「今でも燃えるような想いでいられる」 LUNA SEAとしての25年、ソロとしての10枚目 揺るがぬ音を目指し転がり続ける最新作『eternal flames』! J撮り下ろしインタビュー&動画コメント
「LUNA SEAでも100、ソロでも100っていう感じですね。そうやって全力でぶつけられる場所が存在していて、今でも燃えるような想いでいられるのはありがたいですね」と微笑むのは、LUNA SEA のベーシストとして25周年アニバーサリーを駆け抜けたJ。そんな彼が’97年にスタートさせたソロワークスも、最新作『eternal flames』で10作目に到達。激しさのみならず壮大なスケールで迫る珠玉のロックナンバー11曲が収録された同作について、様々な経験を積み重ねてきたからこそたどり着いたJの現在の境地を、熱狂のリリースツアー真っ只中にお届けする撮り下ろしインタビュー。
ただ、その時その時ガムシャラな時間を過ごしてきた結果、今がある
――LUNA SEAも動いていた中でのソロ10作目ということで、感慨深いものがあるのではないでしょうか?
「ソロを始めた頃はこんなに長くやろうなんて全然思ってなくて。それは=瞬間で終わろうっていう話でもなく、ただ、その時その時ガムシャラな時間を過ごしてきた結果、今があるという感じなんですよね。’97年から始めて、(LUNA SEAは休止期間があるので)今となっては気が付けばソロの方がバンドより長く活動してるんですよ(笑)」
――ホントですか! そんな中で10枚目のアルバムを作り上げられました。今回の制作には結構時間がかかったと。
「作り始めてから1年以上かかっています。曲が出来上がったときは興奮していて冷静に判断出来ないから、ちょっと時間をおいて確かめるような作業を繰り返していましたね。それは、10枚目という節目だからこそ、やっぱり自分自身の音を強く鳴らしたいなと思っていたので。今鳴らすべき音が自分の中で響いていて…ニュアンスなんですけど、強いんだけどオーガニックな、自然体なものにしたかったんですよ。アルバム制作って、最高のものを作りたいと思うからこそ、途中でバランスを取り始めるんですね。派手なアルバムにしたいし、カッコいいアルバムにしたいのは当然なんですけど、そうしたいがためにどこかの側面をなくしちゃったりしがちなんですよ。だからこそ、作った曲がどういう色を発してくれるのかを感じるのに時間を裂いていたというか。なので、締切はどんどん延びていきましたね(笑)」
深みだとか、大きさとか、ロックミュージックが持っている側面を
自分自身の武器に変えていかないと
どんどんリアリティがなくなっていくと思った
――自然体を意識したのことですが、その辺について改めて教えていただけますか?
「ハードな曲や派手な曲も大好きだし、その追求はいっぱいしてきたんですけど、それだけではない深みだとか、大きさとか、ロックミュージックが持っている側面を自分自身の武器に変えていかないと、どんどんリアリティがなくなっていくと思ったんです。ただ速いとか、ただ激しいとか、ただラウドだとか、そういうものはもう自分の中にあまり響いてこなくなっていて。当然そういう音楽が大好きだし、刺激も受けるけど、俺が突っ走ってきた時代感、80~90年代の音楽、そして今を見てきている人間だからこそ、各時代で得た熱みたいなものを俺自身の音楽の中に封じ込めないと、嘘になっていくなって最近すごく思うんですよね。俺が20代のヤツらと同じことをやっていてもリアリティがないし、長い間ずっとやってきたからこそ、いろんな経験をしてきたからこその、カッコいいものを提示出来なければおかしいよなって、すごく思ったんですよね。それが今作では出来たんじゃないかと思っています」
――なるほど。
「日本ではあまり表現しないですけど、ロッククラシック――それは古いという意味じゃなくて、本当に揺るがないというか、自分の音をずっと鳴らし続ける、出来ることならそこに俺はたどり着きたいし、そこに向かって走っていきたいし、そういう音を鳴らしていきたいと思う。“そのときに思ったことをそのままアルバムにしました”っていうのもアリだけど、俺自身が影響を受けてきた音楽、俺自身がやってきた音楽、そして俺自身が打ち抜かれた音は絶対にあるわけだから、それに素直になるというか。思い返してみると、自分たちの音をずっと鳴らし続けているバンドが好きなんですよね。そういった強さが自分も欲しいなと。やっぱり洋服を着替えるように“今日はこれ、明日はあれ”みたいな音楽は、俺には響いてこなかったから。10枚目というのもあるし、自分自身に嘘がないようにやるべきだなって、すごく思ったんですよ」
――長年やってきたからこその境地ですね。そう言えば、先日INORANさんの取材 をした際にも、“オーガニック”という言葉を口にされていました。
「僕自身LUNA SEAの打ち合わせの中でそういう言葉を発していたから、その言葉をお互いに理解し合っていたのかもしれないですね」
例え今までに使った言葉であっても、違う曲で重複したとしても
表現を変えて逃げるのをやめようと思った
――アルバムタイトル『eternal flames』についても触れさせてください。これは“永遠の炎”という意味ですか?
