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「ヨーロッパで見付けてきたピアノジャックのルーツを
 全部盛り込んで作った」『BLOOD』引っ提げツアー中!
躍動が連鎖する壮絶で美しき新作を語る
→Pia-no-jaC←インタビュー

 昨年12月にニューアルバム『BLOOD』をリリースした→Pia-no-jaC←(以下、ピアノジャック)は、一昨年、そして昨年と2年連続でヨーロッパツアーを敢行。その旅にインスパイアされた全7曲を収録した最新作は、ピアノジャックとユーロ文化に共通するルーツを探っていくことで生まれたという。ピアノとカホンというミニマムな編成から湧き上がるエネルギッシュでスケールの大きなサウンドスケープは、彼らが旅してきた欧州と日本の風景が交差する、不思議な映像喚起力にも満ちている。1月11日より全国ツアーがスタートし、2016年も年明けから精力的に活動しているメンバーのHAYATO(p)とHIRO(カホン)に、新作とツアーへの想いを訊いた。

 
 
俺らとヨーロッパに何か通じるものがあるのかな?って
探っていって出来たのが今作
 
 
――今回のアルバム『BLOOD』はどのように作っていったのですか?
 
HIRO(カホン)「今回が13枚目なんですけど、今まで1年に2枚ぐらいのペースで作ってきたので、こんなに時間をかけて作ったのは初めてで」
 
――ヨーロッパツアーで経験してきたことも反映されているようですね。
 
HAYATO(p)「そうですね。新鮮な景色や人に出会ったし、いろんなものを吸収できたので、それをどんどん曲にしていった感じですね。デビューの頃にカンヌとパリではライブをやったことがあったんですけど、ツアーで廻ったのは’14年が初めてで、去年も夏に行ってきました。向こうではクラシックの方が受けるかなと思ったら、意外と自分たちのオリジナル曲が受けたんですよ。何でやろな? 俺らとヨーロッパに何か通じるものがあるのかな?って、探っていって出来たのが今作なんです。だから、ヨーロッパで見付けてきたピアノジャックのルーツを全部盛り込んで作ったアルバムですね。タイトルは血というより“血統”という意味合いです」
 
――ヨーロッパに通じるルーツとは、具体的には何だったんですか?
 



HAYATO「例えば、『TASOGARE』(M-1)のベースになっているケルトミュージックですね。これは今までのピアノジャックになかった要素で、新たなトライになりました」
 
HIRO「ケルトミュージックって、実は結構日本と関わりがあるんですよね。俺はよくゲームをやるんですけど、ゲームミュージックってケルトミュージックをベースに作ってるんだなって、改めて感じるようになったんです。移動中に見たヨーロッパの小麦畑は、ちょっと日本の田園のようにで郷愁を感じましたし。アメリカに行ったときはそんなことはなかったんですけど、ヨーロッパにはそういう風景がたくさんありましたね」
 
HAYATO「あとは、『Nostalgia』(M-3)を、ヨーロッパと日本の景色を交差させるような感じで作ってみたり。向こうでは、ちょっと日本が恋しくなってるのかな?っていうメロディが出てきたりするので(笑)。結構泣ける曲になったんじゃないかなと思います」
 
――とは言え、ただ哀愁に浸るような感じではなく、現代的で勢いのあるグルーヴ感もありますよね。
 
HIRO「今までのピアノジャックの曲は構成がすごく複雑で、1曲の中でも起伏が激しかったんですけど、今回の『BLOOD』は同じグルーヴの中で進行していくようにして。その中でフレーズがどんどん発展していくのを心がけて作っていったんです」
 
――それによって、ダンスミュージックに通じるようなものも生まれてきた?
 
HIRO「そうですね。『Tears』(M-2)はユーロビートだったり、EDMを意識して作ったので」
 
HAYATO「『Tears』のピアノは、モントゥーノっていうラテン系のピアノの奏法を元に、ピアノジャック流のラテンを意識したフレーズを作ったりしましたね」
 
 
ぜひ生で聴いてもらいたい!というか
観てもらいたいですね、指の動きを(笑)
 
 
――『Binary Star』(M-4)のピアノはホントに超絶的で圧倒されました!
 
