縁という名の道しるべをたどる、大人たちはみな、夢の途中――
熟成するOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDの
まばゆき現在地『FOLLOW THE DREAM』を手に人生の旅路は続く
TOSHI-LOW&MARTINインタビュー&動画コメント
(2/2)
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次の希望っていうのかな…一番難しいテーマなんだけど
そのテーマを言い当ててくれたことで
より一層“同じ光景を見てくれてるんだなぁ”って思った
――今年の『New Acoustic Camp 2014』のテーマソングにもなった『Making Time』(M-5)なんかに顕著なんですけど、何かワクワクするんですよね。“音楽を聴いてワクワクする”っていうすごく純粋な衝動があるなって。
TOSHI-LOW「そのためにやっぱりシンプルさが必要だと思うんですよね」
――それこそ子供たちが反応したりするような。
TOSHI-LOW「そうそう。知らない間に動いたり跳ね回ったりするっていう」
――『New Acoustic Camp』にテーマ曲って今まであったんですか?
TOSHI-LOW「いや、特になかったんじゃないかな。でも何か…感覚が一番近いというか、“時間作ってキャンプしよーぜ!!”っていう感じでね(笑)」
――(笑)。“Making Time”っていい言葉ですよね。
TOSHI-LOW「いいですよね。自分が頑張った分だけ、時間が出来る。時間ってみんなに平等な気がしてるけど、実は人によってそれを作れる人と作れない人がいて。“時間がない時間がない!”って言ってる人って、いっつも時間がないじゃないですか。それが出来ている人は、ちょっと早歩きで歩いて時間を5分作ったりして。そういう意味合いにも取ってくれたらいいなぁと思ってます」
――今作の試みとして、『朝焼けの歌』(M-11)ではMARTINさんの要望でTOSHI-LOWさんが作詞をしたりも?
TOSHI-LOW「作詞というか、歌い分けする部分で“これはTOSHIが歌った方がいいんじゃない?”みたいな感じで分けているので。俺には見えている風景があって、それをMARTINには言わずにテーマを聞いてみたら、まぁホントに俺が思い描いていた光景と同じ光景をMARTINも思い浮かべてくれていたことが分かって、とっても俺は嬉しくて。何もなくなってしまった街で働く人、汗をかいて頑張ってる人たち、そういう人たちにとって悲しみは当たり前で大事でもあるんだけど、次の希望っていうのかな…一番難しいテーマなんだけど、そのテーマを言い当ててくれたことで、より一層“同じ光景を見てくれてるんだなぁ”って思った。それはすごいよかったですね」
――MARTINさんはやっぱりそういう気持ちでTOSHI-LOWさんに歌って欲しかったわけですか? 曲から同じ光景を感じ取ったわけですね。
MARTIN「うん。彼も震災の後いっぱい東北に行って、いろいろと手伝いとか、復興のこととか、ライブハウスを作ったり、大変な状況の街のエコノミーを動かそうとしたりしてきて…曲とかMCでは、“今、街はこうなってる。こういう人たちが死んで、こういう子供たちが残ってる。この景色を忘れんなよ”みたいなことは伝えてきたけど、“これからどうやっていく? 誰がやっていく? 誰がやってくれてる?”とか、そういうことにはまだ触れていなかったのかなぁと思って。“問題はまだ終わっていないけど、頑張って立て直そうとしてる人たちがいる。その人たちに感謝ね”みたいなメッセージを伝えて欲しかった。このメロディを作った瞬間にそのイメージも出てきて、TOSHI-LOWがこの曲をこういうテーマで歌う、みたいな構想も結構しっかりあったな。結果、アルバムの中でも一番好きな曲になって。素晴らしい曲だと思う」
――言葉の選び方とかも、全てを言わずとも伝わる感じがありますね。
TOSHI-LOW「そこでね、“頑張れよ~♪”とか歌っちゃったら俺、技術なさ過ぎだろ!みたいな(笑)。MARTINが言ったように、俺は確かに悲しみを伝えてきてる。それは関東近県とか、あとは違う地方で。ただ、現地に行ったときって、逆のことを少し話していて。だってそんなことはみんな知ってるから。そのことをすごく思い出して、“忘れんなよ”ばっかりじゃなくて、やっぱり“希望の光”みたいなところに…つなげられたらいいなぁと思って」
何かね、MARTINが歌う日本語が好きなの
――最後の『Question』(M-12)は日本語詞ですけど、ボーカルはMARTINさんですよね。これはどういったきっかけでそうなったんですか?
