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ホーム > インタビュー&レポート > 世界最高峰のミュージカルスター/ダンサーの ヒントン・バトルと夢の共演を果たす 日本が誇るタップダンサーHIDEBOHが語る 『ヒントンバトルズ アメリカン・バラエティ・バン!』

世界最高峰のミュージカルスター/ダンサーの
ヒントン・バトルと夢の共演を果たす
日本が誇るタップダンサーHIDEBOHが語る
『ヒントンバトルズ アメリカン・バラエティ・バン!』 (2/2)


――なるほど。では話を戻しまして、『AVB!』ですが、製作発表会見でも「共演者として吸収できるところはしたい」とおっしゃっていましたが、例えばどういうところを吸収したいと思われますか?

全部ですね。リスペクトをしている人のいいところも悪いところも全部、見ておきたいです。どういうところで抜いているか、それも含めて。人は完璧であることはあり得ないし、“ダメなところ”と言うと失礼ですが、“こういうものなのかな?”っていう部分を知るのも喜びというかね。というのも、自分も“そんなもん”ってところがあって、そこが悩みだったんだけど、それをダメな部分にしないで、いいところだったんだ!みたいに思おうと。結構ポジティブなので(笑)、そういった意味では。演出とか照明、振付でも何でも、細かいことに越したことはないし、よかったっていう面もあります。日本の精密機械じゃないですけど。だけど細かいから大きなところが見えなかったこともあるんですね。あと、日本ではノリが足りないことが多くて。ただ、関西はノリがすごくあると思うんです。芸人でもとか“ノリ”と“ナリ”で決まっていくこともあると思うし、(『AVB!』でも)だんだん土が固まっていくんじゃないかなって思いますね。日本人は最初からセオリーを決めて、“1から行きます!”みたいな。で、ちょっとでも決めてないと“何で決まってないんですか”ってなることが多くて、そういう状況に慣れちゃってますけど、そうじゃないことも楽しいというか、人が楽しむものになるのかなって。そういうお客さん目線も大事にしたいですね。お客さんはお金を払っている以上、肩懲りたくないから。

――“楽しみたい”という欲求はありますもんね。

そうなんですよね、完璧に作ったものってもしかしすると肩が凝って、“難しいなぁ”って説教みたいなことになってくるような気がしてね。外国人のノリも含めて、そうじゃない方がよかったりするのかなって思うんですね、ものづくりには。

――余白を残す感じですか?

余白は大事ですね。よしもとでも師匠を観ていて芸の余白は余裕だと思うし、余裕がないものって何でもダメだと思うので。自分も余裕を持つ、そして世界的に活躍している人の余裕って何だろうなって考えますね。たけしさんを見ていても、いつも思いますけどね。「日本の笑いを教えてやんないとダメなんだよ」って、ベネチアに賞をもらいに行った時、名前を呼ばれるわけです。それで階段に上がるんだけど、そう言って階段で1コケするんです。けど全然通じなくて、「大丈夫ですか?」って言われて終わる(笑)。全然、笑われなかたっていう(笑)。「通じなかったな」って言ってるんですけど、それをやってみる感じとか、“すごいな、あそこでコケるんだ”っていう。「2段目でやってみるからさー」とかやってるんですよね(笑)。その変わらぬスタンスというか、ある意味戦ってるなって。ここだからちゃんとやらなきゃいけないってやりすぎると多分ダメで、分かる人には“すごいことをするなぁ”というかね。

――芸の余裕ですね…。

何かね、懐は深い方がいいですよね。そういうところを人は観たいんじゃないかなと思いますね。

――観る側もその余裕にホッとするかもしれないですね。

そう感じると思いますね。だから外国人ってそこを生まれながらにして知ってるのかなって思いますね。外国人の場合は、舞台に出る直前まで袖でしゃべってて、「じゃ、ちょっと行ってくるわ」っつってmそのままわ~って出る。“何だこれは!”っていう(笑)。表と裏があんまりないんですよね。日本人は割りと「緊張する」ってガチガチになってる人が多くて、緊張するのって日本のお国柄なのかな~って思いますね。

――日本人のいいところでもあり。

そうですね。この美学が難しいですね。外国でテレビの司会者とか見るとやたら偉そうに見えるし(笑)。でも、それが自然体なんですよね。“テレビでこんなに偉そうにしてていいのかな”って思うんですけど、多分ラフなんでしょね。

