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「次の人生が始まった感覚がとてもある」
3年の時を経て、新津由衣の葛藤と哲学が開けた新しい扉
何もないところにこそ全てがある
『Neat’s ワンダープラネット』インタビュー&動画コメント

 ’03年、高校生のときにシンガーソングライターユニットRYTHEMとしてメジャーデビュー。’11年、作詞作曲編曲、アートワークやMV、絵本の制作、作品の梱包から発送まで、アーティスト活動の全てをDIYで手掛けるソロプロジェクトNeat'sを始動。そして’18年、本名である新津由衣として、音楽人生三度目となる1st アルバム『Neat’s ワンダープラネット』をリリース。SEKAI NO OWARIやゆずなどを手掛けるプロデュースチームCHRYSANTHEMUM BRIDGE(クリサンセマム・ブリッジ)との出会いから音楽家としての窮地を脱出した新津由衣が、変わらぬポップネスと見違えるようなタフネスを手に、3年の時を経てついにシーンに帰還した。「自分はすごくちっぽけなんだと自覚できたことが、自分の中に全て答えがあると思っていた概念が打ち崩されたことが、私にとってはとても可能性が広がることだったんですよね」と語った彼女が、他者を受け入れ、そして、自分を手放したからこそ到達した、まばゆきネクストステージ。夢見る少女は大人になった。ただ、大人になってあなたと見る夢も、悪くない――。新津由衣が激動の3年間とこれからを語るインタビュー。

 
 
やっぱり私、音楽を辞められない
 
 
――『MINAMI WHEEL 2018』で久々の大阪でのライブも観ましたけど何なんでしょう、あの頼もしさは(笑)。音源も然り、“こんなことを言っちゃえる人だっけ?”みたいな、すごく吹っ切れた印象がありました。
 
「割と自覚がある状態で、そうかもしれないです(笑)。Neat’s時代の最後は、すごく不安定だったこともあったから、コントラストが。今は結構無敵状態に入っていますね」
 
――今年までリリースが3年以上空いたのは、Neat’sの後期に『MOA』('14)を出して以降、スランプに陥ったのが事の始まりだったみたいですね。
 
「『MOA』を作る=自分の根本的なところを探る作業だったので、それが完成して創作欲としては満足だったんですよ。だからこそ、その次に生み出す作品をどうやってブラッシュアップするのか? どうしても変化というか進化していたいタイプなので、このままだと『MOA』と同じクオリティのものをもう1枚出すことしか今の私にはできないなって思っちゃったんですよね。メロディとかアレンジのアイデアは浮かぶんですけど、自分はやっぱり技術というより妄想の人だから、それを形にするときのクオリティ面でも、活動自体においても、音楽以外のことも全部1人でやっていくスタイルの面でも、ちょっとキャパオーバーになったのはあると思います(笑)」
 
――イメージはできても満足のいく形にできないし、やることは山ほどあるし。
 
「そもそも当時は、女の子が1人でDIYでやるのが面白いと思ってNeat'sを始めたんですけど、時代的にもそれが珍しくなくなってデフォルトになってきたとき、逆に宅録というフィールドに埋め込まれることに窮屈さを感じて。“私の武器は実はそこじゃないんだ”って、もう1回提示したいという“もがき”もありましたね」
 
――そんなとき、『サウンド&レコーディング・マガジン』に執筆していたコラムを読んだ、CHRYSANTHEMUM BRIDGEの保本真吾さんが興味を持ってくれて、お声がかかったと。
 
「声がかかる前は、セルフプロデュースによさを見出していたというか、そこをよさだと信じてやるしかないという感じで(笑)、どうにか自力で突破しようとしていました。多分、あのまま続けていたら、もっと自分の中に潜り過ぎてアウトな方向に行っちゃっていたかも。人がやらないことをやろうとするがあまり、どんどんポップじゃない方向に進んでしまう可能性はあったと思う。自分の根本にある武器はポップネスで、それを最大限に活用したいけど、そうするには自分にはない技術がいるという矛盾。だったら、いっそのことちょっとアバンギャルドな方向だったり、見せ方を変えないと伝わらないだろうなって。自分の中に結構多面的な部分があるから、それをコントロールするのが難しかったんです」
 
