音楽に選ばれなかった僕らが、音楽を取り戻すために
それでも世界が続くならが
全てのひとりぼっちに捧ぐ反撃の『僕らのミュージック』
篠塚将行(vo&g)インタビュー&動画コメント
教室のはしっこにいる君に、職場に居場所がない君に、ライブハウスでひとりぼっちの君に、捧げたい音楽がある。友達が出来ない君に、主人公になれない君に、希望を捨てられない君に、聴いてもらいたい音楽がある。この世を牛耳る多数決という名の絶対王政は、マジョリティを獲得するために、マイノリティを制圧する。それは自由であるはずの音楽の世界においてもいつの間にか広がるスキルス性の思想であり、時に音楽とそれを生み出す人間を蝕んでいく。その渦中に投げ入れられた、それでも世界が続くならの1stシングル『僕らのミュージック』は、彼らの音楽人生を懸けた犯行声明であり、ひとりぼっちの戦いを告げる狼煙の1枚だ。同作のCDの盤面の下に忍ばせた、篠塚(vo&g)からの手紙の最後には、こう記されている。“お前ら、ここに来いよ。 最低なクソヤローに 今まで我慢してきた全部に 俺らと一緒に文句言いに行こうぜ。”。昨年9月に1stアルバム『僕は君に武器を渡したい』でメジャーデビュー、1月にはミニアルバム『明日は君に会いに行くから』と性急にリリースを重ねてきた彼らが、傷だらけでたどり着いた回答『僕らのミュージック』。彼らの音楽を聴いていると、愚直なまでにまっすぐなものは、どうしようもなく人の心を動かすと、再確認させられる。それを感じられる自分で、あなたで、いつまでもいられるように。
その音楽を聴いたら、昨日の自分より
もしかしたら変われるかもしれない。たった1曲で
――前回の大阪ライブ、1stミニアルバム『明日は君に会いに行くから』リリースツアーがこの春にはありましたが、アルバムの曲もさほどやらず(笑)。
「アルバムツアーの冠付けてるんだから、その曲やれよみたいな(笑)。ただ、僕らのリリースのスパンでライブをすると、全部のライブにリリースツアーの冠が付いちゃう。ライブは生身のものだから、発表会じゃないと思うんですよね。だから収録した曲をやれっていう話になると、やる曲バレバレの三文芝居みたいな。僕らはそれ程器用じゃないから、仮にライブがショーだとしたところで、きっとそれを上手に出来ないんですよね。でも、上手じゃないのを自覚してる分だけ、ホントに思ってることを誰かに怒られても嫌われても貫くことは出来る。本来やるべきなのは大人の意見としては分かるけど、僕らはそのとき一番歌いたい曲をやる。まぁ誰かの言うことを聞けば誰かの言うことを聞けないことにもなるし、じゃあ誰の言うことも聞かなくていいやって(笑)」
――(笑)。誰かの意見に従ったら、人のせいにしちゃうかもしれないしね。
「きっとしますね。誰かのせいにしないためには、自分でやるしかないんですよ。僕らみたいなロックバンドを聴いている人も、“大人の言う通りにしたら上手くいくよ”っていうことを求めてるわけじゃない。その音楽を聴いたら、昨日の自分より、もしかしたら変われるかもしれない。たった1曲で。今より変われるかもしれないと思ってロックを聴くわけじゃないですか。僕らが音楽を好きになった理由もそうだし」
――ホントにでも、人によっては面倒くせぇバンドだろうね(笑)。
「面倒くさいと思いますよ(笑)。でもそれがやっぱりうちの良さなはずなんですよね」
自分たちの音楽を取り戻そうっていうのはやっぱりありましたね
――前回インタビューしたのは1stアルバム『僕は君に武器を渡したい』(‘13)のリリース時やったけど、そこから今年の1月にミニアルバム『明日は君に会いに行くから』、5月にシングル『僕らのミュージック』という流れのこの期間って、バンドにとってどんな時間だった?
