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ホーム > インタビュー&レポート > SHE’S、ズーカラデル、Drop’sが、 摂津市民文化ホール(くすのきホール)で奏でたグッドミュージック! 『南千里丘Rock Museum』=丘ロックが贈る最高のスピンオフ 『音-Neji parts2』ライブレポート


SHE’S、ズーカラデル、Drop’sが、
摂津市民文化ホール(くすのきホール)で奏でたグッドミュージック!
『南千里丘Rock Museum』=丘ロックが贈る最高のスピンオフ
『音-Neji parts2』ライブレポート

 大阪・北摂地域を舞台に’13年より行われてきた音楽イベント『南千里丘Rock Museum』。今年は『古墳フェス come come*はにコット』チームによるワークショップや飲食店が出店したマルシェともコラボし、過去最高の盛り上がりを見せた通称“丘ロック”の、スピンオフイベント第2弾となる『音-Neji parts2』が、10月6日、摂津市民文化ホール(くすのきホール)にて開催された。今年も、SHE’S、ズーカラデル、Drop’sという選りすぐりのライブバンドたちが、様々なベクトルでグッドミュージックを捧げた熱い一夜をレポート!

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 まずステージに登場したのは、FM802 DJの板東さえかと樋口大喜の2人。4000以上の事業者が集う研究と産業の街である摂津市には工場がたくさんあることから、“音楽の工場見学”というコンセプトでお届けする『音-Neji』。この日は、世の中に良質な音楽を出荷しているアーティストが出演するということで、唸りを上げるエンジン音と「ここはいろんなものを作るNejiの街…」とのナレーションとともに、巨大なスクリーンには“Nejiの街ミュージアム体験型ツアー”のオープニング映像が流れる。町長の板東、そして、館長の樋口が“音-Neji THE RIDE”に乗り込み、ネジを回せばいよいよライブがスタート!

otonejiparts2report_zookaraderublue.jpg ボブ・ディランのSEを背に現れたトップバッターは、札幌発のスリーピースロックバンド、ズーカラデルだ。リラックスしたムードの中、ゆったりとしたBPMで送る『夢の恋人』から、気負うことなきグッドミュージックでくすのきホールを包み込む。「ズーカラデルと申します、今日はゆっくり楽しんでいってください」(吉田・vo&g)とのご挨拶の後も、軽妙なコーラスワークが躍動感を促す『恋と退屈』、そして『イエス』と、ミニマムなスリーピース編成で鳴らすジャストなバンドサウンドからは、彼らが歌心とは何たるかをきっちりと肌で感じているのが分かる。
 

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 「僕たちのライブで手拍子とかしてくれるのも嬉しいですけど、ぼーっと突っ立って観てもいいし、皆さん自由に楽しんでください」(鷲見・b)、「ネジが締まって、歯車が動き出していくのが生活だとしたら、様々な不和を乗り越えていくそういう歌を」(吉田)と鳴らした、鈍い痛みの中でも続いてく日々を綴るミドルチューン『生活』、歌うベースラインとエモーショナルなギターソロが胸に迫る『前夜』と、派手な演出などなくとも、全ては音楽が担ってくれることを思い知らされるような充実の楽曲群が続く。
 

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「普段はいわゆるライブハウスで演奏することが多いので、すり鉢状で、みんなが楽に観られるようなこんな場所でやることがなくて。せっかく椅子があるので、座ってもらっても。まぁあんまり言うとアレですけど、選べるっていうのはいいよね?(笑) そうやっていつもと違う空間で我々は演奏してるんですけど、皆さんにもいつもと違う空間で観てもらって…日々の生活には届かなくて消えてしまっても、心の奥底にひと欠片でも残れば嬉しいなと思ってます。次に演奏する曲は、目いっぱい、一番大きな気持ちで日々を過ごしていこうぜという曲です。ここから最後まで駆け抜けていきたいと思うので、よろしくお願いします!」(吉田)
 

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 終盤は、宣言通りに力強く疾走した代表曲『アニー』を皮切りに、『漂流劇団』『ビューティ』と一気にたたみかけ、叙情性豊かでフォーキーな世界観を、最後の最後までソングファーストで届けてくれたズーカラデル。今後の躍進に大いに期待が高まる3人が、『音-Neji』の歴史に新たに名を刻んだ。
 

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 アカペラでひと節歌い上げた『Tシャツと涙』から、いきなりオーディエンスを引き込んだのは、2年連続の出演となるDrop’s。続く『EAST 70』でも、確かな技術と熱い衝動を兼ね備えた演奏で魅せていく姿は最高にクール。
 
「摂津、『音-Neji』、2回目も出ることができてホントに嬉しいです。今年は“Nejiの街ミュージアム”ということで、ぜひ楽しんでいってください!」(中野・vo&g、以下同)
 

