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悔しさを乗り越えて――
シンガーとしての意識、ソングライターとしての自覚
再生の2ndアルバム『好きで悩んでるわけじゃない』
山根万理奈の本質を語るインタビュー&動画コメント

 赤裸々、にもいろいろな表現があって、現在のシーンにおいては特に、ちょいと刺激的な言葉をグッドメロディに含ませて飲ませてしまう確信犯的な楽しさも、身も蓋もないこと衝動的に言い切る刹那の面白さもある。だが、山根万理奈のそれは、一見普通の、しかもどっちかって言うとマジメな女の娘の精一杯の本音。これは裏を返せば、日常を描いたとしても大衆のそれとはやはりどこか異なる、アーティストとしての日々に根付いた目線(それはそれで書き手のリアルな人生だから当然なのだが)とは違って、かつてないほどに聴き手の視野に近い。そう、彼女の2ndアルバム『好きで悩んでるわけじゃない』は、“普通であること”の葛藤と幸福と悔しさとささやかなドキドキが、これ以上ないほどてらいのない言葉で綴られているのだ。YouTube上での弾き語りカバーが一躍話題となり、’11年にセンセーショナルなデビューを果たした彼女も、昨年メジャーとの契約を終了。再びインディーズで活動する中で生まれた今作は、まさに山根万理奈の第二のスタート地点とも言える。シーンに翻弄される中で、もがきながら見付けた一筋の光は、彼女にどんな未来を見せたのだろう? 揺れ動く感情を1つ1つ話してくれた彼女は、どこにでもいる女性であり、どこにもいないシンガーソングライターなのかもしれない。

パツキンもイイネ~山根万理奈からの動画コメント!

――メジャーデビューに伴い上京もして、1stアルバム『空な色』のリリース及びそのツアーと、昨年はライブもしっかりと数をやった1年だったと思うんですけど、音楽の楽しさも、厳しさも知り、いろいろと吸収するモノもあったんじゃないですか?
 
「もうホントその通りっていう感じですけど(笑)、それこそ遡ればデビューのきっかけはYouTubeで、あの頃は全然ライブなんかしてなかったのに、デビューして東京に出てきていきなり年間100本とかライブをするようになって。去年はちゃんと挑戦出来た1年だったし、曲作りも意識して積極的にやるようになって。今までは“浮かんできたら作ろう”ぐらいのホントにマイペースな感じだったんですけど、ライブを通して出会う方々から“新しい曲も聴きたい”とか、“こういう感じの曲が聴きたい”って言ってもらえることが嬉しくて、それに応えたい気持ちもやっぱり生まれてくるし。“歌ってハッピー”っていう根っこのところはもちろん変わらないんですけど、ハッピーになるためのいろんな悩みだったり、葛藤だったり、自分がどうありたいか、どうしていったらいいかを考える、密度の濃い時間が多くなってきた感じですね」
 
――今目の前にある、やらなければいけないことをやるだけじゃなくて、じゃあなぜそれをやるのか?みたいなところまで考えられる余裕が出来てきたんでしょうね。
 
「そう思うと、ちゃんと進んでこれたんだなぁと思いますけど。自分1人で考えてると、あんなこともこんなこともまるで新しく出てきた問題のように感じてしまうんですけど、やっぱりずっとあったことなんですね。そこにちゃんと向き合えるようになったし、気付けるようになった。この1年半はホントに新しい出会いも多かったですし、たくさんミュージシャンの先輩方と出会って、仲間と出会って。刺激も多いし、勉強になりましたね」
 
