ホーム > LOSTAGE 五味岳久の奈良からの手紙~LOVE LETTER form NARA~ > 第5回 tofubeatsさん



 

Profile

tofubeats(写真右)
’90年生まれ、神戸市在住のトラックメイカー / DJ。ネット上に200曲以上の楽曲を公開し続けるかたわら、YUKI、FPM、佐々木希、ももいろクローバーなど、様々なアーティストのリミックスも手掛け、その手腕はジャンルや世代、メジャー / インディー問わず各方面から高い評価を得る。並行して、lyrical schoo、9nine などアイドルの楽曲プロデュースなども行っている。自身名義でも、盟友オノマトペ大臣と’11年に発表した『水星 EP』初回プレス盤が発売直後に完売。今年4月には1stアルバム『lost decade』、これまでの外仕事をまとめたコンピ盤『university of remix』を同時発売。11月13日(水)にはメジャーデビューEP『Don't Stop The Music』がリリースされる。

tofubeats HP
http://www.tofubeats.com/

五味岳久(写真右)
ロックバンドLOSTAGEのボーカル&ベース。地方発信/地域密着をモットーに、地元奈良を拠点に独自の活動を展開中。メジャー/インディーを問わず、様々なジャンルのアーティストとの親交も深い。2011年、結成10年目の節目に自主レーベルTHROAT RECORDSを設立、ミニアルバム『CONTEXT』をリリース。そして2012年7月にはフルアルバム『ECHOES』を発表し、『FUJI ROCK FESTIVAL'12』に初出演も果たした。

LOSTAGE HP
http://www.lostage.co/

五味岳久オフィシャルサイト
http://takahisagomi.com/

THROAT RECORDS
http://throatrecords.tumblr.com/

Interview

神戸郊外発インターネット経由世界行き
『lost decade』『university of remix』、
そしてメジャーへ!
若きクリエイターtofubeatsの
ルーツとスピリッツに迫る
撮り下ろし単独インタビュー&動画コメント

特設ページはコチラから!

Release

【tofubeats】

『Don't Stop The Music』
11月13日(水)

Don't Stop The Music

¥2,000(税込)/WPZL-30767
初回限定盤:CD+ソノシート

Don't Stop The Music

¥1,575(税込)/WPCL-11643
通常盤

<収録曲>
01. Don't Stop The Music
feat.森高千里
02. おしえて検索
feat.の子(神聖かまってちゃん)
03. 神戸で逢えたら
04. In Real Life
05. Don't Stop The Music
feat.森高千里(tofubeats URL mix)
06. Don't Stop The Music
(Instrumental)
07. おしえて検索
(Instrumental)
08. 神戸で逢えたら
(Instrumental)


lost decade

『lost decade』
発売中
¥2,100(税込)/QYTB-00001

<収録曲>
01. intro
02. SO WHAT!? feat.仮谷せいら
03. ALL I WANNA DO
04. Les Aventuriers feat.PUNPEE
05. Fresh Salad feat.SKY-HI
06. m3nt1on2u feat.オノマトペ大臣
07. I don't care
08. time thieves
09. 夢の中まで feat.ERA
10. old boys
11. No.1 feat.G.RINA
12. touch A
13. OMOI-DORI
14. synthesizer
15. 水星 feat.オノマトペ大臣
16. LOST DECADE feat.南波志帆
17. SO WHAT!?
(EXTENDED FULL POWER DIGITAL MIX!!)

 

university of remix

『university of remix』
発売中
¥2,500(税込)/SECL-1310

<収録曲>
01. MUD EBIS
(tofubeats DORO-EBIS remix)
02. Hey Ladies
(tofubeats 正体不明REMIX feat.オノマトペ大臣)
03. Rock you!
(tofubeats 1988 dub version)
04. 夏 wanna say love U
(tofubeats remix)
05. Kopernik
(tofubeats BXVTS remix)
06. パペピプ♪パピペプ♪パペピプポ♪
(tofubeats“SHAKE”remix)
07. テテ
(tofubeats remix)
08. sharp♯
(tofubeats remix)
09. Touch The Sky feat.VERBAL (m-flo) (tofubeats remix)
10. 艷姿ナミダ
(tofubeats BXVTS remix)
11. Did It Again
12. まったりしてしまったり
(tofubeats remix)
13. はじめまして、私。
(DJ NEWTOWN remix)
14. プチャヘンザ!

