ホーム > LOSTAGE 五味岳久の奈良からの手紙~LOVE LETTER form NARA~ > 第11回 銀杏BOYZ 峯田和伸さん
峯田和伸(写真左)
銀杏BOYZボーカル。2003年1月、GOING STEADYを解散。その後ボーカルの峯田和伸が銀杏BOYZを結成。同年5月から本格的に活動を開始。峯田はバンド活動の傍ら、映画「アイデン&ティティ」に映画初出演。以降、アルバムリリース、ライブ活動を精力的に行う一方、2006年は初の単行本『恋と退屈』をデザイン・装丁も自ら行い河出書房新社より刊行。翌年、銀杏BOYZ初の単行本となる『ギンナン・ショック!』を上下巻で白夜書房より2冊同時発売など、その活動は多岐にわたる。2016年3月16日には銀杏BOYZ初の公式ライブ映像作品『愛地獄』発売。4月にシングル『生きたい』をリリース。6月より8年ぶりのツアー『世界平和祈願ツアー 2016』をスタートさせた。
銀杏BOYZ オフィシャルサイト
http://www.hatsukoi.biz/
五味岳久(写真右)
ロックバンドLOSTAGEのボーカル&ベース。地方発信/地域密着をモットーに、地元奈良を拠点に独自の活動を展開中。メジャー/インディーを問わず、様々なジャンルのアーティストとの親交も深い。2011年、結成10年目の節目に自主レーベルTHROAT RECORDSを設立、ミニアルバム『CONTEXT』をリリース。2012年7月にはフルアルバム『ECHOES』を発表し、『FUJI ROCK FESTIVAL'12』に初出演も果たした。2014年、ニューアルバム『GUITAR』をリリース。4月18日のRECORD STORE DAYに合わせ、シンガーソングライター長谷川健一とのスプリット7inchをリリースした。
LOSTAGE HP
http://www.lostage.co/
五味岳久オフィシャルサイト
http://takahisagomi.com/
THROAT RECORDS
http://throatrecords.tumblr.com/
【銀杏BOYZ】
『生きたい』(CD)
発売中
初恋妄℃学園
\1,200(税別)/SKOOL-034
<収録曲> | |
01. | 生きたい レコーディング参加メンバー |
02. | ぽあだむ クボタタケシ REMIX Version II |
『愛地獄』(DVD)
発売中
初恋妄℃学園
\6,500(税抜)/SKOOL-030_031
DISC1
2008年8月ライジングサンロックフェスティバルでのライブと、メンバー脱退後の2015年9月福島いわきでの峯田ひとりライブをノーカット収録。
DISC2
メンバー4人での最後のライブになってしまった2011年7月「スメルズ・ライク・ア・ヴァージン・ツアー」最終日盛岡公演をノーカット収録。
仕様:DVD/デジトレイ2枚組
三方背スリーブ付き
ブックレット136ページ
【LOSTAGE】
長谷川健一×LOSTAGE
スプリット7インチ
発売中
\1,512(税込)/THR-009
長谷川健一「僕は今ここにいる」
LOSTAGE
『GUITAR』
発売中
\2,300(税込)/DDCZ-1968
<収録曲>
01. コンクリート / 記憶
02. Nowhere / どこでもない
03. いいこと / 離別
04. Guitar / アンテナ
05. 深夜放送 / Unknown
06. Flowers / 路傍の花
07. Boy / 交差点
08. Good Luck / 美しき敗北者達
【銀杏BOYZ】
銀杏BOYZ『世界平和祈願ツアー 2016』
▼8月3日(水) 19:00
なんばHatch(大阪)
※前売券完売。当日券未定。
[問]GREENS
[TEL]06-6882-1224
Pコード:297-720
『RUSH BALL 2016』
▼8月27日(土) 11:00
泉大津フェニックス(大阪)
1DAY(大人)-6500円(整理番号付)
1DAY(小学生)-3500円
[出演]BRAHMAN/Czecho No Republic/Dragon Ash/KEYTALK/RIP SLYME/SiM/東京スカパラダイスオーケストラ/TOTALFAT/銀杏BOYZ/ストレイテナー/a crowd of rebellion(ATMC)/group_inou(ATMC)/Homecomings(ATMC)/LAMP IN TERREN(ATMC)/LUCKY TAPES(ATMC)/ReVision of Sence(ATMC)/SANABAGUN.(ATMC)/yonige(ATMC)/サイダーガール(ATMC)/MIYAVI(ATMC(Closing Act))
[オープニングアクト]Awesome City Club
※雨天決行、荒天中止。未就学児童は保護者同伴に限り無料。小学生以上は有料。小学生はチケットを購入の上、保護者同伴に限り入場可。出演者の変更・キャンセルに伴う払い戻しは行いません。2日通し券はPコード782-154にて販売。
【オフィシャルHP】http://www.rushball.com/
[問]GREENS
[TEL]06-6882-1224
チケット情報はこちら
Pコード:300-911
『ザンジバルナイト 2016』
▼9月1日(木) 18:30
中野サンプラザ(東京)
全席指定-6500円
[司会]リリー・フランキー/ミッツ・マングローブ
[ゲスト]ウクレレえいじ/大塚 愛/研ナオコ/どぶろっく/中納良恵/ハナレグミ/PUFFY/星屑スキャット/マキタスポーツ/峯田和伸/横山剣/他
[問]ホットスタッフ・プロモーション
[TEL]03-5720-9999
チケット情報はこちら
Pコード:294-803
『BAYCAMP 2016』
▼9月3日(土) 14:00
川崎市東扇島東公園特設会場(神奈川)
入場券-8900円
テントサイト利用券-1500円(1名分)
駐車券-2000円(2輪・4輪/全長6m以内)
[出演]浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS/雨のパレード/Wienners/Awesome City Club/大森靖子/Charisma.com/キュウソネコカミ/銀杏BOYZ/Creepy Nuts/group_inou/go!go!vanillas/SHISHAMO/シャムキャッツ/神聖かまってちゃん/水曜日のカンパネラ/スチャダラパー/ストレイテナー/SPARK!!SOUND!!SHOW!!/Czecho No Republic/tofubeats/Dragon Ash/NakamuraEmi/NOT WONK/THE BACK HORN/THE BEACHES/BIGMAMA/the pillows/THA BLUE HERB/フレンズ/Homecomings/My Hair is Bad/ヤバイTシャツ屋さん/Yogee New Waves/夜の本気ダンス/LEARNERS/lovefilm/リーガルリリー/LEGENDオブ伝説a.k.a.サイプレス上野/忘れらんねえよ/他
