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Profile

ゴジゲン(松居大悟(まついだいご/写真中央)
目次立樹(めつぎりっき/写真右))

2008年、慶應義塾大学演劇サークル“創像工房 in front of.”内で結成。主宰の松居大悟が全ての作・演出を手がける。ヨーロッパ企画主宰の上田誠氏が「意気の上がらない人たちがワチャワチャするコメディ 」と称するように、不器用にしか生きられない人間達が紡ぎだす軟弱なシチュエーションコメディを上演していたが、近年は「作るってなんだよ、生きるだけだろ」と主張。2007年に参加したシアターグリーン学生芸術祭では8団体の中で関東代表に選ばれ、2008年春に大阪公演を敢行。2009年春には福岡進出など、全国を視野に入れた活動を展開。2011年「極めてやわらかい道」では2000人以上を動員。その後、3年の活動休止を経て、2014年「ごきげんさマイポレンド」より活動を再開。年に一度の本公演を実施している。

公式サイト
http://www.5-jigen.com/

 

石塚朱莉(写真左)
いしづかあかり●1997年7月11日生まれ、千葉県出身。ニックネームはあんちゅ。NMB48チームBII。趣味は映画鑑賞。2016年夏、悪い芝居の『メロメロたち』で初舞台、初主演を果たし、2017年4月、悪い芝居『罠々』に出演。9月、劇団アカズノマを旗揚げ。2018年4月、柿喰う客の七味まゆ味を演出に迎えて、同劇団の人気作『露出狂』をABCホールにて上演する。

公式サイト
http://www.nmb48.com/

Stage

ゴジゲン第14回公演「くれなずめ」
11月4日(土)14:00/18:00
11月5日(日)14:00

会場:KAIKA

全席自由-3000円
※未就学児童は入場不可。

[作・演出]松居大悟 
[出演]奥村徹也 / 東迎昂史郎 / 松居大悟 / 目次立樹 / 本折最強さとし / 善雄善雄

[問]ゴーチ・ブラザーズ/03-6809-7125

チケット情報はこちら

2016年7月、京都の劇団・悪い芝居の『メロメロたち』に出演し、女優として初舞台を踏んだNMB48の石塚朱莉さん。役者としての第一歩を踏み出したばかりの彼女が、さらなる高みを目指すべく、脚本家や演出家など演劇界の諸先輩方に「演劇のいろは」をお聞きします!

今回は、東京を拠点に活動するゴジゲンの主宰で作・演出を手がける松居大悟さんと、松居さんと共にゴジゲンを旗揚げした劇団員の目次立樹さんに登場していただきました。松居さんは、映画監督として『私たちのハァハァ』(2015年)、『アズミ・ハルコは行方不明』(2016年)を手がけたり、クリープハイプや銀杏BOYZなどのミュージックビデオを手がけたりと、映像でも活躍。目次さんは役者として劇団公演はもちろん、外部作品にも数多く出演されています。「ゴジゲンが面白いらしい」という噂を聞き、期待に胸を膨らましていた石塚さん。11月4日(土)・5日(日)、新作『くれなずめ』で京都・KAIKAで初の京都公演を行う二人に、作品作りのことや、劇団への思いについて話を聞きました!

 

劇団だからこそ作れるもの

石塚

私、7月にやられていた『なんかすごいSF的なやつ』を観に行きたかったんですけど、東京公演だけだったので観れなかったんです。

目次

あ~、あれは番外公演なんですよ。

石塚

“ゴジゲンは東京でブイブイ言わせてる”って知り合いが言ってたんです。

松居

それ、たぶん悪い人ですね(笑)。そんなわけがないので!

石塚

だから、観てみたいなって思ってて。劇団のプロフィールに“不器用にしか生きられない人間たちが紡ぎ出す軟弱なシチュエーションコメディ”って書いてあったんですけど、どういうことですか?

