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ホーム > インタビュー&レポート > オリジナルもカバー曲も新境地へ デラックス×デラックスの“今”を全て詰め込んだ 重量級のアルバム『超重ギガ』 9月には初のZepp Osaka Baysideでワンマンライブを開催


オリジナルもカバー曲も新境地へ
デラックス×デラックスの“今”を全て詰め込んだ
重量級のアルバム『超重ギガ』
9月には初のZepp Osaka Baysideでワンマンライブを開催

沖縄発の規格外パフォーマンス集団・デラックス×デラックスが、2ndフルアルバム『超重ギガ』をリリースした。2023年7月にぴあ関西版WEBで実施したインタビューから丸2年。上京後も積極的に全国ツアーを行い、着実に日本国内にその名を轟かせている彼ら。そんな彼らの近況や、バンドとしての表現力の変化、アルバム収録曲について、輝夜朝蛾王(アサガオ/vo)、道頓堀桜(サクラ/ds)、虎吼(コク/SP、DJ)にたっぷりと話を聞いた。今回も初出しエピソード山盛りのロングインタビューをお届けする。

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『爆裂!!ギガントスイングツアー』より

メンバー7人で回るバンドドリーム。"ふるさとは日本"と言えるよう全国各地へ

ーー2年前のインタビュー以来、ほとんど休みなくライブをされていて、バンドメンバーの総体重も540kgだったのが555kgに増えました。アサガオさんがより球体に近づかれたような。

サクラ「なんと、アサガオは体重変動してないんですよ」

アサガオ「そうなんです。ずっと身長175cm、体重175kgの1:1で、ドラえもんさんと同じ比率。成長率で言うとスイレン(紅結芽水蓮/g)がすごくて。前回は上京半年ぐらいの時にインタビューいただいたと思うんですけど、その時112kgだったのが、今130kg近いよね。鍛えてるから筋肉もあるんでしょうけど」

サクラ「あとはスズラン(蜂乃寺鈴蘭/b)と自分が2~3kgぐらいずつ増えました」

ーーSNSの登録者数もライブの動員数もどんどん増えて。

サクラ「キャパシティ的なことでいうと、倍々ゲームぐらいで進んでるんじゃない?」

アサガオ「2年前の『廻れ!!百花繚乱ツアーファイナル』(2023年12月)は東名阪クアトロで3分の2も埋まらないぐらいだったんですけど、半年後の『瞬け☆デラックス×プラネットツアー』(2024年3月~10月全国28ヵ所33公演)にはソールドして。今年の『爆烈!!ギガントスイングツアー』(2024年12月~2025年10月)は今発表されてるのが37公演で、ライブの本数もどんどん増えてます」

ーー前回のインタビューでは"バンドワゴンで回るバンドドリームも夢なんです"とおっしゃっていて。念願のバンドドリームはいかがですか?

サクラ「地味に飽きてきました(笑)。でも7人での時間の潰し方を覚えて。2時間くらいずっとしりとりしてる」

コク「2時間どころじゃないよ。次の目的地まで3時間ぐらいしりとりしたり、いろんなゲームを考えて一緒にやって」

アサガオ「しかも皆1個1個爆笑しながら全力でやって、疲れて終わるんですよ」

サクラ「だから"バンドワゴンで回るのちょっと飽きてきた"とか言いつつ、別のもので埋めようとしてる。回りたての頃は景色もSAも地域の食べ物も、見るもの全部が新鮮だったんですけど、見慣れた景色が増えてくるとシフトチェンジして別の面白いことを探してる感じ。もっと仲良く楽しむ方法を覚えたと思います」

コク「青春してますね」

アサガオ「移動中皆でモンハンをやりながら夜中コンビニでお酒買ったり」

サクラ「今更めっちゃ友達として遊ぶという」

ーー上京したことによる要因はありますか?