[DJ]FREE THROW/DJダイノジ/藤田琢己 a.k.a DJ SHOCK-PANG/他
※ドリンク代別途必要。18歳未満は入場不可。要顔写真付身分証明書。雨天決行、荒天中止。詳細は問合せ先まで。自転車・徒歩での来場不可。駐車券・テントサイト利用券は入場券別途必要。必ずhttp://baycamp.netの注意事項をご確認の上ご来場ください。
[問]チッタワークス
[TEL]044-276-8841
チケット情報はこちら
『寺フェス'16』
▼9月10日(土) 13:00
若宮寺本堂 (山形)
前売入場券-3500円
朝日町版入場券-3000円(朝日町内の各店舗にて販売)
[出演]銀杏BOYZ(弾き語り)/松本素生(GOING UNDER GROUND)/前野健太/原田晃行(Hi,how are you?)/登坂尚高/登坂高典(説法)/豊山太鼓千響&上田秀一郎
[出店]新華楼(中華とビール)/COFFEE&CASSETTES(珈琲とカセットテープ)/cafe clumino(珈琲とスムージー)/他
※いずれも小学生以下無料。
※会場住所:山形県西村山郡朝日町三中甲244
[問]寺フェスオフィシャルHP
http://terafesasahimachi.jimdo.com
Pコード:283-385
サンボマスター
7月30日(土)~一般発売
▼9月24日(土) 17:00
STUDIO COAST(東京)
1F立見-3900円
2日通し券:1F立見-7000円
[ゲスト]銀杏BOYZ
※ドリンク代別途必要。
[問]ホットスタッフ・プロモーション
[TEL]03-5720-9999
チケット情報はこちら
『ボロフェスタ2016』
8月20日(土)~チケット一般発売
▼10月28日(金)~30日(日)
京都KBSホール他(京都)
※詳細は後日発表。
※銀杏BOYZの出演日は後日発表されます。
※バンドではなく、峯田単独の出演になります。
[問]オフィシャルHP http://borofesta.jp/
【LOSTAGE】
『キツネの嫁入り presents [第6回スキマアワー「学校で、教わらなかった音楽」]』
▼8月6日(土)
精華大学(京都) 14:00
前売-4000円 当日-4500円
[出演]五味岳久(LOSTAGE)/UA/高野 寛/トクマルシューゴ/中村佳穂/キツネの嫁入り
[出店]喫茶マドラグ/dryriver/katoh kumiko
※保護者同伴の高校生以下無料。
※水上ステージ、屋外屋台広場は入場無料。
※五味岳久弾き語りでのソロ出演。
[チケット発売]
http://passmarket.yahoo.co.jp/event/
show/detail/01g6aby6f7gu.html
[問] http://madonasi.com/sukimah/
『第6回ぶどう園音楽会』
▼8月20日(日) 14:30
藤森農園(静岡)
[出演]五味岳久(LOSTAGE)/AYNIW TEPO/T字路s/コロリダス/Anna Sugars
[講演・講話]加藤義松/紙芝居きみちゃん
[選曲]鈴木建具店/大池建具店
※五味岳久弾き語りでのソロ出演。
[チケット等詳細問合]くらや珈琲店[TEL]053-522-9885
くらや珈琲店では、メールによるお問合せも受付。
サイト(FBページ)
https://m.facebook.com/events/
1567133890248920/
『true blue tour』
Pコード:303-019
▼8月25日(木) 19:00
池下CLUB UPSET(名古屋)
前売-3240円(整理番号付・別途ドリンク代必要)
[出演] GEZAN/LOSTAGE/HINTO
[問]ジェイルハウス
[TEL]052-936-6041
チケット情報はこちら
Pコード:303-075
▼8月26日(金) 19:00
CONPASS(大阪)
オールスタンディング-3240円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演] GEZAN/LOSTAGE
[共演]THE NOVEMBERS
※未就学児童は入場不可。
[問]清水音泉[TEL]06-6357-3666
チケット情報はこちら
Pコード:303-230
▼8月31日(水) 19:00
UNIT(東京)
立見-3240円(ドリンク代別途必要)
[出演] GEZAN/LOSTAGE/青葉市子
※未就学児童は入場不可。
[問]ホットスタッフ・プロモーション
[TEL]03-5720-9999
チケット情報はこちら
ロストインタイム 海北大輔 弾き語り
『旅行鞄と僕の声と2016
~旅人と47つの約束~』
▼8月27日(土) 18:30
Acoustic Live bar Billy(奈良)
全自由-2500円(1ドリンク別途要)
[出演]海北大輔/五味岳久
※五味岳久弾き語りでのソロ出演。
[問]Acoustic Live bar Billy
[TEL]0742-36-4350
奈良県奈良市大宮町7-1カイモト第3ビル 2F
『THE SUN ALSO RISES vol.26
〜F.A.D YOKOHAMA 20th Anniversary〜』
▼9月1日(木) 19:30
F.A.D YOKOHAMA(神奈川)
椅子席立ち見併用(全自由)-3000円
当日-3500円
[出演]五味岳久(LOSTAGE) /向井秀徳アコースティック&エレクトリック
[問]F.A.D http://www.fad-music.com/
『PS.l miss you』
▼9月10日(土) 17:00
club SONIC iwaki(福島)
前売-3000円(ドリンク代別途要)
[Guest Live]鎮座DOPENESS×DJUPPERCUT
/skillkills/LOSTAGE/CARD
[Guest DJ]DAWA(FLAKE RECORDS)
[Live]to overflow evidence/asyl.
