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「10年前にキラキラした気持ちで始めたバンドを思い出したかった」
未完成の輝きを刻んだ『波打つ心を持ちながら』を引っ提げて
結成10周年に目指すは夢の大阪・なんばHatch!
カネヨリマサル全員インタビュー&動画コメント

 メジャーデビューから約一年。大型フェスへの出演、憧れのアーティストとの対バン、映画『17歳は止まらない』やLeminoオリジナルドラマ『放課後ていぼう日誌』の主題歌を担当etc…数え切れない夢をかなえたと同時に、多くの挫折と苦悩を味わった、カネヨリマサルの’23年。そんな濃厚なデビューイヤーを経て、結成10周年となる今年2月にリリースされたミニアルバム『波打つ心を持ちながら』には、前述のタイアップ曲『GIRL AND』『わたし達のジャーニー』や、初ライブから披露している重要曲『バンドマン』ほか全7曲を収録。そして、現在は同作を引っ提げ、自身最大規模にして初の全国ワンマンツアー『彗星みたいになりたいツアー』を開催中。4月21日(日)には、地元大阪・なんばHatchにてツアーファイナルを迎える。オルタナティブなバンドサウンドを貫くピュアネスとポップセンス、キュートな歌声に潜むタフネスには、未来を感じずにはいられない。カネヨリマサル、全員インタビュー。



いっぱい悩んできたから、ちゃんと夢がかなったんだと思います


――今作のリリースに伴うタワーレコード梅田NU茶屋町店でのインストアライブで、「1年前のアルバムリリース時よりたくさんのお客さんが来てくれた」と言ってましたが、仕切りから溢れるほど多くの人が集まった光景に、ちょっと感慨深いものがあったんじゃないですか?

ちとせ(vo&g)「あの日は会場の端から端まで顔が見えて、本当にうれしかったですね」

いしはら(b)「私もよくCDを買ってインストアライブに行ってたし、こういうのって今の時代になくなりつつある文化だとも思うので、わざわざCDを買って見てくれてると思ったら、ライブとはまたちょっと違ううれしさがありますね。サイン会でお客さんと話もできて、すごく楽しかったです」

――サブスクで気軽に聴ける時代だからこそ、ですよね。インストアを見て思ったんですけど、10年バンドをやってきたのにこなれた感じもないし、仲がいいですよね。

いしはら「3人で行動することもいまだに多いんですよ。まぁ人見知りというのもあるんですけど(笑)。3人とも本当に普通の人間なので、ステージに立つ自分たちと、それ以外の場所はもう全然別モノで。だからって取り繕ってるわけじゃなくて、機材車でアニメとか近況の話をしたり、女子会みたいなことをずっと続けてるから、"お仕事"みたいな関係性にはあんまりならないのかなと思いますね」

ちとせ「3人とも同じぐらい音楽が好きなのがやっぱりデカいし、自分の人生を作ってきた心の根本が一緒やからずっとやれてると思う。(もりもと)さな(ds)ちゃんは途中からバンドに入ったんですけど、そこについてこれているのは、全員が同じ熱さ、心の温度なんやろうなと思いますね」

――後から同級生の見えない絆、グルーヴの中に入るのはなかなか難しいと思うんですけど、もりもとさんはそこにフィットできる人材だったんですね。

もりもと「2人の他者を拒絶しない感じというか、結構ウェルカムな空気感があって。当時の自分はめちゃくちゃバンドをしたい人間だったので、そこがちょうどマッチしたのかなと思います」

――デビューイヤーとなった昨年は、憧れでありルーツのaccobin(チャットモンチー済)やTHE 2とも対バンができて、念願の映画やドラマの主題歌も担当したり、挙げればきりがないほど夢がかなった一年だったと思いますけど。

ちとせ「バンドというものを初めて知った中学生の自分に言っても信じてもらえないやろうなと思うことを、本当にたくさん経験させてもらった一年でした。でも、自分たちはそのために曲を作って、歌って、いっぱい悩んできたから、ちゃんと夢がかなったんだと思います」

――それを実現できた秘訣って何だと思います?

