「反抗期だし思春期だし成長期(笑)」
強烈ロックアルバム『I’M FREE』を手に初の全県ツアー真っ最中!
喪失感をガソリンにロールし続けるa flood of circle
佐々木亮介(vo&g)インタビュー&動画コメント
いや~もう最高! ロックンロールの躍動感、バンドのグルーヴという名のケミストリー、そして痛快にして真摯なメッセージ…再生ボタンと共に心臓の鼓動とシンクロする40分間の脳内麻薬…a flood of circle の強烈ロックアルバム『I’M FREE』が素晴らしい。'09年のメジャーデビュー以来、ギタリストの失踪、ベーシストの脱退と次々とバンドを襲う危機を血肉に変え転がり続けてきた彼らが、『LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL』(‘11)『FUCK FOREVER』(‘12)を経て、フルドライブするサウンドと強靭な眼差しを持って到達した、2013年のロックシーンを語る上で欠かせないこの1枚。そこで、現在は7ヵ月にも及ぶ過去最大にして初の全県ツアーを10月よりスタートさせ、各地で咆哮を上げるa flood of circleの佐々木亮介(vo&g)に、まごうことなき最高傑作と言える同作に宿る想いをインタビュー。この言葉を受け取って、是非ライブハウスへと足を運んで欲しい。何せこのバンドワゴンは、長い旅路の中であなたの街に必ず訪れるのだから。
佐々木亮介(vo&g)から親愛なる皆さまへ動画コメント!
――『I’M FREE』、素晴らしいアルバムだなぁと。今までで一番いいかも。
「やったぁ!(笑) 俺もそう思ってるんですよ。それ一番いい宣伝文句ですよ」
――常に自信のある作品を作ってきたと思うし、そういう状況にも着実になってきてるけど、作品としてそれを示せたのが如実に分かる。やっぱ今回は言葉がね、ホント冴えてる。
「嬉しいなぁ(照笑)。そうです、言葉から作ってますからね」
――詞先なの?
「タイトル先ですね(笑)。タイトルを決めて、言いたいことを書いてく内にドンドン出てくる。その言いたいことのために曲を作ってる感じです」
――端的に言いたいことをタイトルで示して、その世界観を広げていくと。
「だから『I'M FREE』っていう、『I LOVE YOU』(‘11)『FUCK FOREVER』(‘12)と同じぐらいアホなタイトルなっちゃったんですけど(笑)。でも書くからには2013年の日本に必要な言葉が乗ってる音楽じゃないとダメだと思ってて。それは思い込みも勝手な使命感もあるんですけど、この気合いはどうしても書き切りたかったんで。そこにはちょっとプライドを持って歌詞を書きましたね」
――それだけ伝えたいこと、言いたいことが溢れるようにあるってことやね。
「『I LOVE YOU』の頃はもう、震災に対して反射神経で書いてたところがあって、『FUCK FOREVER』は遅れてきた反抗期だと思ってるんですけど(笑)、怒りをルーツに曲が出来るようになってきた。そのどっちにもスゴく自信あったし、もうどこに持って行っても恥ずかしくないロックンロールバンドの核となるものが出来てツアーを廻ってたんですけど、逆にロックンロールっていうフォーマット、方法論に閉じこもっていくのはイヤだったんで。『I'M FREE』は、今必要なことをちゃんと伝えようっていう気持ちで書きたかったんです。『FUCK FOREVER』はがむしゃらに豪速球を投げるみたいなところもあったんで」
――このままロックのフォーマットにハマっていくのも違うなっていうのがあったんやね。
「バンドとしてつまんなくなるのもイヤだったし。ただ単純に、今までのいろんな経験を経てタフになってるのもありつつ、バンドが続けられてる喜びが今はあるんですよ。その喜びがあるっていうことは、ただ続けてもしょうがなくて。何となく分かり合えてきたね、みたいなことで安心してたらダメなんだって。『ロックンロールバンド』(M-3)でも書いたんですけど、今日が最後かもしれないと思ってないとヒリヒリしたもんになんないし、ただ続けていくんじゃなくて、ちゃんと上を見て続けていく。じゃないとバンドをロールする意味がないと思ってて。下り坂をロールしてもしょうがないじゃないですか。だからそこはちょっと緊張感じゃないけど、バンドがいい感じだからこそ、逆に今はメンバーにいろいろ求めるように変化してきてる。このメンバーで2年半やってきたからこそ、当たり前のことをやっと楽しめるようになってきた。ヘンな歴史を通ってきちゃったんでね(笑)」
