ホーム > LOSTAGE 五味岳久の奈良からの手紙~LOVE LETTER form NARA~ > 第3回 BRAHMAN TOSHI-LOWさん
TOSHI-LOW(写真左)
95年に結成された、日本が誇る孤高にして最強のライブバンドBRAHMANのボーカリストであり、トラッド&ルーツ・ミュージックをアコースティック形態で奏でるOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDのメンバー。2011年の東日本大震災以降は、迅速にしてヒューマニズムに満ちた支援活動(救援物資の搬送や“幡ヶ谷再生大学”と称した被災地でのライブ活動など)によって、より多方面から注目と期待を浴びる。2月20日に、BRAHMANとしては5年ぶりのニューアルバム『超克』をリリースした。
BRAHMAN
http://www.brahman-tc.com/
五味岳久(写真右)
ロックバンドLOSTAGEのボーカル&ベース。地方発信/地域密着をモットーに、地元奈良を拠点に独自の活動を展開中。メジャー/インディーを問わず、様々なジャンルのアーティストとの親交も深い。2011年、結成10年目の節目に自主レーベルTHROAT RECORDSを設立、ミニアルバム『CONTEXT』をリリース。そして2012年7月にはフルアルバム『ECHOES』を発表し、『FUJI ROCK FESTIVAL'12』に初出演も果たした。
LOSTAGE HP
http://www.lostage.co/
五味岳久オフィシャルサイト
http://takahisagomi.com/
THROAT RECORDS
http://throatrecords.tumblr.com/
声を上げる覚悟はあるか――?
震災を越えたどり着いた
5年ぶりのアルバム『超克』、
『AIR JAM』復活の舞台裏etc
対談前に行われたまさかの裏話満載の
TOSHI-LOW公開インタビュー!
【BRAHMAN】
5th Full Album
『超克』
初回限定盤: CD+DVD
[初回特典 DVD内容]
・LIVE at AIR JAM 2012 :全12曲
BONUS TRACKS
・MV:初期衝動
・MV:警醒
¥3,500(税込)/TFCC-86425
通常版: CD
¥2,625(税込)/TFCC-86426
<収録曲>
01. 初期衝動
02. 賽の河原
03. 今際の際
04. 俤
05. 露命
06. 空谷の跫音
07. 遠国
08. 警醒
09. 最終章
10. Jesus Was a Cross Maker
11. 鼎の問
12. 霹靂
13. 虚空ヲ掴ム
【LOSTAGE】
ライブ盤
『LOSTAGE AT SHIBUYA CLUB QUATTRO』
4月3日(水)リリース
¥2,800(税込)/DDCZ-1861
※CD2枚組紙ジャケット仕様
<収録曲>
01. BROWN SUGAR
02. 12
03. 断層
04. BARON
05. 言う
06. BLUE
07. DOWN
08. TOBACCO
09. あいつ
10. 真夜中を
11. 裸婦
12. 眩暈
13. 私
14. 僕の忘れた言葉達
15. 喉
16. 瘡蓋
17. 楽園
18. NAGISA
19. これから
20. HELL
21. カナリア
22. 夜に月
23. ペラペラ
24. 手紙
25. MINDJIVE
26. ひとり
27. NEVERLAND
【BRAHMAN】
『Tour 相克』
▼3月18日(月)18:30
山形ミュージック昭和Session(山形県)
[ゲスト]next
▼3月20日(水・祝)18:00
club change WAVE(岩手県)
[ゲスト]RAPPA
▼3月22日(金)19:00
Club SWINDLE(秋田県)
[ゲスト]QUATTRO
▼3月23日(土)18:00
Quarter(青森県)
[ゲスト]QUATTRO
▼3月25日(月)19:00
仙台Rensa(宮城県)
[ゲスト]恒正彦
▼3月26日(火)19:00
Hip Shot Japan(福島県)
[ゲスト]The FRIDAY
▼3月29日(金)19:00
水戸ライトハウス(茨城県)
[ゲスト]笠間コブラ会
Pコード:188-925
▼4月5日(金)19:00
SOUND SHOWER ark(静岡県)
前売-2500円
(整理番号付・別途ドリンク代必要)
※中学生以上有料。
▼4月10日(水)19:00
Zepp Nagoya(愛知県)
[ゲスト]九狼吽
1Fスタンディング-2500円
(整理番号付・別途ドリンク代必要)
2F指定-2500円(別途ドリンク代必要)
※中学生以上有料。
▼4月12日(金)19:00
EVENT HALL club-G(岐阜県)
前売-2500円
(整理番号付・別途ドリンク代必要)
※中学生以上有料。
[問]ジェイルハウス
[TEL]052-936-6041
Sold Out!!