――悩みと葛藤って具体的にどういうことだったんですかね? それこそね、引きこもり気味な1年でもあったみたいですけど(笑)。
 
「アハハ!(笑) 引きこもってたのは、やっぱりその“やらなきゃいけない”意識が強くて、例えば私は結構詞先で曲を作るんですけど、そういうことに向き合わずに外に出てしまうのが怖かったんですよね。でも結局、向き合う時間はあっても何も生まれてこなかったり、そうなるとまた焦っちゃって…。ちょっと負の連鎖になっていたときもやっぱりありましたし、考える時間がないぐらいライブに没頭した時期もありましたし。そういう意味でも、ミュージシャンって、音楽をやるってこういうことなんだなっていう経験が出来たのは本当によかったです。けどその中で、産みの苦しみはやっぱりありましたね」
 
――今までは歌うのが好きで音楽は楽しいってところでやれてきたけど、それだけではなくなって。
 
「いつかこういうときがくることは何となく分かってたし、カバーも楽曲提供もオリジナルもいろんなことがやりたいのはあったけど、それを思う段階といざそうなったときって、やっぱり全然違う。それは私に限ったことじゃないとは思うんですけど、今まさにそういう状況だなぁって感じですね」
 
――知り合いのシンガーソングライターも、家にこもって“歌詞出てこーい!”とかよくTwitterでつぶやいてて(笑)。俺は実際に詞を書いてる人間じゃないから分からないんだけど、家でじっとしていて言葉って出てくるのかなって思ったり。人に会ったり、人のライブを観て楽しいとか悔しいとか、今言われたことに対してムカつくとか、感動するとか…外に出た方が、要は自分に刺激を与えられる場所に行った方が、そういうのって出てきそうな気がして。
 
「それにようやく気付き始めた感じですよね(笑)。だからもっと積極的に出て行こうと思いますし、特にミュージシャン方には自分からグイグイ行きたいし(笑)。何かそういうところも、案外自分は苦手だったっていう発見が」
 
――人見知りの自覚があるわけではなかったんや。
 
「人見知りだけど社交的、って自分で銘打ってたんですよ(笑)。だけど案外、社交性もどうなんだ?っていう疑問が生まれてきて(笑)。それって自分が社交的なんじゃなくて、結局相手が合わせてくれていただけだったんだなぁって気付けて、どれだけ自分は子供だったんだって。今はホントに気付きが多くて。楽曲と向き合う=自分と向き合うことだと思うので、自分の中の本質みたいなところとずっと向き合ってる感じですよね。だから、ホントに外に出ないと負のスパイラルが生まれちゃいますから、いろんな話を聞いた方がいいんだなと」
 
 
ホントに裸になってるみたい
 
 
――山根さんはこれまでスゴく順風満帆なイメージもありました。
 
「そうですね。そう見えてたでしょうし、周りも」
 
――でもそうはいかないことも分かってしまったこの1年だったわけで。それこそ、今回のアルバムはメジャーからのリリースではなくて。
 
「去年のツアーの東京公演でまずみんなには伝えたんですけど、世に言う契約が切れたというやつで。ふとしたとき、(そのことを)言わない方がいいんじゃないかって思うこともあったんですけど、それを後々言うことになったときに、何でそのとき言ってくれなかったんだろう?っていう声も絶対上がると思うし、私の今ってネットから始まったのもあるので、お客さんと近い距離で活動していきたいとずっと思ってたんで。だからこそ思うんですけど、ここで絶対にガッカリさせたくないというか、今まで通りライブもしてるし曲も作ってるし自分からブログとかでも発信してるし、環境が変わっても出来ることはたくさんある。今はホントに新しいスタートでもあるし、やってきたことは絶対にゼロにはならないじゃないですか。そういう意味でも、今回のアルバムは改めて全曲オリジナルでやろうっていうのもあったので。そういう想いも届けばいいなとは思いますね」
 
――YouTube上での弾き語りカバーからキャリアが始まって、前作は自分自身のアルバムではあるけれど楽曲提供を受けていて。そのときのインタビューではシンガーである意識が強いと言っていたけど、今回は全曲オリジナルとなると、やっぱりそれだけではないわけじゃないですか。ここでの変化、気持ちの動きはどうだったのかなと。
 
