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Profile

加藤鶴一(写真右)
ライブハウス、十三ファンダンゴの名物店長。愛称は鶴さん。関西の中では数少ない全国区の知名度を持ち、一筋縄ではいかない個性の強いロックバンドが必ずや立ち寄る小屋として、関西のライブシーンを牽引し続けて23年。五味岳久とは10年来の仲であり、何でも話せる頼れるアニキ。

ライブハウス 十三ファンダンゴHP
http://fandango-go.com/

五味岳久(写真左)
ロックバンドLOSTAGEのボーカル&ベース。地方発信/地域密着をモットーに、地元奈良を拠点に独自の活動を展開中。メジャー/インディーを問わず、様々なジャンルのアーティストとの親交も深い。2011年、結成10年目の節目に自主レーベルTHROAT RECORDSを設立、ミニアルバム『CONTEXT』をリリース。そして2012年7月にはフルアルバム『ECHOES』を発表し、『FUJI ROCK FESTIVAL'12』に初出演も果たした。

LOSTAGE HP
http://www.lostage.co/

五味岳久オフィシャルサイト
http://takahisagomi.com/

THROAT RECORDS
http://throatrecords.tumblr.com/

Live

▼12月15日(土)18:00
Pコード:184-619
GIFU BRAVO
前売-2800円(整理番号付)
[出]cinema staff/LOSTAGE
[問]ジェイルハウス
[TEL]052-936-6041
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▼12月16日(日)19:00
奈良NEVERLAND
前売-2300円(ドリンク別)
[出]LOSTAGE/Z
[問]NEVERLAND
[TEL]0742-36-2431

★LOSTAGE ワンマンライブ
▼12月18日(火)19:30
Pコード:181-635
CLUB QUATTRO
前売-3000円(ドリンク代別途必要)
[問]スマッシュ
[TEL]03-3444-6751
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『FLAKE RECORDS PRESENTS
TONE FLAKES 43』
▼2013年1月10日(木)19:30
Pコード:185-117
umeda AKASO
[出]LOSTAGE/CARD
オールスタンディング-2800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※小学生以上は有料。
[問]FLAKE RECORDS
[TEL]06-6534-7411
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The SALOVERS
『LOVER MATCHシリーズ 対バンツアー』
▼2013年2月15日(金)19:00
Pコード:186-351
神戸 太陽と虎
[共演]LOSTAGE
オールスタンディング-2800円(整理番号付、ドリンク代別途要)
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888
チケット情報はこちら

LOSTAGE 五味岳久がインタビュアーとなり、“今、気になる人”と会い、それぞれの生活圏から見えている景色や、これから見たい光景を語り、考える、連載企画『奈良からの手紙』。記念すべき第1回は大阪・十三に店を構えて25年の老舗ライブハウス、十三ファンダンゴの店長、加藤鶴一さんとの対話です。

 

「始めるのは簡単ですけど、続けるのは…。
めっちゃ不安になってきて(笑)」(五味)

 

五味

インタビューとかされることあります?

加藤

ないなぁ。

五味

(笑)。加藤さんって今、おいくつなんですか?

加藤

昭和41年生まれ。12月で46。

五味

ファンダンゴに入ったのは?

加藤

今から23年前やな。たまたまバイト募集しとって。特にここで働きたいという感じでもなく…。

五味

店長になったのは?

加藤

入って5年経たんくらいかな。

五味

ファンダンゴは何で十三にあるんですか。まあ、加藤さんは始めてないからアレですけど…。

加藤

キタやミナミにないところでっていう気持ちは大きかったみたいやね。

五味

心斎橋とかアメ村にあるライブハウスに対しては、意識はしてない?

加藤

してない……いや、気になるな。無茶苦茶気になる! Pangeaとかいっつもスケジュールを見てるよ。“くそ~、あれ、面白そうやな~。(ファンダンゴの)チラシ持って行ったれ!”とか(笑)。

五味

ライバルという感じではない?

加藤

ではないね。意識はしてるけど、同じようなことはしたない。結局、僕らは僕らで作っていくしかないから。

五味

加藤さんにとって十三を地元と呼ぶのは正しいか分からないですけど、十三で若い人と何か一緒にやっていくとか、そういう思いはありますか?

加藤

せやなあ、十三っていう土地への地元意識は高いかなぁ。今、住んでるのは堺やけど、人生の半分はここに通ってるからなぁ。若いバンドに対しては、こうなってくれとか、一緒に何かをとかはないけど、常に刺激を受けたいっちゅうか、何かもっとくれよ!って思うね。

五味

若いバンドっていっぱいいます?