 

【LOSTAGE】

ライブ盤
『LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATTRO』

LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATTRO

発売中
¥2,800(税込)/DDCZ-1861
※CD2枚組紙ジャケット仕様

<収録曲>
01. BROWN SUGAR
02. 12
03. 断層
04. BARON
05. 言う
06. BLUE
07. DOWN
08. TOBACCO
09. あいつ
10. 真夜中を
11. 裸婦
12. 眩暈
13. 私
14. 僕の忘れた言葉達
15. 喉
16. 瘡蓋
17. 楽園
18. NAGISA
19. これから
20. HELL
21. カナリア
22. 夜に月
23. ペラペラ
24. 手紙
25. MINDJIVE
26. ひとり
27. NEVERLAND

Live

【tofubeats】

Pコード:208-877
『BOROFESTA vol.夜露死苦』
▼10月26日(土) 21:00

京都メトロ
前売-2500円(オールスタンディング、ドリンク代別途要)
[出演]踊ってばかりの国/tofubeats/neco眠る
/ときめき☆ジャンボジャンボ/HALFBY/
Sugar’s Campaign/PAMS/
小野真&小山内信介/odd eyes/BOGEY/
mogran’BAR DJs/土龍/TRIP MEN/他
※18歳未満は入場不可。要身分証明書。公演当日、BOROFESTA2013 大前夜祭のリストバンド、BOROFESTA2013のリストバンドもしくはチケット提示で500円返金。
[問]Live House NANO
[TEL]075-254-1930

Pコード:211-446
▼11月17日(日) 18:00

LIVE SQUARE 2nd LINE
オールスタンディング-2800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]Charisma.com
[ゲスト]tofubeats
※3歳以上は有料。
[問]清水音泉
[TEL]06-6357-3666

チケット情報はこちら

 

【LOSTAGE】

Pコード:208-003
▼10月14日(月・祝) 19:30

静岡Sunash
前売-2500円(別途ドリンク代必要。)
[出演]younGSounds/LOSTAGE/
THE WEMMER
[オープニングアクト]豆尖
[問]SUNASH
[TEL]054-288-0880

Pコード:211-819
▼10月18日(金) 19:00

HUCK FINN
前売-2500円(整理番号付・別途ドリンク代必要。)
[出演]Crypt City/LOSTAGE
[問]HUCK FINN
[TEL]052-733-8347

Pコード:208-624
『CITY NOISE FROM FUCKOKA 2013』
▼11月3日(日・祝) 12:00

VIVRE HALL
スタンディング-3000円(要1ドリンクオーダー。)
[出演]GINZA LIGHTS/PANICSMILE/LOSTAGE/
FUN☆ANA/toddle/クリプトシティ/
MO’SOME TONEBENDER/蝉/他
※出演:ギンザライツ/PANICSMILE/ゲバルト/
LOSTAGE/FUN☆ANA/toddle/クリプトシティ/
MO’SOM TONEBENDER/○菌(マルキン)/蝉
[問]BEA
[TEL]092-712-4221

Pコード:211-345
『THE END HAS NO END』
▼11月17日(日) 17:30

LIVE HOUSE Pangea
オールスタンディング-2500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]MEAT EATERS/8otto/LOSTAGE/
The SWAG/MORGUE SIDE CINEMA/他
[問]LIVE HOUSE Pangea
[TEL]06-4708-0061

チケット情報はこちら


[THREE THUMBS UP!]
▼10月12日(土)19:00

三軒茶屋 HEAVEN’S DOOR
前売-2300円+1drink
[出演]noodles/LOSTAGE/他
[問]HEAVEN’S DOOR
[TEL]03-3410-9581