ちとせ「やっぱり思い続ける、作り続ける、歌い続ける、アンテナを立て続ける。感受性を鈍らせないのが大事やったなと今は思います。諦めない」

いしはら「人との出会いが結構大きいんやなというのは、バンドを始める前には分からなかったことで。それまでは、"いつかデカいバンドになって売れるんや!"ぐらい漠然とした夢しかなかったんですけど(笑)、実際にライブハウスに出てみたら、そこで出会う人とのつながりがあるから次のライブも決まるし、お客さんに好きになってもらうのもそうやし、ホンマに地道な作業をしないと、そうはなられへんなと思った。自分たちが曲を出して積み上げてきたからこそ、今この人たちと会えている、対バンできているんやなと思いましたね」


私たちは何も変わらなくても
メジャーデビューすることでバンドの見え方は変わる



――今まではいい話を聞いてきましたけど、ライブに関しては一年を通して結構悩んだみたいですね。

いしはら「大きいフェスに出させていただくようになって、"ライバル"というのもおかしいですけど、誰が見ても分かるぐらいたくさんの人がバンドに熱狂しているのを見ると、"どうやったらああいうふうに人を魅了できるんやろう?"みたいに比べちゃう自分がいて。"何で自分たちはあの場所に行かれへんのやろう?"と背伸びをして...ずっと悩み続けていました。まだまだやなと思い知った一年でしたね」

もりもと「ライブの規模感がちょっとずつ大きくなってくると、自分たちのステージにカッコよさを求め過ぎるというか..."こう在りたい"が強過ぎて周りが見えなくなっちゃうぐらい、ちょっとしたことで"自分はもうダメや、やっぱり向いてへん"って動揺したり。ライブでは特にそういう機会が多くなるというか」

ちとせ「私たちは何も変わらなくても、メジャーデビューすることでバンドの見え方は変わるじゃないですか? それに追いつこう、追いつかないと見合うバンドにならない。どうやったらいいライブができるのか、自分たちの音楽の見せ方の正解はどれか...。カッコいいバンドのまねをしても自分たちにはできなかったり、自分の声では届かなかったりすると不甲斐なさも感じつつ、自分たちのやり方を考えて...本当に悩んだなと思います」

――めっちゃ悩んだのが伝わってくる(笑)。その突破口は見つかったんですか?

ちとせ「一本一本のライブで更新していった感じがしていて、"こういうステージなら、自分はこういうことを言いたい"とか、"このセトリでこの曲がこの位置なら、もう全部出して思いっ切り歌おう"とか、同じ曲でも他のライブでは歌い方が違ったり、いろんな正解をとにかく数で見つけていった感じですね」

――ちとせさんのフロントマンとしての成長や変化を2人は感じます?

いしはら「それまではライブの細かい部分の話じゃなくて、自分たちの良し悪しでしかなかったんですけど、もうちょっと客観的に、自分たちがやっていることがどうお客さんに見えているのかを話すようになりましたね」

もりもと「より3人で話し合うようになって、"こういうライブだから、ここの歌詞はこういう感じで伝えたい"とか、"ここはしっかりテンポを落として、こういうグルーヴが欲しい"とか、ちとせの意見の変化を受信しています」

――他にも、去年は体調不良になったり機材車の到着が遅れたりギターが鳴らなかったりとハプニングもありましたけど、そういう類いの話はもう落ち着いたんですか?

ちとせいしはら「いや、ちょっと...(笑)」

――アハハ!(笑) 誰かに何か憑いてるんちゃうかと思うぐらい。

いしはら「自分たちでもリアルにそう思って神社に行ってみたんですけど」

ちとせ「"地元の氏神様に会ったらいいよ"って、ちょっと霊感のある人に言われて(笑)」

――それで解消されたのかな?

ちとせ「最近は...まだあったな(笑)」

いしはら「でも、大きなやつはなくなりました」

――これもいつか笑い話になりますように(笑)。


10年前の曲なのに、その当時のことを鮮明に覚えてる


――そうやって過ごした一年の結晶が『波打つ心を持ちながら』だと思うんですが、今作にはテーマがあったわけではなく、作りためた曲が集まったら自ずとこうなったと。初ライブから演奏していた『バンドマン』(M-1)もついに収録されましたが、まだバンドが未完成の段階で世に出しておきたい思いがあったにせよ、デビューアルバムではなくなぜ今作だったんでしょう?