▼4月7日(日)18:00
長野CLUB JUNK BOX(長野県)
▼4月20日(土)18:00
金沢EIGHT HALL(石川県)
▼4月21日(日)18:30
NIIGATA LOTS(新潟県)
[問]キョードー北陸チケットセンター
[TEL]025-245-5100
Sold Out!!
▼4月18日(木)19:00
横浜BLITZ(神奈川県)
▼4月23日(火)19:00
高崎 club FLEEZ(群馬県)
[問]スマッシュ
[TEL]03-3444-6751
Sold Out!!
▼5月3日(金・祝)19:00
ウィンターランド
▼5月12日(日)18:00
KYOTO MUSE
[問]GREENS
[TEL]06-6882-1224
Pコード:189-038
▼5月1日(水) 19:00
Zepp Namba(大阪府)
1Fスタンディング-2500円
(整理番号付、ドリンク代別途要)
2F指定席-2500円(ドリンク代別途要)
※中学生以上は有料。小学生以下は保護者同伴に限り入場無料。但し、Zepp Nambaの2F指定席は、お席が必要な場合は有料。
[問]GREENS
[TEL]06-6882-1224
Sold Out!!
▼5月5日(日・祝)18:00
club GRINDHOUSE(徳島県)
Pコード:188-673
▼5月6日(月・休)18:00
高松MONSTER(香川県)
スタンディング-2500円
(整理番号付、ドリンク代別途要)
※中学生以上は有料。
[問]デューク高松
[TEL]087-822-2520
Pコード:188-674
▼5月8日(水)19:00
高知X-pt.(高知県)
スタンディング-2500円
(整理番号付、ドリンク代別途要)
※中学生以上は有料。
[問]デューク高知
[TEL]088-822-4488
Pコード:188-675
▼5月10日(金)19:00
松山サロンキティ(愛媛県)
[問]デューク松山
[TEL]089-947-3535
Pコード:188-675
▼5月17日(金)19:00
Zepp Sapporo(北海道)
[ゲスト]MAN WITH A MISSION
[問]スマッシュ・イースト
[TEL]011-261-5569
Sold Out!!
▼5月24日(金)19:00
広島クラブクアトロ(広島県)
[問]夢番地広島
[TEL]082-249-3571
Pコード:188-879
▼5月26日(日)18:00
米子laughs(鳥取県)
▼5月28日(火)19:00
CRAZYMAMA KINGDOM(岡山県)
オールスタンディング-2500円
(整理番号付、ドリンク代別途要)
※中学生以上はチケット必要。
[問]夢番地岡山
[TEL]086-231-3531
Pコード:189-233
▼5月30日(木)19:00
宮崎SR BOX
▼5月31日(金)19:00
鹿児島CAPARVOホール
オールスタンディング-2500円(整理番号付)
▼6月2日(日) 18:00
Zepp Fukuoka
1Fスタンディング-2500円(整理番号付)
2F指定-2500円
※要1ドリンクオーダー。中学生以上はチケットが必要。
[問]キョードー西日本
[TEL]092-714-0159
Pコード:194-398
▼6月8日(土) 18:00
幕張メッセ 国際展示場
オールスタンディング-2999円
(ブロック指定/ドリンク代別途必要)
[問]スマッシュ
[TEL]03-3444-6751
※小学生以下は保護者同伴に限り無料。
※Pコード表記のないものはチケットぴあ取扱の前売り券完売。
【LOSTAGE】
『ARABAKI ROCK FEST.13』
Pコード:780-463
▼4月27日(土)・28日(日)
みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく
2日通し券-14000円
2日通し4人券-48000円(4名同時入場)
4月27日券-8000円
4月28日券-8000円
[問]G・I・P
[TEL]022-222-9999
※出演者等詳細は公式サイトまで。
『ARABAKI ROCK FEST.13』
http://arabaki.com/
きのこ帝国
Pコード:192-827
▼4月19日(金) 19:00
北堀江club vijon
オールスタンディング-2500円
(整理番号付、ドリンク代別途要)
※3歳以上は有料。
[問]GREENS
[TEL]06-6882-1224
RED SNEAKERS
Pコード:196-903
▼5月6日(月・休)18:00
Shangri-La
自由-2000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]LOSTAGE/and Young.../他
[DJ]有
[問]Shangri-La
[TEL]06-6343-8601
4月13日(土)10:00~一般発売
デズモンド・アンド・ザ・チュチュス
Pコード:197-772
▼5月22日(水)19:00
池下CLUB UPSET
スタンディング-3500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[共演]8otto/LOSTAGE
[問]池下CLUB UPSET
[TEL]052-763-5439
Pコード:780-492
『下北沢サウンドクルージング』
▼5月25日(土)
下北沢サウンドクルージング各会場
DAY/NIGHT 通し券-6000円
(ドリンク代別途必要)
[問]サンライズプロモーション東京
[TEL]0570-00-3337
※出演者等詳細は公式サイトまで。
『下北沢サウンドクルージング』
http://soundcruising.jp/
『LOSTAGE presents FEVER 4th Anniversary " KNNN 2013 "』
▼4月25日(木)
LIVE HOUSE FEVER
前売-2800円 当日-3300円(ドリンク別)
[出]LOSTAGE/fresh!/skillkills
[DJ]LEF!!!CREW!!!