――そう考えてみたら、遅れてきた反抗期ってさっき言ってたけど、同時に思春期やねこれは。
「それいいこと言いましたね(笑)。そういう思春期感はありますね。22でデビューしたんですけど、幸か不幸かバンドとしての青春時代があんまりなかったなぁって。青春を共有する時間がほぼないまま大人になっちゃった(笑)。だから思春期/反抗期なんだけど、ただの初期衝動でやってない感じが、a flood of circleのオリジナリティにはなってると思うし、俺自身もそこにプライドを感じてて。そういう俺たちなりのバンドの積み重ね方を、深く分かってくれる人が増えてきた感じはするし。ロックンロールをもっと広げたいとか、シーンの真ん中までどうにかにじり寄ってやろうっていう気合いは持ってるけど、時間が掛かるのも分かってるんです。だけど、その方法に関しては自信を持ってきてるから、アレンジとか歌詞も広げていきたいし、もっと強く届けたい想いが今はある。がむしゃらに豪速球投げてるだけじゃ、満足出来なくなってる感じはスゴいありますよね」
――バンドとしての成長期じゃないけど、ようやく同じメンバーで作品を重ねられる喜び。まぁそんな喜び、普通だったら意識することではないんやけどね(笑)。
「そうですね(笑)。ヘンにありがたがってるし、今さら2人に対して“いつか辞めちゃうかもな…”ってイチイチ監視するわけじゃないんですけど(笑)、自分のモチベーションの中で、ステージ1本1本、これが最後かもなっていう気合いを持ってやれるかはスゴく大事。ただタイトルはダサいぐらいストレートになってきてる(笑)。一瞬で燃え尽きるようなバンドじゃなくて、もう諦めの悪いヤツらがゴロゴロ転がってくバンドだと思ってるんで。俺『SLAM DUNK』でも三井寿が1番好きだし」
――アハハハハ!(笑)
「諦めの悪い男がカッコいいなって思っちゃったりもしてて。そういう自分のモチベーションと、バンドが続いてるっていう状況、Zeppでやったりフジロックに出たり、大っきい会場でちょっとずつやれるようになってきても、俺たちのロックンロールで会場を充満させられる自信もある。『FUCK FOREVER』のときも多分それは片隅にはあったけど、もっと丁寧に伝えたいというか、ロックンロールで空気が充満する喜びを知ってしまったんで、それをもっと広げたいとかデカくなりたいっていう、もうスゲェシンプルな欲求なんですよね。そのためには言葉が強くなきゃダメだなぁとは思ってたんで。俺がやるしかない、大袈裟じゃない、尖ってるだけじゃない書き方がやっと出来るようになった気がしてます」
デカい理想を言ってるだけっちゃだけだと思うんですけど
ロックンロールバンドがそれ言ってくれなくなったらおしまいだと思ってる
――『FUCK FOREVER』のインタビュー時から言ったけど、映画的な、白昼夢的な世界観をロックミュージックに乗せて、そこにパーソナリティが見え隠れする感じから、よりリアルな自分がフラッドの音楽に乗ってもハマっていくようになってるというか。衝動とか使命感とか表現が、いい塩梅でこのアルバムには収まってるなぁと。
「それこそバンドがゴタゴタしてた頃は、お客さんに対してもメンバーに対しても“信頼してくれ!”って言いたくて。今はもうメンバーとお客さんとちゃんとロックンロール出来ると思ってるから、そうやってアピールする必要がないというか、自分が正直に書いた言葉でも、ヘンにオブラートに包む必要がなくなってきて。だからスゴい矛盾した言い方になるんですけど、バンドとして伝えたいからこそ、より俺にとってパーソナルな言葉でいいんだって気付いた感があって。パーソナルになればなるほど、逆にどんな街でも演奏しても、どんな人が聴いてもちゃんと届くものが作れる気がしてるんですよね。それが出来たからこそ、『月面のプール Naked ver.-』(M-10)『Dancing Zonbiez』(M-2)とか、全てを言葉にしない抽象的な歌詞があって。他が出し過ぎなのかもしれないですけど(笑)。そういう曲もこのアルバムでは1つの側面として歌える。オープンな自分のファーストタッチが、このアルバムには出てる感じがしますね。だから、ホントに健やかな気持ちなんですけど(笑)」
