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「大人も子供も楽しめる曲を作りたい」
おおはた雄一とチャットモンチー福岡晃子によるユニット
"くもゆき"が1stアルバム『くもゆきのいろ』をリリース
結成からアルバム制作、今後について語るインタビュー (2/2)

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“子供だけが楽しくて、親御さんは暇そう”ではなくて
両方が楽しめるようなものにしたいなって(福岡)



――くもゆきの活動が、いろいろ良い効果をもたらしているのかも。2人で歌うことも最初から決めてたんですか?

おおはた「あっこちゃんは最初、歌わないつもりでいたんだよね?」

福岡「そう。“歌はおおはたさんにお任せします”って」

おおはた「でも、あっこちゃんも歌った方がいいよって話をして」

福岡「“歌いたい気持ちは、絞り出しても2%しかないです”って言ったんですけど(笑)、おおたさんも“俺も20%くらいしかないよ”って。2人合わせても22%だから、これはもっと上げていかないとダメだなって話になって」

おおはた「(笑)。その割にたくさん歌ってるよね、あっこちゃん。しかも、いろいろな声色があって」

――すごく表情豊かなボーカルですよね。福岡さんの歌が聴けるのも、くもゆきの魅力だと思います。

福岡「…おおはたさんのディレクションのおかげです」

おおはた「いえいえ。僕も“こういう声、今ままで出したことないな”っていう発見があったし」

福岡「ほとんどワンテイクで録ったんですけど、そういうレコーディングも私はやったことがなくて」

おおはた「スムーズだったよね、レコーディング」

福岡「おおはたさんのレコーディングを初めて見させてもらったんですけど。かなり勉強になりましたね。“これはチャットモンチーのときにも取り入れられるかも!”と思うこともあったし」

――それって、例えばどんなことなんですか?

福岡「まず、ギターをアンプで鳴らすじゃないですか。私は今まで、そのままの音を録れるなんて思ってなかったんですよね。マイクやミキサーを通せば、(アンプの音とは)少し違うものになるのが当たり前だと思ってたから。でも、おおはたさんは自分でマイクの位置を変えまくったりして、アンプから出ている音をそのまま録音しようとするんですよ。で、実際にアンプの音がキレイに録れたんです。”うわ、頑張ればこういうことが出来るんや!”って。ギターをいい音で録るのが1つの目標だったから、それが叶って嬉しいですね」

おおはた「しかもアナログのテープを回して録ったからね。そういうところはこだわってます。それは子供たちには関係ないことかもしれないけど、でも、きっと分かると思うんですよ。デジタルとアナログのどっちが良いとか悪いって話ではないんだけど、今の世の中はシャキシャキした音が多いじゃないですか。そんな中で、ちょっとでも生楽器の良さが伝わればいいなって」

福岡「うん。生楽器の良さをちゃんと出せるミュージシャンは、絶対にそれをやった方がいいと思う」

――今はコンピューターでほとんどのことが完結出来るから、スタジオ一発録りっていうスタイルは贅沢ですよね。


おおはた「ホントですよね。しかも人のお金だし(笑)」

web-IMG_3889(yuki-naka).jpg福岡「楽しかったですね(笑)。頭の3曲(『I see you,You see me ~足湯のうた~』『ザ・ギョーザ!』『いっぴき にひき 風邪っぴき!』(M-4))は、ウチのマネージャーがドラムを叩いてるし」

おおはた「ハナレグミの永積タカシくんにライブでドラムを叩いてもらったこともあるんですよ」

福岡「タカシさん少しも歌わなかったんですよね、ホントに(笑)」

おおはた「僕とあっこちゃんとタカシくんが三角形になって向き合って、その周りをお客さんが取り囲んでいて。子供が寝ちゃってもいいスペースも作ってたよね」

福岡「そう、ゴザとか敷いてやってました。“一緒にやりたい”って言ってくれる人も多いんですよね」

おおはた「うん。他のミュージシャンとの絡みも増えてくると思いますよ、これから」

――めちゃくちゃ風通しがいいですね。

おおはた「そうなんですよ。風を遮るものが何もないっていう(笑)」

福岡「アハハハハ(笑)」

おおはた「こんなことばかり言ってると、ホントにノー・ストレスだと思われちゃうな。何か産みの苦しみ的な話はないかな…このままだと2万字インタビューは無理だよ」

福岡「夢の2万字インタビュー(笑)」

――でも、“子供も楽しめる音楽”という意識は、しっかり根付いてるわけですよね?

おおはた「うーん…。実際には“子供はこういう歌を聴くと喜ぶよね”と思って作ったことはないかもしれないです」

福岡「うん。例えばライブに親子で来てくれて、親御さんがクスッと笑ってたら、子供も嬉しいと思うんですよ。“子供だけが楽しくて、親御さんは暇そう”ではなくて、両方が楽しめるようなものにしたいなって」

おおはた「良い絵本って、そういう感じですよね。子供も楽しいし、大人も深読み出来るっていう。そういうのものには興味があったんですよ、以前から。敷居は低いんだけど、奥行きはあるっていう…」

福岡「お、今日はマジメに話してますね」

おおはた「“この歌には奥行きがあるんだよ”って言った方がいいでしょ(笑)。…あ、くもゆきの『奥行き』っていう歌はどう?」

福岡「いいですよ(笑)」

おおはた「こんな感じなんです、いつも」

――よく分かりました(笑)。アルバムのリリース後はライブが続きますね。まずは8月30日(土)にタワーレコード新宿店にてインストアライブ、そして、8月31日(日)に下北沢440で行われる『くもゆきのいろ』リリースパーティーと。

