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“泣きながら踊れる夜はあるかい?”
金田康平が生と死と家族とバンドと闘争を語る
THEラブ人間の新章突入を告げる2ndアルバム『SONGS』
確変の1年間に迫るインタビュー&動画コメント

 “カレンダーをめくり終え、僕たちは新しい季節を迎えました。ドラマの最終話のように少し大人びた表情をしているかもしれません。いつもの帰り道で拾ったのは雨に打たれ、びしょ濡れた「死」。秒針が指し示したのは、今となってはもう長くはない「残り時間」でした。いつか体は冷たくなって、心臓はそっと停止します。ぼくたちは停止するまでの心臓音で果てるまで踊ります。THEラブ人間は「生きること」を歌うことに決めました”。金田康平は、2ndアルバム『SONGS』を発表するにあたってこう綴った。そう、『SONGS』はこの1年に巻き起こった金田の人生の岐路が確変させた愛と死生観、バンドとしての覚悟が埋め込まれた、濃厚にしてクールな作品だ。そしてそこには同時に、リミッターを取っ払った表現者としての意地と新たな季節が、一言一句これしかないという言葉が、血文字で刻まれたような熱さと生命力で描かれている。そこで、『SONGS』を携えた旅もクライマックスを迎えているTHEラブ人間・金田康平に、ソングライターとして、バンドマンとして、そして1人の人間として、初期衝動を全てぶち込んだ1stアルバム『恋に似ている』から『SONGS』にたどりつくまでの揺れ動く感情と変化をインタビュー。眠る前に読む小説のように、“泣きながら踊れる夜”を迎えるその前に、このテキストを読み解いて欲しい。

金田康平からのリラックス動画コメントはコチラ!

――音を聴いてまず第2期到来だと明確に分かる作品で。俺は率直に1stの『恋に似ている』より今回の『SONGS』の方が好きですね。
 
「あ、それが一番嬉しいです。もう一聴して好き嫌いで判断しないとよくないから。俺なんか最近ね、ホントに何の前情報もなしで、“はい、コレどっちがいい? 悪い?”じゃないと、モノの判断基準が複雑化し過ぎちゃって」
 
――あと、理由を探していいと思うんじゃなくて、素直にそう言えてよかったなっていうのもあって。やっぱ前作の『恋に似ている』は、“これぞTHEラブ人間”っていう、それこそ今までやって来たモノを全てぶち込んで、お客さん、オーディエンスの想いも満たすことも含めてやったことだし、やっぱりバンドって1stがいいと言われるように、常にそのフレッシュさとの戦いでもあるから。ちゃんとそれを乗り越えられたのはよかったなぁと。
 
「コレって俺の予想ではあるんですけど、1stが名盤と呼ばれるバンドって、そもそも1stを出すまでの期間が見えないバンドだと思ってるんですよ。要は80~90年代ぐらいのバンドって、インディーズ時代っていう言葉があまりないというか。だから1stの段階でも、オーディエンスに寄り添った作品じゃなくて、もっと作品性が高かったんだと思っていて。ちゃんとコンセプト・アルバムとしての1stを作ってるものが名盤と呼ばれると思うし、俺らの場合は1stアルバムにコンセプトがなかったから。今回がきちんとコンセプトを立てた1枚目なんで、ある種これが1stアルバム的なノリはあるんですよ。あとは俺ね、今回のアルバムってスゴいバンド力が高いと思ってるんです。何でかって言うと、『恋に似ている』は要はシンガーソングライター・金田康平のフォークロックアルバムだったと思うんですけど、結成からの3年間を経て、もう自分たちでも自信があるぐらいのライブバンドにはなったんですね。その状態で2nd作ろうって家で俺が曲を書いてるとき、やっぱりバンドの音が鳴るんですよ。アコギをジャカジャカ鳴らすときにはもう、後ろでドラムが鳴ってる。最初からバンドありきで歌おうと思って曲を書いてるし、『恋に似ている』はシンガーソングライターとしての俺のラストアルバムで、『SONGS』はラブ人間っていうバンドの歌手の金田の1stなんだなぁっていうのは、曲を書いてる段階でジワッときてた」
 