サクラ「そうかもしれないですね。沖縄だとそれぞれ友達や飲み仲間がいたのが、上京してメンバーだけが友達みたいになったタイミングで、なぜかモンハンをやろうと言い出した。共通言語が多いから気が楽なんでしょうね」

コク「一緒にいること自体は飽きないからやっていけてるのかもね」

アサガオ「もちろんちゃんとバンドの話もしますよ」

サクラ「ライブの帰りに反省会をしたり」

コク「それも東京に出てきてから。ライブが終わってすぐ一緒にいれるのがデカくて、そのままの熱量で話してますね」

ーーそれがライブのグルーヴにも活きていると思いますか?

アサガオ「思います。ライブをする筋肉がどんどんついてきた」

サクラ「バンドが上手になってきた」

ーー年間を通してライブが多いのは、力をつけようという目的もあるんですか。

アサガオ「やっぱりライブありきの我々だと思ってるので、ライブを磨くという意味でも、事務所が入れてるんだと思います(笑)」

サクラ「全国に自分たちの味方というか、ファンをつけたいのもあるよね。日本の全都道府県をふるさとにしたいので」



『超重ギガ』は、いろんな意味で大きくなったデラデラの今の集大成

ーー前作1stフルアルバム『千紫万紅』は昭和歌謡というか、"こんなバンドです"というのを前面に押し出す印象が強かったと思いますが、今作『超重ギガ』は昭和歌謡もありながら現代っぽさがプラスされたというか、表現の幅が広がった気がします。特にアサガオさんの歌声が変幻自在で、同じ人が歌っていると思えない。

アサガオ「嬉しい。『千紫万紅』は沖縄の6年間の集大成で、レコーディングも沖縄でほとんど終わらせたんですけど、今回は上京して2年間ツアーを回って、いろんな意味で大きくなったデラデラの今の集大成。前回も様々な花が咲き乱れる『千紫万紅』でしたけど、今回も情報過多、高カロリーという意味で『超重ギガ』です」

ーー今発音を聞いて思いましたが、「鳥獣戯画」と同音異義語ですね。

サクラ「そうそう、それとかけてます。だから歌詞カードと盤面はウサギとカエルに埋め尽くされてます」

コク「それこそ鳥獣戯画の子たちは擬人化された物語で自由に姿を変えているから、変幻自在は意味が合ってるのかなと思います」

ーーしかもジャケットは千手観音みたいですね。

アサガ「たまたま撮ったらすごく良かったのでジャケットにしました(笑)。手だけでメンバーの個性が出てて、誰の手かすぐわかるんですよ。それも含めてすごく気に入ってます」

コク「これ本当に特別な加工なしで、皆アサガオに隠れてるんですよ」

サクラ「偶然の産物ですから。撮ったらアルバムにピッタリだった」



重厚感のあるど派手なカバーができた『ダイナミック琉球』

ーー今作は1曲目に自己紹介的側面のある『セクシー★ダイナマイト』(M-1)、次に沖縄のルーツを示す『ダイナミック琉球』(M-2) がきていて、"自分たちは沖縄出身のバンドである"ことを提示しているのかなと思いました。

サクラ「最初に我々っぽさを詰め込むための2曲です」

ーー『ダイナミック琉球』は、沖縄では定番の曲ですか?

アサガオ「沖縄だけじゃなくて、甲子園の応援歌でもよく使われる曲で。私たちも沖縄にいる頃から時々演奏してたんですけど、今やると"沖縄から世界へ"という歌詞やタイトルが"本当にうちらの曲じゃん"というぐらいぴったりで。"だからこそ今できる全てを詰め込もう"と、2年間のツアーで手に入れた、荒々しいだけじゃない柔らかくて優しい歌声、"柔と剛"の表現を詰め込みました。しかも本家のイクマあきらさんがギターを入れてくれたり、配信シングルのジャケットのタイトルをMONGOL800のドラムのサッシ(髙里悟)さんが書いてくれたり、沖縄の第一線で活躍する先輩たちの力もお借りして。今までいろんな方が『ダイナミック琉球』をカバーしてるんですけど、我々が1番重厚感のあるど派手なカバーができたなと思って気に入ってます」