HAYATO「これはもう夜中のテンションなんで、ハイな感じですね(笑)。『Binary Star』=連星っていう意味で、連星ってすごい自由な動きをするんですけど、絶対にぶつからないんです。それを右手と左手で表現しました。ホントに音遊びしながら作った曲ですね」
 
HIRO「HAYATOの左手と右手の動きがものすごいので、それをどうにか支えたいなと思って、結構アクセント強めのシンプルなビートを心がけましたね。それが、ちょっとEDM系の打ち込みみたいな感じにもなってます」
 
――ライブでも聴き応えがありそうですね。
 
HAYATO「ぜひ生で聴いてもらいたい!というか、観てもらいたいですね、指の動きを(笑)」
 
――『BLUE BLOOD BOOGIE』(M-5)は頭っからHIROさんの叫び声がインパクト大で(笑)。
 
HIRO「フランスのリオンで“アパートライブ”に初めて招待されたのがきっかけで出来た曲なんですけど。アパートライブは向こうの人の自宅の部屋で演奏するライブで、結構アットホームなんです。一曲終わるごとに抱きしめてくれたりして、ロックを感じたので(笑)。ヨーロッパでは“BLUE BLOOD”って高貴な血統とかいう意味があるんですけど、BLUE BLOODでもブギにしちゃえ!って。挑発的というか、ノリノリなブギを意識して作りました」
 
――そういう発想もピアノジャックならではですね(笑)。
 
HIRO「そうですね。室内楽みたいな優雅なことをやってたら、ピアノジャックじゃないだろうと(笑)」
 
――『FILMS』(M-6)はコラボ曲?
 
HAYATO「これはenraというパフォーマンス集団とのコラボレーションですね。彼らがカンヌ映画祭のクロージングアクトとして出演することが決まったときに、作曲を依頼されて。映画のシーンに合わせて分数を決めて作曲していかないといけないし、10回ぐらい転調もしてるし、こういうやり方は初めてだったので結構大変でしたね。でも、映像に合わせて曲を作るのは好きなので楽しかったです」
 
――ピアノジャックの場合はインストなので、映画はもちろん、舞台なんかともコラボできそうです。
 
HIRO「enraのパフォーマンスとのコラボもそうですけど、視覚的に楽しめるものとのコラボレーションってすごいおもしろいですね。今までも、書道家の方とか、広島の高校に日本の伝統芸能を引き継いだ神楽(かぐら)部があって、そことも一緒にやったり。そういうエンタテイメントにはすごく興味があるし、おもしろいなと思いますね」
 
HAYATO「ピアノとカホンだけでも、まだまだ無限大にやれることはあると思います。それをピアノジャックのパフォーマンスにもつなげていけたらいいなと」
 
 
ライブに来れば“ああ、こういうことやったんか”って
絶対に納得できると思う
 
 
――最後の『Sichilia di mare aperto』(M-7)は、旅の余韻に浸れるような素敵なエンディング曲になってますね。
 
HAYATO「これはイタリアで見た景色をそのまま音にしました。ナポリからシチリア島のパレルモまでのフェリーの上で作った曲です。本当に空も海も青いし、その時間がゆったり流れてる景色を見せたくて。波の音も入ってます」
 
HIRO「オーシャンドラムですね」
 
――それぞれにすごく映像喚起力があります。
 
HIRO「やっぱりヨーロッパの景色からたくさんインスピレーションをもらった作品なので。それが聴く人に伝わって、映像が浮かんでくれたらホントに嬉しいですね」
 
HAYATO「向こうに1ヵ月半も行ってると、“何で日本でやってくれないんですか?”って言われたりするので(笑)。こういう景色を見てきたよ、こんな経験してきたよっていうのを、全部このアルバムに詰め込んでいます」
 
――ヨーロッパに行っていたのは去年の夏頃(7~8月)ということですが、秋以降であればパリ同時多発テロの影響もあったかもしれませんね…。
 
HAYATO「ヨーロッパツアーを一緒に廻ってくれた現地のマネージャーがフランス人だったので、すごく心配しました。無事だった連絡があったときはホントにホッとして…。いろんな問題はあるけど、結局はルーツとなる血統をたどっていけばみんなが1つになると思うので。俺たちの音楽でワールド・ピースを目指したい想いもありますね。音楽でハッピーになれればいいなって。PVも街の人に協力してもらってすごくいい映像が撮れたので。お世話になってくれた方々がいるし、もう一回このアルバムを届けにヨーロッパに行きたいですね」
 
――今回の全国ツアー『“BLOOD TOUR” 2016』は、そんなピアノジャックに流れる血というか、音楽のルーツを改めて実感できるライブになりそうですね。
 
HAYATO「ピアノジャックの血脈を探っていけるツアーにしたいと思っています。このアルバムでピアノジャックを知った方や初めてライブに来る方でも、ピアノジャックのことが分かるように、初期から今に至るピアノジャックを全部観せたいなと。その中にいろんな音遊びがあり、その日にしか聴けないメロディが降りてくると思います。来てくれた人も観るだけでも聴くだけでもなく参加できますよ。僕らは何よりライブが一番だと思っているし、ひたすら演奏するだけのライブじゃなく、ショーに近付けたいので、そういうパフォーマンスもぜひ観てもらいたいですね」
 
HIRO「このインタビューを読んで、ちょっとでも気になったら、ライブに来てほしいですね。ライブに来れば“ああ、こういうことやったんか”って、絶対に納得できると思うので。ぜひライブ会場でお会いしたいです!」
 
 
Text by エイミー野中

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(2016年1月29日更新)


Check

Release

ヨーロッパツアーの刺激を音にした
メロウ×アッパー入り乱れた13枚目!

