインスピレーションのぶつかり合いみたいなものがあって、そうしたものを経て書かれている音楽が多いなと言うことですね。新しい芸術を目指そうとしている人間同士が関わり合うことで生まれた気持ちが音楽にこもっているというのを、楽譜を見ていてひしひしと感じます。
■若い芸術家たちの群像ですね。「のだめ」の世界にも通じるようです。
原:そうですね。マニアックな世界と思われるかも知れないけど、でもそんなウィーン世紀末の音楽を生んだ源流はベートーヴェンやブラームスにあるわけで、「のだめ」からはそうした音楽のいろんな広がりを感じていただくことができると思います。それからピアニストとしての視点で言えば、今回私はソロで弾く、 デュオで弾く、オーケストラと弾くっていういろいろな役割を担うことになるので、お客さまにはピアノという楽器がこんなに多彩な表現ができるんだと言うことを知っていただける機会にもなるんじゃないかなと思います。
■お客さまにメッセージをいただけますか。
原:コロナでイベントが減ってしまってはいるんですけども、そんな中でも「のだめ」が好きで聴いていただけるお客さま、クラシック音楽が好きなお客さま、そして初めてクラシックを聴いてみようかなっていうお客さまにも親しみ易いコンサートだと思います。ぜひ、たくさんの方に来て聴いていただけたらうれしいなと思っています。
■原由莉子〔はら・ゆりこ〕岸和田市出身。大阪府立夕陽丘高校音楽科、京都市立芸術大学ピアノ科卒業。これまで辻田裕子、小出ひろみ、大冨栄里子、故・田辺緑、坂井千春、イリーナ・メジューエワの各女史に師事。渡欧後、クリストファー・ヒンターフーバー、クリストフ・トラキシラーの両氏よりウィーン奏法を学ぶ。ウィーン国立音楽大学大学院ピアノ演奏科修了、修士号取得。第16回堺ピアノコンクール、第6回宝塚ベガ学生ピアノコンクール、第16回KOBE国際コンクールなどで第1位を受賞。また、それぞれイタリアで行われた第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際音楽コンクール、第5回タディーニ国際音楽コンクールでは、最高得点者に贈られる絶対的第1位を受賞。ヨーロッパ各地で受賞記念リサイタルを行っている。
(2021年7月17日更新)
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