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『第1回!Happy and Fun Music Festival』開催決定!
“ケイシびいき”と明言するFM802 DJ中島ヒロトが
Keishi Tanakaにインタビュー

シンガーソングライターのKeishi Tanakaが、令和という新しい時代の幕開けと共にニューアルバム『BREATH』をリリースした。 「平成に作って令和にリリースするなんて全く意識してなかったですね」と笑っていたが、タイトル曲として1曲目に流れ出す「Breath」の目の前がパッと開けるような壮大な楽曲から、美しいピアノの旋律と伸びやかな歌声がまるで映画の終幕を思わせる10曲目の「疎雨」まで、Keishi Tanaka自身が新時代を迎えたかのような息遣いを感じられる曲の数々が並ぶ新作となった。 今回彼を取材するにあたりインタビュアーとなるのは、公私ともに親交があり、自身の番組でも「僕はケイシびいき」と堂々語るDJ中島ヒロト。Keishi Tanakaのさまざまな側面を知る中島ヒロトがニューアルバム『BREATH』を聞いて感じたこと、今聞いてみたいことを直接話したい!と、この日の濃密な時間が実現した。Keishi Tanakaと中島ヒロト、ふたりだからこそできる音楽の話をお届けしたい。

やっぱり今も“アルバムを作る”ことが好き
 

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ヒロト 先日はリリース前に番組に来てくれてありがとうございました!
 
ケイシ あの時、なんか変な始まり方しましたよね(笑)。
 
ヒロト 1曲かけて「はい本日のゲストこの方です」って言ったら、お互い顔を見合わせて爆笑するっていうね。…なんか僕おかしかった?
 
ケイシ 僕が名前を言った後に喋りそうになったから黙ってくれたのか、ヒロトさんが喋るんだろうなと推測して僕が黙ったのか、その間が二往復ぐらいあった感じ。
 
ヒロト そうそう。結構番組のゲストには頻繁に来てもらってるかと思ってたけど、スタジオに来てくれるのが2年ぶりぐらいだったんだよね?その間いろんなことがあって会ってるから、全然久しぶりな感じはしなかったけどね。
 
ケイシ そうですね、実はよく会ってますよね。
 
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ヒロト 今回はアルバムの『BREATH』のこと、いろいろ聞きたいなと思ってます!…まずは、本当に素晴らしい作品が完成しましたね。
 
ケイシ ありがとうございます!
 
ヒロト あのね…僕がケイシびいきだっていうのはみんながよく知るところだし…。
 
ケイシ え?それ、公認なんですか?
 
ヒロト 公認公認(笑)。「公認の“ケイシびいき”」っていうところがあるので、ちょっと言い方悪いけど、仮にどんな楽曲が出てこようがケイシが歌ってると思うと楽しみだし、絶対にいいなと思うだろうと思ってたのね。でも今回すごく面白かったのが、僕が仕事してるラジオ番組のディレクターとかスタッフとか関係者が「あのアルバムすごくいいですよね」って、僕に声をかけてくれるのがすごく印象的だったの。
 
ケイシ そういうことがあるんですね。
 
ヒロト 「ヒロトさんが応援している意味とかケイシさんの音楽性っていうのを感じれたし、日本人が奏でる音楽として本当に素晴らしい人だなと思った」って長く付き合ってるディレクターに言われてすごく嬉しくてね。今回、自分の周りの反応がすごく好評で「とってもいいアルバムでした」って言われることがなぜか僕もすごく嬉しかったね。
 
ケイシ ヒロトさんの番組の放送の時も、放送が終わってすぐにディレクターさんが直接伝えてくれました。
 
ヒロト あんな風にスタッフが「よかったです」なんて言ってるのを見るのが珍しかったから、よっぽど響いたんだろうなと思って。今回の作品は1曲1曲が素晴らしいのはもちろんなんだけど、これから聞く人には曲とか音の流れみたいなところを意識してアルバムを通して聞いて欲しいなあ。アルバムを作るにあたって、ケイシは10曲なら10曲を作って並び替えるっていうよりも、2曲目ちょっと作ろうかなとかそういうやり方するんだよね?
 
