インタビュー&レポート

ホーム > インタビュー&レポート > 思い出話に花が咲き、ほかでは聞けないエピソードが続出! 【特別企画】対談『味園ユニバース』 山下敦弘監督×グッチ&タカ・タカアキ(赤犬)


思い出話に花が咲き、ほかでは聞けないエピソードが続出!
【特別企画】対談『味園ユニバース』
山下敦弘監督×グッチ&タカ・タカアキ(赤犬) (1/3)

 出身は大阪ではなく愛知だが、大阪芸術大学に進学したことで2004年から約10年間大阪に住んでいた山下敦弘監督が、関ジャニ∞の渋谷すばるを主演にオール大阪ロケで完成させた話題作『味園ユニバース』が、いよいよ2月14日(土)より、TOHOシネマズ梅田ほかにて公開される。

ある公園で、赤犬(※大阪を拠点に活動する実在のバンド)がライブをしていると、歌以外の記憶を無くした男が乱入してきたことからはじまる、謎の男「ポチ男(渋谷すばる)」と赤犬のマネージャーのかすみ(二階堂ふみ)の共同生活と、ポチ男の失われた過去に迫っていく物語を描く。そこで、山下敦弘監督と、同じく大阪芸術大学出身、赤犬のメンバーで本作に本人役で出演しているグッチさん(当サイトの月1人気コラム「1万円の遊び方」で切り絵を担当)&タカ・タカアキさんに対談してもらった。

グッチ:今回、初めてガッツリ大阪で撮ったことになるんよね。山下監督が大阪に住んでた時代はどこで遊んでた? 映画館で働いてたんやっけ?

 

山下敦弘監督(以下、山下監督):ピンク映画館でもぎりをやってたのは康介(※脚本家・向井康介)で、オレはでんでんタウンのエロビデオ屋です(笑)。カーナビ屋なんだけど、エロビデオも置いてるっていう謎なところがバイト生活の始まりで、そこで森下くるみさんと出会いました。バイトしてたら新作で入荷して…。

  

タカ・タカアキ:あ、出会ったって、本人じゃなくて商品とね(笑)。

 

(一同:笑)

 

グッチ:それ、今回撮影したところのすごい近所の話やんね。

 

山下監督:そうそう。LUB LAB(※渋谷すばる扮するポチ男がカラオケするシーンが撮影されたスタジオ)には歩いて行ける距離ですね。

 

タカ・タカアキ:じゃあ、今回の映画は里帰り的な気持ちもあるん?

 

山下監督:あのエリアから出て行くときは「二度と戻ってくるか!」と思ってたし、実際10年くらい行ってなかったんですけどね(笑)。住んでた家もホントにひどかったから。まず、水道水がめちゃくちゃ臭い。それに、シャワーが(出が悪く、吐水口の)1本しか出ない。その家、タッチャン(※カメラマン・近藤龍人の愛称)と一緒に住んでたんですけど、ふたりでテレビ見てたら天井から水がバシャーと落ちてきたり(笑)。

 

グッチ:その家って、どの辺り?

 

山下監督:難波警察の向かいの弁当屋の上です。本当に今回ロケしたあの辺りに住んでたんです。

 

グッチ:だからなのか、ほかの大阪を舞台にした映画やドラマよりも、僕らには馴染みのある風景がこの映画には映ってたわ。

 

山下監督:だって“大阪で音楽”と言ったら、ゲート(※ライブハウス「難波ロケッツ」横に当時あったスタジオ「GATE3」の通称)の前でタバコ吸ってる赤犬のメンバーが頭に浮かんだのがきっかけですし。ロケッツ、ベアーズ、ファンダンゴ(※全て大阪のライブハウス)くらいしか知らなかったから、それがオレの大阪の音楽のイメージなんですよ。

 

グッチ:それ、相当アンダーグラウンドやけどな。もっと煌びやかなライブハウスもあるんやで(笑)。大阪芸大には、僕らが3回生のときに、山下監督、タカ・タカアキが入ってきたから2人は同期になるんかな?

 

タカ・タカアキ:そうそう。

 

山下監督:タカアキくんは軽音楽サークルに入って、オレは入ってないですけど当時から赤犬のライブにはよく行ってましたね。柴田剛(※『おそいひと』『堀川中立売』等の監督)に連れられて。

 

グッチ:赤犬は大阪芸大の軽音楽サークルのメンバーを中心に結成されたバンドで、月に1回講堂みたいなところでライブしてたけど、それに山下監督とか柴田剛とか康介が見に来てて、客席の端っこの方にいたの覚えてるわ。あと、みにまむす(※赤犬のメンバー4人で結成している音楽団)で出演してたNHKの番組『ストレッチマン』でディレクターしてたヌシ(村主さんの愛称)も山下監督と同期で。そのヌシらと「ヒップホップやろうか」って盛り上がってた時期があって、そのメンバーに山下監督も入ってたよね。ちょっとマイク握ってみたりしてたのすごい覚えてるわ(笑)!