[DJ] 如意(ain’t nobody)
[問] club SONIC iwaki
www.sonic-project.com/~sonic-iwaki/
『ジュンジpre.”Lit up-B.B. 19th Anniversary SP”』
▼9月11日(金) 19:00
YOKOHAMA B.B.STREET(神奈川)
前売-2500円
当日-3000円(いずれも1ドリンク-500円要)
[出演]LOSTAGE/Qomolangma Tomato
[問]横浜B.B.STREET[TEL]045-681-8202
Pコード:299-864
『Dogs on Acid Japan tour 2016 with malegoat』
▼9月17日(土) 18:00
CONPASS(大阪)
前売り-2800円(オールスタンディング、整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演]Dogs on Acid
[共演]malegoat/LOSTAGE/bed
[問] CONPASS[TEL]06-6243-1666
チケット情報はこちら
Pコード:302-683
『CLAPPER 10th ANNIVERSARY
×MOROHA自主企画「破竹」presents』
▼10月1日(土) 19:30
アメリカ村 CLAPPER(大阪)
スタンディング-3000円(整理番号付、ドリンク代別途要)
[出演] MOROHA/LOSTAGE
※3歳未満は入場不可。
[問]アメリカ村 CLAPPER
[TEL]06-6213-6331
チケット情報はこちら
Pコード:301-250
『FLAKE OF THE UNIVERSE!〈FLAKE RECORDS 10th Anniversary〉』
8月13日(土)~一般発売
▼10月2日(日) 14:00
味園 ユニバース
1DAY(ADULT)-4500円(整理番号付)
1DAY(CHILD)-2000円(小学生)
※いずれもドリンク代別途要。
[出演]the chef cooks me/CUBISMO GRAFICO FIVE/DESMOND & THE TUTUS/Keishi Tanaka/LOSTAGE/
NOKIES!/OUTATBERO/toe/YeYe
※小学生以上は有料。
※小学生は1DAY(CHILD)をご購入の上、保護者同伴入場に限る。
※未就学児童は保護者同伴に限り無料。出演者の変更・キャンセルに伴う払戻しは不可。
※10/1(土)公演もあり([出演]8otto/ATATA/
DENIMS/金佑龍/Predawn/Rega/Sawagi/
Shortstraw/UNCHAIN Pコード:301-250)
※2日間通し券はPコード:782-312にて販売。
[問]GREENS
[TEL]06-6882-1224
【オフィシャルHP】
http://www.flakerecords.com
チケット情報はこちら
『LOSTAGE presents [生活2016]』
9月10日(土)~チケット一般発売
▼10月22日(土)・23(日) 13:30
古河市スペースU(茨城)
前売1日券-4800円
2日通し券-8800円
※スタンディング。
[出演]
【10/22(土)】
LOSTAGE/bacho/COMEBACK MY DAUGHTERS/NOT WONK/ROTH BART BARON/マヒトゥ・ザ・ピーポー/他
【10/23(日)】
LOSTAGE/ART-SCHOOL/ASPARAGUS/
bed/Crypt City/HINTO/LITE
[出店]
THROAT RECORDS/RR/他
※出演者は都合により変更の可能性あり。
※出演アーティストの変更等による払い戻しは行いません。
※いかなる場合でもチケットおよびリストバンドの( 紛失・破損・焼失) 再発行は致しません。
※チケットは当日リストバンドと交換になります。
※6歳以上はチケット要。
■生活2016 オフィシャル先行受付
受付URL:http://w.pia.jp/t/seikatsu2016/
受付期間:8/5(金)12:00~15(月)23:59
枚数制限:お一人様8枚まで
[問]エイティーフィールド
[TEL]03-5712-5227
http://www.atfield.net/
LOSTAGE 五味岳久さんがインタビュアーとなり、“今、気になる人”と会い、それぞれの生活圏から見えている景色や、これから見たい光景を語り、考える、連載企画『奈良からの手紙』。第11回は銀杏BOYZの峯田和伸さんです。地元を出て音楽を続ける者と地元に残って発信し続ける者、双方の音楽や“場所”に対しての見方も興味深い対談です。ライブでの共演はあったものの対談は初めて。お二人を乗せた舟はゆっくりと進水、次第に広い世界を航行しました。
「俺が今、高校生だったら出てないだろうなって思います、山形。
山形にいても面白いだろうなって」(峯田)
五味岳久
(以下、五味)
この連載は11回目で、テーマがあって。僕、ずっと奈良に住んでて、自分のホームとか居場所とか、そういうことにまつわる話を聞けたらいいなと思って。全然関係ない話で終わることもありますけど(笑)。漠然としたそういうテーマがあります。
峯田和伸
(以下、峯田)
はい。僕、地元を出てきた人間なので、東京とか大阪とか出ないで、地元に残って活動する人はすごく尊敬します。
五味
何で東京に出ようと思ったんですか? 最初は大学とかですか?
峯田
大学です。
五味
東京の大学?
峯田
千葉の大学です。僕、4年間千葉に住んでて、東京側の。千葉市のほんと、何もないところで。
五味
千葉LOOKとか…。
峯田
ああ、そうです!
五味
千葉LOOKでも一緒にやったことありますよね?
峯田
ありましたね。
五味
MO'SOME TONEBENDERと、idolpunchと。
峯田
そうですね(笑)。
五味
あの辺に住んでて。
峯田
近かったです。
五味
山形を出たいなっていうのは?
峯田
うちは実家が結構厳格な電器屋…。
五味
今日、来るときにウィキペディア見てたら「年商5億の」って…。
峯田
あれは間違ってます。
五味
間違いなんですか(笑)。
峯田
あれのおかげでよく言われるんですけど。
五味
すごい金持ちの…。
峯田
ねぇ? ほんとねぇ? もう、だって中学くらいまで、テレビ1台売れたら「焼肉食うぞ!」っつって『こてっちゃん』出てくるような家ですよ。「テレビ売れたー!」っつって、そんな感じで。俺が大学でこっち来てから、だんだん売上げが伸びてったみたいで(笑)。俺のときは全然違う。でも5億とかないと思います。盛ってると思います。僕、長男だったので、元々は電器屋を継ぐ予定だったんです。
五味
弟さんがいて…?
