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監督、脚本、主演ビッケブランカ
過去に囚われ、過去に生かされる、ハイブリッドなピアノマンの
先天的音楽人生をたどれ――。希望のファルセットが導く
『ツベルクリン』インタビュー&動画コメント

 音楽を聴いて気持ちがワクワクする。そんなシンプルで純粋な感情が湧き上がるのは、古き良き音楽だけなのか? そんな得も知れない寂しさと、きっと出会えるというほのかな期待を、華麗にステップするピアノと心地よく踊るファルセットボイスで超えていく楽曲に、ハッと耳を奪われた人はどれだけいるだろう。己の音楽的旨味を全方位に発揮する軽やかなラブアフェア・ソング『追うBOY』、FM802の10月度ヘビーローテーションとなった美しきミドルバラード『秋の香り』をはじめ、溢れる音楽への情熱と無骨な愛を高純度ポップソングに変換するビッケブランカが、その才能をフルドライブさせた1stミニアルバム、『ツベルクリン』を遂にリリースした。その印象的な名前と歌声を、どこかで聴いたことがある気がしたあなたはそう、彼にはもう出会っている。だが、当時、事務所に所属し、メディアもざわめき、今にも火が点きかけていたそのムードと追い風は、いつの間にか何処かへ消えてしまっていた…。あれから2年。シーンを漂流し、そのルーツとスタンスを見つめ直した彼は、変わらぬ笑顔とタフな旅を経たたくましさを身に着け、素晴らしい作品と共に再び目の前に現れた。彼は『step in control』でこう綴る。“君の大好きな街はどこ 君の大好きだった服は 君の大好きな人は誰 何も間違ってないよ Easy come easy come easy go”。愛すべきピアノマン、ビッケブランカの新たな船出を記すインタビュー。

 
 
しっかりピアノを弾いて、自分の言葉で歌詞を書いて
歌い方に関してはファルセットを使ったコーラスワーク
 
 
――2年ぐらい前にライブも観させてもらって、いいアーティストだな~と思っていたのも束の間、いつの間にかホームページにも飛べなくなっていて。『MINAMI WHEEL 2012』の楽曲人気投票でも1位になったりと、あれだけ周囲がざわついていたのに、まずはこの2年間に何があったのかを聞きたいなと。
 
「当時は事務所にいて、いろんなことを一緒に考え、いろんな作戦を立て、一生懸命やったんですけど、まあ時の運みたいなものもあって、上手くいかなかったんですよね。そこで学んだこともあるから、次の1年間はどこにも所属せず、それを活かしてもう1回頑張ってみようって。あと、大学時代の旧友がレコード会社のA&Rになったんですよ。元々はバンドのメンバーだったんですけど10代で辞めちゃって、まあ仲良く付き合いながら、僕はアーティストになって、彼は制作になったっていう。彼に忙しいながらもいろいろと手伝ってもらって、ライブも一緒に組んだりしながら、事務所時代にお世話になったみんなに“すみません、力を貸してください”って1つずつお願いして…自分で自分を理解する1年だったと思います。自分がどういうアーティストで、何をやりたくて、人は何を求めていて…それぞれ違うんだなってホントに実感したので。自分に似合うこととやりたいことと、自分に求められるものが全部違う。多分これまでも、いろんな人がそういう話をしてくれたと思うんですけど、あんまり吸収する気がなかったし、興味のないことだった。自分の作りたいものを作ることに夢中だったから、学ぶスタンスではなかったんですよね。そんな中、自分はどういう形になっていこうかを考えてましたね」
 
――答えは出たんですか?
 
「まだ出てないんですよ。ただ、自我と求められるニーズと、ホントに得意としているもの…いろんな人の意見を聞きながら、自分の核をしっかり作らなきゃって。それが今僕がやっている、しっかりピアノを弾く、自分の言葉で歌詞を書く、歌い方に関してはファルセットを使ったコーラスワークというか」 
 
――ある種、自分で自分のスタンダードを決める作業というか。
 
「ああもう、まさにそれですね」
 
 
僕の幼少期から思春期が何で染まってたかと言ったら、常に恋愛だった
 
 
――そういう過程を経てたどり着いた今作は、音楽を聴いて何だかワクワクするような、シンプルでピュアなパワー、根源的なエネルギーを感じるアルバムだと思ったんですよね。
 
「めっちゃ嬉しい言葉です。ありがたいです」
 
――今回のアルバムにはどうやって向かっていったんですか?
 