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 ブルージーなギターにとことん酔いしれる『十二月』、そして、多保孝一(ex. Superfly)と共同制作した、たたみかける言葉と祝祭のビートに新境地を感じさせる『Cinderella』、ハスキーな歌声が艶っぽく響いた『アイラブユー』と、この1年のDrop’sが観てきた景色や過ごしてきた時間の重みを感じさせる充実のパフォーマンスが続く。
 

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「去年も摂津に来させてもらって、ホントに嬉しいです。さっき少し散歩したらすぐそこに川があって、地元を思い出すのどかな景色があっていいところですね。じゃあ新しいアルバムの曲をやります」
 

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 後半戦は、ドライブするバンドサウンドに胸躍る『天使とラストシーン』、情熱を爆発させるようなワイルドな演奏で聴かせた代表曲『コール・ミー』と続け、「今日はどうもありがとう~楽しい! またどこかで会いましょう」と、ラストは自ずと手拍子も沸き立ったハッピーでエモーショナルな『毎日がラブソング』。9月にリリースされた3年半ぶりのアルバム『Tiny Ground』からの楽曲も多数お目見えし、昨年と一切曲かぶりなしのセットリストで臨んだDrop’sの心意気。可憐な佇まいとは裏腹に凄みのあるサウンドで終始オーディエンスを虜にしたDrop’sだった。
 

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 ブルーの照明に照らされながら大きな拍手で迎えられたのは、この日の大トリとなるSHE’S! アンビエントミュージックとバンドサウンドの幸福なる融合で聴かせる1曲目の『歓びの陽』から、観客総立ち&クラップの絶景をくすのきホールに生み出し、「大阪、元気ですか~!」(井上・vo&key)と続く『Over You』では井上がアコギにスイッチし、躍動感と祝祭感溢れる楽曲で『音-Neji』を一気に自らのホームに引き寄せる。
 

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 MCでは、「我々6年前、『南千里丘Rock Museum』でこのステージに立ってまして。地元なので思い出も蘇りながら、盛り上がってきました」(服部・g)、「摂津に初めてきた人! 何もないでしょ?(笑) でも、それがいいんですよ。歩いて行ける場所に実家があったり、初めてライブをしたライブハウスもその辺やし、ザ・地元っていう感じで。今日は全員で楽しみにしてきました!」(井上)と、北摂で結成されたSHE’Sならではの言葉で『音-Neji』に出演できた喜びを語る。その後は、SHE’Sのソングライティング力の結晶とも言えるミドルチューンの名曲『Tonight』、スケールの大きなビートとエモーショナルなギターソロで圧倒した『Ghost』と、6年前の彼らとは段違いの実力と経験を重ねたパフォーマンスで、オーディエンスを釘づけにして離さない。
 

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 その後も、9月、10月、11月と3ヵ月連続配信されたデジタルシングル第1弾の『Masquerade』を披露。そのタイトル(=仮面舞踏会)さながらゆったりめのBPMで踊らせる異国情緒溢れたナンバーで、SHE’Sの新機軸を見せつける。ここで、「せっかくなんで今日は一緒にやろうと思います! 樋口大喜~!!」との井上のコールに応えた樋口が、なぜかケンタウルスの着ぐるみでステージに登場(笑)。樋口の担当番組『RADIO∞INFINITY』のジングルから派生したという『Sweet Sweet Magic』を、井上と樋口のツインボーカルで歌い上げ、これには会場も大盛り上がり。「大阪~! 一緒に歌っていこうぜ~!!」と放ったトドメの『Dance With Me』では、この日のピークと言える熱量に到達! 手を振り叩くオーディエンスに見送られるままエンディングへ。

otonejiparts2report_shesyellow.jpg 照明が落とされても鳴り止まない拍手に呼び戻され、4人が再びアンコールのステージへ。「僕らの地元で行われてる大事なイベントが、ずっとずっと続けばいいなと。今日お越しいただいた全ての人へ、本当にありがとうございました!」(井上)と最後に届けたのは、『Curtain Call』。まさにそんなMCを体現したような楽曲で、SHE’Sにとって、オーディエンスにとって、新たに生まれた大事な場所=『音-Neji』の未来を願う。「また音楽の鳴る場所で会いましょう!」(井上)と、これ以上ないエンドロールをくすのきホールに残した、SHE’Sの万感のステージだった。
 

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 「“Nejiの街ミュージアム”、これにて閉館!」と館長の樋口の呼びかけに拍手で応えるオーディエンス。町長の板東に危険なアトラクション=ケンタウロスを注意されながらも(笑)、イベントの最後は工場見学特典として空気清浄機が当たるプレゼント抽選会も開催。9月に大盛況にて幕を閉じた『南千里丘Rock Museum 2019』共々、北摂を大いに湧かせた『音-Neji parts2』。また来年へと音楽のバトンを渡したかけがえのない一夜が、これにて終了した。
 
 
Text by 奥”ボウイ”昌史
Photo by 河上良(bit Direction lab.)