いしはら「デビューして一年、苦しいこともあった上で改めて、自分たちが10年前にキラキラした気持ちで始めたバンドを思い出したかった。今、この曲を聴いても"これからもバンドを頑張ろう!"という気持ちになれるから、無意識に求めていたのかなと思います」

ちとせ「昔はどういうステージで歌いたいとか、どんなふうに聴かれたいとかも全く分からなかったんですよ。そこから酸いも甘いも知って、バンドも10年目だからこそ、これを歌ったらカッコいいんじゃないかと思って」

――そんな大事な曲をよくここまで寝かせておけましたね。でも、そこからずっと覚えているなら特別な曲ですね。

ちとせ「本当に特別ですね。ライブでも1年目だけやってましたけど、10年前の曲なのに、その当時のことを鮮明に覚えてるのは、なかなかない曲だと思います」

――大阪・アメリカ村BIGSTEPのサイゼリヤで話し合いながら作ったという逸話は、関西のバンドならではのエピソードで(笑)。今、改めて見ると、ちょっと予言みたいな歌詞でもありますね。

ちとせ「そうですね。あれから10年経って新しい自分になれたから、客観的に受け取れたのもあります。素直な言葉の強さと意味を、今の自分で解釈できて歌えた。昔のアレンジがちょっとダサいなと思って、今になってブラッシュアップできたのも楽しかったですし、最後のギターソロも元々はなかったので、今の自分が"バンドマンになったぜ!"と思って弾くギターのカッコよさを入れられたなって」

もりもと「カネヨリマサルと出会ったとき=初めて対バンしたときもやっていためちゃくちゃ好きな曲で、いつか出したいなと思っていて。自分の心情にも寄り添うピッタリなタイミングやと思うし、この一年、3人で頑張ってきて、いろいろあった今だからこそ出せた感じがします」

いしはら「当時、自分が弾いたベースはかなりシンプルだったんですけど、今回もそこはあえて変えてなくて。この曲が完成したとき、"最初にコピーできる曲になったらいいな"という気持ちが芽生えました。自分たちの初期衝動が語り継がれるというか、これをバンドマンになりたい人が歌ったらすごいエモいなって」


主人公の気持ちに寄り添ってると思うし
それがちゃんとカネヨリマサルらしい言葉にもなってる


――『GIRL AND』(M-2)は初の映画タイアップ曲で、"青春ロック"を追い求め続けるカネヨリマサルにもってこいのオーダーだったと思いますが、お題があってそこを目がけていく作業はどうでしたか?



ちとせ「映画『17歳は止まらない』のストーリーが純粋に面白かったし、自分とリンクしたところもあるので、作るときにあまり困った記憶はなくて。主人公が心をそのままさらけ出しているような映画だったので、"こういう時代が自分にもあったよな"と思いましたし、それを私の言葉でも表現できた感じがします」

いしはら「主人公の気持ちに寄り添ってると思うし、それがちゃんとカネヨリマサルらしい言葉にもなってる。自分たちの曲として出しても全く違和感のない曲ができたのは、本当にすごいなという印象でしたね」

もりもと「いい曲ができたなとは思ったんですけど、実際に映画のエンドロールでこの曲が流れたとき、"うわ、ピッタリや"って感動したのを覚えてますね」

――ちなみに、タイトルの『GIRL AND』に続く言葉は最初はあったんですか?

ちとせ「あえて続きを書かないようにして、いろんな人が選択していくことを肯定したいなと思って。他の人に不正解だと言われても、自分にとって正解ならそれでいい。なので、『GIRL AND』の続きは聴いた人が決めてほしいし、自分で決めたいなって」

――『わたし達のジャーニー』(M-3)も、Leminoオリジナルドラマ『放課後ていぼう日誌』のタイアップ曲で、コーラスが抜群に効いた一曲ですね。



ちとせ「制作前にドラマサイドの方としっかりお話できて、テーマみたいなものも理解できたので、意外とすらすら書けました。女子高生が部活に励むドラマなんですけど、自分も部活はやってたし、友達と切磋琢磨した思い出を引っ張り出してきて...。同時に、女子高生のときにはなかった、大人の今の自分でも書けた感じがします」

――僕は昔のことをどんどん忘れちゃうので、学生時代とか過去の話で曲が書けるミュージシャンに、いつも感心させられっぱなしなんですよね。

ちとせ「私、めっちゃ記憶力がいいんですよ。ベビーカーに乗っていたのも覚えてます(笑)」

――マジで(笑)。あと、ちとせさんの一つ一つ感じたことを忘れたくない、曲に、形にしたいという衝動はどこからくるのかなとも。それこそがソングライティングの根幹だと思いますけど。

