東儀秀樹、古澤巌、cobaという 3人の名手が繰り広げる超絶コラボレーションジャンルを超え、楽器を超え、そこから見えてくる新しい世界とは？ - インタビュー＆レポート

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東儀秀樹、古澤巌、cobaという
3人の名手が繰り広げる超絶コラボレーション
ジャンルを超え、楽器を超え、そこから見えてくる新しい世界とは？

宮内庁で楽師として活躍した後、雅楽をベースにロックやポップスのエッセンスを取り入れた演奏で知られる東儀秀樹。国際的な評価を得ながらポップスやジャズなどさまざまなジャンルに取り組み、5年前から東儀秀樹とタッグを組んでいるヴァイオリン奏者、古澤巌。そこに、情熱的なラテンにモダンな感性を融合させる超絶アコーディオン奏者cobaが参戦。まさに、奇跡のプロジェクトが始動する。その経緯について東儀秀樹に聞いた。

「僕と古澤さんのツアーにcobaさんがゲストで出てもらったとき、今までにない表現が自然に生まれ、とても濃い内容になりました。『もう一度、この3人で演ればもっと面白くなるんじゃないか？』と申し出て、今回はゲストではなく3人並んでのツアーとして実現しました」

　名実ともに最高峰の演奏者である2人に絶対的な信頼を置く東儀秀樹だが、古澤巌、cobaもまた東儀秀樹に多大なる評価を寄せていた。古澤巌は、ワイルドに見えて緻密に本番に臨む自身とはうらはらに、一見、神経質そうに見えて、リハーサルもそこそこに本番に賭ける東儀秀樹と出会って「人生観が変わった」といい、cobaはセッションのたびに新たな可能性を切り開く東儀秀樹を「こんなことも出来るのか!?　天才だ！」と絶賛する。そんな3人が紡ぎだす音楽は、楽器やジャンルのミスマッチ的な面白さに留まらない。

「『ヴァイオリンと篳篥(ひちりき)って合いますねえ』とよく言われるんですが、そうじゃなくて、僕と古澤さんが合う、僕らとcobaさんが合うんです。奏でる人の心が合えば、どんなジャンル、どんな楽器も簡単に一つになれます。『アコーディオンの音色がいい』、じゃなくて『cobaじゃなきゃいけない』という部分が大切で、結局は『人であること』それが、音楽なんです」

　ちなみに、東儀秀樹はコンサートに先駆け、カバーアルバムの第二弾を発表する。前回はバラード中心のアルバムだったが今回はロックっぽいものなど楽しいものも含んだ、バリエーションの広いアルバムが出来上がったという。

「そのなかの曲をやろうと思っています。みんながよく知ってる曲も多いですよ。例えばフィギュアスケートの羽生君で有名になった『パリの散歩道』。泣くようなギターが美しい曲ですが、それを篳篥でカバーしています。CDではギターやベース、全ての楽器を僕が演奏しているので、ステージでもノッてきたら篳篥じゃなく、ギターを弾くかもしれません。あと、3人でミニアルバムを出すことになったので、その中からそれぞれの個性が生きた新曲をやります」

　雅楽、クラシック、ラテンと聞くと楽しめるだろうか？と身構えるかもしれないが、ジャンルに留まらず活躍する繰り広げる3人のステージ、自由に楽しんで欲しいと彼はいう。

「気持ちよくて、寝ちゃいそうだなと思ったら寝てもいいし、立ち上がって拍手したくなったら拍手したらいいし。途中で、声をかけてもいいし…何も邪魔にはなりませんよ」

　繊細な印象のある東儀秀樹だが、インタビューは始終リラックスムード。実は悩むタイプではなく、非常に楽天的なのだという。

「うちひしがれて悩むことが全くないんです。本当にチャレンジャーだし、どんな壁にぶつかっても、へらへらと笑ってて、いつの間にか、壁の向こうにいたりとか。重大なことで悩むことはないですね」

　しかも練習嫌いでリハーサルも最低限だが「本番は絶対にうまくいくという得体の知れない自信がある」という。そんな神がかった東儀秀樹が2人の名手と繰り広げるコラボレーションで、どんな化学反応を起こすのか、是非、見届けたい。

Text by 櫻井一哉

（2014年9月 9日更新）

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Release

東儀秀樹×古澤巌×coba
全国ツアーに合わせ
待望の初コラボアルバムをリリース！

Album
『TFC55』
9月10日(水)発売　1620円(税込)
UCCY-1042
演奏者：東儀秀樹(篳篥・笙ほか)、古澤巌(ヴァイオリン)、coba(アコーディオン)

＜収録曲＞
01. Love Hat Trick
02. TFC（Treasure Finding Cruise）
03. はじまりの風景
04. Liberportango～タンゴ自由の扉～
05. Highland Nostalgia

Profile

とうぎ・ひでき…雅楽師。東儀家は、奈良時代から今日まで1400年間雅楽を世襲してきた楽家であり、宮内庁楽部在籍中は宮中儀式や皇居において行われる雅楽演奏会などに出演するほか、海外での公演にも参加。日本の伝統文化の紹介と国際親善の役割の一翼を担ってきた。’96年にデビューアルバム『東儀秀樹』で脚光を浴び、以後次々とアルバムをリリース。’05年、上海の一流若手ミュージシャンとのユニット“TOGI+BAO”を結成。アジアとの交流に高く寄与していることが評価され、文化庁より芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。’08年、NHK大河ドラマ『篤姫』に孝明天皇役で出演。この年から世界遺産コンサートをスタートする。’11年、京都・東寺にて、東日本大震災教育復興支援コンサート『届けよう！明るい未来を信じる思い』を開催。生田斗真主演の全国公開の映画『源氏物語』に一条天皇役で出演。’12年3月にデビュー15周年記念アルバム『TOGI』をリリースすると同時にアメリカでのCDデビューを果たし、『ワシントン桜まつり』100周年のオープニングステージに古澤巌と出演。オバマ大統領夫人の目前で演奏した。'13年8月7日には初のカバーアルバム『hichiriki ballad』を発売。

東儀秀樹　オフィシャルサイト
http://www.togihideki.net/