ホーム > LOSTAGE 五味岳久の奈良からの手紙~LOVE LETTER form NARA~ > 第2回 Ken Yokoyamaさん
Ken Yokoyama(写真右)
1991年、Hi-STANDRDを結成。日本にメロコアシーンを根付かせ、2004年からはソロとして活躍。現在はBBQ CHICKENSのギタリストでもあり、ハイスタ時代からの自主レーベルPIZZA OF DEATH RECORDSの代表取締役社長も務める。2児の父でもありながら、今なおパンクスピリッツで日々邁進する、日本の音楽シーンにおける最重要人物の1人。2011年にはHi-STANDRDが11年ぶりに再始動。多くのロックファンを感激させた。
PIZZA OF DEATH RECORDS
http://www.pizzaofdeath.com/
五味岳久(写真左)
ロックバンドLOSTAGEのボーカル&ベース。地方発信/地域密着をモットーに、地元奈良を拠点に独自の活動を展開中。メジャー/インディーを問わず、様々なジャンルのアーティストとの親交も深い。2011年、結成10年目の節目に自主レーベルTHROAT RECORDSを設立、ミニアルバム『CONTEXT』をリリース。そして2012年7月にはフルアルバム『ECHOES』を発表し、『FUJI ROCK FESTIVAL'12』に初出演も果たした。
LOSTAGE HP
http://www.lostage.co/
五味岳久オフィシャルサイト
http://takahisagomi.com/
THROAT RECORDS
http://throatrecords.tumblr.com/
音楽に何が出来るのか、音楽で何が出来るのか
震災復興、ハイスタ、『AIR JAM』、
そして新作『Best Wishes』
Ken Yokoyamaが3.11以降の全てを語る!
日々を戦う全ての皆に贈るインタビュー
【Ken Yokoyama】
5th Full Album
Ken Yokoyama
『Best Wishes』
¥2,300(税込)/ PZCA-59
<収録曲>
01. We Are Fuckin' One
02. You And I,Against The World
03. Soul Survivors
04. Not A Day Goes By
05. This Is Your Land
06. Ricky Punks III
07. Everybody's Fighting
08. Sold My Soul To R 'N R
09. I Can't Be There
10. Good Bye For A While
11. Save Us
12. If You Love Me (Really Love Me)
【Ken Yokoyama】
▼1月18日(金)19:00
なんばHatch(大阪府)
[ゲスト]SAND
[問]SMASH WEST
[TEL]06-6535-5569
▼1月19日(土)19:00
CRAZYMAMA KINGDOM(岡山県)
[ゲスト]HEY-SMITH
[問]夢番地岡山
[TEL]086-231-3531
▼2月3日(日)19:00
KYOTO MUSE(京都府)
[ゲスト]SCOTLAND GIRL
[問]SMASH WEST
[TEL]06-6535-5569
Pコード:182-914
▼1月24日(木) 19:00
DRUM Be-7(長崎県)
▼1月25日(金) 19:00
DRUM LOGOS(福岡県)
▼1月27日(日) 18:00
鹿児島CAPARVOホール
▼1月28日(月) 19:00
DRUM Be-9 V1(熊本県)
▼1月30日(水) 19:00
DRUM Be-0(大分県)
スタンディング-2500円(要1ドリンクオーダー/整理番号付)
※1/24(木)・25(金)・27(日)公演は完売。
[問]キョードー西日本
[TEL]092-714-0159
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1月26日(土)10:00~一般発売
Pコード:189-350
▼2月10日(日)19:00
横浜ベイホール(神奈川県)
スタンディング-3000円(ドリンク代別途必要)
[ゲスト]有
[問]スマッシュ
[TEL]03-3444-6751
※未就学児童は無料。13歳未満は保護者同伴に限り入場可。
