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ホーム > インタビュー&レポート > 少女から女性へ、子供から大人へ 誰もが経験する苦くて鮮烈な旅のはじまりが刻まれた Drop’s『さらば青春』インタビュー& 3/20(金)心斎橋JANUSの完全招待制ワンマンに5組10名様ご招待!


少女から女性へ、子供から大人へ
誰もが経験する苦くて鮮烈な旅のはじまりが刻まれた
Drop’s『さらば青春』インタビュー&
3/20(金)心斎橋JANUSの完全招待制ワンマンに5組10名様ご招待!

 もしも今、卒業を前に心が揺れているリスナーがいたら、Drop’sのニューEP『さらば青春』を贈りたい。昨年発売された前作『HELLO』がパステル調のポップなアルバムだとしたら、今回の『さらば青春』はモノトーンでずっしりと重みのある、今の季節にじっくりとかみしめたい1枚だ。中野ミホ(vo&g)が高校3年生のときに書いたそのタイトル曲の中で彼女は、10代の日々を“透明な時間”と呼び、それに別れを告げている。少女から女性へ、子供から大人へ。誰もが経験する苦くて鮮烈な旅のはじまりが、冬の凍てついた空気と共にこの曲には刻まれている。さらに今作では、念願だったアナログレコーディングの実現や、『テキサスの風』(M-4)では物語を編むように実体験ではないフィクションを書くことにも挑み、見事に等身大以上の世界を聴かせてくれている。そんな瑞々しい感性で捉えた新世代のブルース/ロックンロールを鳴らすDrop’sが、3月に札幌、大阪、東京で『SHOW CASE LIVE TOUR』(招待制)を開催する。すでにDrop’sを知っている人はもちろん、まだDrop’sに触れたことのないリスナーとバンドのとっておきのランデブーの場になることは間違いない。自身も家でレコードを聴くのが好きだという中野は、「いつかDrop’sもレコードを作りたい」と話していたが、『SHOW CASE LIVE TOUR』会場では、過去4作品のアナログ盤が限定発売されることも決定した。

 
 
“大人になりたい”とは思っていたけど
いざそういう世界があると分かったときのショックというか
 
 
――最初に『さらば青春』のジャケットを見たとき、前作『HELLO』より5人の表情が大人になっているように感じました。ミュージックビデオも冬の凍てついた空気が封じ込められているようで、曲がずしっと響きますね。
 



「よかったです。冬に出すEPだったから、ジャケットもミュージックビデオも冬っぽいものにしたかったのと、今回は前作のポップな感じよりもDrop’sのちょっと重みのある一面を感じてもらえたらなぁと思って。元々『さらば青春』という曲は冬にリリースしたいとずっと思っていて、タイミングを見計らっていたところもあって」
 
――『さらば青春』は中野さんが高校生のときに作った曲なんですね。
 
「最初に曲が出来たのが高校3年生のときで、それからいろいろアレンジや構成も変わって。今回歌詞を一部つけ足したんですけど、ほとんどは高校のときに出来上がっていました」
 
――“高校時代=青春”というイメージですが、なぜ“さらば”なんでしょう?
 
「ちょうどその頃からライブで北海道外に行くこともあって、大人の人と接する機会も増えて、周りも変わっていくし、自分もそれまでとはちょっとずつ変わっていくような感じがあって。学校生活だけを見れば行動範囲も限られているし狭い世界なんですけど、一歩外に出て東京とか知らない街に触れて、“こんなに広い世界があったんだ”ってことを知ってしまったショックみたいなものや、“大人になりたい”とは思っていたけど、いざそういう世界があると分かったときのショックというか。自分がその大人の世界に行っていいのかなという気持ちと、“行くんだ!”っていう気持ちの境目みたいな感じだったと思います」
 
――RCサクセションの『スローバラード』(‘76)のような、あたたかいけどちょっぴりもの悲しいブルースですね。
 
「私も『スローバラード』大好きです(笑)。『さらば青春』はその当時に思っていたことをストレートに書いて、出来たときから自分でも大好きな曲だったし、メンバーとも“ちゃんとした形で世に出したいね”と言っていて。これからもずっと残っていって欲しい曲でもありますね」
 
――歌っていて、当時とは何か違った感触がありますか?
 
「歌詞に関しては、今の自分だったらこういう風には書かないだろうなって。“何も言わず さらば青春よ”からの2行は新しく付け加えたんですが、それは過去を振り返るだけじゃなく、今の5人やこれから先の未来のことを歌いたいなと思って。そういう詞にしたことで今も歌えるし、これから先にも連れて行ける曲になったなと思いますね。今回は初めてアナログでレコーディングしたんですが、デジタルと違って録った後から一部分だけを修正することも出来ないし、トラックを保存しておくことが出来ないから、演奏も歌も一発勝負で。ドキドキしたけど音の質感もデジタルとは全然違って、音にあたたかみや深みがあるというか、“いい音だなぁ~”って思いました。アナログレコーディングは前からやってみたかったので、実現出来て嬉しかったですね」
 
 
どれだけカッコよくブルース出来るか
 
 
――『ちっちゃな時から』(‘70)(M-3)は浅川マキさんのカバーですが、原曲の煙るような雰囲気とはまた違ってDrop’sのバージョンはとてもクリアに感じました。昭和っぽさが絶妙なリズム&ブルースですよね。
 
「すごく楽しかったしテンション上がりました! 浅川さんが亡くなられたときにこの曲を初めて知ったんですが、最初に聴いたときのインパクトもすごかったし、リズムとかもカッコよくて衝撃でした。元々私とキーボードのバシ(=石橋わか乃)が“この曲カッコいいよね!”と言っていて、バンドでやりたいなと思っていて」
 
――カバーとは言え、他の方が書いた曲を歌うのはどんな感じですか?
 