――それこそ組んだ当初は成り行きだ、バックバンドだ、ぐらいの感じだったのに、今は明確に違うわけやね。
 
「そうなんですよ。多分曲を書いたり歌ったりする力を引き出せるモノとして、もう自分の中でバンドが必要になってるのかなぁっていうのは思ってますね。だから逆にバンドの音が鳴らなかった曲って、やっぱりアレンジまで、メンバーに聴かせるところまで正直いかなかったんですよ」
 
――年末のカウントダウンで1日7ヵ所でライブをやった後の金田くんの元旦のブログに、2012年はメンバーついて見直すことが多くあって、やっぱり違和感も差異も感じたけど、2013年を戦うためにもそれを確認すべきだったみたいなくだりがあって。コレはスゴく興味深いなぁと。当時はまだメンタル面では絶対的な確信がなかったのかなと。
 
「俺はね、相当面倒くさいから(笑)。自分の大切な曲をやるからにはっていうのは常々思ってるから、バンドの音は鳴ってるけど、信用出来る価値までその曲を引き上げてくれよってところですね。年末のアレはね、当時“スッゲェいいアルバム出来たね!”みたいにはなってたんだけど、“売れるかなぁ…売れないかなぁ…”みたいなことを誰かがポロッと言ったから、アホか!って。俺は正直、どっちでもいいわって思うんですよ。出来た段階で売れる売れないよりも、ちゃんと出来たか出来ないかを言葉にする方がふさわしいから。もう1回ステージの上で叩き直し合おうやっていう感じだったんです(笑)」
 
――でもそう考えたらいい関係で、馴れ合いではないという。いい作品を作っても、そうやってちゃんと自分たちを顧みるポイントがやってくると。
 
「そうですね。不思議と多いですね、そういう自分たちを振り返ってもう1回ケツを叩かれる瞬間っていうかが。3月の大阪でやったライブ(『THEラブ人間決起集会「セ・ラ・ヴィ!」』)とかもまさにそうですよ。ライブ中にも多分言ったけど、“この感覚を忘れてなくてよかった”って。アレ、結構マジで言ってるから」
 
――自分の作った作品にケツ叩かれて、それを支持してくれるオーディエンスにケツ叩かれて。もうやるしかねぇだろうっていう(笑)。
 
「そうそう(笑)。やるしかないっていう。待ってんじゃんってね」
 
 
誰もやってくれない、自分の人生だから
 
 
――今回はリリース時にオフィシャルHPでも明言していたように、祖父の死が曲作りの起点にはあって、もしそれがなかったら全然別の歌を書いていたかもしれないと。
 
「もう全然別のことを歌ってたと思いますね。楽曲制作って何なんだろうなって思うと、そのときのその時期に金田康平に何があったかっていうことだけで、歌えることなんていくら背伸びしたってそれぐらいなわけで。アルバムが完成したときにはもう亡くなってましたけど、ホントにあの期間がなかったら、自分はそのとき何を歌ってたのか」
 
――結果、今までの価値観とか生き方を改めるというか、考えさせられる時間だったわけやね。
 
「何かこのまんまの調子でやってると、コレは後悔するぞっていうか。俺のやってること全てが中途半端なモノに見えたんですよ。それは1stもだし、ライブもだし、友達への一言もだし、インタビューもだし、写真撮影もだし、PVもだし。でも、全部が全部“まだやれるの?”って自分に聞くと、“まだやれるよ”って返してくれてるような気がしたんです。だからそれにはもう自分が応えないと。誰もやってくれない、自分の人生だから。改めて振り返りましたね、いろいろ」
 