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※Pコード表記のないものはチケットぴあ取扱の前売り券完売。
【LOSTAGE】
『agartha20130202』
Pコード:189-646
(2/1(金)23:59まで販売)
▼2月2日(土)18:30
LIVE HOUSE Pangea(大阪府)
[出演]SPREAD/LOSTAGE/ATATA
[DJ]DAWA
オールスタンディング-2500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[問]LIVE HOUSE Pangea
[TEL]06-4708-0061
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『uri gagarn』
Pコード:191-077
(2/9(土)23:59まで販売)
▼2月11日(月・祝)18:30
Fandango
[共演]LOSTAGE/OUTATBERO
オールスタンディング-2500円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[問]Fandango
[TEL]06-6308-1621
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The SALOVERS
『LOVER MATCHシリーズ 対バンツアー』
Pコード:186-351
(2/12(火)23:59まで販売)
▼2月15日(金)19:00
神戸 太陽と虎(兵庫県)
[共演]LOSTAGE
オールスタンディング-2800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888
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『“大Z祭”~Z会最終公演~』
Pコード:188-609
(2/14(木)23:59まで販売)
▼2月16日(土)14:30
Shibuya O-EAST(東京都)
[出演]Z/クリプトシティ/
Dub Magus From Beirut
/LOSTAGE/
M.A.S.H+井野信義/NICE VIEW/Ropes/
skillkills/セノオGEE/9dw
スタンディング-3500円(ドリンク代別途必要)
[問]Shibuya O-EAST
[TEL]03-5458-4681
チケット情報はこちら
『turn it off~ヤング・ゼネレーション~』
Pコード:189-615
(2/22(金)23:59まで販売)
▼2月23日(土) 19:00
GROWLY
[出演]bed/LOSTAGE/ピアノガール
オールスタンディング-2000円(ドリンク代別途要)
[問]GROWLY
[TEL]075-366-6369
チケット情報はこちら
★『ARABAKI ROCK FEST.13』にも出演決定!!
詳細は後日発表です。
LOSTAGE 五味岳久がインタビュアーとなり、“今、気になる人”と会い、それぞれの生活圏から見えている景色や、これから見たい光景を語り、考える、連載企画『奈良からの手紙』。第2回は五味岳久がバンドを始めるきっかけとなった憧れの人、Ken Yokoyamaさんとの対話です。
「“俺の考えてること間違ってないかもしれない”って
ちょっと背中を押してもらったというか…」(五味)
五味岳久
(以下、五味)
まだ(インタビューに)慣れてないので、至らないところもあるかと思いますが…。
Ken Yokoyama
(以下、Ken)
全然です!
五味
僕は地元が奈良なんですけど、地方都市で活動する立場で、いろんな人の活動のスタンスとか、ホームに対しての意識を感じられる話ができたらというテーマがこの連載にはあるんですけど…、まず、Kenさんの出身地は東京ですか?
Ken
東京。
五味
東京生まれ、東京育ちですか?
Ken
そう。東京生まれの東京育ちで、悪そうな奴らは大体(笑)。
五味
大体(笑)。東京にいる人って「ここが俺のホーム」っていう感覚はあるんですか?
Ken
あるある。俺、杉並区っていうところで育って。杉並区って何もない住宅地なんだけど、地元意識はすごいあるなぁ。
五味
今でも?
Ken
今でも。今でも俺、そのエリアに住んでるのね。昔は目黒区だの、世田谷区だのに住んでたこともあったんだけど、あんまり性に合わなかったというか。
五味
最終的に帰ってきたんですか?
Ken
そうそう。
五味
落ち着きますか?