「今回は自分なりにカッコつけて歌おうと思って。歌詞に感情移入して歌うタイプの曲ではないので、どれだけカッコよくブルース出来るかなってところで歌いましたね。ライブもそうですけど、演じるというか自分じゃない誰かになれるような感覚があって楽しいですね」
 
――『テキサスの雨』(M-4)も、“ど”がつくブルースですね。
 
「テキサスには行ったことないんですけど、ヴィム・ヴェンダースの映画『パリ、テキサス』(‘84)で見る風景に憧れがあって。この曲では、物語を書くような感じで、自分が実際に見たことも体験したこともない世界を詞に書いてみようと思ったんですね。初めての挑戦だったんですけど、プロデューサーの上田健司さんとも何度も話し合って完成させることが出来て。今までよりも自分の世界を広げることが出来た気がしています」
 
――モノクロのロードムービーを観ているような曲ですね。
 
「この歌詞はすごく苦労したんで、そう言っていただけると嬉しいです(笑)。上田さんからも、“言いたいことが聴いている人に伝わらないと意味がないし、分かってもらえないよね”とアドバイスをいただいて、本当に挑戦でした。まさに『さすらい』(‘75)とか、『都会のアリス』(‘73)辺りのロードムービーを思い描きながら書いてましたね」
 
 
いつも最新のライブが自分たちの一番いい形であるように
 
 
――“ライブをやることで曲が成長していく”とよく言いますが、Drop’sもそうですか? 
 
「そうですね。同じ曲を演奏していてもその時々で全然感じは違うし、ライブでやってみて“この曲はもっとこうしたらいいんじゃない?”って話して変わっていったりもするし。いつも最新のライブが自分たちの一番いい形であるようにやりたいと思っています」
 
――3月20日(金)心斎橋JANUSでショーケースライブがあります。この日初めてDrop’sを観る人も多いでしょうね。
 
「さっきのカバー曲の話じゃないですけど、ライブはいつもの自分じゃなくてロックスターになれる場所っていう感じがあるんですね。自分たちでもそれを楽しんでるし、毎回自分たちの中にあるものを発散するように演奏してますね(笑)。そういう姿にみんなが夢中になってくれて、“もう1度観たい”と思ってもらえるといいなぁと思いますし、10代とか自分と同世代ぐらいの人だったら、バンドや音楽じゃなくても、皆さんのやりたいこととか今夢中になってることに対して、Drop’sのライブや音楽が何か刺激になれたら嬉しいなと思いますね」
 
 
Text by 梶原有紀子



(2015年2月27日更新)


Check

Release

蒼き時代をエモーショナルに表現した
北の大地からの末恐ろしきブルース!

Single
『さらば青春』
発売中 1018円(税別)
STANDING THERE, ROCKS /
キングレコード
KICM-1559

<収録曲>
01. さらば青春
02. メトロ・ランデブー
03. ちっちゃな時から
04. テキサスの雨

Profile

ドロップス…写真左より、奥山レイカ(ds)、石橋わか乃(key)、中野ミホ(vo&g)、荒谷朋美(g)、小田満美子(b)。’09年、高校で知り合った5人で結成。高校2年生の夏休みに初めて作ったオリジナル曲『泥んこベイビー』で高校生バンドコンテストのグランプリを獲得。’11年、高校3年生の7月に1stミニアルバム『Drop’s』リリース。同年12月に同じ札幌出身のバンド、爆弾ジョニーとスプリットシングル『SPLIT』発売。3月SHOWCASE LIVEツアーを開催。’12年、地元・北海道の夏フェス『JOIN ALIVE』に初出演し、以降現在まで3年連続で出演している。’13年9月に発売した1stフルアルバム『DAWN SIGNALS』は『第6回 CD ショップ大賞2014』北海道ブロック賞を受賞。’14年7月に2ndフルアルバム『HELLO』発売。同アルバムを携えた全国ツアーの東京、札幌公演はソールドアウト。12月3日には2nd EP『さらば青春』をリリース。同作に伴い、3月13日(金)札幌cube garden、3月20日(金)心斎橋JANUS、3月27日(金)東京キネマ倶楽部にて、SHOW CASE LIVE TOUR開催。同会場では、過去のアルバム4作品『Drop’s』『LOOKING FOR』『DAWN SIGNALS』『HELLO』のアナログ盤も限定発売される。

Drop's オフィシャルサイト
http://drops-official.com/

Live

完全招待制のレアなライブに
読者5組10名様をご招待!

Pick Up!!

【大阪公演】
『SHOW CASE LIVE TOUR』
 (完全招待制:入場無料)

▼3月20日(金)18:30open / 19:30start
心斎橋JANUS
オールスタンディング(ドリンク代別)
※ご入場は、『さらば青春』CD購入者の中から当選している先行応募入場券をお持ちの方の後になります。あらかじめご了承ください。

【締切】3月12日(木)23:59
※当選メール返信:3月13日(金)予定
※PCよりメール送信を致しますので、ドメイン指定等の設定をされている方は、前もってメールが受信できる状況にしておいてください。

※受付は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。

 

テレビ音楽番組『音エモン』主催の
人気ライブイベントにも出演!

『OTOEMON FESTA 2015』
チケット発売中 Pコード252-204
▼3月21日(土・祝)16:30
LIVE SQUARE 2nd LINE
スタンディング2500円
[出演]QOOLAND/THE BOYS&GIRLS/
ミオヤマザキ/Bentham/Drop's
キョードーインフォメーション■06(7732)8888
※小学生以上は有料。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


Column

若き胎動とらしからぬ
貫禄のブルース。北の大地から放つ
まばゆきロックンロールアルバム
前回の『HELLO』インタビュー