松居

僕は、あまり演劇の敷居が高いのが苦手で、客席のほうを見て叫んだりして派手に見せるのが恥ずかしくなるというか。それよりも、ぼそぼそ喋ってるとか、見ちゃいけないような会話を見るとか、ダサいやつらのダサい感じが大好きなんです。そういうのを一緒に楽しんでもらいたいなって思うんですよね。

石塚

8年くらい前の作品をYouTubeで観たら、男子中学生、高校生くらいの人たちが、“や~、マジでやりてぇな~!”って言ってたりして(笑)。そういうのを演劇でやるのってちょっと恥ずかしいというか、あまりお客様に出さないじゃないですか。

松居

でも、映像だとやれることに制限があるんですよね。劇団だと、そのメンバーだけでやりたいことをやれる。だから、大人に止められそうなことをやりたいなって思うんです。

石塚

個人的にはそういうお客さんがヒヤヒヤするやつが大好きなんです。だから、ちょっとお話を聞いただけで、すでにワクワクしてます(笑)。ゴジゲンさんは、話し合いとかエチュードを重ねて脚本を書いていくというのをお聞きしたんですけど、具体的にはどんな風に作られているんですか?

松居

僕ら2011年から3年間活動休止したんですよ。それまでは、僕が物語をガッチリ作って、段取りとか設定とか出ハケを書いて、“これについてケンカする”とか書いているのを役者たちでエチュードをして詰めていく作業をしてたんですけど、復活してからはそれすらやめました。

石塚

何でなんですか?

松居

一ヵ月間稽古がある中で、自分で考えたことを役者にやってもらう作業って健全じゃないなって思ったんです。せっかく一ヵ月間あるんだったら、物語も含めて、もっとみんなで一緒に作っていくのがいいんじゃないかと。僕がいっぱい準備しすぎると、役者はそれを体現化するために頑張っちゃうから。それって映像でもできるし、演劇は一ヵ月間一緒に過ごすメンバーとじゃなきゃ生まれないものを作りたいなと思って。そしたら、どんどん書かなくなりました。

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一切書いてこないですもんね。みんなで休止中の3年間のことを書いてきて、気付いたら作品になってて。松居が作・演出って名乗ってますけど、僕らが書いてますからね。

石塚

じゃあ結構自由に作られているというか、一人ひとりに責任がありますね。

松居

役者が受け身になっちゃうと嫌だなと思って。全員責任持って、自分の意志で動いている感じにしたいんです。こっちがガンガン言って、それをまっとうするために頑張ると、演劇が息苦しくなるから。

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確かに、演出の言うことしかしなくなるというか。ちょっと様子見ちゃう部分もありますね。

 

松居大悟が6年ぶりに書く新作『くれなずめ』

石塚

今回の『くれなずめ』もそうやって作られてるんですか?

松居

いや、それをずっとやってたらヤバイなと思って(笑)。そんなの家でやれよって言われかねない。

目次

6年ぶりに松居が動き出したんです。

松居

でも書き方を忘れてしまったので、昔の自分が書いたやつを見ながら思い出していって。

石塚

過去のチラシとかも拝見したんですけど、すごくオシャレでカッコよくて。どんな劇を作られるんやろうって、自分の目で見て確かめたいなと思ったんです。

目次

むしろダサい路線を狙ってるんですけどね(笑)。

石塚

ダサカッコいいのがいいなぁと思って。チラシの写真を撮るのって、お稽古始まる半年前とか1年前じゃないですか。撮影する段階から、次の本公演はこんな感じにしたいという思いがあるんですよね?

松居

そうですね。チラシを作る中で、頭にあるお芝居のイメージを言語化するのが一番最初の作業です。言語化していく作業って、本当に難しいんですよ。で、まずタイトルを考えるときに頭を悩ませる。今回のタイトルも、ずっと時間は動くけど、感情とか意思でそういうのを止めることができないかな、となんとなく考えていて。“くれなずむ”って、太陽が沈みそうで沈まないギリギリの状態なんですけど、それを命令系にして“沈まないでいろ!”という感じにしようと思って、『くれなずめ』にしたんです。そこから、そういう状態って何だろうなって思ったときに、学生時代の放課後の雰囲気って良かったよな~って。いつまでも帰らないでいる状態とか、この時間がずっと続けばいいのにって思う時間。それって、大人になった今だと何だろうって考えたら、結婚式の披露宴と二次会の間に変な時間があるなって思って。