TOSHI-LOW「これはMARTINが歌った方がいいなと思ったんだけど、何か1曲、日本語で歌ってもらいたかった。何かね、MARTINが歌う日本語が好きなの」
――僕も良いなと思いました、これを聴いたときに。
TOSHI-LOW「俺が歌ったら出ないやわらかい感じとか、あたたかい感じとか…1stアルバムの『OVERGROUND ACOUSITC UNDERGROUND』(‘06)に『Hour Hand』っていう曲があって、それも日本語で歌ってるんだけど、今でもすごい好きで。(MARTINが)あんまりやりたがらないんだけど(笑)。タイミング的にも、MARTINのプライベートで喜ばしいことがあったから、余計に書きたかったというか。『朝焼けの歌』には希望の光もある。でも、それはある意味=鎮魂の歌でもあるじゃないですか。だけど、また新しい命も生まれてくるんだっていう、輪廻転生じゃないけど、そういう意味合いの歌をMARTINに歌って欲しかったんですよ」
――その提案を受けてどうでした? 実際に歌ってみて。
MARTIN「まぁ…この曲の歌詞もすごく好き。だけどまぁ、大変だよ(笑)」
(一同笑)
――いざ歌うとなると、やっぱり大変なんですね。
MARTIN「ちゃんとした発音とかは、やっぱり大変なんだよね。外国人くさい感じに仕上がるのは絶対にイヤだったんで、じゃあこれは厳しくやりましょうみたいな。レコーディングは何かもう…やっぱりすっごい厳しかった(笑)」
(一同笑)
TOSHI-LOW「途中でイヤんなっちゃったよね(笑)。“もう厳し過ぎない?”みたいな(笑)」
MARTIN「途中で“俺もう出来ないよ…”って(笑)。こんなに厳しいとは思わなかった。でも、ホントにいい感じに仕上がってやってよかったなぁと思うんだけど、やっぱねぇ…難しいよね」
――この曲でこのアルバムが終わるのも、何だかちょっと嬉しい感じもしました。あと、そのまま頭の『Follow The Dream』に戻って繰り返し聴いちゃうんですよね。
TOSHI-LOW「そうなのそうなの。あのリピートする瞬間が俺も好きで。すごく気持ちいい。1回違う曲順になりかけたんだけど、結局『Question』が最後になって、それを聴いて自分でもすごくすんなりいったというか」
MARTIN「最後に『朝焼けの歌』と『Question』を並べてますよね。何かその…“希望感”って言うんですか?(笑) それはすごくよかったなぁと思うんだよね。新しい街と街が手をつないでアルバムが終わるって、素敵だと思う」
ここからはもう一生、夢の中
――それこそアルバムタイトルも『FOLLOW THE DREAM』=夢を追う、ということで。“夢”って口にし辛いというか、恥ずかしいというか、なかなか言わないじゃないですか。
TOSHI-LOWまぁそうですね。恥ずかしい。俺もそう思ってたし。今までの自分の感覚における夢だったら、一生言わなかったと思う。例えば、『夢の跡』(M-3)に夢っていう言葉が出て来たのは、あれは刹那だから。“夢のように終わってしまう。夢のように短かった”みたいなところだったから、夢と言えたんですよ。でもそれが、刹那じゃなくて現実のものとなってくるとき、“俺にとって今の夢って何だろう?”と思ったら、やっぱり金持ちになるとかではなくて(笑)、追い求めていく姿勢自体が、その夢の物語の中に入ってる。ミュージシャンとしたって、幸せだなぁと思うんですよ。こんな小さい声で歌う歌から、あんなにデケェ声でまでいっぱい歌えて。そういうのがもう、俺の夢の中には入ってるわけで」
――なるほど。いいですね。
TOSHI-LOW「それに気付いたら、ここからはもう一生、夢の中なんですよ。夢ってこの“姿勢”な気がしていて、だったらそれは何歳になっても出来るんじゃないの?って。“夢って何ですか?”って聞く人が多いけど、そんなときにこういうおっさんたちが、“バカ野郎、今が夢なんだよ!”って言える。“邪魔すんなよ、今が俺の夢なんだよ”って」
――何かこう全てに合点がいくというか、タイトル然り、曲順然り、今の話を聞いていて、タイミングもそうだったんだなって感じがしますね。
TOSHI-LOW「縁ですよね」
――最近、他のアーティストと話していて、今の時代ってあんまりファンタジーが書けないというか、目に見えないものを、形のないものを信じる余裕がない、超現実的な時代だなぁみたいな話をしていて。