ケイシ そうですね。割とそういうやり方で作っていきますね。
 
ヒロト それをライナーノーツで読んだ時にアルバムをひとつの作品として大きく捉えることができたし、あぁ、ケイシは楽しんで作ったんだなと思ったんですよ。
 
ケイシ そうですね。そもそもすでにリリースしたシングルの曲があるから、できてる曲もあるじゃないですか。
 
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ヒロト うんうん、そうだよね。
 
ケイシ 例えば、元々あった「This Feelin’ Only Knows」は、今回のアルバムでは1曲目の感じじゃないな、でも最後の曲でもないなと思ったので仮に中盤に置いて、その前にどういう曲が必要かを考えて制作を進めていくので、曲を作ることもそうなんですけど、やっぱり“アルバムを作る”ことが好きなんですよね。今は多様なリリース方法があって、アルバムでっていう重要性がそんなにないのはわかってるんですけど、それとこれは別というか。何よりも自分のやりたいことなんで。
 
ヒロト なるほどね。この前も直接聞いたけど、今CDが必要かっていうか…ストリーミングとかいろんな環境がある中で、作品としてリスナーが持っておきたいなと思わせるように作るっていうのがアルバムでもあるし、今回の『BREATH』にはそれがいつもよりも感じられたというかね。特に今回は作品として、俺もイチファンとして、持っておきたいなと思ったの。
 
ケイシ 嬉しいですね。僕が思うのは、そこの距離感みたいなものは決めておかない方がいいなと思うんです。僕もそうだし、聞いてる人も。今はCDで聴くのでストリーミングはやってないって人がいても、それが今後の絶対でもなくて。そういう「聞き方」みたいなものはどんどん変わっていってもいいし、変わらなくてもいいし。例えば僕はストリーミングで曲も配信してるし、積極的に利用もしてるけど、そうじゃないミュージシャンの人もいて、そういう中でも話が合う人と合わない人がいるんですね。LOSTAGEの五味(岳人)さんとかは、CDを作って自分の店でしか売らないとかやってるけど、全然話ができる。それはたまたま自分がそういうモードで、別の方法を否定する気がないから。だから今は僕もアルバムという形態で作るのが好きで作ってるけど、次のタイミングで違う形態をやりたかったらそうするだろうし、だから、作るときも聴くときも「一生これ!」っていう決め方はしない方がいいかなっていうのが今の考えですね。
 
ヒロト うんうん。僕は職業柄かなとも思うんだけど、この年齢になってくるとだんだんCDとかもいっぱい家に置けないから、大きい棚に取っておく作品を少し整理して、そこで残ったのが俺の音楽ライブラリー的な気持ちがあるの。このケイシのアルバムは、聞いた時に、自分の棚に挿しておきたいと思えたアルバムだったんだよね。
 
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ケイシ 作るからにはそれを目指さないとダメだと思うし、本当に自分が欲しいからアルバムを作るっていうのが結構重要で、それをいかに伝えられるかが大事だと思ってるんです。今回でいうと内容も、付属の冊子もそうなんですけど、どれだけアルバムを出すということに意味を持たせられるか、また意味を感じてもらえるか。それが伝われば嬉しいなと。でもとりあえずひとりここにいたわけじゃないですか。それが嬉しいです。
 
ヒロト 面白かったのは、この冊子にケイシがいないところでケイシのバンドメンバーが座談会やってるっていうのがあって。これいい企画だね。
 
ケイシ わ、よかったです。面白くなる予感はしてたんですけど、「すごい最高な人です」とか気を使って真面目な言葉ばっかり飛び交って終わる可能性もあるじゃないですか。
 
ヒロト メンバーとしてはケイシのこと褒めないと、次呼ばれないかもしれないしねぇ。
 
ケイシ そうそう(笑)。でもそれだと意味ないなと思ってたんで、「とりあえずメンバーに酒は飲ませといてください」ってマネージャーに伝えました。
 
ヒロト わはははは!いーね!
 
