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ソロ15周年のLOW IQ 01と
結成10周年FRONTIER BACKYARDのTGMX
筋を通してきた男たちの思い出話と今を生きる言葉が飛び交う
アニバーサリースペシャル対談&動画コメントが実現!!

 今年、ソロ活動15周年を迎えたLOW IQ 01より、オリジナルとしては3年ぶりとなるポップで心弾むニューアルバム『Yes, LOW IQ 01』が届いた。それに呼応するかのように、LOW IQ 01のライブ時にバックを固めるMASTER LOWのバンマスも務める、TGMXことTAGAMI(aka SYUTA-LOW TAGAMI)率いるFRONTIER BACKYARDの10周年を記念する初のベスト盤『BEST SELECTIONS』が間もなく発売。そして、この4月には15周年のLOW IQ 01と10周年のTGMXの2人が、キャリア初のソロ同士によるアコースティックツアーを全国9ヵ所で開催。意外なカバーやデュエットもあり、涙が出るほど笑いが止まらないトークも山盛りな大満足のステージを、大阪でも繰り広げてくれた。90年代初頭に湧き上がったHi-STANDARDを筆頭とするパンク、オルタナティヴ、メロコア界隈の狂騒の中で、2人は共にアンダーグラウンドとオーバーグラウンドを行き来しながら常に音楽シーンに在り続け、それぞれのスタンスで聴き手の心に響くメッセージを発信し続けてきた。先輩・後輩であり盟友でもあり、共にグッドメロディの宝庫でもある2組の、アニバーサリーイヤーにふさわしいスペシャルな対談を楽しんで欲しい。

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自分でも、ここまで音楽を続けられていることに感心します(笑)
 
 
――イチさん、ソロ活動15周年おめでとうございます!
 
LOW IQ 01「ありがとうございます! いやぁ15年もよくやってこれたなと思うし、よく続いてきたなと思いますね。僕、どんな物事でも2年続けば長続きだと思う方なんだけど。簡単に言っちゃうと集中力がないんですよ(笑)。でも音楽に関しては一番力を出せたのかなぁ。自分でも、ここまで音楽を続けられていることに感心します(笑)」
 
――そもそもお2人の出会いというと、いつ頃になりますか?
 
TGMX「僕は単純に市川くん(=LOW IQ 01)のお客さんでしたね。ACROBAT BUNCH時代を僕は観てないんですけど、その後に市川くんがSUPER STUPIDでHi-STANDARDあたりと一緒にやっていた時代に、僕はSCAFULL KINGをやってたんですが、全く無名で(笑)。ただのLOW IQ 01フォロワーという感じでライブに行ってましたね」
 
――TGMXさんはイチさんのどんなところに惹かれました?
 
TGMX「SUPER STUPIDの頃は、ポップなのと同時にエグさもあって。それでいてオシャレで、音楽的にもマニアック過ぎず、セルアウト(=自分の信念を曲げセールスを得るための曲を作ること)し過ぎず。自分だけじゃなく、周りにも市川くんのことを好きなバンドマンはたくさんいて、ミュージシャンズ・ミュージシャンでもあったんですよね」
 
――確かにイチさんは以前から服装や髪型もオシャレですよね。
 
LOW IQ 01「自分でいうのもナンですけど、そうですね!(笑)」
 
TGMX「ミュージシャンズ・ミュージシャンにして、ファッションリーダーですから(笑)」
 
LOW IQ 01「でも、そればっかやってると売れないっていうのは、分かってますから!(笑)売れたいというか、単純に自分の音楽をみんなに聴いて欲しいんだけどね」
 
――“みんなに聴いて欲しい=売れたい”、ではない?
 
LOW IQ 01「そこはね、ちょっと違うんですよ。昔はCDが出せただけで嬉しくて、“売れたい”というよりも、評価されたかった。“あいつら売れてるな”って言われるよりも、“あいつらカッコいいな”って言われたかったんだと思う。あと、カッコいいことをやってれば自然と売れていくんだろうって思ってたから。元々は街のあんちゃんぐらいでよかったというか、プロになりたい気持ちはもちろんあったけど、“自分が住んでる街の代表になりたい”ぐらいの気持ちだったから。“プロになる=セルアウト”はしたくないし、自分のやってる音楽がマスなのかコアなのかも分かんないし、とにかく評価が欲しかったのかな」
 
――その気持ちは徐々に変わっていきました?
 