ーー神秘的で力強いですね。MVもカッコ良いです。

アサガオ「MVの獅子舞は、コロナ前に沖縄で出会った同い年の獅子舞演舞の子と、"いつか『ダイナミック琉球』でコラボしようね"と話していて、やっとコロナを乗り越えてコラボできました。6月の『爆裂!!ギガントスイングツアー』の沖縄公演でもコラボして。いろんな想いが詰まってます」

ーーMVでは花火まで上がっていました。

サクラ「あの花火も我々が打ち上げた花火ではなくて、偶然の産物なんです。たまたま炎のシーンを撮ってる時に近くで花火が上がって、それを合成的に入れていただいて」

アサガオ「運も味方してくれたMVになったと思います」

ーー1番終わりのラップパート......と呼んでいいのでしょうか。

サクラ「沖縄で言うところの口説(くどぅち)と言うんですけど」

アサガオ「我々もラップって呼ぶね」

コク「『ダイナミック琉球』作詞作曲者のイクマあきらさんもラップと言ってました」

ーーありがとうございます。その裏で唸っているギターが素敵でした。

サクラ「それがイクマさんのギターソロ。スイレンのガッと勢いのある口説にイクマさんのギターが刺さって、バトルしてるかのような表現になってて良いですよね」


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『爆裂!!ギガントスイングツアー』より


スズランが5年かけて完成させた『春色』

ーー冒頭の2曲でインパクトがあると思ったら、続く『春色』(M-3) と『シーヤ!!!』(M-4) はすごく爽やかで。

アサガオ「そうなんですよ! 意図はめちゃくちゃそれです。アルバムを聴いた時、"こういう曲もあるんだ"と思わせたくてこの並びにしました。最初にキャラソンと私たちのルーツの沖縄を見せて、"ロックバンドとしてこういうこともできます"というのを『春色』で出して、『シーヤ!!!』で"ポップスっぽい楽曲もありますよ"、"おなじみの『YOUNG MAN(Y.M.C.A)』(M-5) のカバーもやってますよ"という。多分5曲目まで聴くとアルバム全部聴いてくれると思ってて」

ーー『春色』はスズランさんの初めての作曲ですか?

アサガオ「1stミニアルバムの『女を月に例えるなんてハレンチね。』(2019年)の『エンドレス・ダンスホール・ナイト』が初めてで、『春色』は2曲目です。『春色』が完成するまで5年かかってる。5年前からあって、ライブで何回もやっては作り直して、ついにリリース。古くから知ってる方は大喜びだと思います」

ーー納得のいくアレンジができるまで作り直していたんですか?

サクラ「私は"スズランのアレンジ能力が追いついた"が正しいと思ってます。『春色』は最初から魅力のある曲だったけど、何かずっと足りないみたいな。紆余曲折を経て、スズランのアレンジや曲をまとめる能力にアサガオの表現力がマッチした結果、やっと出せたのかな」

アサガオ「そうですね。この曲が好きだったからこそ、すごくこだわったんだと思いますね」

サクラ「2年間ツアーを回りながらSNSも頑張ってた中で、去年ぐらいからスズランにTikTokの音源編集を一任してお願いしていて。私はオリジナル曲を作るから、スズランはSNS向けの曲を作ってというのでいろいろ教えていたら、最終的にこういう名曲を作れるまでに成長した。音楽理論を勉強してる子なので、理論的に曲を組み立てて。ペダルノートとか専門的なことをごちゃごちゃ言ってたけど、私はわかんない(笑)」

アサガオ「スズラン自身のルーツである、凛として時雨みたいなディレイギターもちゃんと盛り込んでね。私このアルバムでは『春色』の表現が1番難しいと思ってる。ラスサビに私が今持ってるボーカル技術を全て詰め込んでる。これをニュアンスで歌える人がいたらすごいですよ。私のクセもあるけど、多分スズランの作り込む姿勢に合わせて、作り込むボーカルが生まれたんだと思う」

サクラ「たくさん歌ってきたからこそ、だいぶ表現力豊かになってるよね。最後のサビで感情をぶん殴りにいくみたいなイメージ。良い曲です」

ーーあと『春色』と『シーヤ!!!』には弦楽器が入っていますか?