「ひと言で言ったら…なるべく感じになったというか。『明日は君に会いに行くから』って、そもそもはシングルになるはずだったんですよね。でも、大人的にはシングルなるような曲がなかったんですよね、正直(笑)。今思えば、『明日は君に会いに行くから』を出す頃が、ここ最近のバンドの中で一番状態が良くなかったですね」
――何か俺も聴いてて、過渡期のアルバムだな~って思った。
「ですよね。そう、アレはホントに過渡期だったんだろうな。今はもう冷静ですけど、音楽業界っていうものに一番イライラしていた時期だった」
――まぁそれがメジャーの洗礼なのか。
「僕らが勝手に考え過ぎていたのもあります。でも、なだれ込むようにアルバムのレコーディングがドンドン進んでいって、“あぁやっぱり音楽業界ってこんな感じなんだ”みたいな、常にあった良い方と悪い方の予感の、悪い方が当たったなぁと思いました(笑)。いいものを作ることに精一杯だったとは胸を張れますけど、別に僕らっぽい音でもないなとはずーっと思ってて。ただ、それがあのときの僕らで、それを記録するのがレコーディングなんで、後悔はしてないですけど。何かレンジがスッキリし過ぎてるぞと。何か今風なフレッシュな音だぞと。こういう感じになるならってキーボードを入れてみたり、いろいろアイデアを盛り込んでいったら、あれ? 迷走してるぞと(笑)。でも、『僕らのミュージック』のレコーディングでは、結果的に自分たちのアンプしか使わなかったし、何なら“いっせーのーせ”で録ってる。そうしたらやっぱりいいんですよね。人によっては『僕らのミュージック』で変わったって言ってくれる人もいっぱいいたけど、自分的には変わったんじゃなくて、“戻った”のかなぁ?と思っていて」
――分かる! 俺も今それを言おうと思ってた。
「ですよね!? 基本うちのメンバーもみんないい子だから、とりあえず頭から否定しないでいろいろ試してみようって。で、いざやってみて“あれ?”とは思いながら、その中でずーっと戦って。今回、“戻った”ってすぐに感じてくれたのは奥さん(=筆者)だけですよ(笑)」
――人の身体というのは正直なもので、こう言うのもアレやけど、『明日は君に会いに行くから』は俺、初めて聴いたときに鳥肌が立たへんかった。
「あ、マジっすか…」
――でも、『僕らのミュージック』は立った。
「嬉しいっす! 実はもう今だから言いますけど、出来たときにそれは自分でも分かってて。“(今日はダメだったけど)明日は君に会いに行くから、ちょっと待っててくれよ”って、言いたかったんですよね。でも、それは失敗とかじゃなくて、ダメな時期なんですよね。人間だからもうしょうがなくて」
――レコード=記録やもんね。
「そうそうそう。よく僕らの音楽を“作品”と言ってくれたりするけど、4人で演奏しているのをただ残してるだけなんですよね。あのときの僕らは、ホントにああだったんです。あのときのベストで、あのときに思っていたことはホントで。で、同時に分かったんですよね。ただ悔しいだけでも、嘆いてるだけでも、やっぱり先に進めない。今は『明日は君に会いに行くから』みたいなアルバムを残せたことに、ホントに感謝してます。いいときばかりに出すんじゃなくて、俺たちがどれだけ…ダメな気持ちだったのかっていう。僕らのやろうとしてることって、メロディがキレイとか、歌詞がキャッチーとか、そういうことじゃないんですよね。そういうものを全部通り越したところで、何だか分からないけど感動するとか…“何で俺、今鳥肌が立ってるんだろう?”ってことじゃないですか? 音楽ってスゲェなって思えたのって、そういう言葉に出来ない力だったと思うんですよ。俺が残したいのはそれだと思った。だから『僕らのミュージック』は、『明日は君に会いに行くから』で感じた悔しさから、自分たちの音楽を取り戻そうっていうのはありましたね。これは他ではあんまり言ったことがないですけど、ホントにそうなんですよ」
――バンドの価値観を改めて顧みる時間だったんやね。
「失敗から生まれるものって多いんだなって思いました。ヘンな話ですけど、地続きなんですよね、もう何もかも全てが。今まで出した音源は全部繋がってて、長編連載なんですよ(笑)。一話完結じゃないから僕らは」
実は俺…ずっと悩んでたんですよ。メジャーデビューしちゃったことを
――ただ、『僕らのミュージック』自体は、曲を書き溜めていく中でポッと生まれたと。
「完璧にそうです。日記とか手紙みたいに書き溜めてく感じなんで、曲はすぐに出来るんですよね。創作じゃない分、実は楽なんですよ。思ったことを言えばいい、あったことをそのまま残せばいいだけなんで、ぶっちゃけ同じようなメロディでもいいと思ってるし(笑)。その頃は徐々に歌いたいこともなくなってて、もう完全に気の抜けた状態で作った曲だったんですよ。まさかそれがシングルになるとは」
――だったら、『僕らのミュージック』は何を歌いたくて生まれたんやろう?