峯田
弟がいて、弟も東京の大学で。継ぐ前、社会勉強みたいな感じで親から「学費出すから大学行くか?」みたいな感じで言われて、出てきて、初めて一人暮らしして。その4年が終わったら山形に帰るんだな、みたいな感じだったんです。どうせ山形に帰るんだったら4年の間にやってみようかなっていう感じで初めて音楽やってみて。
五味
じゃあ、大学に来てからやり始めて。
峯田
はい。初めて楽器持って。
五味
そうなんや。地元で結成とかじゃないんや。でも高校の…?
峯田
それで村井(守)くんも高校の同級生で東京来てて。毎週みたく遊んで。
五味
別の学校に行ってても。
峯田
お互いそんな友達がいなくて。もう週3、4ぐらい会ってたんですよ。ライブ行ったりとかしてて。で、そのうちに村井くんにちょっと楽器やってみない?って。
五味
それでドラムを。
峯田
あびちゃん(安孫子真哉)とかもみんな、地元の友達。
五味
地元から東京に出てきてて。
峯田
そう。本当にこの4年間で結果出してやってみようかなって感じで、もうダメだったら山形帰ればいいしみたいな感じだったんです。
五味
在学中に…。
峯田
GOING STEADYっていうバンドで。
五味
盛り上がって。
峯田
はい。
五味
僕1回、奈良の生駒山の山上遊園地でSNAIL RAMPと来てたとき、観に行ったんですよ。
峯田
お客さんとしてですか!? フリーライブでしたよ、確か。
五味
そうそうそう。
峯田
う~わ~、すげぇ…!
五味
あのとき、僕、観てて。あれは在学中の頃?
峯田
大学3年のときです。ああ、そうか、あのときか。1999年とかだ…。
五味
それで東京に出て、バンド始めて。
峯田
帰るに帰れなくなっちゃって、山形に。
五味
帰りたいと思うことは?
峯田
もうないですね。どっかでもう「出てきちゃった」っていう。
五味
帰省とかしないんですか?
峯田
僕、あんま帰らないんですよ、正月とかも。こないだおばあちゃんの23回忌で久しぶりに帰って。
五味
「帰ってこいよ」とか言われないんですか?
峯田
言われるんですけど。独身だし、子供産めとか、そういうことも言われるんですけど、全然帰んない。たまに電話とかするんですよ。夜中にお母さんに電話とか(笑)。そんぐらいで、全然帰んなくて。でもね、今、僕が18歳とかで音楽やろうっていうのがあったら、多分出て来ない。山形でやってるような気もするし。何だろうな、あの時は今みたいにネットもないし、作った曲をどっかに上げてっていう手立てもないし、何かやるとしたらもう東京かなみたいなのもあったんですよね、多分ね。
五味
上京っていう考え方が多分、20年前とは全く違う感じはします。いつか帰るとか、そういうのは?
峯田
あんまないかな…。
五味
ずっと東京で?
峯田
ほんとね、情けないんですけど、弟とか妹が親の近くにいてくれてるから。本当は長男がもっとしっかりしなくちゃいけない。法事とか全部、弟がやってくれてるから、そこに甘えてるかな。……東京行きたいとかなかったですか? 東京に行ってやろうとか。
五味
東京は『SET YOU FREE』とかで呼んでもらったのが最初やったんですけど、ライブっていう目的があって東京に行くじゃないですか、車とかで。都心しか知らないんですけど、そのとき“こういう街に住みたくないな”って思って。その当時22、3歳とかで、何か刺激的で、そういうのに憧れて欲してるんですけど、住むのはちょっと無理やなと思って。でも音楽は好きやから、自分が暮らしているところでやれる方法を考えたいなと思って。で、一時、TOY'S FACTORYっていうメジャーのレコード会社から何枚か出させてもらったんですけど、その時も「上京はしません」って最初に言いました。何とか自分のいる場所に軸を持っていきたいなって。何でか分かりませんけど、漠然と。
峯田
例えば、僕が学生時代に聴いてた洋楽の人たちって、バンドやりたいからニューヨーク行こうとか、そういう人もいたと思うんですけど、生まれ育った町に残ったまま、親と暮らしたまま、音楽をやりながらとか、あるじゃないですか。ワシントンDCとか、シアトルとかで。そういうのすごいカッコイイって俺も思ってて。一点集中じゃなくて、小さい街でも、ポートランドとか、もっと小さい町とかでもレーベルがあったり、ライブハウスがあったり。そこにバンドが集まって来てやったりとか。そういう、アメリカ的って言うんですかね? 何かそういうのはいいなあって思ってたんですけど、日本に生まれて、山形に生まれて、高校だった1993年から1995年までの3年間、あの当時は山形には街自体も盛り上げつつ山形の音楽シーンも盛り上げていこうぜっていう動きは全く感じられなかった。ここで音楽をやったとしても「ああ、なんかキツイだろうなぁ」っていうのがあって。あの当時の3年間の山形の中では、全くなくて。
五味
その当時から(音楽を)やりたいっていう気持ちはあったんですか?
峯田
(高校)卒業直前くらいからやってみたいなって。好きで聴いてはいたんですけど、まさかでも。友達は残ってやったりしてるんです。働きながらとか。でもそういう形じゃなくて、俺、もっと東京でできないかなって当時は思ってたんですよね、多分ね。
五味
何回か山形に行ったことあるんですけど、1回、『Do it』っていうインディーイベントフェスみたいなのに僕ら、出させてもらったときに、すごいなって。今まで出たああいうイベントの中で一番すごい…。
峯田
誰かも言ってたんだよな。ここ10年くらいで若い人が自分達で企画やって、つぶれた映画館を貸し切って、フロアを分けてライブやったりとか。いろんなバンド集めて、全国から。そういう動きとか、前はね、仙台であったんですけど、山形にはなかったんですよ。でも若い人がやってますよね。あとスキー場でテクノとかイベントやったりとか、すごいなって。ここ10年。俺が今、高校生だったら出てないだろうなって思います、山形。面白いだろうなって。
五味
ちょうどインターネットとか、そういうのが広がって、みんなの手に届く安いものになってきたのと同じタイミングで、僕らもバンドが軌道に乗るっていうか、いろいろやれるようになってきて。っていう、その前の時代の感じですよね。
峯田
そうですね。うん。なんか外国っぽくなってきたような気がしますよね、日本が。そういう意味でいうと。音楽をやるにしても、映画を撮るにしても、高いカメラを買わなくてもよくて。ファイナルカットとか映像ソフトがあればパソコンで編集できちゃうし、作り易くはなったと思うんです。その代わり、できないことも増えたと思うんです。だから、東京に来て暮らして、地方出身者の独特のムードを持っている人たちと会ってしゃべるのが好きですね。東京で遊んだりする人も、元々は熊本の人だったりとか。東京でなかなか大変だけど、役者をやってたりとか、そういう人が多くて。元々東京の人もいますけど、友達には。でも地方出身者の独特な…、何だろうな…分かり合える感じはあります。そういう人たちと。
五味
東京に集まるんですよね。
峯田
で、長渕(剛)とか歌ったりするんですよね。「カラオケで歌うか!」っつって(笑)。
五味
カラオケとか行くんですね(笑)。普段、何してるんですか? 1人でいるときとか。どういう感じで日々、暮らしてるんですか?