――ジレンマですね。ただ、今の話しぶりを聞いていると、そこまでドン底な感じもしないですね。
 
「多分、それは私の性格的なものもありますね。ドン底な状態ではあったんですよ? スランプでどうしようもないし、このまま就職でもするのかしらって思うぐらい(笑)。でも、そういうときにいい曲ができると、小躍りするぐらいの幸福感に満たされるんですよ(笑)。そこで、“やっぱり私、音楽を辞められないんだな”って」
 
――そう考えると、保本さんとは本当にいいタイミングでの出会いだったんですね。『MOA』を作る前ならまだ自分でやり通すだろうし。最初にFacebookにメッセージが来たときは、すぐに一緒にやろうという状態ではなかったみたいですけど、もちろん存在は知っていましたよね?
 
「いえ、知らなかったです(笑)。“SEKAI NO OWARIとかゆずを担当しています”っていう前情報だけいただいていたので、“そうなんだ~”ぐらいな感じだったんですけど(苦笑)。そのときの自分はまだ殻に閉じ込もっている状態だったから、そこに道ができて導かれようとしているのは何となく分かるけど、自我がそれを拒否しているというか。不安で怖くて、恐怖がそれをせき止めていたんですよね。スランプだったくせに(笑)」
 
――“やった〜渡りに船だ!”じゃなくて(笑)。
 
「そのときはまだ、人に委ねて道を歩くことができない状態だったんです。どうしても自分の意志で“前に進むのだ!”と右足を踏み出さないと納得ができなかった。今は“右足がつい出ちゃったな”っていう感じで自然に身を任せて進んでいくことがとても素敵に思えているんですけど、そういう自分になるまでに3年かかりました」
 
――でも、今の方が楽じゃないですか?
 
「楽です(笑)。最初に奥さん(=筆者)にインタビューしてもらった28歳ぐらいのときかな? 私はすごく悩んでいて。目の前にピンクがあるのに、“これって紫にもなるかも? あ、青にもなるかも!”ってグシャグシャに塗り重ねているような私の姿を見かねた奥さんから、“30歳を過ぎたら楽になるよ。そういうのは全部諦められるから”って言われたのを覚えていて。ただ、当時の私はどうしても受け入れられなくて、頑なに“何1つ諦めたくない!”みたいな状態でしたよね(笑)」
 
――アハハ!(笑) “可能性が1%でもあるものは全部カバンに入れて重くても持って行きます!”みたいなね(笑)。
 
「実際に30を超えて、こうやっていろいろ経験していく中で、ふと奥さんに言われたことを思い出すことがあったんです。“30を超えたら楽になるってこのことか”って。すごくたくさんのものを手放せるようになったと思います。きっと自分に自信がないから、不安だから、いろんなものを握りしめておきたかったんですよね。本当に前向きに、自分はすごくちっぽけなんだと自覚できたことが、自分の中に全て答えがあると思っていた概念が打ち崩されたことが、私にとってはとても可能性が広がることだったんです。以前は全部欲しがって、全部見たくて、全部そこにないと怖くてしょうがなかったけど、今は逆に何にもない、全てを吸い込めるフラットな状態に自分を置いておきたいんですよ。あんまり荷物を持ちたくない。そういう状態にいる方が無限大だし、人として強いなって思えたんです。何もないところに全てがあると気付けたというか」
 
――なぜそう思えたんですか?
 
「人と一緒にやったからですね。誰かを受け入れるのって、自分のことを受け入れるのと同じぐらい大変で。でも、本当に自分のことを好きになれたり、弱みも含めて受け入れることができたら、他人のことも許せると思ったんですよね。保本さんと一緒に作業をしていく中で、“イヤです、その音は私っぽくないです”と意見をぶつけることが最初はたくさんあったんですけど、あるときそれが自分で自分の扉を閉めちゃっていることに気付いたんです。“私は自分で自分の可能性を、どうしてこんなにも枠決めしているんだろう? 自分が正解だと思い過ぎていない?”って」
 