――ちゃんとしたものを見せたいという気持ちが、そういうかしこまった感じになるのかもしれないですね。この『AVB!』は日米のそういう感覚もいい具合に混ざって…。

ね~! こっちも必死で日本のしきたりを教えてやろうと思いますね(笑)。こういう時は正座しないとダメだとか(笑)。

――この『AVB!』は、HIDEBOHさんのキャリアにおいて、どういう位置づけになりそうですか。

大きいですよね。いろんなお仕事をいただいて、そのつど、自分のやってきた芸の引き出しを出していくわけなんですけど、たまに大きくチャレンジしなければいけないことが人生には訪れるんですよね。『AVB!』は完全にチャレンジです。自分の牌の中でやるのではなくて、世界的なもので。そしてアメリカでやるのではなくて、なんばグランド花月っていう日本から発信する。キャストは向こうから来るという、ブロードウェイが降りてくるようなものですけど、僕の場合、生まれた土地でやるわけですから、日本から外に発信していけるものを作れないと、踊れないと、演じられないとダメだと思いますね。日本のお客さんに見せることには変わりないんだけど、世界のお客さんに見せるつもりでやる勢いとい…。うん、今までとはやっぱり違う。特別な位置づけではありますね。

――そういうことにチャレンジするというお心持はいかがなものですか?

普通ですよ、ワクワク半分で、やったー!っていう気持ちと、正直、怖さもありますよね。緊張感のような。ただ、そこを怖がっていたら何もできないので、“いいもの降ってきたなぁ”って思うことですね。“これはしめたな”と。壁はいっぱいあると思うんですよね。英語も通じないこともあるでしょうし。だからそこを壁を越えるというのかな。言葉の問題じゃなく、芸の部分で並んでいるところまで来たんだねっていう状態になれないと絶対にダメですよね。そこは慢心してられないなと。精進、精進だろうなと思ってますね。

――先ほど、ご自身をポジティブだとおっしゃっていましたが、いい意味で畏怖の念ってすごく大事だと思いますが、“いいものが降ってきた、よし!”っていう感じは本当に、いいですね。

先ほども言った“縁が縁を”という、不思議な縁を感じますね。たけしさんがいて、『座頭市』があって、タップのグループをやって、いろんなライブをやったりして。そして、よしもとに入っているという。よしもとに所属するタップダンサーって多分、例はなくて。よしもとじゃなければヒントン・バトルにも会ってないので、これは何だろうなと自分でも考えますよね。そういった意味では大きな転機というか、一つの“すごいもの”が降ってきたな!っていう感覚ではありますね。後は、2ヶ月間やって、お客さんが「ああ、ブロードウェイに行かんでもここで観れたわ」という感覚で、野球のイチローさんじゃないですけど、“日本人もね、よう活躍しとるね”って感じで納得してもらえたら、ちゃんとやることやったなって思ります。

――楽しみですね。

ね! 本当に、いいものができれば。

――こういうロングランのバラエティーショー、キャストも海外から来られるショーもなかなか、観る機会もないと思うんです。

状況としても全体がそうですよね、ショービジネスとしては大分、少なくなってるんじゃないかな。夜におしゃれをして、ドレスを着て、「今日はブロードウェイのショーに行くわよ!」っていう文化がアメリカにはあるんだけど、日本にはどんどんなくなってきていて。日本でも昔はグランドキャバレーとかあって。うちの親父とお袋の世代がそうで、進駐軍とか、横浜とか、いろんなところに生バンドのいるグランドキャバレーがあって、クレイジーホースとかいろんな有名な劇場がいっぱいあって、越路吹雪さんとかいろんな方が出ていて。タップダンサーだと中野ブラザーズ先生がずっと江利ちえみさんと出ていて、華やかな時代ですよね。それを経て、経て、経て、バブルを経て、経て、経て、デジタル音楽になって、ミュージシャンも要らなくなって、どんどんどんどんって。そうなるとやっぱり、ブロードウェイとか、ラスベガスに観にいかないとってなりますよね。僕もラスベガスでシルク・ドゥ・ソレイユを観た時、“何じゃこれは!”って(笑)。シルク・ドゥ・ソレイユのショーを長期間やるためのホテルを先に設計をするとか、あり得ないなと思って。そこにうらやましさも感じますよね。

――そういう疑似体験もできる2ヶ月間に。

ヒントンはそういうことを言ってましたね。そういうショーであってほしいし、自分も演者として、そこでできる限りの挑戦をしたいなと思います。

――いち観客としても、ショーを選ぶのも一つの縁だと思うので、“この公演に行ってみよう”という気持ちも大事にしたいですね。

もう1回観てみたいなって、口コミで「本当によかったから、行ってごらんよ」っていうのが本当にいいショーだと思うので、テレビでいっぱい宣伝したから来るっていう、そういうことだけではないと思うんですよね。本当にいいショーをやりたいと思います。

――期待してます!