福岡「下北沢440は日曜日のお昼12時半から始まるんですよ。小学生以下は無料なので、ぜひ親子で来て欲しいですね。あとは9月7日(日)に滋賀の酒遊館という酒蔵でライブをやります」

おおはた「酒蔵なんて、全然子供向けじゃないね。言ってることが既にブレブレ(笑)」

福岡「ホンマですね(笑)。で、その翌日には大阪(心斎橋アメリカ村digmeout ART&DINNER)でもライブがあって」

おおはた「ライブもすごく自由度が高いし、楽しいと思いますよ」

福岡「うん。まずは自分たちが楽しめるライブをやって、その姿を見て、子供たちも注目してくれたらいいなって」

おおはた「まあ、その場の思い付きでいきなりベースを弾こうしたら、あっこちゃんに“ダメ、この曲はドラムをやってください!”って言われてこともありましたけどね(笑)。そういうピリッとしたところも必要なんですよ」

福岡「そういえば最近、おおはたさんがちゃんとセットリストを考えてくれるようになったんですよね。おおはたさんのライブって、セットリストがなかったりするんですよ。くもゆきのライブもそういう感じでいいかなって思ってたんだけど…」

おおはた「いや“今まで自分は、なんて適当なライブをやってたんだろう”って反省したんですよ(笑)」

福岡「…やっぱりおもしろいですよね、おおはたさん。言ってることが毎日違う(笑)」

おおはた「まあ、そこはなりゆきで」

――(笑)。この先ものんびりと続いていきそうですね、くもゆきは。

おおはた「うん、息が長いユニットになる気がしてますね。いい感じで力が抜けてるところもあるんだけど、やっぱりね、あっこちゃんは“バンドをやる”ということに対する想いが強いんですよ。始まってまだ1年なのに、アルバムもちゃんと出来上がったし…。2人とも俺みたいな性格だったら、出来てないですからね」

福岡「出来てないですね(笑)」

おおはた「そこはさすがですよね、ホントに」

――この先のくもゆきにも期待してます。お2人って、普段から交流も多いんですか?

おおはた「飲みに行くことが多いですね。この1年、だいぶ飲んだよねー」

福岡そうですね。おおはたさん、めっちゃ強いんですよ」

おおはた「いやーそうでもないけどね。そこでも“こういうことやりたいね”って、割と音楽の話をしてるよね」

福岡「うん。そういうときもずっとギターを持ってるんですよ、おおはたさん」

おおはた「不測の事態に備えてね(笑)」

 

Text by 森朋之
Photo by 吉田圭子




(2014年8月15日更新)


Check

Release

福岡とおおはたの発想が開花!
遊び心の詰まった全14曲

Album
『くもゆきのいろ』
発売中 2700円
なりゆきレコード
XQIY-1202

<収録曲>
01. なりゆきCM
02. I see you,You see me
~足湯のうた~
03. ザ・ギョーザ!
04. いっぴき にひき 風邪っぴき!
05. パクチーないの!?
06. I ♡ パクチー
~パクチーなしじゃ生きられない!~
07. ほうきの恋
08. ship song ~船のうた~
09. オーシャンの予感
10. なりゆきCM 2
11. やっとやっとやっとさー
12. フライパパン
13. ねむれねむれ
14. ぼくは喘息もっちもち

Profile

ふくおか・あきこ(写真右)…'00年に徳島でチャットモンチーを結成。'11年9月にドラマーが脱退、福岡がベーシストからドラマーに転向し、世間を驚かせた。その後は、必要に応じて楽器をセレクトするフリーフォームに。ドラム、ベース、キーボード、コーラスなどを担当している。

おおはた・ゆういち(写真左)…ブルースやフォークミュージックをルーツとするシンガー・ソングライター、ギタリスト、音楽プロデューサー。これまでに6枚のアルバムをリリース。芳垣安洋(ds)、伊賀航(b)とのトリオ、坂本美雨とのユニット・おお雨などでもライブやフェスなどに出演。

そんな2人が'13年8月に、くもゆきを結成。今年4月にNHK Eテレ『おかあさんといっしょ』の4がつのうた『じゃくじゃくあまのじゃく』の作曲と演奏を担当。

くもゆきオフィシャルサイト
http://6109.jp/kumoyuki/


Live

KONCOSとFLAKE RECORDSの
滋賀での合同企画イベントに出演!

 
【滋賀公演】
『「TONE FLAKES Vol.68
 ×旅するコンコス
 ~まちといろ 100のいろ~』
チケット発売中 Pコード235-954
▼9月7日(日)13:30
酒遊館
全自由4300円
[出演]KONCOS/くもゆき/THE KEYS/
HAPPY/ROTH BART BARON/他
FLAKE RECORDS■06(6534)7411
※地酒の試飲あり。
飲酒される方は要身分証明書。

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UNCHAIN谷川とU&DESIGN綾部
によるユニットとのWレコ発が大阪で

 
【大阪公演】
『TONE FLAKES Vol.69』
チケット発売中 Pコード240-405
▼9月8日(月)19:00
digmeout ART&DINER
全自由3300円
[出演]くもゆき/
ジェームスアンドチャーリー
FLAKE RECORDS■06(6534)7411
※小学生以下は無料。

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