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lynch.が結成10周年に贈る美しき轟音ベスト
『10th ANNIVERSARY 2004-2014 THE BEST』
そして初の東名阪ホールツアーへ! 悠介(g)&明徳(b)が
この10年の裏話とバンドの志を語るインタビュー&動画コメント

 ダークでハードなヴィジュアル、ヘヴィなサウンドとは裏腹に、「メンバーの誰か1人でもNOが出たらその話はなし。全員一致でYESが出ない限りはやらない」(g・悠介)というスタンスで歩み続けてきたlynch.。そんな彼らが結成10周年を迎え、今年3月には10周年記念ベストアルバム『10th ANNIVERSARY 2004-2014 THE BEST』をリリース。5月にはバンド史上初の単独ホールツアーという新たなチャレンジに踏み出した。その記念すべきライブを控えた中、「バンドは今すごく良い状態」(b・明徳)と胸を張る2人に、この10年の裏話やホールツアー『THE DECADE OF GREED』への意気込みを訊いた。

 
 
今は純粋にライブが楽しくて、楽しんでいるお客さんを見て
こっちも楽しいなって思えればそれでいい
 
 
――取材対応は葉月(vo)さんや玲央(g)さんのイメージがあるのですが、今回は珍しい組み合わせですよね?
 
明徳(b)「どこに行ってもそう言われます(笑)。僕も喋れる方ではないんですけど、これを機会に少しでも…。ただ、10周年の話については僕らは10年フルでいたわけじゃないので、そこがちょっと心配なんです(笑)」
 
――悠介さんは’06年で、明徳さんは’10年の加入ですよね?
 
悠介(g)「そうですね。ただ、僕は2年足りないですけど、その差はないと思っているので。明徳はどうか分からないですけどね。何となく“10年経ったんだな”くらいでしょ?」
 
明徳「そうですね。第三者的な立ち位置でもありつつ、すごいな~と(笑)。でも、“そりゃ続くよな”っていう感じもありますけどね」
 
悠介「元々が長く続けていこうと始まったバンドなんで、誰かが辞めたいとか言わない限りはずっと続くんだろうなって。まず1人1人がしっかりしていて、それぞれの役割分担もあり、バンド以外の誰かの意見を聞かないと動けないわけでもない。そういう意味では大人の集まりというか、そういうところもあって続いたんじゃないですかね」
 
――ベストアルバム初回完全生産限定盤のメモリアルブックレットに載っていた記事で見たのですが、明徳さんは初対面の葉月さんにかけた言葉が「釣りやるんですか?」だったんですよね?(笑)
 
悠介「(葉月に)“名を名乗れ、お前は誰だ?”って言われていました(笑)」
 
明徳「そうなんです(笑)。lynch.と同じ名古屋でバンド活動をしていたのに、接触出来る機会がなかなかなくて、同じイベントに出るまでlynch.をすごく研究していたんです。この機会を逃したらもう次はないんじゃないかっていうくらいの気持ちだったので、僕なりに一番インパクトのある形で話しかけたんですけど逆効果で、ダメな印象だけ与えて嫌われちゃって…(苦笑)。でも、釣りしか共通点がなかったから、“釣りだけはいきましょう!”って、釣り友達から入りました(笑)。それで少し打ち解けた頃に、葉月さんの家でたまたまベースを弾く機会があって、“そういやAK(明徳)ってベーシストなんだね”っていう話になってからは、トントン拍子でメンバーになれて。本当に釣りとベースをずっと続けていてよかったです! 何か1つのことを続けておくのは大事なんだなって思いましたね」
 
――釣りが加入のきっかけになるとは(笑)。悠介さんの経緯も少し変わっていましたよね?
 
悠介「今ふと思い出したんですけど、僕が当時やっていたバンドのベースを観に来ていたとき、“ギターの子(=悠介)もいいね”みたいな感じになったような…。あと、なぜか僕もベースが弾けるという話が飛び交っていたようで(笑)、最初はベーシストとして声をかけられたんですよ。ただ、lynch.のライブを観に行ったことはあったんですけど、いざ蓋を開けてみたらめっちゃ難しくて。でも、lynch.って当時の名古屋のヴィジュアルシーンでトップを走っていたので、“こんなチャンスはない”っていう想いがやっぱりあるんですよ。ちょうどやっていたバンドも終わるし、挑戦してみようって。ベースを何年も弾いていたわけではないんですけどダメ元でやったら、案の定ダメで(苦笑)。で、次に何をしようかと考えていたときに、また玲央さんから“発想の転換でツインギターでやってみようかなと思うんだけど”っていう電話があって、スタジオに入って音を出したら一発OKで。ベースになったらどうしよう…って悩んだ時間は何だったんだっていう(笑)」
 
――(笑)。加入前、明徳さんはlynch.のライブは観ていました?
 