LOSTAGE presents [SHOWNEN]
▼10月24日(木)19:30

新宿 NINE SPICES
前売-2800円+1drink
[出演]HUSKING BEE/LOSTAGE
[問]Nine Spices
http://9spices.rinky.info/

[SENDAI BIRDLAND 移転
5th ANNIVERSARY]
▼10月26日(土)17:00

仙台 CLUB JUNK BOX
前売-3000円+1drink
[出]SLANG/STOMPIN'BIRD/
DUB 4 REASON/KORRUPTION/
SPIKE SHOES/TASMANIANDEVIL NEVER DIE/CONVERSATION ZERO/LOSTAGE
[問]SENDAI BIRDLAND
[TEL]022-223-7926

[Crypt City Defect release tour]
▼10月19日(土)18:30

高松 TOONICE
前売-2000円+1drink
[出演]Crypt City/OUTATBERO/nim/
迷走ループ/LOSTAGE
[問]http://impulse-records.main.jp/toonice/

▼11月1日(金)
京都 METRO
[出演]Crypt City/LOSTAGE

Pコード:212-691
▼11月4日(月・休)19:00

広島・4.14
前売り-2500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]Crypt City
[共演]LOSTAGE/jailbird Y [DJ]GODBIRD/DAI
[問]STEREO RECORDS
[TEL]082-246-7983

▼11月9日(土)
長野 GRAMHOUSE
前売-2500円+1drink
[問]GRAM HOUSE
http://www.gramhouse.net/pc/top.html

▼11月10日(日)
静岡 FREAKY SHOW
前売-2500円+1drink
[出演]Crypt City/SPRING SUMMER/LOSTAGE
[問]FREAKY SHOW
http://freakyshow.net

▼11月30日(土)
旭川 MOSQUITO
[出演]Crypt City/LOSTAGE
[問]MOSQUITO
http://asahikwamo.exblog.jp/19369844/

▼12月1日(日)19:30
札幌 SPIRITUAL LOUNGE
前売-2500円+1drink
[出演]Crypt City/LOSTAGE
[問]SPIRITUAL LOUNGE
http://www.spirituallounge.jp

▼11月8日(金)18:30
奈良 NEVERLAND
前売-2500円+1drink
[出演]Crypt City/SPRING SUMMER/LOSTAGE
[問]NEVERLAND
http://nara-neverland.com

LOSTAGE 五味岳久がインタビュアーとなり、“今、気になる人”と会い、それぞれの生活圏から見えている景色や、これから見たい光景を語り、考える、連載企画『奈良からの手紙』。第5回はtofubeatsさんとの対談です。共通点もあれば相違点あり、二人の間に生まれた妙味もお楽しみください。

 

「CDは別に魂の対価では全くないし、
それを買ってくれるファンが偉いものでもない」(tofubeats)

 

五味岳久
(以下、五味)

今日はよろしくお願いします。今、神戸なんですよね?

tofubeats

そうです。生まれも育ちも神戸ですね。

五味

学校は?

tofubeats

今年卒業しました。

五味

今は何をしてるんですか?

tofubeats

今はフリーター(笑)。いや、一応、ミュージシャンということで。確定申告には「作曲家」って書いてます。

五味

東京行こうかな、とかは?

tofubeats

全然思わなくて。むしろアルバムを出して東京に住むとかベタやなって。

五味

行った方がやりやすくなるんじゃ?

tofubeats

めっちゃ思います。やりやすいし、数年ぐらいやったらご飯も楽に食えるやろうし、友達もいっぱいいるし、かわいい女の子もクラブにいていいなぁって思います。でもそれだけやなって。大学の時から何かしら毎月、東京に行ってて。

五味

音楽で?

tofubeats

そうなんです、DJで呼んでいただいたり。神戸であんまり人気がなくて、ずっと東京とか行ってて。ことあるごとに行ってましたけど、別に住むほどの街でもないなって思ってて。新幹線で行けるし、神戸でいいわって。神戸はいいところやし、うるさくないし、家賃安いし。東京もいいところがあるんですけど、東京に行くことが無理して決意表明する手段ではないと思って。

五味

今、神戸にいて、地元にフィードバックしようとか、そういうことは?