Album
『BLOOD』
発売中 1944円(税抜)
PEACEFUL RECORDS
XQIJ-1011

<収録曲>
01. TASOGARE
02. Tears
03. Nostalgia
04. Binary Star
05. BLUE BLOOD BOOGIE
06. FILMS
07. Sicilia di mare aperto


【初回限定盤DVD付】
発売中 2407円(税抜) 
​XQIJ-91010

<DVD収録内容>
01. 『TASOGARE』ミュージックビデオ
02. ミュージックビデオ・メイキング

【ヴィレッジヴァンガード限定盤DVD付】
発売中 2407円(税抜) 
XQIJ-91011

<DVD収録内容>
​・DVD:Close Up →PJ←『TASOGARE』
(ピアノとカホンの手元映像)
・『TASOGARE』譜面:ダウンロード
 シリアルナンバー付き(16年3月末まで)

Profile

ピアノジャック…'05年4月結成。HAYATO(p)、HIRO(カホン)の2人で構成されるインストゥルメンタルユニット。'08年、1stアルバム『First Contact』をリリース。多彩なジャンルを昇華した独自の音楽性が各方面から注目を浴び、ディズニー、SQUARE-ENIX、KONAMIなどと多数のコラボレーションを発表。'12年には、ヴァイオリニスト・葉加瀬太郎とのコラボアルバム『BATTLE OF THE YEAR』を発表。同作が『第27回日本ゴールドディスク大賞 2013CLASSIC ALBUM OF THE YEAR』を受賞。’14年4月に上映された品川ヒロシ監督の映画『サンブンノイチ』では、通算11枚目のオリジナルアルバム『Re:EARTH』('13)に収録された『Triad』がテーマ曲となり、メンバー2人も演奏シーンとして本編冒頭に出演。HAYATOが編み出した常人では想像もつかない特殊奏法“3DPIANO”、HIROのアグレッシブかつ変幻自在のカホンが織りなすパフォーマンスは国内外から熱く支持を受けており、ライブ会場には子供から大人まで幅広い層が足を運んでいる。’15年夏には2度目のヨーロッパツアーを敢行、同年12月9日には13枚目のアルバム『BLOOD』をリリース。’16年1月11日の神奈川を皮切りに、3月21日(月・祝)東京・中野サンプラザまで、全国25ヶ所にて『“BLOOD”TOUR 2016』を開催。

→Pia-no-jaC← オフィシャルサイト
http://pia-no-jac.net/

Live

ピアノジャックの魅力はライブ!
関西は1月に京都・神戸、3月に大阪へ

 
『→Pia-no-jaC←
“BLOOD” TOUR 2016』

【京都/神戸公演】
チケット発売中 Pコード277-931
▼1月30日(土)17:00
磔磔
▼1月31日(日)17:00
チキンジョージ
全自由5000円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※小学生以上は有料、未就学児童は無料(大人1名につき、子供1名まで同時入場可)。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


【大阪公演】
チケット発売中 Pコード277-931
▼3月13日(日)17:00
なんばHatch
1F全自由5000円
2F指定席5000円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※1F全自由は小学生以上は有料、未就学児童は無料(大人1名につき、子供1名まで同時入場可)。2F指定席は小学生以上は有料、未就学児童は無料(大人1名につき、子供1名まで膝上可)。但し、お席が必要な場合は有料。

チケットの購入はコチラ!
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Comment!!

ライター・エイミー野中さんからの
オススメコメントはこちら!

「お会いするたびに、ますますワイルドな風貌になっていくピアノジャックのお2人は、一昨年から2年連続で行った欧州ツアーでさらに鍛えられた様子(笑)。今回のニューアルバム『BLOOD』では、イタリアやフランスなど、様々な場所でインスパイアされたことが元となり、ピアノジャックにしかできない手法で、驚くべき新たな音像を生み出しています。HAYATOさんのピアノは躍動的でアグレッシブなタッチから叙情的な音色までを縦横無尽に奏で、HIROさんのカホンは素朴で熱くユーモラスな人力ビートを叩き出します。そんなピアノジャックの超絶的なプレイと変幻自在なサウンド&グルーヴを、ぜひライブで目の当たりに!」