LOW IQ 01「ヘンにプロ意識がついてきたのかな?(笑)  15年やってきて、街の兄ちゃんでいいと思っていた人間が、どうも自分たちのコミュニティの代表にしてもらえるっぽい感じになってきて、そこを担うぐらいの多少の責任感は持てるようになったかなって感じですかね」

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『AIR JAM '98』に出ていたときもメンバーの内3人は
しばらくは風呂なしのアパートに住んでましたから(笑)
 
 
――自分の後に続く後輩ミュージシャンたちの存在も、その変化に作用していますか?
 
LOW IQ 01「どうだろう? 昔はいい意味で“楽しい”っていうノリだけでやってたところもあったし、それしか考えてなかった。でもやっていく内にそれだけじゃ何か足りなくなってきて。この人(=TGMX)は逆に年を取れば取るほど無責任になってきてて、その無責任さというか、ユルさがまたいいんですよ(笑)」
 
TGMX「僕はSCAFULL KING時代に、何かに追われてる気がしちゃったことがあって、それがイヤになってバンドを辞めちゃったんですよね。それから今のFRONTIER BACKYARDになったときに、“今までより地に足をつけて活動しよう”っていうことは初めから言ってましたね。SCAFULL KINGってただの田舎のバンドなんですけど(苦笑)、それが知らない内に人気が出ちゃって、かなり戸惑ったんですよ。だって、『AIR JAM '98』に出ていたときもメンバーの内3人は、しばらくは風呂なしのアパートに住んでましたから(笑)」
 
――そうだったんですね(笑)。
 
TGMX「ライブやりながら“こんなに支持されるなんてウソだ!”って思ってましたね(笑)」
 
LOW IQ 01「TAGAMIはまだ心の準備が出来てない内に人気が出ちゃって、いろんなことが早過ぎたんでしょうね。俺は逆にそうなりたかったというか(笑)、評価されたいと思いつつ、チヤホヤもされたい。チヤホヤされることも決して悪いことじゃないからね」
 
TGMX「そうそう!」
 
LOW IQ 01「若い頃ってワーワーキャーキャー言われることが恥ずかしいっていうのもあって“そんなのいらない”ってカッコつけてたんですよね。アイドルになるつもりはなかったし。今43歳なんですけど、この歳になるとワーワーキャーキャー言われるの大歓迎!(笑) 言われたいですね~」
 
――(笑)。音楽を始める動機も“モテたい”でしたか?
 
LOW IQ 01「それは違ったんですよ。“モテたい”よりも、楽器=遊び道具を見付けた感覚。だから楽しくてしょうがなくて、中学時代にみんながサッカーを始めるみたいな感覚でベースを弾いたり、音楽をやること自体が単純に楽しかったんですね。あともう1つバンド時代のことを言うと、ライブに来るお客さんは男7割:女3割ぐらいが理想だねってよく言ってて。男がワーワー暴れてるのをキレイな女の人たちが横で見てる、みたいなのがイイとか、若い頃はくだらないことを言ってたんですけど、今は逆で大丈夫です!(笑) 逆というか、男10:女10の200%がいい(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
TGMX「今は照れることもなく言えますね(笑)。市川くんは今年でソロ15周年、僕はFRONTIER BACKYARDで10周年になるんですけど、10年前よりたくさんのことを経験させてもらってる分、いろんな物事に対して理解出来るようになりましたよね。単純にミュージシャンとしても人間としても大人になったんですよね」

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前へ進むためには、慣れた道ばっかり通っててもダメなのかなって
 
 
――その時間の経過の中で解散するバンドもあれば、活動の方針を変えるミュージシャンもいて。10年、15年と続いてきたのは、さっき言われた“音楽をやっていて楽しい”だけじゃない部分もあったのかなと思うのですが。
 
TGMX「市川くんはソロで僕らはバンドなんで、ちょっと違うところもあるんでしょうね。僕らはメンバー3人のバイオリズムみたいなものもあって、3人がずっといい状態のときなんてなくて、“この間までスゴいやる気だったのに、今は迷ってる”みたいな時期もあるんですね。だから、10年はあっという間でしたね。市川くんは1人だし、一瞬“ラクでいいな~”って思うんだけど、1人にしか分からない悩みもあるでしょうし」
 