tofubeats

僕、地元にあんまり友達いないし、一人で曲を作ってるのでクルーもいなければ、フィードバックする地元もなくて。ずっと神戸に住んでるんですけど、中学校からは西宮の学校に行ってて。そのままそこの大学を出たんです。で、気がついたらこんなことになっちゃったんですけど、そういうところからスタートしているのでフィードバックするものはないというか。

五味

地元に対しての思い入れも…。

tofubeats

特になくて。だから好きになりたいとも思うんですよね、神戸のことを。神戸は街としては好きですけど、大事にしたいものがあるかっていうとそうでもなくて。

五味

ほかのインタビューと重複するかもしれないですけど、一人で音楽を作り始めたきっかけは何だったんですか?

tofubeats

ネガティブなことばっかり言いますけど(笑)、バンドを組む友達がいなくて…。最初ベースを買ってもらったんですよ、親に。でも友達がいないから1週間ですっと横に受け流して。それでリスナーになろうと思って、1年くらいして一人で音楽を作れるらしいぞということが分かって、やりだしたんです。それが分かったのもインターネットなので、一人 (笑)。『DJ親分のページ』というのがありまして、掲示板で“親分”に教わりました。

五味

ネットの中で?

tofubeats

はい。しかもベースより安かったんですよ、機材が。それでまた親にお願いして買ってもらって。

五味

それが何歳の時?

tofubeats

中学校2年生の時だから、9年前ですね。

五味

今、33歳なんですけど、僕も中学2年の時に通販で売ってるベースを親に買ってもらって…。

tofubeats

はいはい、『ジャンプ』の後ろとかに載ってる(笑)。

五味

そうです、そうです(笑)。それで練習して、音楽を作ってみたいな感じだったんです。始まり方は同じ感じですけど、僕の時はネットがなくて…。

tofubeats

僕は心が折れて、ベースをそっと横に渡して…。

五味

でも、いっぱいフィーチャリングされている人がいるじゃないですか。人と一緒に音楽を作る面白さとかは?

tofubeats

誰かと一緒にスタジオに入ったことは皆無です、このアルバム(『lost decade』)でも。

五味

データだけで?

tofubeats

そうです。中学校の時も、ラップをやってくれる友達もいなかったので、トラックを作って掲示板にアップして。どこの馬の骨かも分からへんヤツが乗せたラップをミックスして、いいなぁって言ってたのが今に至るっていう…。

五味

それってどこで完成するんですか?

tofubeats

僕らが「完成」って言った時、「オッケーかな~?」って言った時。完成って言った後も直せるので、「まあ、オッケーかな?」でとりあえず止めといて、自分用に直したりすることはあります。ネットでやる分は自由じゃないですか、アップしたい曲をアップすればいいので。

五味

前に、「最近、面白いことをやっている人がいるらしい」と聞いて知って、マルチネレコードのことを調べたんです。みみみとか聴いて、僕もダウンロードしたんですけど、最初はそこから出したんですか?

tofubeats

マルチネから出したのはキャリアとしては中盤ぐらいです。2008年に初めて出したんですけど、高校3年生の時で。中学校の時から始めてるので、そこそこネットでやって合流していった感じです。

五味

そこがきっかけで広がったっていう感じでもない?

tofubeats

広がったきっかけの一つですけど、どっちかっていうとホームみたいな感じで。高校1年生の時にネットでいろいろ配っていた中で、マルチネをやってる人とネットで知り合って。で、高校3年生の時に『WIRE』っていうテクノのイベントに出た時に、「それ用に作った曲をどっかに配信したいんだよね」って、元々知り合いだったマルチネの人に声をかけて。そしたら「じゃあ、うちで出しなよ」ってなって。それでdj newtownっていう別名義でマルチネから5枚くらい出しました。

五味

無料配信して、権利とか、そういうのも一切無視してやるわけじゃないですか。それで今は、こうやってアルバムを出して。その境目みたいなものは?

