ホーム > インタビュー&レポート > 「音楽を20年続けてきて、今が一番歌うことが楽しい」 Mummy-D、さらさ、伊澤一葉、MASSAN×BASHIRY、 XinUらが集った、NakamuraEmiという人生の交差点 『KICKS』インタビュー&動画コメント
私の"こんな音を出したい"という要望に挑戦できた
――今作はサウンドの変化&進化が明確で。ギタリスト/プロデューサーであり共同制作者のカワムラヒロシさんの主たるフィールドはサーフミュージック寄りのイメージがあったので、これは学んで身につけたものなのか、実は元来持っていた素養なのかが気になりました。
「音楽の好みとして元々あったものが自然と出てきてはいるけど、今までのNakamuraEmiならそれを出す必要もなかったし、あとはコロナ禍に自分たちだけでできることを探して...カワムラさんが打ち込みとかをかなり勉強してくださったから、私の"こんな音を出したい"という要望に挑戦できたんだと思いますね」
――NakamuraEmiの音楽におけるカワムラさんのカラーは確固たるものがあって。特に『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2』('20)までは、そのNakamuraEmiの核とも言える部分を時間をかけて作り上げてきた。だからこそ同時に、変化を求めて前作『Momi』でチームを刷新したとしても、カワムラさんと一緒にやる限りは良くも悪くもその芸風になりかねない。何ならカワムラさんと離れることが、一番分かりやすい変化になるかもしれない。でも、『KICKS』ではむしろ、カワムラさんが切り開いてくれた新たな扉が、サウンド面で大きくNakamuraEmiを前進させた。しかもこれって一朝一夕に身につくものではないし、モノマネに聴こえたらダサくなる。そのクオリティを引き上げる作業は、相当大変だったんじゃないのかなと。
「カワムラさんもよく、"ちょっとやってみました"みたいに中途半端な感じにはしたくないと話していましたし、コロナ禍以降、MPCプレーヤーだったり多くのミュージシャンやエンジニアと出会えて、その都度、カワムラさんは"先生、教えてください!"って、プロツールスの使い方からトラックメイキングまで細かく質問して...。レコーディングの機材も情報もかき集めて研究したからこそ『KICKS』ができたし、カワムラさんの弟さんもドラマーで、小さい頃から兄弟で音を出してきたカワムラさんのリズムへのこだわりも、『KICKS』では全面に出せたなって。ベースもめちゃくちゃ練習してくれたし...本当に努力のたまものみたいな人です」
――バックトラックにはそれが出ているし、リード曲の『火をつけろ』(M-1)なんかは特に、新たな方向性が伝わってきます。個人的に気になったのは、今後のNakamuraEmiの身の振り方として、同じ事務所の偉大な先輩たちのように王道のポップスターを目指すのか。それとももっとアーティスティックな道に進むのか。これまでは、どっちにも行ける資質があるからこそ、どっちにも行き切れない感じもあって。その中で『KICKS』は、思い切ってアーティスティックに振ってみた第一歩な聴き応えがあります。
「それにはこの3年間がでっかくて、ヒップホップの現場だったりいろんなところに出入りして刺激をもらったし、あと、(自分がアーティストとして確立するまでは)コラボもずっと断ってきて...自分に膜みたいなものを張ってたんですよ。でも、コロナ禍でツーマンライブにもどんどん挑戦していく中で、今までも頑張ってきたけど、どうしてもガツンといかないというか...(笑)」
――TikTokでバズっていきなり一億再生、とかもなく(笑)。
「だから悔しいけどもう一回、ちゃんと結果を残すために、日々の仕事の進め方、アイデアの出し方、NakamuraEmiチームで今までは当たり前だと思っていたことも、"本当にこれでいいの?"ってとにかくカワムラさんとセッションして、お互いを刺激し合った3年間だった。言いづらいこともあったけど、そういう中で作ったからこそ、自分にとって『KICKS』は今までで一番濃くて素直なアルバムになったなって」
――その2つが共存するなら間違いない作品ですね。あと、『NIPPONNO ONNAWO UTAU』シリーズの頃は毎回、"人生が懸かってます"みたいな深刻さも感じましたけど(笑)、今作はそういう重さからは解放されたような。
「だから、音楽を20年続けてきて、今が一番歌うことが楽しい。でも、私一人だったら無理だったと思う。"私がこんな調子だから結果が出ないのかな...?"って落ち込むところに、"いやいやそんなことないでしょ!"って勝手にどんどん盛り上がって、新しくて高い目標を設定してくれる、私とは全然違う性格のカワムラさんのような人がいてくれたことが、今回のアルバムの肝だとも思っているので」
――コロナ禍以降も途切れずやってきたライブでもグッとチーム感が増したと思うし、絆がより深まったように見える。それが今回の作品にも出ているんでしょうね。