サクラ「そうそう。今回ストリングスアレンジや音色を考えてくださる人を味方につけて。『春色』はそれで一気に化けた曲でもあるね」



超絶光属性曲でデラデラ新境地の『シーヤ!!!』

ーー『シーヤ!!!』はJ-POP感が強い曲で、デラデラの新境地じゃないですか?

アサガオ「嬉しい」

サクラ「デラデラっぽくない曲と言っても差し支えないんじゃないかな」

アサガオ「『春色』と『シーヤ!!!』は特にそうかも」

ーー『シーヤ!!!』は歌詞を書き直されたんですよね。

アサガオ「そうなんです。去年の『プラネットツアー』の福井公演で急に声が出なくなって、その夜悔しすぎて全部歌詞を書き直したら、すごく前向きな歌詞ができてました」

ーー自分にエールを送るような。

アサガオ「だと思います。踏ん張り時だと思った時、内なるエネルギーは光属性だったんだなって。昭和歌謡が好きなので、今まで失恋とか哀愁漂う歌詞ばかりだったんですけど。『シーヤ!!!』はあの時苦しんだからこそ生まれた曲なので、別の場所で歯を食いしばってる人の後押しになるんじゃないかなと思います」

ーーサウンド面は最初から明るい曲調だったんですか。

アサガオ「この歌詞になってから、よりキラキラ感というかポップスに寄せるアレンジにサクラちゃんが修正してくれて、超絶光属性曲になりました」

サクラ「アコギを足して全体の音色を明るくしてみたり、その程度のアレンジではあるんだけど、かなり変わったよね」

アサガオ「実は『シーヤ!!!』『YOUNG MAN(Y.M.C.A)』『エバビバ』(M-6)、『LOVEマシーン』(M-7) までずっと応援歌なんですよ」

ーーそういうモードだったんですか?

アサガオ「そういうふうに曲順を組みました。多分私にとって"踏ん張らなきゃ"というタイミングが多くて、"やってやるぞ!"と。『シーヤ!!!』の歌詞は、初めて"アサガオじゃない人"が書いてるかも」

サクラ「アサガオのパーソナルの自分で書いてるってことか」

アサガオ「私が目指すカッコ良い像が"アサガオ"なので、そうなりたいという憧れで作詞も立ち振る舞いも全部やってきたけど、そうじゃない、ほんとの根っこの部分の"アサガオじゃない人"が書いたのが『シーヤ!!!』じゃないかな」

ーー楽器隊の皆さんは、そんなアサガオさんの想いを汲み取りながらアレンジに反映していったんですか?

サクラ「『シーヤ!!!』はそうですね」




630_deradera_YMCA.jpg『爆裂!!ギガントスイングツアー』より


カバー曲すらも、新境地へ

ーーカバー曲に関してはどういう選曲で?

サクラ「『どうにもとまらない』(M-10) は結成半年以内からやってるよね」

アサガオ「結成3ヶ月とか。本当に初期からずっとライブを熱くさせる曲でしたね」

サクラ「アルバムでのオリジナルとカバーの割合を見た時に、"カバー曲を足したいね"となって、"ついに収録する時が来たんじゃないか"と。昔からデラデラを応援してくれる人の音源化してほしいという声にお応えしたところもありつつ。『千紫万紅』までは女性昭和歌謡縛りでやってたけど、今回のアルバムではとにかく新しいことをやろうと」

ーーなるほど。

サクラ「去年の12月から始まった『爆裂!!ギガント・スイングツアー』自体が、そもそも新しいことをたくさんやろうというツアーで、自分たちの魅力を出し惜しみせずにアコースティックやインストコーナーをやってるんですけど、これがアルバムにそのまま反映されています。昭和の男性曲『YOUNG MAN(Y.M.C.A)』、平成の男性曲『ダイナミック琉球』、『LOVEマシーン』は、アイドルの平成の名曲を自分たちなりに表現したらどうなるのか。今の日本だからこそ、平成の"皆で頑張ろうよ"みたいな雰囲気があった頃の曲が刺さるのではないかと」

