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Profile

大田王(写真左から後藤ひろひと、川下大洋、三上市朗)

ごとうひろひと●1969年2月23日生まれ、山形県出身。1987年に劇団遊気舎に入団し、作・演出を手がける。1996年に退団し、1997年に川下大洋とPiperを結成。他、王立劇場など、さまざまに活動する。代表作に舞台『人間風車』、『MIDSUMMER CAROL ~ガマ王子VSザリガニ魔人』など。

かわしたたいよう●1958年7月3日生まれ、長崎県出身。1978年に劇団そとばこまちに入団し、1988年に退団。その後も役者やナレーターとしても活躍。近年の出演作にTHE ROB CARLTON『マダム』、ザ・プラン9『LOVE火照る』、『バグリン・ファイブ』(作・演出・出演)など。

みかみいちろう●1966年2月15日、京都府出身。1989年に劇団M.O.Pに入団し、2010年の劇団解散まで看板俳優として活躍。近年の主な出演作に舞台『ハングマン』、THE ROB CARLTON『マダム』、『キネマと恋人』、『マクベス』、ドラマ『緊急取調室』など。

 

石塚朱莉(写真左)
いしづかあかり●1997年7月11日生まれ、千葉県出身。ニックネームはあんちゅ。NMB48チームBII。趣味は映画鑑賞。2016年夏、悪い芝居の『メロメロたち』で初舞台、初主演を果たし、2017年4月、悪い芝居『罠々』に出演。9月、劇団アカズノマを旗揚げ。2018年4月、柿喰う客の七味まゆ味を演出に迎えて、同劇団の人気作『露出狂』をABCホールにて上演した。

NMB48公式サイト
http://www.nmb48.com/

稽古場を見学

取材後、後藤さん演出のもと、川下さん、隈本晃俊さん、たくませいこさんが繰り広げるコントの稽古を見学。「何回も何回も繰り返しやられていたんですけど、やるたびに全然違っていて、後藤さんの指摘が入るたびにグングン面白くなって。テンポ感とか、強弱の付け方とか、顔を上に上げるタイミングがちょっと変わるだけでこんなにも空気が変わるのかと思いました。たくまさんは声がすごく綺麗で、声もちゃんと大事にしないといけないなと改めて感じましたし、後藤さんから指摘が入ったときに、瞬時にプランを変えてやられているのがすごいなと。適応能力とか瞬発力も養っていかなきゃなと思いました」。

Stage

大田王「DON’T CROSS 3 BEAMS」
チケット発売中 Pコード:486-531
▼7月20日(金)19:00
▼7月21日(土)14:00/18:00
▼7月22日(日)14:00
▼7月23日(月)19:00
ABCホール
全席指定-4500円
[出演]川下大洋/三上市朗/後藤ひろひと/久保田浩/隈本晃俊/クスミヒデオ/ボブ・マーサム/たくませいこ/松井悠理
※未就学児童は入場不可。
[問]ABCホール■06-6451-6573
チケット情報はこちら

2016年に京都の劇団・悪い芝居の『メロメロたち』で初舞台を踏み、2017年に上演された同劇団の『罠々』でも稀有な存在感で魅せたNMB48の石塚朱莉さん。演劇の魅力を広く伝えるべく、自ら劇団アカズノマを旗揚げし、柿喰う客の七味まゆ味を演出に迎えての旗揚げ公演『露出狂』もこの春、大盛況のうちに終えました。そんな石塚さんが、舞台女優としてさらなる高みを目指すべく、脚本家、演出家、俳優として活躍している演劇界の諸先輩方に「演劇のいろは」をお聞きします!

