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「こういう生業を選んだんやから」
信念を貫きながらポップに拡散する後藤まりこの
変化と覚悟のニューモード『こわれた箱にりなっくす』!
ワンマンツアー開幕を前に語るインタビュー&動画コメント

 ‘10年にミドリを解散し、’12年に1stソロアルバム『299792458』を発表以来、音楽のみならずミュージカルやドラマ、映画、舞台にも出演するなど、幅広く活動している後藤まりこ。3枚目のアルバムとなる最新作『こわれた箱にりなっくす』は、レコード会社も事務所も変わり心機一転で作られた作品だ。向こう見ずな精神は相変わらずながらも、誰かのために…そして人と協力する…そんな新しい視野を手に入れたように思えるこの新作。昔からのファンだけでなく、後藤まりこはもちろん、音楽すらあまり知らないフラットな人にも響くような、そんなポップなアルバムが生まれた。

 
 
関わってくれる人全員に言えるのは
“一緒にご飯を食べられる関係”とか、そんな些細なこと
 
 
――事務所やレコード会社が変わり、心機一転な感じがしますが、いかがですか?
 
「あんまり気持ち的には気にしていないけど、実際自分がやる分量は変わってきて、超絶楽かも。例えば、マネージャーさんがおってくれたら、荷物が多いときにギター持つのとか手伝ってくれるし。レコード会社に関しては、過去2作のアルバムを出してくれたところも、たまたま知り合いがいて出してもらった感じで。今回もキングレコードの宮本さんが顔見知りで“出して~”と言ったら、動いてくれた。ほんまラッキーです。“うん、いいよ”と言ってくれて。不思議、決まるの。だから、縁なんやと。でも、関わってくれる人全員に言えるのは、“一緒にご飯を食べられる関係”とか、そんな些細なことなのかも。でも、そういうとこが一番大事やったりするから。普通にコミュニケーションを取られへん人とは、何にも出来ないやんか。あと、何かお願いしたときに“…ちょっと待ってね”とか言われても、やっぱ進めにくいし。まぁ、前のレコード会社も本当に良くしてもらったんやけど、事務所を抜けるときに1回御破算にしよかという話になって。インディーでやるのも考えたんやけど、今(インディーに)戻っても、どうなんやろうとも思って。いっぱい考えたよ。次どうするかは。出し方なんて、なんぼでもあるし。みんなさ、メジャー云々とか言うけど、思っているほど堅苦しくなくて。いい人には、絶対に出逢えるから。ミドリのときは初めてやったから、いろいろと分からんこともあったけど、今はまた違う。それに最近、物販に立ったり手売りしたりとかして。それは、インディーズ感を感じなきゃと思ったからで。ライブの動員や音源の売り上げ枚数も、本人が知らないとアカンと思うし」
 
――ネットでも話題になったけど、ライブのチケットが売れてないことを明らかにして、手売りとかもしたもんね。
 
「売れていないことをアピールした宣伝みたいにも思われたみたいやけど、それも正解やと思うし。実際にじたばたしていたし。結果、たくさんの人に来てもらえたからよかった。あれがあったから強くなれたと思う。今、調子悪くないよ。リラックスしてる。ちゃんと椅子に座ってるし(笑)」
 
――昔、取材のときに地べたに座ってることがあったもんね(笑)。
 
「あった、あった(笑)。それに前のアルバムでもインタビューしてもらったけど、前日ギリギリまでマスタリングしてた! みたいな状態でのインタビューやったから。あのときは、ちょっと真面目過ぎた。今は、いい塩梅やと思う。前作は、とにかくちゃんと作りたくて、細かいとこまで気にし過ぎて。実際、聴く人はそこまで気にしないところまで気にしていたから、どんどん時間がなくなって。今聴いたら、どこをそんなに凝っていたのか分からないくらいに凝っていたから。それも今に活かされているとは思うけどね」
 
 
前までは説明するために喋るより
自分でやった方が早いと思っていたから、委ねられなかった
 
 
――今作のコンセプトとかはあったのかな?
 
「何にも考えてなくて。キングレコードの宮本さんが“いろんなアレンジャーさんに頼んでみたら?”と言ってくれて、何も疑問に思わず、ええアイデアやなと思った。前作、前々作をバンドで作っていたし、何か変わらな始まらんと思っていたから、おもしろかった」
 
――まりこちゃんは何でも自分で出来るイメージがあるから、人に委ねられたのはいいことだなと思って。
 
「自分でするのも嫌いじゃないよ。前までは説明するために喋るより、自分でやった方が早いと思っていたから、委ねられなかった。その努力を惜しんでいたのは、アカンかったと思います。ずっとバンドをやってきて、1人になってもバンド形態だけでやってるのも不思議かもって思って。どんな形態でもいいはずやし。ライブも今、なんでも出来るよ、そういう風にしたら」
 
――歌詞もすごい変わったなと思いました。
 
「歌詞はやっぱり、最終的な着地点を考えて、書きました。前々作は発音する音だけを考えていて、前作は、ちょっと照れもあって…。今回は事前にスタッフに歌詞を見せていたから。そんなん、今までやったらありえへかんった。いっつも、音も歌詞もスタジオで“せーの!”やったから。嫌やってん。何か見せるのが。初めましてのスタッフばっかりやったけど、ディレクターが歌詞をめっちゃでっかくプリントアウトしてくれたり、何か一生懸命してくれて。今でもいろいろと事前に知られているの意識したら恥ずかしくなるけど、まぁ、こういう生業を選んだんやからね。どんなことをするにしても、馴れ合いだけは絶対にしたくないけど」
 
――ちゃんと人と向かい合う…ほんま成長やよね。
 
「“バーンとしてください!”とかしか言われへんから、なかなか伝わらんのやけど、対人トレーニングやから。だいぶ、出来たかも、コミュニケーション。次やったら、また全然違うと思うから、早く次やりたいし」
 
――アレンジャーさんのアレンジさんはどうやった?
 
