インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 裏テーマは酒と音楽!?  京都発のインストバンド・Nabowaの 個性豊かな歌い手を迎えたコラボアルバム『DUO』 ツアークライマックスに贈る裏話満載インタビュー!


裏テーマは酒と音楽!? 
京都発のインストバンド・Nabowaの
個性豊かな歌い手を迎えたコラボアルバム『DUO』
ツアークライマックスに贈る裏話満載インタビュー!

 ボーカルレスのインストルメンタルバンドとして、京都からオーガニックでノスタルジックなナチュラルグルーヴを放つ4人組、Nabowa。今年も『FUJI ROCK FESTIVALL’11』をはじめ、全国各地の野外フェスを渡り歩いた彼らが届けてくれたのは、様々な個性際立つボーカリストとの魅惑の共演! 9月にリリースされたコラボアルバム『DUO』には、Port of Notes、岩﨑慧(セカイイチ)、次松大助(MaNHATTAN/ex.The Miceteeth)、小池光子(ビューティフルハミングバード)、長谷川健一らが参加し、レコーディングは初の合宿形式で敢行。そこで生まれたのは音楽と酒が歌をつないだ絆だった!? そんなアルバム制作裏話から、フジロックに自転車で向かったという(!)前代未聞の珍道中まで、知られざるエピソードがどんどん飛び交ったインタビューを、11月22日(火)梅田Shangri-Laで行われる盟友ジャムバンド・Mountain Mocha Kilimanjaroとの2マン、そしてツアーファイナルとなる12月3日(土)Shibuya WWWを前にお贈ります!

山本(vl)&川上(ds)の名コンビからの動画コメントはコチラ!

――今年のNabowaはホントにいろんなフェスやイベントに出てきましたよね。それこそあの『FUJI ROCK FESTIVAL』にも2年連続出場ということでしたし。
 

山本(vl)「去年は1日2回ライブをしたんですけど、そういうのもあって楽しむ暇が全くなかったんですね。しかも翌日また全然違う場所でフェスがあったんで、すぐ移動しなきゃいけなくて誰のライブも観なかったんですよ。だから今年は去年のその教訓を活かしつつ、ちゃんと3日間楽しもうって。しかも僕ら最終日やったんでね」
 

――しかも今年は…(笑)。
 

川上(ds)「まぁ僕は、今回のフジロックには自転車で行ったので。そこからの話になりますね(笑)」
 

――そもそも何で自転車で行こうと思ったんですか? 普段から自転車に凝ってて乗ってるとか?
 

川上「その…自転車がすごい好きとかいうわけではなくて。学生時代はそういう、ちょっと大変な旅みたいなのが好きで。ママチャリで北海道から帰って来たりとか(笑)」
 

――ママチャリなんや(笑)。
 

川上 「そっちの方がロマンがあるかなと(笑)。ただ、バンドを始めてやっぱりなかなか長期間はスケジュールを空けられなくて。こうなったら仕事に行きながらやればええやんと思って、フジロックに行こうと。まぁチャリだと距離的にもちょうどいいというか」
 

――ちょうどいいんや(笑)。
 

山本「ねぇ…(笑)」
 

川上 「月曜から走って週末に着く行程を考えて。フジロックも大きいイベントだし、その後にライブしたら自分にとってどうなるんだろうと」
 

――なるほど。
 

川上 「結局予定通り木曜の前夜祭に着いて、金曜土曜と楽しんで、日曜日もバッチリライブ出来て」
 

――すごい! それって疲れなかったんですか?
 

川上 「疲れてはなかったんですけど、とりあえず足がパンパンで。向こうに着いたら毎日、(山本)啓にマッサージしてもらって」
 

(一同笑)
 

山本 「そうそう(笑)」
 

――それにしても、京都からチャリで4日でフジロックに行けるんですね(笑)。
 

川上「かなりのハードスケジュールですけどね(笑)。残りの3人が木曜日に着くって言うから、僕が坂を上ってるときに後ろから機材車で抜かされたら絵的に面白いなぁと思って頑張ったんですけど、実は僕が先に着いちゃって(笑)」
 

山本「そうなんですよ(笑)。あの日がホントに歴史的豪雨で、道が川みたいになってて。高速道路も途中から通れなかったんですよね。そこから先も迂回に次ぐ迂回でもう訳分かんないところをずっと走らされて。一応前もって調べた所要時間は京都から新潟まで約8時間だったんですけど、結局14時間かかりましたよ。でも、(川上)優くんがあの雨の中を走ってたのかと思うと、ちょっとビックリしましたけどね」
 

――そうか! 条件は同じですもんね。めちゃめちゃ過酷ですね。
 

川上 「ホントに川みたいになってましたから」
 

山本「一歩も外に出たくなくなる天気でしたよ」
 

――そもそも最初に自転車で行くって言われたとき、最初はどう思いました?
 