ーー確かに。

サクラ「自分らもそれに助けられてるところがあるというか。『LOVEマシーン』は平成の曲ですけど、私の好きな80'sエレクトロライクの音をたくさんパロディして曲を作り上げて。と思ったら最後は皆でわちゃわちゃしてパーティーアンセムになってる。面白いことができたと思います。デラデラとして、カバー曲ですらも新境地へ進めたかな」

アサガオ「さっき言ったように私が声の柔らかさを手に入れたので、多分今まで以上にセクシーに歌ってる。でも魅せるところでは低音で、声量増し増しで歌ったり。ずっとやり続けてきた『どうにもとまらない』も、多分今が1番セクシーに歌えています」



『この旅が終わる頃には』の最後にはギミックがある!?

ーーさっき光属性とおっしゃいましたが、サクラさん作詞作曲の『この旅が終わる頃には』(M-14) は、闇とまではいかないけれども......。

サクラ「ひねくれてますよね。自分の帯ロールみたいになってる経験から、またひとつひねりちぎって曲を作りました」

ーー想いを伝えられないというね。

サクラ「ひん曲がって、ぱっと見何言いたいのかわからないと思われるのかなと思いつつ、自分なりにわかりやすく表現したつもりなんだけど」

アサガオ「でもすごいサクラちゃんぽい」

サクラ「最近の自分のテーマになっちゃったんですけど、性格がひん曲がりすぎると、ねじりねじれてそのまま真っ直ぐに編み上げて、最終的に1本の強固な綱になるんじゃないかと。それを体現してる曲なんじゃないかな」

ーーサクラさんの恋愛観が出てるんだろうなと思います。

サクラ「完全に恋愛観だな。恥ずかしい。自分のひん曲がった人間観とか人生観、恋愛観を一気に凝縮したら、こういう曲ができた」

アサガオ「私には書けない。すごいですよ。この恋の情念みたいな。ただひん曲がってるシンプルな恋愛じゃないですね。いろんな要素が入ってるよね」

ーーおふたりは属性が違うというか。

サクラ「それはそうでありつつ、デラデラ的にバラードを作るとなった時、詞というより曲の話なんですけど、どう表現したらいいんだみたいな。昭和歌謡はたくさん名曲バラードがある中で、デラデラなりのバラードって何だろうと5~6年前から悩んでて。この曲は上京してすぐにできたけど、"このままでいいのか、この曲でいいのか"みたいな葛藤を抱えながら6~7回ぐらいテイクして」

アサガオ「曲の展開も音色も、最初はフォークソングになる予定だったよね」

サクラ「自分がアコギを提供していただいた時期でもあったので、楽しくなって1曲作ったのがこの曲だったのは覚えてるんですけど。それこそさだまさしさんとか、哀愁漂うフォークソングっぽくなる予定が、"壮大なバラードにした方がアサガオが歌い上げられるんじゃないか、自分の鬱屈とした想いを届けてくれるんじゃないか"と考えた結果、これになったという。これ今初めて言いました」