明徳「はい。ただひたすらカッコよくて、筋が通ったブレないバンドだなと思っていたんですけど、まさにそのままで。いろんな物事に対してすごくストイックに、真剣に考えている人たちで、それが凄みとして出ているので、入る前はめちゃくちゃ怖い人たちだと思っていたんですけど、意外とみんな気さくな人たちでした(笑)」
 
――バンドの初期と今ではどんな違いがありました?
 
悠介「3人(葉月、玲央、晁直(あさなお)(ds))だった頃ってすごく近寄りがたいというか、お客さんとの距離感もあったと思うんですよね。僕が入ってからもその期間が結構あって、どれくらいだろうなぁ…シングル『Adore』(‘08)を出したくらいから、ちょっとずつ変わってきたのかな。あの曲自体がお客さんとの絆みたいなものを歌った曲だったので、そこからだんだんとライブの見せ方も変わってきて、AKが入ってからさらに変わったかもしれない。AKがちょうどサポートをしていた’10年のラストインディーズツアーの途中で、葉月くんが喉を壊して離脱して、楽器陣だけで残りのツアーをやることになったんですね。AKなんていろんなところでライブをやるのも初めてで、すげー緊張してるし、ボーカルはいない。でも、その状況でもすごく一生懸命な姿を見て、僕らもボーカルに頼っている部分があったなって。そこから、徐々にライブの見せ方が変わっていったのはありますね。それまではライブ中に笑顔を見せるとか、ちょっとしたアクシデントを武器に変えてその場を盛り上げていくことも多分なかったし、決め込んでいた部分もあったんですけど、今はラフになったというか、いらない鎧を1つずつ外していったというか。ありのままの姿を見せられるようになったかなと思います」
 
明徳「一番ラフだったのはアルバム『INFERIORITY COMPLEX』(‘12)の頃じゃないかなって。そこから『EXODUS-EP』(‘13)でコンセプトを固めて今の感じになったんですけど、『INFERIORITY COMPLEX』のツアーをやったことでラフなことは悪いわけじゃないし、むしろカッコいいという見せ方にも気付き、『EXODUS-EP』でバンドとして見せたい部分を確立させたので、今はすごいいい状態だと思います」
 
――鎧を外せたのは自信がついてきたからですか? それとも年齢を重ねた結果?
 
悠介「年齢が一番大きいかもしれないですね(笑)。昔は楽しくてもクールにキメてないといけない、笑顔を見せたらダメとかいう感じがあったんですけど、常にカッコつけてステージに立っていても疲れるだけだし、自然のままでいいんじゃないかって。今は純粋にライブが楽しくて、楽しんでいるお客さんを見てこっちも楽しいなって思えればそれでいいじゃんって。もちろんバシッと見せるときは見せるし、そのちょうどいい塩梅をステージで出せるようになったのかなって」
 
 
今回やらなかったら一生やらないだろうなって(笑)
 
 
――個々の役割としてはいかがでしょう? 最初は葉月さんが詞曲担当だったと思うのですが。
 
悠介「そうですね。デザインは晁直くんがやって、会社を立ち上げてもいるので代表は玲央さんっていうのが最初の役割だったんですね。入った当初は僕の役割が何もなくて、とりあえず機材の積み込みを必死に頑張るという(笑)。今もメンバーみんなで協力し合っているんですけど、積み込むときの配置は、僕が積み込み番長として厳しくやってますね(笑)。あと、最近になってライブの開演前の選曲、終演後に流すBGMの曲作りも僕の担当になっていますね。それプラス、『EXODUS-EP』以降“みんなで曲やアイデアを持ち寄ろう”となってからは自分の曲が採用されるようになって、継続的に曲作りをしています。この人(=明徳)なんて、lynch.に入る前はパソコンすら持ってなかったのに(笑)、今や映像の編集まで任されるようになっていますからね」
 
明徳「ベースを弾くこと以外に、何かを任せてもらえるとなると、自信になります」
 
悠介「うちは“働かざる者食うべからず”なので(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) 皆さんは今も名古屋在住ですか?
 