山本「まぁ付き合いも長いんで、優さんらしいなって全く心配はしてなかったんですよ。昔からそういう旅をしてるのは知ってたし。ホンマに特に自転車が好きとかいう人間ではないんですよ(笑)。何て言うか…旅が好きなんでしょうね。だから自転車でフジロックに行くって言われたときも、“そうか”って」
 

――(笑)。
 

山本「“やっぱりアホやな”とは思いましたけど(笑)」
 

(一同爆笑)
 

川上 「まぁアホですよねぇ(笑)」
 

山本「でも、僕は内心すごくいいなと思ったんですよね。全然間に合うだろうし、精神状態的にもすごくいい状態でステージに臨めると思いますし。多分音楽ってそういうところから湧き上がってくるものじゃないかなと思うんでね。でもまぁ、他のメンバーがそう思ってるかっていうのは…(笑)」
 

――(笑)。
 

川上 「他の2人はもう、かなりインドア派なんで」
 

山本 「僕はそういう旅に関しては結構推進派なんで。ただ、1週間家を空けられない事情があったんでね」
 

――そういう物理的な事情ももちろん出てきますもんね。でも、山本さんもフジロックに向けてバイオリンをフェス仕様にメンテしたりとか、そういう動きもありましたもんね。
 

山本「あ~そこ! ありがとうございます、そこまでチェックして頂いて。そうなんですよ。バイオリン職人さんに“野外ライブばっかりのバンドなんですけどどうしましょう?”って、ずっと昔から相談してたんですよ。というのも、バイオリンって外で弾いたらいけない楽器なんで」
 

――え! そうなんですか!?
 

山本 「そうなんですよ。ニスを塗ってる表面と塗ってない内側の膨張率が違うんで、湿度でズレたりしちゃうんで」
 

――なるほど。
 

山本「そうなってくると楽器自体の音がもどんどん変わって、最悪の場合バラバラになる(笑)」
 

(一同笑)
 

川上 「ライブ中になったらすっごいけどね(笑)」
 

山本 「大爆笑起こるんじゃない?(笑)」
 

川上 「伝説になると思う」
 

山本「なるけど(笑)。ちょっとそういうのもあって職人さんに相談したら、“いっそのこと1本は野外用にしてしまいませんか?”と提案されて。“ニスを内側にも塗って、特に硬いニスにしてしまいましょう。あとネックも反ってきてるから全部削っちゃいましょう。内側も減ってるから変えちゃいましょう”って大改造を行って。そういう意味では、機材の準備もうまいこと進められたし、トラブルもなく演奏にもちゃんと集中出来て。今年は特にいろんなフェスに出させて頂いたんで、フェスで起こりうるトラブルに対処がちゃんと出来たなって思いますね」
 

――なるほど。実際のステージはやってみてどうでした?
 

川上「僕らはFIELD OF HEAVENに出るので、そのHEAVENの他のアーティストを結構観てたんすけど、やっぱりステージも大きいじゃないですか。お客さん側としてステージ見上げるときと自分たちが立って見下ろすときの景色が、“えっ?”っていうぐらい違って。こんなところに立ったら結構ドキドキするやろなぁと思ってたんですけど、案外お客さんとの距離感が近いライブになったなぁと思って。まず、お客さん1人1人のモチベーションがやっぱり違うじゃないですか。みんなが楽しんでやろうっていう気でいますし、一体感がすごくあったんですね。それでもう楽しくなっちゃって」
 

山本 「やっぱり、あの景色を見たらもうやめられない。最高ですよ。程よい高揚感で、緊張とかは逆にしないですね。みんなだいたいカッパを着てはってね。色的にもカラフルで。顔を見るとみんなすごい笑顔なんですよ。だからなんかいいなぁって」
 