――アハハハハ!(笑) 健やかね(笑)。
「前だったら任せっきりだった部分も、今回はナベちゃん(=ds・渡邊)にめっちゃ求めたし。今必要な言葉だと思って歌ってる以上、サウンドはストレートでもいいけど、ちゃんと現代的な音楽にしたかったんですよね。ブルースとか昔の音楽は好きだけど、今の洋楽とかもチェックしてるし、今じゃないと伝わんない方法って何なのかを考えると、がむしゃらにフィーリングで叩いてるドラムじゃ絶対にダメだって話をして。だから『Blues Never Die(ブルースは二度死ぬ)』(M-7)ではループにチャレンジしたし、『All The Young Rock'nRollers』(M-4)は、昔だったらもっと単純なサーフロックぽい感じで終わってただろうものを、もうめっちゃ難しいビートを叩かせて(笑)。やってるときはもちろんバチバチなんですけど、俺はどこかで追い込んでもいい喜びも感じてて(笑)。アルバム作るにあたって、それをやっと出来る環境になったんだって。それはある意味スゴく信頼してるからだと思うし、こんなことでメゲないだろうコイツはっていうのもあったりするし。スゴいヘルシーなレコーディングで、楽しかったですね。アレンジの自由度も高まったし、前だったら鉄琴を入れようなんて思いもしなかったですね(笑)」
――革ジャンでオモチャ屋に行って怪しまれるっていうね(笑)。
「そうそうそう(笑)、子どもと戯れながらね(笑)。でもそういうのも楽しんでやってたし、鉄琴叩けるロックンローラーいねぇだろうって思ってましたし(笑)。だからストリングスとかホーンに対しても怯えずに、もっと切り口を増やせるチャンスだと思ってやりましたね。それこそ『月面のプール』だけを聴かせたら、もしかしたら誤解を招きかねないと思ってたけど、今は全然OK、むしろドンドン誤解してくれって。ロックンロールって言われてピンと来ない人にも聴いて欲しいって、やっぱ今はスゴく思ってるんで。絶対に楽しいから。入ってきてくれたら、聴けば分かるからっていうところで、自信を持ってるんですよね。だから入口をちゃんと増やしたいし、どんどん巻き込みたいんですよ。歌詞が一番の根っこだと思ってるんですけど、ライブなんてパッと聴いて何を言ってるかなんて大抵分かんないじゃないですか。でも、本気で言ってるぜっていうフィーリングと、楽しませようっていう熱さえ伝わってれば十分で。あとで歌詞カードを見たときに、“コイツ、熱いヤツだったなぁ”って分かってもらえたらいい。何かその仕組みが自分の中でハッキリしてきて、だからドンドン飛び込んでこい、ついてきなよって言いたいなぁって」
――いいね。表現者としても人間としても、スゴく健やかやね(笑)。
「“コレしかない”のがカッコいいとかじゃなくて、諦めにも似た感覚がやっぱあって、もう俺どうしようもねぇなって思うんですよ(笑)。ロックンロールしか出来ないから。逆に言うと、“コレしかない”ものを徹底的に見つめ直すために自分と格闘して、自分に対する覚悟も書いた上で、例えば社会的に言いたいことがあっても政治家になるわけじゃないし。“FUCK FOREVER”な気持ちを政治家に転身して表現するんじゃなくて、ちゃんとロックンロールで表現するだけだから。自分なりの役割じゃないけど、世の中に対してモノを発信して生きてる以上は、これが正しいんだって思い込んでなきゃダメなんですよ。それを支えてくれる2人がいるのはスゴくデカくて。そういう意味ではメンバーが固まったからというよりは、俺自身の変化だったんじゃないかなぁ。“信頼してるから”って言い切れる。理屈なんか特にないんですよ。お客さんだって俺たちを観に来てるから信頼してるっていう超ふんわりした理由なんだけど、普段何をやってる人たちかは分からないし、名前も知らない。だけど、ここに一歩に踏み込んだからには、a flood of circle公認のロックンローラーだ君たちは!っていう想いはあるから。そういうデッカい意味での信頼をしていいんだなって分かってきたので。俺みたいなヤツらが一生懸命やってることに対して反応してくれてるヤツらに、もっといい景色見せたいのはあるし、もちろん連れて行きたいだけじゃなくて、デカい景色を見たときの俺の歌を俺が聴きたいっていう欲求があるから。だからホント、『I LOVE YOU』とか『FUCK FOREVER』とか『I’M FREE』もデカい理想を言ってるだけっちゃだけだと思うんですけど、ロックンロールバンドがそれ言ってくれなくなったらおしまいだと思ってるんで。俺は意地でも辞める気はないし、お客さんの人生が転がり出すスイッチを俺たちがCDとかライブで押せたら、最高だなって思います」
