ホーム > インタビュー&レポート > 『上方落語若手噺家グランプリ2017』 決勝進出者インタビュー、桂米輝編
--おめでとうございます! 今年は新作の「イルカ売り」で決勝進出ですね。
ありがとうございます。去年も新作で、衝撃の…問題作をちょっとやってしまいましたけど。はい。
--グランプリには新作で挑んでいかれるのですか?
いや、新作は自分の会ではできますけど、自分の会と違う空気の時にやったらどうなるのかなというのもありますし、ちょっとやってみたかったんです。めったにやる機会がないのでやらしていただきました。
--米輝さんは大きな会の前座も多いですし、確かにそこで新作はちょっとできないですよね。でも、「イルカ売り」はすごいお噺ですよね? 実話ですよね?
ええ。そうですね。ふふふ。
--米輝さんが夢で見た物語ですよね? すごく面白い。
そうですね。
--新作は結構作ってはるんですか?
いや、まだ5本くらいです。
--古典と新作の両方の路線を考えておられるのですか?
手を出して、手を染めて(笑)。そうですね。両方やりたいですね。はい。
--決勝はどうされるんですか?
決勝のネタも「イルカ売り」です。
--予選はいかがでしたか?
予選はすごく気持ちよくやらしていただきました。
--いけるかなという手ごたえはありましたか?
うーん。ちょっと、どう判断されるのかなと思ってました。あのネタが。普通のネタじゃなくて、ちょっと変化球なので。それが審査員の方にどう判断されるのかなという。
--決勝の審査員はマスコミの方ですけど、予選は先輩の噺家さんです。予選を通過したことで周りの方の反応はどうでしたか?
何人かからおめでとうって言ってもらったりとか。でも、特に変わりはないですね。
--決勝への意気込みは?
とにかく時間を守って。予選はちょっと時間がギリギリだったんです。短くなりそうで。ほんまに1秒とかそれくらいのレベルでギリギリセーフだったんで、決勝はちゃんとネタを時間に合わせて。
--米輝さんは今、前座として超売れっ子ですよね? すごく出てはりますよね?
いえいえ、ありがとうございます。
--ご自分で、どういうところが魅力だと?
桂米輝の魅力ですか? 目指しているのは噺の面白さをダイレクトに伝えるということです。
--普段は古典を中心にされていますよね?
そうですね。
--入門してどれくらいになりましたか?
7月で6年です。今回のメンバーの中では一番下ですね。
--関西大学の落研出身で、桂米團治さんに入門されて。落語家のイメージは入門前と違いましたか?
なんか思ってたよりみんな優しいですね。先輩はもっと怖いかなと。みんな優しくしてくれます。師匠も優しいですし。
--内弟子修業はされていたのですか?
内弟子ではなくて、通いでした。大師匠の米朝師匠のところにも2日に1回くらいですけど通っていました。
--米團治さんのところに入門された理由は?
フィーリングというか…。なんか、面倒見てくれそうやなという、そういう感じを受けました。
--落研時代には落語会を見に行ったりされてたんですね?
その時は学生ですから、経済的な事情も含めて1000円、1200円くらいで行けるような会に主に行っていましたね。ワッハのレッスンルームとか上方亭とか、ああいうところでやってる会です。難波は定期で通るので交通費がかからないし。それに、まだ繁昌亭がなかったので。
--大学を出て、すぐには入門されなかったのですね?
入門したかったんですけど、勇気がなくて、普通に働いてたんです。
--やっぱり噺家になりたいと思って入門を決意したのは何かきっかけがあったんですか?
まあ、自分の年齢とか。私、26歳で入門したんですけど、もう決意するなら今が最後のチャンスかなと。
--音楽もされてますよね? これからどんな噺家さんになりたいですか?
音楽は桂ちょうばさんに誘われてやってるんです。まあ、いろんなことにチャレンジしたいですね。で、面白い人になりたいですね。
--面白い人というのは?
いつ、どこででも面白い言葉が出てくる。あまりプライベートで面白くなろうとは思わないですけど、高座、舞台、テレビ、ラジオ、そういうところで。海外進出はあまり意識してないですけど(笑)。日本語が通じる範囲内で、一番面白い人になりたいです。
--最近は海外公演をされてる方も多いですよね。
海外はその方々に任せて、僕は国内制覇を(笑)。
--米輝さんは高座と普段の雰囲気が全然違いますね?