――しかもそれをやってるか、やってないか、やれてないかって、自分で分かっちゃうもんね。
 
「しかも自分にしか分からないんですよね」
 
――そういう意味では俺ね、今回は金田くんのじいちゃんが、最後の最後にスゲェデッカい置き土産をしていったなぁと思って。プレゼント、と言っていいか分からないけど。
 
「いや、ホントそうですよ。『体は冷たく、心臓は燃えている』(M-10)の“好きなようにやれよ?」 好きなようにやっていくよ”っていうフレーズは亡くなった後に付け加えた歌詞なんですけど、そこは俺が言われた置き手紙みたいなところもあって。じいちゃんが亡くなって…もう絶対死んでるんですよ。体も冷たくなってきてるんですけど、やっぱね、言ってるんですよ。言ってるのが聞こえた。だから俺も言い返した。要は俺にとって、もうこれ以上歩けないところまで、1つ1つやっていくこと以外になかったんですよね。“好きなようにやれよ”って気楽に行けよっていう風にも取れる。でも、俺はそこで適当に生きることはやっぱり出来なかったんですよ。だからって祖父が死ぬほど真面目で、めちゃめちゃ頑張り屋さんでって言ったら全然違うんですよ。ホントに酒好き、煙草好き、釣り好き(笑)。おばあちゃんに何か言われたら“うるせぇー!”って言い返すような、結構破天荒な人だったんですけど、そういう人に好きなようにやれよって言われるとね、肉親だからこそ愛を込めて“おじいちゃんみたいにならないようにするね”って(笑)。俺はこれから本気でやるわっていう感じになったんですけどね、やっぱり」
 
――金田くんは一緒に住んでるとか、住んでる場所が当時から近かったのもあるかもしれないけど、例えば俺が高校生の頃にじいちゃんとかばあちゃんが死んだときって、ある種リアリティがなかったというか。年に1~2回しか会わなかったっていうのもあるけど、金田くんにとってはやっぱりそれとはちょっと違う関係というか。
 
「俺の場合は、父母、兄、祖父母っていうのは同列で。例えば実家には父方の祖父と祖母も住んでて、そういう場合って母方のおじいちゃんおばあちゃんとはあんまり会うことがない人も多いけど、うちは隣の駅に住んでんで(笑)。お袋とオヤジが中学の同級生なんですよ。それで結婚してるから。だから、休みの日にも友達と会うっていうより、“ばあちゃん家行って来るわ”っていう感じ。もうね、お金もないしボロボロですけど、いい家族関係なんですよね、うちって。よく言われる」
 
――前回の取材でコーヒー飲みながら金田くんと話したときも思ったもん。いい家庭で育ったんだろうなって。やっぱりそういうのって人となりに出る。ちゃんとした人に、ちゃんと育てられたというか。コイツは本当の悪じゃないみたいな(笑)。
 
「“悪党になれたらいいのにな”っていうね(笑)。いやぁ、その通りですね。だから同列なんですよね。もはやその休みの日に会いにいく感じが、ちょっとした親友みたいなところがあるというか。俺ん中ではそうだったんですよ」
 
――そう考えたらやっぱり、こういうアルバムになるのは必然やね。でも、前のインタビューで、バンドがいいライブが出来なくて『COWNTDOWN JAPAN 11/12』の前に話し合って…みたいな話もしてたけど、その過酷な状況のときと、じいいちゃんのガンが再発したのが分かったのがまさに同時期だったって今回分かって、ビックリして。
 
「最悪なライブをした日と、『COWNTDOWN JAPAN 11/12』のちょうど間の日ですね。だから『COWNTDOWN JAPAN 11/12』のときに喋ったことは忘れられないですね。“会いたい人には会える内に会いにいこう、言いたいことは言いたい内に言おう”って。それはもうじいちゃんが倒れたときに自分が思ったことを、あんなたくさんの人の前で言わせてもらった感じなんです」
 
 
確かに溢れ出ちゃってた言葉たちがあった
でも俺が死ぬほど悩めば、それを1つ1つ歌詞にぶっ込める
やっぱり歌で伝え切れない部分があるから喋ってたと思うんですよ
 
 
――今回は曲を書いていて自分の中でも変化を感じた?
 
「いや、正直、粗方のフォーマットは変わんない。相変わらずアコギ1本で書いて。でも1つだけ全然違うことがあって、今までは1回書いた歌詞は絶対に書き直さない主義だったんですよ。これはバンドを始めて13年間の自分のルール。絶対にこれだけは破らなかったんだけど、今回はもうこれ以上の言葉はないっていうところまで突き詰める作業が絶対に必要だったんですよ。1行1行、ホントにこれか? ひらがなか? 自分がホントにこのときこう喋ったか? 語尾ってこれだったか? とか…とにかく全部書き直しましたね。練るというよりも壊しまくりました。作ったモノを1回全部否定するというか、曲を作る段階から納得するところまでやりましたね。もちろん、これは仕事だから〆切もあるし時間の制限があって。それが全部分かった上でも、俺は最後までやるって決めてました」
 