「いろんなことを1年も考えた割には、やっぱり自分の好きなことをしたい気持ちが、まだ強くあるというか(笑)。変化する1年前とは決定的に違いますけど、やっぱり自分の作りたいものを作って、それをみんなに聴いてもらって感動してもらいたい、必要とされたい。ただ、手当たり次第好きなことをやってとっ散らかるんじゃなくて、ピアノと歌声は全曲を通してあるけど、曲の雰囲気とかジャンル、ノリはまちまちなのが僕なのかなって」
 
――今はそうやって1つの指針が出来つつありますけど、今までやってきて自分を見失ったことはありました?
 
「今思い出すのもつらいほど迷走に迷走を重ねた、事務所を辞める前の最後の2ヵ月間が一番の変革期でしたね。“この際、君にはここが足りないっていうところをハッキリと言ってください”と伝えたら、“何で音楽やってるん? 誰の影響でやってるん? 歌詞の耳障りはええけど結局何が言いたいん?”みたいな根本的なことを切々と言われて、それを踏まえて自分の曲を聴いてみたら、自分でも意味不明に思うようになったんですよ。今までは、気持ちいい、ノリがいい、歌詞の意味よりも韻とかリズム、という感じだったけど、そう言われると、ホントに何もないことが分かったんですよね。それと同時に、“マニアックなメロディを作るクセもあるし、ある意味それは才能かもしれないけど、歌詞の面でも曲の面でも複雑だからもっと分かりやすくしなさい”とも言われましたね。ホントに人間・山池純矢とビッケブランカがにらみ合い続けた2ヵ月間。誰やねん、知らんわ、こうなんちゃうんかな? そうかもしれんって、もう疲れた(笑)。その2ヵ月間に作った曲はぐちゃぐちゃで、今聴くだけでもつらいぐらい」
 
――言わば、“ブレブレ”のときですよね。
 
「そう、ブレブレなんですよ。そんな試行錯誤を繰り返す2ヵ月間の中で分かったことは、恋の歌がやっぱり得意なのかなって。僕の育ちとかルーツをたどると、それ以外を歌っても説得力が出ようがないって言うと、ちょっとアレですけど(笑)。僕の幼少期から思春期が何で染まってたかと言ったら、常に恋愛だったから」
 
――その重要度が高いですもんね、ビッケブランカの曲は。しかも、現在よりも過去のそれの貯蓄というか、強烈な思い出を今に置き換えるような。
 
「あぁ、聴いていただいてるなってすごい感じます。ありがとうございます。そうですか、やっぱり(笑)」
 
――(笑)。そんなに恋愛恋愛やったんやね。
 
「ね(笑)。恥ずかしいですけどね。過去に囚われて、それを必死に乗り越えようとしてる。もう、それ、それなんですよ。“過去”なんですよ。今おっしゃってくれたように、過去の恋愛。過去の恋愛をずーっと貯蓄して、あの気持ちをバカみたいに今でも引きずっちゃってる。それなんですよね」
 
――それを形にしたい衝動が出てくるんですね。
 
「そう。それを形にして、何ならそれぞれの時代に好きだった子に聴いてもらいたい(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) いいね~。そういうシンプルな衝動って、普通年齢と共に失われていくもんじゃないですか。上書きされないんだな~。
 
「いまだにね。いい年こいて、昔の恋愛でつらいんですよ、ホントに(苦笑)。ただ最近は、2種類の歌が書けるなと思ってます。別れを乗り越えなきゃいけない苦しみの中での前向きな想いと、あぁ幸せだわーっていう歌。大人になってからの恋愛を思い返したら幸せなエピソードも出てきたりするけど、昔のことはつら過ぎて」
 
――今回のアルバム聴いていたら、幸せな曲がないですよね(笑)。
 
「ないですね(笑)。『アイライキュー』っていう曲があって、それは現在を歌った歌なんですけど」
 
――2年前の東名阪ツアー時で披露したセットリストと見比べても、今作には『秋の香り』(M-2)ぐらいしか入ってないですね。それ以降のビッケブランカの曲?
 