――でも、それに気付いちゃったら…。
 
「絶望的でした。絶対に正解だと自分の中に持っていたものも、もしかしたら正しくないかもしれない。“じゃあどこに答えがあるの?”ってすごく苦しかったけど…それが実は“何もないところに全部ある”っていう考えにたどり着いたきっかけでもあって。一緒にやる人が心から楽しく、ワクワクして作った創作物やアイデアって、やっぱり素晴らしいんですよね。自分が持っているものじゃなかったらなおさら。私は私で100%楽しむし、相手も相手で100%楽しむ。自分が楽しいと思うことを全員ができたら、その現場のパワーは1000倍にも膨れ上がると思ったんです。そこから私は、新津由衣の現場をそういう空気にしたいと思い始めました。私が人生を懸けてやることをサポートする人が集まるより、“私の人生もここに懸けています!”っていう人が集まった方が絶対に素晴らしいと思ったから。“全員が100%楽しめる現場を作るためにはどうしたらいいか?”って考えると、自然といろんな人のアイデアや才能を受け入れたいと思うようになったんですよね」
 
――それも結局、全てを自分で手掛けてきたプロデュース脳があったから、この段階で気付けたことかもしれないし。しかし、新津由衣も大人になったなと(笑)。
 
「ホントに!(笑) 大人になることがイヤで仕方がない人生だったけど、このアルバムを作れたことで、初めて笑顔で子供の頃の自分と握手して、“ありがとう、バイバイ”って言えた。消えはしないけど、ちょっと宝箱にしまおうかなって。私の音楽はファンタジーと形容されることが多いんですけど、自分にとってはすごく現実的なことなんです。例えば、“お友達とケンカしたら仲直りをしよう”と絵本に描かれるようなテーマって、人間の本質を突いているじゃないですか? 昔からそういった、私と誰かの間にある見えない本質に触れたいっていうのが、私の普遍的な欲求なんです。そういうものを、大人になると人間は忘れていってしまうものだと思っていたから、大人になるのがたまらなく怖かったけど、実際に大人になった今でも私はそれについてずーっと考えているし、同じように考えている大人の友人もいる。とすると、もしかしたら子供ゴコロがどうこうじゃなくて、子供だろうが大人だろうが、男だろうが女だろうが、それを大事に生きている人間はたくさんいるんだなぁと思ったら…それを大人の人間として追い求めたくなったんですよね」
 
 
もう誰かに見せてもらう夢は終わった
 
 
――あと、今までの歌詞の世界観は、いい意味で現実と非現実の狭間のようなドリーミングさが音楽同様にありましたけど、今作の歌詞はちゃんと新津由衣自身のことで音楽はワンダー、みたいな組み合わせが面白いなと。
 
「どうやって自分の頭の中を表現したらみんなに伝わるのか、いつも試行錯誤していて。私はすごく真面目なところがあるから、作文みたいに自分の想いを書いていくと、何だか固くなっちゃうんです。だからNeat'sのときは、ある種の夢の中の無意識のような状態で歌詞を書くことを目標にしていたんですね」
 
――思わぬところから出てきた言葉をキャッチするというか。
 
「そうです。あんまり考えちゃダメだと思っていて、浮かんだことを“白、畑、雲、揺らぐ”みたいに散文詩的な脳で書いてみたりしました。だけど今回は、アレンジをプロに委ねることができて、ある意味、私の無意識を音像で浮かび上がらせてもらえたので、逆に歌詞ではとても意識的に、意思のある言葉を書こうと思いました。周りのスタッフがとても遊び心のある大人たちなので、私が生真面目に言葉を投げたとしても、小難しい音楽にはならないだろうなっていう信頼感があるんです。“どんな自分を出してもポップミュージックになる!”という自信があるから、歌詞も自分の気持ちのまま、ちゃんと言葉にしてみようと思えたのかなって」
 
――だからこそ、今作はよりパーソナルなのにポップで、本名になったのもありますけど、新津由衣の人生とか思想みたいなものが今までで一番伝わる作品な気がします。『愛のレクイエム』(M-4)はそれこそおばあちゃんのことだったり、他の誰でもない新津由衣の歌で。『ワンダープラネット』(M-3)でも、“もう夢は覚めてる”とか“魔法は解けた”って言えたのが、やっぱり衝撃で。