Ken
そうだね。自分が家族を作るとやっぱり、そこに住みたいなって思っちゃって。そこには、音楽の「お」の字もカルチャーの「か」の字もないけどね。
五味
バンドがどうっていうより、生活ですか。
Ken
そうそう。音楽とか、カルチャーの意味での「地元」は、東京の人は持ちづらいかもしれないね。
五味
地方から見ていると、僕らが思っている地元を盛り上げたいという気持ちと少し違う感じがします。東京の人はどういう気持ちでバンドをやってるのかなと思って。
Ken
俺ね、よく考えるの。東京生まれ東京育ちの人間について。東京について。東京ってやっぱり、日本中のいろんな地方から野心を持って出て来た人が作った煌びやかな街なのね。で、東京生まれ東京育ちの人間には、そこに同化できる人間とできない人間がいるの。俺はどっちかっていうと同化できない人間なの。
五味
あ…、できない。
Ken
うん。繁華街がすっごい嫌いだったの。今はどうとも思わないけど、若い時はそういった煌びやかなものに対してすごい違和感があって、「俺の地元ってどこなんだろう」って、ちょっと根無し草みたいな感覚があった。だから無理やり、「この住宅街が自分の居場所」って自分に言い聞かせるしかなかったよね。
五味
そこでずっと暮らしていた人の持つ東京のイメージは、確かに刺激的なものじゃない感じはしますね。
Ken
そうそう。一時期、持論として「東京生まれ東京育ちっていうのは、一番素朴で、意外とみんな地味よ」って言ってた。
五味
地方の僕たちとそんなに変わらない。
Ken
そうそうそう。だってすごいんだもん、ギランギランの奴が。「俺はもう、この街で成功するまで離れへんで~!」っていう人がいっぱいいて。でも、そんな人が東京のパワーを生んでんだなって実感した時期があった。バンド始めたころかなぁ。パワーでは負けてるって思ったもん、やっぱり。
五味
それを考えると、最近のバンドをする人の中では、上京して一旗揚げてっていう考えが変わったかなっていう気がしますね。
Ken
それはそうかもしれない。今言ったことも、俺が10代の終わりの頃の見方だったから。今は確かに、どこに住んでいても、いろんな形態で発信できるようになってるからね。
五味
たとえば、Ustreamとかでライブをリアルタイムで配信できますよね。それはすごく便利やと思うんですけど、そういうことはどう捉えていますか?
Ken
パソコン1台あればいろんな発信ができるようになって。今はCDを作らなくても、自宅で音楽を作って、自宅からiTunesとかで販売できて、住むところも関係ない時代になってきてるじゃない? それはすごくいいことだと思うけど、そうであればあるほど、物理的なことやプロフェッショナルなことが大事になってくるんじゃないかなって気がしてる。発信する場所で違ってくるんじゃないかなって。文章もそう、音楽もそう。今、ちょっと文章が書けたら一億総ライターになれるでしょ。ちょっと曲を作れたら全員がミュージシャンになれる。でもさ、そうであればあるほど、本当の物書きの大事さとか、音楽を専門に手掛ける人たちの思考とか、もっともっと必要になってくる気がしてる。
五味
なるほど。
Ken
皮肉なもんだよね。ただ、「だから東京とか都市がいい」とか言うつもりは全然ないんだけれども、世の中が便利になればなるほど反動も絶対にあるはずで。さっきの街の話には、それがそういった形で出てくるんじゃないかなって気がするね。
五味
なるほど…。話は変わるんですが、PIZZA OF DEATHの店舗が下北沢あたりにできたと聞いたんですが…。
Ken
そうなんです(笑)。
五味
ネットで調べたんですけど、全然情報が出てなくて。これは一体どういうことなのかなって。簡単に情報を共有できるという手軽さとは真逆、探して見つけないといけないとか、面倒くさいじゃないですか。それで、そもそも、どういう経緯で…。
Ken
PIZZA OF DEATHの社員が「店やりたい」って言い始めて、その話を聞いた時にいいなと思ったよ。ネットで何でも買える時代だけど、路面店を作ろうよって。で、ドカーンと宣伝しなくても知っている奴だけが来てくれる。ろくろく物も置いてないけど、頻繁に通う奴しか手に入らないアイテムとか、そういったものでいいんじゃないかなって。店を出す以上赤字は出せないから、赤字を出さない程度のさじ加減でできれば。やってる奴も楽しくやってるから、すごくいいことだと思って。
五味
まずやりたいという人がいて、そのアイデアを形にした。
Ken
そう。宣伝しないっていうのもそいつのアイデアなのね。でも俺もしたくないの。
五味
実際、探してもらって。
Ken
そうそうそうそう。
五味
じゃあ、僕も今度行ったときに探します。自分も人の顔を見て話したりできる場所を地元に作りたいなと思っていたんです。ネットで近況報告をし合える環境は便利やなとは思うんですけど、どこかで何かさみしいなってずっと感じていて。やっぱり顔を見て、しょうもないことでもいいから話ができる場所を作ろうと思って実店舗を作ったんです。ライブハウスもそうですけど、それって現場じゃないですか。実際に行って、五感で感じるような現場が今、どんどん圧迫されているような気がして。そこでPIZZA OF DEATHが店を出したと聞いて、やっぱりそうなんやって。前もお話したんですけど、僕はHi-Standardに影響を受けてバンドを始めて。今、Kenさんの話しを聞いて、「あ、やっぱり俺の考えてること間違ってないかもしれない」って、ちょっと背中を押してもらったというか…。
Ken
ああ、本当に? よかった。
「楽な道と茨の道があるとしたら、茨の道を行けばいい。
そうすると絶対に得るものがあるから」(Ken)
Ken
じゃあ、俺からちょっと聞いていい? ごめんだけどさ。奈良でお店を立ち上げて、レーベルをやってさ、五味兄はこれからどうなっていくと思う?