「以降のものと、それよりもっと以前のものも入ってるんですよ。一番古いのは『girl』(M-8)ですね。これはもう20歳ぐらいの、大学2~3年生とか」
 
――これは言ったら唯一というか、恋のはじまりの歌ですもんね。
 
「ギリギリ幸せ感があるかなっていう。まだ何も分かってなかったから(笑)」
 
――結果が出る前だしね(笑)。そういう意味では最新の曲から、そこまで古い曲まで。
 
「網羅したって感じですね」
 
 
ひょんな思い付きでピアノを始めましたけど
今やもう手放せないというか
一緒にいないと困るダチみたいな存在になりました
 
 
――いよいよアルバムを作るぞとなったときに、ピアノと歌という軸以外には何かありました?
 
「『Alright!』(M-7)だけはまぁ捕らえ方によっては、っていう形なんですけど、歌詞のテーマとしてはやっぱり恋愛モノ。あとは、アルバムの流れとかバランスは抜きにして、ちゃんと自分の気持ちが乗せられた曲を、どの時代からも集めた感じです」
 
――曲は多作な方?
 
「昔は多作でしたけど、最近はすごく少ないですね~。入魂型になってきました」
 
――アルバムのオープニングナンバー『追うBOY』は、いわゆる“ナンパ”というか(笑)恋の駆け引きのおもしろさをダンサブルに表現した曲ですけど、めちゃくちゃ残りますね、この曲は。ミュージックビデオでも自ら軽快なステップを踏んでますけど、あれは自己流?
 



「自己流です、完全に。もうノッてるだけですね(笑)」
 
――でも、ちゃんとそれっぽいね。
 
「それっぽいことがたまーに出来るんですよ。マイケル・ジャクソンのミュージックビデオをよく見ていたのもあるかもしれませんね」
 
――それこそピアノも、上京した際に東京のライブシーンにギターボーカルが多過ぎて、これは霞むわということで始めたと。よく21歳からピアノを始めましたね。
 
「初めはボーカルだけで、カッコつけてギターを持ってみたりしたんですけど、みんな持ってるし、何だか自分には似合わないし、これはいかんわーって」
 
――そういう発想で自分を見てる人って、結構少ないかもしれない。世のシンガーソングライターは、たいてい何の疑いもなくギターを持ってる。それは別に悪いことでもないんだけど、“他人と違うことをしないと”っていうことに焦燥感を感じているミュージシャンって、案外少ないと思う。
 
「そうなのかもしれないですね。若い頃は目立ちたい気持ちはやっぱりありましたし。昔、妹がピアノを習っていて、ちょっと触ったことがあった馴染みのあるあのピアノ…っていうひょんな思い付きで始めましたけど、今やもう手放せないというか、一緒にいないと困る、ダチみたいな存在になりました」
 
――あと、ツイッターでつぶやいててすごく印象的だったのは、“なんで今の時代はソロアーティストが少ないんだろう、ニーズがないのか?”って言ってましたよね。
 
「ホント不思議に思いますね。バンドが流行ってる、っていう話は周りから聞いたりして、まぁ流行り廃りもあるのかもしれないけど、単純に1人で暗い部屋にこもって、自分の感情と向き合って、それを絞り出す。そういう環境がなくなってきたんじゃないかなって思ったりもします」
 
――今の時代、どこに行っても誰かと繋がっちゃうみたいなところがね。
 
「うん、繋がれちゃうし、結局みんなで音楽を奏でた方が単純に楽しいだろうし。まぁ僕はもうソロじゃないと無理かなと思いますね(笑)」
 
――かつて、バンドもやってたもんね。自分にとってはソロの方がフィットする表現だと。
 
「そうですね。自分の言葉を、自分の音楽だけで、1人でぶつけるっていう」
 
 
歌詞を乗せるときは、自分のルーツとなる出来事が絶対にあって
 
 
――FM802のヘビーローテーションにもなった『秋の香り』なんかも、まさに失恋の曲で。ビッケブランカの恋はフェードアウトされがちなのかなって。別れるときに、ちゃんと振られない。だから引きずる(笑)。
 