またファイティングポーズになれた
――そういうカワムラさんと今こそゼロから曲を作ってみようという試みが、先行リリースされた8cmシングル3部作『究極の休日』(M-9)『白昼夢』(M-5)『晴るく』(M-4)でしたが、フルアルバムとなるとそこからさらにギアが入って。アルバムの冒頭、いきなり耳に飛び込んでくるドープなコーラス、2番でガラッと雰囲気=リズムが変わり続ける構成といい、1曲目の『火をつけろ』から攻めまくっていて。
「どれをリード曲にするか迷って、それこそ『祭(feat. Mummy-D)』(M-3)にする案もあったんですけど、Mummy-Dさんに頼るだけじゃ、今の自分たちに核がないのと同じになっちゃう。だから、アルバムの曲が出そろったところでもう一曲、2月中旬からスケジュールを一日ずつズラして調整するぐらいギリギリまで作らせてもらったのが『火をつけろ』で。この曲がなかったらと思うとゾッとするぐらいできて良かったし、気合が入った曲でした」
――『火をつけろ』がなければ『Momi』の延長線上的な匂いがもっと強くなったと思うし、この曲があることで、続く『梅田の夜』(M-2)や『祭(feat. Mummy-D)』の意図も伝わる。多彩なエフェクトもカワムラさんのアイデアによるものだと思うと、そこに積み上げられた努力と時間を感じますね。
「元々のヒップホップ好きな部分が少しずつ開花したのもあるだろうし、今までは私が曲を作った後からアレンジをするから、私の譜割やメロディに乗る音が限られてくる。でも今回は、カワムラさんとゼロから一緒に作ったから、"そっちに進むとこれができなくなるよ"とか、曲作りの段階でお互いの行きたい方向を統一していけて、カワムラさんが今までやりたかったけどできなかったこと、そして、やりたかったことをやれる技術を学んでくれたことが重なって、この曲になったと思ってます」
――『究極の休日』のオフィシャルインタビューではさらっと、「"メロディに合う歌詞"とかをあまり考えてこなかった」と言ってましたけど、むしろそれって大半のシンガーソングライターが重視する点だとも言えるから驚いて。同時に、それだけ言いたいことがあったんだなとも思いましたけど(笑)。
「こうやって人と一緒に曲を作ると、自分の当たり前がおかしなところにあったんだなって気付かされます(笑)。歌詞についても、人の手が入るなんて絶対に無理と思ってたけど、コロナ禍を乗り越えてきたカワムラさんとの共通言語が、それをできる状態にしてくれたんだなって」
――コロナ禍だとある意味、ヒリヒリし過ぎて歌えなかったこともあったでしょうけど、今作では閉塞的なコミュニケーションにまつわることに目線が落とされている歌詞も多いですね。
「みんなの声出しとかも始まって、自分たちもどんどん元気になったから、またファイティングポーズになれたなって。何より自分たちのチーム内で気付いたというか、コロナ禍で会わなくても作業できるように進めてたんですけど、携帯に打つ文章にしたってそれぞれ表現が違って。その人にとっては気にせず送ったメールでも、こっちからしたら何か殺伐として取れて、"あれ、怒らせてる?"みたいに感じる。そんなモヤモヤも会って話せば速攻なくなるし...これは絶対に会うことを大事にしなきゃなと思って」
――『火をつけろ』の"近頃の火は水じゃ消えない"というSNSの炎上をもじったラインはお見事で、最終的に"自分の純粋に火をつけろ"と持っていくことで、なぜこのタイトルなのかという疑問が解消されるカタルシスもさすがです。MVの質感もいつもよりハードで、安易にかわいく見せないのも良かったなと。
「エレベーターでの撮影にはいろいろ条件があって最初は難しくて。でも、ずっと撮ってもらってきた監督だから顔を見れば分かるというか、やっぱりエレベーターで撮るべきだと思ったから、カワムラさんと私たちでどうにかやる方向に進めて...そこから、自分のことを応援してくれてるスタジオに聞いてみたら協力してくれて、あの強いMVが作れた。それも今までの当たり前で進めてたら、違う方向性のMVになっていたと思うし」
――"エレベーターが使えないなら、どこかの部屋にシチュエーションを変えよう"と大人の事情で終わらせるんじゃなくて、大人で事情が分かっているからこそ、実現するための可能性にちゃんと執着した。
「『KICKS』では新しいディレクターの方が客観的に物事を見てくれて、その方が背中を押してくれたからこそ、"よし、頑張るか!"と『火をつけろ』は作れたので。とっても大事な曲になりました」
もう本当に心が動いた日だったから
――その『火をつけろ』や『梅田の夜』、『一円なり』(M-10)のレコーディングのクレジットには、at ZOMBIE HOUSE Shonan & Gifu STUDIOと記されています。ZOMBIE HOUSE Shonanはカワムラさんのホームスタジオかなと予想がつきますが、Gifu STUDIOはいったい?