五味
どうなっていくかはわからないですけど、その土地のシンボルって言ったら大げさですけど、名物店長兼バンドのフロントマンというか、「あいつがいるからちょっと行ってみよう」って思ってもらえる何かになりたいなっていう思いがあります。その土地にいるからこそできる何かを違う土地にいる人たちと共有したい。そのための基地とか目印みたいになりたいなって。
Ken
なるほどね。それは、俺がいいなって思ってることとすごく近くてさ。やっぱり街の魅力って人だと思うんだよね。絶対に人だと思う。特にバンドマンにとっては人だと言い切れるよね。やっぱりさ、人を引き寄せるのは人でしかないと俺は思うのね。いろんな街に「この街をなんとかしてやろう」って思ってる人がいて、みんなさ、その街に住むその人に会いに行くんだよね。だから五味兄がそうなれば絶対にいいと思う。名物でいいのよ。あいつの世話になりたいでいいと思うのよ。
五味
そうですね。
Ken
俺が個人的にしょっちゅう行きたいなって思う場所は、そういう人がいるところだもんね。人に会いたくて行くんだよ。商売ではつらい時期とか絶対にあると思うけど、名物になるつもりで五味兄が奈良で立っててくれれば、俺、すごくいいと思うな。
五味
がんばります…!
Ken
ちょっと性根が要ることだと思うけどね。東北ライブハウス大作戦ってあるでしょ? 大船渡と宮古と石巻。そのうち、大船渡とかはこけら落としができたのね。そこの奴らに俺はやっぱり、同じこと言うもん。「街がどうとかじゃなくて、君らに会いに来させなきゃダメだよ」って。こいつの世話になりたいってバンドマンが思ったら勝手に来てくれる。プラス、単純に場所が必要っていうのはあるよね。ライブハウスであったり、レコード屋さんであったり、場合によっては洋服屋さんでもあるし。ランドマーク的な目印はすごく必要だと思う。
五味
そうですね。
Ken
それで誰かに、「奈良がすげえ居心地よくて楽しかったぜ」って言わせたら、もう、いいよね。これ、最初の話にもつながると思うんだよね。ネットで何でも買えるけど、「こいつのところから買いたいな」とか、「こいつの顔を見て、ちょっと話をして買いたいな」とか、「あの空気の中に行きたいな」とか、そういったことが絶対、地道に残っていくと思うんだ。それがこの先、デジタルを凌駕することはないだろうけど。
五味
このやり方は間違ってない…ですよね? たまに不安になるというか、“こんなことやってても、結局はネットで買うやろ”って脳裏をよぎることもあるんです。
Ken
適わないと思うよ、あの便利さには。でもさ、絶対、現場の需要はあると思う。俺たちはある程度、適わないと分かった上で教育的である必要があると思うんだよね。「こういった物の買い方があるよ」とか。別に押し付けはしないけども「いいもんだよ」って。あの便利さを分かった上で、居場所を作り続けていけたらいいんだと思うな。
五味
「便利さには勝てないけど」の「けど」の部分。
Ken
そうそうそう。便利さに負けた奴は何かを失うのよ、でも。それはもう、そうしたもんでさ、しょうがないよ。しょうがないって言うと身もふたもない話だけど。
五味
まあ、そうですね。ただ、めんどくさい奴の方が何か魅力的というか。
Ken
俺たちはね(笑)。なんでこうやってさ、アルバムを発売したからって大阪に来て話をするかって言うとさ、俺は人と会う喜びがあるからさ、やっぱり。世話になりたいの。ちょっと年とって可愛げが出ちゃったかもしれないね(笑)。いろんな人の厄介になったり、お世話になったりするのが楽しくてしょうがない(笑)。
五味
それこそ取材も家でできますよね。
Ken
そう。でも、実際に顔を合わせて話すと全然違うと思う。それを分かれって言ってもなかなか分かるものじゃないから大きい声じゃ言えないかもしれないけど、「いいもんだよ」って言っておきたいよね。そういった喜びを知らない子にはね。
五味
そうですね。その良さが実感としてあるから、人に会った時の気持ちいい感じを若い人にも感じてほしいなと思います。…では最後に、これから自分で舵を取って何かやろうと思っている人にアドバイスをください!