「これはツアー中の去年の12月の真最中に、健康ランドの駐車場で作ったんですよね(笑)。例えば、大人の人たちが僕らのライブにいっぱい関係者が来るように頑張ってくれている。CDを売ろうと頑張ってくれている。すごくありがたいじゃないですか。それはレコードを売らなきゃいけない会社だから、当たり前っちゃ当たり前だと思うんですけど、僕個人から言わせれば、ライブハウスにたった1人しかいなかろうが、100人いようが、そこで歌うことは何も変わらない。人に好かれるように曲を作っているわけでもないし、むしろそういうバンドが溢れ過ぎて、そういう音楽に疲れちゃったから、自分たちがホントにいいと思えるバンドを組んでみようって始まったバンドだから。そのときにあることに気付いたんですよね。もし仮に音楽=表現とするならば、スゲェ卑怯な方法だなぁと思ったんですよ」
――というと?
「例えば誰かのことを“嫌い”と歌う。そうしたら、自分に近い人生を送っていて共感する人が他にも出てきちゃう。気付いたらライブに1万人集まっていたとき、その“嫌い”と歌われた方はたまったもんじゃないですよね? 俺だったらキツいっすわ(笑)。結局、否定してるつもりはなくても否定されてる人がいて、何かを表現するって暴力チックになりがちなんですよ。そう思ったら、ある人から見たらすごく卑怯な手段だなって気付いちゃって」
――なるほど。難しいね。
「俺は人に好かれるのがすごく苦手だった。いじめられっ子だったから、人に好かれると何か信用出来なくなっちゃう。ホント?って疑う(笑)。そんな自分だからこそ、余計にそう思った。いつだって若い世代が好きで、芸術の中でもポピュラリティが高くて、暴力になるかもしれないことに気付かず浅はかに表現出来る方法って、スゲェ危なっかしくて。絵とかは卑怯になりにくいんですよね、言葉がないから。クラシックとかもちょっと違うと思うんですけど、ことポピュラーミュージックとかに関したら」
――でも、やっぱり言葉だな、そう考えたら。
「ですよね? 僕の家は片親なんで、“父さん母さんマジありがとう”っていう曲を聴くとかなりキツいんで(笑)」
――全員が満足出来るものなんてないからね。
「そうなんですよ! 音楽で表現するのは誰だろうと人の内面で、そいつが何を歌っているか、聴いたヤツがどんな風に生きてきたか…中身の方が、人の心の方がよっぽど大事で。音楽はそれを通したコミュニケーションツールみたいなものじゃないですか。そういう意味でも、人間の生き方に正しさなんてないのと同じように、“正しい音楽”や“みんなが好きな音楽”なんて存在しなくていいんですよ。それを目指してる人いっぱいいるけど、俺は目的が違うんです。全員が満足出来るものがないってことは、誰かが満足しないわけですよね? だから俺は、その満足しないヤツを狙い撃ちしようと思ったんですよ。俺が昔いじめられていたとき、“大丈夫か? でも、いじめてるアイツらもいろいろあるんだよ”って言われたんですよ。今思えば、多分そうなんですよね。家庭環境がどうこうあったのかもしれない。そいつらはそいつらで発散しなきゃ気が済まない状況があったのかもしれない。でも、俺は本当にイヤだった。だから俺は、“アイツらにはアイツらの都合が、きっと理由があるんだよ”って言ったそいつのことも、やっぱり好きになれなかったんですよ。俺が言って欲しかったのは、“ホントだよね、ムカつくよ! アイツら。俺はお前の味方だ”って、一緒に“ふざけんな!”って言ってくれる仲間が欲しかったんですよ。でも、そんなヤツはいなかった。みんな自分が好きだから、俺の敵にもならないし、いじめっ子の敵にもならない。そんなヤツはもう、いてもいなくても同じだったんですよね、あのときの俺から見たら。もし今、こういうロックバンドの音楽に寄りかかんなきゃやってられないぐらいの人からしたら、藁(わら)をも摑む想いじゃないですか? 音楽なんか摑んだところで、明日いじめられるのが変わったりはしない、親に虐待されなくなったりはしない、レイプされた過去が消せたりはしない。音楽なんて、所詮そんなものなんですよ。それでも摑もうとしてるヤツらが言って欲しい言葉って、“みんな仲良くなればいい”じゃないんですよ。“アイツらふざけんなよ!”って一緒にキレてやる、誰かの敵になってあげる音楽が必要だと思うんですよ。俺はそれがポピュラーミュージックだと思ってるんです」