仮に辞めても止まっても、もう1回転がり出せるかどうかの方が大事だから
それさえ出来りゃ十分ロックンローラーでしょって話をしてるんですよ
――しかし今回は歌詞に赤線引くとこホント多いなぁ(笑)。この1行いいなぁとか。
「アハハハハ!(笑) 気に入ったヤツあります?」
――『I'M FREE』(M-1)だったら“本気で壊すことは 本気で創ることおんなじ”とか、『the Future Is Mine』(M-5)の“それは過去に逃げるためじゃなく あの日の未来を思い出すため”とか。一見ネガティブに見えることも瞬時にポジティブに向かえて、実際見方を変えればそうで。今回は歌詞が発見の連続というか、俺自身気付かされることが結構あったな。
「おぉ~めっちゃ嬉しいですね。ホントにバンドはっていうか、俺自身がそうなのかもしれないけど、喪失感の延長でここまで来てる感じがスゴいあって(笑)。言ったかもしれないですけど、親が転勤族で同じ土地にずっといたことがないので、田舎もないし、実家もフワフワしてるし、音楽しか心地いい場所がないんですね。バンドとしてもいろいろ喪失しながらここまで来てるし(笑)。だから何か…たくさんの叶わなかった夢の続きを生きてる感じがしてて。もしかしたらみんなそうかもしんないし、必死に何かをやってる人に気付いちゃった以上は、豪速球だけじゃなくてちゃんとハグしに行きたい。ま、鬱陶しいかもしんないけど俺、暑苦しいタイプなんで嫌がられても行くよって感じなんですけど(笑)。そういう考え方がちょっと歌詞には出てるのかもしれないですね。失ってしまったモノを取り繕ってもしょうがないから、この穴を認めながら次に行くしかないって」
――『Blues Never Die』の“でも心は削減させない それがなきゃさっさと終わってくだけ”っていうのもスゴく…例えば音楽業界も厳しくてドンドン人が少なくなって、つなぎとめるものはもう情熱しかないみたいな…ホントに俺もやっててそう思うんでね。もっと割のいい仕事…それを俺が出来るかどうかは置いといて(笑)。
「アハハハハ!(笑) でもね、人の血が通ってるかどうかってホントに…『I'M FREE』の無価値でいいから、自分で意味があるかないか決めようぜっていう想いは、経済的なこと優先で心がなくなっていく判断をしていくと、この先にいい未来が待ってるわけねぇじゃんって俺が思ってるから書いてるのもあるし。ブルースって基本的にはやっぱり自分の生活と男女間のことしか歌ってないもんなんで(笑)。でも“心は削減させない”っていう部分は、俺もスゴく思い入れが強い」
――この1行は背中を押してくれるよね。
「スゴく嬉しいです。僕らも転がってきた分、スゲェ好きだったバンドが解散しちゃったり、友達が音楽辞めたり脱退したり…もう山ほど見て来てるし、今年もたくさんあった。何かをやり切って燃え尽きたんだったら全然OK。でも、続けてきてしまった自分としては、『Blues Never Die』みたいな言葉を言わなきゃいけないんじゃないかって思ってるし、俺が好きなロックンロールは、それを今言ってくれるバンドだと思うんですよ。俺がやっぱり聴きたい言葉なんですよ。だからこのアルバムの中でも一番再生回数が多くて、自分でも割と聴いてしまった感じなんですけど。まぁ暑苦しいヤツだなって、自分でも思うんですけど(笑)」
――そして、今作では親愛なるメンバーに対しての曲もそれぞれにあるというね。直接的なラブレターが(笑)。
「そうです(笑)。こっ恥ずかしいですけどね。恥ずかし過ぎて『Diamond Rocks』は、ナベちゃんに最初言えなかったです(笑)」