――ポジティブな気持ちで音楽のもとに集まってると、すごいエネルギーを感じますよね。
 

川上 「すごかったですね、ホンットに。去年出させてもらったときにも思ったんですけど、フジロックってやっぱり1人1人のポジティブさが全然違いますよね、。今回もそういうパワーはすごく受けましたね」
 

山本「フジロックって、他のフェスにはない何者かによって突き動かされる義務感みたいなものが、みんなに生まれてるっぽいんですよね。例えば1年間をこの3日間に向けてコントロールする人が多いのにもなんか頷けますよね。私は苗場に行かなければいけない、ここで楽しまなければならないって、そんな感じがします」
 

――そして、今回のアルバムの話に移らせてもらいますけど、『DUO』というタイトル通りの、いわゆるコンセプトアルバムというか。今までもアルバムの中で何曲かフィーチャリングすることはありましたけど、ここまでシンガーをガッツリ起用することはなかったと思うんですけど、今回はどうしてこのコンセプトになったのかを聞かせてもらいたいなと。
 

川上「前作の2ndアルバム『Nabowa』は、ほぼ1年がかりで作ったんですよ。いろいろ試行錯誤しながら作ったアルバムだったので出し切った感は当時あったんですけど、じゃあまた制作に入るとなったときに、次は3rdフルアルバムっていうモチベーションが、実はちょっとなかったんですよね。でも、それとは別にボーカル・アルバムを作りたいっていう気持ちは昔からあったんで。そもそも僕ら、歌が歌えないからインストやってるだけなんで(笑)」
 

――そうなんや(笑)。
 

川上「歌モノをやりたい気持ちはずっとあったんですよ。でも、僕らはインストバンドなので、フルアルバムはやっぱりきっちりインストで作品を作りたい。コンセプトアルバムとしてちょっと作ってみたいっていうテンションが、タイミング的に今かなと」
 

――なるほど。やっぱりフィーチャリングすることを想定して書く曲と、純粋にインストとして書く曲は最初から違うんですか?
 

山本 「基本的には違いますけど、似てる部分はありますね。まぁ特に僕らはインストですけどバイオリンとかの上モノがありますし」
 

川上「違う風に作ってはいるんですけど、結局ふたを開けて出来てみたら、そんなに変わってんのかな?っていうところはありました(笑)」
 

(一同爆笑)
 

山本「歌い手さんにはよく“難しいわぁ~”って言われるんですよ。メロディの高低差が激しかったりするので」
 

川上 「バイオリンで曲を作るときってメロディに力や勢いがあるんですけど、それを歌でやっちゃうと…歌モノって音符的にはすごく単純でも成り立つじゃないですか。でも、普段インストをやってる僕らにはそういう感覚がなくて。だから歌モノでも結構特殊な曲になっちゃって、歌い手さんから言わせたら相当歌いにくいらしくて」
 

――それ、毎度言われてきたんですか?
 

山本 「毎度言われてきましたね(笑)」
 

川上 「以前、ACOさんにも最後の最後に、“歌いにくいよ”って」
 

(一同笑)
 

山本 「言われましたね~(笑)」
 

――今回はどうでした?
 

山本 「今回も…まぁ…」
 

川上「みんな優しい人なんで(笑)」
 

山本 「でも、近いことは結構…“すごく難しい曲作るよね”とかね。やんわりと…(笑)」
 

――はいはい(笑)。でも逆に、普通のバンドには絶対書けない歌モノ曲を書いてるわけじゃないですか。それでも、僕が聴いた印象としてはそこまで難解な印象はなかったから、今回のボーカリストがちゃんと消化してくれてるのもあるかもしれないですね。ちなみにアーティストの選定はどうやって決めたんですか?
 

川上「曲によって違うんですけど、Port of Notesの場合は、去年、福岡で『Sunset Live』っていうフェスでご一緒させてもらって、いつかコラボしたいねっていう話をちょっとさせてもらってたんですよ。なので、『DUO』を作ると決まったときに、真っ先に声をかけさせてもらって。あと、ハセケン(長谷川健一)さんは京都に住んでるんで、選定の初期から名前が上がってましたね。他のアーティストは、僕たちが4人で合宿で曲を作った後に、この曲は誰がいいかなぁって考えて、オファーさせてもらいました」
 

――最初からその人が歌うことを想定して作った曲もあれば、作った後にそれに見合った歌い手を選んだ曲もあると。それも面白いですね。
 

川上「いろんな作り方をしたかったのもあったんで。元々僕らはレコーディングとかミックスも全部自分たちでやってるので、実験的な録り方はいろいろと出来るので」
 

――最初から歌う相手が見えてる方が、やりやすいもんなんですか?
 