「やっぱり応援してくれてるみんなが何を求めてるんだろう?っていうところですね。私から生まれる言葉で曲が聴きたいっていう声があるってことは、自分の音楽をやるべきだと思って。それこそシンガーであるということは自分のこだわりでもあるし、曲を作っても歌うことには変わりはない。その上でみんなの声にちゃんと応えられたらなって、やっぱり勝負したくなりましたよね。あと、今回のアルバムって、今までライブで歌ってきてる曲がほとんどなんですよ。ライブで“この曲の音源はないんですか?”とちょくちょく聞かれてたんで、これだけ歌ってて音源がないってどういうことよ!?みたいな(笑)。そういうのもあったんで、ちゃんと伝えないとって」
 
――言わばシンガーである自分に、ソングライターである自分が曲を提供するわけじゃないですか。じゃあやっぱりシンガーが歌ったときに一番いい曲を渡したいですもんね。結局、全部自分でやってるんだけど(笑)。
 
「今回はもうホントに、スゴく私の歌だなぁっていう(笑)。今回のアルバムは特に、ほとんどが実体験なんですよ。だから、リアルに感じてきたことを出すは恥ずかしいですね。ホントに裸になってるみたい。そんなに自分のことを話すのが得意じゃないんだなっていうのも最近の気付きで。こういう仕事をしてるクセにって思うんですけど(笑)。言葉にするのはホント下手だけど、そこを出せるのがやっぱり歌だったりして」
 
――これって山根さんが歌ってなかったら、“ただ不器用な女の娘”で終わってるかも知れない話が(笑)、歌になることで“私もそうなんだよね”とか“分かる分かる!”とか、みんなのモノになっていくのが音楽のオモシロさというか。山根さんもさっき言ってましたけど、僕もコレを聴いたときに、ようやく素の自分=山根万理奈なアルバムになったなぁと思いました。聴く人も山根万理奈がどんな人間かが分かる、分かってしまうだろうなって。それが今回の大きな変化だと思うし、ビジュアル的にも変わりましたよね、金髪に(笑)。
 
「そうなんです(笑)。ずっとしたかったんですよ。今回のリリースとかもあったんですけど、結局そんなこと言ってたらいつまで経ってもやるタイミングなんかないぞって(笑)。今は中高生でもないから校則があるわけでもなく、職場で厳しい規定があるとかでもなく、いつでも出来る環境なのに自分で先延ばしにしてるんだなぁと思って。ビジュアルを変えればいいってモンじゃないんですけど、でも何事もそうだから思い切りました。あと、やっぱり何となく大人しかったり真面目な印象に見られがちで。あながちそうじゃないとも言い切れないですけど(笑)。変化も分かりやすく伝わるので」
 
――その動機で金髪にするっていうのにも、スゴく人が出てるなぁ(笑)。ジャケット撮影のときはしなかったのね。
 
「実はしたかったんですよ。髪も短くしたかった。けど、行きつけの美容室が休みだったんです(笑)」
 
――アハハハ!(笑) そんな大事なときに(笑)。
 
「結構そんな理由なんですよ(笑)。けど結果オーライで、ジャケットも何だか“私だな”っていう顔をしてる。でも今と顔が変わってますね(笑)。髪型とかもあると思うんですけど、女の人はメイクで変わりますからねぇ。何かね、もがいてます(笑)」
 
――いいんじゃないですか(笑)、そのもがきが。去年1年は言わば修業ですよね。やっぱり2Dの世界から始まって、人前でやるということとはやっぱり違うし、結局は人力が問われるというか。過程ですよね。
 
 
今でも全然崖っぷちですよ、崖っぷちですけど
悩みながらもここまで来ましたよって
 
 
――今作は自分で曲を書くことと、今までライブでやってきた曲を入れるというのが2つのテーマとしてまずあって、中身自体はどんなモノにしたいというのはあったんですか?
 