「それ最高ですね(笑)。“ビッケブランカはちゃんと振られたことがない”。確かに、そんな恋ばっかりかもしれない。『追うBOY』もそうなんですけど、メロディが偶然降りてくるのをずーっと待って、ホントに釣りをしながらとか、ソファで本を読みながら待って、“降りてきた、これだー!”ってメロディにする。歌詞を乗せるときは、自分のルーツとなる出来事が絶対にあって、自分の過去をさかのぼって…初めの点となるその小さな出来事を頭の中でドラマチックな絵にして、表情豊かに2人を描いて、それを客観的に見て、説明するように歌詞を書く。初めは自分の経験のはずなんですけど、最終的には“それ、かわいそ過ぎる。最低だわー”って他人事のスタンスになるんです(笑)」
 
――それも音楽のおもろいところですよね。自分のパーソナルな点が、みんなに繋がって線になっていく。『Bad Boy Love』(M-3)は音楽的嗜好やバックグラウンドを感じさせる曲ですね。
 
「パッパッパ~♪(曲中のフレーズを口ずさむ) 僕はミーカが好きなんですけど、ミーカが好きなアーティストって誰だろう?って掘っていって、エルトン・ジョンとかビリー・ジョエル、ギルバート・オサリバン、アレサ・フランクリンとか、ベン・シドランetcに行き着くんですけど、それがコーラスワークとかに影響していると思います」
 
――ビッケブランカのこのハイブリット感というか、日本人ぽくないというか、外タレっぽいというか。日本人が模倣してやる洋楽ではない感じ、元からある感じというかね。
 
「めっちゃ嬉しいですね、何か」
 
――だから、おかしなことになってるのかもしれない(笑)。歌詞も、何も言わずにいなくなるとか、そんなのばっかり(笑)。愛想をつかされるの?
 
「突然いなくなるんですよ(笑)。でも、今やそれも、やるせない想い、伝えたい気持ち、伝えられないもどかしさみたいな点を広げて話にする、自分の中の脚本家の部分なんでしょうね。例えば、韓流ドラマで最後は病気になって死ぬのがセオリーだとしたら(笑)、俺の中にいるのが突然さよならされるのが好きな脚本家なんですよ(笑)」
 
――『never ever』(M-4)は、これぞ男の本音という感じですが、声の重なり合いにもスケールがあって、美しいバラードですね。こういう発想ってどこから出てくるんですか?
 
「これはちょっと、お気に入りの曲ですね。初めにサビが出来始めるんですけど、サビに歌詞を乗せながら、そのタイミングで脚本の執筆に入るんですよ(笑)。それを元に、AメロBメロがついてくる。初めのサビと脚本があまりにも壮大だったから、それに合わせて歌詞もそういうテイストになって、アレンジもそうなる。初めに頭の中で点を打ったときのスケール感が、曲のアレンジ、歌詞、全てに影響するんですよね」
 
――ホントに監督、脚本、主演ビッケブランカですね。
 
「そうですね。今日、僕も話していて、自分で自分がちょっと分かった気がします」
 
――すごいなと思ったのが『step in control』(M-6)の、“君の大好きな街はどこ 君の大好きだった服は 君の大好きな人は誰 何も間違ってないよ Easy come easy come easy go”のくだりで。切ない状況を描いて人を涙させることは往々にしてあるんですけど、このポジティブな感情で人を感動させるっていうのは、なかなか出来ることじゃない。これはお母さんの影響というか、ルーツに通じるものがあるのかなと。
 
「そうですね。母の嬉し泣きから音楽が始まっているところもあるので、うん」
 
――母親の誕生日のために書いた曲から始まったビッケブランカの音楽が、ここにすごく現れてるなと思ったんです。何か全ての答えのような気がしたんですよね。
 
 
みんなが知ってるけど、みんなが忘れていた言葉
全員が知ってるけど、全員が10年くらい口にしていない言葉
 
 
――今作で覚悟が決まった感はありますよね。迷いがないというか。
 
「はい、だいぶ変わったと思います。僕が僕の存在意義を見付けたんですよね。自分は楽しくやっていただけなんですけど、見てる人には伝わらないし、極端な話それなら家でやってろよ、っていう話になった。けど今はその2年間を経て、今自分がここにいて、いろんな人が聴いてくれて、音楽を続けられている。ただ楽しくて始めたことが続けられている=僕がここに存在しなきゃいけない理由、っていうことが分かったんですよね」
 