ケイシ 1、2杯飲んだらリラックスして喋ってくれると思って言ったら、みんな4、5杯飲んでたらしいんですよ。おい、もう飲み会じゃねーかと。でも飲み会レベルの話も出てきたので、それが逆に良かったのかなとも思いますよね。
 
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ヒロト ケイシもみんなを好きな上で、みんながケイシという人間に惹かれてて一緒にやってるんだなっていうのがすごい端々から伝わってくるインタビューだったよね。いいバンドメンバーが集まったね。
 
ケイシ そうですね、本当にそう思います。長いツアーをすると音楽もそうだし、人間関係も育っていく感じはするんです。今回はいい座談会になるんだろうなってわかってたからやれたっていうか。
 
ヒロト メンバーとの人と人との息遣いみたいなものが感じられる座談会だったから、今ケイシはいいメンバーでレコーディングしたりツアー回れたりしてるんだろうなっていうのがよくわかったな。ファンからしたらそういうのって見てて嬉しいじゃん。
 
ケイシ この1、2年アルバムを作ろうと思って取り組んできたけど、まだアルバムタイトルがついてなかった時から、どこかに人の気配を意識していたのは間違いないですね。それはお客さんも含めてそうなんですけど、それがテーマになって最終的に『BREATH』っていうタイトルになるんですけど、そういう作品を作ろうと思ったのはメンバーによるところもすごく大きいし、技術的なことにも人の気配が感じられるというか。座談会に関してはメンバーからのものを感じれられるけど、その前のページのメンバー紹介に関しては…いわゆるプロフィールではなく、僕の言葉で紹介できればそれも人の気配と言えるのかなと。
 
ヒロト これも面白い企画だよね。
 
ケイシ 彼らひとりひとりを4行とか5行にまとめるってなかなか大変でした(笑)。
 
ヒロト そもそも「人の気配」をテーマにしたきっかけはなんだったの?
 
ケイシ 大まかに言うと僕はひとりで生きていけるタイプでもないし、そういうのを活動に表していこうかなっていうのは最初から思っていたんですね。例えば、長い制作期間を設けて籠もったこともあったんですけど、それよりもツアーをして誰かに会いにいって喋ったりしたほうが、家に帰った時に曲ができて歌詞ができたりするっていうことに気がついたんです。そういうことが僕には必要なんだなと思うし、その方ができたものを聞かせるという意識も強くなるんです。
 
ヒロト そんなこと考えてたんだね。
 
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ケイシ 20代の頃は自分のためにただ楽しいからやるって感じだったけど…作品を作るときはそれでいいと思うんです。作りたいものを作る、自分のために音楽をやるでいいと思うんです。でも作品ができた瞬間からそれは人のためにあってほしいって今は思うから、結局相手を感じながら作ってるし、それが今回は強く出たのかなと思いますね。
 
ヒロト 今回の『BREATH』は作ってる時にどういう“気分”で作ってたとかあるの?

ケイシ 去年の夏ぐらいがメインの制作期間だったんですけど、良いことじゃないほうを意外と覚えていたりするかも。
 
ヒロト 良いことじゃないほう?ネガティブだったの?
 
ケイシ ネガティブとは違うんですけど、やっとレコーディングできるっていう喜びがありながら、産みの苦しみももちろんあったし、悲しい別れなんかもあって。そっちの感情にもしっかりと向き合いたい気分だったんです。
 
ヒロト へー、ちょっと意外な感じ。
 
ケイシ 心地よいいい音楽みたいなものは全体的なテーマとして常にあって、そのテーマに沿って作った曲があったんです。すごくいい曲だったんですけど、実は今回のアルバムに入ってないんですね。弾き語りのライブでやったらリアクションもよくて、バンドアレンジもして、スタジオでもメンバーと合わせて良い感じではあったんです。ただ、家帰って改めて聴きながら考えていたら、なんか制作が止まっちゃって。すごくいい曲なのに止まるっていう謎の現象が起きたことに驚きました。良い曲ではあるから、いつかのためにとっておこうって一回蓋をして、その後作り始めたのが「Breath」だったんです。
 
ヒロト へえええ!
 