――あと、ライブでも言葉で多くを言わなくなったというか。金田くんのMCは、ある種天性のアジテーターならではの言葉だったと思うし、だからこそそれを封印するのは最初はもったいない気もしたし。ある意味度胸がいる選択だなぁとも思ったけど、言葉をより曲に落とし込むっていう。
 
「これもやっぱり、去年の『恋に似ている』のツアー中から何か違和感があるなぁって。スゲェいいライブが出来ている気はするんだけど、何かが違う。要は俺は結成したときから何も考えずに喋って、何も考えずに歌っていたところがあったんですよ。自分が作った曲を自信満々に。最初なんてそれこそアレで嫌われっぱなしでしたよ。“ラブ人間のボーカル、マジ喋り過ぎ”みたいな(笑)。メンバーからも“30分のライブで50分やるのはやめようよ”って(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「まあ最初は嫌われてましたけど、何かね、認められちゃったんですよね、俺のそれが。そんなの別に武器でも何でもないし曲が全てなんだけど、それがいいって言われてやっぱね、ヘンに真面目というか気にしぃだから、“あ、求められてるんだこれ”って思っちゃったんですよね。俺が何でもなくやっていたことが1つの武器になって認められて。でも、誰かにそれを求められてるって思っちゃうともう、イミテーションになるんですよ」
 
――もうそこを意識してるもんね、話すときに。
 
「だから『恋に似ている』のツアー中にヘンな違和感を感じたのは、俺の言葉ってどこまでが本物でどこまでが偽物? 正しいことなんて、今歌ってる歌詞にしかない。でも、この30分の中で俺は何でこんなことを喋っているのだろう?って、ちょっと落ち込んでたんですよ。その時点であと3本ライブが残ってて、それが大阪・名古屋・東京のワンマンだったんですよ。だから、俺はこれを全うしよう、1回この3本でとことん喋ってやろうと思って。で、東京のリキッドルームで俺は殉死しました(笑)。ちゃんとラブ人間で3年間作ってきたスタイルの1つの答えは出せたから。確かに溢れ出ちゃってた言葉たちがあった。でも俺が死ぬほど悩めば、それを1つ1つ歌詞にぶっ込める。やっぱり歌で伝え切れない部分があるから喋ってたと思うんですよ。じゃあそれをなくすほど、曲を書けばいいと思ったんですね。そうすれば自分の中で純粋にギターを持って、歌うことが出来るんじゃないかって。今こうやって喋ってるような普通の人間が俺だから。今はこういう風にステージの上でお客さんと対話出来るようになってよかったなぁと思ってて。ああいうMCの長口上がなくなってからは、お客さんと向き合うのがスッゴい楽になりましたね、正直」
 
――それこそ1stをもって初期衝動完結みたいな節もあったけど、初期衝動って音楽をやる上ではスゴく有益なモノというか、価値があるとされるものだから、それを終わらせて2ndに向かうのにも覚悟がいることだなぁと思うんですけど、それはどうだった?
 
「まあ大人になりたい欲はあるのかもしれないですね。じいちゃんのこともそうだけど、歳を取ることは悪いことじゃないと思ってるというか。俺の場合は音楽を始めるのが他の人よりちょっと早いから。今年27でバンド始めてキャリア14年ですよ。やっぱ自分と向き合って歌詞を書くことが多いから、自分がどういう風に変わっていってるのかは、自分の歌詞を見たらすぐに分かる。1日1日違うし、変わっていかないとつまらないし、これから20年30年40年ってこのバンドを続けていくときに、毎年毎年アルバム出して、この年の金田はこうだったんだなって、分かると楽しいから。だから、何かが終わるのはしょうがないと思ってるところはあります」
 
――今20年30年40年っていう言葉が出たけど、それこそ前のアルバムを出したとき、“これで世界がガラッと変わると思ったけど、案外変わらない”みたいなことも言ってて。ここ最近のラブ人間のライブ観て思ったのは、やっぱりデビューして3年で勝負するとかじゃなくて、これはもう長い戦いになるぞという覚悟というか。あの語り部的なやり方は自分も削られていくから、これから10年20年という長いスパンで戦っていくためには、変化せざるを得ないときなのかなとも思って。
 
