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バルトーク:ヴァイオリン協奏曲 第2番 BB117
ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73

 

 日本センチュリー交響楽団は9月23日(金)、24日(土)に行われる第211回定期演奏会に、1936年、ドイツ、ライプツィヒ生まれの指揮者マックス・ポンマーを迎える。ポンマーは幼年時代に巨匠ヘルマン・アーベントロート、その後はヘルベルト・フォン・カラヤンに学んだという、ドイツ音楽を現代に継承する指揮者のひとり。昨年3月、第199回定期演奏会に登場した折には、雄大なベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」が大きな拍手をもって迎えられている。今回ポンマーとセンチュリーは、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番とブラームスの交響曲第2番を演奏する。

 バルトークのヴァイオリン協奏曲は20世紀に書かれたヴァイオリン協奏曲の最高傑作といわれる作品である。バルトーク独特の民族音楽からの引用や12音階、四分音の使用などあらゆる書法を駆使しながら、ヴァイオリンの表現領域の限界に挑むような強靭な響きが繰り広げられてゆく。今回ソリストに迎えられたのはオーガスティン・ハーデリッヒ。1999年、15歳の時に不慮の事故により全身の60%にも及ぶ大火傷を負いながら、20回以上の手術とリハビリを経て奇跡的なカムバックを果たしたヴァイオリニストである。「あいまいさのまったく無い」と評されるその演奏は各国で高い評価を収め、CD「デュティユー:ヴァイオリン協奏曲『夢の樹』」によって2016年第58回グラミー賞を受賞(クラシック部門最優秀ソロ器楽録音賞)している。まさしく今が旬ともいうべき実力を、関西でも体験できる絶好のステージといえるだろう。

 ブラームスの交響曲第2番は、緊密な構成が特徴であった交響曲第1番に対し、牧歌的で親しみやすい響きに溢れた作品。この作品が書かれた南オーストリアの避暑地ペルチャッハの美しい風景が反映されたともいわれている。センチュリーにとっては、これまで折にふれて演奏してきた重要な作品であり、首席指揮者飯森範親との演奏もすでに全集として残されているが、今回、ドイツの伝統を継ぐポンマーの指揮の下で、またひとつ、新しいブラームスの風景が描き出されていくことだろう。

指揮・司会:飯森 範親
共演:センチュリー・ユースオーケストラ

 

8月27日(土)
1. ワーグナー:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲(ユース単独演奏)
2. リスト:ハンガリー狂詩曲第2番
3. 指揮者体験コーナー
4. 松本俊行/編曲:宮崎駿アニメメドレー2(風の谷のナウシカ、魔女の宅急便、ハウルの動く城)
5. リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲(センチュリー&ユース合同)

8月28日(日)
1. シュトラウスⅡ世:喜歌劇「こうもり」序曲

2. シュトラウスⅡ世: ポルカ“観光列車”
トリッチ・トラッチポルカ

3. 指揮者体験コーナー(吉本新喜劇の池乃めだかさん登場)
4. 松本俊行/編曲:宮崎駿アニメメドレー2(風の谷のナウシカ、魔女の宅急便、ハウルの動く城)
5. リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲(センチュリー&ユース合同)

 

 日本センチュリー交響楽団の拠点、豊中市服部緑地のセンチュリー・オーケストラハウスに隣接する服部緑地野外音楽堂。今年も8月27日(土)、28日(日)の両日、この野外音楽堂で第21回「星空ファミリーコンサート」が行われる。

 今年は序盤の流れが2夜で異なるので、両日とも来場のお客様にも楽しんでもらえるはず。27日はセンチュリー・ユースオーケストラの単独演奏によるワーグナー、歌劇「さまよえるオランダ人」序曲に続いて、センチュリーによるリスト、「ハンガリー狂詩曲第2番」が演奏される重厚な展開。28日はセンチュリーによるシュトラウスⅡ世の喜歌劇「こうもり」序曲に続いて、同じくポルカ「観光列車」「トリッチ・トラッチポルカ」が演奏される華やかで軽快な展開だ。宵闇に包まれて明るく浮かび上がる野外音楽堂のステージが、日常から少し離れた特別な雰囲気を感じさせてくれる。

 指揮とお話は首席指揮者・飯森範親。いつものコンサート会場とは違ったロケーションだけに、センチュリーの楽団員たちとの息の合った演奏もより身近に感じられるだろう。そして今年の話題のひとつは、誰もが知っている吉本興業の人気者、池乃めだかが28日の“指揮者体験コーナー”に登場することだ。「オーケストラ新喜劇」などで世の中を沸かせる大阪のオーケストラ、センチュリーならではのお楽しみ。ステージも会場も一緒になって、毎年、熱い興奮と笑いが溢れる人気コーナーだけに今年はどんな展開が待っていることやら。後半は「風の谷のナウシカ」や「魔女の宅急便」など、さまざまな世代に感動を呼ぶ「宮崎駿アニメメドレー2」、そしてセンチュリーとユースの合同演奏によるリムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」がコンサートを熱く盛り上げる。夏休みの最後の土曜日と日曜日、屋外のくつろいだ空気の中で味わう音楽の数々は、きっと家族の心に残る思い出になる。

 野外音楽堂は北大阪急行(地下鉄御堂筋線)「緑地公園」駅から東へ徒歩5分。来場には、公共交通機関がおすすめだ。自然の溢れる緑地公園を少し早めに訪れて、周辺を散策してみるのもいい。なお、雨天中止の場合は当日18:15に発表されるので、センチュリーのHPなどでチェックしてほしい。