「カワムラさんの岐阜のご実家のそばにおばあさまが住んでいたお家があって、静かだし、そこにグランドピアノも置いてあるのでスタジオ化してみようと。音楽が大好きなカワムラ家なので他にもいっぱい楽器があって、"これって『晴るく』に合いそうですよね?"みたいな話から、おばあさまの大正琴をZOMBIE HOUSE Shonanに持って帰ってエフェクトをかけたら、めっちゃ良くなって(笑)。エンジニアの奥田泰次さんが録り方を教えてくれて、岐阜のスタジオの空気感が入っている音、湘南で録った音、きちんとしたスタジオで録った音...その3つを重ねたら不思議な空間が生まれるんじゃないかと思ったんですよね」
――『梅田の夜』を聴いて、"この日のライブ(='23年8月19日、大阪・梅田 Shangri-La『COCALERO PRESENTS shake』)、見たかったな~"と思わされました。
「今までも"この日のことは絶対に曲にする"と思ったことはあるんですけど、もう本当に心が動いた日だったから」
――NakamuraEmiのライブスケジュールを見ていても異色のメンツでしたもんね。曲中に自分のステージの描写がないのも面白いですね。描かないことで記憶が抜け落ちるぐらいの必死さも感じますし。
「気付きました?(笑) 何かもう、そこまでのライブがすご過ぎて、自分のステージは一瞬で終わっちゃった。私たちにとってはとんでもないチャンスをもらった日で必死だったし、"KZ & SPI-K from 梅田サイファー, RowHoo, チプルソ"に負けないようにという思いもあったんで、カワムラさんは2~3年前に買ってまだライブで使ったことがなかったMPCを引っ張り出し、私はフルートを練習して...この日のために『Rebirth』('17)をリアレンジするという」
――"梅田のコンビニ 缶ビールで乾杯"のくだりは、Shangri-Laの近くのあのファミマですよね? 青春やん!(笑) そして最後に、"憧れのHipHop 人生変えてくれたHipHop 私のくくりはジャパニーズポップス becauseルーツは演歌と歌謡曲"と言い切れたのが全てかなと。
「もちろんヒップホップに敬意はあるけど、自分が聴いて育ってきた歌謡曲とか演歌の中に根っこがあるから。そんな今の自分も楽しいなって表現できたのはうれしかったですね」
一緒に音楽をやるなんて全然頭になかった
――NakamuraEmiが故郷でも何でもない三重県桑名市のアンバサダー"魅力みつけびと"になったと聞いたときは、幾つも"?"が浮かんで。それに推薦してくれたのがまさかのRHYMESTERのMummy-Dさんで、そこから『祭(feat. Mummy-D)』が生まれて。
「桑名マイスターのMummy-Dさんが自分のことを推してくれたんですけど、市長さんたちとみんなで乾杯しながら、"あそこの神社はさ..."とか盛り上がって...。人間味のあるMummy-Dさんと、"この伝統をちゃんと引き継ぎたいよね"みたいに熱い話ができるのは何て幸せなんだろうと思ったし、Mummy-Dさんは神様みたいな存在だから一緒に音楽をやるなんて全然頭になかったけど、これは今、自分の気持ちを伝えなきゃダメだなと思い始めて。カワムラさんも"この曲でMummy-Dさんを呼ぶしかないんじゃない?"って」
――リリースに際したMummy-Dさんのコメントすらパンチラインなのが最高で。"要はオレの方がフィーチャリングされたかったのだ。コクられ待ちだったのである"って、憧れの人にこんなん言われたら泣くわと。
「朝7~8時にスタッフから、"Mummy-Dさんからヤバいコメントが送られて来ました"と連絡があって。布団に入ったままそれを見て...もう大泣き」
――『火をつけろ』や『梅田の夜』はまさに新境地ですけど、『祭(feat. Mummy-D)』の始まりはこれまでのムードもありつつ、ビートが今で。これが全編生楽器なら昔のニュアンスに近い曲になっていたかもしれないところを、トラックメイクすることで今まで培ってきたものと最新系のNakamuraEmiが合わさったようにも聴こえます。
「Mummy-Dさんとやるからこそ、自分たちがやってきたアコースティックな要素とか桑名の鐘の音も入れたかったし、ヒップホップからもらったものも全部融合させて。あと、この曲にピアノで参加してくれた伊澤一葉さんはサーフィンがきっかけでカワムラさんと出会って、去年辺りからライブもさせてもらうようになったんですけど、あるとき伊澤さんから、"Dさんと飲むんだけどヒロシくんとEmiちゃんも来ない?"って電話が来て! そこでもうフィーチャリングをお願いしちゃおうかとも思ったけど、Mummy-DさんはソロアルバムのリリースとかRHYMESTERの日本武道館公演もあって忙しい時期だったのも分かってたからグッと我慢して...伊澤さんはそのとき何も知らなかったんですけど(笑)。そういう縁もあって、"この曲には伊澤さんにも入ってもらおう!"と、4人で作った曲でしたね」