「それにね、あういうことを喋りながらやっていたときよりも今の方が100倍命を削ってるんですよ。もう言葉に逃げられない。1つのギター、1つのベース、1つのバイオリン、1つのドラム、1つのキーボード、1つの声、そして楽曲だけしかもう、俺らの武器はないから。だから、“あ、この曲でダメだった”と思って次の曲にいくときも、俺はもう盛り上げない。曲が“いい風に聴こえる”ような雰囲気は出さない。もう、5人で背負えてる。奥さん(=筆者)も観た3月の大阪のライブで、“もう次の一小節で、今でも死ぬ気でいます”って久しぶりにちょっと喋ったけど、あれも全く嘘じゃなくて。前よりも何倍も思ってます。あの一小節に掛けるって」
 
 
今出さないとラブ人間に次のアルバムはないかもしれない
 
 
――やっぱり今作では新たな挑戦もいっぱいあって。ポエトリー・リーディング的なアプローチの『犬の人生』(M-6)なんかは特にですけど、ラブ人間、この線もイケるねぇって(笑)。
 
「それこそ前作の『恋に似ている』の段階って、自分たちのイメージをちょっと限定しながらやっていたところがあったんですよね。俺はホントにずっと音楽が好きで、相当なミュージック・ラバーなんですよ。好きな音楽がいっぱいある。それをね、余すところなく使おうよって。“これはラブ人間っぽくないなぁ”とかいう考えは全部やめました。だから『犬の人生』みたいな曲は、1stのときには絶対やらなかった。それを出せるのは、今出さないとラブ人間に次のアルバムはないかもしれないから。だったら出す」
 
――それは今回の死生観にも通じるよね。これは次のアルバムに置いといて…ってヤマを打ったって、それこそこの取材終わりで車に跳ねられて死ぬかもしれないみたいな。
 
「そう。結局、死生観が俺の完全ルールになって、今全てが行われてる」
 
――でもそれは言葉に責任をより持ったから、より突き詰めたからこその自信と包容力でもあるし。それに伴ってやっぱり歌詞がエラいことになってるなと思うしね。『きらり』(M-8)とかスゲェなって思ったもん。
 
「『きらり』は、相当納得がいってますね~」
 
――この曲は“女という生き物”とは?っていう感じが強烈にする。スゴいわ~。
 
「これは分かる男たち続出だと思いますけどね(笑)。“女とは?”っていうところだけを考えて書きましたね。『bedside baby blue』(M-7)とは連作なところがあって、要は女のことが羨ましくて、“きみになりたかった”って言ってる『bedside baby blue』。“ねぇ、きみは本当にすごい人だね”って言ってる『きらり』。ちょっとした皮肉が混ざってるけどね」
 
――『犬の人生』とかもそうやけど、改めて金田くんは言葉を伝えるのに極めて適した声質を持っていて、さらにその言葉自体を作り出せる人だなと思った。それがああいうリーディングの部分でより分かったというか。メロディにも乗せてもアリだし、乗せなくてもアリ。あとはまあ名古屋が好きだねって(笑)。
 
『恋に似ている』の取材をしてもらってたときに俺、名古屋の女の娘と遠距離恋愛してたんですね。『体は冷たく、心臓は燃えている』の“夏に付き合った恋人とは今はもう別れて”っていうのはその娘です。名古屋によく行ってたんです(笑)。で、あの『ちょっと梅ヶ丘まで』(M-4)の人が…」
 
――なるほどね(笑)。
 
「『恋に似ている』のツアー中に歌詞を書いてたんで、『ウミノ』とかも長崎のDRUM Be-7のライブのリハ終わりに、ウミノっていう喫茶店で好きな娘に書いた手紙みたいなもんです(笑)」
 
――まぁここまでインタビューで話す人も珍しいなとも思うけど(笑)、でもそれが歌になって、他にないモノになってるから、そういうことなんだろうなって。そういう意味でも、『体は冷たく、心臓は燃えている』も、スゴく残る言葉だなぁと。
 
「いや、ホントですね。『体は冷たく、心臓は燃えている』っていうのが、全楽曲における今回のテーマです。10曲目のその曲で言ってることって、もう1曲目から9曲目で言ってることを総括してるだけなんですよ。特にこういうアルバムを作るって決めたときには、自分が歌うことなんてのは少ないんだなぁって。生き様、死に様でしかないというか。だからそれを全部凝縮したのが“体は冷たく、心臓は燃えている”っていう言葉だし、『体は冷たく、心臓は燃えている』っていう曲でもあるっていうか」
 