ちとせ「自分の性格上、忘れたり、自分の確立された考えを失うことが損やと思ってるんです。そうやって自分の考えを残していくことが好きなので、例えば、ライブを見て影響を受けた気持ちとか、日常の中で思いついたことは、すぐメモをするようにしていて。それが作詞に活きるのかなと」


『君にさよなら』が完成してブースで聴いたとき
"これはヤバい曲ができた"と思いました


――今作で個人的に好きな曲は『ラブソングがいらない君へ』(M-4)で。イントロのリフからアガるし、歌詞の純度とポップセンスが昇華したいい曲だなと。ラブソングというだけで敬遠する人にも聴いてほしいという思いが込められていますが、そもそもちとせさんは常日頃ラブソングを書こうとしているのではなく、本当の自分を書いたらラブソングになると言ってましたね。



ちとせ「そうですね。あと、今までは感情をぶつけるラブソングが多かったんですけど、これは一歩引いて"ラブソングとは何なのか?"を考えた、冷静な自分として歌えた感じがして、それも良かったですね」

――そういう話を聞くと、タイアップの経験が身になっているのを感じます。続く『君にさよなら』(M-5)も、自分たちの失恋ソングの代表作だと思える手応えがあったと。



もりもと「どの曲も完成したらうれしいし、レコーディングの帰り道はずっとそれを聴いちゃうんですけど、『君にさよなら』が完成してブースで聴いたとき、"これはヤバい曲ができた"と思いましたね」

ちとせ「歌詞の通り、眠れなくなって漫画を読んでるときに出てきた思いを、そのまま自然に書けた曲ですね。アウトロの"(商店街二人乗り/君の背中遠く感じた/君の気持ち分からなかった/2人の未来分かってた)"の描写が自分の中でよみがえって...ここは逆に感情的に書きました」

――MVもよくできていて、切なさがすごい。でも、こんなふうに思い出せる恋があるなら、いい人生かなとも。この曲しかり次の『番外編』(M-6)もそうですが、いしはらさんはサビで泣けるベースラインを常々意識していると。

いしはら「曲がいいのはもちろん、ロックバンドやからカッコいい音を出したい気持ちはあるんですけど、生活の中で音楽を聴いてるとき、寄り添ってくれるのってベースの音かなと思うんです。そこも含めて、ほろりとなってほしいなという気持ちを込めて弾きました」

――もりもとさんはもりもとさんで、『君にさよなら』のレコーディング時に室内の温度を下げて、環境から冬のムードを作って挑んだという話も。

もりもと「『君にさよなら』はちょっと暑い時期に録ったんですけど、今回のミニアルバムをリリースするのは寒い時期やったんで、冷房を最低限まで下げて、音も"ちょっとカラッとさせたい"とテックさんに相談して、切ない気持ちで叩くのを意識しました。この曲に合ったドラムを叩けたなと思います」

――『番外編』は春の曲を作ろうというのが出発点で、鮮度の落ちた恋愛を形にしたとのことですが、それって感覚的にはどのような感じなんですか?



ちとせ「その人がいなくても全然生きていけるようになったからこそ、完全にあとがき=『番外編』として書けた。それが=鮮度の落ちた、になるのかなって。まぁ前を向くために書いているところもありますけどね...」


本気でやって、本気で好きなものに言われたから、ずっと悔しかった


――最後の『見えないくらいの高速で』(M-7)も、『バンドマン』と並ぶ大切な曲だと思います。これを書いたのは'22年のコロナ禍で、後遺症で声がうまく出ず歌えない時期に作曲したと。これはつらい経験でしたね。

ちとせ「コロナ禍が明けてすぐにレコーディングがあったんですけど、本当に声が出なくて、めちゃくちゃへこみまくって、ふさぎ込んでいました。ずっと家にいても寝て治るわけじゃないのが難しかったですね。薬もいろいろ試したんですけどうまくいかなくて、最終的に鍼でようやく効きました」

――『バンドマン』が過去に描いた自分だとしたら、これは現在進行形のカネヨリマサルですね。

いしはら「この歌詞は、本当に落ち込んだときにしか書けないだろうなと思いました。いきなり、"明るく振る舞う 優しく振る舞う/こともできない、ことが苦しくて"という歌詞が出てくるのが...やっぱり人間って弱ったときにそういう気持ちになるよなって。その"弱さ"がこの歌詞の中にはずっとあるんですよ。弱いんだけど、それでもちょっと自分を奮い立たせるところはカネヨリマサルの曲の中で共通してるし、辛いときに聴いたら一番共感できるというか、頑張ろうと思える曲ですね」