今回は大ベテランの川下大洋さん、三上市朗さん、後藤ひろひとさんにお話を伺いました。1980~90年代の関西小劇場ブームを支えてきた3人。1997年にコメディユニット「大田王」を結成したものの、第二回公演の1999年以降は、三上の東京移住をきっかけに活動がストップ。2014年、15年ぶりに公演を行った際は“伝説のユニットが復活!”と、大きな話題となりました。それから4年後の今年、川下大洋の還暦記念公演として、7月20日(金)より大阪・ABCホールにて『DON’T CROSS 3 BEAMS』を上演。ベテラン3人を前に、緊張の面持ちかと思いきや、天然発言や「大田王に出たい」と強気な売り込み(!?)も飛び出て、3人を困惑、苦笑、爆笑させた石塚さん。今回は“コメディ”を演じることや作ることを中心に、たっぷりとお聞きしました。

 

一緒に遊びながら、面白いものを作る

石塚朱莉
(以下、石塚)

NMB48の石塚朱莉です!今日はよろしくお願いします。大田王は1997年に第一回公演を行われたということなんですけど、結成されたきっかけは何だったんですか?

三上市朗
(以下、三上)

その前にね、俺と大洋さんが別のお芝居で共演して、ちょっとコントをやろうよという話になって、ふたりでユニットを作ったのね。そのときに、三上という文字と川下という文字を重ねて、なんとなく田と王になるな、と。じゃあもう「田王」にしようよってなって、関西の仲のいい演劇人を集めて、最初に“田王プロデュース”というのでコントオムニバスをやったのね。そのときにも後藤に出てもらってて、その公演後に「俺もプロデューサー陣に加えてよ」ってなって、そりゃいいねと。で、後藤は“大王”と呼ばれているので、田王と大王を合わせて「大田王」が結成されました。

石塚

そこから約20年経ちますが、どう変わっていかれました?

三上

1997年と1999年にやってそこから15年間空いていて、2014年に復活したから、事実上何もしていない(笑)。

石塚

そうなんですね!(笑)。

川下大洋
(以下、川下)

基本的に気が向いたらやる。みんながそろって気が向かないとやらない。

石塚

じゃあ今回は気が向いて、いい感じのものが生まれそうだから。

川下

これまでも遊びたくなって一緒に遊んだら、その結果面白いものができたからね。

石塚

3人で作・演出されているんでよね?

川下

ほとんど後藤ですけどね。

三上

出演者全員で作っていくんですよ。そういうことをできる人たちを集めて。で、最終的なまとめは後藤に任せる。舞台でみんなで楽しく遊ぼうよっていうことだね。

石塚

たくさんの方がいて、たくさんのネタが出てきたらまとめるのが大変じゃないですか?あれもこれも面白いんじゃないかなって。

後藤ひろひと
(以下、後藤)

もちろんありますけどね。どれが面白いとかは、今は本人らがいるから言いにくいけど(笑)。

川下

本当は全部自分で書いたほうが面白いって思ってるよ、きっと。

後藤

いや、そうは思っていないかな。今回だと、大洋さんが書いたものに俺が手を加えて完成させたり。だからふたりの共作にはなるよね。そんなことは他でやったことがないし。

三上

大田王でやってるけどね。俺が丸投げしたやつに続きを書いてもらって。

後藤

あ~、そっか。普段の演劇をやっていたら絶対他人と一緒に台本を書いたりはしないけど、こういうところだとそういう遊びができるのがいいよね。だから、普段自分では出てこないことが出てきたり、普段やらないようなことをやってみたり。楽しいことばかりだね。

 

大田王に売り込み!?

石塚

私がもし今後出演させていただける機会があったとしたら、いろんなアイデアを蓄えておかなきゃダメですよね。

三上

そうだねぇ。何かアイデアがあって、こういうことをやりたいんだって持ってきてもらえれば、一緒にできる可能性はある。

石塚

もしいいアイデアを持っていれば、私も大田王に出演できるかもですか!?

三上

それはもちろんありますよ。

後藤

俺、あんちゅと一緒に芝居したことあるのよ。15分くらいのものだけど。

石塚

そうですね。5年くらい前に一緒にやらせていただきました。

後藤

王立劇場(後藤ひろひと主宰のプロデュース公演)でやった「森くん」っていう作品をNMB48の子たちだけでやったんだよね。

石塚

本当は男性版だったんですか?