――録ってるときは言ってなかったんや(笑)。でもこれを聴いたときに、いやぁ~いい曲もらったねって思ったよ。嬉しいと思うよ。
「まぁ姉さん(=b・HISAYO)はあまりにもバレバレなんですけど(笑)」
――『Beer! Beer! Beer!』ね(笑)。まぁよっぽど好きだねっていう(笑)。
「逆に今まで、生活の中から切り出して書いてたのに、何でバンドの曲が書けなかったのかな?って思ってしまうぐらい、書けて嬉しかったし。『Diamond Rocks』はナベちゃんがモチーフだけど、“サニーボーイ”っていう少年の歌で、“まだ道の途中だと永久の嘘をついてくれ”って、誰もが心のどこかで思ってるんじゃないかなって気がするので。ちょっと切ないんですけど、でもその嘘が大事なんじゃないかなって思ったりするし」
――いつもインタビューでは佐々木くんに話を聞くけど、周りの人間がいなくなっていくのを同じように味わって、それでも辞めずにやってきたのは彼もそうやもんね。
「逆に彼だけですからね。だからナベちゃんに対してもホントに駆け抜けろって思ってる(笑)。駆け抜けてる内はドキドキ出来るから。肝心なのは、レコーディングでもライブでもホントに1回1回止まるから、止まった後にもう1回走り始められるのか、その感覚が大事で。さっき言った解散とか脱退を経験しちゃったバンドたちは、俺たち以上に続けらんない理由があるのかもしれない。それを別に“何で続けないんだ?”って避難するつもりはないんですよ。ないんだけど、仮に辞めても止まっても、もう1回転がり出せるかどうかの方が大事だから、それさえ出来りゃ十分ロックンローラーでしょって話をしてるんですよ。俺たちがやってるのは多分それだと思ってる。1回1回最高の音楽を作ろうってやり切って、1回1回止まった後に何が出来るか、騙し騙しでもいいからやり続ける(笑)。高みを目指してやり続けてるって“思い込めるか”どうかが、スゴく大事なんです」
どんな街に行っても悩みながら踊るのがロックンローラーだとしたら
日本にはこのロックアルバムが絶対に必要だと思ってるから
じゃホントに全国に行こうじゃないかと(笑)
――今回のアルバムの裏テーマって“それでも”っていう感じがしてて。“それでも歌う”とか“それでも続ける”みたいな。そういう感じがスゴくしましたね。
「そうですね。だから反抗期だし思春期だし成長期なんだけど(笑)。あと、『月面のプール』がやれたのは結構デカかったかもしんないですね。“あ、俺ん中にまだこんな気持ちがあったんだ”って思ったりしたし(笑)」
――5年くらい前に書いた曲やもんね。今でも同じ気持ちで歌えるかみたいなところはあるもんね。
「しかももっと広がりを持った気持ちでアレンジしたし、歌えてる感じがあるので。メンバーが固まった後って、変化を求められがちだったんですね。事件を待ってるというか(笑)。1回曽根さん(サポートg)がTwitterか何かで、“今日は何時からa flood of circleです。ぜひ観に来てください”って、普段あんまり言わないことを言ったら、“今日で曽根さん…最後のライブなんじゃないか?”ってお客さんがザワついて(笑)。でもその気持ちは分かんなくもない。そこにドキドキしてる人たちもいると思ったんで。だからメンバーが固まったら固まったで、ちゃんとした見せ方をしたいなと思ったときに、スゴくシンプルに、デカい景色を見せてやることだと思ったんですよね。このアルバムをちゃんと聴かせて、ついてこさせたいですね、ホントに」
――ホンマにいいアルバムが出来たよね。レコーディングも楽しかったって言ってたし。
「レコーディングとか曲作りに向けてちゃんと時間があったのも初めてだったんで(笑)。そういう意味ではじっくり伝えるべきものを煮詰めて作れたし、どんな録り方をしても、もう芯があるから。絶対にここは離さないって自信があったから、自由に出来た。だから楽しかったんですよね」
――資料には各曲のエピソードもめっちゃ丁寧に書いてくれてておもしろいわ~。『All The Young Rock'N'Rollers』(M-4)とかはね、まさかの朝8時入りという(笑)。
「もう大変でしたね。ナベちゃんは朝眠た過ぎて最初は全然叩けてなかった(笑)」
――アハハハハ!(笑) 何でこんな早かったん?