[問]FEVER
[TEL]03-6304-7899
『SOUL CRAZE 2013』
▼4月29日(月・祝)18:00
F.A.D 横浜
前売-2800円 当日-3300円(ドリンク別)
[出]LOSTAGE/cinema staff/他
[問]F.A.D 横浜
[TEL]045-663-3842
LOSTAGE 五味岳久がインタビュアーとなり、“今、気になる人”と会い、それぞれの生活圏から見えている景色や、これから見たい光景を語り、考える、連載企画『奈良からの手紙』。第3回はBRAHMAN TOSHI-LOWさんとの対談です。今回は大阪のFLAKE RECORDSにて、公開形式でのインタビューとなりました。
「“自分たちでこうやってやっていくんだよ”って教わって、
“バンドってカッコイイな”って思った」(TOSHI-LOW)
五味岳久
(以下、五味)
では、始めさせていただきます。よろしくお願いします。
TOSHI-LOWさんは茨城の水戸出身で…。
TOSHI-LOW
そう。栃木と群馬には勝ってると思うよ。海があるから(笑)。お正月は、栃木とか群馬のヤンキーが正月暴走で茨城の海を見に来るわけ。初日の出。その車をひっくり返すのが茨城の若人の正月だった。日本で2番目ぐらい高いヤンキー率だったんだよね。
五味
ヤンキーだったんですか?
TOSHI-LOW
中学の時、ラッキーなことにバンドマンっていう新しいタイプの不良が出てきたの。その時に俺はバンドマンという不良になりたいなって思って。
五味
じゃあ、その頃からバンドマンに…。
TOSHI-LOW
俺が住んでた水戸っていう街は、駅から20メートルくらい行くとBABA COOLっていう洋服屋さんがあって、そこはモッズの溜まり場なの。15人とかのチームがあって。その先にユニーっていうスーパーがあって、その前にスケーターがいたの。スケーターも20人くらいの集団だったわけ。その奥にMito LIGHT HOUSEっていうライブハウスがあって、そこに溜まってたパンクスの集団が俺たちなの。で、それを囲むように5団体くらいの暴走族がいたの。だから『(疾風伝説)特攻の拓』の抗争図みたいな感じになっていくわけ。で、高1くらいから、いろんな人とケンカをする。高2になると「お前、誰々の友達だよね?」っつって、高3では「みんなで飲みに行こう!」ってなる。
五味
水戸にはいつまでいたんですか?
TOSHI-LOW
高3。でも、高3の夏の時にはもうバンドは終わってた。やってなかった。
五味
その後はどこかに?
TOSHI-LOW
東京。進学で。高2の時に数学で0点取って先生に呼び出しをくらって。「もう学校を辞めてください」って言われて。「どうせアンタ馬鹿なんだから、進学関係ないんだし、邪魔だから辞めてもらった方がいい」って言われたのが悔しくて。どっちにしろ、もう1回赤点取ったら留年になっちゃうから、そしたら大学生のパンクスの友達が“悔しいなら勉強して一番になって辞めれば”って。で、その人の家で一月くらいずっと、教えてもらって。そしたら数学だけ学年で2番になって。テスト範囲だけ勉強したから。でも勉強したらできるじゃんと。で、バンドも終わっちゃったから、他の人に「どうしたらいい?」って言ったら「うーん、大学行けば?」みたいな感じで言われて、じゃ、行こうかなって勉強し始めた。
五味
で、大学に?