tofubeats

このアルバムもネットでは全部聴けるんですよ。携帯のアプリだったらCDの音質で落とせます。要は勝手にしてくれってことなんです。例えばCDは別に魂の対価では全くないし、それを買ってくれるファンが偉いものでもない。聴いてくれる人が偉いというか、そういうふうな時代になってるから、僕らが合わせなきゃいけない。CDはお金をもらうための手段の一つと思ってるので、僕の音楽を聴いて良かったと思うんやったら、僕にお金を落とすという意味でCDを買ってくれってことなんです。全部聴いていいと思ったら、データを持っていてもCDを買う。僕自体がそういう聴き方なので。フルで視聴できないと、その心意気だけで嫌いって思っちゃうというか(笑)、なんでフェードアウトしてんねんって思っちゃうから。これはラジカル過ぎではあるんですけど、これからはいいものにはお金を払うっていう価値観を作っていかないとダメだっていうのがあって。それは、ずっと一人でやってるから、曲を聴いてもらえるかどうかっていうのが自分の価値と直結してる。しかも神戸にいて、一緒に「これいいね」って言える友達もいない。となったらインターネットに上げて、返ってくる評価が自分のすべてじゃないですか。この10年、それをどういうふうにして得ていくかっていうことを誰よりも考えてやってきて、お金をもらうことのハードルの高さも実感としてあるので、少なくともお金を払うか否かということを選べる状況にしておきたいんです。買って後悔することがないようにしたいっていう思いもあって、今回はiTunes‎でもフル視聴できるようにしてるんです。そういうことはこれからもできる限り、権利の問題がなければやりたいんですけど、これからレーベルに入るのでできないかもしれない。そんなことをやっているメジャーレーベルもないので。となると、今のうちに全部やっておかないと。それで効果が出ることを証明するために全部フリーで出して。「でもアルバム売れますよね?」ということをちゃんと証明したかったんです。

五味

すごいっすね…。

tofubeats

それがマルチネとかの人の考え方というか。フリーで配るのも善意でやってるんじゃなくて、その先の評価とかを考えると、実際フリーで配るのが合理的だっていう結果に僕らはちゃんとたどり着いているんです。一口だけくれるのと1個丸ごとくれるのとでは、1個丸ごとくれた方が「ああ、ありがとう!」ってなるじゃないですか。そうなると「気前いいなぁ、じゃあお返しさせていただくわ」ってなるっていう。そういう感じです。

五味

自分より上の世代の人は、そうじゃない考え方の方が多いじゃないですか。そういう人を見て、自分らは新しいことをやってるっていう自負はある?

tofubeats

上の世代は上の世代で、その時OKだった考え方じゃないですか。だから別にいいと思うんですけど、これから考えないとねって思います。ただ、音楽をやるというのは、下の世代の見本になってないといけないなって思うんです。下の世代に「ああ、俺も音楽を作りたいな」って思われるのが一番、素晴らしいことだと思うんです。上の人がかっこいいことをやって、なおかつ今の音楽もちゃんと吸収していて、「そう来たか!」って思わせられることを毎回やってくれるとうれしいので。上の人がクラブとかで普通に女とイエーイとかやってたら、そんなもんかって思うだけで、かっこいいとは思わない。僕もちょっとくらいかっこいいと思ってもらいたいので、そういうことをしないとなって思います。

五味

僕の周りはバンドをやっている人が多いんですけど、自分の作った音楽をどうやってお金に換えるかとか、聴いてもらうためにはどうしたらいいかとか、そういうことを考えている人が少なくて。

tofubeats

むしろそっちの方が大事、作る音楽よりもどう聴いてもらうかを考える方が大事なんじゃないかって。バンドってお互いに評価できるじゃないですか。メンバー内で「これいいねー!」って言える。僕の場合は、曲の良し悪しは自分が決めるので…。昔からネットでやっていたせいで、そういうふうにしか決めれないところもあって。自分が作った音楽も“人が聴くもの”ってところから作り出すので。もちろん自分のエゴもあるんですけど、それよりも聴いてもらいたい方がでっかいので。聴いてもらえたらうれしいから、聴いてもらうためにがんばるとどうなるかみたいな話で。フリーで配るのもそういうことで、金云々よりも前にいろんな人に聴いてもらいたい。

