ホーム > インタビュー&レポート > 結成から名前の秘密、上京後の様子まで 沖縄発の歌謡パフォーマンスグループ デラックス×デラックスインタビュー【前編】
バンドメンバーは体重が100kgに達したら正式加入
――アサガオさんは、おばあさんがカラオケ教室に通われていたことがキッカケで昭和歌謡に親しんでこられたそうですが、ご自身も歌うことが好きだったんですか?
アサガオ「そうですね。でも高校の学園祭で歌う程度で、本格的なバンドは大学に入ってから始めました」
――高校の時はソロで歌われていたんですか。
アサガオ「一応幼馴染とバンドを組んでたんですけど、その時は自分がやりたいことというよりかは、幼馴染に合わせてやっていました。だから歌う機会はあったんですけど、本当に友達の前でしかやらなくて。ライブハウスでは1~2回やっただけで、それも結局学年の友達が集まるようなイベントだったので。本当に大学から"ちゃんと自分でバンドをやってるな"という感覚で活動してましたね」
――高校の時から派手なことをやりたいと思っておられて、大学で実現させたと。
アサガオ「大学1年生の頃はメンバー探しで全然組めてなくて、学期末の3月ぐらいにやっと結成できて。初ライブのメンバーは、私とベースのスズラン、メイクで関わってくれていたコク。あとはギターもドラムもSPも今とは違うメンバーで。サクラは2回目のライブから入りました」
――サクラさんはどういう経緯で加入されたんですか。
サクラ「元々サークルの先輩と後輩なんです。当時のギターに1回目のライブの動画を観せられて。私は元々昭和歌謡が好きだったので、"こんな面白いことしてるのに何で誘ってくれないの"って」
アサガオ「誘ってたんですけど、断られてたんです(笑)」
サクラ「忘れてたの(笑)。昭和歌謡ならやっぱりキーボードや上モノが必要だろうと言って、既にドラムの子もいたのでキーボードで加入して」
アサガオ「2回目のライブが終わった頃にドラムの子が辞める流れになって、サクラちゃんはそのままドラムに移って。上モノは全部同期物に入れて、今のスタイルに落ち着いた感じだね」
――コクさんは最初メイクで参加されていたんですね。元々メイクをするのがお好きだったんですか。
コク「はい。僕もドラァグクイーンとか好きで興味もあったので、"じゃあやってみます"みたいな」
アサガオ「でもほぼ無茶ぶりです(笑)。他の人にメイクする経験ってあまりないじゃないですか。それを何回かやったことがあるというだけで、仲が良かったのでお願いして(笑)。学校に通ったり専門的な勉強をしてるわけじゃないですけど、独学でね」
コク「最初はもう"化粧覚えたて"みたいなメイクで(笑)。7年かけて徐々に作り上げた結果です(笑)」
アサガオ「まだ進化途中です。まだまだ綺麗になれると思う」
――メイクのポイントとかありますか。
コク「ひるまず、アイラインを分厚く描く」
アサガオ「メンバーごとにメイクを分けてくれてるんです。スズランは困り眉で」
コク「なぜそうしたのかあまり思い出せないけど(笑)」
アサガオ「私がアンニュイな感じの顔で、面白い眉毛にしてくれみたいな感じで無茶ぶりして。メンバーをイラストで描いてもキャラクターが分かるようにしたかったので」
――DJとマニュピレーター、SPを兼任するようになったのはいつ頃ですか?
