アニソンを歌う宿命を背負って、無敵のJAM Projectが20周年! いつでもチャレンジャーでパイオニアな歴史を刻んだBOXと 豪華コラボ満載の『The Age of Dragon Knights』を語る 遠藤正明×きただにひろしインタビュー&動画コメント
’00年の結成以来、アニソン界のパイオニアとして国内外を問わず活動してきた、影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹による最強ボーカルユニット、JAM Projectがついに20周年! そのアニバーサリーイヤーの幕開けと同時に、CD 21枚にBlu-ray 3枚ほかをコンパイルした最高濃度の『JAM Project 20th Anniversary Complete BOX』、ALI PROJECT、angela、梶浦由記、GRANRODEO、FLOWなど縁のある豪華アーティストの制作参加が実現したオリジナルアルバム『The Age of Dragon Knights』を同時リリースした彼らに、紆余曲折の20年で見てきた忘れられない景色と、最新アイテムの制作秘話についてインタビュー。「20年続くとは思ってなかったし、このユニットがあったからこそ俺はいまだに歌えてる。本当にこのユニットに参加できて幸せだった」(遠藤)。「どんどんチャレンジして、常に歩みを止めずに上を向いて頑張ってる自分たちを見てもらいたい」(きただに)。日本のアニメが、アニソンが、世界とつながっていく奇跡をその目で見てきたJAM Projectを代表し、遠藤正明、きただにひろしの2人に、アニソンを歌い続けた宿命の20年と現在地を語ってもらった――!
1人じゃ絶対にこの景色は見られなかった
――今年は年始早々に強烈なアイテムが出ましたが、まず結成20周年記念の『JAM Project 20th Anniversary Complete BOX』は、CD 21枚にBlu-ray 3枚、他にも付属のブックレットやグッズなども含めて総計4kgもあると。もう生まれたての子供じゃないですけど(笑)。
遠藤 「かなりの健康優良児で(笑)。うちの家にもBOXを送ってくれたんですけど、結構な大きさで迷惑ですよね」
(一同爆笑)
――これ本当に鈍器ですからね、ある意味(笑)。ただ、それだけの歴史がやっぱりあるからで。20周年を迎えた率直な気持ちを聞かせていただきたいなと。
きただに 「僕の26年のキャリアの中でもJAM Projectが18年を占めてるんですけど、あっという間だったのが本当に正直な気持ちで。自分は途中からJAMに入ったんですけど、最初の頃は正直、自分がJAMの中であんまり機能できてないもどかしさもちょっとあったんですけど、今は本当にいいチームになれたなって。この20周年を超えて、もっともっと伸びていくJAMのメンバーが見えますし」
――アニソン界最強のメンツに伸びしろと言われたら、もう勝てないですね。
きただに 「自分も含めてまだまだイケるのが分かるし、やっぱり止まったらそこで終わると思うんですよ。なので、いつでもチャレンジャーの気持ちでいたいなって」
遠藤 「僕は20年やらせてもらってますけど正直、ここまで続くとは思ってなくて。こういうボーカルユニットって個性が強い人の集まりなので、周りを見渡しても長続きしてないのは、やっぱりそういうことじゃないですか?(笑) 奇跡的なバランスと役割分担で、このメンツだからここまで続いたのかなって思いますね」
――それは、ある程度キャリアを積んでから組んだのもあるんですかね?
遠藤 「それはありますよね。あと、影山ヒロノブというリーダーがうちらより6つとか7つ上なのにキャリアは倍近くあって、そんなリーダーがずーっと休まず歌ってるのを見ちゃうと、まだまだね。“疲れた”とか全然言わないんで、こっちが言えない状況もありますけど(笑)」
――この20年で思い出す最高の瞬間と、一番ピンチって何だと思います?