加藤

いや~、減ってきてるかな。よそにはいっぱいおるかもしれん。でも少なくとも、ファンダンゴにデモテープを持ってくるバンドは減ってる。昔に比べたら絶対、減ってるな。

五味

もっと来てほしいですか?

加藤

来てほしい。何やったら観に行きたいくらいやけど、なかなか。

五味

僕もずっと奈良にいて、自分らより下の世代が何をやってるか知りたい気持ちはあるんですけど、接点がないと会わない。現場にもっと足を運べばいいんですけど…。

加藤

なかなかなぁ!

五味

地元を盛り上げたいという気持ちはありますか?

加藤

そう思ってる人って割とおるんちゃうかなって思うけどな、地元意識って。大阪っていう切り口やったらないかもわからんけど。奈良ってあるよね?

五味

そうですね。主要なライブハウスは1つしかないから、そこに行ってやるしかないし、こっちから働きかけないと何も変わらない。盛り上げたいというか、自分のところにエネルギーを引っ張り込みたいっていうのは、昔からうっすらとあります。堺に対しては?

加藤

むちゃある。むちゃ出てきたな。年を取るごとに出てくる。

五味

堺を何とかしたい。こないだメールをもらったのも…。

加藤

そうそう、それも一つやわ。LOSTAGEを堺に呼びたい(笑)。

五味

ただ、外から誰かを呼んで盛り上げるのって一時的なものじゃないですか。後々、堺から何か生まれてくる、ファンダンゴから何か出てくるということが“盛り上がる”っていうことのようにも思うんです。

加藤

せやな。1回で終わらせるんじゃなくて、ずっと継続して。じゃないと、街の良さも、ライブハウスの良さも知ってもらわれへん。

五味

まずは知ってもらう。

加藤

知ってもらうのは大事やと思う。“十三にええところあるで”って来てもうて。それで良かったら次もまた来たいと思うしね。そんなことの繰り返しかもわからんね、こういうことって。

五味

やがてはそれが文化になって。僕も地元を盛り上げたいって思うけど、盛り上がってるってどういうことか分からへんし、そのために何をしたらいいかも見えてないんです。奈良に自分の店(レコード店「スロート・レコード」)を作ったりしてるけど、果たしてそれは盛り上がってることになるのか、自己満足なのか、分からないです。

加藤

俺はすごく大事なことやと思うな。地元に店を出すのって。その話聞いた時、気持ちよかったもん。そういう意識がなかったら、そんな気持ちは生まれへんと思うわ。

五味

始めるのは簡単なんですけど、続けるにはお金稼がなあかんし、人に来てもらわなあかんし、面白いと思われなあかんし。やるって言った後にめっちゃ不安になってきて(笑)。

加藤

でも、協力してくれる人もいっぱいおるやろうし、そっからの広がりってもっと大きいんとちゃうかな。だから、人っちゅうのは大事なんやね。一人じゃ、できへんもんな。

五味

ライブハウスも、よそから来た人らが“十三にこういうライブハウスがある”って言って広まって。そういうことが浸透していって、それが結果的に十三に還元されますよね。それで言うと、レコード屋も似てるかなって。

加藤

一緒やと思うわ。やっぱり何らかの形で発信し続けなあかん。昔はぶわーっとやって、ぶわーっと終わるのがカッコええかなって思ってたけど、今は続けることって大事やなぁって。若い時に死にかけのオッサンバンドを見て、まあ、その頃オッサンって思ってた人らは30代やったけど(笑)、それでもな、それでも続けてるバンドってやっぱりどっかカッコええなって思うね。

五味

にじみ出る説得力みたいなものがありますね。加藤さんは、今はファンダンゴを継続させることが大きなテーマですか?

加藤

続けるためにやってるんじゃないな。面白くなくなったら続けてもなって思うし。一日一日、どうすれば楽しいかなって考えてやってるだけかな。

五味

僕も同じようなことを思ってたんです、バンドをやりながら。続けるためにバンドやってるわけじゃなくて、毎回のライブを面白くして、結果的にそれがどんどん更新されて。でもメンバーとかの生活もあるから…。

加藤

生活はあるなぁ…!