――リスナー全体の人数からしたら、そういう人はごく僅かかもしれない。でも。
「自分の音楽がたくさんの人に届くことを勝ちとする人も当然いるし、それってロックバンドの在り方としては真っ当だと思うんですよ。ただ僕はそれを夢にしたこともないし、たくさんの人に好かれたいと思ったこともない。何ならカラオケで歌うのも嫌いだから、人前で歌うのもそもそも好きじゃない。でも、そういう俺だからこそ出来ることって何だろう? 人前に出ることも嫌いで、人に好かれることが苦手なヤツの音楽だってあっていいはずで。さっき音楽は卑怯だって話したじゃないですか? そう思った瞬間に、“そっか、俺がみんなの前で嫌われればいいんだ”って思ったんです。実は俺…ずっと悩んでたんですよ。メジャーデビューしちゃったことを。『明日は君に会いに行くから』を出す頃、すごい悩んでて」
――ケリが付いたはずのことなのに、またそのことを考えてたんや。
「聴いてくれてる人たちと、俺はいつだって同じ目線でいたくて。でも、何か言おうとしたときに、頭をよぎるんですよ。“メジャーデビューしたくても出来ない人がいて、その誰かから見たらとっても羨ましいことなのに、お前何悩んでるっぽい感じになってんの?”みたいに。そう自分のことを思っちゃったら、すごくつらくて、言えることがなくなっちゃったような気がした。だからこそ、この『僕らのミュージック』で、みんなの前でもう堂々と嫌われてやろうと。そうすることで、過去の俺みたいなヤツが今もしいるんだったら、そいつの味方になってあげられる気がしたんですよ。みんなに届く歌じゃなくてもいい。音楽を凶器だと言うんなら、俺は絶対に…例えばいじめられてるヤツとか、虐待されてるヤツとかに、その槍は当てたくなかった。当てたくないからこそ、今誰かを傷付けてるヤツとか、それで平気な顔してるヤツとか、自分が正しいと思い込んでるヤツのところ(=マジョリティ)に、わざとぶん投げたというか。俺だったら、あのときの俺だったら、きっとこういう音楽をやっている人がいてくれたら嬉しかったと思う。そういう歌にしたかったんですよね。音楽に選ばれなかったから、僕は。だから本当は、『(音楽に選ばれなかった)僕らのミュージック』なんですよね。僕にとってはものすごく普通の歌なんですよ」
――言ったらこの曲は、それでも世界が続くならの基本方針の声明のような気がする。
「例えば、ライブで手拍子をしたり、手を上げたり、みんなで手をつなぐ要素ってデカいと思うんです。でも、僕はそれが苦手で、いつもライブハウスの後ろに逃げちゃって。そういう風にミュージックというものが手と手をつなぐものだとしたら、同時にやっぱり手をつなげないヤツがいて…そいつらも音楽が好きなんですよ。そいつらのための音楽があってもいいと思うんですよ。わざわざ『“僕らの”ミュージック』って付けたのは、他のところにミュージックはあるけど、やっぱり僕らにもミュージックは必要なんだよ、僕らによこせよっていうことなんです」
音楽はやってるヤツがヒーローになるためにあるわけじゃない
むしろ、聴いてるヤツがヒーローだと思うから
――あと、“少しは役に立てよミュージック”っていう歌詞の最後のくだりもそうやけど、音楽に対する歯痒さと希望が入り交じるというか。
「そもそも音楽って何のためにあるのかなって考えたら、今の自分と何か違うことを感じたり思ったりするためにあると思うんですよ。さっきの自分と何も変わらないためにあるんじゃない。今の音楽に感じるんですけど、ドンドン主役がミュージシャンになってる気がする。音楽はやってるヤツがヒーローになるためにあるわけじゃない。むしろ、聴いてるヤツがヒーローだと思うから。そう思ったとき、だんだん自分の歌にもイライラしてきまして(笑)」
