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「正しいかなんて分からないけど、自分が信じた道を選ぶこと」
ブルエンがバンド人生を賭けて出した1つの回答
最強ロックアルバム『VECTOR』を田邊(vo&g)と江口(g)が語る!
BLUE ENCOUNTインタビュー&動画コメント

 再生ボタンを押すや否や、問答無用に胸高鳴る『灯せ』から幕を開けるBLUE ENCOUNTのメジャー3rdアルバム『VECTOR(ベクトル)』は、このバンドがいくつもの葛藤と絶景を越えて、バンドとしての溢れ出るエナジーとドラマをブチ込んだ全14曲を収録。自らキュレーターを務めたツーマンツアー『TOWER RECORDS presents Bowline 2017』での“ある一夜”を大きな起点に、“ブルエンとは何たるか”というスタンスを今改めて明示した破壊力抜群のロックアルバムとなっている。待望のライブハウスツアーとなる『BLUE ENCOUNT TOUR 2018 Choice Your 「→」』に向けて待機中の田邊駿一(vo&g)と江口雄也(g)が、バンド人生を賭けて出した1つの回答とも言える最強の『VECTOR』について語ってくれた。

 
 
スカパラとの対バンの夜以降は、みんなが本当に変わりましたね
あの一夜があったことでこのアルバムができたと思います
 
 
――『VECTOR』に至るここ1年を振り返ってみてどんな時間でした?
 
田邊(vo&g)「今までで一番忙しい1年だった印象はありますね。でも、一番充実していたかもしれないです。昨年は、大きい会場でライブをすることも多かったんですけど、自分たちへの課題が毎回見えるんですよね。希望とともに見えてくる絶望感みたいなものが常に隣り合わせにあったので、そういう意味でも、“どうにかしないといけない”って考え続けた1年で。その中でもキュレーターを務めさせてもらった『TOWER RECORDS presents Bowline 2017』は大先輩とやるツアーだったので、初心に返って全部吸収して立ち向かっていこうと決めて…これがもう全会場よかったんですよ。自分たちが変わるきっかけになったツアーだったし、改めて気合いを入れ直して、その後のツアーでもフェスでも、かなりいいライブができたなって」
 
江口(g)「浮き沈みをずっと繰り返していたような1年の中でも救われたのは、“次のBLUE ENCOUNTをどう見せたいか”というとき=今回のアルバム制作に向かう時期は、気持ちが上がっていた時期だったことで、前を向ける1枚になったなと。下がっていた時期に作っていたら、こういうアルバムはできていなかった。最終的に1年を通して、タイミングがうまくハマってくれたかなって」
 
――とりわけ、『Bowline 2017』での東京スカパラダイスオーケストラとの対バンが、相当いい刺激になったと
 
江口「スカパラとの対バンの夜以降は、みんなが本当に変わりましたね」
 
田邊「むしろ、スカパラ先輩とやっていなかったら、その後のMONOEYESに完敗していたかもしれない」
 
江口「多分、自分たちを出し切れなかったですね。最大級の憧れであるMONOEYESを前にちゃんと自分たちのライブができたのは、スカパラ先輩との一夜があったからで。あの一夜があったことでこのアルバムができたと思いますし、本当に先輩たちは偉大だなと改めて分かった『Bowline 2017』だったと思います」
 
――バンドが一夜のライブで変われたということは、お客さんにとってもきっとそうでしょうね。
 
江口「ライブのすごさを改めて知ったし、ライブでこんな空気にできるんだって…あんな空間は初めてだったんで」
 
――そういう意味では、ツアーの日程も運命的でしたね。
 
江口「ホントそうですね。僕らがこのシーンでやれているのはたかだか数年で、先輩たちは10年20年と戦ってきているから言葉の重みが違うんですよね。普段同世代と喋っていても得られない感覚があったし、改めて長く音楽やっていきたいなと思えました」
 
 
“いいライブをしたからいい曲ができる”みたいなことって
もう起きないと思っていたんですよ。でも、起きましたね(笑)
 
 
――今作に向けて千葉のコテージで曲作り合宿をした際は、初日で何と約30曲できたとか。
 
田邊「こんなに実になる3日間は過去になかったですね…ちゃんと1年分の気持ちのデトックスができたというか。『≒』(’15)はメジャー1年目の本当に若い頃に作ったものだったので、自ずとそういう曲たちをパッケージできたと思うんですけど、今作みたいに意図せずに吹っ切れて、振り切れて、やんちゃにやれたのは初めてだったので。歌詞を書いていても今までで一番楽しくて、それぐらい無垢にできた作品ではあるかもしれない」
 
――前作『THE END』(’17)はバンドがどう見られているかという意識がまずあって、それをぶっ壊す=カウンターでなければいけないという意図があったアルバムだと思うんですけど、そういうものを全部取っ払って。
 