「音源だけで聴いたら分からんやつもあったけど、ライブでやってみたらすごいよかったりして、おもしろかった。普通に自分のアレンジで弾き語りでやったら、呪いにしかならん曲も全然違って聴こえた。真面目にやるとすぐ呪いになるけど、そやないのもエエと思いました。根暗やから。今回は少し明るくになれたかも」
 
 
トガってるのがカッコいいと思った時点でダサいし
昔の自分は子供やったし、無軌道やった
 
 
――アニメやアイドルの世界に目を向けているのも、おもしろいなと。
 
「アイドルってすごい貪欲やと思う。制作側も本人たちもすごい。アイドルを“手段”として言い切ってる人もいて、逆にカッコいい。“有名になれたら何でもいい”という感じが、おもしろい。僕とは、違う生き物やと思うし。意識高い子は、ほんまにすごい。でも、何で(目的が)有名になりたいかは、分からんかったりするのかも。だけど、とにかく有名になりたい…って想い。それがカッコいいなって」
 
――今のアイドルの方が、バンドより向こう見ずなのかもね。
 
「そやね。若いバンドマンは優等生が多いかも。僕とか初めてツアーに出たとき、炊飯器を持って行って、ライブハウスの蛇口でお米を洗って、塩で炊き立てのご飯を食べてました。ちゃんとバイトとかしてるのは偉いけど“バンドマンとして”は果たして、それでエエんかなって」
 
――すごく分かります、その話。まりこちゃん世代は、ガッツや反骨精神が必ずあったからね。もし今、若いバンドをプロデュースする話があったら、どう?
 
「バンドは我が強いからイヤ」
 
――アハハ(笑)。我の強いまりこちゃんが、そう言うのもおもしろいけど!
 
「それしかミドリ時代は考えてなかったから。今は、いろいろとちゃんと気にし始めてます。ライブも僕は普通にしてるつもりやったど、普通のコンサートにしか行かない人は、怖かったのかも。そういうのが分からなかった、昔は。女の人がギターを持って飛び出してきただけで、怖かったのかも…。それだけでハードルが高くなって、観てもらいにくなってるのに気付かなかった。トガってるのがカッコいいと思った時点でダサいし。何でもいいんよ。昔の自分は子供やったし、無軌道やった」
 
――でも、その無軌道さがカッコよかったし、その時代があったから、今のまりこちゃんがあるのかなと思う。
 
「誰かのアウトプットになりたいと今は思えるし、何でも1人でなんて出来へんから。とにかく曲はいっぱい作りたいし、メジャーでやっている以上は売れなアカン」
 
――2015年も期待しています!
 
「ありがとう」
 
 
Text by 鈴木淳史



(2015年1月 7日更新)


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Movie Comment

最後!(笑) アルバムとワンマンに向け
後藤まりこからの動画コメント

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Release

様々なアレンジャーの元、縦横無尽に
ポップセンスとリリックが冴え渡る!

Album
『こわれた箱にりなっくす』
発売中 2300円(税別)
キングレコード
KICS-3127

<収録曲>
01. 触媒
02. Re:なくす
03. スナメリ
04. 好き、殺したい、愛してる
05. 関東ローム層
06. れっつきるみ
07. 正しい夜の過ごし方
08. シンデレラタイム
09. I / O

Profile

ごとう・まりこ…’03年、ミドリ結成。’07年にメジャー進出を果たし、’10年解散。’11年12月に自主企画を立ち上げ、ソロとして始動する。’12年7月に1stソロアルバム『299792458』を、翌’13年に2ndアルバム『m@u』を発表。音楽活動と並行して、ミュージカルや舞台、映画、ドラマなどでも活躍する。’14年11月12日に、3rdアルバム『こわれた箱にりなっくす』をリリース。1月9日(金)大阪・梅田AKASOを皮切りに、今作を引っ提げたワンマンツアーがスタートする。

後藤まりこ オフィシャルサイト
http://510mariko.com/

Live

いよいよ地元大阪より
バンドワンマンツアーが開幕!

Pick Up!!

【大阪公演】

『私のRe:booooot ワンマンツアー』
チケット発売中 Pコード247-522
▼1月9日(金)19:00
umeda AKASO
オールスタンディング3780円
[共演]AxSxE(g)/仲俣“りぼんちゃん”
和宏(b)/坂井キヨヲシ(key)/中村圭作(key)/マシータ(ds)
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード246-719
▼1月10日(土)18:00
池下CLUB UPSET
スタンディング3780円
[共演]AxSxE(g)/仲俣“りぼんちゃん”和宏(b)/坂井キヨヲシ(key)/中村圭作(key)/
マシータ(ds)
池下CLUB UPSET■052(763)5439

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【東京公演】
チケット発売中 Pコード247-826
▼1月23日(金) 19:00
赤坂BLITZ
1F立見3780円 2F指定3780円
[共演]AxSxE(g)/仲俣“りぼんちゃん”和宏(b)/坂井キヨヲシ(key)/中村圭作(key)/
マシータ(ds)
ホットスタッフ・プロモーション■03(5720)9999

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 

Column

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