川上 「やっぱり決まってると想像も出来ますし。彼女だったら、彼だったらって考えられるんですけど、決まってない状態は逆に、曲の構成だったり、自分たちのセンスが前に出やすいかなぁとは思うんですけど」
 

山本 「幅が持たせられるというか。歌い手さんが決まってるとキーもある程度は決まってきますし。この人の声ならこうした方がっていうジャッジは早かったりするんですけどね」
 

――いろんなところで迷いがないというか、絞れていきますもんね。
 

山本 「だからそれぞれ作り方としてはすごく面白くて。やりやすさで言えばまぁ一緒かな」
 

――曲が出来てる状態でオファーされる人たちが一番難しいよっていうパターン(笑)。
 

山本「アハハハハ(笑)」
 

川上 「そうですね。そうやと思います」
 

――じゃあ元々接点があるのは、Port of Notesと長谷川健一さんという感じですか?
 

川上「あと、ビューティフルハミングバードのみっちゃん(小池光子)は、Nabowaと結構ツーマンとかをやってたのでその流れで。セカイイチの(岩﨑)慧くんと、次松(大助)くんは、今までやったことがなかったですね。でも、一方的に好きだったりとかして、オファーしてます」
 

――先ほどいろんな録り方をしたと言ってましたけど、レコーディングは今までと違うやり方をしたんですか?
 

川上 「今までは結構バラバラに、“この日空いてるから録ろう”ってやってたのを積み重ねてアルバムにしてたんですけど、もっと集中的にみんなで集まってやりたいのもあって、今回は福井県の敦賀市に行って合宿をしたんですね。そこはスタジオじゃなくて、普通のロッジとか別荘みたいなところで、4人で2週間暮らして。昼間はずっとレコーディングしたり曲作ったりっていうところから始めて、今年の1月~3月に2週間ずつ3セット。それでいろいろと土台を作っていったんですけど。曲によっては、ボーカリストに現地に来てもらったり。ほんまにロッジなんで、横に布団とかがあるところに(笑)」
 

(一同笑)
 

川上「風がすごく吹いてたりとか、そういう中でやってもらって」
 

山本 「普段僕らは別々に住んでるのもあって、例えば前作に1年かかったのも、“こんなの出来た。聴いてみて”“どう?”っていうやりとりにすごく時間がかかるから。合宿するとすぐにそれが聴けるので修正もしやすいし、作曲も早いし、何より機材を動かさなくていい(笑)」
 

川上 「そうそう(笑)」
 

山本 「むちゃくちゃ大変ですから」
 

川上 「それはすごく効率的だったし、みんなで寝て、メシ食ってって同じサイクルで動くのは、レコーディングのときにはすごく重要なことかなと思いましたね」
 

――プリプロだけじゃなくて、その場で実際音も録ったんですか?
 

山本 「録りました」
 

川上「僕らって(エンジニアを介さず)音も自分たちで録ってるから、質で言えばさほど良くないかもしれないけど、それ以外の空気感だったり、細かいところを自分たちで最後まで追求出来る。全部に責任を持ってやれるんです」
 

山本「特に今回はいわゆるスタジオで録ったわけではないので。面白かったのが、『ルードレディオ』(M-4)の一番最初に入ってる声って、たまたま電気を伝って拾っちゃったラジオの音なんです」
 

――へぇ~!
 

川上「ギターアンプから中国語が流れてきて…(笑)。“え、中国語!? コレ録ろう録ろう”って」
 

山本「そんな、ちょっと面白いことがあったり。そういうのはならではかなと思いますね」
 

――普通のレコーディングだと、まずそういうことは起こり得ないですからね。
 

山本 「あと、みんなで同じものを食べたのもいいかもしれない」
 

――家族とか夫婦ってそう言いますもんね。同じメシを食ってるから似てくるとか(笑)。
 

山本 「ありますよね(笑)。やっぱ2週間一緒にいると面白いですね」
 

川上 「レコーディングは合宿すべきだなとすごく思いました」
 

――今回が初めてなんですか?
 