アサガオ「よりサクラちゃんぽいですね。新たな発見。良い気持ち悪さ」

サクラ「気持ち悪いで表現してほしくないんだけど(笑)」

コク「これがサクラちゃんの良さだからな」

ーー良さですよね。寂しい歌詞だけど。

サクラ「でも意外と後ろの方は明るかったり。......明るいのか?」

ーー最後の歌詞は<愛を注いだ蒼き日々よ 変わらないまま終わって>ですね。

アサガオ「想いを持ったまま生きていくんだな」

サクラ「うん。前回も言ってると思うんですけど、終わった恋を全部自分のタンスに収めていってるので。忘れるとかじゃないし、引きずるわけでもないんですよ」

ーー7本ぐらいロールが走ってるとおっしゃってましたね。

サクラ「そのロールを未だに収めつづけてる」

コク「曲でアウトプットはするんだけど、気持ちは自分で戻す感じ」

ーー相手に伝えないんですね。

サクラ「そうそう。気持ち悪いですね(笑)。昭和歌謡ってこういう曲がたくさんありますから」

コク「きっと共感して泣いちゃう子もいるんだろうな」

アサガオ「そうね。それでそのまま踏み出すとかアプローチをするんじゃなくて、自分の中で全部完結しちゃう」

コク「でも前向きに生きる人もいるのかなって」

サクラ「捉え方は自由なので、私がどうのこうのというより、自分なりに解釈していただければ」

アサガオ「解き放ったから、あとは自由にしろと」

サクラ「そう」

ーーデラデラ的には、念願の良いバラードができたんですね。

アサガオ「そうですね。ストリングスアレンジの方が、ライブで泣いたと言ってました」

サクラ「"ライブで聴いたら100倍良い曲だった"みたいな。演奏に気持ちが乗った時に涙腺が崩壊して、ズビズビ泣いてたと言ってくれたり。曲のパワーを久々に感じましたね。終わった後に拍手が起きない感じとかね」

アサガオ「拍手できないですよ。皆喰らってるから」

コク「最初は皆本当に歌詞を聴き取ってるんだなという顔をしてます」

アサガオ「すごく良い曲ですね」

サクラ「これをアルバムの最後に配置してくれて、私も嬉しかった。前回ぴあ関西版さんで、謎かけというか動物モチーフの話とかしてたから、今回も1個置き土産をしときたいんですけど、この曲のほんとに最後の最後にギミックがあるので、解き明かしてくれる人を待ってます」

ーー歌詞というよりは、曲ですか?

サクラ「曲です。聴いてわかった人がいたら、Xとかに書いてもらえたら助かります」

ーーぜひ、わかった方はお願いします! またこの曲の存在感が増しましたね。

アサガオ「前回のインタビューもそうだったけど、サクラちゃんがあまり言わないようにしてることをいつも引き出されてる(笑)」

コク「ほんとにここでしか聞けない話だよ」



道頓堀の観光大使になりたいです(サクラ)

ーーそれぞれアルバムで気に入ってる曲はありますか?

アサガオ「私、基本的に歌詞は小説や映画を作るように組み立てるんですけど、唯一『シーヤ!!!』だけ私のパーソナリティーの体重が乗ってるので、特別ですね」

ーー素が出ていると書いてらっしゃいましたもんね。

サクラ「感情が乗ってるのは全曲そうだと思うので、本当に1曲1曲に思い入れがある」

アサガオ「そうそう。想いはあるけど自分のパーソナリティーというか、全体重が乗るのは多分『シーヤ!!!』ぐらい」

サクラ「だから、"超重い"ってアルバムについてるんだろうな」

ーーああ~、繋がってくるんですね。

サクラ「自分の中でそこに辿り着いてしまってちょっと嬉しかった。超重いですよね、ほんとに」

ーーサクラさんは『この旅が終わる頃には』がやはり思い入れが強いですか。

サクラ「思い入れ強いんですけど、気に入ってるのは『MEMEME~女女しい女じゃいられない~』(M-8) です。音楽的に面白いことができて、歌詞も頭悪くて気に入ってますね」

ーー強くて可愛い歌詞ですよね。ギターソロも良い。

サクラ「それも気持ち良くて。後ろサビで転調したり、自分のルーツのV系的な音作りをうまくポップスに落とし込めた喜びがあるので、お気に入りです。初めて聴く人もバンドやってる人にも"面白いことやってるな"と思われたい」

ーーコクさんは?

コク「全部良いなって思うんですけど」

サクラ「『春色』じゃない? コク、『春色』でいっぱいドラマ作ってるもん」

ーードラマ?