ケイシ だから気分的には「ただ心地よいで終わりたくない」っていうのがすごく強かったかもしれないですね。その方がよりハッピーとか多幸感が際立ったりもするし。逆がないと、見えにくい部分があるというか。影があるから光が見えるみたいな。そういうことをいつもよりさらにしっかりと意識した気がしましたね。
 

 
弾き語りに対して持つことができるようになってきた「余裕」
 

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ヒロト そう言えばさ、さっきの冊子のバンドメンバー座談会で「ケイシさんはパンクスですよ」って話があって、あれ面白かったな。俺もそう思うし。
 
ケイシ 言われてましたね、本物の人に怒られるよと思いました(笑)。ただ、もちろん音楽的な意味で言ってるんじゃないとは思ってるんですけど、心意気というか気持ち的なところで、バンドで音楽を始めてるから、そういう風に伝わってることもあるのかなっていう感じでしたね。
 
ヒロ や、でも実際僕もすごい感じるんだよね。ケイシがいう通り「本物の」っていう人もいると思うけど、パンクスって精神的な部分じゃん。どんな音を奏でようがそれがすごく優しいバラードだろうが、心の奥底にあるパンク精神っていうか…。
 
ケイシ 気持ちで歌うっていうね。
 
ヒロト そうそう。気持ち。そういうところがパンクだなあって。
 
ケイシ それってどんな音楽でも必要なことだと思うんですよね。音楽の熱量だけじゃなくて、気持ちを感じる人の音楽に僕も興味を持つから。例えばクールな音楽でも、気持ちがこもってやってるかどうかってわかるじゃないですか。それが全てってところはありますよね。
 
ヒロト 音楽に対する熱量とかでいうと、バンドもみんなでやって、弾き語りもたくさんやってるでしょ?僕まあまあの数のケイシの弾き語りを見せてもらってるけど、一人でやるときのパワーとか熱量、年々増してるよね。ここ最近の弾き語りにとにかく迫力を感じてる。
 
ケイシ 弾き語りに関しては、初めはちょっと意地みたいなところはありました。バンドを解散して、一人になったことを表現するためにやってるっていうか。それが数年間やってきて、そうじゃないところに意識を持っていけてるのかもしれないです。
 
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ヒロト そうじゃないところ?
 
ケイシ 弾き語りこそいろんな正解がある気がしているんです。心に余裕ができて、いろんなことを考えられるようになってきたっていうのが、「良くなった」とヒロトさんに言ってもらえる理由なのかもしれないですね。
 
ヒロト 去年の年末に一緒にイベントをやった時に、僕もひとりでトークするしケイシも一人で歌ったでしょ?で、会場の楽屋ひとつだったじゃない?で、出るギリギリ前に準備とか精神統一とかするのかなと思ってたの。僕邪魔かなあって。でも、ケイシそういうのあんまりないよね。
 
ケイシ うーん。言われてみればないですね。それをやったとして、例えば対バン相手…あの時で言うとヒロトさんが楽屋を出て行ってくれたとしたら、そっちの方が気になるタイプです(笑)。
 
ヒロト はははは、そりゃそーか!気使ってんのかなっていうのを感じちゃう方がね!
 
ケイシ その方が1曲目に影響がでる(笑)。
 
ヒロト わはははははは!確かに!だって楽屋で喋りかけたら邪魔かなと思ってモジモジしてたら、ケイシからガンガン喋りにきたもんね。「今、何考えてんすか」とか。余裕あるなあっていうか、普通にしてるって大事なのかなって。
 
ケイシ 僕も集中したい時っていうのはあるんで、地味にこそっとやってますよ。
 
ヒロト 僕もそうしたいんだけど、俺は喋るほうだから、なんかちょっと頭の出だしは組み立てておきたいなっていうのもあるのね。その組み立ててるところにふわっとスタッフから話しかけられると「あ?」みたいなのが出ちゃう時があって、一瞬そうなった後に機嫌よく「何?」って言うんだけど、ああまたやり直しって思っちゃうっていうか。
 
ケイシ でも、組み立ても必要ですよね。僕も喋ることも曲順も決めないで、何も考えずにやってみようっていう弾き語りをしたことありますけど、でもそういうライブ全然良くないんですよね。
 
ヒロト 準備した方がいい?
 