後藤

そうそう。俺らくらいのオヤジがやるのね。何十年も昔の話をしているうちに、床下に閉じ込めた同級生を出してないぞっていう話になるんだけど、あれを女の子がやるとものすごく陰湿な話になるんだよね(笑)。

石塚

女子のいざこざみたいなのがリアルに出てきて。

川下

それ何年前の設定でやったの?俺らは何十年も前の設定で、はなからありえない設定だから面白かったけど。

後藤

3~4年前くらいにしたから、またリアルになっちゃって(笑)。

石塚

そのとき私は高校1年生で、今二十歳なので、もう一回「森さん」をやってみたいなっていう気持ちもあって。そのときはお芝居のことが分からないことだらけで、想像でしか動けなかったので、経験をいろいろ重ねた今だとまた違う感じになるかもしれないなって。それこそ、大田王でどうですか?(笑)

後藤

ありだと思うよ。

石塚

このお三方と、NMB48の何人かが同級生設定でやるっていう。どうですか?このアイデア!

一同

あははは!(笑)

川下

すごいの出してきた!

後藤

面白いね。

石塚

演劇マジックで、同級生っていう設定で。

三上

やれる可能性は大いにありますよ。

石塚

ぜひ、このアイデアを。

川下

え!そういう場だったの?これ(笑)。

後藤

売り込み?(笑)。でも俺らにしてもいろんな人たちと遊べる機会だと思っているから。アイドルが入ってくるというのは考えてもなかったけど面白い話だよね。その代わり、こちら側の面白いことにも付き合ってもらうことになるから。

石塚

やりたいです!皆さんとの感覚というか、世代によっての流行とかも違うと思うので、それにも触れてみたいです。逆に、私たちが面白いと思っているものもやっていただいたらすごく面白いんじゃないかなっていうのは感じます。

後藤

あ~、それは知りたいね。

川下

この3人の中だけでも、後藤ひとりなら出てこない発想とか着眼点を僕たちが持ってくるから、いつもとは違うものが生まれるよね。

後藤

みんな普段は演劇とか音楽をやっている中で、時々こういうものがあるっていうのは、息抜きではなく“充電”な気がするよね。いろんな刺激をもらって、次の仕事に生かすというか。

三上

真面目な話をすると、俺らオジさんたちもすごく勉強にはなっているよね。発散する場所であり、吸収する場所でもあるので。だから、若い人たちが参加してくれるならこんなにありがたい話はないと思う。

石塚

今回、川下さんの“還暦記念公演”ということですけど、それだけずっと演劇をされていてもまだ学ぶことがたくさんあるんですね。

後藤

あるある。

川下

もちろん。

三上

きっと死ぬまで勉強ですよ。

石塚

長年やられている方はいろんなものを持っていて、私はそれが羨ましいというか。

三上

それは仕方がないですよ。経験値だけはお金で買えないからね。でも我々にとってもあなたたちみたいな活動は経験していないから、すごく新鮮な知識として欲しいというか、そういう知識欲みたいなものはありますよね。

 

コメディアンは最強

石塚

3人のこと、素敵だなって思います。15年のブランクがあったとはいえ、15年を経てもまた一緒にお芝居をやりたいって思う感覚というか。

川下

そこにはあまり力は入っていなくて、やらせてもらえるならやります!って。

三上

そういう意味では一緒にできる仲間がいるっていうのは素敵なことだと思うね。一生付き合っていく仲間はあなたにもいると思うけど、そういうのが一緒にできるっていうのは本当に幸せだと思いますよ。

石塚

そうですよね。今回もバッチバチのコメディで…。

一同

あははは!(笑)。

三上

そんな言い方するんだね(笑)。

川下

そうそう、バッチバチですね(笑)。

石塚

コメディって、本当に私はめちゃくちゃ難しいなって思っていて。シリアスな雰囲気のほうが演じやすいなって思うんですけど。

川下

その通りだと思いますよ。言いたい気持ちはすごく分かる。

後藤

アメリカに行くと入国審査のときに「お仕事は何ですか?」って聞かれて、「アクターです」って言うと「フッ」て鼻で笑われる感じなんだよね。特にニューヨークとかは山ほどアクターがいるから。でも「コメディアンです」とか、「コメディライターです」って言うと「おっ!」ってちょっと興味持たれたりするんだよ。