山本「合宿は初めてですね」
 

――ちょっと気が早いですけど、次回の3rdで合宿してインストに取り組んだらどうなるのかを考えたら、前作で出し切った感があったとしても、ちょっと活路が見えますね。
 

川上「もう今、次が作りたくて仕方ないです(笑)」
 

山本 「すごく意欲が湧きましたね。今回はそれぞれのアーティストさんの癖というか…レコーディングに向けてのコンディション持っていき方とかは、めっちゃ参考になりましたし。やっぱりそういう刺激や発見がないとね」
 

――今言ったようなエピソードは、具体的にどなたで何があったんですか?
 

山本「僕が一番印象的だったのが、Port of Notesの小島大介(g)さんですね。最初に小島さんを迎えに行ったときは、喋ったことがそんなになかったんでお互い硬かったんですけど、ロッジに着いて一言目に言わはったのが、“ご飯は?”とか“お酒は?”だったんですよ(笑)。とりあえずちゃんと音が出ることを確認するためにみんなで30分ぐらい音出して、もうそこからすぐご飯食べたり飲んだり」
 

川上「その日はそれで終わったっていう(笑)」

 

――初日が(笑)。
 

山本「あの日は相当飲みましたね。でも、そうやっていく内にものすごく打ち解けて」
 

川上 「でもアレで打ち解けられたからこそ、次の日は結構すんなりいいテイクが録れてね」
 

山本「僕はそれが大介さんなりのやり方やってんなって思ってるんです。そういう雰囲気に持っていけば、自分がいい精神状態でレコーディングが出来て、周りもやりやすくなっていくって。すごく参考になりましたね」
 

――川上さんはどなたか印象的だったアーティストさんはいます?
 

川上 「僕は同じくPort of Notesの(畠中)美由紀さんですね。レコーディングが地震後すぐだったので、当時ちょっと大変な状況で現場には来られなかったんですけど、4月に入って一緒にライブしたんですよ。そのときにこの『つかのま feat. Ports of Notes』(M-2)もやったんですけど…美由紀さんは演奏前に結構食べるんですよ」
 

――よく歌う3時間前からは食べないとか言いますよね。
 

川上「そうなんですよ。結構ボーカリストの方って食べないじゃないですか。そういうイメージだったんすけど…」
 

(一同笑)
 

川上 「でも美由紀さんは逆に食べないと声が出ないと。やっぱりライブにせよレコーディングにせよ、自分の持っていき方は人それぞれ全然違うんやなって」
 

――それで言うとPort of Notesは、音楽に対して自然体で取り組んでいるというか、セオリーにあんまり縛られないというか。
 

山本「ツアーも一緒に廻ったりして過ごした時間が長かっただけに、2人のやりとりを聞いてても面白いなぁって」
 

川上「今回参加してもらった人たちは、ホントに超マイペースな人ばっかりで(笑)」
 

――濃いですもんね~(笑)。そして、ちゃんと声に力と個性がある人たちばっかりですしね。今、Port of Notesのお2人の話を聞かせて頂きましたけど、セカイイチの(岩﨑)慧くんとかはどうでした?
 

川上 「慧くんとはお願いするまで実際に会ったことがなくて。でも、僕はセカイイチの曲がすごく好きだったので、大阪でライブをしてたときに会いに行って、朝まで飲んでたんですけど、同い年なので結構すぐ打ち解けられて。今回の中で言うと慧くんは一番年下やけど、一番しっかりしてましたね(笑)」
 

山本「アハハハハ(笑)」
 

――そうなんや(笑)。
 

川上 「音楽に対する姿勢がすごく真面目というか。もちろんアーティストな部分もあるんですけど、プロデューサーとかそういう人と喋ってるような印象を受けましたね。結構マルチで何でも出来るじゃないですか」
 

――もう昔はね、ホントに愉快な酔っ払いだったのにね(笑)。
 

川上「酒好きですもんね~」
 

――ここの兄妹はヤバイですね(笑)。
 

川上「あ、妹もヤバイんですか(笑)」
 

――でも妹も歌がスゴイです。
 

山本 「へぇ~」
 

川上 「そうなんですね」
 

山本 「そういや今回は、全員めっちゃ飲むね」
 

――最近、スキップカウズのイマヤスさん(vo)とオセロケッツの森山さん(vo&g)のお2人にインタビューしたときも、やっぱり酒を飲んで話すのは大事だって話になって。そこで距離も縮まるし物事も決まる。やっぱりそういう人間的要素が音楽にもすごく関わってくるし、結局は人間関係だと思うんですよね。
 

山本 「ホントにそう思いますね。例えお酒が飲めなかったとしても、あの場にいるっていうことは、すごく意味があることだと思いますね」
 

――それで言うと次松(大助)さんはどうですか?
 