悠介「そうですね。今は文明が発達していていろんなやりとりもネットで出来ますし、名古屋だとツアーやライブで移動しやすい、スケジュールが組みやすい利点があるんですよね。例えば、まずは西回りに行って1回戻ってきて、次は東回りから北の方に行って、また戻ってっていう感じで。あとはやっぱり住みやすいよね?」
 
明徳「はい。住み慣れたところなので(笑)。ツアーから帰ってきて疲れていても、地元で食べ慣れたものを食べたら、すぐに“よし、また行こう!”って思えるので、メンタル的なところでも大きいです。地方から上京して揉まれるバンドもいると思うんですけど、それとは逆のやり方でメンタルが強い状態でいられると思います」
 
――名古屋にいたからこそ、10周年を迎えられたのはあります?
 
明徳「なくはないですね(笑)」
 
悠介「僕は東京に行っていたら病んでいたと思います(笑)」
 
――名古屋在住ながらも着実な活動を続ける中で、動員が伸びてきているとも聞きます。
 
悠介「僕らはドカンと増えましたっていうのがないので、あまり実感がないですね。急に会場の規模がデカくなって…っていうのはなく、一段一段上っていかないと気が済まないので。そこは着実に石橋を叩いて渡るじゃないですけど、着実に進んでいきたいと思っています。ただ、常に慎重にやっているわけではないので、ここぞというときにはやります」
 
――lynch.はライブハウスにこだわりを持っているバンドですよね? それが今回、初の単独ホールツアーに挑むというのは、そのタイミングが来たからなのでしょうか?
 
悠介「それもあるし、3月にベストアルバムを出したっていうのもやっぱりあります」
 
明徳「今回やらなかったら一生やらないだろうなって(笑)」
 
悠介「葉月くんなんか、最初は“絶対にやりたくない”って言ってましたからね。でも、いずれは武道館という目標に向かっていくなら、一度はホールでのワンマンライブを経験しておいた方がいいというスタッフの意見もあって」
 
明徳「“やりたくない”と言っていた葉月さんが、“やっぱりホールでやりましょう”って言ったときは、“マジか!”って思いました(笑)」
 
――ホールツアーはベストアルバムが軸になります?
 
悠介「そうですね。その前にやったライブハウスツアーのセットリスト3種を組み合わせた、いいとこどりの内容になると思うので。ベストで初めてlynch.を知ってくれた人も、ライブハウスツアーに来れなかった人、来てくれたお客さんも楽しめると思います。ただ、ホールツアーは楽しみですけど、広い空間の隅々までお客さんに音を届けられるかどうかとか、いろいろ不安もありますね。普段通りのプレイも大事なんですけど、また違った一面も見せないといけないのかなって。自分たちが次に向かうための試練じゃないですけど、そういうタイミングだと思うし、これで何の経験にもならなかったら意味がないので。二皮くらい剥けたいですね」
 
明徳「イベントではホールに立ったことはありますけど、本当に自分たちだけで空間を作るという意味では、全然別モノになると思います。勢いだけでもいけないし、本当にライブとショーっていうくらいの感じで考えないと。楽しみでありながら、ドキドキしていますね。僕らは根っからのライブバンドなんで、ライブを観てもらわないことには本当に何も分からないと思うので。逆にライブに足を運んでもらえれば、一発で“これがlynch.だ!”って伝えられると思うので、ぜひライブを観に来て欲しいですね」
 
悠介「“俺のおもしろMCを聞きに来てくれ”ってこと?(笑)」
 
明徳「僕は結構マジメに話をしているつもりなんですけど…なぜか笑われるっていう(苦笑)」
 
悠介「音はカッコいいんだけど、怖そうだからライブには行きたくないなって思われたくないんです。ライブに来てMCを聞いてもらったら、“こんなにおもしろい時間を作ってくれるバンドなんだ”って分かると思うので。特に玲央さんなんて、見た感じ怖そうじゃないですか(笑)。ドラムの晁直くんも。でも、全然そんなことないんだよ、本当は優しいんだよっていうのは知ってもらいたいですね」
 
――SNSなどを見ると、各自のキャラが分かりますよね。晁直さんは猫好きなんですか?
 
