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「ポジティブな無力感を感じました」
吉本新喜劇・信濃岳夫が経験した『吉本新喜劇2026』
公演直後に舞台を終えてみての心境を聞いた

2016年より吉本新喜劇の若手座員が毎回1人、リーダーとなりオリジナルの新喜劇を作る『吉本新喜劇2026』が始まった。10年後の吉本新喜劇の担い手を育成することを目的としたこのプロジェクト、リーダーとなった座員は、台本から配役、演出など、ありとあらゆることを手がけることとなり、過酷でありながら、貴重な経験を若手座員にもたらしている。そして12月には、最もよかったリーダーの公演を再演することも決定している。そのトップバッターを務めたのが、信濃岳夫だ。2006年に吉本新喜劇「金の卵」オーディションに合格し、入団。今年でちょうど在団10年の信濃はこのプロジェクトで何を掴んだのか。公演直後に話を聞いた。

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『信濃岳夫新喜劇2026』より。 公演レポートはこちら⇒


--公演直後、今の心境はいかがですか?

ハプニングはいろいろありましたが、ただただ楽しかったです。やっぱり若手ばっかりでやらせてもらっているので、思い切ってカバーできていたりしました。普段の新喜劇はベテランさんとか、腕のいい人たちがやられているので、ミスはほとんどないのですが、、こういう若手のイベントはミスが結構あったりします。そこを若手同士ゆえ思い切って笑いに変えたりできるので、そういうところを良く捉えれば楽しくできたなと思います。

--幕が上がるまでの不安はありましたか?

去年までは、2、3人がリーダーの『吉本新喜劇2025』をやっていて、責任も分散されていたので、それはそれで楽しかったんですけど、今回は1人でやるということで、全責任を負うというプレッシャーというか、みんなをスベらせるわけにはいかへんなという不安はありました。ただ、幕が開いてしまえばいつもどおりに出来ました。

--うどん屋と空手道場という組み合わせでしたが、題材はどういうふうに決めたんですか?

元々空手の話をしたいと作家と話していたのですが、この『新喜劇2026』は本公演のセットを使うというルールがあるんです。そこで空手の話をお願いしますと言ったら、「うどん屋のセットでやってください」となったので、どうしようかと考えて、それやったらうどん屋のセットを空手の道場に使ったらどうですか?っていう感じで話が広がっていきました。うまく使えたらそれはそれで気持ちがいいし、もうセットが決まっているというハンデを逆に力に変えたらいいなって思って、話を作っているときは楽しかったですね。

--出来上がっていく過程はいかがでしたか?

一応僕がリーダーでやらせてもらったんですけど、作家と二人三脚で作っていく途中、話し合っているとお互いによく分からなくなってきて、全然意味分からん方向に行くときもあるんですけど、でもそれで、徐々に修正してできあがっていきました。

--信濃さんと作家さんが作られたものを座員の皆さんに見てもらって。

座員の皆さんにその台本を渡すじゃないですか。ほんまにどんな顔して読んでるんやろうとか、おもんないって思われたらどうしようとか、そんなんめっちゃ思いましたね。だから、優しい先輩とか後輩にどうやった?って聞いて、無理やりにでも「面白かった」って言ってもらいました(笑)。それで安心して、本番に挑んだという。

--信濃さんは、性格はリーダーに向いているとか思いますか?

あー…どうですかねぇ…。そこまで「よし、じゃあこうしよう!」という決断力はないんですよ。基本的に優柔不断なので。「絶対にこうだ」っていうのはないですが、みんなの意見を聞いて、それをこうしようというふうにするのは得意ですかね。だから、カリスマ的リーダーではないです。意見聞いて、意見聞いてっていうリーダーです。

--意見に惑わされるときもありますか?

めちゃめちゃあります。もうめっちゃあります。どの意見も合っている気がしてきて、分からなくなるんです。けど、最終的にはこれだと思ったものをやらせてもらいます。

--そう決めたらゆるぎない。

そうですね。でも、いろんな人の意見も聞きたい。それで、一番いい策はないかなって。そういう意味で、いろんな人の意見を聞きたいなって思います。

--今は公演直後ですが、この舞台で得たもの、座員として、芸人として何か掴んだものはありますか?

無力感はすごく感じましたね。ポジティブな無力感ですけど。自分1人では絶対にできていない。先輩の烏川(耕一)さんとか、清水(けんじ)さんに出ていただいて、そこでめっちゃ助けてもらって。後輩、同期のメンバーも、僕のミスをめっちゃフォローしてくれて。その辺は今まで培ってきたチームワークかなと思います。そうですね…、チームワークは得られてきているかなと思いますね。あと、みんなの偉大さを感じました。

--今年は『新喜劇2026』が早々にありましたし、幸先よいスタートを切れたのではないですか?

いやほんま、今年は一応勝負の年と思っていて。一発目にこれがあったので、運命的なものじゃないですけど、これは勝負の年やなと。もちろん本公演でもがんばっていかなあかんし、ええ役ももらえるようにがんばらないといけないと思っているので、これはいいスタートダッシュを切れるようにという、ちょっと運命的なものを感じましたね!

--今後、新喜劇をどう背負っていきたいですか?

もちろん座長になりたいです。でも、座長はかなり限られた人がやるものなので。そして世間の方から新喜劇の信濃と言われるようになって、『探偵!ナイトスクープ』(ABC)に出られるようになりたいです。

--では、座長になる条件を3つ挙げてください。

人望、センスと決断力。

--では、この3つを、これからも磨いていって。

そうですね、今のところ一つもないので(笑)。人望もセンスも決断力も、何とか出していこうと。ただ、今回の『吉本新喜劇2026』で、自分ひとりで決めることができたので、決断力は鍛えられたかなと。まあ、今回は一発勝負で、台本上で決めたことがそのまま舞台に出てしまう怖さはありましたね。

--その怖さがありながらも、楽しかった。

はい。スべったらすべったで楽しいし、ミスったらミスったで何とかしようという楽しさがありました。他の芝居だと1ヶ月間とかみっちり稽古しますけど、新喜劇って基本、一日だけなんですよ。一日3、4時間やって、次の日が本番なので、逆にそのゆるゆる感が何が起こっても対応できるようになっているところがすごいなと思います。…面白かったですか?

--面白かったです。

面白かったと書いといてください(笑)。

--大成功ですか?

失敗は成功の元と…。どうや!(と、周囲のスタッフに声をかける信濃)。何言ってるか分からんかったやろ? 俺が一番分からんかったわ(笑)。何かええこと言わなあかんと思ってもうて。そうですね、楽屋に戻ってみんなが笑ってたんで、大成功です!




(2016年1月22日更新)


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信濃岳夫

次回公演
新名徹郎の吉本新喜劇2026

発売中

Pコード:448-892

▼2月3日(水) 19:00
なんばグランド花月

全席指定・大人-1500円
全席指定・子供-1000円(小学生以下)

[出演]新名徹郎/他

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吉田裕の吉本新喜劇2026

発売中

Pコード:448-894

▼2月4日(木) 19:00

なんばグランド花月

全席指定・大人-1500円
全席指定・子供-1000円(小学生以下)

[出演]吉田裕/他

チケット情報はこちら


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