川上「もう最高ですよね。しょうがなさすぎですよね、この人(笑)」
 

(一同爆笑)
 

川上「この人とは完全にお酒で距離が縮まった感じですね(笑)」

山本 「1度イベントで一緒になったことがあるんですけど、そのときは全然喋らずで。あれは何年前やったかな…?」
 

川上 「京都市役所前でやってる『大風流』で…6年前ぐらい?」
 

――めちゃめちゃ前っすね。
 

山本 「だから、僕たちにとっては普通に好きなバンドのボーカルの人って感じで。たまたま京都でライブやるときに来て頂いて、そのときに“あ、次松さんってこんな人なんや”っていうのがその日に一気にこう…」
 

――アハハハハ(笑)。
 

山本「打ち解けられた(笑)。とにかくお酒を飲む人で」
 

川上 「話すのはどっちかっていうと苦手な方なんでしょうね。お酒を飲まないとあんまり喋ってくれない(笑)。ボーカル録音する前、JAPONICAの周年イベントに出たとき、たまたま次松くんが関西にいたので遊びに来て。そのときに曲のことについて具体的な話が出来たんですけど、面白かったですね」
 

――次はビューティフルハミングバードの小池さんですが、一緒にツーマンライブをやったりする仲であれば、他の方より距離が近かったりはすると思うんですけど。
 

川上 「やっぱりお互いある程度分かってるので、まずはお昼ご飯用意して待ってたんです(笑)」
 

――やっぱりご飯先行なんですね(笑)。
 

川上 「一緒にメシ食うっつーのはホントに」
 

山本「大事ですね」
 

川上 「まずはメシを食って、レコーディング自体はもう2時間ぐらいかな。結構すんなり録れましたね。彼女はもうホンットに歌が上手くて、こんなに上手い人に僕はまだ出会ったことがないっていうぐらいすごい声してるし」
 

山本 「もう、ピッチ(=音程)の安定感がすごくて」
 

川上「ホントにこの人はズレない」
 

山本 「チューナーを見てたんすけど、一切ズレないんですよ。ちょっと音楽的な話になっちゃうんですけど、僕たちってレコーディングのときのチューニングが若干高めなんですよ。それにも“ちょっと高めに取ればいいのね”みたいな感じでバッチリ」
 

――へぇ~!
 

山本 「すごいっすよ。ちなみに僕はビューティフルハミングバードのレコーディングに参加したんですけど、そういうところをかなりきっちりやるユニットですね」
 

川上「耳は最高にいいですね、あの人」
 

山本 「びっくりしました、ホントに。飲んだらすごく面白くなるんですけど(笑)」
 

――この人も(笑)。
 

川上「もう超ハッピーになる。1人で(笑)。“イエーイ!”みたいに」
 

――そんなにシビアにピッチ合わせてくるのに(笑)。
 

山本「こないだとかも、僕らがワンマンライブをやったときに観に来てくれて」
 

川上「一番はしゃいでたもんね。どのお客さんよりも声出してた(笑)」
 

山本 「コレがまたよく声が通るんですよ(笑)。“フッフゥー”とか言ってる人がいて、“誰この声?”とか思ったら小池さんやったっていう(笑)」
 

川上 「でも、やるときはホントにやりますから」
 

山本 「もう細かいニュアンスまで全部決まってるみたいな感じで」
 

――すごいですね。でも、それがビューティフルハミングバードの楽曲のクオリティの高さを担保してるのかもしれないですね。
 

川上「あと、この人はいろんな人とコラボしてるし、そういう経験値はすごく感じました。今回のアルバムの中で一番歌いにくい曲だったと思うんですけど、もうスンナリ。結構リズムが取りにくくて、しかもどんどん変わっていくんですけど、歌い出すとそういうテンポ感もバッチリで。ビックリさせられましたよね」
 

――いろんな歌い手さんの個性をまざまざと感じさせられますよね。ボーカルがいるバンドだったら逆に出来ない経験ですよ。
 

川上「ホンットに面白かったですね、1人1人」
 

――最後は同じく京都の長谷川健一さんですけど、こちらはどうでしたか?
 