もりもと「自分のドラムのフレーズもめっちゃ気に入っている曲で、2番の"ほとんどスポットライトは当たらない毎日を"の辺りのメロディも大好きで。ライブでも最後の曲に推したい曲になったなと思います」

――『バンドマン』もこの曲も、自分の動き方次第で、過去は変えられないけど未来は変えられるという思いを感じる曲です。これはちとせさんが'16年ぐらいに言われた悔しい一言がずっと残っていて、声が出ないドン底とシンクロして曲になったということで。それにしてもさすがの記憶力ですね(笑)。

ちとせ「相手は酔っぱらってたから絶対に覚えてないんですけど、私が本気でやってるバンドに対して言われたのが許せなくて。本気でやって、本気で好きなものに言われたから、ずっと悔しかった。ホンマに何であのとき言い返さへんかったんやろうって思う。でも、それを歌詞にできたし、そう思えるぐらい今の自分は強くなったので」


なんばHatchにチャレンジできる段階まで好きなバンドを続けられた


――ミニアルバムながらとても濃い作品になりましたけど、作り終えたときに何か思いました?

ちとせ「妥協はしたくないし更新し続けたいというか、曲がいいバンドと思われるのが目標なので。自分としてはいい新曲ばかり出せたと思ってるし、曲だけじゃなくてライブも含めて、今がバンドとして一番いいと思ってます」

いしはら「自分たちが好きな曲を、結果的にみんなに好きになってもらえたらいいなという気持ちがずっとあって。今回も"ホンマにいい作品ができたよ!"と思えたし、曲を作る楽しさを忘れずに、それを重ねていきたいですね」

もりもと「この曲順も3人で話し合って、曲間にもこだわって作ったので、発売がすごく待ち遠しかった。お客さんから"この曲が好き"とか"ライブで聴きたい"という声をもらうと、ちゃんと届いたんだなと思うし、この一年をかけて作ってきたものが実ったような感覚になります。これからも、もっともっといい曲を3人で作っていきたいです」

――現在開催中の初の全国ワンマンツアー『彗星みたいになりたいツアー』は、4月21日(日)のファイナルが地元の大阪・なんばHatchで。関西のバンドにとっては一つの到達点となる場所ですね。

ちとせ「10年バンドをやってきて良かったと純粋に思うし、いつも自分たちを褒めるのが下手なんですけど、なんばHatchにチャレンジできる段階まで好きなバンドを続けられたことは評価したい。自分に頑張ったねと言いたいし、それに見合うライブをしたいです」

いしはら「なんばHatchには知り合いのライブを何回も見に行ったことがあるんですけど、すごく刺激をもらってきたんです。あのステージに立つバンドに憧れを抱く自分がいる。なかなか立てる場所じゃないし、自分もそれにビビらずにやりたい。なんばHatchに委縮しちゃうんじゃなくて、自分たちはここまで頑張ってきたからこそなんばHatchに立てたんだと、自信を持って言えるバンドでありたいなって」

もりもと「2人が言うように、なんばHatchへの憧れは強いし、ツアーファイナルで緊張しがちなんですけど、それもちゃんと乗り越えて、ゆくゆくは"なんばHatchじゃ狭いんじゃね?"ぐらいのバンドになりたい。このチャレンジに成功して、また一歩階段を上がりたいです」

――最後に、メジャー2年目、結成10周年の今年に向けたビジョンがあれば聞きたいなと。

ちとせ「バンドを続けていけばいくほど、同じことをやっても新しい答えが見つかったり、最近は人生の面白みを感じていて。メジャー1年目では分からへんかったことが、2年目では分かるんやろうなとワクワクしてるし、生きていくのが楽しみで。自分はこれからどんな歌を作るのか、何に興味を持つのか、何を幸せやと思うのか...それを見つけていって、もっと人間の深みが出たら、もっといい曲ができると思うから、楽しくやっていこうかなと」

もりもと「もっともっとバンドがデカくなって、今のようなワンマンツアーをたくさん回れるようになったらいいなと思うし、いずれは大阪城ホールで絶対にやりたい。そのために、自分たちの今持っているものを磨き上げて、見つけたものを大事にして進んでいきたいなと思います」