峯田
何もしてないですよ、グダグダと(笑)。バイトとかしたいんですけどね、本当は(笑)。あ、でも、朝起きますよ、ちゃんと。夕方5時くらいに起きたりとかはないです。
五味
出歩いたりするんですか?
峯田
たまに(笑)。あとは家にいます(笑)。しょーもないですよ!!(笑)。曲作りたいですよね、でもね。1日1曲は作りたいです。でもそれが果たせなくて、「あ~今日もダメだ、無理だ!」つってエロサイト観て、明日明日っつって、その繰り返しですね(笑)。たまに曲できて、わー!やったー!っつって喜んで終わりみたいな。ほんとはもっとちゃんとしたいんですけどね。
五味
家でやるんですか?
峯田
ギターでメロディーを作るのは家で、作詞はファミレスとか、図書館とか。
五味
出歩いて。で、出来上がってからこう…。
峯田
スマホの録音機能で歌ったやつを録って、それをメンバーに送って、こんな感じでって伝えて。
五味
(銀杏BOYZで)メンバー3人脱退したじゃないですか。そっからこう…「もう無理やな」みたいにならなかったんですか?
峯田
あんまならなかった。LOSTAGEのイベントの『生活』に僕、呼ばれたじゃないですか。あのとき確か、僕一人ですよね。
五味
一人ですね。
峯田
ちょうどあのときは、まだメンバーが見つかってなくて。でも、だからといって音楽活動をやんないんじゃなくて、とりあえず一人でもやろうかなって。そしたら1人でライブやるのも楽しくなって、もしいつかバンドメンバーが見つかって、バンドのライブをしたとしても、一人のライブは続けていこうと思っていて。
五味
あのとき銀杏BOYZ名義でしたよね、一人でも。
峯田
銀杏BOYZの名前でやっていこうかなと思って。どういう形であれ。峯田和伸という自分の名前のアーティスト名では活動したくなくて。その理由は見つからないんですけど。銀杏BOYZはバンド形態で始まったんですけど、13年前に。でも、何だろうな……例えば、これからもサポートメンバーとか入れて、曲によっては8人とかで演奏したりとかあると思うんですけど、一人でやるときも、その形態でやるときも、全部『銀杏BOYZ』でやりたくて。最近のライブでは、例えば10曲くらいやれるとしたら、最初1人で出てきて2曲くらいやって、そっからバンドメンバー登場して。また一人になってとか、そういうセットリストでやってる感じですね。
「僕、何回かメンバーに辞められてるんですけど、
まあまあ食らうというか…。振られたみたいな感じ」(五味)
五味
2003年にGOING STEADYから銀杏BOYZになったときを調べんたんですけど、2003年6月7日滋賀のハックルベリーでSET YOU FREEの企画。陽のレコ発で。銀杏BOYZになったばっかですよね。そのときのライブに一緒に出させてもらって。
峯田
あのときが初めてですかね、会ったのって。
五味
そうですね。言葉は交わしてないですけど、直接会ったのは初めてでした。あのときって名前がさくっと変わったじゃないですか。
峯田
あのときはGOING STEADYのメンバーとはやりたくなかったので、もうさっさと誰か新しい人を見つけてバンド名も変えてやろうと思ってたんですけど、まだ見つかってなくて。とりあえず…。
五味
とりあえず…(笑)。
峯田
「村井くん? 暇でしょ?」って。「あびちゃん? 暇でしょ?」って。「ちょっと、ちょっとの間、一緒にバンドをやってくんね?」って。で、「滋賀まで来てくんね?」って。で、まだ覚えてるんですけど、あの日のライブ終わって滋賀で打ち上げやってるときも俺の隣に座ってこないから、「ちょっ来て」って座らせて、あびちゃんと村井くんを。「今日、どうでした? ライブ」って。「あー、楽しかった」って。「楽しかったんなら一緒にやるぅ?」みたいな感じで(笑)。
五味
そういう状況で。
峯田
口説いたのは覚えてます。で、あびちゃんもそこでは答えを出してくんなくて。SET YOU FREEの千葉さんが見かねたらしくて。夜中電話して、あびちゃんに。で、「やるの? あびちゃん?」「分かんない、これからどうしていいか分かんない」「明日、大阪でガガガSPとかと(峯田が)ライブやるから観にいこう」って誘ったらしいんですよ。次の日、大阪行って、ばーって。で、関西であびちゃんとかと観たらしくて。「みんな頑張ってんじゃん! 周りのヤツら! あびちゃん、どうなのよ!?」って。そこであびちゃんがもう、何か泣きそうになりながら「俺、峯田さんとやります!」って。
五味
そんなドラマが。
峯田
あったみたいです。僕が見てないところで。まあ辞めたけど、あびちゃんも(笑)。また辞めたけど(笑)。
五味
GOING STEADYは、名前もそこでぱきっと気持ち入れ替えて。で、銀杏BOYZになって、またメンバー1回、辞めてるじゃないですか。でも…。
峯田
またガラッと変えようとは思わなかった。
五味
何でなんですか?