TOSHI-LOW
行けた。
五味
で、東京に?
TOSHI-LOW
来ちゃった(笑)。
五味
東京でバンドをまた始めたんですか?
TOSHI-LOW
初めは地元のギターのやつと一緒にバンドをやっていて、新宿Antiknockとかでライブやってて。そこにうちの(今の)リズム隊のバンドが長野から来てて。「どうにかならんもんかな」って話してて、「一緒にやろうよ」ってなって、同じ日にそれぞれのバンドを解散したんだよ。それで、俺の方半分とRONZIのところ半分とでBRAHMANを結成して。それが95年。
五味
ほ~……。ということは、BRAHMANというチームというかグループ…。
TOSHI-LOW
族?
五味
(笑)。そこで結成されたんですね。地元のバンド界隈の人たちとのつながりはあるんですか?
TOSHI-LOW
ある。毎年、新年会もしてるよ。地元で教わったことも多い。俺が高1の時に高3の先輩がクラブイベントとか始めて、東京スカンクスとか呼んだりして。で、チンピラみたいなのが「うるせー!」とか言ってライブハウスに乗り込んできて、それを高3の先輩たちが「帰ってくれ」って。ボコボコにぶん殴られながら。俺たちは怖くて横で見てて。でも“自分たちでこうやって、やっていくんだよ”って教わって、“バンドってカッコイイな”って思ってたんだよね。何かやりたかったら自分たちで居場所を作ればいいし、企画をすればいいという原風景というか。そういうものが来ても自分たちで跳ね除けていく力とか、あるんじゃねぇのってことを教わった気がするね。
五味
なるほど…。あの、TOSHI-LOWさんがバンドを始めた当時って、『AIR JAM』とか、ああいうムーブメントがあったじゃないですか。僕もそれがあったからバンドを始めたんですけど、どのタイミングで「俺はこれで生活していける」って思ったんですか?
TOSHI-LOW
98年の『AIR JAM』に出るまでバイトしてたんだけど、できればバイトしたままの方がいいなぁって思ってた。
五味
バンドだけになるより?
TOSHI-LOW
うーん。何か音楽だけで食べていくっていうことが正義っていう時代じゃなかったから。メジャーに行ったら「魂売った」とかすげー批判される時代だったから。だから、このままがいいなって思ってたんだけど、結局ツアーとか出ると、どうしようもねぇじゃん。シフトに穴あけちゃうから。だったらバイト辞めるしかねーなーみたいなさ。で、結局、そういうふうになって、がっつり行ったのは99年くらいかな。
五味
何かあったんですか?
TOSHI-LOW
いや、ただの流れだよ。何年か遅かったら違うと思うし、早くても…。努力とか才能とか、そんなことじゃなくて、タイミングだと俺は思う。ただ、タイミングを掴むのもやってなきゃダメだし、運を掴むにも努力は必要だとは思うよ、基本的には。だけれども偉そうに自分の力でそれを掴んだとは思わない。タイミングが良かっただけなんじゃないの?
五味
BRAHMANが音楽1本でやっていこうとなった99年の時点では、事務所も自分たちで立ち上げたんですか?
TOSHI-LOW
やったよ、自分たちで。自分たちでやんないと納得できない、腑に落ちないなと思って。
五味
事務所をやるにあたっての危機はなかったんですか?
TOSHI-LOW
インディーの1枚目で、前のとこともめて訴えられたりとかさ。その前に出してたインディー盤の印税をもらえなかったりとか…。元祖やられちゃったみたいなところがあるから。LOSTAGEもちょっとやられちゃったでしょ? 自主で出したのに流出しちゃったみたいな。
五味
あ~そうですね。
TOSHI-LOW
すごい大変だなぁって思いながら見てたよ。
五味
……僕のこと、何でも知ってますね。
TOSHI-LOW
…俺、男が好きだったら今日は完全に(五味を)持ち帰りコースだよ! ……思い出した。今日さ、お尻の穴が切れてさ。すごい真っ赤。すごい真っ赤よ。びっくりした。
五味
僕もなんですよ。
TOSHI-LOW
切れ? 俺は「なんじゃこりゃあ!!」っていう量が出ちゃったよ。切れて。本当にもう、真っ赤っかで。気になるから、ラジオ局に行った時に“ウォシュレット”しようとしたら、水圧めちゃくちゃ強くて。飛び上がってさ。痛って~!!!!っつって。水ってすごいね。
五味
柔らかっていうモードじゃないと…。
TOSHI-LOW
こないだね、飲んでたの。でも気持ち悪くて途中で帰って、家で便座に寄りかかってゲェ~ってやってたら、あれがウィーンって出てきてさ、顔にシャー!!ってドリフみたいになって。“これ、ちょ~面白いんだけどー!”って思って。“これ、Ustできねぇかな”って。
五味
ウォシュレットがお尻の穴って認めたってことですか。
TOSHI-LOW
照準を合わせられた。
五味
あれ? 俺、何の話…。
TOSHI-LOW
五味のお尻の穴の話だよ。ぴあだって全然、お尻の穴だって載せられるよ?