そうかもしれないですね。舞台に上がったらスイッチが入るのかもしれないです。基本は自然体ですけど。もちろん、舞台に出る時は、緊張はしますけどね。
--でも、大きな舞台でもあまり動じてる姿を見たことがないんですけど。
大きな舞台はまだ前座で一席だけですし、やることは決まってるので。でも、テレビ収録の時は緊張しましたね。NHKの「上方落語の会」とか。見てる人はわからないと思いますけど、自分の中では舞い上がった部分はあります。テレビなんで、時間がすごくシビアに決められてるじゃないですか? そこが一番緊張するかもしれないですね。
--そうなんですか。時間制限がある予選の時も落ち着いているように見えましたが。
いやぁ、必死でしたね。予選の時は前の時計を見る余裕はなかったですね、全然。緊張してましたよ。いつもより。
--グランプリでアピールしたいところはありますか?
来てくれはったお客さんで、私のことを知らない方に、こんなおもろいやついたんやって、思ってもらいたいですね。はい。
--こんなところを見てほしいっていうのは?
なんでしょう…。自分でもちょっとネタにもしたりしてるんですけど…。見た目が怖いってよく言われたりするんですが、よく見たらかわいいなと思えるところを見てほしいです。
--古典もお上手だし、決勝は古典でもいいかなと思うんですけど。
古典をやるか新作をやるか、悩んだんですけど。トップか2つ目やったら古典をやろうと思ってたんです。今回のネタが変化球なんで、いきなり変化球はちょっとあれなんで。
--3番目の出番はいい位置ですよね?
悪くはないと思います。
--米輝さんは欠席されていましたが、会見の時に「賞金をもらったら、どうしますか」という質問が出てたんです。米輝さんはどうされますか?
賞金ねえ、賞金をもらったらどうしましょう…。例えば、予算がないから今まで三味線を生で入れられなかった自分の会に、三味線さんに来てもらったりとか。そういう風に使えたらいいなと思います。
--決勝のメンバーを見て、感想はありますか?
面白い人たちばっかりですね。シンプルにこのメンバーで会をやったらおもしろいなと思いますね。
--このメンバーと戦っていくというので何か準備されますか?
準備すること…。私はちょっと、そういう目標に向かって一つずつ準備をしていくことがすごく苦手なタイプなので…。要はずぼらなので、いつも前日にバタバタしてるんです。
--では、それまでリラックスして、当日向かうということですか?
そうですね。はい。だから、特に準備はしないと思います。
--おまじないとか、ゲン担ぎとか?
そういうのは一切しないです。
--じゃ、普段通りで、ということですね?
はい。
--プロになってご自身で変わったところってありますか?
そうですね。きれいにしないといけないと思うようになりましたね、日焼けとかせずに。
--いつ、どこで見られてるか分からないですものね(笑)。
そうなんですね。それが心配でね…(笑)
--身だしなみもきちんとしようと思うことで、考え方が変わるとかありますか?
そこまでストイックにやってるわけではないんですけど。でも、やっぱり舞台に向けて100パーセントに持っていけるようにっていうのはしないといけないなと思います。できてない部分もありますけど。
--ご両親は決勝を見に来られますか?
この日は父親だけ来ます。
--じゃ、優勝の瞬間をお父さんに!
見せれたらいいですね。すべらんように頑張ります!
取材・文/日高美恵
(2017年6月16日更新)
▼6月20日(火) 18:30
天満天神繁昌亭
当日-2500円
[出演]桂華紋/桂小鯛/桂三四郎/桂雀五郎/桂雀太/桂二乗/桂米輝/笑福亭喬介/林家染吉
※未就学児童は入場不可。
[問]天満天神繁昌亭
[TEL]06-6352-4874
※前売り券完売ため、当日券若干枚数あり。
天満天神繁昌亭
http://www.hanjotei.jp/
【会見レポート】ファイナリストが意気込みを語る!
https://kansai.pia.co.jp/interview/stage/2017-05/1705-whgp2017.html
1984年12月25日生まれ
奈良県大和郡山市出身
2011年7月に桂米團治に入門