石塚

そうなんですか。

後藤

俺の中ではコメディアンって最強だと思っていて。アクターの仕事が全部できたうえで、人を笑わせるっていうプラスアルファのことができる人がコメディアンだと思っているのね。笑わせるだけの人じゃなくて。

三上

俺もまったく同じで、コメディアンが最強だっていうのは昔から思っているのね。大洋さんはどう考えているか知らないけど(笑)。

川下

僕も考えてますよ!(笑)。

三上

そういう3人が集まっているんですよ。大田王をやっているおかげで「コメディアンです」って名乗れる自分がいるわけで、それは本当に心からうれしいなと思います。

川下

Facebookページに何者かを選ぶ選択肢があって、その中にコメディアンってあるのよ。

石塚

あるんですか!?

川下

アメリカで作られたものだからかもしれないですけど。

三上

それがうれしくてね~。

後藤

他のにもあればいいのにね。職業選ぶところで「俺は何に当たるんだろう?」って毎回悩んじゃうよね。

石塚

私も結構悩みます。だからいつもフリーターとか。

一同

あははは!(笑)。

川下

自営業でいいんですよ!(笑)。

三上

フリーター(笑)。アイドルっていう職業が選べたらいいのにね。日本でこれだけの地位があるのに。

石塚

コメディアン、役者、アイドルも全部役職としてあればいいのに。YouTuberとかも。

後藤

女性のアイドルって60歳までアイドルやってられないじゃない。だからどこかであんちゅも何か技を見つけて、別の方向にいかないといけないよね。

石塚

そうですよね。

川下

それか、60とか80まで「アイドルです」ってやり続ける。

三上

そう思ってやっている人はずいぶん昔からいたと思うんだけどね。結局は方向転換をせざるを得ないんだろうね。

後藤

でもやっぱり今でも石野真子さんとかに会うとキュンとなるよ。

三上

そうだね(笑)。

後藤

今はアイドルの活動していないけど、上手にスッと変わっていったんだなと思って。

 

お笑い芸人とコメディアン

石塚

今回の大田王のテーマは「お化け退治」ですよね。

川下

元になっているのが『ゴーストバスターズ』というコメディ映画なんです。だから逆におこがましいんですよね。元がシリアスなものをパロディにするのはやりやすいんだけど、元がコメディのものをさらにコメディにするのは…、ちょっとハードルが高いよね。

後藤

そうだね。

石塚

私、コメディアンの方たちって、どんな状況であれ笑いに変える才能に優れていると思うんです。

三上

なんでそこでハードル上げるの?(笑)。

川下

でも僕らは芸人さんではないのでね。

三上

いわゆる“お笑い芸人”とは違うからね。

石塚

どう違いますか?

川下

少なくとも芸人さんがライブするのに、こんな風に稽古場をずっと借りて一ヵ月も準備したりしないじゃないですか。

石塚

そうですね。

川下

我々は脚本を作って、脚本通りに演じると面白くなると信じていて。芸人さんのテクニックでいうと、言い方で面白く言うみたいなことはできない人ばかりなんだけど、脚本通りに芝居をするとなぜか笑いが生まれる。

石塚

真摯に演じるというか。

川下

そういう意味では、アクターではあるわけですよ。

後藤

線引きは難しいよね。芸人が演劇をやりたがる時代ではあるじゃない。だからどこからどこまでが芸人で、どこからどこまでがコメディ俳優かって。

石塚

お笑い芸人の方がドラマとか映画とかにもたくさん出てらっしゃるから。

三上

誰でもやろうと思えばできるけど、誰もがやっちゃいけないこともある。誰がどんなことをやっても全然よくて、嫌だなって思う人は観なきゃいい。だけど、誰もがやって許されるものでもないと思うのね。例えば、どんなに下手くそな人がシェイクスピアをやってもいいけど、それでそんなにお客さんからお金取っちゃいけないよ、とかね。面と向かって下手だからダメだよ、やめなさいよって言う権利は我々にはないわけじゃない。でも、ちゃんと芝居をやってきた人たちが、こういう大田王みたいな舞台で真面目に遊んでいる姿っていうのが正しい姿だよっていうことなんだよね。