コク「2年間メイク担当で、3年目に差し掛かるところで急にメンバーを増やそうとなって」
アサガオ「1stミニアルバム『女を月に例えるなんてハレンチね。(2019年リリース)』を出すタイミングで、コッくん(コク)をステージに上げようとなりました。これには理由があって。まだまだ自分たちがぺーぺーだったのもあるんですけど、スタッフをメンバーとして見てもらえないことが多くて。遠征するにしても何をするにしても、コクがいないと成り立たないんですよ、メイクができないので。だけどメンバーとして見られづらい。それでメンバーに入れたいとなって。プラス、サクラちゃんがドラムを叩きながらパソコンも触って同期を流していて、忙しかった」
サクラ「よく事故が起きていたので(笑)」
アサガオ「マニピュレーターが必要だよねということで、私たちのステージを2年間ずっと観てきて、もう空間を掴んでる人にお願いしようと。あとコッくんはめちゃくちゃルックスが良いので」
――ステージに上がるとなった時はどう思われましたか。
コク「DJは最初はいないパートだったし、僕もDJは触ったことなくて。皆の中で"DJとかいいじゃない"という話が出た時に、僕も"いいね"と言ったんですけど、"え?僕がやるの?"となって(笑)。もうやるしかないなと覚悟を決めました。結果的に入ってすごく良かったと思います」
アサガオ「メイク担当とかも一切情報を出さず、急に"DJ兼マニュピレーターとして加入しました"みたいな感じで発表して。そのタイミングでギターのスイレンも体重が100kgに安定したので」
――あ、それで入ったんですか。
アサガオ「はい。ルームシェアもして一緒にいたんですけど、ずっと98~99kgぐらいで安定してなかったので、1年間サポーター扱いで。やっと103~104kgぐらいで、いつ測っても100kgは超えてるねとなって、コクと一緒に正式メンバー入りしました」
コク「最初の現場はPV撮影だったね」
アサガオ「そうそう。初めて人前でコクとしてステージに立ったタイミングは、初の東名阪ワンマンツアーで、名古屋はお客さん7人で、うちらと同じ人数。スタッフ合わせたらうちらの方が多いし、踊ってるうちらの影がステージに揺れて(笑)。本当にそういうところからスタートしました」
――コクさんはステージの後ろからメンバーの皆さんを見ていてどう思いますか。
コク「僕がいる場所って、ステージ的にライトの下とかで、本来人がいるはずのない場所なので、色んな景色が見れますね。振り返るパフォーマンスの時、皆8割ぐらいちょけてるんですよ」
サクラ「そうだね(笑)」
アサガオ「(笑)」
コク「これは僕まだどこにも言ってないんですけど。下手SPにラシ、上手SPにシダがいてアサガオがいて。この2人(シダとアサガオ)が振り返った時にいつもちょけるんですけど、実は僕しか見てないところでラシが結構ちょけてて。どういう顔していいかわからなくて、いつも"うん"って笑ってる(笑)。お客さんからは単にニコッとしてるように見えてると思うんですけど」
アサガオ「誰も見てないと思って、めちゃくちゃ変顔してるからな(笑)。メンバーにだからできる」
コク「しかも僕サングラスかけてるからどこ見てるかわからないのに、アサガオとすごい確率で目が合うんですよ。でも僕が唯一見れる景色なので、レアだなと思いながら」
サクラ「今度密かに撮影しとこうね」
アサガオ「デラデラの背中を見ながらずっとライブしてるのはコッくんが唯一じゃないですか」
コク「何も見えないんですよ」
――グラサンで?
コク「アサガオが両手を広げた瞬間、客席はもう見えなくて。僕らファンのお顔とか結構覚えるので、ライブ後に"〇〇さん来てたね"とか、"可愛い子供いたね"とか皆話してるけど、僕は何もわかんなくて。モニターつけてほしいです(笑)」
アサガオ「ライブハウスだと大きく見せたいのでよく手を広げるんですけど、ドラムがほとんど隠れて、シンバルだけ生えてるみたいな(笑)」
コク「でもめちゃめちゃ面白いです。メンバーとしてもだし、広い会場で視界良好の状態でメンバー全員の姿が見えた時は嬉しい。ちょっとファンの気持ちにもなれる場所ですね」
初めて明かされる! 名前に込められた虫のモチーフ
――バンドメンバーの皆さんはお花、SPの皆さんは植物と動物というモチーフがあります。これは最初から決めておられたんですか。
アサガオ「半分私の趣味なんです(笑)。改名するタイミング(2019年にバンド名を"DX×DX"から"デラックス×デラックス"に改名)で、分かりやすいシンボルがあった方がすぐ名前を覚えてもらえるなというところから。メンバーカラーは既にあったので、そこから私がモチーフをつけていって。SPにはお花があまり目立たないシダ植物、ラシ植物、穀物をつけました」
――あと猛禽類(ラシは鷲)と肉食獣(シダはライオン、コクは虎)が入ってますね。
アサガオ「そうなんです。演奏隊のお花のメンバーも、皆虫の名前が入ってるんですよ。アサガオが蛾、スズランが蜂、スイレンが最近改名して紅結芽(ベニムスメ)なんですけど、ベニムスメはテントウ虫の別名で、サクラは道頓堀でトンボが入ってます」
――ほんまや!