 

山下監督:今NHKにいる村主がヒップホップ好きで「やろう!やろう!」って言ってたところにオレもついて行ってましたね。でもね、その思い出は自分の中でだいぶ消去してるんですよ(笑)。

 

misono_yt1.jpg

タカ・タカアキ:消し去りたい過去やから、思い出を上書きしたん?

 

山下監督:そうそう(笑)。確実にマイクは握りましたけど、ほとんど覚えてないです(笑)。

 

(一同:笑)

 

山下監督:大阪芸大に入ってすぐの1年目は、バンドやってる人を面白いと思ってたのか、そっちについて回ってた感じがあるんですよ。

 

グッチ:その当時、赤犬と同期の熊切和嘉(『夏の終り』『私の男』等の監督)が、『鬼畜大宴会』を撮ってて。それで盛り上がってた平和寮にみんなで集まったりしてたよね。

 

山下監督:『鬼畜大宴会』も赤犬が音楽やってたからそれで繋がりもあるし、もうどれがきっかけか分からないけど、親しくなってましたね。

 

グッチ:その後、赤犬のメンバーは大芸をなかなか卒業しないけど…。メンバー14人中、4年で卒業したのが2人か3人しかおれへんから(笑)。

 

タカ・タカアキ:みんな学校好き過ぎる(笑)。確か、ヨシヲさんは8年いたはず。

 

グッチ:ヨシヲ、マルムシ、前のボーカルのアキラも8年おったからね。

 

山下監督:だから、先輩やけど一緒に卒業しましたからね。アキラさんの卒業単位は『どんてん生活』(99)ですから(笑)。思い返してみると『どんてん生活』には、テッペイさん、ロビンさん、カモさん、アラタさんの4人、赤犬メンバーが出てますね。その次の『ばかのハコ船』(03)にも、アラタさんとロビンさんが出てますし。

 

グッチ:あ、でも僕も出てるで。テレビの声で。

 

山下監督:『どんてん生活』の年越しカウントダウン番組の! その節はありがとうございました。

 

グッチ:いえいえ(笑)。でも、ほかのメンバーは山下監督の作品に出てるのになかなか僕には声かけてくれへんなぁとずっと思ってて。声かけてもらうために「体作ってきた」ていうコントして、アピールしたな。10年間くらい(笑)。

 

山下監督:会う度にどんどん体が仕上がって(笑)。もう、それが挨拶になってましたよね。

 

(一同:笑)

 

グッチ:その作りあげた肉体を、今回『味園ユニバース』で満を持して披露してる(笑)。

 

山下監督:赤犬みんな、だいぶ仕上がっちゃってましたね。

 

タカ・タカアキ:みんな10年間プロテイン飲んでるから(笑)。

 

(一同:笑)

 




(2015年2月13日更新)


Check

Movie Data





©2015『味園ユニバース』製作委員会

『味園ユニバース』

●2月14日(土)より、
 TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば
 あべのアポロシネマ、TOHOシネマズ鳳
 TOHOシネマズ泉北
 TOHOシネマズくずはモール
 高槻アレックスシネマ、イオンシネマ大日
 MOVIX八尾、MOVIX堺
 ユナイテッド・シネマ岸和田
 TOHOシネマズ二条、イオンシネマ高の原
 OSシネマズミント神戸
 TOHOシネマズ西宮OS
 MOVIXあまがさき、イオンシネマ加古川
 イオンシネマ草津、TOHOシネマズ橿原
 シネマサンシャイン大和郡山
 ジストシネマ和歌山
 ほか全国ロードショー

監督:山下敦弘
脚本:菅野友恵
撮影:高木風太
出演:渋谷すばる/二階堂ふみ/赤犬/ほか

【公式サイト】
http://misono.gaga.ne.jp/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/165458/

赤犬 Profile (公式より)

1993年に大阪芸術大学の軽音楽サークルの学生を中心に結成され、大阪で活動を開始し20年、現在も大阪を拠点とする、ブラス、ヴァイオリンを含む14名で編成されたバンド。POPでありながらブラック、メタル、ロック、演歌まで多様なジャンルを網羅し、それをさらに古今東西、老若男女が楽しめる歌謡曲にまでトンチとエスプリで昇華させ魅せてくれるオリジナリティ溢れるエンタテインメント集団。日本最大級のロック・フェス「フジ・ロック・フェスティバル」などにも出演するなど、その人気は関西にとどまらない。メンバーはボーカル:タカ・タカアキ、コーラス:ロビン、コーラス:ヒデオ、コーラス:テッペイ、パーカッション&MC:グッチ、ヴァイオリン:マルムシ、ドラム:ダイ、ベース:リシュウ、ギター:チョッピー、キーボード:オカP、キーボード:カモ、トランペット:リョウ、トロンボーン:ヨシヲ、サックス:アラタ。