頑張ります!(笑)




(2013年12月10日更新)


Check
HIDEBOH
ひでぼー●映画『座頭市』の出演・振付を担当した日本のタップダンス界の第一人者。6歳よりタップダンスを始め、22歳で渡米。タップダンス界のトップスターであるグレゴリー・ハインズの師匠であるヘンリー・ルタンに師事する。帰国後自らのスタイルである、音楽性の高いリズムタップを基調とし、パフォーミング性を高めたオリジナルスタイル「Funk-a-Step」 を確立。(『AVB!』公式サイトより)

『HINTON BATTLE’S
AMERICAN VARIETY BANG!』

<プレビュー公演>
▼12月12日(木)・13日(金) 18:30

<本公演>
▼12月14日(土)~16日(月)・18日(水)~25日(水)・27日(金)~30日(月)
(月)16:00 (火)(水)(木)(金)18:30 (土)(日)19:00
※12/16(月)18:30。12/29(日)16:00。

▼1月5日(日)・6日(月)・8日(水)~13日(月・祝)・17日(金)~19日(日)・22日(水)・24日(金)~27日(月)・29日(水)~31日(金)
(月)(水)(木)(金)18:30 (土)(日)19:00
※1/13(月・祝)・19(日)・26(日)16:00。

<追加公演>
▼2月1日(土)~3日(月)・5日(水)~9日(日)・11日(火・祝)~14日(金)
(月)(水)(木)(金)18:30 (火)(日)16:00 (土)19:00

なんばグランド花月

S席-8000円 A席-6000円

[出演][演出][振付]ヒントン・バトル
[出演]HIDEBOH/他

※未就学児童は入場不可。ビデオ・カメラまたは携帯電話での撮影禁止。出演者は変更になる場合がありますので予めご了承下さい。尚、変更に伴う払戻しは行いません。最新の出演者情報はHINTON BATTLE’S AMERICAN VARIETY BANG!公式ホームページでご確認下さい。車椅子の方はチケット購入前にチケットよしもとコールセンター[TEL]0570(041)356まで要問合せ。公演中の飲食不可。

[問]キョードーインフォメーション■06-7732-8888/チケットよしもと予約問合せダイヤル■0570-550-100

『HINTON BATTLE’S
AMERICAN VARIETY BANG!』
公式サイト
http://www.americanvarietybang.com/

チケット情報はこちら


ヒントン・バトルとHIDEBOHが吉本新喜劇に出演!

12月8日、『HINTON BATTLE’S AMERICAN VARIETY BANG!』のPRになんばグランド花月で行われている『吉本新喜劇』に出演したヒントン・バトルとHIDEBOH。HIDEBOHがタップを取り入れて公演概要を紹介すれば、ヒントンと4人のダンサーが本公演の1シーンを歌とダンスで披露した。そして川畑泰史のボケに全員でコケるなど、お笑いにも挑戦。その見事なコケっぷりに芸人たちから賞賛さんの声が上がっていた。

そして公演を終えた川畑、ヒントン、HIDEBOHが囲み会見に応じ、「101年も続いている吉本興業で、吉本新喜劇の中に加わり、すごい才能のある芸人の皆さんと一緒に舞台に立てたことを、本当に光栄に思います」と感想を語ったヒントン。「吉本新喜劇は日本の顔。そこにダンスで参加させてもらえるなんて…。ドキドキワクワクしながら、みんなで楽しむことができました」と、HIDEBOHもコメントを残した。川畑によればヒントンやHIDEBOHとの共演に、芸人たちは羨望の眼差しを送ったとか。「座員一同、本当に感動したし、一緒のシーンに出られなかった者は悔しがっていました。興奮しました!」とテンション高く語る川畑。

『HINTON BATTLE’S AMERICAN VARIETY BANG!』幕開けムードも盛り上がってきたなんばグランド花月。大阪から世界へ発信するエンタメショーをお見逃しなく!