「スケジュールがもうギリギリだった(笑)。『理由なき反抗』(M-12)のホーン隊を入れる時間帯が決まってて、それまでに絶対に終わらせなきゃダメだって。だから“早く録り終わって焼き鳥を食べながら飲もう!”って励まし合って録るという(笑)。そのときは正直、焼き鳥以外のモチベーションは特になかったです(笑)」
――アハハハハ!(笑) 俺、焼き鳥食べながら飲むっていう行為が、人にスゲェパワー与えてくれるんだってこれで気付かされたわ(笑)。
「アハハハハ!(笑) 超ヤル気出しましたよ。あと、『All The Young Rock'N'Rollers』はインストっぽい曲で、実際“レッツロール”しか言ってないんですけど(笑)、歌詞が山ほど入ってる『I'M FREE』とかと同じテンションで録れて。前まではインストって、バンドのカラーを押し出すとか、ブルースバンドだから入れるみたいな役割だけだったのが、ホントにギターと歌のモチベーションがフラットになってる。ほとんどの曲は自分で弾いてるんですけど、『The FutureIs Mine』とか『Diamond Rocks』のソロとかは、ホントに歌とか歌詞と同じぐらいのモチベーションで弾いてるし。だからギターも今までで一番気に入ってますね。ちょっとウマくなったなって自分でも思ってるんですけど(笑)。そういう楽器に対する考え方も、ホントに歌と、どう伝えるかっていうことにスゴく集中してるし…何かそういうことを初めてやれるようになりましたね。ツアーではそれが試される気がしてます。同じように伝えられるかどうかが」
――しかも初の全県ツアーでね。
「もう地獄のスケジュールが(笑)。10月から来年の4月までやりますから」
――長いねぇ。でも、全県ツアーってやっぱりバンドマンの夢というか。スケジュール的にはハードかもしれないけど、スゲェいいアルバムを作った後に、こういうやり甲斐のあるツアーがあるのはいいよね。
「大袈裟に言うと日本にはこのロックアルバムが絶対に必要だと思ってるから、じゃホントに全国に行こうじゃないかと(笑)。今まで行ったことがない街でお客さんとの新しい関係もまた見付かるような気がしてるし、俺が観に行く楽しみがあるっていうか。この間レーベルメイトである(笑)石川さゆりさんのコンサートを観に行かせてもらったんですけど、三陸沿岸部の民謡を元にした『浜唄』っていう曲があって。その民謡を唯一知ってるおじいちゃんが生き残ってるらしいんですけど、毎回節回しが違うらしいんですよ。じゃあちゃんと曲にして1つ残しましょうっていうのが『浜唄』らしいんですけど、MCでそういう地元にスゴい根付いてる歌を、私が全国で歌うことに意味があるんですみたいなことをおっしゃってて。超ブルースそれ! テイチク来てよかった!って思った(笑)。偉大過ぎる先輩ですけど、スゴいシンパシーを感じて。ホントに街ごとに過疎化だったり震災だったり、いろんな問題を抱えてるじゃないですか。どんな街に行っても悩みながら踊るのがロックンローラーだとしたら、俺たちはそれを踊らせる力を持ってるはずだから。全国どこに行っても恥ずかしくないアルバムを作ったはずなので、それが確かめられるいいチャンスだと思ってます。だから1回俺たちに気付いてしまったら、もうついてこいよって。もしついてきてくれたら、絶対にいい景色を見せるからって、約束しに行こうと思ってます」
――もう今の言葉が聞けたら、ツアーもスゴくいいモノになりそうだなぁ。
「メンバーが固まれば固まるほどより追い込める部分も増えると思うので、そこにはあんまり甘えたくないし、油断したくないと思ってるんですけどね。誰かが辞めちゃうとかそういう緊張感も今はないので(笑)、ホントにお客さんに対してのモチベーションとしての緊張感を持って、向かっていきたい感じですね!」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2013年10月18日更新)
Check
Release
全てのベクトルがフルドライブする
痛快ロックンロールアルバム!