山本 「ハセケンさんはいつも1人で活動してるんで、その辺がすごくよく出てるアーティストだなと思いましたね」
 

川上「他の曲は全部僕たちがメロディも作って歌詞だけお願いしますっていうかたちで渡すことが多かったんですけど、彼に関しては結構近くに住んでたんで、一緒にキャッチボールしながら曲を作ったんですよ。僕らが土台を持ってくるんで、それにちょっと肉付けしてもらいたいっていう話をして、僕らは三拍子で曲作って渡したんですけど、返ってきた曲は四拍子だったんですよ(笑)。結構変えてきたなと思って、じゃあこっちももっと変えてやるっていう、そういうやりとりが面白くて。だから『また明日 feat.長谷川健一』は、ホントにハセケンさんのテイストもすごく含まれてますし、僕らのテイストもしっかり出せたかなと思ってますね。そういう意味では完成度は高いかもしれない。コラボレーション力みたいなものは、すごく出てるなと思いますね」
 

――今回はボーカル曲が多いわけですけど、Nabowaの普段の曲にはない声や歌詞の力を改めて感じることはありました?
 

山本&川上「ありましたね~」
 

山本 「今回はボーカリストさんのガイドになるように、自分たちも“ラララ”とかで仮歌を録ったんですよ。でも、やっぱり何も伝わってこない(笑)。けど、歌い手と呼ばれる人たちが歌詞を乗せて歌うことによって、もう一気に…」
 

川上 「魂が宿りますね。全然違う。技術云々の前にもう、その人の存在感というか。僕らが“ア~”とか歌ってても、やっぱりそこは全然出せないんですよね。今回はそういうところに結構感動しましたね」
 

山本「歌詞が入ってようやく、“この曲ってこういう曲やったんや”って分かる。自分で弾いてて分からなかったことも分かってくる。その歌を聴いた瞬間、モヤモヤしてたものが一気に晴れたみたいな」
 

――それって自分たちが普段持ってない感覚じゃないですか。そこに対する喪失感や嫉妬みたいなものはなかったんですか?
 

山本 「ありますね~(笑)。僕は今回のレコーディングを経てですね、ひとつ心に誓ったことがあって。50歳までに弾き語りが出来るようになりたい(笑)」
 

――めっちゃ長期計画(笑)。
 

山本 「それぐらい人生経験積んだら多分…」
 

――それこそ上手い下手じゃない何かが出てくるかも。
 

山本 「僕も勝手にそう思ってて。あんな風に歌えたらすごくいいやろなぁって思ったり。そんなことをちょっとやりたいなと思うぐらい、今回は素晴らしいものをたくさんもらったと思いますね」
 

川上 「当初の予定としては、これを企画することによって次のアルバムに対してのモチベーションやアイデアがいろいろ湧いてきたらいいなと思ってたんですけど、作ってみてホントにいろんなエネルギーや刺激をもらったし、今はもう早く次のインスト曲を作りたい気持ちになってますね。僕は別に自分で歌いたいとは思いませんけど」
 

(一同爆笑)
 

――今回のアルバムはボーカル曲ももちろんですけど、随所に入ってくるインスト曲の『つばめ』『雨と虹』にしても、ボーカル曲に負けずに逆にインストとして極められたジャストな役割を果たしているというか。これからは何作かリリースする間に『DUO2』とかを出していってもいいですよね。
 

山本 「アハハハハ(笑)。そうですね、面白い。なるほど」
 

――今作が出てツアーもありますけど、11月22日(火)梅田Shangri-LaではゲストにMountain Mocha Kilimanjaroを迎えて。
 

川上 「モカキリも僕とだいたい同い年なんですけど、フェスとかでも結構一緒になったりして、ずっと一緒にやろうとは言われてて、僕らもすごくやりたかった。モカキリ自体も今6ヵ月連続でシングルを出してて、いい機会だしそういうのも絡めて今回一緒にやりましょうと。もうね、絶対面白いことになります」
 

――これまた酒が出そうな夜ですね(笑)。
 

(一同笑)
 

――間違いなくShangri-Laに貢献しますね(笑)。
 

山本 「それはいいブッキング(笑)」
 

川上 「いや~面白いと思う。あと、次松くんのピアノもすごく好きで。もちろん歌でも来てもらうんですけど、それプラスでインストの曲でも何曲か参加してもらおうと。ファイナルの東京ワンマンではもう、なるべく全員に来てもらおうかなと思ってます」
 

――ライブでの反応も楽しみですよね。本日はどうもありがとうございました!
 