五味

一人でやってて寂しい時とか、ないですか?

tofubeats

寂しいです。だからいっぱい聴いてもらいたくてフリーで配ってる。バンドの人と一緒になるたびに、楽屋とかで奥歯めっちゃ噛み締めてます。友達のバンドのツアー動画で、みんなでアメリカとか回ってるのを見ては「はぁ…」みたいな(笑)。“ともだち”ってノートに書いたりして(笑)。

五味

(笑)、摩擦はありますけどね。

tofubeats

そういうのはシメシメって思ってます(笑)。何が方向性の違いやねん、ボーカルと付き合ってるだけやろとか、そういう話は飲み屋とかではします (笑)。まあ、逆に言うと、任せられない病みたいなことになるんですよね。

五味

全部、自分でコントロールできないと嫌。

tofubeats

そうなんです。POSのチェックも自分でやって、インタビューのゲラも全部、赤(訂正)を入れたり。人からどう見られるか制御するのは自分っていうのがあって。今後、有能なブレーンがついてくれるはずなので、アレなんですけど(笑)。今はどっちかっていうと精神的な支えの方が大きいですね。俺がうーんってなってると、大丈夫、大丈夫みたいな。

五味

僕も全部自分でやりたい方で。レーベルやって、リリースもやって、最近は売るのもやろうと思ってレコード屋を作って。メジャーのレコード会社も、ちょっとやったことがあったんですけど、関わる人が増えていくじゃないですか。

tofubeats

自分でやってたら「ここは自分でも出来るな」っていうことに気づきますよね。

五味

めっちゃいるんですよ、「何しに来てん」っていう人が。これはおかしいなと思って。

tofubeats

この人のいつのギャラは俺らのがんばりで出るのかとか、すごい思っちゃうんですよね(笑)。

五味

そういうのがあって、全部自分でやるようになって。でもそしたら、「あの人、要ったな」とか、「あの人はこういう仕事をしてたんや」とかっていうのがだんだん出てきて。今、1周して素直になりかけてて。

tofubeats

僕はずっと自分でやってきて、今、ガッと増えてきたので、違和感を感じる事が多いのが現状ですね。

五味

これからはそういうところでやっていく。

tofubeats

そうなんですよね、任せないと。人に任せるストレスもこれからある。バンドもそうだと思うんですけど、誰かが失敗したら自分の名前が落ちるじゃないですか。tofubeatsのスタッフがくそやったみたいな話になると、結果、俺が悪かったみたいになるじゃないですか。それがめっちゃ嫌で、これからどうするかが問題っていうか。一番の不安はそこですかね。

tofubeats
マネージャーS氏

…辞めようかな。

tofubeats

数少ない良心が辞めようかなって!(笑)

 

「結局、聴いてくれる人が何に金を払うかっていうと
CDという物じゃなくて、やってる人間の考え方、スタンス」(五味)

 

五味

マルチネのレーベルオーナーのインタビューとかも読んでて、この世代と1つに括るのもアレなんですけど…すごいドライにやってる感じがして。

tofubeats

そうですね、バンドの人くらいじゃないですか?“行ったれ!!”みたいな感じでやってるのは。DJなんか1回やって3000円とかだし、アルバムを出すまで音楽でご飯食えるとか全然、思ってなかったですもん。僕、内定あったんです。卒業してからどのくらい出費があるのか計算したら、「こら無理や」と。「無理、無理」となって、「働こ、働こ」って。

五味

就職しようと。

tofubeats

はい。今回はこういうふうになったんですけど、そんな感じなので、まじめな話、28歳くらいまでかなって思ってます。音楽で何とかギリ食えるのが28かなって。30歳くらいをめどに考えたい。“何が何でも音楽”ってならなくていいかなって。毎月給料入ってたら、それはそれで音楽がやりやすいんちゃうかなって思うし。

五味

もし、サラリーマンになっても音楽は作っていく?