ケイシ 準備があるから脱線できるというか。準備がないことで余計なことを考えすぎるというか。次の曲考えたりしながらなんでMCが長くなったりしちゃいますね。
 
ヒロト そうかそうか。ちなみに昨日のFLAKE RECORDSでの弾き語りはどうだった?楽しめた?
 
ケイシ そうですね。『CLIPS』っていうベストアルバムのリリースツアーをバンドセットで大阪でもやった直後だったんですね。FLAKE RECORDSは小さなレコード屋さんだし、FLAKEと僕の両方を知ってくれているお客さんが集まるのかなと思っていて、じゃあ『CLIPS』のツアーに来てくれた人も多いだろうから、そのライブでやらなかった曲を!と。で、序盤はそんな感じで始まったんだけど、なんか途中で意外にも僕を初めて見る人がいるんじゃないかみたいな空気を感じたんですよ。あれ?読みと違う?みたいな。で、そこで急遽「CLIPSツアーでやらなかった曲をやる」っていう設定を解除しました。
 
ヒロト おお、解除! 
 
ケイシ でも持ち時間30分で、最初の方にやってた当初のセットリストと、もう1回仕切り直してやるような感じもあって、僕の中で始まりが2回になって。そしたら30分経った時に、自分の中で終われない感じになっちゃったんですよ。結果的に1時間やっちゃいましたね。
 
ヒロト 1時間!それはたっぷりやったねえ。
 
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ケイシ でも今思うと、最終的には「Floatin’ Groove」もやれなかったし「Just A Side Of Love」もやれなかったし、代表曲はあまりやってないかも。ちょっとお茶を濁す部分も含めて、サザンの「真夏の果実」(12月の中島ヒロトとのイベントの際、ふたりでコラボレーションして披露した)をやってみたりとか。
 
ヒロト ちょっと〜大事な曲のことお茶を濁すとか言うのやめてよ~!
 
ケイシ わはははは!あの時は僕は歌えなかったから、ちょっと歌ってみようかなとか。それこそMCでダワ(FLAKE RECORDS)さんとの話をしてたら、Riddim Saunterの曲やってみようかなとも思って。
 
ヒロト そうだ、「Sweet & Still」やったんでしょ?

ケイシ そうなんですよ。そういう日でもいいかなって思えてしまったんです。無料ライブだし!
 
ヒロト 何を聞けても嬉しいしお得だもんね!
 
ケイシ FLAKEでの弾き語りは初めてで、座ってのんびりやるのかなと思ってたけど座ったら見えないぐらい人が来てくれたんですね。あとライトが一灯だけのピンスポみたいな感じでエモさがすごくて、最初はなんかそっちに引っ張られたりとかしましたしね。
 
ヒロト でもそういうのを感じながら、ライブ中に調整していけるっていうのは一人での弾き語りでやる自由さみたいなものはあるよね。
 
ケイシ そうですね。
 
ヒロト 心の動きがそのまま選曲に出たりとかね。ケイシもその時の思いで「真夏の果実」もやってくれて!
 
ケイシ 12月のイベントの時は歌いたかったです、僕も!って。

ヒロト (笑)!でも「Sweet & Still」とかRiddimの時の曲ってどうなの?今自分でやってみて。
 
ケイシ 正直…そこに意味は持ってないですね。ただ単に曲をやること自体に意味は持ってないでんすけど、ダワさんとの出会いとかそこの話をするとRiddimの曲をやる意味を持つから、そういうだけのことではあるんですよね。
 
ヒロト うん、なんかいいと思う。面白いと思う。
 
ケイシ 昔の曲も人の曲もそうなんですけど、弾き語りを始めた頃よりはいろんなことができるようになったんですね。最初の1年とかはRiddimの曲はやらないって決めてたし、カヴァーもあんまりやりたくなかったし、自分の曲多めでやるって決めてたんです。でも最近カヴァーをやる余裕というか、例えば昨日のセットリストに「真夏の果実」を入れようとかは、5年前は思いもしなかっただろうし。「真夜中の魚」という詩集を出版したことで人の歌詞の良さも感じるようになったし、人の曲を歌う楽しさもあるなと。そういう意味では余裕もでてきたのかな。なんか、人って変わりますよね。
 
ヒロト そうだね。そりゃキャリアも年齢も人生経験も含めて変わっていくんじゃないかと思うよね。
 
 
 
昨年のリベンジとして挑む『第1回!Happy and Fun Music Festival』
 

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ヒロト さて、「真夏の果実」の話が出たところで。いよいよ昨年の思いを今年遂げるためにね?
 