TOSHI-LOW「MARTINなんかはファンタジーの生き物だけどね(笑)」
――アハハハハ!(笑)
MARTIN「いや、でもホントにそうだよ(笑)。俺、いつも思うんだけど、まだ日本にいる。ファンタジーだよ、人生は。何がどうなってこうなってるのか、訳分かんないよ」
――僕らは日本に生まれて日本に住んでるから普通だけど、確かに。
TOSHI-LOW「たまたま日本に来ちゃってさぁ~」
MARTIN「たまたまこの人に出会ったし、何か…よく分かんないんだよ」
――そして、その人とバンドまでやって、CD出してね。
MARTIN「だから、いつも有り得ないって思ってる(笑)」
何て幸せなんだって思うのは、与えられてるからじゃないんですよね
あなたがそれに気付いたんだよって
――今年5年目となる『New Acoustic Camp』も大盛況に終わって。
TOSHI-LOW「リアルに夢の国ですよ、あれ」
MARTIN「(笑)」
――それこそ音楽を提供するだけじゃなくて、それを聴く環境も含めて提案するっていうのはおもしろいですよね。
TOSHI-LOW「さっき“夢”っていうキーワードが出てきたけど、それって自分たちで作れるもんなんだなって。自分が作る視点に関わっていけば…例えば『New Acoustic Camp』は、厳格なルールをわざと作らないんですよ。アーティストとお客さんの垣根も、一応ここは入らないでねってところは作ってるけど、ロープ1本でセキュリティが居るわけじゃなかったり。誰だって“ここに入んなよ!”とか注意されたくないじゃないですか。自分たちが自分たちでちゃんと持つべきマナーを持って、普通に暮らしていけば争いも起きないし、どこからどこまでがとか言う必要もなくなる。それを、たった1日半ぐらいみんなで考えてシェアしながらやることで、夢の国が作れるんだって。高い金を払わなくても、自分たちのテントと、寝袋と、好きな友達とお酒が、あとは音楽があるだけで、何て幸せなんだって思うのは、与えられてるからじゃないんですよね。あなたがそれに気付いたんだよっていう」
――今の話を聞いているだけでも、その空間のすばらしさを感じますね。
TOSHI-LOW「だからその夢を壊すヤツが現れたら、もう完全に現実の世界に戻します」
(一同爆笑)
――怖ぇ!(笑)
MARTIN「『New Acoustic Camp』のセキュリティはもう、この人=TOSHI-LOWだけだから(笑)。だから逆に、仕事としてセキュリティをやるヤツより、本気で怖いんだよ(笑)」
――イヤだなぁ~(笑)。『New Acoustic Camp』について、大事なのは“ルールじゃなくてマナー”っていうことをTOSHI-LOWさんが言っていて。そして、『New Acoustic Camp』に限らず、今の時代に必要なのってこれだよなって。みんなに委ねて、みんなが決める。自分たちも肌で感じて、そのルールを作らせないための振る舞いというか。自分が自由であるためにね。
TOSHI-LOW「そうそう。何であんなにルールを作りたがるのか分からない。自分が自由であるために、自分の中のルールを、ちゃんと守ればいいじゃないの?って。もうホントに日本中がギスギスするでしょ? ダンス規制法がああなって、いつか俺たちは歌を歌う環境すら失っていくかもしれない。でも、それは誰がやってるのかって言ったら、自分たちなんじゃねぇの?って思っちゃう瞬間もあって。だったら自分たちが自由であるためにどんどん考えればいいし、自由であるためにじゃあ誰を選ぶのかって選挙に行けばいいし、いろんなことを考えれば、もっといろんなとこに目がいくだろうし。何か最近すごくそう思ってる。そういうきっかけの場であってもいいなと思ってるし」
――そう考えたら、今回のアルバム然りですけど、優しいきっかけですよね。いろんなメッセージはありますけど、根底にはやっぱり前進するパワーがあって。
TOSHI-LOW「強い男たちは絶対に優しいですよ。どの世界でもね」
――今日は素晴らしいお話をたくさん聞けました。ツアーも楽しみにしています!
TOSHI-LOW & MARTIN「ありがとうございました!」
TOSHI-LOW「楽しかったね」
Text by 奥“ボウイ”昌史
(2014年10月29日更新)
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Movie Comment
アルバム解説はMARTIN担当!