tofubeats

フリーで音楽を出すということを昔からやってきたので、そこに戻るだけっていうか。今はフィーバー中、確変みたいな。こんなおいしい時期は続かないと思うので、負けが込んできたら働かなくちゃいけないなって。

五味

そうか~。そうあるべきなのかもしれないですね。

tofubeats

そんなもんじゃないの?って思いますね。自分が10年前に好きやったアーティストを聴いてるかっていったら聴いてへんしなって。まあ、好きな人もいますけど。こんなことを言うと、それこそ自分より下の世代がどう思うかって話にはなるんですけど。

五味

でもそういうスタンスでやろうと思う人が残るというか。

tofubeats

そうですね、“お金がもらえたらうれしい”くらいの気持ちでやっていこうとは思います。

五味

僕、できることは大体やったつもりなんです。メジャーも行ったし、自主でもやって。店も作って。まあ、レコード屋って比較的音楽に近い仕事やけど、物を売る仕事やから音楽家となるとまた別の話になって。それでやっていけるかって言ったら、音楽だけで飯を食うのは多分、無理やなって思ってて、今は。

tofubeats

ですよね。僕もそう思います。

五味

めっちゃがんばってる若いヤツとかいるわけじゃないですか。バイトも死ぬほどやってて。だから、それを言ってしまうとそういうヤツに残せるものがなくなるってことが引っかかってて。でも自分は諦めてる。

tofubeats

逆に、お金が関係なくなってきた方が健全かもっていうのもあるんですよね。お金がリンクし出すのがよくなくて。スタッフとよく言ってるんですけど、「“楽しくない”が3ヶ月続いたら会議しよう」って。背に腹は変えられへんってなって楽しくないことをやるんやったら、元に戻ってやったらいいやんって。音楽をやってて、普通の人よりもお金もらわれへんくて、「あー、もう、しんどいしんどい!」と言ってるくらいなら、サラリーマンをやりながら何の心配もなく音楽を作った方が僕は楽しいと思うんです。音楽を作ることができて、しかも楽しいっていうことを守るっていう、それが一番大事と思いますね。例えば「tofubeats、なんか変な仕事とかしかやってへんらしいで」って言われても、音楽で飯食えて、作りたいものを作れてるんやったら、そっちの方がいいと思います。本音を言ったら金持ちから500万をバッと渡されて作れたりするのがベストなんですけど(笑)。

五味

……勉強になりました(笑)。僕はちょっと違いますけど、CDとして発売する前に収録した音源が勝手にアップロードされてネット上に出回った時があって。それでもそのCDは結構、売れたんですよね。出回った時はめっちゃ“うわ~”ってなって。あんまり免疫なかったから。でも結局、聴いてくれる人が何に金を払うかっていうとCDっていう物じゃなくて、やってる人間の音楽とか考え方、スタンスとかで。ちょっと違う道順ですけど、そういうことを僕も経験して。tofubeatsさんは“新世代”って言われてると思うんですけど、これからの音楽を作る人の価値観とかやり方、考え方は参考になりました。

tofubeats

分かってはることやと思うんですよね、口にしないだけで。僕らは若いからセンセーショナルっぽいことをやれるだけで、僕も30くらいになったらそういうことを言えなくなると思うんです。だから今のうちにインタビューとかでもめっちゃ言ったろとかって思ってて。ただ、言い過ぎて「こいつ、わけ分からんな」って思われるインタビューもあります (笑)。