ケイシ え、やるんすか(笑)?
 
ヒロト や、この時点であなた出演発表になってるから!あの、改めて言うと、僕の企画のイベント『第1回!Happy and Fun Music Festival』の開催を発表させていただきまして。
 
ケイシ いやー、よかったですね。
 
ヒロト まあホント去年…年末にケイシとやったイベントの時は言わなかったけど、企画イベントが自然災害で中止になることでこんなに精神的にダメージあるんだって結構思ったのね。別に泣いたりとかなかったけど、みんなが…今だから言うけど、みんなが「大変でしたね」とか「大丈夫ですか」とか言われると余計しんどいというか…。
 
ケイシ うん、すごくわかります。
 
ヒロト ちょっと魂抜けたみたいになっちゃって。初めてみんなに助けてもらいながら準備したからね。でもアーティストのみんなが中止ってなって連絡をくれたのは本当に嬉しくて。すぐやりましょうって言われたのも本当に嬉しかったの。で、年末にケイシとイベントをやって。
 
ケイシ 0回目を。
 
ヒロト キックオフ的な0回目を。ほんと意地でも1回やんなきゃみたいな気持ちになって。本当は去年と同じ服部緑地でやることも考えたんだけど、心にぽっかりあいた穴を埋めるには、何が何でも第1回目を再びやりたいっていう気持ちが強くてユニバースに舞台を移します。
 
ケイシ ヒロトさん、それ正しい判断だと思います!

ヒロト 今の自然環境で言うと、仮に屋根があっても交通機関がストップしたら中止の可能性はあるけど、限りなく低くはなるし。
 
ケイシ 開催することを最優先にリスクを減らすと。
 
ヒロト うん。そして何度も言うけど、『Happy and Fun Music Festival』はケイシと始めた話だと僕は思ってるし、ケイシはもちろんなんだけど1回目の時に出てもらうはずだったアーティストみんなに声かけて、みんなが快く引き受けてくれて「一緒にやりましょう」と。
 
ケイシ やりましょう!今年は!
 
ヒロト やー、当日は僕、絶対すごいテンション高いと思う…。
 
ケイシ ヒロトさん、泣いちゃうんじゃないですか。去年からの思いが高まって。
 
ヒロト そうだね。涙ぐむ可能性はあるよね。
 
ケイシ いいですよぉ、隠さなくて!
 
ヒロト おんおん泣くかなあ…。
 
ケイシ 1回目からおんおん泣くイベントって(笑)なんかすごいですね。
 
ヒロト 「去年このイベント中止だったんですよぉ」って言ってから泣かないと、なんだこいつってなっちゃうよね。僕もね、ケイシは泣くんじゃないかなと思ってるけど!
 
ケイシ わはははははは、それ意外ですね!僕泣きます?
 
ヒロト やっとできたな、って思いでね。僕は舞台のソデで「ケイシ、いいよ、泣いていいよ」って見守ってるから。
 
ケイシ 先のことだからわかんないですけど、多分…泣かないですよね(笑)。
 
ヒロト わはははははは!そうだな、そんなジメっとしたイベントやめようぜ!『Happy and Fun』ってタイトルつけてるのに、何泣いてんだっていう感じになるもんね!
 
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ケイシ 今年は笑ってやってやりましょうよ。
 
ヒロト なんかいろんな人を巻き込んでるし、みんな喜んで巻き込まれてくれてるんだけど、その人らの思いが去年分も乗っけて花火あがるみたいな形になればいいなと思ってるし、ケイシはもちろん、他の参加表明してくれてるアーティストも、みんな去年もやる気だったと思うけど、今年のやる気感というか、すごい熱量感じてて。ありがたいし、やっと今年1回目ができたら2回目も3回目も考えられるわけで。形をどうしていくかわかんないけど、今回はユニバースであたたかいイベントができたらなと。
 
ケイシ 多分一回やれたら違うやりたいことも出てくるだろうし。そうやって育っていくイベントな気がします。長い目で!
 