Album
『I'M FREE』
発売中 2800円
Imperial Records
TECI-1371
※“着せ替えフリー”ジャケット仕様
<収録曲>
01. I'M FREE
02. Dancing Zombiez
03. ロックンロールバンド
04. All The Young Rock'N'Rollers
05. The Future Is Mine
06. オーロラソング
07. Blues Never Die(ブルースは二度死ぬ)
08. God Speed You Baby
09. Diamond Rocks
10. 月面のプール -Naked ver.-
11. Beer! Beer! Beer!
12. 理由なき反抗(The Rebel Age)
-Never Mind The Bollocks ver.-
過去最大のワンマンライブを収録した
初のライブ盤がTSUTAYA限定発売!
Live Album
『LIVE!!! for ALL THE YOUNG
ROCK'N'ROLLERS
-at Zepp DiverCity Tokyo 20130616-』
発売中 2100円
Imperial Records
TECI-31
※TSUTAYA限定販売
<収録曲>
01. Diver's High(VAVAVAVAVAVAVA)
02. 泥水のメロディー
03. Sweet Home Battle Field
04. 俺はお前の噛ませ犬じゃない
05. The Future Is Mine
06. Blood Red Shoes
07. シーガル
08. プシケ
09. FUCK FOREVER
10. Dancing Zombiez
11. ロックンロールバンド
12. 理由なき反抗(The Rebel Age)
Profile
ア・フラッド・オブ・サークル…写真左より、HISAYO(b)、佐々木亮介(vo&g)、渡邊一丘(ds)。’06年、東京にて結成。’07年には『FUJI ROCK FESTIVAL '07』の新人バンドの登竜門ステージ・ROOKIE A GO-Gに出演し反響を呼ぶ。’09年に1stアルバム『BUFFALO SOUL』でメジャーデビューしたのも束の間、ギタリストの失踪という不測の事態が発生。ゲストギタリストを招き緊急制作された2ndアルバム『PARADOX PARADE』をリリース。’10年には1stシングル『Human License』、3rdアルバム『ZOOMANITY』を発表するものの、年末にベースの石井康崇が脱退。同時期にHISAYOが加入し、現体制となる。’11年9月には先行シングルとして『I LOVE YOU』『Blood Red Shoes』を2枚同時発売。’11月に4thアルバム『LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL』を発表。昨年は『FUJI ROCK FESTIVAL '12』のWHITE STAGEでも堂々のステージを見せ、12月5日にはレーベル移籍第一弾となるミニアルバム『FUCK FOREVER』をリリースした。
a flood of circle オフィシャルサイト
http://www.afloodofcircle.com/
Live
'13年10月~'14年4月と7ヵ月に及ぶ
初の全県ツアーが開催中!
『Tour I'M FREE “AFOCの47都道府県制覇!
形ないものを爆破しにいくツアー/
迷わず行けよ編”』
【大阪公演】
チケット発売中 Pコード205-328
▼10月19日(土)19:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング3150円
[ゲスト]0.8秒と衝撃。
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。
【京都公演】
チケット発売中 Pコード205-331
▼12月4日(水)18:30
磔磔
オールスタンディング3150円
[ゲスト]THE NOVEMBERS
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。
【兵庫公演】
チケット発売中 Pコード205-331
▼12月5日(木)19:00
神戸 太陽と虎
オールスタンディング3150円
[ゲスト]MO'SOME TONEBENDER
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。
【奈良公演】
Thank you, Sold Out!!
▼12月8日(日) 18:00
NEVERLAND
オールスタンディング3150円
[ゲスト]グッドモーニングアメリカ/
SCOOBIE DO
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。
チケットの購入はコチラ!
2014年はワンマンシリーズ!
『Tour I'M FREE “AFOCの47都道府県制覇!
形ないものを爆破しにいくツアー/
行けばわかるさ編”』
【滋賀公演】
一般発売12月1日(日)
▼2014年1月23日(木)19:00
LIVE BAR CROSS ROAD
オールスタンディング3150円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。
【和歌山公演】
一般発売12月1日(日)
▼2014年1月26日(日)18:00
OLD TIME
オールスタンディング3150円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。
【大阪公演】
一般発売12月1日(日)
▼2014年3月29日(土)19:00
BIGCAT
オールスタンディング3150円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。
Column1
激動の現代社会に愛を込めて
『FUCK FOREVER』!!
“LOVE”と表裏一体の“FUCK”
を言葉の弾丸に込めてぶっ放す
インタビュー&動画コメント
Column2
愛とロックンロールを手に
メンバーの脱退&加入を乗り越え
ぶっ放した『LOVE IS LIKE A
ROCK'N'ROLL』制作秘話