五味

そうか…。地元、ホームを拠点に何かをやってるっていうのがこの連載の趣旨にはあって、そこに落しどころを作りたいんですけど……どうしましょう(笑)。

tofubeats

(笑)、さっきも言いましたけど、僕は神戸を好きになりたいっていうのがあって。

五味

そうか、そうか。そこにもってってもらえれば(笑)。

tofubeats

神戸が好きになりたいっていうのが一番で。神戸に居て、神戸でがんばって、それで「神戸の人です」って言ったらやっと、神戸の人から誉めてもらえるみたいな、そういうサイクルを作り出したいっていうのと、あとは東京に住んで、クラブミュージック作ってて、DJやってて、細身でメガネってベタじゃないですか。そら、こんくらいの規模で東京に行ったら中堅DJぐらいになりますよ。でも、それでは面白くない。天邪鬼なだけかもしれないですけど、今の東京のベタなクラブミュージックシーンの下についちゃうと、その人たちの一派になるというか。それではくそつまらんと。マルチネレコードみたいなところでちゃんとがんばっていこうと思うんだったら、そういうところの下につかないことが何より大事というか。「tofubeatsの『水星』めちゃいいよね」と言って近づいてくるよくわからない人と会いすぎない方法の一つとしても神戸に居るのはすごくいいというか。あとは、海があって、人があまりいなくて、パンもすごくおいしい。アイドルとかとレコーディングする時に、神戸のお菓子を持っていくと喜ばれる(笑)。

五味

普段は神戸にいるんですよね? 今はまだ“神戸最高”みたいな感じではない?

tofubeats

街自体は最高です。いい塩梅なんですよ、寂れてもないですし。日本の平均を考えると、東京よりも地方都市が多いのは当たり前じゃないですか。となると人口も都会に住んでる人より田舎に住んでる人の方が多い。10人に1人は東京に住んでますけど、残りの9人は地方に住んでるわけなので、地方に合わせて作るのがいいのかなって思います。

五味

そうか…東京に向けて発信しているわけじゃない?

tofubeats

東京の人に「神戸でもできるぞ、ざまーみろ」っていうのはあります(笑)。「神戸の人が1位獲ったぞ、シメシメ」みたいなのは。「お前らがシーンや思ってたやろ」っていうのはすごいあります。地方にいる人は誰でもあると思うんですけど、「音楽の中心は東京やと思いやがって」っていうのはあります。実際そうなんですが。だから地方にいるっていうのもあります。

五味

なるほど。反骨精神。

tofubeats

そうですね。神戸にいるとそれが持てる。

五味

この企画をやってると東京の人たちに嫌われていくかもしれない…。

tofubeats

(笑)、それはないんじゃないですか? 「神戸ってなんかいいね~」とか、東京の人は言うんですよ、勝手やから。「大阪盛り上がってるよねー」とか。上から言われますよね? 東京の人に。

五味

言われます。

tofubeats

言われますよね!? そういう時、どう思います?

五味

「いや、まあ、お前らよりかはがんばってるよ」って。

tofubeats

そうそう、地方で100がんばらなあかんところを、東京やったら10がんばっただけで同じ数の人が聴くじゃないですか。そういうこととか、もう、めっちゃ思います。

五味

そういうのを端折って言ってきますね。

tofubeats

そうなんですよ(笑)。ちょっと上から「がんばってるよね~」、「盛り上がってますよね~」みたいな。「ふざけんな、テメェ」ってすごい思います。

五味

僕、ちょっと、そういう視点が弱まってきてた。

tofubeats

あ、すみません、何か……。

五味

いやいや、僕もそういう感じで行きます。分かった、今。別に東京が嫌いっていうわけじゃないんですよ。「こっちでお前らよりがんばってる」ってことをバシって言えるところまで自分を持っていく。

tofubeats

「東京に住んでるだけで有名なDJと知り合ってるから、上からモノ言いやがって」みたいなことは、よく思う。

五味

思ってたんや(笑)。

tofubeats

基本的にモチベーションはそっちの方が大きいです。気持ちとしては。ハードコアラッパーへの反骨精神とかもあるので。

五味

いろんなものに対して…。

tofubeats

そうなんです。そもそも友達がいない当て付けをいろんな人にしてるっていう (笑)。

五味

それを思い返してもう1回、アルバム聴きながら帰ります。

tofubeats

また違った感じに聴こえると思います。……僕、何で今日、こんなに勢いがあったんか自分でも分からないです(笑)。

五味

食い気味で(笑)。でもすごい楽しかったです。ありがとうございました。

tofubeats

ありがとうござました。何かいろいろ、すみません。

五味

いや、めちゃいい話が聞けました。

 

 


取材:五味岳久(LOSTAGE)
撮影:渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)
企画:奥“ボウイ”昌史/高橋はじむ
企画・構成:岩本和子