遠藤 「最高の瞬間は、やっぱり1人じゃ見られない夢をかなえてるので…1人じゃ絶対にこの景色は見られなかっただろうなって。この5人だからこそ世界のステージに立てたので、ピンチはいっぱいありましたけど、結果的にそれがプラスになってるというか。例えば海外に行って、うちらは5人ボーカルなのにマイクが2本しかなかったり(笑)、時間の感覚も違って、思ってた時間に始まらなかったり。ただ、向こうは向こうで、“日本人は時間にルーズだな、何で約束の時間の30分も前に来るんだ?”と(笑)。そういう“海外あるある”は山ほどあって勉強にもなるし、少々のことがあっても動じなくなったというか、メンタルがすごく鍛えられましたよ」
きただに 「僕もやっぱり“自分1人の力じゃ”っていうのがあって。僕はJAMに入ったのが後だったし年齢も一番下なので、思うように頑張れてないジレンマがあるときは苦しかったし本当に悔しかったですけど、強いチームに放り込まれてうまい人とやると、自分のスキルが上がっていくのが分かるんですよね。自分1人じゃ絶対に武道館には立てなかっただろうし、さいたまスーパーアリーナみたいにデカいところで歌えるなんて思ってもみなかった。しかもドバイ経由でアブダビ(※UAE=アラブ首長国連邦)にも行き、“えっ? こんなところにまで?”って思う場所で歌わせてもらったのは、自分のキャリアの中でも宝になりましたね。タイミング的にもインターネットの普及で、世界中の人がアニソンを好きになってくれたのは嬉しかったですね」
――逆に言うと、そこに需要があるから歌いに行けるわけで、音楽だけでもそうですけど、音楽×アニメってさらに強烈な磁場じゃないですか。JAM Projectの20年は、日本のアニメが世界とつながった20年でもありますよね。
遠藤 「当時はブラジルに行ってまで歌う日本人なんて全然いなくて、そのときは片言のメールが来て、“あなたは歌える。あなた来ていいけどギャラはない”みたいな(笑)。今考えると、よくそんなところに行ったなぁと。でも、行ったから今の現状があるので。大変だったけど、それによっていろんな仲間たちも行けるようになったし、ちゃんとギャラももらえるようになったし(笑)。水木一郎さんたちはアニソンというジャンルを日本のメディアに広めてくれた。“じゃあうちらは何ができる?”と言ったら、そこしかなかったかもしれないですね」
――最近は、メジャーデビューを目指した理由に“アニソンを歌いたかったから”というのもざらにありますからね。
遠藤 「うちらの世代は本当にもう…ロックで売れなくて…みたいな(笑)」
――アハハ!(笑) ある意味、1回勝負して結果が出て、その次にサヴァイブする場所=アニソンという。
遠藤 「そうそう!(笑) 昔はアニソンってどっちかって言うとマイナーでヲタクっぽいイメージがあったんですけど、それを変えようと思って始めたし、みんなが“今日はアニソンのライブ行くんです!”って、市民権を得るような時代になればいいなって。今ではアニソンシンガーが『NHK紅白歌合戦』にも出るようになってね。あと、世界に行ってみて思ったけど、閉鎖的だったのは日本だけで、そういうことに気付けてよかったなとも思いますし。だから、今の若者たちが“アニソンを歌いたい”とか、“アニソンシンガーになりたい”って言ってくれるのはすごく嬉しいですよね。でも、アニソン界ってあるようでないので、そこをしっかり築いていくのがうちらの次の仕事なのかなって」
オリジナル曲でもアルバムを出せてきたのは、 アーティスト冥利に尽きる
――そして、この20年を振り返るBOXと同時に、しっかりと今を表現するオリジナルアルバム『The Age of Dragon Knights』がリリースされて。
きただに 「アニメのためのアニソンを歌うユニットなので、タイアップありきでの活動じゃないですか。その中で、オリジナル曲でもこうやってアルバムを出せてきたのは、やっぱりアーティスト冥利に尽きるなって」
遠藤 「さっき言ったように、アニソン界ってあるようでまだないんですよ。若者たちがアニソンシンガーを目指してこの世界に入ってきて、リアルに食べていくために何をするのか? その1つの答えがこれなのかなと思いますね。アニソンを歌ってるアーティストの方々…新作に参加してくれたALI PROJECTさんにしても誰にしても、皆さんが唯一無二のカラーを持ってる。そうじゃないとみんな聴いてくれないと思うし」