 
「衝撃でした、私も(笑)」
 
――新津由衣にとってのそれって、アイデンティティの崩壊にも等しいというか。
 
「自分でも、“いや、それを言っちゃおしまいよ”っていう感じだったんですよ(笑)。だけど、この『ワンダープラネット』の歌詞を書いたときに、さっき言った大人の段階になったんです。それまではすごく受動的な状態で、誰かが夢を見させてくれてるかもしれないっていう感じだった。ただ、この曲のレコーディング中はまだちょっと辛くて、明るいメロディを泣きそうになりながら歌っていたけれど、今ライブで歌う心情は全然そんなことはなくて。もう誰かに見せてもらう夢は終わった。だけど、私とあなたの間にある見えないものを掴む力は何も消えていない。そこから夢を作ることはできるよねって、心から思っています」
 
――今作を作っている最中、出した後のライブ、自分の中でどんどん更新されていきますね。あと、アレンジだけじゃなく作曲すらも委ねて、ボーカリストに徹している曲もありますけど、歌声も軽やかになった感じが。
 
「私は自分の声が嫌いで、ずっとコンプレックスでした。だから、Neat's時代は張り上げる声を出さず、ウィスパーボイスで歌っていたんです。でも、今回のアルバムは、それじゃ太刀打ちできない曲が多過ぎて。この3年間トレーニングを重ねて、自分がイヤだと思っていた声すらも、自分なんだからもう逃げられないなと思って受け入れるという(笑)。ボイトレの秦千香子(ex. FREENOTE)先生が“どの声も由衣ちゃんの武器だから”って言ってくれたことで、その声に向き合わなくちゃと思いましたね。今はいろんな仲間ができたことによって、必然的に歌う責任というか、歌に向き合うモチベーションは変わったと思います。今までは“歌はおまけ”っていう感覚だったけど、今は“歌う人”って言われたいから。フィジカルなこともすごく気にするようになりました」
 
――『月世界レター』(M-9)の、“あなたが笑えば、わたしは嬉しい。”っていう一節も、“そんなこと言う!?”っていうぐらい突き抜けてハッピーというかピュアだなと。これもなかなか言えないと思います。


 
「今までだったら飾り立ててちょっとカッコよく言ってみたりしていたと思うんですけど、本質に触れたい気持ちにまっすぐに向かっていくと、とってもシンプルな言葉にたどり着いたんです。自分のエゴだったり、これを言っちゃったらダサいかなっていうフィルターによって、どんどん言葉が難しくなっていっちゃうことにも気付いたので。ダサかろうがカッコ悪かろうが、真ん中にある言葉で伝えてみようっていう挑戦でしたね。『月世界レター』は私にとってもお気に入りの曲なんですけど、ライブでやっていても真ん中の気持ちを歌えていると思います」
 
――新津由衣として再出発することを告げて反響を呼んだ昨年のブログでは、“ポップスターになりたい”と宣言していましたけど、その境地に至ったのは?
 
「私にとってのポップスターのイメージは“空間”に近いというか。私自身のこともスタッフのこともお客さんのことも、そこにある全て包み込む宇宙みたいな状態のことなんですよね。そういう状態を作れたら、人と人がつながる本質みたいなものに触れられるような気がして。何だか今、とてもつながりたい気持ちがあるんです。それは多分、ずっとつながれないと思いながら生きてきたけど、つながれた喜びはすごく大きいと知ったから、つながるためには自分が心を全部開いた状態でステージに立たないと、何も入ってこないと思ったから。この間、有り得ない数の星が出ていて、天の川もしっかりと確認できる、すごい夜空を見たんです。それがもう圧倒的で、涙が止まらなくなって。圧倒的であるものは、いろんなフィルターが全部取れた状態だからこそ、本能的に涙が出てしまう。大自然を見て涙が出てしまう感覚って、すごく強くてあたたかくて、どんな人にもきっとあると思うんですよね。そんな感覚を音楽で生み出すことができたら、とても素敵だなと思いますね」
 
 
人を信じることで自由になれた
 
 
――この3年間の創作活動を振り返って、音楽に対する想いで変わったところ/変わらないところはあります?
 