――お母さんの涙によって、自分は音楽で人を喜ばせられると思った、ホントに延長線上な感じがしますよね。で、タイトルが『ツベルクリン』ってちょっと懐かしい言葉ですけど。
 
「みんなが知ってるけど、みんなが忘れていた言葉。全員が知ってるけど、全員が10年くらい口にしていない言葉。単純に思いつきでおもしろいなっていうところから、このアルバムを聴いたとき、さっき言ってくれたみたいに、音楽のパワーみたいなものを感じた懐かしさというか…そう思ってくれたらいいなっていうのはありますね。あと、注射のツベルクリン反応って、人それぞれに個人差があるんですよ。このアルバムに反応する人たちがいてくれたとして、それぞれ全く違う曲に反応するんじゃないかってぐらいバリエーションがある、っていう2つの意味ですね」
 
――そして、ライブはビッケブランカにとってどんな場所ですか?
 
「ライブでは、自分の作ったものを聴いてもらって、すぐに反応を知るわけですよね。=ツベルクリン反応をすぐに見ることが出来る。それは作り手としてはすごく嬉しいし、あとは単純に自分のテンションをパーッと上げて、ちょっと違った自分になれる場所。ライブは感情があっていいなと思います。いろんな感情が動く=感動が溢れる場所だから、それが素敵だなって思います。そこに立たせてもらって、人が観に来てくれて、同じ空間を共有出来るのは、つくづく幸せだなーと思いますね、最近」
 
――ちなみに、音楽を辞めようと思ったことはある?
 
「ないんですよ。同年代とたまーにご飯に行ったりすると、“ギャンブルな人生だね、そんなのよくやるね。でもまあそれはそれで羨ましいけど。俺らは普通に仕事しなきゃいけないし、やりたいこともやれないし”みたいにも言われるんですよ。でも僕は、ギャンブルをやっているつもりは全然なくて、もう音楽しかなかったから。彼らは、サラリーマンとして生きていくのが一般的と捉えてる。僕は大学に行った動機も音楽をやりたいからだし、それで生きていくのが当然だった。辞める、辞めないとかじゃなくて、もう音楽しかないから。辞める=大げさな話、死ぬ、みたいな。それしかないから、迷いようがないですね」
 
――何でそんなに音楽なんだろうね。夢も職業も山ほどある中で。
 
「僕、3歳のときに1回死んだんですよ。熱を出して、病院に行って、処方された薬が大人用のめっちゃキツいやつで、今で言うところの医療ミスで体温が32℃になったんです。そこでおかんが、“え? 唇黒いじゃん!”ってなって、親父が“心臓止まってます!”ってまた連れ戻して蘇生したんですよ。親父の話だと、それまでははつらつとした普通の子だったんですけど、それ以降やたら音に反応するようになったらしくて。ご飯を食べてても、このBGMはあそこでも聴いたとか言い出したり、ジェットコースターに乗って“どうだった?”って聞かれても、あの部分でかかった音がよかったとか言うようになったんですって(笑)。そこで親父は、もしかしてすごい感性が目覚めたんじゃないかって、ピアノを習わせたんですよ。結果、ピアノは辞めちゃうんですけど、歌うことが好きだったし、小学生でマイケル・ジャクソンなんて誰も聴かないけど、やっぱり好きになって」
 
――もはや突然変異(笑)。でもそう考えたら、ジャケットの唇の色が青いのも。
 
「そうそう! 偶然にも。死にそうなんですよ、何ならもう死んでる、みたいな」
 
――で、ここから再生していきますよと。さほど意味はなかったというジャケットに。
 
「意味が出来た。そうそう、それでいきましょ(笑)」
 
――これからおもしろくなりそうですね。
 
「自分が作った曲が人に必要とされたり、世の中のためになったり、それで毎日が彩られたり、救われたり。そう言ってくれる人もいて、そういうことがもっともっと起こっていけばいいなって」
 
――音楽に救われたと思ったことはある?
 
