ホーム > NEWS > 日本と北朝鮮に別れて暮らしていた兄弟の 25年ぶりの再会を描いた、たった7日間の物語に 普遍的な家族の姿が見えてくる『かぞくのくに』が、 米アカデミー外国語映画賞日本代表に決定!
『ディア・ピョンヤン』『愛しきソナ』などのドキュメンタリーで知られる在日コリアン2世のヤン・ヨンヒ監督が、自らの体験を下敷きに描いた初の劇映画『かぞくのくに』が、テアトル梅田ほかにて上映されている。1970年代に行われた帰国事業によって北朝鮮で暮らし、病気療養のために25年ぶりに日本へ戻ってきた兄ソンホと、日本で暮らす妹リエの姿をとおして家族や国家のあり方を問いかける人間ドラマだ。妹リエを安藤サクラ、兄ソンホを井浦新(ARATA)が演じていることに加え、第62回ベルリン国際映画祭の国際アートシアター連盟賞を受賞するなど、国内外から注目を集める本作が、なんと22点の作品の中から、第85回米国アカデミー賞外国語映画賞部門の日本代表作品に選出された。
女性監督初の快挙となるこの決定を受け、ヤン・ヨンヒ監督は「驚いています。怖じ気づく心を押さえ込んで闘った昨年の夏を思い出します。スタッフを信じ、俳優陣を信じ、観客を信じ、自分を信じようともがきました。家族に会うという当たり前の事を手放してまでも世に出した作品です。『かぞくのくに』が人々の中で、世界中の様々な家族について思いを馳せる触媒となる事を祈ります。これからも魂を込めて作品をつくり続けて行こうと思います。大きな叱咤激励を有り難うございました」と喜びのコメントを発表。
帰国事業という政治的なテーマを扱いながらも、言葉少なに日本への帰国を喜ぶそぶりを見せる井浦新演じるソンホの姿や、北朝鮮で暮らすソンホと日本に住む父の確執、久しぶりのソンホとの再会を無邪気に喜ぶ、安藤サクラ扮する妹リエの姿など、監督が本作で映し出したのは、普遍的な家族の姿であり、遠く離れていても切れることはない家族の絆だ。特に、抑制された社会で暮らす兄と自由を謳歌する妹を演じた井浦と安藤、ふたりの抑制された芝居からは様々なことを感じるだろう。
ここ数年、米国アカデミー賞外国語映画賞部門の日本代表作品に選ばれているのは、『一枚のハガキ』(2012)、『告白』(2011)、実際に外国語映画賞を受賞した『おくりびと』(2009)など、その年を代表するような印象深い作品ばかりだ。関西では、テアトル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマでは引き続き上映されているので、日本代表作品に選出されたタイミングで、劇場でその映画を観られる貴重な機会にぜひスクリーンで感動を味わってほしい。
(2012年9月 4日更新)
●テアトル梅田、シネマート心斎橋、京都シネマにて上映中
【公式サイト】
http://kazokunokuni.com/
【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/159268/
【ヤン・ヨンヒ監督のインタビューはコチラ!】
https://kansai.pia.co.jp/interview/cinema/2012-08/kazoku.html
【主演の安藤サクラのインタビューはコチラ!】
https://kansai.pia.co.jp/interview/cinema/2012-08/kazokunokuni.html