石塚

あ~! ちょっと空きますよね。

松居

そう、微妙に2~3時間空くあの時間。披露宴でお酒飲んでテンション上がったけど、ちょっと二次会まで時間があって、どうしようかよく分からず歩く時間って、なんかいいなと思って。そこから掘り下げて話を作っていく感じですね。

石塚

今回の舞台美術はシンプルなんですか?

松居

身体だけで見せたいなぁと。もう、生きてるだけでいい(笑)。

石塚

生きてりゃそれが物語になるってことですね!

松居

みんなの人生があって、僕らの人生があって。でもそんなこと言いながら、あったらごめんなさい(笑)。

 

「目が離せない」存在になりたい

石塚

『くれなずめ』のチラシに“沈む夕焼けは火傷しながら支えるだけさ!”とか“今日もお前を迎えに行くぜ!”とか書かれているんですけど…。

目次

ちょっと前だったら、“今日もお前を迎えに行くぜ!”って絶対言わない。

松居

こんなダサいキャッチコピーね。

石塚

語尾に“ぜ!”とか“さ!”とか付けてる感じ(笑)。

松居

ちょっと挑戦しようと思って、あえて言ってます。こういうこと言う人を否定してた劇を作ってきたんですよ。でも今回は、これを伝えるためにどうするか考えながら劇に立ち向かおうと思って。

石塚

『ごきげんさマイポレンド』(2014年)っていう公演のチラシでも、“ぽぽぽー!”って書いてたのを見て“最っ高だな!”って思って(笑)。そのときに出会ってなかったのが悔しくて仕方がないんです。

目次

作品の中では一切出てこないですけどね。

松居

あれこそ、脚本を書くのやめようと思った公演です。あの公演で書いたのは、“ぽぽぽー!”だけです。

石塚

どういう思いが含まれてたんですか?

目次

あくまで僕の推理なんですけど、『ごきげんさマイポレンド』っていう作品は、活動休止していた3年間の話で、僕はずっと農業をやっていて劇団を離れていたんですよ。それで、僕が戻ってくるかこないか、このままゴジゲンが復活するかしないかっていう公演でもあったので、戻ってきてほしい気持ちをコーティングしたくて、“ぽぽぽー!”みたいな言葉で表現したのかなって。

松居

あれに関して言うと、“目次やっぱりやろうぜ!”公演なので。でもフレンドっていうのも恥ずかしいし、ポレンドくらいがちょうどいいかと思ってポレンドにしたんです。そのポから付けたんだと思います。

石塚

そういう“ぽぽぽー!”で濁していたのから、急に“行くぜ!”とか“だけさ!”とか熱いことを言ってるじゃないですか(笑)。そういう方向性って、頭の中でどう考えているんですか? 作品のアイデアはどこから生まれるんですか?

松居

そのときどきの自分の環境と、その前にやった作品の流れとかもあるんですけど、単純にお客さんが“こういう公演やるから見に行こう”って思うよりも、“あの人たち、次何やるんだろう。目が離せないな”って思うほうがいいなって。役者でもうまい人っていくらでもいるけど、なんか目が離せない人っているじゃないですか。目がヤバそうな人とか、挙動がおかしい人とか。そのほうがワクワクするし、そういう劇団とか劇を作りたいんです。

石塚

一周まわってカッコよく見えてきました。“行くぜ!”とか“だけさ!”とか。演劇らしくて逆にいいですね。

 

映像は監督の責任、舞台は全員が共犯者

石塚

松居さんって映像でもご活躍されているじゃないですか。映像と演劇で、作り方に違いはありますか?

松居

全然違いますね。昔はその違いがよく分からなかったから、演劇って難しいなって思ってたんですけど、最近は自分の中で違いができてきた。

石塚

演劇のほうが難しいって思われてたんですか?

