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いつだって、始められる――。ほとばしる音楽への情熱、堂々の歌声
話題のジャズシンガー山添ゆかの波乱万丈の人生をたどれ!
スタンダードにジョン・レノン、ジェイムス・テイラー、涙そうそう…
初アルバム『My Color』インタビュー&動画コメント (2/3)

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要は舐めてますよね、歌のこと(笑)
実際やってみたらそんな甘いもんじゃなかったんですけど(苦笑)
 
 
――そうやって音楽にどっぷり魅了され、ずっとピアノをやってきて、何で歌なんだと。
 
「ピアノを10年やってはきましたけど、やっぱりプロになるには、どうしても許せないハードルが自分にあって。小さい頃からピアノを弾き始めて、音大を出て、テクニックもある人たちの壁を越えられないんですよ。ピアノは3歳からやる楽器だと言われているし、皆さんがやってきた下積み…そこにちゃんとファンデーションがあって出来るものだから、私にはやっぱり無理だわって。“弾き語りならそんなにピアノが弾けなくても大丈夫なんじゃない?”みたいな意見をもらって、そんなこともちょっとやったりもしたんですけど、やっぱりどうしても許せなくて(笑)」
 
――それこそ、ピアノが弾きたくても弾けなかったあの頃からすれば、弾いている自分が許せないところまで来たのは、ピアノを突き詰め、自分を突き詰めたからこそ分かった結果ですもんね。
 
「これは多分、負けず嫌いな性格ですね(笑)。幸か不幸か、“やるなら本物じゃなきゃ”っていう想いがずっとあったから、素人と言えども、どうしても気が済まなくて」
 
――でも、その理論で言ったら、“歌だったら出来るかも?”ともやっぱり思わないと思うんですけど、何でそう思えたんでしょうね?
 
「ピアノが難し過ぎるって思ったからかなぁ…? 歌が出来る自信というよりも、ピアノの難しさが先立っていたので、要は舐めてますよね、歌のこと(笑)。実際やってみたらそんな甘いもんじゃなかったんですけど(苦笑)」
 
――幼い頃から歌が得意な自覚はあったんですか?
 
「それはちょっとありましたね。元々歌うことも大好きだったんで。これもホントに声をかけてもらったことがきっかけなんで、歌でプロとしてやっていくなんて、まぁ無理だろうと。このまま趣味の範疇で終わるんだろうなぁって思って入った口ですよね」
 
――すごいですよね。成り行きなんだけど、とことん行きますね(笑)。
 
「今思えばそうですね(笑)」

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3ヵ月先のオファーとかでも、
その頃自分が歌っている確信がないから、うんって言えない
 
 
――歌を始めたきっかけは、梅田のとあるお店から“ボーカルとしてやってみないか?”と声をかけてもらったということですが、実際にステージに立ってみてどうでした?
 
「もうヘタ過ぎて、これはアカンやろ!と(笑)。それまでは、何となくセッションに行っては遊びで歌わせてもらうぐらいだったし。英語を使う筋肉すら口の中にないのに耳だけは肥えてるんで、これがまた許せないと(笑)。こんなんでお金もらったらダメだと!」
 
――許せない祭が始まりましたね(笑)。
 
「そう!(笑) それなのに人あたりがよかったりしたのか、次のオファーが来るわけですよ(笑)。歌えないのにどうすんの!?みたいな(笑)。でも、その頃はまぁみんなに言われましたよ。“見た目で仕事もらえてええなぁ”みたいな」
 
――そういう皮肉も。
 
「でも、この1~2年である程度見込みがなければ、もう音楽を辞めようと思っていて。いつまでも自分を適当にあしらっていても仕方がないので。だからその1~2年はホントにしんどかったな…。ここまで自分を追い込むかっていうぐらい追い込んで、もうホントにしんどくてしんどくて。3ヵ月先のオファーとかでも、その頃自分が歌っている確信がないから、うんって言えない。お客さんにもミュージシャンにも、結構キツいことを言われるんですよね」
 
――いいことだけじゃない。
 
「だから“何クソ!”って思う気持ちがそこで芽生えて。だって図星だから。私自身、ライブを観に行ってシンガーが下手だったら、萎えてしまってよく途中で帰ってたんです。それと同じことを私が今やっているなんて、申し訳ないやら、尚のこと自分が許せないですよね?(笑)」
 
――しかもね、今までの経歴を見たらね。
 
「そうそう。別に結婚もして生活も安泰していて、“テキトーに主婦が出てきて、私ジャズシンガーですみたいな人でしょ?”って思われがちなんですよね。そう思われたくないから、分かってもらいたいから、リプレイを何度も何度も聴いて、一生懸命勉強して…。それから2年ぐらい経ったとき、ミュージシャンも“あ、この子真剣にやってるな”って分かってくれるようになってきて」
 