――本当に、邦ロックシーンにいるバンドよりアクが強い方が多いというか(笑)。
(一同笑)
――アーティスト=ジャンルみたいな方が多いですよね。そんな個性的な面々が新作ではコラボレーションしてくれてますけど、むしろ今までしてなかったのが意外ですね。
遠藤 「こういう機会でもないと、やっぱりね…20周年でこういうコラボが実現したのはすごく嬉しいですね」
――こっちも頼む理由ができるし、受ける理由もあるし。
きただに 「そうなんですよ。でも、逆に向こうは断れないっていう(笑)」
遠藤 「だから、本当にJAM愛を持って書いてくれたのか? 断れなかったのか?(笑) GRANRODEOのKISHOW(vo)くんだって、他人に提供する詞を書いたことがなかったみたいだし、これからも書くつもりはないと言ってたんで、本当に断れなかったんだなって(笑)」
(一同爆笑)
――KISHOWさんにはまた25周年で頼みましょう(笑)。今回のオーダーとしては、“皆さんの色を出したもので”というのはあったみたいですけど、それぞれ個性があって面白いですね。
遠藤 「個性の塊ですよね、本当に1ミリも(あえて)寄せてこないんですもん(笑)。皆さんお忙しい方たちばかりなので、よくぞ受けてくれたなと思いましたよ」
――アルバムは壮大なスケールの『to the next era』(M-1)から始まりますが、この曲を書いてくれた梶浦由記さんのデモは、しょっぱなからかなり完成度が高かったみたいですね。
遠藤 「いや〜すごかったですね。まずあれだけお忙しい中でオファーを受けてくれたのがすごいなと思ったし、“アルバムの1曲目のこういう役割の曲を梶浦さんに頼みたいんだ”ということをちゃんと汲んでくれて。本当はうちらのコーラスなんて入れなくていいですっていう話だったんですけど、すごいデモを作ってきてくれて、“もうこれでいいじゃん”っていうぐらい(笑)。やっぱりトップを走ってる方たちは…もちろんですけど、ちゃんとしてるんだなって」
――その幕開けを受けて2曲目はタイトル曲の『The Age of Dragon Knights』(M-2)になりますけど、この曲はコーラス録りが大変だったみたいですね。
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遠藤 「過去最高に大変だったんじゃないかな。結局、3日ぐらいかかったんですけど、ちょっとずつ重ねていって」
――タイトルはハードロック/ヘヴィメタルの世界観にも通じますが、龍をモチーフにしたのはどこから?
遠藤 「まず20周年にアルバムを作るにあたって、“JAMはどう見られているのか、何が強みなのか”をみんなで話し合って。ゴシックメタルとか北欧メタルな感じのコーラスワークとサウンドを作らせたら、JAMの右に出る者はいないというぐらい突き詰めなきゃいけないんじゃないかという話から、リーダーが“こういうタイトルはどうだ?”って。ただ、いろんなアーティストの方々に曲を作ってもらうときは、そこは意識しなくてもいいですよということだったんですけど、皆さん“Dragon Knights”というモチーフをJAMに重ねてくれたので、不思議と統一感があるという」
きただに 「“Knights”ということで騎士の衣装も作っていただいてね」
――栃木県の大谷石地下採掘場跡で撮ったというMVもイメージにピッタリでしたね。それこそ、GRANRODEOが書いてくれた『ROCK 五銃士』(M-3)なんかもまさにそこから。
きただに 「最高ですよ、この詞! ダジャレですけど(笑)。ロックで5人で五銃士ってうまい! きーやん(=KISHOW)もこの言葉を思いついたとき、“あ、俺天才だ!”って思ったんじゃないかな?(笑)」
――ちゃんとオマージュを感じさせる言葉も入っていて、JAM愛を感じますね。
遠藤 「ね。やっぱりうちらは自分のことだから恥ずかしいんだけど、書いていただくことによって歌えたというか」
――ただ、その言葉数の多さとスピード感から、歌うのは結構難しかったみたいですね。
遠藤 「リリックの乗せ方が独特ですからね。だからこそGRANRODEO節なんだろうけど。e-ZUKA(g)くんもきっちりメロディにこだわるわけじゃなく、KISHOWくんの乗っけるリリックに寄せてあげたり許してあげたりするところも、GRANRODEOの面白さの秘密なんだろうなって、歌っててすごく思いましたね」