――まあでも作品ごとに会うのが楽しみな男だよ。オモシロい。
 
「ホントですか? うん、作品ごとにもう毎回多分変わっていく。3rdの曲作りも始めてますけど、今はもう1人でパソコンでとりあえず作り始めて。『犬の人生』のもっとドープな感じの曲が30曲ぐらいあって、メンバー全員ターンテーブルでそれを5つステージに上げて、ライブでやっちゃおうっていうような(笑)」
 
――次ホンマにそうなってたらビビるな~(笑)。でもまあ何にしたってラブ人間にはなるだろうなって。次の大阪ワンマンの頃にはまたね、ライブも今までとは違う感覚で挑むことにもなってると思うし。それも楽しみにしています。本日はありがとうございました!
 
「ありがとうございました~!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 



(2013年7月16日更新)


Check

Release

言葉のチョイスとサウンドの変化が
冴え渡る至極の2ndアルバム!

Album
『SONGS』
発売中 2800円
SPEEDSTAR RECORDS
VICL-64013

<収録曲>
01. ラブパレードはつづく
02. 太陽と血の靴
03. アンカーソング
04. ちょっと梅ヶ丘まで
05. ウミノ
06. 犬の人生
07. bedside baby blue
08. きらり
09. 病院
10. 体は冷たく、心臓は燃えている

Profile

ザ・ラブにんげん…写真左より、谷崎航大(バイオリン)、おかもとえみ(ベース)、金田康平(歌手)、服部ケンジ(ドラムス)、ツネ・モリサワ(キーボード)。恋愛至上主義音楽集団。’09年1月、突如結成。同年4月に自主制作音源『恋街のすたるじい』、’10年1月に『大人と子供-17 才と22 才-』を発売。『SUMMER SONIC』出演権を賭けたオーディション企画“出れんの!? サマソニ!?”を勝ち抜き同イベントに出演。同年9月には下北沢のライブハウス3 会場を貸し切りTHEラブ人間決起集会『下北沢にて』を開催(以降、毎年開催し’12年には9会場に拡大)。’11年5月、初の全国流通シングル『砂男・東京』をリリース。オリコンチャート50位台にランクイン。同年7月、初のワンマンライブを渋谷クラブクアトロで開催し、650人を動員。翌8月にミニアルバム『これはもう青春じゃないか』でメジャーデビュー。11月には、シングル『大人と子供(初夏のテーマ)』を発売。’12年3月、2度目のワンマンライブを渋谷クラブクアトロで開催し完売。5月には初期衝動を全て詰め込んだ1stアルバム『恋に似ている』をリリース、大規模な全国ツアーを開催し、ファイナルとなった東京LIQUIDROOMでのワンマンライブを成功させた。12月にシングル『アンカーソング』を第二期開幕の宣言と共にリリース。DVDには『青春期終焉GIG 映像集【恋に似ていた】』が収録された。そして’13年4月、バンド第2期の結晶である2ndアルバム『SONGS』を発売。

THEラブ人間 オフィシャルサイト
http://loveningen.jp/


Live

レコ発ツアーもクライマックスへ
いよいよ大阪公演が開催!

 
『THEラブ人間「SONGS」リリースツアー
【泣きながら踊れる夜はあるかい?】』

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード196-097
▼7月18日(木)19:00
梅田Shangri-La
オールスタンディング3000円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。

【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード195-876
▼7月19日(金)19:00
池下CLUB UPSET
前売3000円
ジェイルハウス■052(936)6041

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名演必至のライブバトルが決定
秋にはイナ戦と四国へ!

 
【香川公演】
一般発売8月3日(土)
Pコード206-127
▼9月22日(日)18:00
松山サロンキティ
スタンディング3000円
[共演]THEイナズマ戦隊/他
デューク松山■089(947)3535

【徳島公演】
一般発売8月3日(土)
Pコード206-128
▼9月23日(月・祝)18:00
club GRINDHOUSE
スタンディング3000円
[共演]THEイナズマ戦隊/他
デューク高松■087(822)2520

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Column

1stアルバム『恋に似ている』
とは何だったのか?
THEラブ人間の3年間
そして人間・金田康平の
音楽人生をたどるインタビュー