川下

とにかく大田王を観て面白いと思う人がたくさんいて、その人がまた観に来るようなのがいいよね。

石塚

Twitterで大田王を調べてたら、「大田王またやるんだ!」っていうつぶやきがたくさんあって。愛されてるというか、リピーターが多いんだなっていうのをすごく感じました。

三上

今までも大阪でしかやっていないからね。

石塚

今回も大阪だけですか?

後藤

そうなの。

三上

だから、2014年にやったときの映像を東京に持って行って流して、3人でコメントするっていうイベントをやったら、みんな喜んでくれてね。

石塚

大阪でしかやらないからプレミア感があるというか。

三上

そう思っていただけるとうれしいんですけどね。

後藤

アイドル界でも一緒だと思うけど、何でもかんでも東京発信じゃねぇぞって。

石塚

それは本当に思います。

後藤

大阪から発信するものだってあるんだから。こっちから出かけていかなくても、お前らから来いよと。お前らなんて言葉は絶対ファンには言わないんだろうけど。そういう気持ちは大事だと思う。

石塚

私は千葉県出身で、小・中学校を関東で過ごしていたんです。でもお笑いが大好きで吉本新喜劇に出たくて、NMB48なら会場も隣なので出させていただけるんじゃないかと思ったので、大阪に引っ越してアイドルになったんです。でもNMB48に入って半年で新喜劇に出るっていう夢を叶えてしまって。

三上

早っ!

一同

あははは!(笑)

石塚

振付を頑張って覚えてたら、いつの間にか新喜劇に出れました(笑)。

三上

夢叶っちゃったんだ(笑)。じゃあこれからどうしようか。

石塚

大田王でお願いします。

川下

次の夢は大田王(笑)。

三上

じゃあ半年で叶うかもしれないね~。

石塚

言えば願いは叶うって言いますしね。オリンピックが始まる前に。

三上

あと1年しかないじゃない(笑)。

後藤

来年やることになるねぇ(笑)。

川下

半年って言ったんだから、半年を目指しましょうよ。

 

アイドルがコメディをやること

石塚

アイドルがコメディをやるってどうですかね?

三上

全然悪いことじゃないと思いますよ。

後藤

昔のアイドルってみんな公開録画のコメディ番組、生でやってたよね。

川下

やってたね。やるもんだと思ってました。

後藤

キャンディーズにしても『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』とかさ。

川下

レギュラーでお笑い番組をやっていたんですよ。

後藤

健全だと思う。さっきの話で、何で俺がNMB48を演出しに行ったかっていうと、何かのイベントで寸劇みたいなのを彼女たちがやったんだけど、メッタメタなのにお客さんは喜んでいて。その状況を何とかしようっていう企画だったんだよね。

石塚

自分たちで脚本と演出をやって、ボロッボロなものを大阪城ホールでやったんですよ。

三上

すごいね!(笑)。

石塚

今見返したくないレベルでわけが分からないような。でもお客さんは「面白かったよ」って言ってくれるんです。

川下

お客さんは心からそう思うんだもん。

三上

でも本当のファンだったら、ちゃんと厳しい目を持っていると思うんだよね。

石塚

やっぱりちょっとは思っていると思います。面白くないしわけ分からないって(笑)。

三上

「あれはひどいね~」ってちゃんと言ってくれたほうがいいよね。

石塚

ファンの間では言っているかもしれないですけど、傷つけたくないっていう優しさがありますね。

後藤

でも、そこから随分変わって自分の劇団まで持ったわけじゃない。俺が新宿でやった舞台の『FILL-IN~娘のバンドに親が出る~』も観に来てくれたよね。

石塚

はい。

三上

ちゃんと自分でいろいろ気付きながら進んでいるんだからいいよね。

後藤

俺は正しいと思う。

 

コメディをやるなら、まずは基礎の芝居から

三上

NMB48って何人いるの?