田邊「それはかなり大きかったですね。今のこのご時世、いろんな音楽のプラットフォームがあるからこそ、それを活用して聴いてほしいし、今までBLUE ENCOUNTを何となく知っている人たちにこそ、耳を傾けてほしい。心から聴かないともったいないと思うぐらいの作品ができましたね。5曲全部が続きの物語になっているアルバムのコンセプトムービーも撮ったんですけど、どの5曲にするかで何日か揉めたぐらいでしたから(笑)。AKB48で言うところの“神5を挙げろ”みたいなもんですよ(笑)」
 
江口「例えば、『…FEEL?』(M-6)は“その音を上げたらこの音が聴こえなくなる”みたいな繰り返しで、ミックスを1回止めようみたいなことにもなって。今まで以上にレコーディングが終わった後の細かい編集作業までこだわり抜いて作ったので、1人1人の1曲に対する理想も高くなって。最終的にそれだけ揉めたからこそ、納得できる仕上りになったのはありますね」
 
――『résistance』(M-8)のラウドロック感も強烈で、いざ歌詞を見たら言いたいことを言っている(笑)。
 
田邊「今回は歌詞も結構自信作で、今までで一番好きな歌詞が書けたアルバムかもしれない。本当に今までになかった引き出しが開いたなと。でも、みんなそうなんですよね。あの時間でよくあのフレーズが出てきたなと思うぐらい、それぞれのよさが出ているなぁって。ライブバンドとしてここまでやってきて、俺は正直…“いいライブをしたからいい曲ができる”みたいなことって、もう起きないと思っていたんですよ。でも、起きましたね(笑)。それこそ『コンパス』(M-3)のサビの“行くぞ 最高を越える旅へ”って、昨年の『Tour2017 break “THE END”』のときに僕がMCで本能的に言った言葉だったんですよ。これを絶対に曲にしたいなと思って」
 
――『résistance』とか『ハンプティダンプティ』(M-7)もそうですけど、SNSで価値観の共有を自ずと求めてしまう時代へのブルエンなりの回答があったり。あと、最後の『こたえ』(M-14)は、反論を怖がっていないと思うんですよ。“僕はこう思う”という意志が歌詞の全編に感じられる。この曲で“僕が出したこの声は すべての人に届かない”と言えたことは、すごく大きいと思いますね。
 
江口「『こたえ』ができたのは、バンド人生においても財産だと思います。この歌詞はみんなベタ褒めでしたね」
 
――いざ恋愛模様を切り取っても、『グッバイ。』(M-10)で振られて、『coffee, sugar, instant love』(M-11)で遊んで(笑)、『「77」』(M-12)で幸福になる。一方で、兵役経験者だった祖父から聞いてきた話がモチーフとなった『虹』(M-9)とか、ロックシーンの範疇を越えた名バラード『さよなら』(M-13)のようにドッシリした曲もあって…本当に言葉の力と楽曲のエネルギーがリンクしているアルバムですね。
 
江口「自分たちでもこのアルバムを聴いていて新鮮に感じますし、ドキドキしますもんね。自分たちで作ったはずなのに、自分たちじゃないみたいな感覚を覚えることもあるし。BLUE ENCOUNTっていうバンドを15年近くやってきた今でも、こうやってドキドキできるのはすごく嬉しいことだと思いますね」
 
――そして、タイトルの『VECTOR』は14曲それぞれの方向性というのもありつつ、“届ける”という意味があると。
 
田邊「『こたえ』を作っているときに思ったんですけど…どんな選択肢=表現を選んだとしても、誰かにとっては批判の材料にもなったりするし、自分の価値観が分からなくなってしまうことだって山ほどあるんです。でも、やっぱりライブをしているときが一番楽しいし、音楽を信じることができる一番の時間なんですよね。そう思えるのは、自分たちでベクトルを選んで突き進んできたからで。だからこそ、正しいかなんて分からないけど、自分が信じた道を選ぶことが第一歩という意味で、『VECTOR』と名付けたんですよね」
 
 
みんながアルバムを聴き込んで来てくれるだろうから
ライブは音源を越えていかなくちゃいけない
 
 
――話を聞いていて今のバンドの状態のよさが分かるからこそ、ライブが楽しみですね。
 
田邊「ライブハウスだけを回るツアーが久々だし、ライブ感=生きている感覚を観せられる場所でしっかり曲を育てることができたなら、いずれこの楽曲をホールでもやれるだろうし、アリーナでもやれるときが絶対に来る。そういう意味でも、まずはみんなで一緒にそれを確かめ合えるツアーになるのかなって」
 
江口「とにかく新曲が増えたので、これまでのワンマンとはセットリストがガラッと変わるからこそ、初日からアルバムのよさを120%出せるように臨みたいと思います。みんながアルバムを聴き込んで来てくれるだろうから、ライブは音源を越えていかなくちゃいけないとも思うし。自分たちにとっても新たな挑戦が始まるなって」
 
田邊「こんなにも抜本的にライブ改革をするのも久々だからね。アルバムにインストでも入れておけばよかったなぁ…14曲この濃さじゃへばっちゃうよ(笑)。でもね、このアルバムの曲をスタジオで歌っている段階で、もう楽しいんですよ。だから、今回のツアーは絶対に面白いものになる。セミファイナルのなんばHatchでやる頃には相当仕上がっていると思うので、関西の皆さんは安心して来ていただければ(笑)」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 




ライター奥“ボウイ”昌史さんからのオススメ!