LOW IQ 01「メリット/デメリットはどっちにもあるからね。ソロはバンドと違って全部、自己責任ですね」
 
――イチさんの今回のアルバム『Yes、LOW IQ 01』では、ご自身の内面に深く寄った上で明の部分も暗の部分も歌われてて、それをさらにセルフライナーノーツという形でブックレットに文章も書かれていましたね。“不格好でも構わない 魂込めれば”と歌われる『さきがけ』(M-3)をはじめ、曲も言葉もとてもダイレクトに響きました。
 
LOW IQ 01「15年目にしてついに“本気出しやがったな”って感じ?(笑)。まぁずっと同じことだけを続けているのもどうなのかなぁっていうのもあって。新しい視点で物事を見ることも必要だし、前へ進むためには、慣れた道ばっかり通っててもダメなのかなって。そういうこともあって思い切れたのかな」
 
――イチさんを音楽に向かわせる原動力になっているものは?
 
LOW IQ 01「“悔しさ”みたいなものもそうだし、自信もあるけど、不安もある。ただ単に、自信が不安を上回ったから、アルバムが出せるんですよね。不安が勝っちゃったらアルバムは出せてないから。今回のアルバムにはTAGAMIが参加してないんですけど、何でかって言うと、彼にはトランペットで参加して欲しいから呼ぶんですけど、トランペットをイヤがるんですよ(笑)。“僕よりもっと上手いヤツを紹介しますよ”とか言うから、“だったらいいわ”って(笑)」
 
TGMX「トランペットはあんまり好きじゃないんですよ、疲れるし(笑)」

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カッコつけることもミュージシャンの仕事
 
 
――TAGAMIさんの場合はプレイヤーであると同時に、LOW IQ 01 & MASTER LOWのバンマスとしても、プロデューサー的な存在としても、イチさんにとってなくてはならない存在ですよね?
 
TGMX「何者なんでしょうね? いい具合に誰ともからめる芸人、みたいな芸風でやってます(笑)」
 
LOW IQ 01「いやぁ、そんなことないよー。この人結構、(人に対する)得意不得意はハッキリしてますよ。(TAGAMIに向かって)あの、今から君のことを褒めるからちょっとだけどこかに行っててくれる?」
 
――アハハハハ!(笑)
 
LOW IQ 01「“なくてはならない存在”っていうのは確かにそうで、TAGAMIは“ほんわり”してるんですよね(笑)。僕の先輩でもあるアイゴン(=曾田茂一)とタイプ的にちょっと似ていて、ムードメーカーなんですよね。プロデュースをするときも、相手のいいところをどこまで伸ばしてあげるかに重点を置いていて、かつ自分がバンドマンでもあるから、いろんなところにアンテナも張ってる。こういう場ではいろんなことを無責任っぽく言うんですけど、すごく勉強家だし、すごく音楽を知っている。それでいて“ほんわり” してる(笑)。そのバランスが絶妙」
 
TGMX「…あの、“ほんわり”って僕の体型のことじゃないですよね?(笑) 市川くんは自分のことをよく分かってるけど、自分では全く分からないんですよ。何色にもなれる気もするし、何にもなれない気もする。自分のライブを自分で観ることが絶対に不可能なように、自分のやってることが一番分からないんですよね(苦笑)。そういうときに、市川くんやチャーベ(=松田岳二)くんやカジ(ヒデキ)くんたち先輩と音楽の話をしてる内に、何となく“コレかな?”って見付けていったり、後輩が出てきたときに、“ああ自分はちょっと違うなぁ”と思うところがあって気付くこともあったり。そうやってだんだん自分を形成していく感じですね。でも、今はこんな風に話してますけど、市川くんは昔はめちゃめちゃ怖かったんですよ。先輩ミュージシャンとかいう前に、普通に人として怖かった(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
LOW IQ 01「怖いというか、こだわりが強かったんじゃないかなぁ。自分の意見を提示するとき、僕の場合は彼のように“ほんわり”じゃなくて、“こうじゃなきゃ!”っていう提示の仕方をすることが多かったし。だからこそ、この2人はバランスが取れていていいのかなと思いますけどね」
 
――最初に“イチさんはオシャレ”という話が出ましたが、初めから音楽だけじゃなく髪形や服装、身に着けるものもトータルでセルフプロデュースされていましたよね。それまでは音楽とファッションはそれほど密接なものじゃなかったように記憶しています。
 