石塚

60人くらいいます。お笑いが好きで大阪に来たっていう人も私だけに限らず何人かいて。

三上

そういうのもあるんだね。

後藤

あんちゅが劇団を組んだっていう話も、俺は観に行けなかったけど、大阪で演劇を続けていれば、いつかどこかで会うだろうなという気はしてはいるんだよ。

三上

でも48グループって本当に地域のものじゃないんだね。NMB48だからって、関西の子たちばかりじゃないってことだね。

石塚

そうですね。私も千葉県に住んでいたときにオーディションを受けたので。

川下

でも大阪でやりたくて大阪に来たんだよね。

三上

お笑いがやりたくてね(笑)。

川下

元baseよしもとの地下の劇場でずっとやってるんですか?

石塚

そうです。

川下

あそこ本当にいい劇場で大好きなんだよ。

後藤

夜中どんな時間に行っても変なダンボールとか変な紙で、野生爆弾のくーちゃん(くっきー)が変なものを作ってたんだよ。陣内(智則)とかがひとりでぶつぶつ言いながらネタを作ったりね。

川下

あそこは客席が本当に狭くて、横も前も詰まってるんだよね。僕たちが最初に大田王をやった場所もそういう場所だったの。お客さんがぎゅうぎゅうに詰まっていて、200人とか300人とか。その空気を持っている場所でずっとやれてるって、すごく幸せなことだと思うよ。もちろんこれから大きいところに行きたいっていう野望はあるだろうけど、本拠地であの劇場は素晴らしいと思います。

石塚

本当にNMB48としても劇場公演はすごく大事なものだし、芸人さんたちにとってもすごく大切にされてきた場所なので。神聖な場所として、そこで笑いを頑張っていこうかと。

一同

あははは!(笑)

三上

あなたはお笑いを目指したいんだね(笑)。

石塚

普段のお芝居でも、笑いを生みたいシーンで、この日は受けなかったなとか、この日は私のタイミングが悪くてズレちゃったなとか。ちゃんとウケなかったなと思ったときにすごく悔しかったんです。

三上

でもちゃんとお笑いをやりたいんだったら、本当に基礎のお芝居がちゃんとできたうえでって考えたほうが、ちゃんとできるようになりますから。お笑いだけをやろうと思ったら、土台がなくなっちゃうのでね。

後藤

ちゃんとした芝居ができない人に、変な人はできないよね。

三上

それは肝に銘じといたほうがいいと思いますよ。

石塚

とりあえずはお芝居を一生懸命やって、そこでコメディが加わったり。

後藤

順序としてはそのほうがいいよね。

三上

でも、アイドルなのに歌と踊りはいいの?(笑)。

石塚

大阪のアイドルとして…。

三上

活動が歌と踊りだけじゃないっていうことか。

石塚

そうです。48グループって全国各地にある中で、大阪だったらお笑いを求められることが多くて。

三上

カラーを出していかなきゃいけないんだね。

石塚

そうです。そういうときに、本当に芸人さんたちはすごいなって思うんです。いろんな方とお仕事させていただいているんですけど、みんな何ひとつとっても面白いんですよね。芸だけじゃなくて、普通に喋ってても、歩いているだけでも面白いから。

一同

あははは!(笑)。

後藤

歩いてるだけで面白いヤツなんてみたことないよ(笑)。

石塚

その方たちも演技をちゃんとやってるから面白いんですよね、きっと。

後藤

単純にコントをやるにしても、例えばお葬式のコントだとして、悲しい演技ができていないと最後で落としても面白くないんだよね。最初からお葬式で悲しいんですよっていう場面をちゃんと作る能力がまず必要だと思う。そしたら台本通りに落としたらちゃんと落ちるしね。