アサガオ「ちょっとダジャレも入れ込みながら」
サクラ「これ話したの多分初めてです」
アサガオ「確かにそうだ」
――モチーフのお話、どこでも出てなかったので。トンボ......確かに、言われてみれば。
サクラ「道頓堀で気づけない人が多いね」
――ここは大阪なので余計ですね。
アサガオ「サクラの旧名が"道頓堀モニカ"なんですよ。単純に大阪好きというので道頓堀、それにカタカナ3文字の横文字を入れたら面白いよねって。"桜モニカ"か、"道頓堀サクラ"で選んでもらいました」
サクラ「大阪魂は残していかないと、と思って」
アサガオ「大阪のことは第2のふるさとぐらいに思ってるんで」
――そうなんですね。お花と虫、植物と動物。
アサガオ「それ以外にもいっぱいモチーフを散りばめてて、まだ発表してないのもあります」
サクラ「ぜひ探してみてください」
アサガオ「あと2種類ぐらいあります。どこにも出せない要素をわざと入れて楽しんでますね。完全に私の趣味ですけど(笑)」
――考察しがいがありますね。
アサガオ「伏線を張るのが好きなので。1個は多分ファンの人じゃないと気付けない。難しいです。未だに自分でもその設定忘れるぐらいだから(笑)」
――お名前に虫が入っているのはファンの方も気付いておられるんですか?
サクラ「テントウ虫に気付いてる人はいる。蜂と蛾もいるよね~ってなってるけど。やっぱり皆私で惑わされてる」
アサガオ「スイレンの旧名は"小野スイレン妹子"で、イモが入ってイモ虫なんですけど、さすがにかわいそうだなと思って。妹子の繋がりで、芋に"紅娘"という品種があって、そこからそのまま芋を取って"紅結芽スイレン"になったんだと思わせつつ、テントウ虫だよって。本人も赤が好きな色で黒髪で、ちょうどいいモチーフだねって」
――面白い。めちゃくちゃ楽しいですね。
アサガオ「ほんとにオタクな部分なのであまり出してなかったんですけど、こういう形で言えて良かったです(笑)」
沖縄から上京。今はバンドドリームを叶えている最中
――沖縄で着実に人気を獲得してこられて、今は全国区へ。上京されて約半年、今の状況をどのように見ていますか。
アサガオ「全国でワンマンツアーをさせていただいて、全然行ったことない土地ばかりなので、どうなることやらと思いながらやってたんですけど、100名以上のお客さんが集まって、パンパンのライブハウスでライブさせてもらって。全国に私たちを知ってくれてる人たちが本当にこんなにいるんだ、これだけ愛されてるんだという実感にもなって。モチベーションも上がりますし、そういう輪をどんどん広げていきたい気持ちがまたさらに上がりましたね。本当に実感してます」
――実感してますか。
アサガオ「やっぱり定かじゃなかったので。TikTokのフォロワーが10万人超えたり、YouTubeの再生数が100万再生いった動画ができてはいたけど、どれだけの人が私たちのことを知ってるのか、コロナ禍というのもあって生で見れたことがなかったので。それを今確認できてて嬉しいですね」
――上京生活はいかがですか。
サクラ「順調です。沖縄にいたらできなかっただろうなってことがたくさんあって。今日もそうなんですけど、車で移動したり。本当に車でどこまでも行けそうな感じ。私たちもこういうなりですけど、バンドマンとしてバンドワゴンで全国を廻るみたいな夢はちゃんと持ってて。沖縄だと結局飛行機に乗らないとどこにも行けないので。だから、バンドドリームを1つ叶えてる最中かな。あとは本当に地方のお客さんや、行ったことない場所にいるお客さんと対面した時にやっと、自分たちの広がりと発信力をめちゃくちゃ実感します」
――コクさんはいかがですか。先ほど入って良かったとおっしゃっていましたが。
コク「さっきサクラちゃんが言ってたように、陸続きだから車で色んな場所に行ける。コロナの問題もあったんですけど、沖縄でこういう取材やお仕事に声を掛けてもらっても気軽に対応できない。あと7名で人数が多いので。どうせなら皆で行きたいですし、全員を見てもらいたいので。それで言うと沖縄にいる時よりフルパワーで色々できてるのかな」
アサガオ「わかりやすく動きやすいね」
コク「考えたことが何でもできちゃう。沖縄にいても頑張れるっちゃ頑張れるんですけど、可能性は半端ないなと思いました」
サクラ「私たち、20何年間海に囲まれて生きてるので」
アサガオ「そう。だから沖縄を出るとなったら、他の地方の方と違うハードルがある」
コク「電車もないですし。でも沖縄は沖縄での良さがすごくあるので」