LOW IQ 01「僕の場合は、音楽とファッションはイコールだと思ってるんですね。“音だけカッコよければ着るものなんてどうでもいい”っていう人もいると思うけど、僕が中学の頃、最初に好きになったのはパンクロックで、あのボロボロのガーゼシャツを着てガンガンいくのを観て衝撃を受けたし。モッズだって、ザ・フーが三つボタンのスーツを着ていたり、ロックンロールバンドは革ジャン着て、髪はリーゼントにして、っていうスタイルがあったわけですよね。そういうものに接してきてるから、音楽とファッションは1つのカルチャーで、一緒になったときに成立するっていう考えだったね。中には、“カッコばかり気にしやがって”って言う人もいると思うんですけど、俺は“カッコは大事なんだよ”って言います。カッコつけることもミュージシャンの仕事だと思うしね」

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何となく自分の家にいるような感じで出来れば
アコースティックは面白い
 
 
――ソロ同士の全国アコースティックツアーもありましたが、いかがでしたか?
 
TGMX「僕から誘ったんですけど、ちょっと変わったことがしたかったんですね。僕は10周年で、市川くんが15周年っていうお互い節目みたいなタイミングだったし、自分だけでツアーを廻るより、一緒にやったら面白いかなって。1つのチャレンジでもありましたね」
 
LOW IQ 01「すごく新鮮なツアーでしたね。僕は何でもやりたがるくせに、自分からは仕掛けないんですよ(笑)。今回のツアーも、TAGAMIがバンアパ(=the band apart)の荒井(岳史)(vo&g)とかいろんな人と廻っているのを見て、いい歳した大人がワーキャーやってるのがうらやましいと思ったんですね(笑)。なので誘ってくれたときは、“やるやる!”ってもう2つ返事で。実際にやってみると、これがまたバンドとは違う、不思議な感覚なんですよ。対バンでもないし、バンド同士のバトルでもないし」
 
TGMX「1つの夜を2人でプロデュースしちゃう感じですかね?」
 
LOW IQ 01「そうそう。だから相手の歌を聴いちゃうんですよね」
 
――SUPER STUPID、SCAFULL KING時代には想像も出来ないステージですね。
 
LOW IQ 01「自分が静かに座って歌を歌うなんてことは考えられなかったし、音が歪んでないとダメだと思っていた人間だから(笑)。でもね、アコースティックは別物だった。大人になったとかじゃなくて、特に僕の曲は、自分で言うのもなんだけどメロディアスだと思っていて、これをじっくり聴かせられないかなって思ったんだよね。オシャレにするとかじゃなくて、ただ歌を聴かせられればって。最初は、ギター1本で自分1人だから、このままお客さんの前で歌っていいのかなって思うぐらい自信もなかったんですけど、いざやってみたら、意外にバンドでやるより緊張しなかった。お客さんとの距離の近さも、“見られてる=緊張する”となるとダメなんだけど、何となく自分の家にいるような感じで出来ればいいなって思ってたら、実際にそうなれたんですよ。そうなったらアコースティックは面白いんですよね。全国各地、“いっちゃんの部屋へようこそ”みたいな雰囲気でやってきましたね」
 
TGMX「1日1日アップデートされて、よくなっていった感じでしたね、うん」

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今はCDが売れないとか音楽が聴かれていないとか言われるけど
そんなことは関係なく自分のやるべきことを諦めちゃいけない
 
 
――新作を引っ提げたLOW IQ 01 & MASTER LOWによるツアーの大阪公演は、5月22日(木)BIGCATです。大阪のお客さんはいかがですか?
 
TGMX「盛り上がる曲は盛り上がるし、静かな曲はちゃんと聴いてくれて、その分シビアなんだろうなとは思うんですけど、気合が入りますよね。それと本当にノリがいい」
 
LOW IQ 01「いやいやいや、全国どこでも気合は入りますよ!(笑)」
 
TGMX「いや、僕はどこで何をするのも、だいたい60%ぐらいの感じなんですよ(笑)。そういう意味では、どこでも温度や熱量は変わりません(笑)。だいたい1~2時間のライブをずーっと観てる人ってそんなにいないですよね? 途中でトイレに行ったり、お酒を飲んだりしますよね? だからお客さんも60%ぐらいの感じで観てもらえたら(笑)」
 
――いやいや最初から最後までずっとちゃんと観てますよ!(笑) バンドで一緒にステージに上がったときのTAGAMIさんはどんな感じですか?
 