――こんなミニマムな音数で、こんな印象的なピアノを弾ける人がいますかと。この座組が具現化したときは、たまらないものがあったでしょうね。
「いや~すごかった。ただ、この曲ってMummy-Dさんが出てくるまで結構引っ張ってるじゃないですか」
――だから後半にいざ出てきたとき、ゴジラのテーマが自ずと脳内で鳴るような感覚が(笑)。
「(笑)。Mummy-Dさんのバースをもっと前にすることも考えたんですけど、"桑名の祭や伝統が残ってること、それをこの時代に残していく難しさをちゃんと歌ってくれてるから、俺は盛り上げ役で後から入るのがいいと思う"って」
――必殺のラップをキメてさっそうと帰っていく、ヤバいプレゼントですねこれは。そしてこの曲の、"それぞれのビートを それぞれのハートを それぞれのアートを 生きてけばいいさ"というリリックは、まるで『KICKS』全体のキャッチフレーズのようでもあるし、NakamuraEmiの今後を端的に表している気がしましたね。
ストーリーがある人たちとアルバムを作れたのはすごくうれしかった
――『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.3』('15)収録の過去曲『雪模様(feat. さらさ & 伊澤一葉)』を入れたのは?
「まだデビュー前のいろいろと悩んでいた時期に書いた曲なんですけど、会社員の頃の自分の姿が残っていて、何かこの2~3年、冬にこの曲を歌いたくなるんですよ。いい意味でリセットされるというか...ライブで歌っていたらCDが欲しいとよく言われるようになったので、じゃあ今度はちゃんとメジャーのアルバムに入れようと思って。リアレンジをどうしようかと考えたとき、コロナ禍に出会った自然界のパワーを感じる2人を注入しようと。結果、一番いい形になったと思っています」
――美しくて上質なポップスですよね。かつて『チクッ』('20)を再録したときも、"こういう曲の方が売れやすいんじゃないか?"みたいな話にもなりましたけど(笑)、デビュー前もちゃんといい曲を書いていたんだなと。
「この曲ってJ-POP的でもあるけど、リズムが入ってきたときに謎の浮遊感が出てくる。これは自分にしか作れない空気なのかもしれないと思って、歌っていても楽しい曲ですね」
――『Hello Hello(feat. XinU) -NakamuraEmi & MASSAN×BASHIRY』(M-8)ができたきっかけも、ライブで出会ったMASSAN×BASHIRYと、インスタで見つけて歌声が気になったXinUとイベントで一緒になり...初めからリリースどうこうではなく、その場で歌うために曲を作ろうという衝動は、極めて現場主義な曲の生まれ方だなと。
「藤原さくらちゃんとのマッシュアップ(=『The Moon × 星なんて言わず』('22))はありましたけど、デビューしてから初めて誰かと一緒に曲を作ったのがMASSAN×BASHIRYで。飲みに行くぐらい仲が良い盟友だから書けた曲でもあるし、その次の年にXinUが入ってバースを作ってくれたときに一気に曲がまとまって...結果的に、XinUが音源化に背中を押してくれたんですよね」
――ただコラボして"お疲れ様でした"では終わらないですね、NakamuraEmiは。あと、話題作りのためのフィーチャリングじゃないのもいいなと思ったんですよね。
「ちゃんと意味があるコラボをしたいし、大事な人たちと音楽を作りたいなと改めて思って。こうやってストーリーがある人たちとアルバムを作れたのはすごくうれしかったです」
――小学生の頃に通っていたそろばん塾の思い出をつづった、最後の『一円なり』を聴いていると、こういうことを歌にできる限りNakamuraEmiは続くと思いました。童謡でもヒップホップでもない、NakamuraEmiでしかない世界。"そろばんなんか、スマホで計算するからいらないでしょ"じゃなくて、忘れられない思い出があることが今の自分を動かしてくれるという意味では、やっぱり人生の全てが無駄じゃない。