――ステージで見せていくしかないですもんね。それを自分も自覚しているし、相手もそれで判断するから、もう誤魔化しが利かない。
 
「そうなんです。やっぱり見抜かれるから。だから、下手だけど、今に見とけよ!とめっちゃ頑張る(笑)。それこそ被害妄想だったと思うんですけど、誰かがコソコソ喋ってたら、“はぁ…今ヘタって言われたんやろなぁ…”って思うぐらいネガティブ(笑)。仕事でも何でもそうですけど、やっぱり適当にやってたら人間って言い訳するじゃないですか。でもその内、“私はこれだけ頑張ってるから、何1つ恥ずかしくない!”って胸を張ることが出来てきて…」
 
――言ったら、山添さんのキャリアのスタートはすごく遅いじゃないですか。でも、もう最初に話を聞き始めてから、すごい地点まで人生が動いてる。おもしろいもんですね。

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いいことばかりじゃ成長しない
 
 
――6年歌い続けてきて、自分の中で変化はありましたか?
 
「今でもそうですけど、やっぱりいいことばかりじゃ成長しないんだなぁって。“マイナスの原動力”って呼んでいるんですけど、今の私があるのは“何クソ”って思ったことがやっぱり一番大きい。周りに“すごいすごい!”なんてもてはやされていたら、私は多分ここまで頑張れなかったと思う。あとはやっぱり、“生き様”の部分がすごく大きいと思うんです。何を見てどう思ったのか、その感受性に人が出るじゃないですか。自分が思ってきたことが今にすごく反映されているし、回り回って自分が分かる。だから私は、歌詞とメロディを自分に落とし込んで初めて歌えるんです。ジャズボーカルの皆さんは、スタンダードのレパートリーがいっぱいあると思うんですけど、私は全部が全部歌えないんです。それがちょっとネックでもあるんですけど」
 
――歌っておけば安定のスタンダードナンバーも、それが本当に自分に響かなかったら歌えない。そう考えたら、さっきのジャズブルースに惹かれるのは、やっぱり“生き様”に軸があるからで。となると、ようやくたどり着いた1stアルバム『My Color』も、選曲的にはそうなってくるということですよね。まさに自分が共鳴出来る曲というか。今回のアルバムを作ろうとなった流れはいったい?
 
「実は1~2年前ぐらいから“CDを出しましょうよ”とは言ってもらっていたんです。でも、まだまだ自分に自信もなくて。その頃にプロデューサーの秋田慎治(p)さんに出会ったんですけど、そこから漠然と話をしながら2年ぐらい経って。もう自分の等身大でいいでしょう!って思うようになれて、GOしちゃおうかな?みたいな(笑)」
 
――そもそも秋田さんとの出会いは?
 
「たまたま私が出演する東京ライブハウスに顔を出したら、その日に秋田さんが出演されていて。お店のブッキングマネージャーから、“ちょっと1曲何か出来ない?”って言われて、そんなこと聞かされてもいないから…って聞かされていたら構えて行ってましたけど(笑)、そこで歌わせてもらったのがはじまりですね。ステージ上で“はじめまして、どうもすみません”ってご挨拶を(笑)。そんなことが起きるとは思ってもみなかったから、結構呑んでから来ちゃったし(笑)。だったらちょっとお酒控えたのにな~って思いながら、こんなチャンスはないー!って(笑)」
 
――そのときにやったのが、『imagine』(M-3)だったんですよね。
 
「いやぁ~ホントに夢心地でした。ある意味、ちょっとお酒呑んでてよかった!って思いました(笑)」
 
――ガチガチに緊張していたかもしれないですもんね(笑)。そんな秋田さんに、ピアノのみならず今作ではプロデュースしてもらえるようになるとは。
 
「ねぇ! でも、そのライブ後もね、この機会を逃しちゃイカン!と、秋田さんにアタックしに行きましたから、真っ赤な顔して(笑)。“よろしくお願いします! 私にチャンスください!!”って(笑)。今でもよく言われますけど、“赤い顔して言うとったなぁ~”って(笑)」
 
――そして、満を持して初のアルバムを作りましょうと。自分に厳しい山添さんが(笑)、それこそ等身大のものを出したらいいじゃないかと思えたのには、何かあるんですか?
 
「これは別に音楽的なこととかではなくて、単なる自分の中の直感だけで。何となく今年は歯車が動き出しそうな気がしたんですよ。あと、去年アルバムの話を秋田さんにしたら、あの方もとっても忙しい人なので、“じゃあ来年ね”って言われたのもあって(笑)。そんなこんながきっかけですかね」
 
 

 


(2014年8月13日更新)


Check

Movie Comment

アルバムにライブに解説します!
山添ゆかからの動画コメント

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Release

秋田慎治プロデュースのもと一発録音
で刻んだ堂々の1stアルバム完成!

Album
『My Color』
発売中 3000円
MARO MUSIC
GAKO-1001

<収録曲>
01. Lover Man
02. Cold Cold Heart
03. Imagine
04. I'm Beginning To See The Light
05. I'll Be Seeing You
06. It Had To Be You
07. After You've Gone
08. Peel Me A Grape
09. Close Your Eyes
10. Don't Let Me Be Lonely Tonight
11. 涙そうそう(ボーナストラック)

Profile

やまぞえ・ゆか…兵庫県出身、大阪市在住。通称“がこ”。小中学生時代から吹奏楽でトランペットを学び、幅広いジャンルの音楽に親しむ。ある日、ジャズピアノの巨匠オスカー・ピタソンに深い感銘を受け、ジャズピアノの世界に魅惑され、ピアニスト小曽根実氏、作曲家谷田真也氏に師事する。様々な楽器奏者との共演を通じ、天性の歌声を一流奏者に負けないよう使いこなしたいと思い、独学でボーカルの修行を重ねる。’07年 4月より、ボーカリストとしてのライブ活動を開始。活動は大阪・神戸を中心に、名古屋・東京・九州へと広げている。今までの共演者には、秋田慎治(p)、竹下清志(p)、中村健吾(b)、森剣治(as)、菊池康正(sax,fl)など多数。’11年には第31回浅草ジャズコンテスト金賞を獲得。翌’12年4月に代々木ナルボーカルオーディションに合格。今年8月13日には、秋田慎治プロデュースのもと、初音源となる1stアルバム『My Color』をリリース。

山添ゆか オフィシャルサイト
http://gako.is-mine.net/


Live

関西を中心に全国各地へ
怒涛のライブスケジュール!

 
【神戸公演】
チケット発売中
▼8月17日(日)19:30/21:00
武庫之荘Mクアトロ
ライブチャージ2800円
[出演]上山崎初美(b)/木畑春哉(p)/
山添ゆか(vo)
Mクアトロ■06(6433)3126
※入替なし、2ステージ。

【神戸公演】
チケット発売中
▼8月18日(月)18:50/20:00/21:10/22:20
三宮ソネ
ミュージックチャージ1140円(税別)
[出演]石川武司(p)/井手厚(b)/
高野正明(ds)/山添ゆか(vo)
ソネ■078(221)2055
※入替なし、各40分ステージ。

【大阪公演】
チケット発売中
▼8月19日(火)19:30/21:00/22:20
心斎橋ART CLUB
チャージ2800円
[出演]西脇千花(vo)/鎌田恵(p)/
高野正明(ds)/山添ゆか(vo)
ART CLUB■06(6212)2870
※入替なし。19:00までにご来店の方は1000円引。

【東京公演】
チケット発売中
▼8月22日(金)19:15/20:45/22:05
代々木ナル
ミュージックチャージ3500円
[出演]森丘ヒロキ(p)/佐瀬正(b)/
山添ゆか(vo)
ナル■03(3370)8154
※入替なし、3ステージ。

【大阪公演】
▼8月27日(水)20:00/21:00/22:00/23:00
本町セントレジスホテルBar
入場無料
[出演]藤崎圭里(p)/山添ゆか(vo)
セントレジスホテル■06(6258)3333
※毎時30分演奏。ご宿泊以外のお客様は、カバーチャージ1500円別途要。

【名古屋公演】
チケット発売中
▼8月29日(金)19:30/21:00
新栄Swing
前売3000円
[出演]山添ゆか(vo)/筒井裕之(g)
Swing■052(932)1328
※入替なし、2ステージ。

【神戸公演】
『Gypsy Modern Times
 Featuring 山添ゆか』
チケット発売中
▼8月31日(日)14:00/15:00
三宮ソネ
ミュージックチャージ1000円(ドリンク付)
[出演]Yu-Ma(vio)/畑ひろし(g)/
中山隆志(g)/宮野友巴(b)/山添ゆか(vo)
ソネ■078(221)2055
※2ステージ。

Pick Up!!

『山添ゆか CD発売記念ライブ』

 
【東京公演】
チケット発売中
▼9月8日(月)20:00/21:45
南青山BODY&SOUL
ミュージックチャージ3500円
[出演]山添ゆか(vo)/秋田慎治(p)/
中村健吾(b)/藤井学(ds)/岡崎好朗(tp)
BODY&SOUL■03(5466)3348
※入替なし、2ステージ。

【名古屋公演】
▼10月23日(木)
新栄Swing
※詳細は後日発表。

【大阪公演】
▼10月24日(金)
梅田ROYAL HORSE
※詳細は後日発表。