コク「これも言ったことない話なんですけど(笑)、ざっくり上澄みだけ言うと、『春色』をスズランがずっと作ってたんですけど、歌詞の内容やストーリー自体はあまり変わってなくて、それがより鮮明になってきて。昔は"こういうPV作りたいよね"ってよく夢の話をしてたんですよ。『春色』はそのイメージがあまりにも早く明確にできすぎちゃって」

アサガオ「歌詞から2次創作の小説を作っちゃうという。『春色』からキャラクターが生まれて、主人公の名前は"ハルヒコ"で」

コク「人によって視点が違ったりする。言えるのはここまでです。オタクなので2次創作をし続けてます」

アサガオ「私も今回のアルバムで1番歌詞が気に入ってるのは『春色』ですね」

コク「憂いた感じとか、少し悲しげだけど明るい感じもエモくて、全部好きなんです」

サクラ「自分らのバンドでそれやるレベルって、だいぶ好きよ」

コク「他の曲に比べてぼかしてる感じがあるじゃないですか。どのオタクよりも早くやってやろうと思って(笑)。『春色』は長年のお気に入りです」

ーー最後に、9月のZepp Osaka Baysideでのライブに向けた意気込みをお願いします!

コク「大阪はメンバー皆大好きな場所で、大阪の皆さんは熱量も高いので緊張する反面、絶対に熱い楽しいライブになる自信もありつつ。まずは楽しめるように大阪に向かって頑張っていくので、気になったら調べて足を運んでいただけたらなと思います」

サクラ「このライブを経て、道頓堀の観光大使になりたいです」

ーーおお?!

サクラ「大阪の人たちにしっかり認められたいなって。"沖縄出身なのに何で道頓堀?"って言われまくってるから。そのくらい大好きな街なんだよって気持ちを持っていって、最終的に道頓堀の観光大使になれるように頑張りたいです」

アサガオ「大阪の観光大使じゃダメだったの?(笑)」

サクラ「道頓堀の桜ですから、桜が咲く時期限定でやらせていただきたいと思います」

アサガオ「我々、いろんな想いを込めてアルバムを作ってます。その想いがぎゅぎゅっとライブに詰め込まれると思うので、期待して遊びに来てください」


630_deradera_light.jpg『爆裂!!ギガントスイングツアー』より

Text by ERI KUBOTA




(2025年7月23日更新)


Check

Movie

Release

バンドの成長や想いを詰め込んだ2ndフルアルバム

『超重ギガ』

3,000円(税込) 発売中
ZLCP-0443

《収録曲》
01. セクシー★ダイナマイト
02. ダイナミック琉球
03. 春色
04. シーヤ!!!
05. YOUNG MAN(Y.M.C.A)
06. エバビバ
07. LOVEマシーン
08. MEMEME~女女しい女じゃいられない~
09. オニサンコチラ改
10. どうにもとまらない
11. アイ・エキゾチック
12. DESIRE-情熱-
13. ブラックキャット・スウィング
14. この旅が終わる頃には

Profile

輝夜朝蛾王(vo)、紅結芽水蓮(g)、蜂乃寺鈴蘭(b)、道頓堀桜(ds)のバンドメンバー、虎吼、獅挐、羅鷙の“SP”なるパフォーマーで構成された、沖縄発の規格外パフォーマンス集団。2023年から拠点を東京に移し、全国各地で精力的に活動中! 昭和歌謡をルーツとし、総体重555kgから繰り出される大迫力の演奏とキレッキレのダンスで彩るダイナミックなステージが魅力!胃もたれ必至のパフォーマンスはあなた自身の五感で!!

デラックス×デラックス オフィシャルサイト
https://www.deradera.club/


Live

「爆裂!!ギガントスイングツアー」

8月3日(日) GOLDEN PIGS RED STAGE(新潟)
8月10日(日) 仙台MACANA(宮城)
8月11日(月・祝) CLUB ♯9(福島)
8月31日(日) 松阪M’AXA(三重)
9月5日(金) club change WAVE(岩手)
10月3日(金)CRAZYMAMA KINGDOM(岡山)
10月5日(日) LIVE VANQUISH(広島)


「爆裂!!ギガントスイングツアー 番外編 超重ギガギグ」

Pick Up!!

【大阪公演】

▼9月14日(日) 16:00
Zepp Osaka Bayside

特典付きSS席-7500円
S席-6500円
A席-5500円
※未就学児童入場不可。ドリンク代別途必要。
[問]ウドー音楽事務所大阪支社■06-6341-4506

【東京公演】

9月20日(土) Zepp Haneda(TOKYO)

チケット情報はこちら


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