峯田
めんどくさかった。
五味
めんどくさい(笑)。
峯田
ほんとめんどくさいんですよ。
五味
名前を変えることがですか。
峯田
懲りたんですよ、銀杏BOYZになったばっかりのときに。もし次にそういうことがあったとしても、もう変えたくねえなって。
五味
特別な思い入れがあるとか、そういうことじゃなくて。
峯田
よりもめんどくさい。何だろ、そんな難しいこと考えなくなっちゃったというか、20代前半でGOING STEADYを解散したときは、もっと細かいところまで“これはこうでなくちゃいけない”とか、すごく神経質だったけど、今はもうあんまりなくて、そういうのが。「抜けた、抜けた、しょうがない、でも続けます」みたいな感じで適当になっちゃったみたいな。
五味
僕、何回かメンバーに辞められてるんですけど、まあまあその都度食らうというか…。気持ちが…。振られたみたいな感じの。
峯田
そうですよね。ありましたけど…。最初は(中村)チンくんだったのかな? あのときに一番食らっちゃって。もう、わ~って思ったんだけど、何か「いいやもう!」みたいになっちゃって。「チンくんより面白い人いるべ、多分、いつか」みたいな、そういう感じになって。あんまりもう、へこまないようにしてるんですかね。離婚みたいなもんですよね。もうずっと長い間やってたやつと籍入れてやってきたのに、「ああ、もうバツ3だな、俺」みたいな。思いますよね!? だから簡単に新しい人見つけて、「結婚しましょう」ってできない。
五味
あー。で、サポートみたいな。
峯田
まずはセフレから始めましょうみたいな。お互い都合のいいときに会って。なんかそういう感じなんですかね。で、もし本当に結婚したいとしたら、また籍入れるかもしんない。それは新しいメンバーなのか、今周りにいるメンバーなのか分かんないですけど、すぐ結婚できない。
五味
今はいろんな人と一緒にやってみたいなっていう感じ?
峯田
そうですね。僕が中心にいて、歌うたって、お客さんが聴いてくれて。そういう状況がずっと続けば、どういう形態でもいいかなって。前は男4人でロックバンドみたいな、それをやりたいっていうのがあったかもしれない。でも、今は俺が中心にいて歌ってればいいかなっていうのがあって。
五味
バンドの価値観みたいなのが昔とちょっと変わったというか。
峯田
変わったかもしれないですね。でもすごく憧れます。男4、5人が集まってロックバンドっていう。ギターをジャーン!みたいな、すごいいいなと思って。それはずっとやっていきたい。……(奈良から)大阪に行こうとも思わなかったんですか?
五味
大阪もめっちゃ近いんですよ。12時に奈良で集まって、12時30分に大阪着いて。それくらいなんで、出るとかそういう感じでもなくて。
峯田
ああ、そうですね、確かに。
五味
家賃とか安いし、住みやすいんですよ、奈良は。でも仕事があんまりない。ただ居心地がいいというか、出たくないのは。
峯田
レコード屋さんを始められたのはいつでしたっけ?
五味
今、3年半くらい経ちました。
峯田
いいですね。地元残って。僕もいつかレコード屋さんをやりたいなってずっと思ってて。地元で音楽続けられて、CDも出せて、今は自分のレコード屋さんでお客さんと話したりとか、すごくいいですよね。いいな、そういうの。
五味
いいと思います(笑)。
峯田
ね! いいな~。買い付けとか行くんですか?
五味
全然。持ってきてもらったものを買い取ったり。中古がほとんどなんで、新譜は一緒にライブをやったりしてるバンドの人から直接買い取ったりとか、ちょっと流通使ってとかもあるんですけど、あんまり最新の音楽をっていう感じでもないです。僕一人なんでそこまでやりきれないというか。
峯田
大変そうですね、話聞いたら。
五味
それやりながらバンドもってなったらちょっとパンクするなと思って。
峯田
そうですよね。
五味
中古レコード屋ぐらいが自分のペースに合ってるというか。
峯田
俺もやろうかな~、そういうの。俺、ビデオレンタルとレコードと喫茶店とちょっとした雑貨みたいなのが一緒になったお店みたいなの、やりたいんですよ。
五味
ビデオレンタルって(笑)。
峯田
セレクトして。ジャンルを分けないで自分が好きな映画とかのDVDとかVHSとか、音楽や本とか、そういうのを売るみたいな。で、コーヒー飲めるみたいな。いつかやってみたいんですよね。友達でやっている人がいて、周りで。友達がやってるのを見ると、いいですよね。俺もやれるかもしんねぇって思えるし。友達がやってると行きやすいというか、誰かしらいるから。今、高円寺に山形料理のお店があって。僕の後輩がやってるんですけど。結構いろんな人が来てて面白いです。音楽やってる人も、ラッパーとかも、絵描く人もみんな集まってて面白いです。何かそういうのいいなって。友達が集まる場所を作るといいんだよな~。
五味
奈良なんで、人がめっちゃ出入りするとかはないですけど、場所を作ってから知り合った人は、すごく面白い人がいっぱいいますね。
峯田
そういうのいいですよね。お客さん来たら喋るんですか?
五味
僕、結構喋りますよ。自分から話しかけたりとかして。
峯田
意外! じゃないとね? だってね? むすっとしててもしょうがないですよね。
五味
レコード屋って敷居高いというか、一見で入りにくかったり、中がどうなってるのか分からへんとか、店の人がちょっと怖いみたいな。
峯田
持ってるレコードで判断されて。「ああ、こういうやつか」っていう目がヤダってあるじゃないですか(笑)。
五味
そういう、今までのレコード屋の感じじゃない、もうちょっとカジュアルといったらあれですけど、もうちょい敷居下げてフラッと寄れる感じにしたいなっていうのがあって。
峯田
すげえ! 僕ね、サンフランシスコに行ったときにレコード屋回ったんですけど、日本では味わったことないんですけど、こう(レコードを)持ってたら、店員さんが来て「へ~」っつって「見せて」って言われて。見せて。「あ、これ好きだったら多分これも好きだよ!」ってコーナーに連れて行かれて。めっちゃ付きっ切りなんですよ。
五味
いろいろ教えてくれる。
峯田
なんかね、おもしれえなと思って。日本だとあんまりないじゃないですか。店員さんがそうやって、そういう感じ、いいですね。
五味
僕も中学、高校ぐらいのとき、心斎橋とかで初めてアメ村のレコード屋とか行ったとき「怖いな」って。何か…(笑)。聞いてみたいけど、話しかけたりもできないし。それがレコード屋の文化やっていう人も先輩でいるんですけど、いまどきネットとかで聴こうと思えばいくらでも音楽聴けるし、1人で調べようと思ったら何でも分かるんで、せっかく店やってるし、もうちょっと人と会話したりとか、音楽のことだけじゃなくても、もうちょい触れ合いみたいなのがあった方がいいんじゃないかなって。レコード屋でそこを断絶してもあんま意味ないかなって。レコードが流行ってきてるっていうのもあると思うんですけど。
峯田
ほんと、音楽の知識も何もないんだろうなっていう高校生みたいなのが入ってきたら嬉しくないですか?