――いやもうJAM Project×GRANRODEOとか、カロリー高過ぎですよね(笑)。
(一同爆笑)
きただに 「もたれますよね? こってり系大盛ラーメンみたいな(笑)」
遠藤 「マシマシですよね?(笑) GRANRODEOのおいしいところを取り入れたリフを入れてくれてたりもして、そういう意味では、JAMを知らないGRANRODEOのファンの方たちも楽しめるだろうし、お互いがお互いを知るいいコラボだったなってすごく思いましたね」
本当にこういう機会がないと実現しなかったコラボ
――『HERE WE GO!』(M-4)を提供してくれたangelaは、後輩として喜んで書いてくれたと。
きただに 「『HERE WE GO!』には“オイ!”みたいなコールがずーっと入ってるから、JAMのライブのあの感じが、相当印象に残ってるんだなって(笑)」
遠藤 「ただ、KATSU(key&g)くんはね、波形にすごく厳しくて」
きただに 「でも、ボーカルディレクションのときは、やっぱり先輩には言いづらいんだろうなとか(笑)」
遠藤 「そりゃそうですよね。影山ヒロノブが歌ってて、“いや、そこはちょっと”って言いづらいですよね?(笑)」
きただに 「でも、最終的にはしっかりディレクションしてくれました。あと、録音マニアなんだなって」
遠藤 「自分の家から機材を持ち込んで、“これでJAMの歌を録りたいんだ!”って。ただ、波形を整えて完璧にまとめてくれたんですけど、何だかそれがキレイ過ぎるように思えて“元に戻してくれ”って(笑)」
――頑張って整えたのに!(笑) でも、それによりいいバランスでお互いの持ち味が出たかもしれない。そして、ALI PROJECTの『龍驤-Ryujou』(M-6)も濃い。本当にアリプロの曲が始まったんじゃないかと思うぐらい(笑)。
きただに 「イントロでALI PROJECTと分かる四分打ちのドラムから始まり、そして、あの後半の展開。ていうか(宝野)アリカ(vo)さんがもう最初から出ちゃってますから(笑)」
遠藤 「本当に支配されてる感じ(笑)。アリカ様が、“天女みたいな感じでちょっとセリフを入れたい”って言って、悪女みたいな感じでガッツリ入れてくれて(笑)」
――グループのキャリアとしてはALI PROJECTの方が長いですよね。そう考えてもすごい組み合わせですね。
遠藤 「“プロジェクト”の先輩ですから(笑)。本当にこういう機会がないと実現しなかったコラボですね」
――『ジャイアントスイング』(M-10)はFLOWが提供してくれて。
きただに 「これも“らしい”曲だよね」
遠藤 「この曲は唯一コーラスがないんですよ。“あれ? コーラスは?”って聞いたら、“なきゃダメですか?”みたいな(笑)。だからこそ異質というか、FLOWらしいなって」
――参加してくれたアーティストが持ち味を出し合ってくれてるのが、こうやって曲から伝わってくるのは 嬉しいですね 。 今回に限らずコラボしたくなりますよね。
遠藤 「ね。仲間たちがいっぱいいるので、もっと他のアーティストとも何かできたら面白いなと思いますけど、毎年やるのも大変だろうね。だって、みんな断れないわけじゃないですか?(笑)」
きただに 「もう電話に出てくれなくなる(笑)」
――あと、お2人が書いた曲にも触れておきたいんですけど、エレクトロなノイズをぶち破って始まるクールな『GENESIS』(M-5)はきただにさん作曲で。
きただに 「これは最初の話し合いのときに“組曲みたいな曲を作ってくれ”と言われて、展開もABCじゃなくてDもEもFもあり、ぐらいまで考えて。そこに大陸的な詞をまっくん(=奥井雅美)が付けてくれて、すごく世界観が出たなと」
――『Are U Ready? -闘わknight!-』(M-14)が遠藤さんの詞曲で、ライブでめちゃ盛り上がりそうな曲ですね。
遠藤 「これはレコーディングの一番最後に、JAMは重々しい曲が多いので“明るい曲を1曲作ってよ遠ちゃん”って言われて。ちょうどニューヨークに行く直前で、その前にレコーディングを終わらせなきゃリリースに間に合わないということで、本当にギリギリだったんですよ。だから、間に合ってよかったなという思い出しかないです(笑)」
アニソンを歌ってきてホントによかったなって
――他にもライブでの爆発力がありそうな曲ばかりで、これだけハイパワーな曲たちがレパートリーの大半なわけじゃないですか。それとの年齢的、体力的な付き合い方はどうしてるんですか?