「これはもう完全に私が弾き語りで作ったから、最初は地味な曲ではあったんですけど...私的にはこの曲と『梅田の夜』には自分の思いが100%入っちゃってるから、もう頼むからやらせてって(笑)。とてもいい先生だったし、先生が生徒たちを大事にしてくれていたのが大人になって分かって...うれしかったな」
――そろばんを習っていても、今でも続く関係性に誰もがなるわけじゃない。地元でインストアライブをしても先生が見に来るとは限らない。大人になってもこうやって再会できる、そこにNakamuraEmiの人柄を感じましたね。
これ以上ないぐらい音楽に詰め込んだし、みんなで当たり前を変えてこれた
――『KICKS』が出来上がったとき、今までと違う感覚はありました?
「自分に自信がないから、最高傑作ができたと思えたのが自分でも不思議なぐらいです。でも、これ以上ないぐらい音楽に詰め込んだし、みんなで当たり前を変えてこれたなって」
――『KICKS』=前へ蹴り出すというタイトルは作品が持つムードにもピッタリで、デザイン的にも映えますね。
「今までも素敵なお洋服を着させてもらってきたけど、やっぱり自分はストリートファッションが好きなんだなと思って。最近は自分の好きな感じを提案してますね」
――現在開催中のリリースツアーは、カワムラさんとのアコースティック編成を経て、10月の東名阪はバンドワンマンです。大阪会場の味園ユニバースは今年で閉館と言われているので、いいタイミングでしたね。
「ビックリしましたけど、ずっとやりたかった場所だったからうれしくて。アコースティックの方は、2人でできることに挑戦しながら表現するのが自分たちも楽しいし、かつダイレクトにお客さまに伝わるライブになると思います。バンドの方はこの3年、たくさんの方と音を出したからこそ見えたものが出せたらいいな。今でも"まだまだ頑張ろうぜ、 練習しようぜ"ってなれるし、ここからおばあちゃんになっても、そのマインドでやっていける気がする。それぐらい今は歌うのが楽しいんですよね」
Text by 奥"ボウイ"昌史
ライター奥"ボウイ"昌史さんからのオススメ!
「インタビューを重ねると、読者やファンはもちろんのこと、アーティスト自身の期待にも応えたいと思うようになることがあるんです。僕にとってNakamuraEmiもその一人で。コロナ禍もあって、取材は『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2』以来4年ぶり。その間もライブを見て言葉を交わすことはあっても、こうやって作品について深く語る行為はやっぱり別物で。何せ会話を始めてワンラリーでこのガチンコぶり。キャリアを重ねて、大人になってから変わるのは、何の仕事をしていても難しいというか、変わらなくてもそこそこやれちゃうからこそ難しい。でも、このままじゃ奇跡は起きないのも何となく分かってしまう。そう、今いる場所から一歩でも前進するには絶対に努力と勇気が要るんです。『KICKS』を聴いて改めてそんなことに気付かされました。だってこの作品にまつわる全てにそれが詰まっているから。サウンドの要のカワムラさん、マジですげーわ。数え切れないほど多くのミュージシャンの話を聞いてきて、ちょっとやそっとじゃ驚かなくなっているからこそ、毎回感心させてくれる人に報いたくなる。今回もNakamuraEmiは特別でした。『KICKS』、ぜひ聴いてみてください!」
(2024年7月19日更新)
Album
『KICKS』
発売中 3500円
日本コロムビア
COCP-42258
<収録曲>
01. 火をつけろ
02. 梅田の夜
03. 祭(feat. Mummy-D)
04. 晴るく
05. 白昼夢
06. 雪模様(feat. さらさ & 伊澤一葉)
07. 一目惚れ
08. Hello Hello(feat. XinU)
–NakamuraEmi & MASSAN×BASHIRY
09. 究極の休日
10. 一円なり
LP
『KICKS』
発売中 6600円
日本コロムビア
COJA-9509-10
<SIDE A収録曲>
01. 火をつけろ
02. 梅田の夜
03. 祭(feat. Mummy-D)
<SIDE B収録曲>
04. 晴るく
05. 白昼夢
06. 雪模様(feat. さらさ & 伊澤一葉)
<SIDE C収録曲>
07. 一目惚れ
08. Hello Hello(feat. XinU)
–NakamuraEmi & MASSAN×BASHIRY
<SIDE D収録曲>
09. 究極の休日
10. 一円なり
