ホーム > 劇団 石塚朱莉 > 第15回 宅間孝行さん

 

 

 

Profile

宅間孝行(写真左)
たくまたかゆき●1970年7月17日生まれ、東京都出身。俳優、脚本家、演出家として舞台、映像で活躍。2012年まで劇団「東京セレソンデラックス」を主宰。現在はタクフェスを主宰し、“ライブ”の楽しさを追求したステージ、劇場空間をプロデュース。2007年に初演された『あいあい傘』の映画版が今秋公開(監督・脚本)、舞台版も同時期に上演。

タクフェス公式サイト
http://takufes.jp/kyotou/

 

石塚朱莉(写真右)
いしづかあかり●1997年7月11日生まれ、千葉県出身。ニックネームはあんちゅ。NMB48チームBII。趣味は映画鑑賞。2016年夏、悪い芝居の『メロメロたち』で初舞台、初主演を果たし、2017年4月、悪い芝居『罠々』に出演。9月、劇団アカズノマを旗揚げ。2018年4月、柿喰う客の七味まゆ味を演出に迎えて、同劇団の人気作『露出狂』をABCホールにて上演。

NMB48公式サイト
http://www.nmb48.com/

Stage

タクフェス 春のコメディ祭! 「笑う巨塔」

チケット発売中 Pコード:481-903
▼4月17日(火) 19:00
▼4月18日(水) 13:30
▼4月19日(木) 13:30
▼4月20日(金) 13:30
▼4月21日(土) 12:00/17:00
▼4月22日(日) 13:30
全席指定-8000円
[作・演出]宅間孝行
[出演]宅間孝行/篠田麻里子/松本享恭/石井愃一/梅垣義明/佐藤祐基/越村友一/北代高士/堀川絵美/梛野里佳子/想乃/豊泉志織/渡辺碧斗/かとうかず子/鳥居みゆき/片岡鶴太郎
※18日(水)・19日(木)公演終了後、アフタートークあり。
※未就学児童は入場不可。

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劇団アカズノマ『露出狂』

チケット発売中 Pコード:483-355

▼4月12日(木) 15:00/19:00
▼4月13日(金) 19:00
▼4月14日(土) 13:00/18:00
▼4月15日(日) 12:00/16:00

ABCホール

全席指定-4000円
学生-3000円(引換券/公演当日要学生証)

[作]中屋敷法仁
[演出]七味まゆ味
[出演]石塚朱莉/あがぺる/あだちせり/古賀成美/新名希弥/高安智美/長尾友里花/中村るみ/水川華奈/山本奈臣実/るりこ/深谷由梨香/兵頭祐香/七味まゆ味

※岡田あがさの出演は体調不良により深谷由梨香と変更になりました。チケットはそのまま有効。公演内容に関する詳細はinfo@akazunoma.meまで。

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2016年に京都の劇団・悪い芝居の『メロメロたち』で初舞台を踏み、2017年に上演された同劇団の『罠々』でも稀有な存在感で魅せたNMB48の石塚朱莉さん。演劇の魅力を広く伝えるべく、自ら劇団アカズノマを旗揚げし、七味まゆ味を演出に迎えての旗揚げ公演『露出狂』も大盛況。そんな石塚さんが、舞台女優としてさらなる高みを目指すべく、脚本家、演出家、俳優として活躍している演劇界の諸先輩方に「演劇のいろは」をお聞きします!

今回ご登場いただいたのは、タクフェスを主宰する宅間孝行さん。脚本家、演出家、俳優などさまざまな一面を持ち、舞台、映像で活躍されています。現在はタクフェス 春のコメディ祭!『笑う巨塔』で全国ツアー中、今秋には『あいあい傘』の映画版が上映され、舞台版も上演されます。ちょっと緊張しつつも、演劇における笑い、宅間さんの音楽へのこだわり、役者としての姿勢を中心に伺いました。

 

お芝居での“笑い”について

石塚朱莉
(以下、石塚)

宅間さんはタクフェスを主宰されていて、公演ごとにいろんな役者さんとご一緒されていますが、どんな役者さんと一緒にやりたいと思われますか?