「僕は、ないんですよね」
 
――何かそういう気がした。それぐらい音楽が、後天的なものじゃなくて先天的な感じがする。
 
「かもしれない。だから、ホントに驚きというか、言い方はアレですけど、信じられないんですよ。曲を聴いて救われたって言われることが。でも、その言葉を僕にぶつけてくれる人がホントに存在して、そういう人が少しずつでも増えていってるのを感じていて。これは自分の理解を超えたすごいことだと思って」
 
――さっきの『step in control』の5行に救われる人は、これからもっと出てくると思いますよ。
 
「そういう風に言ってくれて、そういう曲が救いになるっていう1つ1つがもう、奇跡みたいな感じです。だから、たった1人の人間ですけど、その奇跡が起こせるものならもっともっと起こしたい。それがいずれ大きいものになって、そうしたらそのときにまた新しいことに挑戦したい。もっと奇跡を起こしていきたいなって感じですね」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2014年11月27日更新)


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Movie Comment

ビッケブランカが新作とツアーと
千日前線を語る(笑)動画コメント!

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Release

才気溢れる高純度ポップソングの嵐!
はじまりを告げる驚異の1st

Mini Album
『ツベルクリン』
発売中 2160円
No Big Deal Records
NBDL-0024

<収録曲>
01. 追うBOY
02. 秋の香り
03. Bad Boy Love
04. never ever
05. ソロー*ソロー
06. step in control
07. Alright!
08. girl

Profile

ビッケブランカ…’87年生まれ、愛知県出身。本名:山池純矢。軽やかな鍵盤と美麗なファルセットボイスを武器に、良質なポップソングを奏でるシンガーソングライター。『MINAMI WHEEL 2012』では楽曲人気投票で『Wake up sweetheart』が1位に。今年7月に配信で『追うBOY』を先行リリース後、10月15日に満を持して1stミニアルバム『ツベルクリン』を発表。収録曲『秋の香り』がFM802の10月度ヘビーローテーションを獲得し話題となる。ビッケはポルトガル語で“海賊の下っ端”、ブランカはポルトガル語とスペイン語で“白”を意味し、海賊という粗暴な現場で一生懸命雑用をしている人間が、後々船長になるという願いが込められている。

ビッケブランカ オフィシャルサイト
http://vickeblanka.net/

Live

東名阪バンドワンマンツアー開催中
ツアー後は再び大阪・天王寺ミオへ!

 
『TUBERCULIN tour 2014』
【東京公演】
チケット発売中 Pコード244-693
▼11月8日(土)18:00
duo MUSIC EXCHANGE
全席自由3500円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※4歳未満は入場不可。

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード245-837
▼11月28日(金)19:00
南堀江knave
スタンディング3500円
キョードーインフォメーション■06(7732)8888
※未就学児童は入場不可。

【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード245-020
▼11月29日(土)18:00
名古屋クラブクアトロ
全自由席3500円
サンデーフォークプロモーション■052(320)9100
※4歳未満は入場不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 

Pick Up!!

【大阪公演】

『MIO MUSIC 2014』
▼12月13日(土)13:00
天王寺ミオ 本館11F ライトガーデン
観覧無料
[出演(一般部門)]タムロリエ/林 青空/
はんだきょうへい/Lee/rachel
【出演(ジュニア部門)】荒金理香/
境 純菜/橋本梨々果/HARUHI
[ゲスト]ビッケブランカ
[司会]西村愛
天王寺ミオ サービスコーナー■06(6770)1000(11:00~21:00)

Comment!!

天王寺ミオの“MIO姉”こと
水津広美さんからのオススメ!

「去年より天王寺ミオで行っている音楽コンテスト『MIO MUSIC』。ビッケブランカさんには今年のスペシャルゲストとして、12月13日(土)のグランプリ決定ライブに華を添えてもらいます。ビッケブランカさんは人づてに今年知ることとなったのですが、『秋の香り』『追うBOY』に代表されるイケメンファルセットボイス、キラキラ跳ねるピアノの旋律に、一聴でノックアウトされました! ベンフォールズ・ファイブ、ミーカ、クイーン好きにはたまらないかも。ピアノロックが好きな方にも特にオススメです。只今、MIO両館では“MIO Garden Christmas”をテーマに、様々な催しを開催中です。当日は入場無料なので、お買い物、お食事のついでに、ぜひ遊びにいらしてください!」

 

Column

ポピュラリティもユニークさも
ないまぜに奏でる音楽のマジック!
稀代のポップマジシャンの
1stワンマンツアーレポート