五味
載るんですか?
TOSHI-LOW
写真だって接写すれば菊の紋みたいになるから分かんないよ。ねぇ? ぴあは大丈夫ですよね?
五味
……。
TOSHI-LOW
まさか連載が3回で終わるなんてね。びっくりするよね。
「仲間が出来て初めてバンドを組んで、ガーンって音を鳴らした時の、
ああいうものがすべてなんじゃないかな」(TOSHI-LOW)
五味
…ちょっと展開が急ですけど、今も結成当時の感じと変わらずにバンドをやれている、その秘訣は…。
TOSHI-LOW
去年のお正月かな、fandangoでidolpunchとライブやったあと、前の焼肉屋さんでRONZIとKOHKIがぶん殴り合いをした時、まだ行けるなって思ったね。衝動っつうかさ。ほら、大人になるとなぁなぁになってくるじゃん。そこが譲れねぇってなって、ガーンとなって。
五味
そういうことがあるうちは…。
TOSHI-LOW
(idolpunchの)Raccoが止めに入ったんだけど、Raccoは「うらやましい」と。20年近くやっててぶん殴り合いやるのはすげぇことだよって。確かにそうだなって思って。
五味
それはすごい。うらやましいです。…結成19年目で。あの…、『超克』でアルバム6枚目ということですが、ちょっと少ない気がするんですけど…。
TOSHI-LOW
少ないって言ったでしょ、6枚目って。
五味
はい。
TOSHI-LOW
……5枚目です。
五味
5枚目? さらに少ないってことですか。
TOSHI-LOW
そうです。だからもう曲とかじゃなくて、RONZIとKOHKIのぶん殴り事件とか、そういう面白いことを生み出しているとすれば、結構生み出していると思うよ? 多分、他のバンドより面白い話あると思うよ?
五味
そうですね…。ライブもあるし、ツアーもあるし、トピックもあるというのは、もちろん活動しているからであって、アルバムが少ないっていうのは別に…。あの、ちょいちょいまじめな話を挟んでいきたいんですけど…。海外ツアーとかにもよく行っておられると思うんですけど、結構細かく廻るんですか?
TOSHI-LOW
恵まれた国ばっかり行ってるわけじゃないけど、今となっては普通になった部分ってある。けど、大変だったよ、すごい。人種差別じゃないですかみたいな。アンプ貸してくれないとか。いろんなことあったし。でもそれを乗り越えていくと、邪魔してたヤツがライブ終わったあとに「お前ら、すごい良かった! ビール飲めよ」みたいな感じになるわけ。そういうのも楽しかったよ、すごく。
五味
何で海外に行くんですか?
TOSHI-LOW
呼ばれたから。(こっちと)変わらない変わらない。
五味
地元に、自分の街にBRAHMANを呼びたいっていう人がいる?
TOSHI-LOW
いるんだよね、だから。元々いるじゃん、地方、地方にさ。企画屋みたいなヤツが昔はいっぱいいたじゃん。そういう人が呼んでくれたから初めて九州に行って…とかさ。
五味
今でも結構小さいハコとか廻るじゃないですか。それは何でなんですか?
TOSHI-LOW
自分のコンプレックスもあって。水戸にLIGHT HOUSEができた時、誰も廻ってくれなかったし、それこそ呼ばなかったら来てくれないような街だったから。だからもう、県庁所在地みたいな大きい街じゃなくても、ライブハウスがあるんだったら行っちゃおう、やっちゃおうかなっていうのがあって。
五味
そこにいる人のためにですか?