宅間孝行
(以下、宅間)

俳優さんの力量とかよりは、大事にしたいのはモチベーションが高いこと。やる気があるかどうかです。「頑張ります!」とか「やる気あります!」って言うことは簡単なんですけど、じゃあセリフ覚えてきたよね?って。実際にやってくるのかどうか、単純にそこだと思う。面白いものを作りたいという思いが強い人がいいですね。本番は、いかに作品と向き合ってきたかが全部見える場所なので、そこのモチベーションが大事になってきますよね。

石塚

今回のタクフェスの『笑う巨塔』は、片岡鶴太郎さんや篠田麻里子さん、鳥居みゆきさんなど、個性豊かな人が揃っていますね。

宅間

鼻からピーナッツ出す人とか、ヨガで一日一食しか食べない人とかね(笑)。今回は、コメディなので、あえてそういう方たちと一緒にやりたいなと、出演していただくことになりました。

石塚

空気を一瞬にして変えることができる人たちばかりなんだろうなと思っていて。今回、“春のコメディ祭”とのことで、笑いに特化していると思うんですけど、笑いを生み出すことって難しいじゃないですか。作る上でどんなことを意識されていたり、こだわって作られていますか?

宅間

コメディに限らず、切ない物語を作るときも、笑いというのはすごく大事にしていて。ただ、笑いって難しいって言われるけど、僕は全然そう思わない。お芝居での笑いって、俳優さんがお客さんに笑ってもらうこと。笑わせているんじゃなくて、笑われているんですね。芸人さんたちがやっているのは笑わせることだと思うんですけど。だからそんなに難しくないんです。たとえば俳優さんが何かをするときに、笑わせようと思ってやっているわけじゃなくて、演じるってそこに生きているということなので、その人が普通に生きている様が可笑しい。一生懸命やっている姿が笑えるということだから。

石塚

笑わそうと思うのではなく、真っ向にその役を演じることが笑いにつながるということですね。

宅間

基本的には、お芝居で作る笑いってそういうものだと思っていて。おバカな役を演じていて、お客さんに「この人本当にバカなんじゃないか」って思われるのが一番正しいと思うんです。“お芝居が上手い”というのは、実は俳優さんにとってはそんなに褒め言葉じゃなくて、「あの人ってそういう人なの?」って思われることが、本当にその人に見えているってことだから、俳優さんにとっては一番の褒め言葉だと思う。

石塚

不倫する女性を演じた女優さんが、「この人性格悪いんじゃないか」って思われるとか。

宅間

本来はそうあるべきだと思っています。今の俳優さんって私生活をさらしているけど、私生活がどうであるとかは関係なくて。例えば、いじめる役をやった人が、プライベートで八百屋さんに行ったときに野菜を売ってもらえなかったみたいな。もちろん役でやってたことだけど、本来俳優さんって、そうあってしかるべきだなって思ったりもするんですね。プライベートで“実はいい奥さんなんです”っていうのが見えている中で悪女の役をやったり、プライベートで恋愛絶好調な人がお芝居でモテないキャラを演じるっていうのは、俳優さんにとってはあまり得じゃないなと思うんです。

石塚

ツイッターとかで日常をさらすことって、俳優さんにとってはあまりよくないんですかね?

宅間

それぞれの考え方ですけどね。CMとかに出るという意味では、タレントとしてクリーンなイメージのほうがいいから、そういうことも必要になってきますよね。

 

経験とリサーチの大切さ

石塚

これまでタクフェスに出られてきた女優さんってすごく素敵な方ばかりですよね。宅間さんにとって、魅力のある女優さんってどんな方ですか?