ヒロト つながりっていうのを僕も感じて来たし、それを形にするのが楽曲だったりするのがケイシで僕はトークや自分のイベントをすることで表現していけたらいいなと思ってます。
 
ケイシ ヒロトさんこのアルバムの中で好きな曲ってあります?
 
ヒロト 僕、「雨上がりの恋」が好き。
 
ケイシ じゃーこれ…。
 
ヒロト マジで?
 
ケイシ 多分やらないと思います(笑)!
 
ヒロト 「泣かない」と同じ展開やんか~。や、この曲は「Happy and Fun」だなって思うんだよ。ぜひいいイベントにしたいと思うし、当日は「Breath」や過去の曲もやってくれるのを期待してます!

取材・文/桃井麻依子
写真/河上良



(2019年6月17日更新)


Check

Release

アルバム『BREATH』
発売中 2800円(税別)
KCR004

《収録曲》
01. Breath
02. Show Respect
03. 雨上がりの恋
04. How’ s It Going? (Skit)
05. This Feelin’ Only Knows
06. 知らない街の大聖堂
07. Untitled
08. Some Rooms
09. Break It Down
10. 疎雨

Profile

Keishi Tanaka(写真右)
1982年北海道生まれ、シンガーソングライター。2011年にバンド・Riddim Saunter解散後、2012年よりソロ活動をスタート。これまで『Fill』、『Alley』、『What’s A Trunk?』の3枚のアルバムをリリースする傍ら、コンスタントにアナログ盤もリリース。弾き語りやバンドセットなど常に表現する形を変えながら、ライブハウス・フェス会場はもちろんカフェなどありとあらゆる場所を舞台に日本全国でライブを行っている。また2017年にはこれまで発表してきた作品の中から、自らがセレクトした言葉を綴った詩集「真夜中の魚」も上梓し雑誌でも連載を持つなど、活躍の場を文筆業にも広げている。

Keishi Tanaka オフィシャルサイト
https://keishitanaka.com/

中島ヒロト(写真左)
詳しいプロフィールはこちら(前編後編


Live

Pick Up!!

『第1回!
Happy and Fun Music Festival』

7月13日(土)一般発売
Pコード:154-360
▼9月29日(日) 14:30
味園 ユニバース
全自由-4451円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[MC]中島ヒロト(FM802)
[出演]Keishi Tanaka/DENIMS/NakamuraEmi/yaiko(矢井田瞳)/他
※小学生以上は有料。
[問]GREENS■06-6882-1224

チケット情報はこちら


Keishi Tanaka
「BREATH RELEASE TOUR」

【神奈川公演】
▼6月21日(金)F.A.D YOKOHAMA

Pick Up!!

【京都公演】

チケット発売中
発売期間:5月11日(土)~6月26日(水)
Pコード:149-465
▼6月27日(木) 19:00
KYOTO MUSE
オールスタンディング-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[ゲスト]ベランダ
※小学生以上は有料。
[問]GREENS■06-6882-1224

【広島公演】
▼6月28日(金)福山・Cable
【香川公演】
▼6月29日(土)TOONICE
【福岡公演】
▼7月7日(日)INSA
【栃木公演】
▼7月24日(水)宇都宮HELLO DOLLY
【宮城公演】
▼7月25日(木)LIVE HOUSE enn 2nd
【大分公演】
▼7月27日(土)club SPOT
【三重公演】
▼8月2日(金)CLUB CHAOS
【愛知公演】
▼10月5日(土)JAMMIN’

Pick Up!!

【大阪公演】

7月6日(土)一般発売 Pコード:153-756
▼10月17日(木) 19:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング-4000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上は有料。
[問]GREENS■06-6882-1224

【北海道公演】
▼10月19日(土)帯広 STUDIO REST
▼10月21日(月)札幌 cube garden
▼10月22日(火)旭川 CASINO DRIVE
【東京公演】
▼10月25日(金)渋谷CLUB QUATTRO

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