「私が圧倒的であり普遍的なものを見たい、作りたいという気持ちは昔からずっとあったので、表現したいことの根本は変わっていないです。でも、その真ん中に絶対的に音楽があるというところは変わりましたね。昔は絵本だったり映像だったり、“創作をする”っていう大まかな気持ちだったけど、もう15年以上も音楽を主軸にやってきたおかげで、自分の真ん中に音楽があるのが自然な状態になった。音楽にここまで連れてきてもらった感じがします。だからこれからも、運ばれるところに運ばれるのかなって」
 
――MVやアートワークへのこだわりは変わらずに、大切な1stアルバムができましたね。先ほどのブログにもありましたけど、大人になった上で、“この先にもずっと音楽に魔法がありますように”と願えたのが大きい気がします。
 
「確かに。子供の頃が一番自由だと思っていたけど、やっぱり今が一番自由だと思います。人を信じることで自由になれた。よく“自分探し”とかも言うし、みんなが自分の中に可能性を見出していきたいし、答えがあると思いたい気持ちもとてもよく分かる。だけど、意外とそこから外に目を向けたときに、自分が知らない自分の可能性が無限にあるんだなっていうことに気付きますね」
 
――今の言葉にハッとするリスナーも多いかもしれないですね。ここで、『Neat’s ワンダープラネット』というタイトルの由来を改めて教えてもらえれば。
 
「Neat'sは看板的な意味で付けていますけど、私が20代の頃に人間関係がうまくいかなくて悩んでいたとき、友人に言われたことがあるんです。“同性で同年代の友達でさえ会話が通じない人はいるんだから、みんな異星人だと思った方がいいよ”って(笑)。最初は伝わらないことに怒ったり悲しんだりしていたんだけど、伝わらなくて当たり前という発想から始まると、伝えようとして優しくなれたり、思いやりが生まれたり、心のやわらかさを得ることができた。今回のアルバムは人のことも自分のことも、そういう多様性を拒否せず全てを受け入れたアルバムだと思ったので、みんなそれぞれが違う星(=プラネット)であり、それぞれがとても不思議な存在(=ワンダー)であると。だからこそ、分かり合いたいと思うし、一緒にいると面白いよねって言いたかったアルバムなんです」
 
――すごい。もう本当に、めっちゃ変わりましたね。脱皮したみたい(笑)。
 
「ね(笑)。違う人みたいですよね。私、どうしちゃったんだろう?(笑) 本当にいろんなことが変わった、学びの3年間でしたね。今が第何章かは分からないけど、次の人生が始まった感覚がとてもある。たくさんの葛藤が積み重なってきたからこそ、この扉が開いたんだなっていうぐらい、新しい世界を見ているような気がします。今は時間というものに対しても、もうちょっと大きく捉えることができるようになって、17歳であろうが、33歳だろうが、70歳であろうが、素敵な人は素敵だし、気付かない人は一生気付かない。そう思うと、年齢とかじゃなくて気付ける人でいたいし、いつも心がまっすぐでいられるような自分でいたいというのが今の目標ですね。表現者としてのビジョンも研ぎ澄まされてきてはいるんですけど、それは同時に私という人生の研ぎ澄ましとも似ているところがあるから。丁寧にやっていくことが人との出会いにもつながるし、ここに真面目に向き合っていれば間違いないという感覚があるんですよ。人とつながりたいというピュアな想いが今はあるから、そうやって続けていけたらと思いますね」
 
――今の話を聞いていたら、10年後の新津由衣はもっとピュアかもしれないと思いました。
 
「そうありたいです。“こっちが楽しそうだな”って思う方向に自分をちゃんと委ねていけたら、きっとその先には何か光があると、今は思っています」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 




(2018年10月31日更新)


Check

Movie Comment

音源、ライブ、おばあちゃんの思い出
新津由衣からの動画コメント!

Release

3年ぶりの音源となった1stアルバム
アナログ盤も10/31発売へ!

Album
『Neat's ワンダープラネット』
発売中 2800円(税別)
SLIDE SUNSET
SSSA-1001

<収録曲>
01. Overture
02. FLAG
03. ワンダープラネット
04. 愛のレクイエム
05. Bye-Bye-Bee-By-Boo
06. Unite
07. フローズン・ネバーランド
08. スイム・イン・ザ・ワンダー
09. 月世界レター
10. ホップチューン
11. BIG BANG!