五味
そうすね。何買うんやろうとか思って。
峯田
すっげぇ緊張して入ってきてると思いますけどね、高校生とかはね。
五味
できるだけそういう人には話しかけたり。コーヒー飲みますか?とか。
峯田
レコード屋さんをやる前は何やってたんですか?
五味
僕、ずっと接客やってんたですよ。漫画喫茶の受付とか、レンタルビデオ屋とか。喫茶店とかでも働いてましたけど、だから接客業が嫌いでもないというか。
峯田
え~! 意外でした。
五味
ライブでわーって喋んのはあんま得意じゃなかったんですけど、最近ライブでもなんか喋りやすくなりました。
峯田
『生活』のときに久しぶりに観たんですよ。で、開いてるなって。LOSTAGE自体が開いている感じがしたんですよ。昔の曲もやってたと思うんですけど、やっぱり違いますね。
五味
何かね、どのタイミングで変わったのか分かんないですけど、あんま意味ないなと思って。閉じてても。自分の中に向かっていくだけやといつか飽和するというか。それでどこかのタイミングで変わりましたね。
峯田
僕もずっと、大昔ですけど、MC一切しないでやってみようみたいな。閉じて。……閉じてっていうか(笑)。もうMCとか疲れるとかあるじゃないですか。何喋ったらいいか分かんないとか。「そんなストレスはもう要らない」って。「だったら今日、喋んねえわ」と思ってやってみたんですけど、そっちの方が気ぃ狂いそうでした(笑)。ダメだ~と思って(笑)。向いてねぇって。1回だけしかできませんでしたね。
五味
(笑)。ライブでも、店でも、同じ感じというか。会話している感じになれるようになったというか。昔は客席とステージがコミュニケーション取れてるっていう気がなかったんですけど、最近は普通に……。誰か個人に向かって喋ってるわけじゃないけど、何か会話をするように話せるようになったなっていう感じです。
「お客さんを一人にしたいんですよ。何人いても。『あなたに
伝えたいことがあります』ということをまっすぐ見て」(峯田)
五味
もうすぐツアーなんですよね。久しぶりのツアー?
峯田
全国ツアーは8年ぶり…。
五味
8年ぶり!(笑)
峯田
ダメだよね、ほんとに!(笑) 何やってんだっていう。僕、メジャーには一度もいってなくて、ずっとUK(UK.PROJECT)で。UKの中でも自由にやらせてもらって。で、途中から、リミット決めてそこまでに是が非でも、どんな形でもいいから曲を生んで、作品を出すみたいなことをやりたくねぇと思って。どうせこういうポジションにいるんだから好き勝ってやろうと思って。できねぇときはできねぇっつって。1回それで作品作ってみようと思った結果、9年かかっちゃんたんですけど。もうああいう体験できたんで、次はちゃんと自分でリミット決めて、せめて2年に1枚とかアルバムとか出して、ツアー回ってみたいなことをやりたいですね。待ってくれてるお客さんもいると思うし。
五味
それは絶対いると思います。
峯田
逆算するようになりましたね。生きてる間に…。こういう声の出し方で何歳までもつかとか。あと、何枚アルバム出せるかとか考えたら、あんまりもうのんびりやってらんねぇなみたいな。ちゃんとこういうアルバムを作ってとか考えるようになりましたね。
五味
そんなこと考えるようになったんですね。
峯田
なりました、なりました。前はこういう内容の歌も書いてみたいとか、こういうのも作ってみたいとかいっぱいあったんですけど、もうあと200曲とか作れんのかなと思ったときに、だったらもうこんな歌いいや、俺、こういうことしか歌いたくないとか、だんだんシンプルになってきて。だんだん前より靄が晴れてきてるというか。
五味
最近ライブやり始めて帰ってきたなみたいな感じはあるんですか? 「あ、やっぱこれや」みたいな感じ。
峯田
ロックフェスとか出させてもらって、自分の出番でステージに行くじゃないですか。そしたら「峯田ーーー!」って怒号が聞こえてくるんです。「ああ、これこれこれ」ってぐっと来ましたね。
五味
やっぱりぐっと来る?
峯田
来ますね。「死ねーーーーー!」とか「チンくん返せーーーー!」とかいっぱい聞こえてくるんですよ。「これこれこれ!」って。
五味
そういうのはあんまいないですね。周りにはいないです。
峯田
「死ねーーーー!!」ってあまりないじゃないですか。でも自分を落とすというか、ザ・ストーン・ローゼズじゃないですけど、フロアとステージをもっと…。そのバランスだと思うんですよね。それによって熱狂って生まれるような気がして。ジャンル関係なく。そういう人間でいたい。高い車乗って、高い家に住んでっていうところから生まれるものって、そこからロックが好きなお客さんに届く歌詞って生まれんのかな?って思うもん。作ろうとしたら無理しちゃう、疲れると思うんで、だとしたらもう…。…もう週2でカプセルホテルに行くような、そういう生活をしてたいとういか。そこから生まれるものがあるような気がして。自分の生活をあまり変えないというか。自分の位置というか。俯瞰で見て、こうでいたいなとか、ここまで行きたくないなとかあるんですよね、考えてみたら…。
五味
なんか最近、映画とか、ドラマとか、俳優業っていったらあれですけど、また音楽とは違うところで活動してるじゃないですか。そのときもそういう感じなんですか? 感覚的に似てるものはあるんですか?