(2019年12月12日更新)


Check

Set List

前回の春から今年は秋開催へ
丘ロックアフターイベント大成功!

 
『音-Neji parts2』
2019年10月6日(日)
at 摂津市民文化ホール(くすのきホール)

ズーカラデル
01. 夢の恋人
02. 恋と退屈
03. イエス
04. 生活
05. 前夜
06. アニー
07. 漂流劇団
08. ビューティ

Drop's
01. Tシャツと涙
02. EAST 70
03. 十二月
04. Cinderella
05. アイラブユー
06. 天使とラストシーン
07. コール・ミー
08. 毎日がラブソング

SHE'S
01. 歓びの陽
02. Over You
03. Tonight
04. Ghost
05. Masquerade
06. Sweet Sweet Magic
07. Dance With Me
~ENCORE~
08. Curtain Call

Link

南千里丘Rock Museum
オフィシャルサイト

http://oka-rock.jp/

オフィシャルTwitter
https://twitter.com/ok_rock2018
 

Live

3組の今後の関西圏でのライブが
12~3月まで目白押し!

 
●ズーカラデル

『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY』
一般発売未定
Pコード未定
▼12月26日(木)11:00
インテックス大阪
1dayチケット9500円
[出演]阿部真央/打首獄門同好会/KEYTALK/木村カエラ/9mm Parabellum Bullet/GLIM SPANKY/GLAY/Saucy Dog/THE ORAL CIGARETTES/SCANDAL/ストレイテナー/東京スカパラダイスオーケストラ/TOTALFAT/BURNOUT SYNDROMES/04 Limited Sazabys/BLUE ENCOUNT/フレンズ/マカロニえんぴつ/milet/ヤバイTシャツ屋さん/ユニコーン/ASIAN KUNG-FU GENERATION
[Spotify Early Noise LIVE HOUSE Antenna出演]Age Factory/ズーカラデル/DENIMS/ハンブレッダーズ/みゆな/reGretGirl/オカモトコウキ(OKAMOTO'S)
FM802 RADIO CRAZY公演事務局■06(7732)8787
※6歳未満は入場無料。出演アーティストは変更になる場合があります。その際の変更・キャンセルに伴う払戻しはできません。公演に関する詳細は、公式サイト(http://radiocrazy.fm/)にてご確認ください。

チケット情報はこちら


『ズーカラデル「全国ツアー」追加公演』
Thank you, Sold Out!!
▼2月8日(土)18:00
心斎橋JANUS
オールスタンディング3500円
プラムチャウダー■06(6357)6969
※未就学児童は入場不可。


『スペースシャワー列伝
 JAPAN TOUR 2020』
一般発売未定
Pコード未定
▼3月5日(木)19:00
BIGCAT
オールスタンディング3300円
[出演]KOTORI/Suspended 4th/
ハンブレッダーズ/ズーカラデル
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料。未就学児童は保護者同伴につき1名まで無料。


●Drop's

『Magnet
~北のシンデレラと南のヴィーナス~』
一般発売12月17日(火)
※発売初日は18:00より受付。
Pコード168-651
▼2月28日(金)19:30
Shangri-La
スタンディング3500円
[出演]Anly/Drop's
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※小学生以上は有料、
 未就学児童は1名まで無料。

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●SHE'S

『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY』
一般発売未定
Pコード未定
▼12月25日(水)11:00
インテックス大阪
1dayチケット9500円
[出演]FM802 RADIO CRAZY×ROTTENGRAFFTY 20th ポルノ超特急臨時大増便!!/OKAMOTO'S/Official髭男dism/KANA-BOON/King Gnu/グッドモーニングアメリカ/Survive Said The Prophet/SHISHAMO/SHE'S/sumika/teto/10-FEET/Nothing's Carved In Stone/Hump Back/パスピエ/Hump Back/ビッケブランカ/ポルカドットスティングレイ/MY FIRST STORY/LAMP IN TERREN/ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
[Spotify Early Noise LIVE HOUSE Antenna出演]Karin./サイダーガール/w.o.d./Novelbright/YAJICO GIRL/ユアネス
FM802 RADIO CRAZY公演事務局■06(7732)8787
※6歳未満は入場無料。出演アーティストは変更になる場合があります。その際の変更・キャンセルに伴う払戻しはできません。公演に関する詳細は、公式サイト(http://radiocrazy.fm/)にてご確認ください。

チケット情報はこちら


『SHE'S Tour 2020 』
一般発売2月8日(土)
Pコード169-362
▼3月14日(土)18:00
Zepp Namba(OSAKA)
1Fスタンディング3800円
2F指定席4300円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※未就学児童は入場不可。小学生以上は有料。


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らをゲストに過去最大の盛り上がり
を見せた北摂アーティストの祝祭
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