【アナログ盤】
発売中 4000円(税別)
SLIDE SUNSET
SSSA-1001V

<A面収録曲>
01. Overture
02. FLAG
03. ワンダープラネット
04. 愛のレクイエム
05. Bye-Bye-Bee-By-Boo
06. Unite

<B面収録曲>
07. フローズン・ネバーランド
08. スイム・イン・ザ・ワンダー
09. 月世界レター
10. ホップチューン
11. BIG BANG!

Profile

にいつ・ゆい…’85年8月17日、神奈川県に生まれ。3歳の頃、ディズニーランドに魅了され夢の世界の虜になる。母親と初めて行った絵本教室で、ものづくりの楽しさに目覚め、以後、絵本作家&映画監督を目指してひたすら家で絵本作りやゴッコ遊びに励みながら女版ウォルト・ディズニーになろうと胸に秘める。中学生のときに父親が購入した宇多田ヒカル1stアルバム『First Love』(‘99)に衝撃を受け、歌手をも志し、習っていたエレクトーンで作曲録音を始め、’03年、高校生のときにシンガーソングライターユニットRYTHEMとしてメジャーデビュー。8年間活動を続ける。’11年、Neat's名義でソロプロジェクトを始動。作詞作曲編曲、アートワークやMV制作、絵本制作、ディストリビューションも自ら手掛け、アイデアとDIYでどこまでできるかに挑戦。富士山麓にて世界初の野外ワイヤレスヘッドフォンライブを自主企画するなど、個性的な活動の仕方も話題となる。’15年、SEKAI NO OWARI、ゆずなどを手掛ける音楽プロデューサーCHRYSANTHEMUM BRIDGEとタッグを組み、本名の新津由衣としての作品制作を開始。“頭の中は宇宙と同じ”と語る新津由衣が作るものは、孤独な気持ちから生まれる夢の世界。人間関係に生まれる違和感や歓びをファンタジックな描写で表現している。アナログシンセや世界の楽器サンプリングを多用に取り入れた1stアルバム『Neat's ワンダープラネット』を3年かけて完成させ、CHRYSANTHEMUM BRIDGEが設立した新レーベル、SLIDE SUNSETの第一弾アーティストとして、’18年7月11 日にリリース。

新津由衣 オフィシャルサイト
http://www.neatsyui.com/

Live

早くも'19年のワンマンライブが決定
詳細や他公演は随時発表!

 
【東京公演】
『新津由衣LIVE 2019(タイトル未定)』
▼6月21日(金)
TOKYO FMホール
※詳細は後日発表。


Column1

永遠の孤独、永遠の輝き
満たされない心と諦めの先にある
絶景を目指せ。妄想女子Neat'sの
ポップでドリーミンな3rdアルバム
『MOA』インタビュー('14)

Column2

音楽実験を繰り返す飽くなき探求心
妄想を具現化するファンタジー
ポップでアートな2ndアルバム
『MODERN TIMES』に迫る
初登場のロングインタビュー('13)

Comment!!

ライター奥"ボウイ"昌史さんの
オススメコメントはコチラ!

「彼女に最後に会ったのはNeat’s時代の3rdアルバム『MOA』(‘14)のツアーということで、4年ぶりの再会となった今回のインタビュー。あれから僕も骨折もしましたし、髭も伸ばし始めましたし、会社も辞めましたし(笑)、ルックスも環境も変わりました。それぐらい久しぶりだったわけですから、当然彼女の状況も変わっていて。変化の兆しは今読み返すと『MOA』のインタビューにも垣間見えますが、話していて、いや~驚きました。タフになったし、大人になった。人って言ってもなかなか変われないものなので、そんな彼女がここまで変わったということは、本当に大きな意識改革があったんだなと。ただ、『FLAG』の歌詞カードにないコーラスのことを聞いてみると、“ハッチュ・ローエンですかね? あれは由衣語です(笑)。馬に乗っている息遣いです”とこれぞな返答がありましたが…(笑)。大人になった先にある、それでも“信じる”という心。それを持てた今の新津由衣なら、もっともっと大きくなれる気がします」