石塚

私オチを知っちゃってるから、顔に出ちゃうんですよね(笑)。

後藤

致命的だな!(笑)。

川下

でも稽古の最初の頃は俺らもそうですよ。本が面白すぎて笑わないとできないことあるから。

後藤

笑わなくなるまでやればいいんですよ。

石塚

どうやっていったら演技がうまくなるんですかね。

三上

人の見ていないところで努力するのが一番だと思いますよ。

石塚

いろいろ観たりとか、それこそコメディを観に行ったりとか。

三上

もちろん。今なんていくらでも観る媒体があるじゃない。YouTubeでもそうだし、ネットで配信している映画とかドラマが山ほどあるわけだから、それをどうやって自分に吸収するかっていう。

石塚

いろんな人に会って、お話をこうやって聞かせていただいたりとか。

三上

そうそう。それはすごく大事だと思いますよ。

 

大田王のベースは海外コメディ

後藤

また大田王じゃなくても何か一緒にやってみようか。

石塚

お願いします!

川下

『ゴーストバスターズ』みたいな映画を観たことがないなら、観てみるといいと思うよ。今観たら古臭いところはいっぱいあるだろうけど、僕らの共通認識として、そういうのが面白いというところから始まっているので。アメリカのコメディが好きな日本人と全然興味ない日本人がいるんだけど、僕らはみんな大好きなんです。そこを共感して面白いと思えるかどうか。思わなきゃダメっていうわけじゃないけどね。

三上

イギリスのコメディとかもね。もちろんドリフターズとかクレイジーキャッツみたいな日本のコメディも観て育っているけどね。でもベースはアメリカとかイギリスのコメディだから、それが面白いと思えたら一緒にやりましょうよ(笑)。

川下

結局条件にしてる(笑)。

三上

条件じゃないんだけどね。

石塚

確かに、笑いの感覚が合わないと難しいですよね。

三上

この先一緒にやる機会はあるかもしれないよ。それぞれでもあるかもしれないけど、大田王で一緒にやりましょうって言うんだったら、同じ感性があったほうがより楽しめると思う。

後藤

試しに聞くけど、村上ショージさんは面白いと思う?

石塚

思います!

川下

あ、そこは共通だ。

一同

あははは!(笑)。

石塚

今すごくドキドキしました。

川下

ドキドキするわ~、そんなん聞かれたら!(笑)。「いいえ」って言ったら言ったで面白いけど。

石塚

『ゴーストバスターズ』以外に、おすすめのアメリカとかイギリスの映画ってありますか?

川下

俺がずっと言ってるのは、日本でもリメイクしてる『50回目のファーストキス』のオリジナル版。日本版は、本当にカヴァーです。ほぼ同じように作られてる。

後藤

あ~、そうなんだ。

三上

大洋さんはオリジナル版の伝道師なんだって。

後藤

最近のでは『パディントン2』が飛び抜けてたと思う。

三上

これはイギリスのコメディ。イギリスのコメディが優秀なのは、アメリカほど下品じゃないっていうところ。

石塚

日本って結構規制とかかけられて、あれはやっちゃいけない、これもやっちゃいけないっていうのが多いですよね。

川下

やっちゃいけないというか、ほとんどは自粛。自分でつまらなくしてるもんね。

後藤

そうなりゃ当然YouTuberが作るもののほうが面白くなっていく世の中はくると思うんだよね。

川下

きてるんじゃない。だから子どもたちもテレビを観ないでYouTube観てる。

石塚

なんか、めちゃくちゃしてやりたいですね。

後藤

お、いいね!

川下

特に舞台は規制がそんなにないから。

後藤

舞台はまだ自由だね。

川下

よし、やろうぜ!

石塚

アイドルがそういうのをやるとすごく面白いなと思うので。

川下

面白いと思うよ。

石塚

最後にお聞きしますが、私、可能性ありますかね?

一同

あははは!(笑)。

後藤

何?今日のこの感じ(笑)。

三上

ありますよ、もちろん(笑)。

石塚

それまでに、役者としてもお笑いの感覚も尖らせて頑張ります!

三上

頑張ってください!(笑)

石塚

はい!ありがとうございました!

 

取材:石塚朱莉(NMB48)
撮影:森 好弘
企画:葛原孝幸
構成・文:黒石悦子


 

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