ナカムラエミ…’82年生まれ、神奈川県厚木市出身。さまざまな職種を経験する中で、いろいろなジャンルの音楽に出会い、歌とフロウの間を行き来する独特なスタイルを確立。小柄な体からは想像できないほどパワフルに吐き出されるリリックとメロディは心の奥底に突き刺さる。’16年にアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』でメジャーデビュー。収録曲『YAMABIKO』が全国のCSやFM/AMラジオ52局でパワープレイを獲得。その後も、『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』(’17)、『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5』(’18)、『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6』(’19)、『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2』(’20)、『Momi』(’21)とコンスタントにアルバムをリリース。’22年3月には集英社HAPPY PLUSイメージソング『一目惚れ』、9月には自身初コラボとなる藤原さくらとのマッシュアップソング『The Moon × 星なんて言わず』を配信。’23年7月には『究極の休日』、11月には『白昼夢』、’24年3月には『晴るく』を配信&8cmシングルでリリース。5月29日には7thアルバム『KICKS』をリリース。現在は約2年6カ月ぶりとなる全27公演の全国ツアー『NakamuraEmi「KICKS Release Tour 2024」』を開催中。
NakamuraEmi オフィシャルサイト
https://www.office-augusta.com/nakamuraemi/
『NakamuraEmi KICKS Release Tour 2024
Acoustic ver.』
【北海道公演】
▼6月8日(土)cube garden
▼6月9日(日)函館ARARA
【神奈川公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月12日(水)THUMBS UP
【埼玉公演】
▼6月13日(木)越谷EASYGOINGS
【静岡公演】
▼6月15日(土)Live House 浜松 窓枠
【兵庫公演】
▼6月16日(日)神戸VARIT.
【熊本公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月22日(土)ぺいあのPLUS'
【鹿児島公演】
▼6月23日(日)鹿児島SRホール
【香川公演】
▼6月29日(土)TOONICE
【高知公演】
▼6月30日(日)高知X-pt.
【長野公演】
▼7月15日(月・祝)INA GRAMHOUSE
【岡山公演】
▼7月20日(土)CRAZYMAMA 2nd Room
【島根公演】
▼7月21日(日)松江canova
【岐阜公演】
Thank you, Sold Out!!
▼7月27日(土)yanagase ants
チケット発売中
※販売期間中は、インターネットのみで販売。チケットは、7/21(日)朝10:00以降に引換えが可能となります。
▼7月28日(日)17:30
磔磔
全自由5000円
GREENS■06(6882)1224
(https://www.greens-corp.co.jp/)
※小学生以上は有料。未就学児のご入場は、同行の保護者の方の範囲内で、周りのお客様のご迷惑にならないようご覧ください。
一般発売7月27日(土)
※販売期間中は、インターネットのみで販売。チケットは、8/31(土)朝10:00以降に引換えが可能となります。
▼9月7日(土)18:00
梅田クラブクアトロ
スタンディング6000円
[共演]Furui Riho
GREENS■06(6882)1224
(平日12:00-18:00)
(https://www.greens-corp.co.jp/)
※小学生以上は有料。未就学児のご入場は、同行の保護者の方の範囲内で、周りのお客様のご迷惑にならないようご覧ください。
チケット発売中
※販売期間中は、インターネットのみで販売。チケットは、10/4(金)朝10:00以降に引換えが可能となります。
▼10月11日(金)19:00
味園 ユニバース
全自由6000円
GREENS■06(6882)1224
(https://www.greens-corp.co.jp/)
※小学生以上は有料。未就学児のご入場は、同行の保護者の方の範囲内で、周りのお客様のご迷惑にならないようご覧ください。