松居

昔は演劇なんて生産性がないなと思ってたんです。映像は一番いいところでOK出して、色とか音とかどんどん仕上げて、作品としてどんどんよくなっていくのが気持ちいいけど、演劇はちょっと元気がないとうまくいかなくなるし、誰かのテンポが悪くなったら全部悪くなる。本番始まってもダメ出しをしないといけなくて、全然上がっていく感じがしなかったんですよね。

石塚

朝、まだ寝起き感ある人とかもいますもんね。

松居

でも最近はそうじゃないなと思ってて。映像はとにかく決めることが多くて、ロケ地を決めるところから始まり、芝居はその瞬間につけて、OKか撮り直すかも判断して、OKだったら次のカットどうするかを決めて、その積み重ねで形になっていく。でも演劇は一ヵ月間同じメンバーで同じ場所にいるからこそ、できることがある。だから、みんなで作っていきたいんです。僕がなんとなく準備してきて、それを役者たちが聞いて、どうするか迷って出して生まれたものを形にしていきたい。だからこそ、今、この稽古場にいる座組でしかできないものができるなと思うんです。

石塚

役者さんに求めることに違いはありますか? 私は、監督が示す線路を踏み外さないようにしていくのが映像で、自由に何でもできるのが舞台かなと思うのですが…。

松居

僕の考え方でいうと、映像は監督が責任を取らなければいけないと思う。役者に対して言ったことも、やってもらったことも含めて自分が責任を取らなきゃいけない。でも演劇は、最終的には役者たちが板の上に立つから、役者が責任を取ることになる。だから、全員で責任を取らなきゃいけないというところで、関わり方が違いますね。舞台は全員が共犯者になる。

石塚

なるほど~、共犯者!

松居

今ちょっとカッコつけすぎました(笑)。

石塚

お客さんの目の前にいるのは役者やから。変な音が流れたりしても、役者がそこでなんとかしないといけないですもんね。

松居

そうそう。それに、セリフが飛んだり止まったりしたら、そこにいる誰かが直さなきゃいけない。それが、石塚さんの言葉を借りれば“自由にできる”ということだし、映像に関していえば、監督の言うことに対して“真面目にやらなければいけない”ということかもしれないですね。

 

対談を終えて

石塚

過去の作品のチラシとか映像を観ていて、面白そうな人たちなんだろうなって思ってたら、その通りでした! クサイせりふを言っちゃうとか、ちょっと飛んでる感じしますよね。でもそうじゃないと演劇ってできないと思うから、すごく楽しみです!

目次

僕らの過去の映像だったり、公演のこともちゃんと調べていただいて、うれしかったです。受け答えもしっかりしてるし、これからも活躍していただきたいですね。

石塚

私がもうちょっとお芝居がうまくなったら呼んでください(笑)。

松居

僕はいっぱい恥ずかしい引き出しを開けられてしまって(笑)。だから今度は舞台に立たれている石塚さんを見てみたいですね。そして僕がめちゃくちゃダメ出しをしたいです(笑)。

石塚

怖い~! でもいつかぜひ、お願いします! ちなみに、“ゴジゲン”ってどういう意味が込められているんですか?

松居

ヨーロッパ企画の諏訪さんに名付けてもらったんです。それが2008年のときで、“五次元”という概念がヨーロッパ企画の界隈でブームになっていて、二次元、三次元、四次元があって、五次元は時間すら飛ばすことができる。思ったらその瞬間にその人に伝わってるような、そんな時代が来るぞ! とか話してたんです。だから“ゴジゲン”って付けとけば大丈夫だって諏訪さんが言ってくれて、あ~、いいなと思ったんですけど、永野さんは“寿司”って付けたかったらしく、“グリーンガム寿司”がいいって(笑)。

石塚

ゴジゲンで良かったですね…(笑)。

第11回は11月中旬更新予定です!

 

取材:石塚朱莉(NMB48)
撮影:木村正史
構成・文:黒石悦子
企画:葛原孝幸


 

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