「シングル『VS』のインタビュー時に“僕らがシーンを壊すつもりではないんですけど、シーンの新たなベクトルを広げていけたらいいな”とすでに予言していた田邊(vo&g)くん。それを具現化したようなアルバム『VECTOR』は、僕も大好きな名盤『BAND OF DESTINATION』(‘14)を彷彿させる、まぁ~濃い内容!(誉め言葉) インタビューでも語っていますが、何が正解なんて誰にも分からないからこそ、“僕たちはこうします!”って言っちゃう抜けのよさみたいなものは、このアルバムの、そして人生の風通しにも通じると思うんですよね。いいメロディにいいメッセージを乗せたらこんなにも刺さるもんなんだなと、改めて今回のアルバムを聴いて思わされました。キャリアを重ねて改めてここまでフレッシュな作品を作れたなら、このバンドはきっとまだまだ面白くなる」

(2018年4月20日更新)


Check

Movie Comment

パンチある大阪でのある出来事も(笑)
田邊(vo&g)と江口(g)の動画コメント

Release

渾身の全14曲52分にブチのめされる
最高を越えていく最強のアルバム

Album
『VECTOR』
発売中 2800円(税別)
キューンミュージック
KSCL-3048
※プレイパス対応

<収録曲>
01. 灯せ
02. Waaaake!!!!
03. コンパス
04. VS
05. RUN
06. ...FEEL ?
07. ハンプティダンプティ
08. résistance
09. 虹
10. グッバイ。
11. coffee, sugar, instant love
12. 「77」
13. さよなら
14. こたえ

Profile

ブルー・エンカウント…写真左より、辻村勇太(b)、高村佳秀(ds)、田邊駿一(vo&g)、江口雄也(g)。熊本発、都内在住の4人組。熱く激しくオーディエンスと一体になり、MCでは時に自ら涙してしまうほどの感情をぶつける熱血パフォーマンスが話題のエモーショナルロックバンド。’14年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。’15年1月にリリースした1stシングル『もっと光を』は、全国35局でのパワープレイを獲得。同年5月には人気のテレビ東京系アニメ『銀魂゜』のオープニングテーマとなるシングル『DAY×DAY』をリリース。7月には1stフルアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、数多くの夏フェス、年末イベント等に出演し、今や大型フェスの常連アーティストとして名を連ねる。’16年には第94回全国高校サッカー選手権大会の応援歌にもなった『はじまり』、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のオープニングテーマ『Survivor』、全ブルエンリスナーに向けた『だいじょうぶ』、ドラマ『THE LAST COP / ラストコップ』の主題歌『LAST HERO』と4枚のシングルをリリース。そして、10月には初の日本武道館ワンマン公演も大成功に収める。’17年1月には2ndアルバム『THE END』をリリースし、オリコンウィークリーチャート7位に堂々のランクイン。4月には映画『LAST COP THE MOVIE』の主題歌『さよなら』をリリース。バンド史上最多の15公演もの夏フェスに出演し、11月にはシングル『VS』をリリース。’18年に入ってからは、ドラマ24第50弾特別企画『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』のエンディングテーマに新曲『灯せ』が起用され、3月21日には3rdアルバム『VECTOR』のリリースするなど、変わらぬ存在感で注目を集めている。

BLUE ENCOUNT オフィシャルサイト
http://blueencount.jp/

Live

久々の全国ライブハウスツアー
大阪はなんばHatch×2DAYSで開催!

 
『BLUE ENCOUNT TOUR 2018
 Choice Your 「→」』

【北海道公演】
▼6月9日(土)サッポロファクトリーホール
【愛知公演】
▼6月14日(木)・15日(金)Zepp Nagoya
【石川公演】
▼6月21日(木)金沢EIGHT HALL
【新潟公演】
▼6月22日(金)NIIGATA LOTS
【宮城公演】
▼6月24日(日)SENDAI GIGS
【福岡公演】
▼6月29日(金)・30日(土)DRUM LOGOS
【広島公演】
▼7月7日(土)BLUE LIVE広島
【香川公演】
▼7月8日(日)高松festhalle

Pick Up!!

【大阪公演】

一般発売4月21日(土)
Pコード106-932
▼7月13日(金)19:00/14日(土)18:00
なんばHatch
1Fスタンディング4300円
2F指定席4300円
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※3歳以上は有料。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【東京公演】
▼7月18日(水)・19日(木)Zepp Tokyo

Column1

「'17年はある意味“戦い”だった」
いくつもの絶景と絶望を越えてきた
ブルエンの現在地。3年目の危機感
と使命感を装填した『VS』を語る!

Column2

This is BLUE ENCOUNT!!
過去も未来も今の表現と鳴らした
ベストオブベストなアルバム
『BAND OF DESTINATION』
全員インタビュー!