宅間

最初に言ったことともかぶるんですけど、向き合い方が一生懸命な人。2016年の『歌姫』に出ていただいたAKBの入山(杏奈)さんなんかも、すごく一生懸命で、一緒にやってよかったと思いましたし、途中で褒めて、ちょっとグダグダになった時期もありましたけど、それも本人にちゃんと伝えたので。初めてご一緒する方は、やっぱり一度やってみないと分からないものではあるので、最終的には結果論なんですけどね。

石塚

一生懸命に向き合ってきたかどうかって、お客さんにも伝わりますしね。私は役を作るときに、自分の中からどこか共通点を見つけて役を作っていくんですけど、そのときに、自分とのギャップが生まれることがあって。どうしたらうまく演じられるのかなって思うんです。

宅間

それはたぶん経験することですね。不倫する役なのに、“不倫なんてしたことがないし、不倫って最悪!”っていうような人は、どうしても理解できない。不倫はダメだけど、そうなったときって止められないんだよっていうことを理解できるかどうか。俳優さんって、いろんな経験をすることで役にも生かせると思うから、恋愛禁止って言われているアイドルが、女優さんをやるのってすごく難しいなって思うんです。ただ、自分の経験がなくても、調べて取材するというのはすごく大事だと思う。経験したことのある人たちの話を聞くとか、その人物にどう寄り添っていくか。殺人犯の気持ちなんて分からないけど、その人の人生だったり、そうなってしまったきっかけを調べるとか、寄り添っていくしかないですよね。

石塚

自分の中から引き出せなくても、その役をどう理解していくか。

宅間

リサーチはすごく大事ですね。

 

音楽へのこだわり

石塚

私は音楽も好きで、演劇でもいろんな音楽が使われていますけど、宅間さんは演出するにあたって、どんな音楽を選んでいますか?

宅間

面白い質問ですね。あんまりそんなこと聞かれたことないなぁ。僕は、本当は音楽をやりたかった人間で、そこから始まったところもあるんですよ。だからすごく音楽に対するこだわりがあって、全部オリジナルで作っているんですね。映画を作るときもそうなんですけど、物語を書くときに音楽は欠かせなくて、デモを聴きながら脚本を書いたりもします。どういう音楽っていうジャンル分けはできないんですけど、すごくこだわっていますね。今一緒に劇盤を作っているレコード会社の人たちも、最初に観に来てくれたときに、何かを感じてもらえたんだと思う。僕のお芝居では、本当に音楽を大事にしています。

石塚

そうなんですね! お芝居って音楽ひとつで変わるなと思っていて、お芝居の中でも音楽が楽しみのひとつでもあるんです。すごくこだわられているとのことで、曲へのオーダーも細かくされるんですか?

宅間

結構細かいですね。デモをいただいた時点で、まずはOKかどうかを判断して、OKが出た曲をどうアレンジしていくか相談していきます。そういう意味では、きっとお客さんも僕がここまで音楽に口を出しているとは思わないでしょうね。本当にすごく細かく言うので、作家さんとプロデューサーさんは嫌だと思うんです(笑)。でも実際、音楽に響いてくれるお客さんもいて。サントラを作って販売もしますし。最近はギリギリまでOKが出なくて、パッケージが間に合わず売ってないんですけど。

石塚

もったいないですね!

宅間

そうですよね。でもお芝居を観に来てサントラまで買っていく人は、そこまでいないので(笑)。

石塚

デモを聴きながら脚本を書かれると仰っていたのですが、音楽が上がってから脚本を書かれるんですか?

宅間

それもありますね。

石塚

音楽を聴いてイメージができるというか。

宅間

最近はサントラのチームがあるんですけど、まだ小劇場でやっていた頃は、ありものを使っていたんですよ。出演者たちに、映画のサントラとかインストの音源があったら持ってきて!って。最悪洋楽だったらOK。邦楽だと歌詞に引っ張られるので。一時期は、お気に入りのミュージシャンがいて、その人がアルバムを作るごとに1本芝居ができることもありました(笑)。そういう意味では、音楽でシーンが出来上がってくるというのはありますね。

石塚

うわ~、すごく気になります。私、恥ずかしながらまだタクフェスを劇場で拝見したことがなくて…。音楽もすごく楽しみです!今日はありがとうございました!

 

取材:石塚朱莉(NMB48)
撮影:奥田晃介(松鹿舎)
企画:葛原孝幸
構成・文:黒石悦子


 

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