Ken
ばっちりあるよ! まず、簡単な方と面倒な方があるなら、面倒な方を選んだ方がいいよというのはひとつ、言えるね。
五味
選ぶ時に。
Ken
うん。ひと手間かけるセンスは必要かもしれないよね。ネットで買うのは確かに簡単よ。でもさ、ネットで買ったってさ、段ボールとか捨てるのめんどくさくない?(笑)
五味
細かいこと言えば(笑)。
Ken
あんなに無味乾燥な作業ってないよね。つまんないよね。何も味わえないと思うの。でも、お店で買ったらさ、ファンシーな袋に入れてくれるわけじゃない? なんかさ、誰かにちょっとお菓子あげる時とか、その袋に入れられるわけじゃない? 段ボールの箱なんて恥ずかしくて入れらんないよ! ね? こいつどういうセンスしてんだって疑われちゃうからね。……五味兄もそういう袋、作りな!(笑)。
五味
まだできてなくて。
Ken
絵が描けるんだからちょちょいよ。俺の絵でも描けばいい。日本の宝ぞっつって(笑)。で、ちょっとかっこよく言うとさ、楽な道と茨の道があるんだったら、みんな茨の道を行けばいいと思うのよ。そうすると絶対に得るものがあるから。このままで行くとさ、みんなさ、楽な方、楽な方にしか行かないと思う。ただ、俺とさ、五味兄の対談なんか読んでる奴なんかはさ、絶対に分かってくれるよ。うん。読まない奴は行けばいいじゃん、楽な方に。絶対得られるはずのものも得られないからさ。
五味
ちょっと無理めのことをやってみる。
Ken
そうそうそう。ちょい高めね。麻雀で言ったらちょっと高めを狙って上がってみる。簡単に上がろうとするなってことです。
五味
僕、高めを狙って勝ったことないですね、麻雀。
Ken
俺も(笑)。
五味
それで上がれたことはないですけど、人生という大きい麻雀で最後に上がれたらいいっていう。
Ken
そう。めっちゃ素敵やん(笑)。麻雀で勝てなかったとしようよ。でも最終的には麻雀をやってる自分自身を楽しめればいいわけよ。
五味
そうですね。勝つためにやってるわけじゃないですしね。
Ken
そう、勝つためにやってない。麻雀すること自体が楽しいからやってるわけじゃない? 仲間と一緒に。あれもいいもんなんだよね…って俺、何の話してんだろ!(笑) そう、人生という名の麻雀ね。
五味
プロセスを楽しんで、結果は後で考えるとして。
Ken
もしかしたら、こうして話していること自体がすでに徒労かもしれないじゃない? 誰かにとっては。でもさ、俺と五味兄が「ああ、今日はいい時間だったな」って思えればさ、1億2千万人のうちの2人は変わるわけじゃない? で、読んだ人に1人でもそう思ってくれる人がいたら、3人が「よかったな」って思えるわけじゃない。せいぜいその程度だと思うよ。それでいいとは言い切れないけれども、波に逆らうってそういうことのような気がするんだ。
取材:五味岳久(LOSTAGE)
撮影:河上良(bit Direction lab.)
企画:奥“ボウイ”昌史/高橋はじむ
企画・構成:岩本和子