山本 &川上 「ありがとうございました~!」



Text by 奥“ボウイ”昌史




(2011年11月19日更新)


Check

Release

個性溢れる5組の歌い手を招いた
珠玉のフィーチャリングアルバム

Album
『DUO』
発売中 2200円
AWDR/LR2
DDCB-12041

<収録曲>
1. つばめ
2. つかのま feat. Port of Notes
3. 祭りが終わる前 feat. 岩崎慧
4. ルードレディオ
5. 枇杷に捧ぐ feat. 次松大助
6. 雨と虹
7. Searching feat. 小池光子
8. また明日 feat. 長谷川健

Profile

ナボワ…写真左より山本啓(vl)、堀川達(b)、川上優(ds)、景山奏(g)。京都を拠点に活動している4人組インストルメンタル・バンド。現在までに2枚のアルバム、数枚のミニアルバム、シングル、アナログ盤をリリース。’10年5月発売の最新アルバム『Nabowa』では、ツアーで鍛えられた演奏とノスタルジアを覚えるNabowaオリジナルの世界観が見事に交差し、各方面より大きな反響を得た。リリース後には『FUJI ROCK FESTIVAL ’10』をはじめ大型フェスに多数出演、ライブバンドとしても高い評価を得ている。今春にはシングル『SUN』を発表、夏には『FUJI ROCK FESTIVAL ’11』をはじめ大型フェスにも多数出演、今秋9月14日には、数人のシンガーを迎えた非インストルメンタル・アルバム『DUO』をリリース。

Nabowa オフィシャルサイト
http://www.nabowa.com/


Live

大阪は2マン! 東京では豪華ゲストも
年末には大阪濃厚フェスに参戦!!

モカキリとのガチンコ2マン
レコ発大阪公演が間もなく

Nabowa New Album
「DUO」Release Tour
『Nabowa×Mountain Mocha Kilimanjaro』

チケット発売中 Pコード143-670
▼11月22日(火)19:00
梅田Shangri-La
オールスタンディング3000円
[共演]Mountain Mocha Kilimanjaro
[ゲスト]次松大助(MaNHATTAN/ex.The Miceteeth)/カコイミク
夢番地■06(6341)3525

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


New Album『DUO』Release Tour Final
『ナボワのライブ』
チケット発売中 Pコード145-591
▼12月3日(土) 18:00
Shibuya WWW
オールスタンディング3000円
[ゲスト]岩﨑慧(セカイイチ)/
次松大助(MaNHATTAN/ex.The Miceteeth)
/長谷川健一/小島大介(Port of Notes)
ホットスタッフ・プロモーション■03(5720)9999

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


『THE STAR FESTIVAL × D!SPORT
 × chill mountain』
チケット発売中 Pコード780-092

▼12月30日(金)
味園 ユニバース 15:00~23:00
[出演]DJ KRUSH/SOIL& "PIMP" SESSIONS/KINGDOM☆AFROCKS/他
umeda AKASO 23:30~6:00
[出演]dj コッツェ/DJ NOBU/MONK α/他

▼12月31日(土)
味園 ユニバース 15:00~24:00
[出演]Rickie-G/SOFT/奇妙礼太郎トラベルスイング楽団/Nabowa/AWAYOKUBA/DRAGON76
TRIANGLE 18:00~25:00
[出演]KUNIMITSU/YASUHISA/DAMAGE/KOICHI SATO

2日間通し券5000円(オールスタンディング)
味園 ユニバース■06(6641)8733/
TRIANGLE■06(6212)2264/
umeda AKASO■06(7897)2450
※本公演は都合により会場が名村造船所跡地から味園 ユニバース/TRIANGLE/umeda AKASOに変更となりました。3会場入場可。AKASOのみ20歳未満は入場不可。要身分証明書。複数人数での使用不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら