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いつだって、始められる――。ほとばしる音楽への情熱、堂々の歌声
話題のジャズシンガー山添ゆかの波乱万丈の人生をたどれ!
スタンダードにジョン・レノン、ジェイムス・テイラー、涙そうそう…
初アルバム『My Color』インタビュー&動画コメント (1/3)

 26歳。音楽を一度でも志した者なら、この先の未来と自分の技術や才能を、秤にかける時期かもしれない。社会人なら会社にも少しは慣れたことだろう。結婚もすれば、そろそろ子供が生まれる人もいる。26歳。そう、続いてきた何かが少し変わる時期。そんなタイミングで、1人の女性が乳飲み子を抱えながらゼロからピアノを習い始め、ふとしたことでジャズと出会い、遂には歌い手としての人生を歩むことになる。関西発のジャズシンガー・山添ゆかが、ボーカリストとして歩んだ6年を刻んだ初音源となる1stアルバム、『My Color』をリリースした。ジャズはもとより、ポップスからCMまで引く手あまたのピアニスト・秋田慎治をサウンドプロデュースに迎え、レコーディングは初にして大胆不敵な一発録音を敢行。ジャズのスタンダードナンバーはもちろん、ハンク・ウィリアムス、ジョン・レノン、ジェイムス・テイラーに、ボーナストラックにはBEGINの『涙そうそう』と、多岐にわたる楽曲からほとばしる音楽への情熱と深み、デビュー作らしからぬ威風堂々の歌声を、ほぼテイクワンでパッケージした豊潤な1枚となっている。彼女の歩みは、アーティストのそれとしては、まるで普通じゃないだろう。“人生、何を始めるにも遅いということはない”とはよく言うが、なかなかそれを実感出来ないのも人生。探究心と負けん気を糧に、音楽が1人の女性を思わぬ今へと連れて行った、人生の旅路を語るインタビュー。彼女のエネルギッシュな生き様は、もしかしたらあなたの人生のヒントになるかもしれない。

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とにかくピアノが大好きで
ピアノを弾きたいという想いをずーっと抱えたまま大人になった
 
 
――今回は記念すべき初アルバム『My Color』のお話を聞かせていただくということなんですけど、経歴を見ていたらやっぱり、もうおかしいなっていう道のりで(笑)。
 
「だいぶね、イレギュラーな感じで(笑)」
 
――普通なら歩まないであろう道程だったと思うんですけど、そもそも小学校、中学校とブラスバンドでトランペットをやってと、かなり早いタイミングから音楽に触れているにも関わらず、別にそのタイミングでは歌手とか演奏者になろうとかではなかったんですね。
 
「ないですね。高校ぐらいまでやるとね、そっちの方向に進む人もいるんですけど。ただ音楽はすごく好きだったので、何か楽器を触っていたい意識はすごくあったんですけど。だからずっと疎遠でしたよね、その後は。でも、とにかくピアノが大好きで、ピアノを弾きたいという想いをずーっと抱えたまま大人になったというか」
 
――言ったらトランペットよりピアノの方が身近な楽器じゃないですか? 教室もあるし、女の子がピアノを習いたいっていう衝動は、よくある話なのに。
 
「その頃って“ピアノを弾きたい”って親に言っても、“そんなんアンタのキャラクターと違うやん”みたいにサラッと流されまして(笑)。やっぱりピアノを買うとなると大ごとじゃないですか? 中学生になってからも、今思えばピアノの耳コピ的なこともしていたし、ピアノのある友達の家に行ってはちょっと触らせてもらったりしてたんで、よっぽど好きだったんだなぁって(笑)」
 
――でも、実際はトランペットを吹いてるんですよね?(笑) そもそも何でそんなにピアノに惹かれたんですかね?
 
「自分でも分からないですけど、当時…って年齢バレますけど(笑)、リチャード・クレイダーマンとかをよく聴いていて、小学校の給食のときによくかかったりしていてね(笑)。その延長で、中学に行って“あの曲、弾いてみたいな…”って。それがはじまりなのかも」

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子供の世話と家事以外は、ピアノの前にいる生活
 
 
――ピアノに憧れながらピアノじゃない楽器をやって(笑)、しまいには演奏すらしなくなって。また音楽に傾いていったのには、何かきっかけがあるんですか?
 
「これは18歳のときにね、北新地に初めて連れて行ってもらって」
 
――18で北新地(笑)。
 
「バイト先のオーナーに初めてご飯を食べに連れて行ってもらったら、生演奏をバックにシンガーの方が歌ってたんですよ。それがもうカッコよくて! その方に“さっきの曲、何て題名なんですか?”って思わず聞きに行ったことは覚えてますね。それが『いそしぎ』(『The Shadow Of Your Smile』)だったんですけど、その曲が入っているCDを買いに行ったはずが、何故か『いそしぎ』が入っているオスカー・ピーターソン(※超絶技巧を持つジャズピアニストの巨匠)のCDを買ってしまって(笑)」
 
――ボーカル・アルバムじゃなくて、またピアノ(笑)。
 
「そこで、やっぱり私はピアノが好きなのかと思いましたけど(笑)」
 
――普通だったら、オスカー・ピーターソンのCDに感動して、“私、今度こそピアノをやる!”ってすぐさま始めるのが定石じゃないですか?
 
「その頃って、もう毎日に追われていたし、いろいろと結構忙しい時期で。やりたい想いはあるけど、一旦その気持ちは置いといて、みたいな感じでしたね」
 
――でも、2年後の20歳の頃に、ようやくピアノを買って。
 
「中古でたまたま見付けて、“これは買いでしょ!”みたいな。忙しさにかまけてずーっときてたんで、もう、ただ家に置いてるだけでも私は嬉しかった(笑)」
 
――そこから意を決して習いに行こうと。ようやくですね(笑)。
 
「そう(笑)。と言うのも、その頃はもう23~24歳で結婚もしていて、子供も生まれて。そのとき、クラシックピアノの先生が阪神淡路大震災で被災して、同じマンションにたまたま引っ越してきて。ただ、普通だったら乳飲み子を抱えて習いには行けなかったと思うんです。でも、先生が“いつでも家に行って教えてあげますよ”って言ってくださって。じゃあ!ってそこから2年間、“ちょっと今子供を寝かせてるんで待ってください”なんて言いながら(笑)、バイエルから習って、もうハンパなくクラシックにハマり込んだんですよ。子供の世話と家事以外は、ピアノの前にいる生活。1日8時間とか弾いて、苦情も来まして(笑)。そら来ますよね?(笑) それぐらい大好きでもう没頭しましたね」

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初めて聴いたときのこの…血が騒ぐ感じ(笑)
 
 
――そこから遂にジャズに傾倒していくわけですね。
 
「でも、ジャズなんて難しい音楽だと思っていたし、朝は魚を焼いて納豆を食べるけど、BGMにはモーツァルトみたいな毎日で(笑)。ただ、その先生がたまたま子供のリトミック(音楽教育)にも携わっていて、ジャズをリトミックに取り入れようと。あるとき、音楽好きなお母さん連中で集まってホームパーティーをしていたときに、“今リトミック教室に通ってるんだけど、おもしろいから行ってみない?”って誘われて、またそこで違う世界のピアノに魅了されてしまって…。そこから、ジャズのいろんなオムニバスCDを買い出して、次にピアニストを聴いてはコピーしてコードを覚えていったんですけど、その内サックスを聴き、ベース、ドラム…もちろんボーカリストもって、毎月CD貧乏になるぐらい買い漁って、あれやこれやと私のマニアック人生が始まって(笑)」
 
――ジャズにハマったのは何なんでしょうね?
 
「いや~とにかくカッコいいのひと言でしたね。クラシックだったらピアノコンツェルトぐらいでしかアンサンブルがなくて。ベースとドラムがいて、楽器がこんなにも一体となって…今までに聴いたことがない衝撃からですね」
 
――山添さんのオフィシャルHPでも、“家庭との両立があったからこそなにくそ~の根性と時間の大事さをより感じる事ができ”と綴られていますが、子供がいなかったら生まれなかったであろう接点が、逆に自分を音楽へと導いていって。例えば普通に幼い頃にピアノを始めていたら、案外その方が早くに辞めていたかもしれないなって。
 
「そうですね。時間もなかったのでそれを無駄にしたくない気持ちもすごくあったし、学生のときに勉強があやふやになっていたのと一緒ですよね。大人になると本を1冊読んでもすごく頭に入る。でも、与えられたものって意外と…。自分がやりたいと思ったことだから、やっぱり向上心もすごかったし。でも何よりね、今思い出せば、ブルースが好きだったってことに気付いたんですよね。“ジャズブルース”っていうカテゴリがあって、初めて聴いたときのこの…血が騒ぐ感じというか(笑)。要はジャズの人がやるブルージーなものにとてつもなく反応したというか。上流階級が元々やってきたスウィングとかモダンジャズももちろん好きなんですけど、“ウォー!”ってアガるのはもうこっち側で。私の先祖的なルーツにも何かあるのかなぁって思うぐらいです(笑)」
 
 

 


(2014年8月13日更新)


Check

Movie Comment

アルバムにライブに解説します!
山添ゆかからの動画コメント

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Release

秋田慎治プロデュースのもと一発録音
で刻んだ堂々の1stアルバム完成!

Album
『My Color』
発売中 3000円
MARO MUSIC
GAKO-1001

<収録曲>
01. Lover Man
02. Cold Cold Heart
03. Imagine
04. I'm Beginning To See The Light
05. I'll Be Seeing You
06. It Had To Be You
07. After You've Gone
08. Peel Me A Grape
09. Close Your Eyes
10. Don't Let Me Be Lonely Tonight
11. 涙そうそう(ボーナストラック)

Profile

やまぞえ・ゆか…兵庫県出身、大阪市在住。通称“がこ”。小中学生時代から吹奏楽でトランペットを学び、幅広いジャンルの音楽に親しむ。ある日、ジャズピアノの巨匠オスカー・ピタソンに深い感銘を受け、ジャズピアノの世界に魅惑され、ピアニスト小曽根実氏、作曲家谷田真也氏に師事する。様々な楽器奏者との共演を通じ、天性の歌声を一流奏者に負けないよう使いこなしたいと思い、独学でボーカルの修行を重ねる。’07年 4月より、ボーカリストとしてのライブ活動を開始。活動は大阪・神戸を中心に、名古屋・東京・九州へと広げている。今までの共演者には、秋田慎治(p)、竹下清志(p)、中村健吾(b)、森剣治(as)、菊池康正(sax,fl)など多数。’11年には第31回浅草ジャズコンテスト金賞を獲得。翌’12年4月に代々木ナルボーカルオーディションに合格。今年8月13日には、秋田慎治プロデュースのもと、初音源となる1stアルバム『My Color』をリリース。

山添ゆか オフィシャルサイト
http://gako.is-mine.net/


Live

関西を中心に全国各地へ
怒涛のライブスケジュール!

 
【神戸公演】
チケット発売中
▼8月17日(日)19:30/21:00
武庫之荘Mクアトロ
ライブチャージ2800円
[出演]上山崎初美(b)/木畑春哉(p)/
山添ゆか(vo)
Mクアトロ■06(6433)3126
※入替なし、2ステージ。

【神戸公演】
チケット発売中
▼8月18日(月)18:50/20:00/21:10/22:20
三宮ソネ
ミュージックチャージ1140円(税別)
[出演]石川武司(p)/井手厚(b)/
高野正明(ds)/山添ゆか(vo)
ソネ■078(221)2055
※入替なし、各40分ステージ。

【大阪公演】
チケット発売中
▼8月19日(火)19:30/21:00/22:20
心斎橋ART CLUB
チャージ2800円
[出演]西脇千花(vo)/鎌田恵(p)/
高野正明(ds)/山添ゆか(vo)
ART CLUB■06(6212)2870
※入替なし。19:00までにご来店の方は1000円引。

【東京公演】
チケット発売中
▼8月22日(金)19:15/20:45/22:05
代々木ナル
ミュージックチャージ3500円
[出演]森丘ヒロキ(p)/佐瀬正(b)/
山添ゆか(vo)
ナル■03(3370)8154
※入替なし、3ステージ。

【大阪公演】
▼8月27日(水)20:00/21:00/22:00/23:00
本町セントレジスホテルBar
入場無料
[出演]藤崎圭里(p)/山添ゆか(vo)
セントレジスホテル■06(6258)3333
※毎時30分演奏。ご宿泊以外のお客様は、カバーチャージ1500円別途要。

【名古屋公演】
チケット発売中
▼8月29日(金)19:30/21:00
新栄Swing
前売3000円
[出演]山添ゆか(vo)/筒井裕之(g)
Swing■052(932)1328
※入替なし、2ステージ。

【神戸公演】
『Gypsy Modern Times
 Featuring 山添ゆか』
チケット発売中
▼8月31日(日)14:00/15:00
三宮ソネ
ミュージックチャージ1000円(ドリンク付)
[出演]Yu-Ma(vio)/畑ひろし(g)/
中山隆志(g)/宮野友巴(b)/山添ゆか(vo)
ソネ■078(221)2055
※2ステージ。

Pick Up!!

『山添ゆか CD発売記念ライブ』

 
【東京公演】
チケット発売中
▼9月8日(月)20:00/21:45
南青山BODY&SOUL
ミュージックチャージ3500円
[出演]山添ゆか(vo)/秋田慎治(p)/
中村健吾(b)/藤井学(ds)/岡崎好朗(tp)
BODY&SOUL■03(5466)3348
※入替なし、2ステージ。

【名古屋公演】
▼10月23日(木)
新栄Swing
※詳細は後日発表。

【大阪公演】
▼10月24日(金)
梅田ROYAL HORSE
※詳細は後日発表。