チケットの発売日をあらかじめご確認ください

〈三重特別演奏会〉
●7月23日(土)15:00
三重県文化会館 大ホール Pコード290-153
【指揮】飯森範親

〈いずみ定期演奏会 No.32〉
●8月12日(金)19:00
いずみホール Pコード286-014
【指揮】飯森範親
【ピアノ】小山実稚恵

〈第211回定期演奏会〉
●9月23日(金)19:00/24日(土)14:00
ザ・シンフォニーホール Pコード286-008
【指揮】マックス・ポンマー
【ヴァイオリン】オーガスティン・ハーデリッヒ

〈第212回定期演奏会〉
●10月28日(金)19:00/29日(土)14:00
ザ・シンフォニーホール Pコード286-009
【指揮】アラン・ブリバエフ
【ピアノ】エフゲニー・スドビン
【メゾソプラノ】小山由美
【合唱】大阪センチュリー合唱団
    大阪音楽大学合唱団

〈第213回定期演奏会〉
●11月25日(金)19:00/26日(土)14:00
ザ・シンフォニーホール Pコード286-010
【指揮】飯森範親
【ピアノ】ファジル・サイ

〈いずみ定期演奏会 No.33〉
●12月9日(金)19:00
いずみホール Pコード286-016
【指揮】飯森範親
【チェロ】ヨハネス・モーザー

〈第214回定期演奏会〉
●2017年1月13日(金)19:00/1月14日(土)14:00
ザ・シンフォニーホール Pコード286-011
【指揮】飯森範親
【チェロ】クレメンス・ハーゲン

〈びわ湖定期公演 vol.9〉
●2017年2月11日(土・祝)17:00
滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール大ホール
Pコード286-019
【指揮】沼尻竜典
【ピアノ】菊池洋子

〈いずみ定期演奏会 No.34〉
●2017年3月3日(金)19:00
いずみホール Pコード286-017
【指揮】飯森範親
【ヴァイオリン】漆原朝子

〈第215回定期演奏会〉
●2017年3月10日(金)19:00/3月11日(土)14:00
ザ・シンフォニーホール Pコード286-012
【指揮】イジー・シュトルンツ
【ピアノ】ミシェル・ダルベルト

 

■マーラー:大地の歌

指揮:飯森 範親
テノール:福井 敬
バリトン:与那城 敬
2015年4月10日、11日
ザ・シンフォニーホール にてライヴ録音。

¥3,240
2015/EXTON/OVCL-00584
レコード芸術 2月号 特選盤受賞

 

■ブラームス:交響曲全集

ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68
交響曲 第2番 ニ長調 作品73
交響曲 第3番 へ長調 作品90
交響曲 第4番 ホ短調 作品98

指揮:飯森 範親
2014年4月17日~19日 
ザ・シンフォニーホールにて録音

¥5,400
2014/EXTON/OVCL-00554

 

 

 1986年、5月の発売以来、RPG(ロールプレイングゲーム)の王道的作品として、多くのファンを魅了している『ドラゴンクエスト』シリーズ。ゲームデザインに堀井雄二、キャラクターデザインに鳥山明を迎えて創造されたこのシリーズは、関連作品も含めると80以上のタイトルを数え、2015年には出荷数が全世界で6600万本を超えるなど、驚異的な人気を誇っている。このドラゴンクエストの世界を支えるのがすぎやまこういちの音楽だ。その想像力に溢れた音楽はすぎやまによって青少年のオーケストラ入門になれば、と全国のオーケストラで演奏されてきた。30年を迎えた今年も交響組曲「ドラゴンクエスト」のコンサートが各地で開催。ゲームの枠を大きく超えて成長しつつある。

 11月3日(木・祝)、日本センチュリー交響楽団は「ドラゴンクエストスペシャルコンサート」を開催。交響組曲『ドラゴンクエストⅧ 空と海と呪われし姫君』を演奏する。実際にゲームをプレイした人には、この作品から採用された後方視点の3Dグラフィックによる新鮮な驚きを覚えているかも知れない。その映像と同時に開放感を増した音楽の迫力が、この交響組曲「空と海と~」にも刻印されている。壮大な音楽はさらに磨きがかかり、特にパーカッションの躍動感が印象的。チェレスタやハープがフィーチャーされた「詩人の世界」やピッコロトランペットがソロをとる「王宮のガヴォット」などのアプローチは、ゲーム音楽としての在り方から大きく離れ、オリジナルな交響的作品として新たな魅力を獲得している。

 指揮は首席指揮者飯森範親。お話にはすぎやまこういちを迎える。演奏時間は約80分。通常のクラシックの交響曲ならば、ほぼ2曲分のスケールだ。あの心躍る「序曲」が鳴り渡れば、そこは広大な3Dフィールド。道化師ドルマゲス、そして暗黒神ラプソーンを追って冒険の旅が始まる…。

 ぴあではこのコンサートのチケットを一般発売に先駆けて7/23(土)~7/28(木)、先行抽選販売。下記チケットボタンからお申し込みください。

ドラゴンクエスト スペシャルコンサート
〈日本センチュリー交響楽団〉
●11月3日(木・祝)15:00
ザ・シンフォニーホール
A席-5000円 B席-4000円 C席-3000円
Pコード:286-022
一般発売日:8月3日(水)
ぴあプレリザーブ先行 受付期間:7月23日(土)11:00~7月28日(木)11:00
日本センチュリー交響楽団■06-6868-0591

 

(取材・文/逢坂聖也 ぴあ関西版Web)


(2016年7月20日更新)