LOW IQ 01「この人はね、悪ふざけが過ぎる(笑)。いっつもだいたいニヤニヤしてるしね」
 
TGMX「ちゃんと先輩を見守ってるんですよ! もしも神輿が崩れるようなことがあれば、サッと支えに行けるように構えて。それもだいたい60%の感じですけど(笑)」
 
LOW IQ 01「だからその分、俺が120%でやらなきゃいけないじゃん!(笑) でもね、彼はMASTER LOWの中でもムードメーカーなんだよね。まとめ役をやってくれてるし、バンドを回していくのが本当に上手い。TAGAMIとのソロツアーは自分にとってすごくいい経験になったし、根性がついたというか。何でも物事を上手く見せようとしちゃダメで、いい具合に開き直ることを彼に教わったんですね。そうした方が逆に自分の力が出せるんだなって分かりました。これはバンドのツアーにも活かされると思いますね」
 
TGMX「僕も以前は“良く見せよう”と思ってたから常に緊張してたんですけど、“良く見せようなんて思わなければいいんだ”っていうのが、FRONTIER BACKYARDのやり方なんですよ。気負わないというか、適当なんですけど(笑)」
 
LOW IQ 01「いやいや、もちろん計算ずくの上の適当ですよ。“適当”って言葉は良くないね。いい加減、じゃなくて、ちょうど良い加減(笑)。ユルく見えていろんなことを精密に決めてやってますよ、この人は」
 
――“カッコいいと言われたい”という時期を経て、“自分を良く見せようと思わない=自然体でやった方が力が出せる”。それってなかなかたどり着けない境地のような気がします。
 
LOW IQ 01「前は、“カッコ悪いから絶対にミスしちゃいけない”って思ったりして、それがプレッシャーだったんですよね。お笑い芸人さんでも“今が大事なときだから”とか“今、テレビに出ていくときだから”とか言ったりするけど、そうじゃないと思うんだよね。今だけじゃなくて常にチャンスじゃなきゃいけないし、今までが常に大事な瞬間だったからこそ、ここまで来れたんでしょって思う。この15年で、その辺りを勘違いしなくなってきたのかな」
 
――FRONTIER BACKYARDに関して言えば、今回のベスト盤『BEST SELECTIONS』は選曲も曲順も素晴らしく、初心者にとっては新作としても聴ける1枚だと思いました。例えば、’04年の『WHITE WORLD』(M-3)と、’13年の『City lights』(M-4)という約10年間の隔たりがある曲が並んでいても全く違和感がなくて、改めてTAGAMIさんはエバーグリーンな音楽を作る方なんだと再認識しました。
 
TGMX「いろんな幅を持って活動してるつもりなんですけど結局、音楽以外のことは出来ないんですよね。自分らの範囲がだんだん分かってきていて、もうジジィなんで今から急にズコーンと変わるなんてことはなくて(笑)。ただ、このままでいいとも思っていないので、今までやってきた経験と、今からまたさらに知っていく中で、もっといい変化をしていきたい。10年経って今改めて、そんな風に思っていますね」
 
LOW IQ 01「ちょっと真面目な話になるけど、俺らがやっているのは流行りの音楽じゃなくて、聴いていて本当に“いいな”と思える音楽なわけで、自分たちはそういう音楽を世に出していかなきゃいけない世代でもあるんですよね。“LOW IQ 01知ってる? アルバムすごくカッコよかったよ!”みたいに、誰かの会話の中に広がっていくことが大事で、それこそが音楽本来の広がり方なんですよね。今はCDが売れないとか音楽が聴かれていないとか言われるけど、そんなことは関係なく自分のやるべきことを諦めちゃいけない。これから先も20周年、30周年とやっていきたいし、ちゃんと気合を入れながらも肩に力が入ることなく、自分の持ってる力が出せればいいかなと思っています。だいたい常に、120%でね(笑)」
 
 
Text by 梶原有紀子

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(2014年5月21日更新)


Check

Movie Comment

達者やな~(笑)。グッドヴァイブな2人
LOW IQ 01×TGMXの動画コメント!

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Release

ポップ! フレッシュ!! ソロ15周年
LOW IQ 01の3年ぶりの新作

Album
『Yes,LOW IQ 01』
発売中 2916円
cutting edge
CTCR-14825

<収録曲>
01. Hangover Weekend
02. Day to Day
03. さきがけ
04. Switch
05. a room with a view
06. Mirror, Mirror
07. A.K.F.
08. And...
09. All I Ever Need
10. Night of the Sleepless
11. Shed Your Skin
12. King of Fools
13. Out Out Out

FRONTIER BACKYARD初のベスト盤
はレア曲も含むフルボリュームの22曲!