「タイトルの『好きで悩んでるわけじゃない』って、もうイヤなぐらい私だなって思うんですけど、今までに書いた曲のほとんどって、ホントに自分の中で生まれた、自由に書いてきた言葉で。そういう今までの歌を聴いてみると、何か解決してないモノが多いんですよ。それがタイトルともつながるんですけど、収録された曲たちを書いたそれぞれの時期も同じように悩んで、歌にして。それこそ『星の見える晴れた夜に』(M-9)は、高校のときに歌手の道を諦めようって決心したときの曲なんです。自分の今までの物語、そのときそのときの悩みが詰まってる。今でも全然崖っぷちですよ、崖っぷちですけど、悩みながらもここまで来ましたよっていうのが、これらの曲を入れることによって提示出来るし。当たり前ですけど好きで悩んでるわけじゃない。その先にある何かのために悩んでて。みんなそうじゃない?っていうのを一緒に会話したかったんです」
 
――今回のアルバムがスゴく山根万理奈自身だなぁって思うのって、歌もそうなんですけどやっぱり言葉だと思うんですよね。言葉がその人を表すというか。やっぱり『あなたに』(M-2)とか『おやすみnight』(M-10)って、山根さんの歌ですよね。それはなぜかと言うと、歌いたいとか歌が届けばっていうフレーズは、OLでもないし、カメラマンでもないし、銀行員でもないし、やっぱり歌を生業にしてる山根さん自身じゃないですか。もしかしたら“歌えば”っていう言葉がない方が共感出来るかもしれないけど、その言葉が入ってることによって山根さん自身の歌になる。恋愛の初期衝動的な『あたしの気持ち』(M-8)の、“異常なほどに見つめてしまう”の言い回しも歌詞らしくないのかもしれないけど、スゴく人が出てるなって思うし。
 
「全般に言えることなんですけど、『あたしの気持ち』とかで特に思うのは、結局変わってないんですよね。悩んで悩んで進んできてるはずなのに、螺旋状に何か近いところにいるんだなぁって(笑)。だからこそ、私だなっていう言葉はもちろんたくさんあるし、それがまた難しくもあり、オモシロいなぁと思うんですけど」
 
――いい意味でちゃんとオーソドックスな悩みというか。恋愛に関してぶっ飛んだ人ではないというか。
 
「そうなんですよね。スッゴい普通って言われても何かイヤだけど(笑)」
 
――余計なお世話ですけど、幸せになって欲しいなぁ(笑)。
 
「アハハハハ!(笑) 最終的に幸せになるのは私ですって思ってやってます(笑)」
 
――今回はここまでの曲数を書き下ろすこと自体、作業的にも今まで以上に大変だったと思いますけど。
 
「曲って分かんないですね、ホントに。理論とかを学んだわけじゃないんで、曲の組み立て方が正直分かんなくて。好き勝手やってもいいかもしれないし、ちゃんとしたい自分もいるし、そこはちゃんと悩みながらも折り合いをつけてやっていくべきだとは思うんですけど。それこそ、この言葉じゃ個人的過ぎるなぁっていうことと、だけどこの言葉じゃないと私じゃない気がするっていうことが、新しく書いていく上でスゴいあったし。でも、悩みながらもちゃんと、コレで良いと自分で決められた曲たちだったんですよね。そういう意味でも、ホントに純粋に作れた曲だと思うので。私はちゃんと自分の曲が好きって言えますね。ちゃんと愛してます」
 
 
この“生きててよかった”をもっと大きくしたい
 
 
――シングルとして先行リリースされた『努力の歌プランA』(M-1)『努力の歌プランB』(M-6)は、NHK Eテレの番組『青春リアル』とのコラボレーションから始まった曲で。
 