いしはら「憧れの舞台とか、最初は無理だと思っていた場所に立てるチャンスをもらえてるのは、今この職業に就けているからこそだし、チャンスがあるうちはできる限りのことをやる方が面白いと最近は思っていて。ステージに立って足が震えたとしても、ライブをやり切る。今、自分が置かれている状況を楽しんで、面白がって、それを一歩ずつやっていったら、カッコいいバンドになれるんちゃうかなと思ってます!」

Text by 奥"ボウイ"昌史




(2024年3月28日更新)


Check

Movie

タイトルの由来から何から解説!
カネヨリマサルの動画コメント

Release

タイアップ曲~バンドの初期曲まで
オルタナ×ポップセンス爆発の最新作

 
Mini Album
『波打つ心を持ちながら』
【初回限定盤A Blu-ray付】発売中 4840円
Getting Better VIZL-2273
【初回限定盤B DVD付】発売中 4400円
Getting Better VIZL-2274
【通常盤】発売中 2310円
Getting Better VICL-65918

<収録曲>
01. バンドマン
02. GIRL AND
03. わたし達のジャーニー
04. ラブソングがいらない君へ
05. 君にさよなら
06. 番外編
07. 見えないくらいの高速で

<初回限定盤Blu-ray/DVD収録内容>
『1st Full Album リリースツアー 2023
“いまを生きるツアー”』
(2023.6.25 at 心斎橋BIGCAT)
※全15曲・約80分収録予定

Profile

カネヨリマサル…写真左より、もりもとさな(ds)、ちとせみな(vo&g)、いしはらめい(b)。“青春ロックを追い続ける”をモットーに、大阪を拠点に活動するガールズスリーピースロックバンド。’14年3月結成。’22年5月に初の東阪ワンマンライブを開催、両公演ソールドアウト。’23年1月、1stフルアルバム『わたしのノクターン』でメジャーデビュー。ポップなメロディと感情を揺さぶる甘くキュートな歌声、恋や青春、日常を切り取ったセンスが光るリリックが10~20代の女性から支持を受け、SNSを中心に話題を集める。’24年2月7日に、ミニアルバム『波打つ心を持ちながら』をリリース。現在は、自身最大規模にして初の全国ワンマンツアー『彗星みたいになりたいツアー』を開催中。

カネヨリマサル オフィシャルサイト
https://kaneyorimasaru.com/

Live

初の全国ワンマンツアー開催中!
ファイナルは大阪・なんばHatchで

 
『カネヨリマサル ONEMAN TOUR 2024
「彗星みたいになりたいツアー」』

【愛知公演】
▼2月25日(日)ダイアモンドホール
【北海道公演】
▼3月21日(木)ペニーレーン24
【宮城公演】
▼3月23日(土)仙台 darwin

【福岡公演】
▼3月29日(金)Fukuoka BEAT STATION
【広島公演】
▼3月31日(日)LIVE VANQUISH
【東京公演】
▼4月11日(木)EX THEATER ROPPONGI

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中
※販売期間中はインターネット販売のみ。チケットの発券は、4/14(日)10:00以降となります。
▼4月21日(日)18:00
なんばHatch
1Fスタンディング4000円
2F指定席4000円
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※未就学児童は入場不可。

チケット情報はこちら


Column

回り道をして
辿り着いたメジャーデビュー
1stフルアルバム
『わたしのノクターン』
でさらに前へ
カネヨリマサルインタビュー('23)

Recommend!!

ライター奥“ボウイ”さんからの
オススメコメントはコチラ!

「結成10周年とは思えないピュアネスとあどけない歌声、何とも言えないノスタルジー。結成10周年ならではの頼もしいバンドサウンド。そのギャップがたまらないカネヨリマサルは、ネクストブレイクの予感を漂わせながらも、デビューイヤーはしっかり壁にぶつかっていた模様(笑)。でも、その先にこんなにもみずみずしい『波打つ心を持ちながら』が待っていたなら、その葛藤はあってしかるべきだったのかなと。楽曲がとにかく粒ぞろい。ちなみに、バンド名の由来はおじさんっぽい名前を思いつきで付けたようですが、てっきり“金より勝る”ものだと思ってましたわ(笑)。現在は絶賛リリースツアー中の彼女たち。勝負のファイナルであるなんばHatchでの雄姿を、ぜひあなたも見届けてください!(その日の景色がまた曲を書かせそう)」