――大変や(笑)。前回のインタビューの最後に話して、今回の音に繋がった気がしたのは、篠塚くんが「俺たちが音楽を信じなかったら誰が信じるんですか! 今この時代、音楽は疑われてますよ。音楽がかわいそうですよ。俺たちが好きだった音楽って、もうちょっとカッコいいもんでしたよね」って。まさにだなぁと思って。
「それ…実は奥さんと話して分かったことなんです。あのとき奥さんと話して、それを言葉に出来て…今の俺の基本的な考え方になってます。“取り返すぞ”っていうか。俺、奥さんがさっき言ったことと同じことを思ったんですよ。“みんなが好きになるもの”はないんです。例えば、俺が好きだったパンクバンドは、多分おじいちゃんおばあちゃんに好かれようとは思ってなかったと思うんです。まぁそんなことはハナから分かってる(笑)。僕がライブハウスで働いてた頃にハードコアバンドの人とかと話したりして、その人たちはメチャクチャ酔っぱらって絡んでくるんです(笑)。“俺たちの音楽がヒットチャートに入らねぇことなんて分かってんだよ!”って。だけど、人生を懸けて、本気で音楽をやってる。マイノリティかもしれない、たくさんの人は救えないかもしれない、でも、ヒットチャートに入らなくったって、本気で音楽を鳴らしてて、その音楽を求めてる人がいる。好かれるためにやってる人は好かれて当然で、好かれなかったら何だよ!って思う。好かれなかったら悔しいってどういうことですか? おかしいですよ。好かれるはずがなかったものが誰かに響くから、感謝出来るんじゃないですか。媚びずに自分の想いをハッキリ言って、その上で“お前の考え方ちょっと好きだわ”って言われて初めて、嬉しいんじゃないですか。それは音楽だからとかは関係なく、人間みんなそうですよ。媚びて好かれて嬉しいなんて、そんなことがあるから、俺たちは生きてて苦しいんじゃないですか。人に好かれないと正しくない。人に好かれることが全て。そのために自分のやりたいことも全部我慢して、友達に嫌われないように悲しいことがあってもヘラヘラして…。こうしてこの曲が出せて、ホントに良かったですね。俺たちの音楽はやっぱり、みんなにくれてやるものだった」
――うんうん。で、アルバムももう出来ていると。今までの話を聞いてたら、納得のいくものが作れてそうやね。
「俺は、今までで一番好きです。今までで一番好きで、もう早く次が作りたいです(笑)。もうちょっと…もうちょっとなんですよ。さっきの地続きの話じゃないですけど、もうちょっとで全部取り戻せるんですよ」
――『僕らのミュージック』は、その第一歩だった。
「狼煙ですね。ここから始められるというか、俺たちはたいしたバンドじゃないかもしれないけど、こういうバンドがいるんだって叩き付けたいんですよね。今の大人にも、媚び始めてしまった音楽業界にもバンドマンにも。時代に合わせるとかじゃなくて、他人の心は思い通りにならないし、他人の心の中に自分の答えを探したら、いつまでも帰って来れないですよ。誰も振り向いてくれない、ずっと好きでいさせようとしても出来ない。だから、その作り笑いをしてる最中に、自分は本当は何したいの?ってことじゃないですか。作り笑いが良くないなんて誰もが分かってるんです。誰もがそうじゃなくありたい。でも、しょうがない。だってそういう社会だから。そういう社会にしちゃったのは誰なのかすら分からないけど、ロックバンドをやってるはずの俺たちでさえも、そういうつまらない世の中の後押しをしてますよ。正直、俺らが今やろうとしてることは…多分俺らじゃダメなんです。ただ、俺らの音楽を聴いた俺らみたいなヤツらが、俺がブランキーとかミッシェルをカッコいいと思ったときみたいに、ブルーハーツを聴いて涙が止まらなかったときみたいに、もしそう思ってくれるヤツらがいるんだったら、そいつらに託したいですね。俺らは石を投げ込むというか、変えるというよりは、火を付けるぐらいしか出来ないかもしれないけど。俺らが好きだった音楽の世界を作るためには」
――それじゃあ最後に、今日の取材を通じて思ったことを…前回の取材のとき、篠塚くんが俺にかけてくれた言葉を、そのまま返します。
「何ですか?」
――“篠塚くんは音楽を信じていますね。信じていきましょうよ!”。
「アハハハ(笑)。嬉しいです!」
――本日はありがとうございました!
