うどん屋と空手道場がドッキング!
吉本新喜劇座員、信濃岳夫が座長となって上演した
『信濃岳夫の吉本新喜劇2026』をレポート!
2016年より吉本新喜劇の若手座員が中心となって贈る『吉本新喜劇2026』が始まった。毎回、1人の座員がリーダーとなって吉本新喜劇を上演。台本から出演者のキャラクター設定など、すべてを手がけて、オリジナルの新喜劇を作り上げる。その第一弾となったのが、1月15日に行われた『信濃岳夫の吉本新喜劇2026』。烏川耕一、清水けんじが加わり、うどん屋と空手道場をドッキングさせたオリジナリティ溢れる舞台を繰り広げた。
物語の舞台は「うどん道場 花月」。なんでも雑誌などに載る人気店らしく、食べに来たカップル(新名徹郎&吉岡友見)も大絶賛。ところが店員(安井まさじ、奥重敦史、吉田裕)の失礼過ぎる接客に大激怒と、一連のやりとりで、さっそく笑いを起こしていく。
続いて黒い胴着姿の男(信濃岳夫)が不思議そうに店を眺め、カップルから「うどん屋だ」と説明されるとますます混乱。道場の跡取り息子で、武者修行に出ていたという男は、奥から出てきた吉田らをを見てビックリ! 父の弟子だったはずが何故うどん屋に...? 買い出しに行っていたという姉(酒井藍)が帰ってきてやっと理由が判明、岳夫の留守中に父が急逝し、道場存続のため藍が得意のうどんを売りだしたところ人気となり、今ではうどん屋がメインになってしまっていたのだ。

信濃は緊張のあまり(?)セリフを噛む場面も。そんなハプニングも、言い間違いを使ってギャグに仕立てるなど出演者らがどんどんいじり、笑いへと変えてゆく。姉弟感動の再会シーンは、信濃が酒井にはじき飛ばされ肉弾戦の様相ともなった。
そんな中、店にあやしい男たち(今別府直之、レイチェル)がやってくる。どう見てもチンピラというふたりだが、今別府は矢野・兵動 兵動と間違われ、ハンチングとメガネをつけて「すべらない話」を披露させられることに。仕方なく年賀状にまつわる笑えないエピソードを語り、客席をざわつかせてしまう今別府。その上、レイチェルのボイスパーカッションと「ピュッピュッ」のギャグでコラボするなど、やりたい放題だった。
埒が明かず兄貴分(清水けんじ)を呼び込むと、今度は「薄い顔」いじりが炸裂! ショバ代を求める清水に対し、信濃、酒井、吉田、奥重、安井がコンビプレーでボケ倒し、止まらぬ攻撃に清水が思わず「もういい!」と池乃めだかの名フレーズを絶叫するひと幕も。
舞台は翌朝。せっせとうどん屋から道場に戻すべく片づけをしている信濃。いざ稽古を始めてみると、吉田、奥重、安井はサボりまくりで、客席も大爆笑。そして酒井からは「道場だけでは食べていけない」と言われ、姉弟げんかが勃発したところに、格闘技雑誌の記者(いちじまだいき)が登場。さらに、うどん専門雑誌の記者(諸見里大介)も加わり、高過ぎる声や悪過ぎる滑舌で舞台を混乱に陥れた上、因縁の相手である空手家(太田芳伸)と空手協会会長(清水啓之)、うどん職人(タックルながい)とうどん協会会長(烏川耕一)らが次々と店に乱入し、それぞれ信濃と酒井に決闘を挑むという怒濤の展開に! 果たして姉弟の、そして道場の運命は…!?

物語はいよいよクライマックスへ。別々の日に行われる予定だったふたつの決闘が、何の手違いか同日・同時刻に重なってしまい、仕方なく「空手」と「うどん」、まったく別物の闘いが交互に行われるハメに。信濃と太田の手に汗握るバトルの一方で、体格だけは武道家風ながら動きのまるでない酒井とながいのうどんづくり。1分ごとに入れ替わる「動」と「静」の攻防が爆笑を巻き起こす。気付けば「うどん」のはずが「空手」で対決していたり、相手が入れ替わっていたりと、まさにカオス状態となるも、激戦の結果、姉弟はともに勝利!

酒井が弟の成長を認め、改めて「空手」1本で道場を運営することが決まり、めでたしめでたし...のはずが、最後は小競り合いの末、酒井が信濃を一撃で倒し「誰よりも強い」空手家の称号は思わぬ人物の手に。笑いと拍手に包まれ、この日の公演は幕となった。
エンディングで、清水けんじから「(同シリーズでリーダーの)一発目に選ばれるということは、会社も期待している証拠」と持ち上げられた信濃だが、座員トークの仕切りはちょっぴりぎこちなく、さらに笑いを誘う。清水は劇中でめだかのギャグを思わず口にしたことを振り返り、「みんなが(清水いじりを)やめへんから、テンパってパクってしまいました」と告白。烏川からは「こんな格好をさせられて、でも何ひとついじられず」と苦情も!? これをきかっけにふたりから物語の"回し役"である信濃にダメ出しも連発される中、信濃の初の座長公演は幕を閉じた。
(2016年1月22日更新)
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