TOSHI-LOW
そこに昔の自分みたいなヤツがいるんじゃねぇかなぁと思って。だったら行っちゃったほうがいいじゃん。
五味
何でBRAHMANはそういうことをやってんのかなって。それこそめちゃめちゃでっかいところでやるわけじゃないですか。お客さんも集まるし。地方の小さいライブハウスを細かく廻るのって何かあるのかなと思って。
TOSHI-LOW
その町に行かないと分かんないことってあるじゃん。その町に行って匂いを感じて帰ってくる。全然違うよね。同じ関西でも全然違うじゃん。腐りかけた町みたいなところに行くとさ、キュンキュン来るんだよね。シャッター街!!って。もうこれ、どう復興するんだろうって。何も感じられない町とか。だけどライブハウスがあって、バンドマンがいて。何かそれは捨てたもんじゃないと思っていて、そこで蒔かれる種は悪くないんじゃねぇの?って。それも訳分かんねぇバンドが行くんじゃなくて、でかいところもできるからこそ、その町に行くっつうか。
五味
うん…。カッコイイと思います。
TOSHI-LOW
そんな誉められたらうれしいねぇ…。
五味
そういう感じで全国を廻ることは、なかなかできないと思うんですよね。できれば僕もやりたいんですけど、集客のこととか、仕事があって長期のツアーに出られませんとか、そういうことがあって。
TOSHI-LOW
一緒に行こうよ。
五味
いや…行ってみたいですけど、ちょっと怖い。
TOSHI-LOW
何にもしないよ。何もしないから怖くない(笑)。
五味
…そういうやり方とかすごくカッコイイって思うんですよ。大きいフィールドでやってる人らが、僕らがやっているようなどさ回りというか、今までやってたことを忘れずにやってることが。今もそういう気持ちを忘れずにやれている理由って何ですか?
TOSHI-LOW
自分が楽器を持った時の一発目の衝動とか、ステージに上がった時の衝動、仲間が出来て初めてバンドを組んで、ガーンって鳴らした時の、ああいうものがすべてなんじゃないかなと思って。すごくいびつで、出来損ないみたいなものなんだけど、そういうものに自分の大事なものが詰まってんじゃないかなと思って、それをいかに形を壊さず、持つか。大人になってもそんな子どもじみたものを持つっていう、その持ち方には大人としての技術がすごく要るんじゃないかと思うわけ。すぐ壊れてしまうから。で、もう自分にはそんなものも無くなっちゃったのかなって思ってたんだけど、震災があって、音を鳴らしていいかどうか分からんくらい日本がガーッと揺れた瞬間の次の次の日くらいにスタジオに入って、“いっせいのせ”でバーンっと出した音に心が本当に、震えてさ。俺が15の時に出したあの衝撃みたいなものを感じて、“ああ、俺がやりたいことはこういうことなんじゃないかな”って思い出したし、取り戻した感覚がすごくあって。だったらもう二度とこれを離したらいけないんじゃないかなと思って。その「初期衝動」なんてちょ~だっせ~タイトルしかつけられないくらい、その言葉が自分の中で刺さったんだよね。
五味
……。
TOSHI-LOW
……ダメ?
五味
いや、何も言うことがないです…。今日、初めてちゃんとお話したんですよね。今までは挨拶したくらい。あとは、ちょっと嫌味を言われたくらい…(笑)。
TOSHI-LOW
何言ってた?
五味
何言ってたか…。似顔絵がどうのこうのって言われて、ちょっと脅迫じみたメールが来て…(笑)。でもちゃんとこう、まともに話をしたことがなかったので…。
TOSHI-LOW
文字だけになると怖いよね、確かに。
五味
今も怖くないかといったら怖いですけど、皆さんの前ですけど、ゆっくり話せてよかったです。ちょっと思ってたテーマで話せなかったかもしれないけど…。もう、アレなんですけど、話せてよかったです。僕個人的にはいい話を聞けてよかったです。
TOSHI-LOW
それってあんま実がなかったってことじゃないの?(笑)
五味
(笑)いや、TOSHI-LOWさんなりの愛情表現だと、僕はそういうふうに受け止めたんですけど、刺さる部分はありました。今日はありがとうございました。
TOSHI-LOW
ありがとう。
取材:五味岳久(LOSTAGE)
撮影:河上良(bit Direction lab.)
企画:奥“ボウイ”昌史/高橋はじむ
企画・構成:岩本和子