「ありがとうございました!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2014年6月20日更新)
Check
Movie Comment
人となりが伝わります。それせか
篠塚将行(vo&g)からの動画コメント!
Release
胸を揺さぶる4発4中の名曲群
僕らの闘争宣言たる1stシングル!
Single
『僕らのミュージック』
発売中 1143円(税別)
CROWN STONES
CRCP-10314
<収録曲>
01. 僕らのミュージック
02. エスと自覚症状
03. 不燃ごみの日
04. 片方だけの靴
胸を揺さぶり続ける驚異の全13曲64分
7月には早くも2ndアルバムがリリース
Album
『もう君はいい人じゃなくていい』
7月2日(水)発売
2667円(税別)
CROWN STONES
CRCP-40378
<収録曲>
01. 優しくない歌
02. 明日のハッピーエンド
03. 僕らのミュージック
04. 無自覚なプラットホーム
05. 水たまりの成分
06. 普通の歌
07. 優先席
08. 白紙の地図
09. サウンドチェック
10. 奇跡
11. 無罪と罰
12. 自己嫌悪のターミナル
13. 2月11日
Profile
それでもせかいがつづくなら…写真左より、琢磨章悟(b)、篠塚将行(vo&g)、菅澤智史(g)、栗原則雄(ds)。’11年、篠塚を中心に活動していたドイツオレンジがメンバーチェンジを経て現編成に。バンド名を“それでも世界が続くなら”に改名し活動をスタート。’12年2月、1stアルバム『彼女の歌はきっと死なない』をタワーレコード限定で発売(その後一般流通)。たった1日で初回プレスがソールドアウト。タワーレコード・インディーズチャート1位を獲得。オリコン・インディーズチャートでも最高位6位を記録。メディアでの露出が皆無に等しい状況下、口コミやネットで話題となり、同年9月には、前作から7ヵ月という短いタームで2ndアルバム『この世界を僕は許さない』をリリース。インディーズチャートのみならず、オリコン総合チャートでも88位にランクイン。’13年6月、名古屋SAKAE-SPRING のステージ上及び同日にオフィシャルサイトでメジャーデビューを発表。同年9月にアルバム『僕は君に武器を渡したい』でメジャーデビューを果たす。リリース後に⾏われた各地でのサーキット型イベントでは軒並み⼊場規制がかかる盛況振りで、10 月からは全国8 カ所でツアーを開催。’14年1月には、前作から僅か4 ヵ月でミニアルバム『明日は君に会いに⾏くから』をリリース(オリコン週間チャート50位)。また、廃盤となっていたインディーズ時代の2 作品も同時にリイシューされた。5月7日には1stシングル『僕らのミュージック』をリリース。7月2日(水)には2ndアルバム『もう君はいい人じゃなくていい』を発売予定。
それでも世界が続くなら
オフィシャルサイト
http://www.soredemosekaigatsudukunara.com/
Live
只今リリースツアーで全国行脚!
大阪公演が間もなく開催へ
Pick Up!!
【大阪公演】
『1st single「僕らのミュージック」
リリースワンマンツアー
「僕らを置き去りにした音楽と
再会する日」』
チケット発売中 Pコード229-834
▼6月21日(土)18:30
LIVE SQUARE 2nd LINE
オールスタンディング2000円
キョードーインフォメーション■06(7732)8888
※未就学児童は入場不可。
【東京公演】
チケット発売中 Pコード229-625
▼6月28日(土)18:30
shimokitazawa GARDEN
オールスタンディング2000円
ソーゴー東京■03(3405)9999
【松山公演】
チケット発売中 Pコード234-994
▼7月1日(火)18:30
松山サロンキティ
スタンディング2500円
[共演]MELLOW SHiP/
chouchou merged syrups./他
デューク松山■089(947)3535
【高松公演】
チケット発売中 Pコード234-995
▼7月2日(水)18:30
DIME
スタンディング2500円
[共演]MELLOW SHiP/SUNDAYS/
chouchou merged syrups./他
デューク高松■087(822)2520
【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード228-970
▼7月13日(日)18:00
アポロベイス
前売3000円
[共演]忘れらんねえよ
ジェイルハウス■052(936)6041
チケットの購入はコチラ!
Column
痛みと叫びの先にある景色を
誠実なロックミュージックに
装填する驚異の1stアルバム
『僕は君に武器を渡したい』
現実主義者が見た最後の夢を語る
前回インタビュー&動画コメント