ホーム > インタビュー&レポート > 「大人も子供も楽しめる曲を作りたい」 おおはた雄一とチャットモンチー福岡晃子によるユニット "くもゆき"が1stアルバム『くもゆきのいろ』をリリース 結成からアルバム制作、今後について語るインタビュー
こっちの方が自分の素が出てるんじゃないかな
って思うこともあって…不思議ですよね(おおはた)
――くもゆきのスタートって、何がきっかけだったんですか?
おおはた「ちょうど1年くらい前なんですけど、あっこちゃんが“親子で楽しめるような音楽をやりたいんです”っていう話をしてくれたんですよ。“子供たちにいい音を届けたいよね”って。音質の話とかもしてたよね、最初から」
福岡「そうですね」
おおはた「生楽器の音のこととかね」
福岡「おおはたさんのソロライブにベーシストとして呼んでもらったことがあるんですけど、ステージで演奏させてもらってるときに“すごくいいな”と思って。おおはたさんの声とギターの音で、私がやりたいと思っていることを一緒にやれたらいいだろうな、と」
――と言うことは、“くもゆき”につながるアイデアは以前からあった?
福岡「そうなんですよ。私、教育大学に行ってたんですけど、卒業論文の中で子供向けの曲を作ったんです。専攻が中学校の家庭科で、学習指導要領の中に“お肉を使った料理”があったから、“この歌を歌いながら作れば、親子丼が出来ますよ”という歌を作って」
――ちなみにその歌のタイトルって…?
福岡・おおはた「『親子丼、できたどん』」
――声が揃った(笑)。
福岡「おおはたさん、よく覚えてましたね(笑)」
おおはた「衝撃的だったからね」
福岡「(笑)。その頃から、“こういうことがやれたらおもしろいだろうな”って思っていて。ちょうど、えっちゃん(=橋本絵莉子(vo&g)/チャットモンチー)が産休だったから、このタイミングで好きなことをやってみようと、おおはたさんに声をかけさせてもらって」
おおはた「で、すぐに“いいね。やろうやろう”ってことになって、曲も作り始めて。最初のライブっていつだった? 新代田?」
福岡「そうですね。でも、本当の最初のライブはイタリアンレストランですけどね」
おおはた「恵比寿のね。僕らが根城にしてるイタリアンレストランがあって、よく実験的なライブとかをやらせてもらってるんです」
福岡「あとは誘われるライブにちょこちょこ出ながら、“ライブがあるから練習しよう”とか、”もうちょっと曲も増やさないとね”って感じだったんですけど。どちらかが歌詞を書いて、それを渡したら曲がついて返ってくる。そういうやり方でいっぱい曲が出来ていきましたね」
おおはた「うん。イタリアンを食べに行って、“ピザの歌を作ろう”とか。遊びってわけじゃないけど、楽しみながら作ってました。どんな歌でも、すぐに“いいね”ってなるんですよ。全部OK!みたいな」
福岡「確かに」
おおはた「パパッと作っていく感じですよね、ホントに」
――楽しい曲が多いですよね。足湯をテーマにした『I see you,You see me ~足湯のうた~』(M-2)とか、『ザ・ギョーザ!』(M-3)とか『I ♡ パクチー ~パクチーなしじゃ生きられない!』(M-6)とか。
福岡「パクチーはタイ料理を食べに行って、パクチーの存在意義について話したのがきっかけですね(笑)」
おおはた「(歌詞のテーマに)パクチーを選ぶところがさすがですよね。これが“しめ鯖”だったら、ここまでキャッチ―にならないだろうし」
福岡「しめ鯖に感情移入出来ないですからね…って、何のこっちゃ(笑)」
おおはた「“悲しいお通し”っていうアイデアもあったんですよ」
――居酒屋のお通し?