峯田
……売り込みやったことないんですよね。「この番組に出させてください」とか、「この映画出させてください」っていう売り込みは1回もやったことなくて。監督とかに誘われて、そのときの自分の気持ちとタイミング、ツアーやレコーディングが入ってなければやりますとか、本読んで面白そうだったらやりますとかで。ずっと前は役者をやることと音楽をやることって自分の中では分けて考えてたんですけど、今はステージに立ってるときの銀杏BOYZの峯田みたいな感じでお芝居やってるような気がして。同じ…なんですかね…。人前で何かやってる。ライブのときも、暗いライブハウスの中で、お客さんの顔はぼんやりとかしか見えないですけど、存在は分かるじゃないですか。圧を受けながら演奏する。映画も演劇も、映画はカメラだけですけど、カメラの向こうにいるお客さんがぼんやり見えるんですよね、圧があって。その中で動いているっていうのが銀杏BOYZと変わんないんですよね。だから、あんまり分けて考えなくなりましたね。歌ってるか、動かしてるかっていうだけで。どっちも楽しいですね。うん。
五味
なるほど……。聞きたいことは聞けました。何かありますか?
--熱狂が生まれないんじゃないかって気づいたとおっしゃってましたけど、それは久しぶりにライブをやって気づかれたんですか?
峯田
お客さんに対して自分がもっと目の位置を合わせて歌ってないと…。会話もそうですけど、人と話すときに上からよりも、下からよりも、まっすぐ目を見て話した方が伝わるような気がする。どんな歌でも。それがしょーもない歌でも。その向かい方っていうんですかね。もちろんステージは高いですから物理的には上から見ることになりますけど、でも、心構えっていうんですか、それは何人いようが一人だと思って歌うようにしてます。そうしたら声の出も違うんですよね。意識したら。不思議と。緊張もしないし。どういう歌を歌うとか、どういうメロディを生むとかよりも、そっちの方を意識するようになって。それをライブで久しぶりにやったのは2年ぐらい前からかな。それで実感があって。自分が歌ってるんですけど、お客さんが歌っている感じというか。だから、「あ、これ音程外れたな」とか、気にしなくていいんですよ、そうなると。それはすごい幸せなことで。
五味
歌い方変わりましたよね、昔と。出てる感じ。それは思いました。
峯田
お客さんを一人にしたいんですよ。何人いても。一人の状態にしたくて。この新曲(『生きたい』)も、これが大体ライブの1曲目にやるんですよ。これでまず一人にしたいっていうのがあるんです。そういう内容の曲なんです。まず一人。そこから段々、ライブの後半に『BABY BABY』っていうポップな曲をやって昇華していくっていう、そういう感じなんです。今のライブは。
五味
なるほど。
峯田
ほんと、「あなたに伝えたいことがあります」ということをまっすぐ見て。それでまず…。今、ネットでタダで音楽も体験できる中で、ぴあに並んだり電話してっていう結構面倒くさい行程を経てチケット買って、家を出て、電車乗って、ライブハウスに来たっていうのが、10年前に比べてもっとすごいことだなって思うようになって。お客さんに対して10年前と同じ気持ちじゃ歌えないんですよね、何か。
五味
……そうですよね。10年前よりハードル上がってるって感じがします。
峯田
ねぇ! 思いますよね!
五味
今初めて思いました(笑)。
峯田
(笑)。そういうお客さんに言葉を考えて歌っている。そういうお客さんに対して歌いたかった曲はこの曲だった。こういう音楽のジャンルが好きとか、こういう音を作りたいとか、10年前はあったんですけど、何かそういうのに興味がなくなったわけじゃなくて、好きでレコードを買ったりしますけど、自分がやる音楽はこれと別物というか。「こういうスタイルで、こういう格好で、こういうことを歌う」とかなくて、もう。何て言うんですかね、真っ白になってきたんだなぁ…。
五味
めっちゃいいじゃないですか。
峯田
どうなんですかねぇ…。
五味
そういうふうになりたいすねぇ。最近どんな感じの音楽が好きなんですか?
峯田
あんまり前と変わってないんですけど…。
五味
新譜とかは?
峯田
買います。シャムキャッツのLP買ったりとか。若い人から刺激受けてますね。カッコいいグループいっぱいいますよね。
五味
意外ですね。
峯田
最近、好きなグループとかいますか?
五味
最近すか? 僕もシャムキャッツが好きで『生活』にも出てもらったことがあります。峯田さんに出てもらった次の次の年かな。
峯田
東京のバンドでトリプルファイヤーってバンドいるんですよ、知ってますか?
五味
吉田さん(HeadacheSounds/PANIC SMILE)の出してる?
峯田
はい。面白いよねぇ…!
五味
ライブ観たことないんですよ。ポスト・パンクっぽい感じ?
峯田
演奏はポスト・パンクなんですけど、歌詞がすっごい。ロックバンドでこんな歌詞はありえないみたいな、すっごい面白い。すっごい久しぶり、あんな面白い歌詞書く人。「高田馬場のJoy Division」「だらしない54-71」(笑)。
五味
(笑)。どうやって新しいバンドの人とか知るんですか? きっかけとか。
峯田
僕、ライブやるようになってから、出待ちにいるんですよ、メンバーが。「これ聞いてください」とかって。あと、知り合いが楽屋に連れてきて「峯田さん、紹介したいんですけど」って、そういうので広がってきました、最近は。あと、レコード屋さんに行って店員さんと喋ってて、お薦めしてもらったものを買うとか。邦楽はそうですね。あとはYUKIちゃんとかaikoさんが新譜出したらタワーレコードで買うとか。
五味
……雑談みたいな感じですけど、大丈夫ですか?
--大丈夫です(笑)。
五味
これから東京に帰るんですか?
峯田
帰ります。イカ焼き食って帰ります、新大阪の。うまいんですよ、イカ焼き!
取材:五味岳久(LOSTAGE)
撮影:河上良(bit Direction lab.)
企画:奥“ボウイ”昌史/高橋はじむ
企画・構成:岩本和子