「これは番組のスタッフの方がライブを観に来てくださっていて、ちょうどその頃番組内で、増田有華さんとリスナーの皆さんで“努力の意味”について詞を作ってたらしいんですよ。元々曲になるプロジェクトじゃなかったとは思うんですけど、やっぱり楽曲として完成させたいという想いがみんなの中で生まれてきたみたいで。そのタイミングで私と出会って、“曲を付けませんか”って。初めて詞を見たとき、その内容がもうホントに“好きで悩んでるわけわけじゃない”んですよ(笑)。これはもう自分のことだと思って、是非って。みんなを代表して増田さんと“この詞を書いた状況はこうで…”とか綿密に意見交換をして、イメージを膨らませて。プレッシャーはありましたね、いろんな人の想いが詰まっていて。自分だけで作るときは全部自分に返ってきますけど、今度はみんなに関わってくる」
 
――山根万理奈であることももちろん大事なんですけど、この曲はそれだけじゃないですもんね。
 
「そうなんですよね。後々“そこの詞は私が書きました”っていう方がライブに来てくださったりと出会いもあって。いい経験になったというか自分もこの詞と出会えて、携われてよかったとホントに思いましたね」
 
――あと、今回のアルバムの最後には、YouTube時代から音源化を望まれる声が多かった『君を好きになったんだろう』(M-11)が入っています。この曲は自分にとってどんな曲です?
 
「基本曲作りに時間が掛かっちゃうタイプなんですけど、ホントにサーッ!と出来た曲なんですよ。だから、ホントに真っ裸な感じ。私にとっての私の曲ですね。“(当時)”って付けたいところですけど(笑)、ホントにありのままの曲。だからヘンなところもたくさんあるんですけど、そうだなぁ…私にとって“好きになる”っていうのはこういうことだっていう提示だったりする」
 
――でも、この歌詞のシチュエーションを見たら、やっぱり“ろくでなしの男と都合のいい女”って思っちゃう。でも、そんなことはもちろん分かった上で、それでも人を好きになるってそういうことだっていう。
 
「そういう意味でポロッちゃった感じです(笑)」
 
――でも、いろんな経験を経てこの曲にたどり着いたんじゃくて、もう山根万理奈のはじまりのときからこの曲はあったわけですよね。そう考えたら、楽しい思いもしんどい思いもして、悩んで…当時たまたま出来た1曲から、山根万理奈の表現として11分の1曲になれるところまで、自分がようやく成長出来たのかもしれないですね。
 
「ホントにそうです。最初にYouTubeに公開したときなんて、好きになったんですけど同時にさようならの気持ちでアップしたんですよ。なのにみんなから反応があって、いつまでこの曲は私につきまとってくるんだろう?ぐらいの気持ちがホントに最初はあって。だけどライブをしていく内に、この曲への反応はやっぱりスゴいあったし、それはポロッたからこそなんだろうし、だから私が歌わなきゃいけないし…」
 
――みんな最初から何となく気付いてたんでしょうね。山根さん自身の歌が聴きたくて、この曲にはそれがある。
 
「そうなんですよね。そういうことに今やっと気付けてる時期で。この曲がこのアルバムに入る事実自体が、皆さんありがとうですよね、ホントに」
 
――このアルバムが出来上がったときはどう思いました?
 
「やったー!とは思ったんですけど、今まで以上に厳しいことも言われると思うんですよ。髪を染めたときもそうなんですけど、思ってる以上に刺激は強いと思うんで(笑)。けど、ちゃんと自分は今悩んでる途中で、ちゃんと先を見てやっていくんでよろしく!って。何を言われても私はやっていきますよっていう気持ちで、これを届けたいです」
 
――ライブに関しても、去年は全国津々浦々いろんなところに行って。それこそお客さんが入らないときもあり、来てくれる喜びを感じることもあり。ライブ自体もドンドン自分の中で変わっていってるんじゃないですか。
 