「そうですね。ソロを始めてからアルバムには火にまつわるタイトルをずっと付けてきたし、今回は10作目なのでそれは外せないだろうって。いろいろと考えたときに、“永遠に燃え続ける自分の気持ち”みたいなものを表現出来たらいいなと思って、付けさせてもらいました。1作目は『PYROMANIA』(‘97)=放火魔っていうタイトルだったんですけどね(笑)。彼が点けた炎はいまだに燃えていると考えてくれたらキレイかな?(笑)」
――(笑)。幅広い楽曲が収録されている中、歌詞にも“永遠”というフレーズが多い気がします。
「確かにキーワードの“永遠”はよく曲の中に出てきますね。今までは自分の伝えたいメッセージを、いろいろ言葉や角度を変えたりして歌詞にしてきたんですよ。なぜなら、自分が伝えたいと思うことは多分、1stアルバムの時点で言い尽くしていると思うから。だけど今回は、例え今までに使った言葉であっても、違う曲で重複したとしても、表現を変えて逃げるのをやめようと思ったんです。同じ言葉やメッセージが出てくるのは、自分の想いというか、そこに刻まれた想いの強さだと思っているから」
この世の中にライブというものが存在してなかったら
俺は音楽をやってなかったと思う
――今作を携えてのツアーもありますし、ライブで演奏するのが楽しみなのでは?
「そうですね。今回は音数にもすごくこだわって、今まで一番減らしたんですよ。1つ1つの音をもっともっと立たせるように、存在感が出るように、そして曲の中の隙間というものを味方につけようと思ったんです。なぜかと言うと、その隙間にライブでのお客さんの想いや熱が入ってこられるような“余白”を残しておきたかったというか。作り込み過ぎてしまうことでのつまらなさ、みたいなものを今回は排除しようかなって」
――音数を減らすのは難しかったのでは?
「実は難しいんですよね。音数が少ない分、嘘がつけないからちゃんとプレイしないとバレますからね(笑)。だからこそ、レコーディングに緊張感もあるし、テンションもずっと生き続ける。音楽って不思議ですよね? 今は録音するツールもデジタルに変わり、自宅でも素晴らしい音が録れたりして可能性が広がっていっているんですけど、いろんなことが出来てしまうからこそ、ある側面ではさっき言ったオーガニックさや、瞬間の素晴らしさを奪ってしまっている。音楽ってフォーカスを間違えると数学的になっちゃうんですよね。でも、僕らがやっているのは数学ではなくて音楽だから。例え音とかがズレていたとしてもバンドとして成立すれば、カッコよくなれば、それは正解なわけで。単純にカッコいいとか、気持ちいいとか、そういった部分に素直になっていく、貪欲になっていく、といったことをテーマに置いていました。だから、今までだったら許されないズレとかも残しているんですよ」
――すごく素直というか、純粋なロックキッズの頃に戻ってきた感じですか?
「そうなんですよ。ずっとやってきたからこそ、何かオチがすぐ見えてしまうことってないですか? それをある人は“経験を積んだ”って言ってくれるんですけど、その経験は足枷にもなるじゃないですか。だから常に、自分がワクワクすることとか、冒険心、挑戦する姿勢みたいなものは、いつでも燃え上がらせていきたいなと」
自分がワクワクすることとか、冒険心、挑戦する姿勢みたいなものは
いつでも燃え上がらせていきたい
――ライブに関してはどうですか?
「今の自分の最高な部分を見せていきたいですね。ライブもやり続けてきているわけだから、今までの蓄積の上に成り立っているすごいライブにしていかないとと思うんで。この世の中にライブというものが存在してなかったら、俺は音楽をやってなかったと思うくらい自分にとって重要でなくてはならないものだし、ライブがなかったら曲も書いてないと思う。やっぱりライブは、曲を聴いてくれているみんなとタイムラグなく共有し合える刺激的な場所なので、本当に盛り上がっていきたいと思います。あと、大阪はLUNA SEAで初めて来たツアー先なんですよ。そういう意味でも、何て言うか“第2の故郷”じゃないですけど、そういう想いはやっぱりありますよね。大阪のファンはシビアですけど、エンジョイしようという気持ちがものすごくあるし、そういう意味では真価が問われるエリアだと思うので、いつも全力でいかせてもらっています」
――最後にメッセージをお願いします!
「自分自身でもすごくいいアルバムが出来たと思うので、ぜひチェックしてみて欲しいですね。ツアーもすごいことになりそうなので、近くに行ったときはぜひ騒ぎに、遊びに来てください!」
Text by 金子裕希
Photo by 宮家秀明(フレイム36)
VIDEO
(2015年9月18日更新)
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