遠藤 「そりゃ年々大変なんですけど、やっぱり自分たちも前より上に行かないと物足りないというか」
きただに 「年齢との戦いはあるんですけど、スキルの部分では逆行してすごくパワーアップしてると思います」
遠藤 「あと、個人個人の一番いいところをみんなが分かってきたというか。きただにくんの武器も、福山(芳樹)くんの武器も知ってるし、だからみんながちゃんと武装できたというか」
――そこはピンボーカルでの20年とはやっぱり全然違いますよね。各々の持ち場と旨味があって、それがどんどん磨かれていく。そう考えたら、アニソンが連れてきてくれた20周年ではありますけど、それだけでもたどり着けなかった感じはしますね、こういうアルバムを聴いてると。
遠藤 「そうですね。うちらは運命というか宿命でアニソンを歌ってきましたけど、20周年にたどり着いたときにこういう仲間たちがいてくれて、それもすごく感慨深いですよね。アニソンを歌ってきてホントによかったなって」
――いや~もうそのひと言に尽きるかもしれないですね。
遠藤 「胸を張って“うちらはアニソンシンガーだ”とずっと言ってきたけど、さっきアニソンの世界はあるようでないと言ったけど、こんなに仲間がいっぱいいるなら心強いですね」
――本当にそう言える時代を作ってくれたような気もしますけどね、JAM Projectが。
きただに 「いろんな先輩方が走ってきた中で、アニメがこれだけ認知されるようになって、それをうちらがまたちょっと広げて…いろんな時代の流れが、タイミングがちょうどハマったんだと思いますね、うん」
――20年やってきて今改めて、JAM Projectは自分の中でどういう存在になってます?
きただに 「同年代の方たちが、“JAM Projectが頑張ってるから、まだまだ私たちも頑張れる!”って思うような存在になりたいし、どんどんチャレンジして、常に歩みを止めずに上を向いて頑張ってる自分たちを見てもらいたいので。それが時にライブだったり、喋りだったり、1つ1つの活動からいろんなことを感じてもらえたらと思いますね」
――僕らのような下の世代からしても、JAM Projectみたいな先輩を見てると歳を取るのが怖くなくなるというか。
遠藤 「やっぱり同じパートの、ボーカルのユニットだからこそ、“ここはちょっと違うぞ”とか、この歳でも言い合えるというか。そういう環境に今でもいられるのが、もしかしたらそうさせてるのかもしれないですね」
――キャリア的にも、周りからはもう何も言われないかもしれないですもんね。
遠藤 「そうしたら好きな歌しか作らないかもしれないし、好きなことしかやらないかもしれない。でも、そうじゃなく敢えてこの場所を選べてるのは、いいことなのかなと思いますね」
きただに 「まだまだ全然やれそうな感じがします、すごく」
――最後に20周年を迎えたJAM Projectのメンバーとして、あとは1人のシンガーとして、これからどうしていきたいかをそれぞれに聞いて終わりたいなと。
遠藤 「20年こうやって長く続くとは思ってなかったし、このユニットがあったからこそ俺はいまだに歌えてるし、勉強できてる。本当にこのユニットに参加できて幸せだったな、ラッキーだったなってすごく思いますね。あんまり自分をベテランだと思ったことはないんですけど、ここまで歌わせてもらってきて、自分のことだけじゃなくて“俺ができることは何だろう?”って、この業界のことを見渡せるような気持ちにもなれたし。そういう意味でも、今後どうなるかは自分でも分からないけど、ワクワクしてるのはありますね」
――今ここで改めてワクワクしてると言えるのはいいですね。
遠藤 「アニソンって未知数だし、まだまだいろんなことができるんだろうなって思うし。これからも歌わせてもらえるなら、もっといろんな景色を見たいなと思ってます」
きただに 「JAM Projectのメンバーとしても、いちファンとしても、まだまだ可能性が見えるんですよね。なので、メンバー個々がこれからもどんどんスキルを上げていって、無敵のJAMになっていけたらなって。1人のアーティストとしては、アニソンに携われたことでJAM Projectにも入れましたし、世界中に行かせていただきましたし、50を超えていまだに歌えてるのはすごくありがたいことで。自分を救ってくれたアニソン界を盛り上げるためにも、恩返しの気持ちで頑張っていきたいなと思います。これからもJAM Projectがパイオニアとして、レールを作っていければなって。“最初に行くのは俺たちだ!”ってね」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2020年5月11日更新)
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