おおはた「そうそう。“枝豆3つで300円。悲しいお通し”っていう。曲にはならなかったけど」
福岡「その歌、子供には伝わらないですね(笑)」
おおはた「そうか(笑)。そういうことを考えるのが楽しいんですよね」
福岡「くだらないことを真剣に曲にしているところはあるかも。『やっとやっとやっとさー』(M-11)という曲は、2人でローンリング・ストーンズを観に行ったのがきっかけなんです。すごく勇気をもらって、“ストーンズっぽい曲を作ろう!”って。歌ってる内容は阿波踊りなんですけど」
――『やっとやっとやっとさー』って、ジャック・ホワイトっぽい雰囲気もありますよね。
おおはた「そうかも。ホワイト・ストライプスへの日本からの遅すぎる返答(笑)」
福岡「アハハハハ! それ、おもしろい(笑)」
――福岡さんのポエトリーリーディングが聴ける『ほうきの恋』(M-7)の詩は大宮エリーさん、『オーシャンの予感』(M-9)の歌詞は依布サラサさんですね。
福岡「最初から“全部2人だけでやろう”という気は全くなくて。他の人が入ってきてくれたら、そのたびに違う風が吹いてくるし、セッションしながら楽しめたらいいなって。サラサちゃんの場合は、私たちが彼女のラジオに出させてもらったときに、“歌詞書いてよ”って頼んだんですよ。そしたら“書く書く~”って言ってくれて」
おおはた「自分の作品で煮詰まっていても、“くもゆきっていうユニットをやってて…”ってコンセプトを話すと、“書きたい”って言ってくれる人が結構いるんですよね。僕も自分の曲より、くもゆきの曲の方が早く出来ますからね。アイデアが浮かんだら、パッと歌詞を書いて、曲を付けて。しかも“こっちの方が自分の素が出てるんじゃないかな”って思うこともあって…不思議ですよね」
(2014年8月15日更新)
Album
『くもゆきのいろ』
発売中 2700円
なりゆきレコード
XQIY-1202
<収録曲>
01. なりゆきCM
02. I see you,You see me
~足湯のうた~
03. ザ・ギョーザ!
04. いっぴき にひき 風邪っぴき!
05. パクチーないの!?
06. I ♡ パクチー
~パクチーなしじゃ生きられない!~
07. ほうきの恋
08. ship song ~船のうた~
09. オーシャンの予感
10. なりゆきCM 2
11. やっとやっとやっとさー
12. フライパパン
13. ねむれねむれ
14. ぼくは喘息もっちもち
ふくおか・あきこ(写真右)…'00年に徳島でチャットモンチーを結成。'11年9月にドラマーが脱退、福岡がベーシストからドラマーに転向し、世間を驚かせた。その後は、必要に応じて楽器をセレクトするフリーフォームに。ドラム、ベース、キーボード、コーラスなどを担当している。
おおはた・ゆういち(写真左)…ブルースやフォークミュージックをルーツとするシンガー・ソングライター、ギタリスト、音楽プロデューサー。これまでに6枚のアルバムをリリース。芳垣安洋(ds)、伊賀航(b)とのトリオ、坂本美雨とのユニット・おお雨などでもライブやフェスなどに出演。
そんな2人が'13年8月に、くもゆきを結成。今年4月にNHK Eテレ『おかあさんといっしょ』の4がつのうた『じゃくじゃくあまのじゃく』の作曲と演奏を担当。
くもゆきオフィシャルサイト
http://6109.jp/kumoyuki/
【滋賀公演】
『「TONE FLAKES Vol.68
×旅するコンコス
~まちといろ 100のいろ~』
チケット発売中 Pコード235-954
▼9月7日(日)13:30
酒遊館
全自由4300円
[出演]KONCOS/くもゆき/THE KEYS/
HAPPY/ROTH BART BARON/他
FLAKE RECORDS■06(6534)7411
※地酒の試飲あり。
飲酒される方は要身分証明書。
【大阪公演】
『TONE FLAKES Vol.69』
チケット発売中 Pコード240-405
▼9月8日(月)19:00
digmeout ART&DINER
全自由3300円
[出演]くもゆき/
ジェームスアンドチャーリー
FLAKE RECORDS■06(6534)7411
※小学生以下は無料。