Best Album
『BEST SELECTIONS』
6月4日(水)発売
2484円
NIW! Records
NIW-97
※24P豪華ブックレット付

<収録曲>
01. everybody say[introduction](※)
02. hope
03. Wonderful World
04. WHITE WORLD
05. City lights
06. TWO
07. Putting on BGMs
08. cool down clam down
09. TRACE NONE
10. missing piece
11. picture of the sun
12. tic tic
13. MUSIC IS A BASIS
15. wish featuring TAKESHI ARAI
from the band apart
16. pairyland
17. Flower of shanidar
18. every(※)
19. Waste of Time
20. Days of "R&S"
21. Parties and our music echoes.
22. Flash
※未発売音源

Profile

LOW IQ 01

ロウ・アイキュウ・イチ…10代の頃から様々なバンドでvo&bとして活動し、20歳でアポロスにsaxで参加。その後、曾田茂一(FOE/Honesty)とACROBAT BUNCHを結成し、’94年にSUPER STUPIDを結成。’99年よりソロ活動を開始し、KEN YOKOYAMAやTOSHI-LOW(BRAHMAN)、TAKA(BACK DROP BOMB)らが参加した『MASTER LOW』(’99)を皮切りに、現在までオリジナルアルバム5枚、ミニアルバム、ライブDVDや自身のルーツをたどるカバー盤や、10-FEETやTHE BAWDIESや多彩な面々が参加したトリビュート盤も発売されている。4月23日にリリースされた最新作『Yes,LOW IQ 01』では、ジャケットデザインとリード曲『Shed Your Skin』のミュージックビデオで、快速東京の一ノ瀬雄太(g)、福田哲丸(vo)とコラボレート。6月11日(水)にリリースされるBACK DROP BOMBのトリビュート盤『The Broccasion-music inspired by BACK DROP BOMB-』にも参加し、約20年ぶりにアイゴンとの共演で『TURN ON THE LIGHT』を披露している。

LOW IQ 01 オフィシャルサイト
http://www.lowiq01.jp/

TGMX aka SYUTA-LOW TAGAMI
(FRONTIER BACKYARD)(写真左)

ティー・ジー・エム・エックス…90年代後半から、SCAFULL KINGのリーダー、vo&tpとして活動。’01年1月より休止状態へ。同年11月、TGMX名義の1stソロアルバム『MUSIC LIBRARY』をリリース、即日完売。ソロワークをしつつ、’04年頃から本格始動したFRONTIER BACKYARDは、現在までにアルバム5枚、ミニアルバム1枚等をリリース。他にもCUBISMO GRAFICO FIVE(‘01~)、THEDEKITS(‘11~)でkey、gなどを担当。LOW IQ 01 & MASTER LOW(‘98~)のサポートメンバーでもある。バンド活動のみならず、プロデュース、楽曲提供、DJ、弾き語り等あらゆる音楽形態でマルチに活動中。40歳を迎えた’12年は、『TWIN SONGS』題した全国弾き語りツアーをKeishi Tanakaと開催。6月には当時即完売した『MUSIC LIBRARY』を再発。11月には、TGMXの全てが詰まった書籍『TGMXの音楽関係』、2nd アルバム『I CAN'T SING IT』を発表した。今年6月4日(水)にはFRONTIER BACKYARDの10周年を記念したキャリア初のベスト盤『BEST SELECTIONS』をリリース予定。

FRONTIER BACKYARD
オフィシャルサイト

http://www.frontierbackyard.com/

Live

TGMXももちろん参加!
LOW IQ 01の新作ツアー開催中

Pick Up!!

【大阪公演】

『YES' LET IT OUT Tour』
チケット発売中 Pコード224-697
▼5月22日(木)19:30
BIGCAT
スタンディング3900円
SMASH WEST■06(6535)5569

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【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード224-694
▼5月23日(金)19:30
名古屋クラブクアトロ
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Niw! Recordsの10周年記念!
代表・山口氏、土井コマキ、TGMX
FLAKE RECORDSのDAWAが
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発見と興奮を火種に築き上げた
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音楽を全うするパーティ・アクト
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『fifth』とバンドの現在を語る
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TGMX(vo&key)インタビュー