OAUからの動画コメントはコチラ
Release
音楽で夢と幸福を喚起する
5年ぶりの豊潤なる3rdアルバム!
Album
『FOLLOW THE DREAM』
発売中 2800円
トイズファクトリー
TFCC-86488
<収録曲>
01. Follow The Dream
02. Broken Glass
03. 夢の跡
04. Blind Moonlight
05. Making Time
06. Pilgrimage~聖地巡礼~
07. Ride Today
08. N.A.C
09. Treason Song
10. Clumsy Queen“Isabella”
11. 朝焼けの歌
12. Question
Profile
オーバーグラウンド・アコースティック・
アンダーグラウンド…写真左より、KOHKI(acog)、 KAKUEI(perc)、TOSHI-LOW(vo&acog)、MARTIN(vo&vl&acog)、MAKOTO(cb)、RONZI(ds)。BRAHMANのメンバーとJohnsons MotorcarのMARTIN、KAKUEIにより’05年に結成。繊細で雄壮、刺激的で柔らかい、ケルトをはじめ幾つものルーツミュージックが有機的に絡み合う、開放感と哀愁漂うアコースティックメロディを主体に、現在までに3枚のアルバムと2枚のミニアルバムをリリース。最新作は9月3日にリリースされた3rdアルバム『FOLLOW THE DREAM』。’10年より“わらう、うたう、たべる、ねっころがる。”をモットーとした、キャンプフェス『New Acoustic Camp』のオーガナイザーも担う。
OVERGROUND ACOUSTIC
UNDERGROUND オフィシャルサイト
http://www.oau-tc.com/
Live
まだまだ続くリリースツアー! その後
は東北ライブハウス大作戦に参加も
Pick Up!!
【大阪/京都公演】
『TOUR 2014 FOLLOW THE DREAM』
Thank you, Sold Out!!
▼10月31日(金)19:00
Shangri-La
▼11月1日(土)19:00
GROWLY
オールスタンディング3500円
GREENS■06(6882)1224
※中学生以上は有料。
小学生以下は保護者同伴に限り入場無料。
【岡山公演】
チケット発売中 Pコード238-337
▼11月2日(日)19:00
Renaiss Hall
全自由3500円
夢番地岡山■086(231)3531
※中学生以上はチケット必要、
小学生以下は保護者同伴のみ入場可。
【広島公演】
『夜明け前 其の三十二』
チケット発売中 Pコード239-772
▼11月4日(火)19:00
広島クラブクアトロ
前売3500円
[出演]OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND/青葉市子/
jan and naomi [DJ]GODBIRD/DAI
広島クラブクアトロ■082(542)2280
※中学生以上はチケット必要、
小学生以下は保護者同伴のみ入場可
(座席が必要な場合はチケット必要)。
【福岡公演】
チケット発売中 Pコード238-277
▼11月7日(金)19:00
The Voodoo Lounge
前売3500円
キョードー西日本■092(714)0159
※中学生以上有料、
小学生以下は保護者同伴のみ入場可。
【鹿児島公演】
『WALK INN CIRCUS』
チケット発売中 Pコード597-428
▼11月9日(日)18:30
鹿児島CAPARVOホール
オールスタンディング3000円
[出演]OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND/他
WALK INN STUDIO■099(296)9888/
SRファクトリー■099(227)0337
【名古屋公演】
Thank you, Sold Out!!
▼11月15日(土) 19:00
TOKUZO
前売3500円
ジェイルハウス■052(936)6041
※中学生以上有料。
小学生以下は、保護者同伴のみ入場可。
【東京公演】
チケット発売中 Pコード239-021
▼11月21日(金)19:30
EX THEATER ROPPONGI
アリーナ:スタンディング3500円
スタンド&バルコニー:指定席3500円
スマッシュ■03(3444)6751
※中学生以上はチケット必要。
小学生以下は保護者同伴に限り入場可。
席が必要な場合はチケット必要。
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『FOLLOW UP TO
東北ライブハウス大作戦』
【仙台公演】
チケット発売中 Pコード238-385
▼11月29日(土)19:00
BLUE RESISTANCE
オールスタンディング3500円
ノースロードミュージック仙台■022(256)1000
※中学生以上はチケット必要。
小学生以下は保護者同伴に限り入場可。
【岩手公演】
チケット発売中 Pコード238-387
▼11月30日(日)19:00
KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
オールスタンディング3500円
ノースロードミュージック仙台■022(256)1000
※中学生以上はチケット必要。
小学生以下は保護者同伴に限り入場可。
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