アサガオ「沖縄じゃないと多分ここまでフォロワー数も伸びなかっただろうしね。本当に独特な文化。沖縄には田舎もあるんですけど、都会に行こうとなると那覇や島内で完結しちゃうんですよ。隣の県に跨げないので。独特な人間関係や音楽シーン、沖縄の世界でずっとやってきたので、そういうのをぶち壊して全国で新しい自分たちを見つけたいですし、新しいこともしたいですね」
Text by ERI KUBOTA
インタビュー後編に続く
(2023年7月19日更新)
『千紫万紅』
2500円(税込) 発売中
ZLCP-425
《収録曲》
01. ラララブラ~愛の呪文~
02. フライディ・チャイナタウン
03. ヨバナシのテーマ
04. 真夜中のドア〜stay with me
05. かもめが翔んだ日
06. 抱かれてたいのよ
07. 女心ミステリヰ
08. イケズなやつさ
09. 嘘とアイスコーヒー
10. アナタに首ったけ
11. ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)
12. 恋してよDISCO
13. 一夜一夜に人見頃
14. 夏よ、恋
輝夜朝蛾王(vo)、紅結芽水蓮(g)、蜂乃寺鈴蘭(b)、道頓堀桜(ds)のバンドメンバー、虎吼、獅挐、羅鷙の“SP”なるパフォーマーで構成された沖縄発の歌謡パフォーマンスグループ。バンドメンバーの総体重は540kgを超える。2016年に初ライブを行い、沖縄県内外のイベントに出演。2019年に1stシングル「飼いならされたいの」を発表し、沖縄の音楽フェス「PEACEFULL LOVE ROCK FESTIVAL」のオーディションライブでグランプリを獲得する。同年10月に1stミニアルバム「女を月に例えるなんてハレンチね。」を発表。「飼いならされたいの」が日本テレビ系「バズリズム02」で紹介され、話題になった。2020年はコロナ禍の影響を受けつつも、ほぼ毎月ワンマンライブを行うなど精力的に活動。2022年12月に沖縄市にあるミュージックタウン音市場でデラデラ史上最大規模のワンマンライブを成功させた。2023年2月に上京。6月に1stフルアルバム「千紫万紅」をリリースした。現在、3月から12月まで続く全国ツアー「百花繚乱ツアー」を開催中。
デラックス×デラックス オフィシャルサイト
https://www.deradera.club/
【宮城公演】
▼7月22日(土) LIVE HOUSE enn 2nd
チケット発売中 Pコード:239-572
▼7月29日(土) 17:30
磔磔
オールスタンディング-3900円(ドリンク代別途必要)
※未就学児童は入場不可。公演内容に関する詳細はinfo@v-again.co.jpまで。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人4枚まで。
【静岡公演】
▼7月30日(日) 静岡Sunash
【愛知公演】
▼8月20日(日) CLUB 3STAR IMAIKE
【千葉公演】
▼8月27日(日) 柏Thumb Up
【茨城公演】
▼9月2日(土) 水戸ライトハウス
【福島公演】
▼9月16日(土) 福島・C-moon
【栃木公演】
▼9月17日(日) HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
【愛知公演】
▼10月6日(金) ell.SIZE
チケット発売中 Pコード:239-572
▼10月8日(日) 17:30
神戸 太陽と虎
オールスタンディング-3900円(ドリンク代別途必要)
※未就学児童は入場不可。公演内容に関する詳細はinfo@v-again.co.jpまで。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人4枚まで。
【石川公演】
▼10月21日(土) 金沢AZ
【富山公演】
▼10月22日(日) Soul Power
チケット発売中 Pコード:247-764
▼12月24日(日) 18:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング-4200円(ドリンク代別途必要)
※未就学児童は入場不可。公演内容に関する詳細はinfo@v-again.co.jpまで。
※チケットは、インターネットでのみ販売。店頭での受付はなし。1人4枚まで。