「変わっていきますね。どうしてもライブがあると“来てね!”って言っちゃうんですけど…会いに行ってるんだな、私。私がみんなに会いたいって思ってる。それってスゴく私だなって思うし、何か…会いに行きたいです、歌が歌いたいです。ホントに2回、3回と行くところって、“おかえり”って言ってもらえたり、“ただいま”って自分が言いたくなる場所なんです。何かホントに不思議な感覚ですよね。これが音楽をやる上での旅人の醍醐味なのかなぁとも思うんですけど。なかなかこんな素敵な気持ちは経験出来ないと思います、本当に。まさかそんな想いが生まれるなんて、最初は思ってなかったんですよ。今はちゃんと自分を待っててくれてる人がいるし、会いたい人が増えていくのが嬉しい。こういうときに“あぁ、生きててよかった”って思う。この“生きててよかった”をもっと大きくしたいし、私が会いたい人にも同じように会いたいって思ってもらえるようになっていかないとって」
 
――“私が会いに行きたい”っていう言葉は、お客さんもホントに嬉しいだろうなぁ。
 
「でもだからこそ、いろんな大人の事情で会えなかったりするのが悔しいですね。焦る気持ちも出ちゃうんですけど、地に足付けて、今廻れるところにちゃんと、ちゃんと、ちゃんと、伝わるように行かないとなぁって思います」
 
――多分、山根さんはこれ以降のライブでだいぶ変わると思うんですよね。1年後とかどうなってるんだろう? この先も楽しみにしてますよ。本日はありがとうございました!
 
「ありがとうございました!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 



(2013年7月23日更新)


Check

Release

儚くも優しい歌声が綴る11の本音
再出発の2ndアルバム!

Album
『好きで悩んでるわけじゃない』
発売中 3150円
バーガーインレコード
BUCA-1035

<収録曲>
01. 努力の歌プランA
02. あなたに
03. へなへなん
04. かくれんぼ
05. 君へのなみだ
06. 努力の歌プランB
07. 冬の歌
08. あたしの気持ち
09. 星の見える晴れた夜に
10. おやすみnight
11. 君を好きになったんだろう

Profile

やまね・まりな…’89年7月17日生まれ、22歳。島根県松江市出身。子供の頃から歌手に憧れ、高校時代に友人と女性デュオを結成。オリジナル曲を作り始め、レコーディング、路上ライブなどを行う。大学に進学後、’09年の春にYouTubeにて自身のチャンネルを開設。時々で好きな歌をカバーし、動画を立て続けにアップ。“顔を出さずにギターを弾いて歌う謎の女の娘”はすぐさま話題となり、チャンネル登録者が急増。現在アップされている楽曲は、オリジナルとカバーを合わせて70曲以上、総再生回数は530万回を超え、今なお増え続けている。’11年6月には、ニコニコ動画内で人気のボーカロイド曲=神曲8曲をカバーしたミニアルバム『人のオンガクを笑うな!』を山音まー名義でリリースしCDデビュー。翌7月にはシングル『ジャンヌダルク』でメジャーデビューを果たした。’12年4月には1stアルバム『空な色』を発表。今年1月にはNHK Eテレ『青春リアル』とのコラボレーションで生まれたシングル『努力の歌プランA / 努力の歌プランB』を、5月29日には2ndアルバム『好きで悩んでるわけじゃない』をリリースした。

山根万理奈 オフィシャルサイト
http://yamanemarina.com/


Live

今年もツアーファイナルは大阪!
旅の最後を飾る忘れられない一夜

『万理奈の悩みはやまねぇ!ツアー』
チケット発売中 Pコード192-682
▼7月27日(土)17:30
心斎橋JANUS
全自由3800円
夢番地■06(6341)3525
※未就学児童は入場不可。小学生は保護者同伴に限る。

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Column

YouTube発の話題のシンガー
山根万理奈が音楽人生の
第一章を語る。1stアルバム
『空な色』インタビュー