明徳「大好きですねぇ~猫とよく喋っていますね~(笑)」
 
悠介「ノラ猫とかがいると、寄っていってかまってますもんね(笑)」
 
――その姿が想像出来ない(笑)。では最後に、ライブに向けた意気込みをお願いします。
 
悠介「初めてのホールなのでどうなるのか分かりませんが、とにかく楽しむことを忘れずに、皆さんが笑顔になって、楽しかったって思えるような演出等々をしていくので。ライブハウスは怖いから行きたくないんだけど、今回はイスがあるから行こうかなって悩んでいる人はぜひ来て欲しいし、イスがあるからどうなんだろうなって思っている人はそんな心配はせず、必ず楽しませるので期待していて欲しいです」
 
明徳「lynch.をよく知っている人も、音源しか聴いたことがない人も、こんなバンドがホールでどんなライブをするんだ?って考えちゃうと思うんですけど、やるからには絶対にいいライブにするし、みんなが楽しめるようにするので。難しいことは考えずに、ぜひ楽しみに来てください!」
 
 
Text by 金子裕希



(2015年5月 1日更新)


Check

Movie Comment

ツンデレしながらじゃれあう(笑)
明徳(b)&悠介(g)からの動画コメント

Release

2枚組全36曲のボリュームで贈る
10年分のベストトラックス!

Best Album
『10th ANNIVERSARY
 2004-2014 THE BEST』
発売中 3241円(税別)
キングレコード
KICS-3170~1

<DISC1収録曲>
01. ADORE
02. I BELIEVE IN ME
03. liberation chord
04. INVINCIBLE
05. VANISH
06. STARZ
07. melt
08. an illusion
09. forgiven
10. THE TRUTH IS INSIDE
11. THE FATAL HOUR HAS COME
12. DEVIL
13. ALL THIS I'LL GIVE YOU
14. LIGHTNING
15. from the end
16. a grateful shit (LIVE)
17. TIAMAT (LIVE)
18. pulse_ (LIVE)

<DISC2収録曲>
01. LAST NITE
02. I'm sick, b'cuz luv u.
03. NIGHT
04. GREED
05. -273.15℃
06. NEW PSYCHO PARALYZE
07. LIE
08. BALLAD
09. AMBIVALENT IDEAL 
10. PHOENIX
11. JUDGEMENT
12. INFERIORITY COMPLEX
13. THE BLASTED BACK BONE 
14. MIRRORS
15. unknown lost a beauty 
16. A GLEAM IN EYE
17. discord number (LIVE)
18. DAZZLE (LIVE)

Profile

リンチ…写真左より、悠介(g)、晁直(ds)、葉月(vo)、明徳(b)、玲央(g)。’04年8月に葉月、玲央、晁直の3人によって結成され、12月27日に名古屋クラブクアトロ公演(シークレット)からライブ活動をスタート。’06年に悠介が加わり、’10年に明憲が正式加入し、現在の5人編成となった。’11年6月にアルバム『I BELIEVE IN ME』でメジャーデビュー。’14年12月には10周年記念ライブを開催し、’15年3月11日にはインディーズ・メジャー問わずメンバーが選曲した36曲を収録した10周年記念ベストアルバム『10th ANNIVERSARY 2004-2014 THE BEST』をリリース。5月には東名阪での初のホールツアーを控える。

lynch. オフィシャルサイト
http://lynch.jp/

Live

10周年ベストに伴う初のホールツアー
がGWの大阪よりいよいよスタート!

Pick Up!!

【大阪公演】

『HALL TOUR'15
「THE DECADE OF GREED」』
チケット発売中
▼5月3日(日・祝)17:30
NHK大阪ホール
全席指定5400円
夢番地■06(6341)3525
※未就学児童は入場不可。

 
【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード252-285
▼5月4日(月・祝)17:30
刈谷市総合文化センター 大ホール
全席指定5400円
キョードー東海■052(972)7466
※未就学児童は入場不可。

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チケット情報はこちら


【東京公演】
チケット発売中 Pコード253-003
▼5月8日(金)18:30
渋谷公会堂
全席指定5400円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※未就学児童は入場不可。

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Column

泣く子も黙るへヴィなサウンドで
遂にメジャーフィールドへ進出!
lynch.が語るデビューアルバム
『I BELIEVE IN ME』制作秘話