五味

これくらいお客さんに来てもらわないとあかんとか、そのバランスはライブハウスとバンドは似てますね。

加藤

似てると思う。まるっきり一緒やないけど、ほんまに近いと思う。

 

「音よりも人間やな。それが大きい。
人としての面白味があるかどうか」(加藤)

 

五味

ファンダンゴってノルマとか取らないですよね。

加藤

いや~、取らなやってられへんようになってきてる。ずっと取ってなかったけどね、もう変えようかなって。全くお客さんを呼べないバンドもおるわけで、呼んでるバンドがかわいそうやなとも思って。呼んでるバンドは従来と変わらへんねんけど、呼べなかったバンドに対しては、ちょっと置いていってくれよって。

五味

金額が設定されているんじゃなくて、ライブの動員とか見て、それから考えようっていう?

加藤

そうやね。なんかね、スタジオと間違えてるんとちゃうかなって思う時もあるよ。誰に見せたいんやろうって。ちょっと寂しい話やけどな。

五味

十三にあるのにノルマがないって聞いて、すごいなと思って。僕ら奈良でノルマを払ってたりするから。そうなると、やっぱり人を呼ばなあかんなってなりますね。

加藤

頑張ってるバンドもいるからね。動員0人のバンドもいるけど。その、レコード店っていつオープンなん?

五味

今月(11月)の20日なんですけど、でも直後に沖縄でライブがあるからすぐ閉めます。

加藤

当分一人でやるんや。

五味

はい。せっかく来てくれたのに僕じゃない人がいたら寂しいかなと思って。だから、自分がおれる日に開けようと思って。顔を見て、最近こんなバンド見たとか、こういうレコードがあるとか、そういう話を現場で出来るのが一番、気持ちいいというか。今、そういう意識が何か薄い気がして。人間関係の密度に対しても、改めて振り返る場所として現場がいるなと思って。そのための店でもあるし、ライブハウスもそういう場所だと思うんです。……ファンダンゴを25年やってて、ヤバいなっていう時期ってありました?

加藤

せやな~、やっぱり苦情かな。斜め向かいにお好み焼き屋さんがあったんやけど、そこがごっつい文句言い出してきて。どうしたらええんやと思って週に1回、食いに行き出したんよ。そしたら、大丈夫になった…(笑)。

五味

そんなもんなんですか(笑)。

加藤

そんなもんやった(笑)。しばらくして店、閉めはったけどな。週1で食いに行ってた時は、逆に楽しみになってきたりしてたよ。今日はお好みの日や~って(笑)。

五味

ファンダンゴってブッキングは加藤さんがしているんですよね? どういう基準でやってるんですか?

加藤

音源をもらって、1回観て。そんで、次、またやろうかって。

五味

それって、このバンドは売れる!とか、そういうことじゃないですよね?

加藤

そういうことじゃないな。でも、お客さんを呼べるバンドは、やっぱりそれなりにしっかり動いてると思う。

五味

音楽+α、人を呼べる人間力があるってことですか。

加藤

音よりも人間やな。人間っていうのが大きい。人間の面白味があるかどうか。

五味

確かに。音楽って大体、いいですよね。あとはもう、音を出してる人がどんな人間か、どういうことを考えているか、そっちの方が大事やと思います。

加藤

大事やな。たとえばやで、へったくそで音が面白くなくても、人間が面白かったらまた観たいなって思う。

五味

では、ファンダンゴないし、加藤さんの地元も含めて、ご自分が生活している場所、ホームでこれから、どうなりたいかを聞かせてください。

加藤

接していて楽しい人と、まだまだ楽しみたいなって思うな。自分らが楽しむ=人をもっと楽しませたいというか。

五味

いまだに新しい出会いもあるんですよね。

加藤

そうそう。それを待ってるしね。まだまだ楽しみたいわ。初めて出てくれるバンドを観るのも楽しみやし。それは多分、死ぬまで変わらへんのちゃう?

五味

初めて出るバンドやったらお客さんも初めての人が多いですよね。

加藤

それも楽しみやな。受付やってて、初めて来た人はすぐ分かるから、いつもより丁寧に接したりして(笑)。いらっしゃいませー!言うて(笑)。

五味

毎日現場にいると、そういう些細な変化に気付くし、面白いですよね。

加藤

おもろいし、やっぱ人と顔を合わすのは大事やと思うねん。

五味

会うのがいいですよね。

加藤

そやな。

 

 

(2012年11月某日 十三ファンダンゴにて収録)


取材:五味岳久(LOSTAGE)
撮影:河上良(bit Direction lab.)
企画:奥“ボウイ”昌史/高橋はじむ
企画・構成:岩本和子